木曜日, 1月 22, 2026
ホーム ブログ ページ 93

「人生の終わりのための活動」を考える 《ハチドリ暮らし》28

6
旅の景色を撮りました

【コラム・山口京子】数年前から、終活に関するセミナーに呼ばれることが増えました。終活とは「人生の終わりのための活動」の略です。人生のたな卸しをしつつ、これからの締めくくり方を考えます。「自分の情報や願いを整理し、これからやりたいことを書き出して実行してくださいね」と話しています。

終活の前段として、いつまで働くか、いつから年金を受け取れるかも大きな課題です。高齢期の長期化で、健康寿命・働く寿命・資産寿命の3つを意識せざるを得ません。健康寿命を延ばすことは、働く寿命や資産寿命にも影響し合います。職種によっては定年が70歳だったり、定年を廃止しています。

一般的に65歳以上の人を高齢者と言い、2022年時点で3627万人、人口の3割弱となっています。みなさんは、65歳以上になった自分の生活や働き方、受け取れる年金の予想額などを意識されているでしょうか。

2022年の日本人の平均寿命は、男性が81.05歳、女性が87.09歳。死亡者が最も多い年齢は、男性で88歳、女性で93歳でした。長生きをするほど、平均寿命を超えていくのがわかります(令和4年度簡易生命表=※メモ参照=より)

認知症の患者は、2025年には700万人を超えると言われています。自分も認知病までに至らなくても、物忘れが増えましたし、体の敏捷性や体力の低下を実感しています。ですので、数年前から身の回りの片づけを始めました。

社会的な活動にも参加する

「思い立ったが吉日」で、資産のたな卸しやエンディングノートの作成、成年後見制度の仕組みや家族信託、遺言や各種委任契約などを調べてみてはいかがでしょうか。

また、人生を振り返って、自分が生きた時代はどういう時代だったかを整理したいと思います。そのうえで、これからどう生きるかをしっかり考えることが求められます。今を生きる宿題、それにどういった答えを出すかが、子どもや孫たちの人生にもかかわるのではないでしょうか。

セミナーでお伝えすることは、①自分の気持ちと向き合いその気持ちを家族に伝え、家族の気持ちも受け止めて思いを共有する、②家計を予算化しその範囲で暮らし、資産寿命を延ばす、③これからの法律の立法や改正にアンテナを張り、それがわが家にどう影響するかを考える、④事情が変われば早めに見直す、⑤社会的な活動に参加する―などです。(消費生活アドバイザー)

メモ※令和3年簡易生命表
政府統計報告書の1つ。日本にいる日本人について、令和3年1年間の死亡状況が今後変化しないと仮定したときに、各年齢の人が1年以内に死亡する確率や、平均してあと何年生きられるかという期待値などを、死亡率や平均余命などの指標によって表したもの。日本の死亡状況の厳密な分析、また0歳の平均余命(平均寿命)など広く活用されている。

デビュー作で初回コンクールに入賞 つくばワイナリーの山ぶどうワイン

0
茜賞を受賞した「SPARKLING BLANC」(左)と空賞受賞の「SPARKLING ROSE」=つくばワイナリー提供

つくば市北条の醸造所「つくばワイナリー」からエントリーした3種のワインが、第1回の日本山ぶどうワインコンクール(日本山ぶどうワイン協会主催)で入賞を果たした。経営元のカドヤカンパニー(小美玉市、岡崎正光社長)が8日発表した。

コンクールは、「山ぶどう」「山ぶどう系品種」で作られたワインに特化した、日本で初めてのコンペティション。黒ぶどう品種の「日本山ぶどう」は日本独自のワイン専用種として、交配種の「山ぶどう系品種」と共に近年、栽培面積を拡大させているという。今回は、主産地である秋田県鹿角郡小坂町に事務局を置く実行委員会の主管で、7月に開催された。全国41のワイナリーから103本のワインがエントリーされた。

つくばワイナリーからは、スパークリングワイン部門で「SPARKLING ROSE(スパークリングロゼ)」が空賞、「SPARKLING BLANC(スパークリングブラン)」が茜賞を受賞。そして白ワイン部門で「TSUKUBA BLANC STANDARD(つくばブランスタンダード)」が茜賞を受賞した。特にスパークリングワイン部門では紫賞に該当するワインがなかったため、単独で空賞を受賞した「SPARKLING ROSE」が最高位という結果になった。コンクールでは通常の金、銀、銅ではなく、日本古来の色順位に基づき、上位から紫賞、空(青)賞、茜(赤)賞が贈られた。

同社は筑波山ろくの北条地区の丘陵地に約18ヘクタールの土地を取得、2012年にワイン用ブドウの栽培を開始した。19年には醸造所と売店からなる施設、ワイナリーを開設して、つくば産ブドウ100%を使ったワイン製造を開始した。(2019年12月15日付

ブドウ園の6割ほどを占めるという山ぶどう系品種を使ったワインの仕込みは2021年収穫分からで、コンクールには、このワインを丸1年寝かせて出品した。デビュー作で初回コンテストに入賞した形だ。

同ワイナリーの栽培・醸造責任者の大浦颯人さん(25)によれば、「SPARKLING ROSE」は山ぶどうと赤ワイン品種のメルローとの交配種を用いたワイン。「山ぶどうワインは野性味ある男っぽさが持ち味だが、その酸味を残しながらもフルーティーでチャーミングな味に仕上がったのが評価されたのではないか」としている。

◆つくばワイナリー つくば市北条字古城1162-8(電話029-893-5115)

ハンバーガーに寄せる「おいしい絵」 つくばで川浪せつ子さん水彩画展

1
水彩画展を開いたコラムニストの川浪せつ子さん=つくば市松代「マツシロバーガー&カフェ」

NEWSつくばにコラム「ご飯は世界を救う」と「ご近所スケッチ」を執筆している川浪せつ子さんの水彩画展が29日まで、つくば市松代のマツシロバーガー&カフェで開かれている。同市在住の水彩画家、イラストレーターによる「おいしい絵 ハンバーガーの水彩画展」で、同店のハンバーガーやスイーツなどを描いた作品17点と、つくばや周辺地域の四季折々の風景画21点が展示されている。

いずれの作品もA4サイズほどの判型に、透明水彩絵の具を用いて細やかなタッチで丁寧に描き込まれている。風景画は2017年に廃刊となった常陽新聞に川浪さんが寄稿していたコラム「花もダンゴも」で掲載された作品。透明感と清涼感に満ちた作品を熱心に鑑賞する入店者の姿が見られた。

細やかなタッチで描かれたハンバーガーなどの水彩画に魅入る女性たち

会場のマツシロバーガー&カフェは、コラム「ご飯は世界を救う」の54回目に登場したハンバーガー店(2月14日付)。以前は同市小野崎の商業施設でフランチャイズ「フレッシュネスバーガーLALAガーデンつくば店」として営業していた。川浪さんは当時から、施設内の民間のスポーツクラブに通うときに必ず立ち寄る居心地の良い店だったが、22年10月にLALAガーデンつくばが閉店したことで独立し、フランチャイズ店で培ったノウハウを生かし、昨年末松代ショッピングセンター内にオープンした。

