日曜日, 10月 19, 2025
ホーム ブログ ページ 8

山中たい子氏が立候補を表明 県議補選つくば市区

16
山中たい子氏

知事選と同日の9月7日投開票で行われる県議補選つくば市区(欠員1、告示は8月29日)に、元県議で共産党つくば市委員長の山中たい子氏(73)が31日、同党から立候補すると表明した。同補選には元県議の塚本一也氏(60)=自民=が立候補を表明しており(6月27日付)、2人目となる。

山中氏は「参院選では、物価高や暮らしの大変さ、自民党裏金問題に対する怒りが現れた。自民党県政と正面から対決する共産党の議席を増やして、県民の多様な意見や願いを県政に届け、県民の命と暮らしを守るための県政に変えていきたい」と話す。

つくば市の課題として、県立高校が不足している問題を挙げ「(牛久栄進高校など)一部定員を増やすなどの改革がはかられてきたが、子供たちが増えていることに対する抜本的な対策が示されない」と批判する。県全体の課題としては「東海第2原発は防潮堤の施工不良問題で工事を来年12月まで延長することになったが、原発回帰の政策が推し進められようとしている中、再稼働反対・廃炉を訴える議席を増やさなければならない」などと話す。

その上で公約として①国保税、介護保険料、後期高齢者医療保険料の引き下げなど、暮らしと福祉を守る②児童生徒数増に見合う県立高校新設とクラス増設を進めるなど、教育と子育て政策を推進する③危険な東海第2原発の再稼働をストップし廃炉にするなど、食と農・環境を守るーなどを掲げたいとする。

山中氏は福島県小野町出身、日本大学Ⅱ部法学部新聞学科卒。千葉県商工団体連絡会に勤務。つくば市に転居後、1984年から旧桜村議・つくば市議を4期を務め、2003年から県議を4期を務めた。前回2022年12月の県議選は次点だった。現在、共産党県常任委員などを務める。(鈴木宏子)。

子連れ筑波山《ことばのおはなし》84

1
写真は筆者

【コラム・山口絹記】金曜夜の仕事の帰り道。娘からメールが届いた。今週は忙しかったし、「お疲れ様」的な内容を予想しながら開いてみると、目に入ったのは「明日山登りに行ける?」という文面。ここしばらくの週末は、とんでもなく暑いか天気が悪いかのどちらかだったので、比較的涼しく天気もよさそうな明日はチャンスかもしれない。う~ん、重い体にムチを打ちつつ、「いいよー」と返信する。

翌朝、当然のようにたたき起こされ、寝ぼけまなこで登山用の服に着替えてパッキングを済ませる。今回は上の娘と下の息子を連れて、3人での初登山となった。息子は登山自体が初めてだったが、絶対行くと言って譲らなかった。最悪、途中から背負うことも考えなければならないが、できれば避けたい。ということで、登りはケーブルカー、下山のみのコースにした。

下山が目的であれば、途中で何かあったとき、こどもたちに登頂を諦めさせる必要がなくなるからだ。ある程度経験を積んでも、途中下山の判断をするのは難しいものだ。

先頭をずんずん進んでいく娘と、それに負けじと追いすがる息子。私は最後尾でふたりの様子を見る。すぐに音を上げると思っていた息子は姉への対抗心か、転んでも泣かずに立ち上がっては黙々と歩を進める。

明日は寝坊させてもらう

30分にも満たない外出でも疲れるとすぐに抱っこをせがむ息子が、自分で足場を探りながら山道を歩いている姿は親としてはなかなか感慨深いものがある。上の娘が初めて山登りをしたときは、自分の体に合ったルート取りをするということをしっかり教えなければならなかったのだが、息子は自然とそれができるようだ。

やはりきょうだいと言えど、違う人間なのだと実感する。普段と違う環境で子どもと過ごす価値というのは、こういうところにあるのだろうと思う。

3時間以上かかったが、無事に下山することができた。車のエンジンをかけてバックミラーで後部座席を見やると、お土産を胸に抱いて子どもたちはすでに爆睡している。いつでもどこでも体力がゼロになるまで動き続けられるのはこどもの特権だ。父の体力も限りなくゼロに近いのだが。明日こそ寝坊させてもらおう。それくらいの権利を主張したって許されるとうれしいんだけどな…と父は思うのだ(言語研究者)

