土曜日, 2月 7, 2026
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中高生に呼び掛け特別セミナー 次世代のがん治療技術紹介 国際戦略特区

【相澤冬樹】つくば国際戦略総合特区のプロジェクトを支援する「つくばグローバル・イノベーション推進機構」(つくば市吾妻、住川雅晴理事長)が、特に中高生に参加を呼びかけた特別セミナーが17日、つくば市春日の筑波大学高細精医療イノベーション棟で開かれ、最先端のがん治療技術が紹介された。県、同市、同大学が共同主催した。

「次世代がん放射線治療BNCTの開発実用化」(熊田博明・同大陽子線医学利用研究センター)、「放射線も霧箱で見られます―医療診断用ラジオアイソトープの国産化」(土谷邦彦・原子力機構大洗研究所環境技術開発センター)の2講演が行われた。

同特区は2011年から順次スタートし、現在合わせて9のプロジェクトを抱えるが、東海村のいばらき中性子医療研究センター、大洗町の原子力機構(JAEA)大洗研究所を拠点に研究開発中の両事業は、現状があまり伝わっていない。

今回は中高生にもわかりやすくという意図で開催されており、会場を市民ら約50人が埋めるなか、「つくば国際戦略特区」も初耳という高校生らが10人ほど参加した。私立高校の女子生徒は「放射線は難しそうだけど、がん治療に興味があって参加した」という。

今年中に動物実験を開始 東海村のBNCT加速器

講演のうち、ホウ素中性子捕捉治療法(BNCT)は、がんの患部にホウ素入りの薬剤を送り込み、中性子を打ち込んでホウ素から発生したアルファ線でがん細胞を破壊する仕組みだ。同大を中心に高エネルギー加速器研究機構、JAEAなどが、加速器を使った装置の開発を進めている。

熊田氏によれば、東海村に設置した加速器は本体の長さ約7メートルの小型のもので、陽子を光速の13%に加速して標的のベリリウムに当てると、電荷のない中性子がはじきだされ患部まで届く。ホウ素から出るアルファ線の飛距離は10ミクロンほどで、ちょうど細胞1個分の距離、周囲の正常細胞を破壊することなくがん細胞だけを狙い撃ちできる。このため頭頸部(とうけいぶ)がんや悪性黒色腫の治療に有効で、再発乳がんなどにも適用の可能性があるという。

BNCTは、これまで研究用原子炉を使った研究が主流だったが、老朽化し廃炉となっている流れに加え、国内では病院に設置できないことから、加速器利用にシフトしている。住友重機械工業製の加速器を使う福島、大阪の治験施設からは本年中に薬事承認申請が出される見込みで、来年には治療スタートの見通しになっている。東海村の装置はほぼ完成したものの、加速器のビーム強度が高く調整に手間取っていた。今年中に動物実験を開始、薬剤メーカーと協議して早々に治験に移る構えでいる。

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ふるさとのない時代《くずかごの唄》154

【コラム・奥井登美子】お正月には誰も故郷に帰りたくなる。私が育ったのは荻窪のみどり幼稚園。緑の名の通り、生垣に囲まれた家と野原の、のんびりした緑色の住宅街だった。 しかし今の東京の町はどこも高いビルばかりで、緑がない。故郷という言葉とはかけ離れた風景になってしまっている。私の故郷と呼べるような所は、もうどこにもなくなってしまったのだ。 幼い時、父の故郷、新富町へもよく連れて行ってもらった。父は歌舞伎座が新富座であった頃の、鉄砲洲小学校出身。「菅原伝授手習鑑」などに寺子屋の子役として駆り出されて、よく出演させられたそうだ。台詞(せりふ)も筋もよく覚えていて、よく私に語って聞かせてくれた。 隅田川のほとりに町があって、父は「〇〇ちゃんの店でノリを買おう」などと、昔の友達の家に寄っておしゃべりするのを楽しみにしていた。父の故郷はいま、日本ではない、高いビルばかりのどこか架空の空間になってしまっている。 タケちゃんの文が朝日に載った 1月27日の朝日新聞「折々のことば 鷲田清一」に、加藤尚武の文が載っていた。「個人の間の平等は、ある程度まで…自然の平等に支えられているが…国力の差は、ネズミとゾウの違いよりも大きい」 加藤尚武は私の弟のタケちゃん。京都大学の哲学教授を務めた後、鳥取に環境大学を創り、環境問題を、哲学のまな板の上に載せた人。「環境問題のすすめ」という著書もある。生活者として、医療と環境を意識して生活している。 加藤家の男たちはみな食べるのが好きで、父も、兄も、タケちゃんも、好きなものを自分で作って食べるのが趣味だ。 私はせめてせめて、お正月くらいは、おしゃべりの好きな弟のタケちゃん、母の昔の味の料理を作ってくれる妹、姪たちに会って、亡くなった父、母、兄の個性を偲(しの)びながら、今の子供たちと比べて、大笑いするしかないのだろうか。(随筆家、薬剤師)