独立を果たした同店を応援しようと川浪さんらは3月から準備を進めてきたそうで、おいしそうなハンバーガーが壁面を飾っている。入店した50代から60代の女性たちからは「つい食べ慣れたハンバーガーを注文してしまうが、レパートリーが広がりそう」といった声や「風景画は自然の清々しい空気感が感じられて優しい気持ちにさせてくれる」と話していた。

川浪さんは「ランチスケッチ『ご飯は世界を救う』には食べることは心を豊かにしてくれるという思いと、安全で安定した食への思いを込めている」と話す。イラストを添えながら独自の視点で捉えた店の成り立ちや人間模様が書き添えられ、食べログとは一味違うランチガイドに仕上がっている。昨年から始まった「ご近所スケッチ」は地元再発見散歩で、身近な場所の魅力に触れられる。(橋立多美)

◆おいしい絵 ハンバーガーの水彩画展 会期は29日(火)まで。会場は松代ショッピングセンター谷田部松代郵便局並び。営業時間は午前11時~午後8時。水曜定休。問い合わせは川浪さん(電話080-5524-8678)。

「ラージポンポン」 《続・平熱日記》139

2
絵は筆者

【コラム・斉藤裕之】「異次元の少子化対策」の何がどう「異次元」なのか? そんなことが世間でつぶやかれる中、3次元的に大きく膨らんだのは長女のお腹。1人目に続き帝王切開ということで、一応予定日というか誕生日、時間まで決まっている。その時間、私は授業中だから、心の中で無事に生まれてくることを祈るしかない。

少子化は国家の根幹を揺るがすほどの問題なのかもしれないけど、娘の大きなお腹を見ていると、この「さずかりもの」は国家と関係があるのだろうか? とか、種としては十分すぎるほど繫栄しているし、むしろ増えすぎたんじゃなかろうか? とか、少しぐらい日本の人口は減ったぐらいがいいじゃないか? とか、いや減るべくして減っているのでは? とも思う。

しかし、ソーリとしては「面倒見るよ! 心配しないでバンバン産んで!」と言うしかないのだろう。

それにしても、「異次元」という言葉は、どなたかの入れ知恵なのかもしれないけれど、少し子供っぽい。それよりも、どこからこの予算を引っ張り出すのか。異次元が2次元に、「絵に描いた餅」にならないように。子供が増えると、まず減らされるのはお父ちゃんの小遣いだろう。

ということは、まずは政治家さんの小遣いから減らさないとね。「異次元の身を切る政策」から。

「インハラベビー」

それはそうと、夏休みを心置きなく故郷で過ごしたい。そのために、9月の頭から香川県のギャラリーで開かれる展示のため、数点の作品を早めに準備しておくことにした。そのタイトルが「ディメンション Zero展」。キャンバスのゼロ号サイズの作品展という意味だそうだが、ゼロ次元展とも読める。ゼロ次元というのは宇宙誕生の寸前? 創造のエネルギーの状態? かな。

実は次元という言葉には少しアレルギーがあって、というのも現代美術というくくりの中では絵画のことを2次元表現なんていうものだから、こっちもすっかりその気になって「ニジゲン、ニジゲン…」なんてやっていたら袋小路に入っていっちゃって…。

でもあるとき、シンプルに「絵を描こう!」って思ってから楽になったというか…。そんな苦い経験があるからだ。

数日後、無事に長女が男児出産の知らせ。メールで送られてきた画像を見ながら、何とも言えない幸福感に包まれる。「こんにちは赤ちゃん…」子供の頃にはやった歌が頭の中に流れてきた。

そうね、異次元云々より「こんにちは赤ちゃん予算」くらいにしておくのはどうだろう。それから中学のときの国語の先生の言葉を思い出した。「ラージポンポン、インハラベビー」。当時産休に入られる先生のことを言ったのか…。なんか昭和って感じ。

そういえば四国に行ったことがない。故郷の海岸からはうっすらとその姿が見えるのに。次元は超えられないが、海なら越えられる。行ってみるか…。(画家)

初出場決めた!! 国体関東予選と天皇杯へ 筑波銀行軟式野球部

0
大会に向けて調整するエースの征矢隼輔投手=筑波銀行野球部グラウンド

筑波銀行(本店・土浦市)軟式野球部が県代表として、8月開催の国民体育大会関東ブロック大会と、9月開催の天皇賜杯全日本軟式野球大会に出場する。6月から7月にかけて開かれた県民総体と天皇杯第78回全日本軟式野球県大会にそれぞれ優勝し、創部11年目にして初の快挙を達成した。いずれも常陽銀行との決勝戦にいずれも勝利した。

筑波銀行野球部は部員15人で、県内の強豪校出身者が多く在籍する。各支店に分かれて勤務していることから、平日はランニングや素振りなどの自出練習を行い、土日に那珂市にある同行野球部グラウンドでシートノック、連係プレー、フリー打撃などの全体練習を行う。

走者を置いて実戦練習する筑波銀行の選手たち

投手4人を擁する。エース征矢隼輔(そや・しゅんすけ)=水城高出=は投手陣の軸としてストレート、スライダー、チェンジアップ、カーブを武器に最速143キロの速球で相手打者に立ち向かう。「強気で、気持ちで負けないように頑張る」と意気込みを話す。

天皇杯県大会決勝で3ランを放ち一発長打がある4番福岡邦昌(ふくおか・くにまさ)=土浦湖北高校出身=は「茨城県代表として、企業を背負ってやっているので少しでもいいプレーを魅せて優勝したい」と力を込めた。

撃練習をするキャプテンの秋川弘明選手

強肩強打で俊足が持ち味のキャプテン秋川弘明(あきかわ・こうみょう)=常総学院出=は「チーム、個人ともに順調にきている。大会まで最高の状態に仕上げたい。今年から監督が代わって新たな気持ちになった。相手より1点多く取って普通にやるのではなく相手が嫌がる野球をやって優勝したい」と抱負を述べた。

「守り勝つ全員野球」

就任1年目で初の国体、天皇杯出場の切符を手にした岡野信裕監督は「少ないチャンスをものにして投手陣を中心に守り勝つ。普段の全員野球で出来ることをやる」と国体、天皇杯へ向けての意気込みを語った。

国体関東予選は8月19日と20日、さいたま市で開催、埼玉県代表の旭製作所と対戦する。天皇杯は9月15日から20日、香川県で開催される。(高橋浩一)

つくばの洞峰公園問題 まだ迷走が続く? 《吾妻カガミ》164

11
洞峰公園野球場=つくば市二の宮

【コラム・坂本栄】茨城県営の洞峰公園(つくば市二の宮)が無償でつくば市に譲り渡され、市営化される流れになっていると思っていたら、県議会から「待った」がかかりました。この公園の管理運営方法については県と市の間でホットなやり取りがあり、市がタダでもらうことで県と話がついていましたが、これで幕引きとはならないようです。

県議会が無償譲渡に「待った」

県議会の「待った」とは、知事が鹿島セントラルホテル(神栖市、県の第三セクターが経営)、県立白浜少年自然の家(行方市)などの県財産を安易に処分するのはおかしいと、議会が調査特別委員会を設けて審査する作業が8月2日から始まり、その中に県営洞峰公園も含まれることになったという動きです。