TX茨城空港延伸へ活動を継続 7市議会期成同盟

18
あいさつする長島幸男小美玉市議会議長

TX(つくばエクスプレス)の茨城空港延伸を目指す「TX茨城空港延伸議会期成同盟会」の2025年度総会が29日、土浦市内のホテルで開かれ、メンバー7市の議会議長が活動の継続を確認した。現在つくば市止まりのTXをJR土浦駅まで延伸することについては茨城県の方針が決定しているが、さらに茨城空港(小美玉市)まで延伸するかどうかについては将来の検討課題になっている。

期成同盟会は2018年5月に土浦市で発足、それから7年間活動を続けてきた。メンバーに名前を連ねている議会議長は、土浦、石岡、つくば、かすみがうら、行方、鉾田、小美玉(会長市)の7市。この日の総会には、つくば市を除く6市の市長あるいは副市長・市長公室長も参加した。

小美玉市の長島幸男市議会議長はあいさつの中で「土浦方面延伸は県からその構想が発表されているが、空港を取り巻く環境が変化した場合は、次の段階として空港への延伸を議論することになっている」と述べ「沿線開発に伴う交流人口の増加などを促すためにも、空港延伸に向けた運動を引き続き展開する」と、活動の継続を訴えた。

期成同盟会発足の地である土浦市の安藤真理子市長は「今年2月に県から土浦延伸に向けた事業構想が発表され、TX延伸実現に向け一歩踏み出した。延伸で人の流れを常磐線に引き込むことで周辺市の活力を引き出し、県全域に波及させることができる」と、鉄道延伸の経済効果を強調した。

改めて空港延伸を議論

来賓として参加した茨城県の小松英雄政策企画部次長は「開通から20年がたち、TXは首都圏鉄道ネットワークの中で重要な役割を担っている。沿線開発により人口が9万人も増え、企業や商業施設の進出も活発になり、沿線地域の発展に大きく寄与している」とTX効果を総括、「空港延伸については、第3者委員会から『空港を取り巻く状況が変化した時には改めて空港延伸を議論する』との提言をもらっている」と述べた。

県は今月「茨城空港将来ビジョンー首都圏第3の空港を目指して」と題する報告書を発表。この中では「県が推進するTX県内延伸構想に関しては、土浦延伸実現後、空港を取り巻く総合的な状況の変化などを見極めた上で、改めて茨城空港延伸について議論することにしている」「同構想の進捗を注視しながら、将来における空港アクセスの充実について検討していく」と記載されている。

茨城空港の役割として「羽田・成田空港とともに、首都圏第3の空港として、日本の国際・国内空港需要に対応する空港」と、茨城空港の将来を位置付けている。TXを首都圏第3空港への重要なアクセス手段と考えているようだ。(坂本栄)

夏を彩る大型タペストリー 今年もつくば駅前商業施設に展示

0
優秀賞を受賞した日本国際学園大の(左から)生井さんと鈴木さん

つくば駅前の夏を彩る、恒例の大型タペストリー作品展が商業施設トナリエつくばスクエア トナリエMOG1階のプラザ・パフォーマンス・ギャラリーで始まった。展示されるのは、日本国際学園大学の学生がデザインした作品。同大学とつくば都市交通センターが連携して実施している「TUTCタペストリーアートコンペティション」で優秀作品に選ばれたに2作品が、それぞれ約3週間ずつ展示される。

同展は2015年から始まり今年で11年目を迎える。今年は8月につくばエクスプレス(TX)が開業20周年を迎えることから、例年のテーマである「夏を彩る大型タペストリー」に「つくばらしさ」をテーマに加えて作品を募集した。応募のあった7作品から、生井妃萌乃さん(20)の「水鏡」と、鈴木翔斗さん(21)の「ガマと筑波山」が選ばれた。

同大情報デザイン学科3年の生井さんは、湖に映る夏の青空と、筑波山を描いた。筑波山の二つの峰を右上に天地逆さまに描き、大空を舞う鳥と漂う白い雲の姿を、水面の揺らぎとともに鮮やかに表現した。生井さんは「夏の涼しさを幻想的にイメージした作品。選ばれてうれしいし、これほど大きな作品を作ったことはなかったので自信になった」と受賞の喜びを語ると、「大学では、カフェなどお店のチラシやポスターを制作している。将来はデザインを通して自分が作りたいものを届けていきたい」と今後の目標を話した。

同じく情報デザイン学科3年の鈴木翔斗さんが描いたのは、筑波山ロープウェイつつじケ丘駅前にあるガマ大明神だ。2021年に閉館した、三井谷観光が運営していた食堂や物産展、子ども向け遊具を併設した観光施設「ガマランド」の敷地内に今もある高さ約5メートルの大型のガマを描き、下から見上げる大胆な構図が評価された。

鈴木さんは「ガマの迫力が伝わるデザインにしたかった。今回の作品のために改めて筑波山に行ってみると、目の前に広がる自然など筑波山の新たな魅力に気づく機会になった。筑波山にはガマの油売りなど他にはない魅力的なスポットがある。受賞には驚いたが、とてもうれしい。将来はデザインを生かした仕事に就きたい」と語った。

選考委員長を務めたつくば都市交通センター理事長の関俊介さんは「今年はTX開業20周年にちなんでつくばをテーマに設定した。センター地区の交通インフラを支える立場で、つくばを盛り上げ、にぎわいの演出に貢献できればと考えている。応募作品には、夏のイメージにつくばをどう表現するか工夫した作品が多かった。受賞した2作品を通じて、道行く人にもつくばの夏を感じていただきたい」と語った。

日本国際学園大学教授で審査員の高嶋啓さんは「応募作品には、つくばに広がる田んぼや、TXの車両、祭りつくばのねぷたなどがあった。大きくメッセージが入るなど、遊び心を取り入れたユーモアあふれる作品もあった。受賞した作品を通じて、つくばの新たな一面を知ってもらう機会になるとともに、清涼感を感じてもらえたら」と語った。(柴田大輔)

◆「TUTCタペストリーアートコンペティション」優秀賞受賞作品による大型タペストリー展は、つくば市吾妻1-6-1 トナリエつくばスクエア トナリエMOG1階プラザ・パフォーマンス・ギャラリーで9月8日(月)まで開催。生井妃萌乃さんによる「水鏡」は7月28日(月)から8月19日(火)まで、鈴木翔斗さんによる「ガマと筑波山」は8月19日(火)から9月8日(月)まで。入場無料。

子どもを育む居場所、遊び場に期待《令和楽学ラボ》36

10
こども大学の授業風景

【コラム・川上美智子】イオンモールつくば(つくば市稲岡)に全天候型遊び場、「ミライパーク」が整備されたという。気候変動による猛暑が続く夏場は、熱中症アラートが連日のように発せられ、子どもたちが外で遊ぶことはほぼ不可能になった。ちょうど、夏休みに入ったところであるが、子どもたちの声は聞こえず、公園にも道路にも人の姿は見えない。このような全天候型の遊び場が身近にあることは、幼小の子どもの育ちに不可欠なのかもしれない。

日立市では6年前、雨天でも親子で遊べる屋内型子どもの遊び場「Hiタッチらんど・ハレニコ」を駅前(現ヒタチエ・4階)にオープンした。北関東最大と言われる㈱ボーネルンド監修による人気の遊具が整備されており、県内のみならず東京方面からの来場者もあり、本年2月には入場者50万人セレモニーが開催された。筆者が学長を務める特定非営利活動法人(NPO)「子ども大学常陸」が、設立時よりこれに関わり、日立市の指定管理者として運営を行っている。