県議会が何を問題にしているのかなど、詳しくは「洞峰公園も調査対象に 県議会が調査特別委設置」(7月31日掲載)をご覧ください。

7月末時点での市のスケジュール感は、9月県議会で譲渡条例を可決してもらう⇒9月市議会で譲受条例を可決してもらう⇒同議会で半年分(10月~来年3月)の公園関連追加予算を承認してもらう―というものでした。しかし、調査特別委(次回は8月30日)が譲渡の是非や条件をチェックすることになれば、県も市もその結論が出るまで動きが取れなくなります。

仮に、調査特別委が「洞峰公園は民間売却でなく、官⇒官だから特別扱いしてもいいが、無償でなく有償にすべきだ」とか、「どうしても無償というなら、県が提案していたグランピング施設などを無償譲渡の条件とせよ」といった結論を出すようなことになると、これまでの基本合意は白紙に戻さざるを得ません。

県は名を捨て実 市は実を捨て名

市は上のスケジュール感を前提に、8月中に無償譲受の是非を市民に聞くアンケート調査を実施する予定でした。しかし、調査特別委の作業に時間がかかれば、当分、この調査は実施できないでしょう。また、仮に調査特別委が無償譲渡にOKを出すとしても、当たり前のことですが、アンケート調査の結果がどうなるかわかりません。

市民説明会の記事(7月22日掲載同29日掲載)によると、市は2択形式の調査を考えていたようです。県の当初案(洞峰公園の野球場に民営のグランピング施設などを設け、その賃貸収益で公園管理費を捻出し、県の財政負担を軽くする)か、市営化案(洞峰公園を無償で市が譲り受け、市の財政負担とコンセプトで管理する)か、どちらかに〇を付ける形です。

私はコラム(下欄参照)で、県と市の「洞峰公園バトル」を終わらせる策として、県営公園の市営化(簿価+アルファで有償譲受)を提案。結局、知事は市側により好ましい無償案を示してきました。県は「名(公園改造計画)を捨て実(管理費転嫁)を取り」、市は「実を捨て(管理費発生)名(公園現状維持)を取る」ことになったわけです。

しかし、市営化案にも賛否があります。譲受賛成派=公園の現状維持を望む周辺市民(緑茂る今の公園のままがよい)、譲受反対1派=公園をあまり利用しない市民(市は余計な予算を使うな)、譲受反対2派=県の当初案を歓迎する市民(グランピング施設などでの魅力度アップは面白い)―などです。

調査は多サンプル・無作為抽出で

調査特別委の結論が出たあと、市は市民の多数意見が把握できるアンケート調査をすべきでしょう。少なくとも、無作為抽出の1000~2000人を対象にすべきです。少サンプルかつ作為抽出でやれば、アンケート調査をしなかった(故意?)運動公園用地売却のケースように、市民の間に強いストレスが残ります。(経済ジャーナリスト)

<参考>
153「洞峰公園の市営化、住民投票が必要?」(3月20日掲載
151「…洞峰公園バトル、勝者は県? 市?」(2月20日掲載
150「つくば市の2大懸案 県が示した解決策」(2月6日掲載
146「…洞峰公園…をめぐる対立と分断」(22年12月5日掲載
144「…洞峰公園… 県と市の考えが対立」(22年11月7日掲載
134「…洞峰公園、…市が買い取ったら?」(22年6月6日掲載

土浦日大、タイブレークで甲子園開幕戦に勝利 市役所で約100人応援

8
土浦日大の試合の様子を見守る安藤真理子土浦市長(前列左)=土浦市役所1階

第105回全国高校野球選手権記念大会が6日、甲子園球場で開幕した。県代表の土浦日大は開会式直後の第1試合に登場し、延長10回、タイブレークで上田西(長野)を破り、1986年以来37年ぶりとなる甲子園勝利を飾った。地元の土浦市役所1階ではパブリックビューイングが催され、土浦日大の勝利に大きな拍手が起こった。

(延長10回タイブレーク)

土浦日大は2回、5番・松田陽斗が中堅左へ大会第1号となる本塁打で先制。3回には2本の単打と盗塁で1死二、三塁とし、暴投で2点目を奪った。その後は相手投手陣を攻めあぐねた。9回には2死二塁から太刀川幸輝の右前打で二塁から中本佳吾が本塁を狙ったがタッチアウト、開幕試合からいきなりの延長タイブレークに突入した。

延長10回からは無死一、三塁で攻撃スタート。1死後、四球で満塁となり、代打・飯田将生がレフト前にポトリと落ちるタイムリーで勝ち越し。さらに2死後、塚原歩生真から5連打を集めて5点を追加して試合を決めた。タイブレークでの1イニング6得点は過去最多となった。

投げては先発左腕・藤本士生が緩急つけたピッチング。4回に2本の長短打とスクイズで同点とされたが、それ以降は立ち直り連打を許さず、8回途中から2番手・伊藤彩斗に継投。延長10回に藤本が再登板し、試合を締めた。

熱闘に地元からエール

土浦市役所1階では、休日窓口を訪れた市民や、市役所周辺で開催中の夏祭り「きららまつり」を見物に来て市役所に立ち寄った市民らが足を止め、試合の展開を見守った。会場ではきららまつりのうちわが配られ、土浦日大に点が入るたび、うちわを叩いたり、拍手して喜ぶ姿が見られた。

友人と遊びに来て市役所に立ち寄り観戦した近くに住む大学2年、大塚勇翔さん(20)は「(土浦日大は)最初に先制したが追いつかれ、どっちが勝つか分からない緊張したいい試合だった。10回に、県大会決勝で見せてくれたような猛攻を見せてもらってうれしい。これからまた頑張ってほしい」と話した。

きららまつりを見に駅周辺を訪れ、市役所に立ち寄った土浦日大近くに住む無職60代女性は「とても良かった。最初2点取って、追いつかれたが、最後に6点を入れて素晴らしい。地元なのでこれからも勝ってほしい」と語った。

安藤真理子土浦市長は「まず1勝。この後の次の試合も期待したい。優勝目指して頑張ってほしい」と述べた。

なぜ、このコラム・タイトルなのか? 《訪問医は見た!》1

2
海辺の無人駅 JR四国・下灘駅
著者近影

【コラム・平野国美】お初にお目にかかる方も多いかと思います。コラムの担当することになった平野国美(くによし)と申します。「NEWSつくば」の前身である日刊紙「常陽新聞」や無料紙「常陽リビング」でもコラムを書いていましたから、常陽紙を引き継ぐ本ニュースサイトへの執筆は「10年ぶりの復帰」とも言えます。

確か、日刊紙常陽への寄稿が始まったのは、拙著「看取りの医者」(2009年)がテレビドラマ化されたことが契機になったと記憶しています。その後10年、何もしていなかったわけではないのです。医療介護の業界誌やら週刊誌などのメディアで書き続けていました。検索していただくと、ネットで読めるものもあります。

現在は、つくば市内に医院を設け、主に訪問診療を行っています。開業は2002年春ですから、ずいぶん月日も経ちました。生まれは龍ケ崎市、家業は自転車の卸業でした。コラムのタイトルにもつながるのですが、父のトラックの助手席に座り、配達を手伝っていたエリアと、いま診療で回っているエリアは重なっています。

物心が着いたころから50年以上、茨城県南の姿を見てきたことになります。私が高校を卒業する年、当時「軍艦」と呼ばれていた土浦駅が取り壊され、現駅の工事が始まりました。一浪して、筑波大学にたどり着いたのが1985年。つくば市はまだ誕生前で、桜村と呼ばれていたころです。