あそび・まなび場は、安全を確保するため、12歳までの子どもと保護者が一緒に入場するスタイルになっており(13歳以上の未成年も家族と一緒であれば入場可能)、定員250人、90分入れ替え制となっている。ベビーゾーン、ロールプレイゾーン、アクティブゾーン、芝ゾーンには、たくさんのボーネルンドの遊具が整備されている。

日立市の「ハレニコ」内部

また、通路を挟んで無料の子育てサポートエリアと管理エリアがあり、親子遊び、各種講座、一時預かりサービス、相談事業など、保護者が利用できるスペースが設けられていて、子どもたちのうれしそうな声が絶えない。

知的好奇心を刺激し学ぶ楽しさを知る

そもそも子ども大学は、子どもたちに大学レベルの教育を施すために2002年、ドイツの大学で発足し、日本でも2008年にスタートした。子ども大学常陸も、学校とは異なる第2の学び場、体験の場、冒険の場としての役割を果たしたいと、2014年に日立に誕生した。子どもの知的好奇心を刺激し学ぶ楽しさを知ってもらうために、茨城キリスト教大学や茨城大学の教授陣を中心に、ゼミと称して、それぞれの専門性を活かした授業を分かりやすく、実技などの活動を交え、アクティブラーニング形式で進めている。

このほか、設立以来、誰よりも力を注いできた山名芙美理事長の手腕により、日立市や地域の団体、企業と連携して数えきれないほどの事業を実施し、日立市の子育ち・子育て拠点の役割を果たすまでに成長した。

昨年度の事業を見て行くと、ふるさとの歴史を知る「ひたち自然史パンテオン」、「あそびコンシェルジュの設置」、「サッカー大会」、「親子で楽しいリズム」、「パンポン教室」、「日立科学遊び隊の体験イベント」、「おはなし会」、「ライフケア日立連携事業」、「茨城キリスト教大学ゼミ生による無料託児」、「ママの自分時間プロジェクト」、「キラキラワークショップ」、「お誕生日会」、「ハレニコマルシェ」、「ママサロン」、「ハイハイレース」などの自主事業、職場体験、シビックセンター・サクリエ、森の学校、丸善イベント、日立産業祭、パンダフェス、保育園情報交換会、県北ママコミュ等の協力事業などがある。

子どもの安全管理、28人の従業員の労務管理、研修など保育園運営に負けず大変な面があるが、子どものゼロ歳からの学び支援と子育て中の保護者支援として重要な施設であることだけは確かである。つくば市に発足した新施設が、子どもたちの多様な活動の拠点になるよう期待している。(茨城キリスト教大学名誉教授、関彰商事アドバイザー)

土浦の8中学校77人 強豪関彰商事野球部から実技指導受ける

2
関彰商事野球部選手の指導を受けながら打撃データを計測する中学生(手前右)

社会人軟式野球の強豪で国体、天皇杯茨城大会2連覇を果たした関彰商事野球部による野球教室と合同練習会が27日、J:COMスタジアム土浦で催され、土浦市の地域クラブ「ブルーオ―シャン」に所属する8つの中学校の中学生77人が二つのグループに分かれ指導を受けた。

守備の指導を受ける中学生

熱中症対策として午前8時に開会式を行い、キャッチボール、バッティング、ポジション別練習などを実施した。弾道計測器など最新機器を使ったデータ計測も行われ、一人一人の打球速度、打球角度、打球飛距離を計測した。投手は投球スピードの測定を行った。

走塁練習の指導を受ける中学生たち

フリー打撃では、最初に関彰商事の選手がバッティングを行いスタンドに打球を叩き込むと、子供たちから大きな歓声と拍手が響いた。

バッティングの手本を見せる関彰商事の選手(右)

球場内にある室内スペースでは、けがの予防、動きを良くする股関節のストレッチ指導も行われた。

打撃指導を受ける中学生

関彰商事の藤井楽監督は「野球を楽しんでやってほしい。みんなの成長を期待している。高校、大学、プロで活躍を祈っている。頑張って欲しい」と今後の成長に期待を寄せた。飯田涼太主将(都和中学校出身)は「いろんな子供たちと触れ合えて楽しかった。技術の指導は顧問の先生に任せて軽くアドバイスして基本的なことを教えた。中学生から野球を始めた子供もいるのでまだまだ成長段階、伸びしろはある」などと話した。