日本で初めて「村」にオープンした百貨店が筑波西武。つくば科学万博(EXPO85)が開催され、その後の風景の移り変わりを定点観測のように眺めてきました。つまり、《訪問医は見た!》のです。

医療だけでなくサブカルの話も

そして東北大震災前の2010年、拙著「看取りの医者」が大竹しのぶさん主演でテレビドラマ化される打ち合わせの席で、三流原作者の平野は「訪問診療をしていると、各家庭には経済的な問題や家族間の問題が必ずあることがわかる。市原悦子さん主演のドラマ『家政婦は見た』の中で、市原さんが家政婦をしている時間はほとんどありません。ドアの隙間からのぞいている時間がほとんどです」とあいさつしました。

ここで《訪問医は見た!》が成立するのです。そこで聞く話は、私が生まれる前の土浦やつくばの風景もありますし、患者さんの生き様や死に様を見せつけられることもあります。「訪問医に魅せられた」のです。

私は休日には旅に出ます。ピカピカの観光地ではなく、昭和・大正の雰囲気が残る地方都市に向かいます。そこで新たな話を聞くことで、自分の生まれ育った街の伝統・習慣に気付かされるのです。

医療の話だけでなく(むしろこちらは少なめにして)、民俗性やサブカルチャーについても書ければと思っています。自由度を求めて、タイトルを《訪問医は見た!》にしました。また、いつ消えるかわかりませんが、ご愛読よろしくお願いします。(現役訪問診療医師)

【ひらの・くによし】土浦一高卒。1992年、筑波大学医学専門学群卒後、地域医療に携わる。2002年、同大博士課程を修了、訪問診療専門クリニック「ホームオン・クリニックつくば」を開業。著書「看取りの医者」(2009年、小学館)は大竹しのぶ主演でドラマ化。新刊は『70歳からの正しいわがまま』(2023年4月、サンマーク出版)。医療関係業界誌などでもコラム執筆。1964年、龍ケ崎市生まれ。つくば市在住。

筑波大生の指導受け 子どもたちがアート体験

0
芸術を学ぶ筑波大生に作り方を教わりながらアートに挑戦する子供たち=つくば市吾妻、つくばセンタービル1階

筑波大学で芸術を学ぶ大学生に教わりながら、子どもたちがさまざまなアート体験をする夏休みの恒例イベント「夏のキッズアート体験」が5日、つくば市吾妻、つくばセンタービル内のコワーキングスペースco-en(コーエン)で催され、子どもたちが、オリジナルうちわ作りや粘土のストラップ作りなどに挑戦した。

関彰商事と筑波大学芸術系が主催し、2016年から毎年夏と冬に開催している。子どもたちが会場に集まり、その場で作品を完成させるスタイルだが、2020年夏から22年夏まではコロナ禍により対面での開催を控え、大学生が小学生向けの自由研究作品を展示したりオンラインで紹介するなどしていた。昨年冬から対面での開催に戻った。

5日は午前と午後の入れ替え制で各20人ずつ計40人の小学生が参加し、大学生10人が直接子どもたちに作品の作り方を指導した。和紙に絵の具をたらして仕上げるオリジナルうちわ作り、粘土に好きな色の絵の具を混ぜて型抜きをするストラップ作り、金網と歯ブラシを使ったはがきのぼかし染め、鳥獣戯画の動物たちの色塗りーの4つのテーブルが用意され、子どもたちは20~30分で作品を仕上げていった。

つくばみらい市から参加した小学生の母親は「子どもたちはとても楽しんでおり、大変良い企画だと思う。専門的なことを学ぶ大学生から直接教えてもらって、美術に興味を持てるようになれば」と話していた。

関彰商事は茨城県の文化芸術振興を共に推進していく県近代美術館のパートナー企業となっている。会場には同美術館企業パートナー制度事務局の田口克弥次長が視察に訪れ、「つくば美術館での開催も提案している。関彰商事とうまく連携をとり、美術館が手伝うことがあれば今後も喜んでやっていきたい」と述べた。

9日は「夏休み宿題応援」と題し、筑波大学で書と芸術を学ぶ大学生が習字、絵画のアドバイスをする特別企画がつくば市二の宮のギャラリースタジオ‘Sで催される。予約受付は終了している。(榎田智司)

日本語の大切さ 《続・気軽にSOS》138

1

【コラム・浅井和幸】支援の場では、日本語があまり得意でない外国の方に対応することもあります。私は日本語しか話せないので、日本語ができれば対応しますと伝えますが、困っている人が日本語を話せるとは限らないので、できるところまで対応することになります。

英語をちゃんと勉強していたら、こんなことにはならなかったのかなぁ―なんて愚痴を言っても前に進みません。簡単な日本語と翻訳アプリ、それから身振り手振りで対応します。時には知り合いの通訳を交え、必要な情報を聞き取っていきます。

英語さえできたらと考えていましたが、英語以外の言語の対応を迫られることもあります。翻訳アプリ・通訳者様々です。翻訳アプリも、簡潔に文章を組み立てて音声入力するコツがあるようで、まだ勉強中です。

そうは言っても、日本人の相談を受けることが圧倒的に多いのは確かです。ですが、悩みを聞いている間に主語が変わったり、「てにをは」が間違ったりということが起こります。

もちろん、全て正確な日本語を使って、何一つ間違わずに会話を進めることはできません。それを差し引いても、日本語の使い方が独特な人もいます。主語が変わっていくというのは、抑うつの時にも出ることがあります。特定の人との人間関係がうまくいかなくなったら、全ての人が自分とうまく人間関係が作れないと考えてしまいます。

抑うつの状況でなくても、物事の捉え方が大ざっぱであったり、日本語の表現がうまくなかったりするため、「みんなが自分を悪く言っている」と、「みんな」が口癖の人は多いでしょう。「自分にはいつも嫌なことばっかり起こる」という表現もそうですね。

右・左・真ん中の選択肢

Aさんの前には、右・左・真ん中の3つの選択肢があります。Aさんは、右は絶対にうまくいかないから進みたくないと考えているとします。ですが、私は、とりあえず今は決めつけずに、3つの選択肢があり、それぞれにはメリットとデメリットがあるはずなので、決めつけずに考えていきましょうと説明します。

このとき、私は3つの選択肢が可能性としてあることを提示しているのに、Aさんは絶対に右に行かなければいけないと浅井が言っていると捉え、話が前に進まないことが実際に起こります。この場合、図で説明するとわかってもらえるのですが、言葉だけだとどうしてもニュアンスが伝わらず、相談につながらないこともあります。

Aさんが言っていることを総合的に考えると、右に進むことのメリットが大きく、左と真ん中の道のデメリットが全く想像できない状況で、右以外の道に進めば素晴らしい場所に行けるとさえ考えるようになります。ここで検討せずに進んでしまうと、こんなはずではなかったとなりやすいのです。

人は失敗から学ぶことも大切ですが、その失敗から「やっぱり私には悪いことしか起きない」という感想につながることが残念なことです。次に進むときには、現状の把握がとても大切な要素です。現状の把握と言語での正確な表現方法は密接に関わっていると感じる、今日この頃です。(精神保健福祉士)

「翻訳」のおくりもの《ことばのおはなし》60

1
写真は筆者

【コラム・山口絹記】前回のコラムでは、文化や常識の違いによる翻訳の難しさについて書いた。今回はより込み入った話をしてみよう。

「役割語」ということばをご存じだろうか。例えば、「わしが若い頃はそうしたもんじゃ」「オイラにまかせとけよ」「あたしがそうって言ったらそうなのよ」といった、その話者の人物像を想起させるような言葉遣いだ。

英語にも役割語がないわけではないが、日本語ほどのインパクトはないことが多い。原文になかったニュアンスを、翻訳作業で入れるかどうかは翻訳者に託される部分である。また、ジョークやダジャレといった言葉遊びも、忠実な翻訳が困難な場合が多いだろう。

かといってジョークに注釈をいれるのも興ざめだ。なにげなく読んでいる分には意識することはないだろうが、実はこういった本筋に関係ない部分が最も難しいと私は考えている。

そして、今回は児童文学の翻訳だ。児童文学の特徴に、漢字の取り扱いがある。絵本であれば、その文章の多くがひらがなのみで書かれており、小学校低学年、中・高学年向きであれば、それぞれの学習年度に合わせた漢字が使用されることが一般的だろう。

とはいえ、これはあくまで一般的なおはなしであり、対象学年で習わない漢字でもルビを振って使用されることだってあるし、逆に習っていてもあえてひらがなで書かれることもある。

ひらがな表記か漢字表記か?

試しにミヒャエル・エンデの著書『モモ』(小学高学年向き)の表紙の文章を引用してみよう。“時間どろぼうと ぬすまれた時間を人間にとりかえしてくれた女の子のふしぎな物語”とある。“時間泥棒と盗まれた時間を人間に取り返してくれた女の子の不思議な物語”ではないのだ。

では、対象年齢に合わせた漢字にすべての文章をただ修正すればよいのかというと、そう簡単なおはなしでもない。例えば、「ただすべき」とひらがなで書かれると「只すべき」なのか「正すべき」なのか判断しかねる、といった問題が発生する。

漢字を使わないのあれば、句点を使ったり、あるいは表現自体を変えて誤解を招く表現を避ける工夫も必要になってくる。そして、児童文学に限らず、日本語においてひらがなで表記されるか漢字で表記されるか、というのは文章の雰囲気に大きな影響を与える。「美しい」と「うつくしい」、どちらの表記がより美しさを伝えられるか。あるいはどちらでも変わりがないのか。

これはもはや正解のない問いなのだが、翻訳をして文章に落とし込むのであれば、どちらかに決めなければならない。ルビを振ってでも漢字を使いたいと思うことだってあれば、どんなに簡単な語彙(ごい)でも、ひらがなを使いたいと思うことはあるのだ。

時間はかかったが何とか一冊の翻訳をやり切った。翻訳だけで満身創痍(まんしんそうい)になってしまったので、ルビをふるのはこれからだ。印刷できたら、今度は娘にプレゼントしようと思う。(言語研究者)

つくばの防災科学技術研究所 《日本一の湖のほとりにある街の話》14

3
防災科学技術研究所。イラストは筆者

【コラム・若田部哲】毎年夏休み、つくば市内の各研究所で開催される様々な科学イベント。その中でも人気施設の一つに、防災科学技術研究所があります。

同研究所は、地震、津波、噴火、暴風、豪雪、地滑り、そして水害などの被害を抑えるべく、様々な実験施設により産学官民連携した研究を行い、社会に役立つ情報プロダクツを創出する機関。国内数カ所に拠点があり、そのうち、つくば本所には世界最大級の「大型降雨実験施設」などが設置されています。

そして、この大型降雨実験施設の人気体験イベントが「豪雨体験」。日本観測史上最大の降雨量、1時間換算300ミリという猛烈な雨を体験することができるというものです。

今回は、同研究所広報の入沢弘子さんに、この実験施設についてお話を伺いました。研究所入口の駐車場に車を止め、木々が豊かに茂る広大な敷地内をご案内頂くこと数分。木立の切れ間から目に飛び込んできたその施設は、とにかく巨大! 建屋の大きさは奥行49メートル×幅76メートル×高さ21メートルと、7階建てマンションが数棟並んだほどの大きさ。さすが世界最大級!

それだけでも驚きですが、なんとこの建物、動くのだそう! 施設は様々な実験が可能なよう、A~Eの一直線上に並んだ5ブロックがレールでつなげられており、その上を巨大な建屋が移動するとのこと。これにより、それぞれの区画で、実物の家屋など制作に長い日数を要する実験模型を準備し、様々な実験を行うことができるのだそうです。

様々な実験に使われる降雨実験施設

実験にあたり、いで立ちはカッパに傘、長靴と、完全フル装備。どんな雨も大丈夫…なハズ。いざ実験が開始されると、床面から16メートル上に設置された544個のノズルから、自然な降雨を再現した雨が降り始めます。雨は段々と激しさを増していき、叩きつけるような雨に。そして1時間に300ミリという降水量に達すると、長靴は水で満ち、激しい雨で視界は不明瞭、音は雨音しか聞こえません。これが実験でなかったら、恐怖にすくんでその場から動けなくなってしまうでしょう。

降雨のために地下に設けられた貯水槽の容量は2500立方メートル、小学校のプールおよそ4個分はあろうかという量。1日に実験で使用できる水量は、2000立方メートルにもなるそうです。この施設は自治体の啓発動画の作成や、建設業界との協働による水害に強い建物の開発、ドローンや自動車の技術向上など、様々な実験に使用され、年間90パーセントという高い稼働率を誇っているとのこと。

ここ数年来、毎年のように繰り返される「数10年に一度」の自然災害。中でも深刻なものの一つが、集中豪雨による水害です。ただし、この災害が地震や火山の噴火と違うところは、予報からある程度事前の対策が可能な点。

子供の夏休みの自由研究にとどまらず、いざという時の準備のため、ぜひ皆様に体験いただきたい、非常に貴重な機会です。ぜひ足を運び頂き、ご家庭の防災力向上にお役立てください。(土浦市職員)

<注> 本コラムは「周長」日本一の湖、霞ケ浦と筑波山周辺の様々な魅力を伝えるものです。

<防災科研 一般公開2023>
▽日時:8月5日(土)午前10時~午後4時
▽場所:国立開発研究法人 防災科学技術研究所 茨城県つくば市天王台3-1
▽入場料:無料
▽詳細はこちら

➡これまで紹介した場所はこちら

校舎新設や土浦一高の6学級維持など要望 牛久栄進高1学級増受け つくばの市民団体

32
県教育庁高校教育改革推進室の増子靖啓室長に要望書を手渡す「つくば市の小中学生の高校進学を考える会」の片岡英明代表(左)=7月31日、県庁

来春の県立高校入試で、県教育庁が7月26日、牛久栄進高校(牛久市東東猯穴町)の募集定員を1学級(40人)増やすほか、筑波高校(つくば市北条)に進学対応コースを1学級(40人)を新設すると発表したのを受けて、市民団体「つくば市の小中学生の高校進学を考える会」(片岡英明代表)は31日、大井川和彦知事と森作宜民県教育長宛てに「ここを第一歩として、つくばの県立高校の入学枠を県平均レベルに合わせるため、学級増、校舎新設、県立高校新設を検討してほしい」など改めて要望した。

県教育庁は、つくば、つくばみらい、守谷、牛久市の一部などつくばエリアの中学卒業者数が増加傾向にあることから、牛久栄進高校(普通科)の募集学級数を来春、現在の8学級から9学級に増やすと発表した。県はつくばエリアの中学卒業者について今年3月は4229人だったのに対し30年3月には524人増えて4753人になるとしている。

定員割れが課題となっている筑波高校については、普通科3学級のうち1学級を、四年制大学進学を目指す「進学アドバンストコース」とするとした。

一方、これまでも学級増や高校新設などを要望してきた同考える会は、今回の県の発表について「一歩進んだ」としつつも、「(既存校に)校舎を新設しない、高校を新設しないという縛りがあるなら問題は解決しない」などとして、校舎新設、県立高校新設を検討してほしいと改めて要望した。

さらに来春は、中高一貫校になった土浦一高の募集が6学級から4学級になり、「牛久栄進が1学級増でも、土浦一高の募集が学級減では、全体としては県立高校入学が今年よりも困難になることは明らかだ」などとし、来春の土浦一高の募集定員について「せめて現在の6学級を維持してほしい」と求めた。

新世界秩序、読み解く鍵は「合従連衡」 《雑記録》50

1
写真は筆者

【コラム・瀧田薫】世界の現状をどう捉えるか、さまざまな観点、論点がある中で、屋上屋を架すことになるが、「合従連衡」という言葉に即して現状把握を試みたいと思う。

5月10日、北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長は「台頭する中国に対応するため、東京にNATO連絡事務所を新設する」構想について日本政府と協議中であると発言した。日本政府も、先にNATO本部のあるブリュッセルに代表部を設置していて、東京事務所にも前向きであった。

ところが、マクロン・フランス大統領が強硬に反対したため、この構想は当面、沙汰やみとなった。マクロンは、NATOによる集団防衛の適用範囲は北大西洋に限られていることを反対の根拠としたが、これは表向きの理由であって、台湾有事においては米国主導の枠組みから自由でありたい、経済面では中国との関係を強化したい―といった思惑があると思われる。

いずれにしても、NATOとその参加国の一つであるフランスの間に、対ロシア、対中国の政策をめぐって齟齬(そご)があり、一枚岩ではない現状をさらけ出したと言えよう。ともあれ、NATOの策は国家連合を形成して強国の脅威に対抗しようとする「合従」に該当し、フランスの策は独自で強国との関係を構築することにこだわる「連衡」に該当すると言えよう。

ちなみに、こうした合従連衡をめぐる分裂、不一致の事例は歴史上珍しいことではない。古くはBC.475の頃、中国の黄河中下流域において、6つの国(魏・趙・韓・斉・楚・燕)と、その西側にあった秦の合計7国が覇権を争っていた。やがて秦が台頭すると、魏など6国は秦に協調する策と、連合して対抗する策との間で揺れ動いた。一方、秦は近隣の魏を侵略し、遠方の斉には和平政策を採り、これを「遠交近攻策」と呼んだ。

結局、BC.221に秦が6国を滅ぼして、中国を統一(始皇帝)した。結果論になるが、秦以外の6国による合従連衡は実を結ばなかったことになる。

2大リスク:全面核戦争、地球環境問題

ところで、現代国家の合従連衡は、過去には存在しなかった2つの巨大リスクを前提条件として押さえておかねばならない。すなわち、「全面核戦争」と「地球環境問題」のリスクである。

これら2つのリスクは人類の滅亡にもつながる。過去の合従連衡は国家の存亡に特化していればよかったのに対して、現代国家の合従連衡は、もともと国家にビルトインされている国益優先の価値体系に徹すれば、2つの巨大リスクについてヘッジ機能を果たせないジレンマに陥る。つまり、われわれは人類史上初めて「人類の存亡にかかわる合従連衡の時代」を生きているということだ。

核兵器をふりかざす独裁者がなりふり構わず強権国家連合を押し出してくる現状に対してどう対応するのか。彼らを抑え込んでこの世の平和と新たな世界秩序を維持するとして、そのための合従連衡のあり方はどのようなものになるのか。そのおぼろげな姿さえまだ見えてこない。それが世界の現状である。(茨城キリスト教大学名誉教授)

入浴施設で盗撮 事務職員を懲戒解雇 高エネ機構

10
高エネルギー加速器研究機構の構内=つくば市大穂(資料写真)

高エネルギー加速器研究機構(KEK、つくば市大穂、山内正則機構長)は31日、30代の事務職員を29日付で懲戒解雇処分としたと発表した。

同機構によれば、同職員は昨年4月、同僚の男性職員とつくば市内の温浴施設を利用した際、スマートフォンを使い、更衣室で更衣中の様子を本人に無断で動画撮影した。事務職員はその場で他の利用者に取り押さえられ、つくば警察署で県迷惑行為防止条例違反の容疑事案(卑わいな行為の禁止)として事情聴取を受けたあと帰宅した。この日は2人共、勤務日ではなかった。

その後、同年6月、事務職員は同署により書類送検され、23年4月、土浦簡易裁判所から罰金30万円の略式命令を受けた。

この対応のため、同機構は調査委員会を立ち上げ、事務職員を聴取したところ、新たな事案が判明した。同じ温浴施設で児童買春・ポルノ禁止法の違反容疑事案(盗撮による児童ポルノの製造)があった。被害者は機構外の未成年で、家族と示談が成立しており、送検・起訴には至っていないという。

さらに昨年4月の段階で、同機構は事務職員に対し、後輩職員と接触をしないよう指導を行ったが、事務職員は応じず、後輩職員は精神的苦痛を訴えた。機構では「パワハラに類する行為があった」とみている。

同機構は外部委員3人を含む懲戒審査委員会を開催し、今年6月14日までに山内機構長が「諭旨免職」とする内容の処分を決定した。この処分には、本人による退職届けの提出が条件だったが期日までに提出がなかったことから29日、「懲戒免職」として本人に通知した。

山内機構長は「加害職員が行った一連の行為は、職員として、また、社会の一員としてあってはならないことです。被害者及び関係の皆さまに深くお詫び申し上げます。機構として、このことを厳粛に受け止め、改めてコンプライアンスの周知徹底を図るとともに、今後、このようなことが起こらないよう、再発防止に努めます」とのコメントを発表した。

洞峰公園も調査対象に 県議会が調査特別委設置

13
県有施設・県出資団体等調査特別委員会の設置が全会一致で可決された31日開会の県議会臨時会

県施設の処分や売却などの方針が次々に打ち出される中、県議会に31日、「県有施設・県出資団体等調査特別委員会」(田山東湖委員長)が設置され、つくば市に無償譲渡が予定されている洞峰公園(同市二の宮)も重点的な調査の対象施設の一つになることが分かった。

田山委員長によると「議会として議決してつくった施設を、売るのに知事の裁量だよというのはおかしいという議論があり」、設置に至った。

重点的に調査を行う施設は、10月にもつくば市に無償譲渡が予定されている洞峰公園のほか、県出資の第3セクターが運営し、県が民間に売却する方針を打ち出した鹿島セントラルホテル(神栖市)、民間譲渡が予定されている白浜少年自然の家(行方市)、里美野外活動センター(常陸太田市)と、県立青少年会館(水戸市)の5施設。

1年ほどかけて調査し県議会としての調査結果をまとめる予定だが、9月議会に条例改正案の提案が予定されている洞峰公園については、委員会として早めに考え方をまとめたいとしている。

洞峰公園について田山委員長は「県の都合で、採算性という点から、地元に相談なく(県は)パークPFIやグランピングを提案した。地元の反対があり、最終的にはつくば市に移譲するというが、そうなると本当の(パークPFIや無償譲渡の)理由は何なのか、グランピングをやろうとしたなら無償譲渡の条件にグランピングを付けないのか、などを審査したい」などと話した。

同調査特別委は、人口減少社会における県有施設の今後の方向性や売却等の処分などの妥当性、県出資団体の事業の在り方、経営改善方策などについて重点的に調査するのが目的。

県有施設については、設置目的や利用状況を再確認の上、売却や譲渡などの処分の妥当性や影響、それへの対応のほか、管理の在り方や今後の対応などについて調査する。

同調査特別委の副委員長は星田弘司氏(いばらき自民党)、メンバ―は15人。第1回委員会は8月2日開催予定。(鈴木宏子)

土浦博物館の論争拒絶 市民研究者が猛反発 《吾妻カガミ》163

73
改修中の土浦市立博物館(左)と市教育委員会が入るウララ2

【コラム・坂本栄】この欄では、158「土浦市立博物館が郷土史論争を拒絶」(5月29日掲載)、159「…市法務が助言」(6月5日掲載)、160「…議論沸騰」(6月19日掲載)で、市民の歴史研究者に対する博物館のおかしな対応について取り上げました。その後、市教育委員会も博物館の「論争拒絶」をかばう姿勢を示したため、この研究者は強く反発しています。

館長面談2回、質問書手交5

郷土史論争の概要や博物館の対応については、上記3コラムの青字部をクリックして読んでください。整理するとこういうことです。

▼誰と誰?:市立博物館の学芸員(主役は中世史家の糸賀茂男館長)VS.郷土史研究者の本堂清氏(広報課長兼市民相談室長や社会教育センター所長も務めた元土浦市職員)

▼主な争点:筑波山系の市北部は古くから「山の荘」と呼ばれていた(本堂氏)VS.そう呼ばれるようになったのは中世以降である(博物館)、「山の荘」は桜川南岸の現つくば市北部を中心とした「方穂荘(かたほのしょう)」の一部だった(博物館)VS.いや「方穂荘」は「山の荘」まで延びていない(本堂氏)

▼接触回数:本堂氏は2年の間に11回も来館し学芸員の業務に支障が生じた(博物館)VS.質問書への文書回答がなく回数が増えたが、この中には館長面談(2回)、単なる質問書手交(5回)も含まれる(本堂氏)

▼論争拒絶:2023年1月30日付最終回答書で「口頭・文書いかなる形式でも今後一切回答しない」と論争拒絶を通告(博物館)VS.市民研究者に対するは博物館の対応は許せない(本堂氏)

「市教育委の課長に脅された」

つまり、博物館は本堂氏の論争スタンスに圧倒され、最終回答書(メモ書きに続く2回目)の中で論争打ち切りを伝えたということです。158では「アカデミックディスビュート(学術論争)を挑む市民をクレーマー(苦情を言う人)と混同するかのような対応」と書きましたが、市民にオープンであるべき博物館の在り方に逆行する対応といえます。

本堂氏によると、7月20日、博物館を監督する教育委員会の担当課長が本堂宅を訪れ、博物館との直接論争を止めるよう説得してきたそうです。「このまま続けたら、私の市職員時代の業績に傷が付くと、脅すような口ぶりだった」。その場で、1月30日付回答書への反論の書を入野浩美教育長に渡すよう頼んだところ、受け取りを拒否されたそうです。

本堂さんのメッセージ

本堂氏は博物館と教育委の姿勢に怒り、掲載写真のような書(清空は雅号)をしたためました。「目は二つ 耳も二つ 口は一つ 反対意見は二度聞くがいい 敵意よりも好意をもって もう一度」と書かれています。市の現文化行政に対するメッセージです。

次は市民窓口と議会文教厚生委

博物館の対応の問題と論争の中味の問題は分けて考えるべきでしょう。前者は対話型論争から博物館と教育委が逃げるという市民サービスの低下に関わる問題であり、後者は歴史解釈の内容に関わる問題(本堂氏は糸賀氏の説は間違いと繰り返し主張)ですから。この際、論争を学術誌の場にも広げ、対話型と紙上型を併走させるのも一案です。

本堂氏は「市民相談窓口を通じて博物館の市民軽視を改めさせ、議会の文教厚生委員会には博物館の市民対応の是非を審議するよう求める」と言っています。この問題、文化施設/文化行政の場から一般行政/市議会の場にエスカレートする?(経済ジャーナリスト)

市民会館の開館で水戸の魅力が倍増《令和楽学ラボ》24

1
大ホールで記念撮影。後列左から2人目が筆者

【コラム・川上美智子】7月2日、水戸市民会館が開館した。東日本大震災により、旧市民会館が被災し、2年7カ月をかけて水戸のど真ん中に建て替えられた。設計は建築家の伊東豊雄氏で、彼の設計の特徴である国内産の杉材を使ったやぐら広場など木造部分が主体となる日本らしさを盛り込んだ現代建築である。

県内唯一のデパートである京成百貨店と磯崎新が設計した水戸芸術館の間の一等地を区画整理して、3つの建物がそれぞれ道路を挟み一体化した形で配置され、辺りの風景は一新した。

県南では、つくば市の人口増加率が全国一と報じられ、若い世代の人口流入が顕著であるが、県都の水戸市は、歴史や文化、千波湖などの自然に恵まれ、買い物などの利便性も高く、とても住みやすいまちである。毎日、水戸と職場のあるつくばを往復して感じるのであるが、どんどん外に広がりまとまりなく膨張するつくばに対し、水戸は集約型のコンパクト・シティーへと発展し続けていて、子どもにも、高齢者にもやさしいまちだということである。

そういうまちの中心に今回、市民会館が建てられたことで、町の魅力が倍増したと思う。特に感心するのは利用料金が驚くほど安いことである。その理由は、市民に手軽に使ってもらえる市民会館でありたいというポリシーが根底にあるからだ。

県内最大の大ホール、500名ほど入る中ホールなどは大人気で、コンサートや公演など土日は来年3月まで空きがない状況である。中でも圧巻なのは、3階まで2000席が設置された大ホールで、舞台空間も驚くほど大きく、オーケストラビットの設置が可能で、音響反射板が水戸の梅を模したカラフルな洒落(しゃれ)たデザインで目を奪われる。

楽器をそろえた音楽室、調理室、工作室、茶室、展示室のほか、誰でも自由に使えるラウンジなど、中学生や高校生が勉強できるスペースも其処此処(そこここ)にある。調理室でお料理を教えたいとか、工作室で陶芸教室が出来るのではないかと夢が広がる。

市民をまちの真ん中に連れ出すことで、市民会館が文化交流やにぎわいの核となり、北関東第一の質の高い文化拠点になること間違いなしである。当初の理念を忘れず、市民中心の市民会館として発展することを期待する。

都市公園の面積は世界第2

水戸の魅力のもう一つは、都市公園の面積がボストンに次ぎ、世界第2位であるという点である。水戸駅からそう遠くない千波湖や逆川周辺に広大な自然が広がり、それらを利用した多くのイベントが年間を通じ行われている。早朝や夜間の千波湖はランニングや散歩する人で大にぎわいである。

毎月配布される水戸の広報誌には様々な市民参加型のイベントが紹介されていて、大会やフェスタなどが目白押しである。また、文化、教養、スポーツの欄には、無料の講座、学習会、映画上映会などの情報がしっかり掲載されている。このような仕掛けを市や団体が活発に行っており、小さな子どもから高齢者まで日々楽しみ、生活できる環境がつくられているのである。

研究機関が集積する科学都市つくばの発展も素晴らしいが、私にとって住み続けたいまちは、やはり水戸である。(みらいのもり保育園長、茨城キリスト教大学名誉教授)

「無償移譲」か「パークPFI」か つくば市民の選択問う洞峰公園説明会

96
洞峰公園の「無償譲渡」について市民に説明する五十嵐市長=筑波新都市記念館

茨城県営の都市公園、洞峰公園(つくば市二の宮)の無償譲渡をつくば市が県から受けることに対する市民説明会が28日、同公園内の筑波新都市記念館で行われた。説明会は、22日に3度開かれたのに続き4度目。会場には40人あまりの市民が訪れ、五十嵐立青市長や県担当者との質疑が交わされた。

参加者からは、グランピング施設建設を伴う従来のパークPFIによる公園管理案か、洞峰公園の無償譲渡のどちらかを受け入れるという、「二者択一」をつくば市民が迫られている現状と、譲渡後にかかる1億5000万円の維持管理費を念頭に「もう少し議論をするべきでは」との疑問が投げかけられた。

五十嵐市長はこれに対し、「様々な話を知事ともしてきた。その中で県は、パークPFIをやるか、無償譲渡をつくば市が受け入れるか、ということになった。事実として二者択一しかなかった」とし、県都市整備課は「我々はパークPFIが最良と判断した。無償譲渡がもうひとつの選択肢。二者択一と考えている」と他の選択肢は考えていないことを改めて強調した。

移管前に県、12カ所の修繕を検討

無償譲渡後の公園管理方法について、市長は「管理の仕方は決定していない」とした上で、「指定管理(者制度)でなく、しばらくは直接業務委託のような形をとる」とし、「その間に(市民や有識者による)協議会でどのような形がいいかよく話し合う。指定管理がいいのか、別の形がいいのか、パークPFIがいいのか、(公園の)一定の方向性を示した上で公募に入っていきたい」との認識を示した。また、これまでにも議題にあげられていた駐車場の拡張については、「満車になるのは週末一定の時間だけ。平日は空きがある」とし、「今の段階で拡張する計画はない」と説明した。

譲渡の際には、今年5月に実施した、公園内の新都市記念館、フィールドハウス、体育館、プールに関する状況調査において「早急な修繕が必要」と判断された外壁や煙突など12カ所について、市への移管前に、県が修繕を検討していることが伝えられた。

その他、参加者からは、「(洞峰公園は)つくばの都市としての公共デザインとして非常に重要。50年の間に成熟したこのデザインを守っていただきたい」などの要望や、「校外学習で現在の洞峰公園の環境を子どもたちに体験させるだけでなく、つくば市の歴史も伝えていくことで、自分の街への愛着をより抱くことができるのでは」「(公園内の)落ち葉を堆肥にしたり、剪定で切り落とした枝を薪にしたりし売ることで管理費の節約につながるのでは」などの意見が挙げられた。

市による説明会はこの日が最終日となる。今後のスケジュールは、8月にアンケート調査を実施し、その結果次第で国、県との必要な協議や、市民や有識者らによる協議会設置の準備に入る予定。9月議会では、県から無償譲渡を受ける条例改正案、予算案を市議会に提出、10月に市に移管になるとした。8月に市が実施するアンケートの設問や方法などはまだ決めてないとした。(柴田大輔)

➡22日の第一回説明会の質疑の概要はこちら

黒い心 《短いおはなし》17

3
イラストは筆者

【ノベル・伊東葎花】
5歳の夏、弟が生まれた。僕は一週間、伯母の家に預けられた。
伯母は古い一軒家に、ひとりで住んでいた。
慣れない家で眠れずにいたら、天井に黒いシミが現れた。
シミはどんどん大きくなり、やがて液体になって僕の額にポトリと落ちた。
悲鳴を上げたら伯母が飛んできて、背中を優しくなでてくれた。
黒いシミが、じわじわと体の中に入る気がした。

母と弟が退院して、僕は家に帰った。
「卓ちゃんは、お兄ちゃんになったのよ」
母はその日から弟の世話ばかりで、僕は甘えることができなくなった。
ある日僕は、心の中で念じてみた。
「弟なんか消えてしまえ」
すると翌日、弟は高熱にうなされて、生死の境をさまよった。
僕は怖くなり、命を取りとめた弟に何度も謝った。

小学生になり、僕は自分の力を確信した。
いじめっ子に「消えてしまえ」と念じたら、翌日交通事故で入院した。
嫌な先生に「消えてしまえ」と念じたら、翌日不祥事を起こして学校をやめた。
宿題が終わらなくて「学校なんか燃えてしまえ」と念じたら、ボヤ騒ぎが起きて3日間休校になった。
僕は自分の心が怖くなって、念じることを一切やめた。

12歳になった夏、母が原因不明の病気で入院した。
僕は弟と一緒に、再び伯母の家に預けられた。
伯母は僕にだけ、異常なほど優しかった。
弟が寝た後、伯母が僕の顔をのぞき込んで言った。
「ねえ卓ちゃん、伯母さんの子供にならない?」
伯母は、嫁いですぐに夫を亡くして子供がいない。寂しいのは分かる。
だけど僕は、すぐに首を横に振った。

「伯母さん、僕はこの家が怖い。だからこの家の子にはならないよ」
僕は、あのシミを見た夜のことや、その後に起きた不思議な力の話を打ち明けた。
「なんだ。卓ちゃんもそうなの。実は伯母さんにも、その力があるのよ」
伯母は、嫁いで間もないころ、僕と同じ経験をしたそうだ。
「でも、卓ちゃんの念はちょっと弱いね。優しい子だから、本当に消すことは出来ないのね。伯母さんの念は強いよ。意地悪な姑(しゅうと)と小姑、ふがいないダンナ、みんな消しちゃった」
伯母はさらりと言った。笑みさえ浮かべている。

「伯母さん、まさかお母さんに何かした?」
「ふふ、卓ちゃんが欲しいって言ったら断られちゃったから、ちょっと嫌がらせ。ねえ卓ちゃん、私がもっと強く念じたら、あんたのお母さん、どうなるかな」
「やめて」
「ねえ卓ちゃん、伯母さんの子になって」
伯母が手首をぎゅっとつかんだ。やめて、痛いよ、やめて。

伯母の手が急に離れたと思ったら、胸を押さえて苦しみだした。
「えっ、伯母さん?」
伯母の呼吸が止まった。僕は念じていない。僕じゃない。

後ろの襖がすうっと開いた。弟が立っていた。
「ぼく、この伯母ちゃんキライ」
弟の額には、黒いシミがべったりと付いていた。(作家)