打撃のアドバイスをする関彰商事の飯田涼太主将(中央)

参加した新治学園義務教育学校8年(中2)の岩瀬健心さんは「楽しかった。ためになることを多く学んだので9月から始まる新人戦に生かしていきたい」と話し、土浦ニ中1年の東洸祐さんは「日頃練習出来ないこと、学習出来ないことを選手が分かりやすく教えて下さって、一人一人に合ったトレーニングを教えてくれたので、これから野球をやっていく中で、学んだことを練習や試合に生かしたい。次は自分たちが学んだことを後輩たちに教えてつなげられるようにしたい。新人戦では市内で優勝して県南、県大会に出場してみんなで協力して優勝したい」と抱負を語った。(高橋浩一)

野球教室に参加した土浦市内の中学生と関彰商事野球部の選手たち

与党・既存政党が敗けた参院選で思うこと《文京町便り》42

7
土浦藩校・郁文館の門=同市文京町

【コラム・原田博夫】7月20日が投開票だった第27回参議院議員通常選挙は、自民・公明の与党が予防的に低めに設定した勝敗ライン50にも届かず、与党の敗北が明白になった。とりわけ鮮烈なのは、参政党の大躍進である。

2020年3月に政治団体として届け出、同年4月に結党されたばかりの参政党は、第26回参議院議員通常選挙(2022年7月)で比例区1議席(神谷宗幣)を獲得でき、比例区5人(いずれも落選)の得票で約3.3%(176万票)を獲得して政党要件2%を上回り、政党交付金の支給対象となった。

第50回衆議院議員総選挙(2024年10月)で小選挙区に85人・比例代表に10人の候補者を擁立し、小選挙区では全員落選するも、南関東・近畿(比例復活)・九州の3ブロックで1議席ずつ獲得した。さらに認知度を高めた上での第27回参議院議員通常選挙である。選挙区7名・比例7名の計14名の当選で、非改選1名を加えると、15名の参議院議員に至った。立派な国政政党である。

今回の選挙結果からは、与党(自民、公明)の低迷・退潮、新興政党(参政党、国民民主、維新、れいわ、保守、みらいなど)の躍進に加えて、立憲・共産・社民など、いわゆる伝統的左派(リベラル系)政党の不振も明らかだ。

この背景には、⑴現下の物価高騰との対比での手取りの伸び悩み・生活の窮迫感、⑵ワンイシューの新興政党に、全方位型の与党の支持基盤が浸食されたこと、⑶インターネットやSNSなどへの依存度の高い若い世代(10代~40代)には新興政党への親近感が高かったこと、⑷21世紀に入ってから重視されるようになった(外国人との融和、LGBTや選択的夫婦別姓の導入・推進など)ポリティカル・コレクトネスへの人びとの心理的な躊躇(ちゅうちょ)などがあった―とする分析がある。

小選挙区と大選挙区の混在は問題

私はこの際、選挙制度に関する2点を付言しておきたい。第1は、衆議院と参議院で採用されている選挙制度にねじれのあることである。

衆議院議員は定数465人で、うち289人が小選挙区選出議員、176人が比例代表選出議員である。小選挙区の区割りは国勢調査人口に基づき最長10年ごとに見直される。比例代表は(都道府県域よりも広域の)全国11ブロックから選出される。候補者は小選挙区と比例代表の重複立候補が可能で、小選挙区で落選しても比例代表で復活当選が可能になる。

対して、参議院の定数は248人、うち100人が比例代表選出議員、148人が選挙区選出議員で、3年毎に半数の改選がある。比例代表選出は全国を一つの選挙区にしているが、選挙区選出は都道府県ごとの45選挙区(合区が2つある)で選出される。人口の多い都道府県では複数の議員が選ばれる大選挙区制、人口の少ない県では一人の議員を選ぶ小選挙区制が採用されている。

本来、民意に忠実であるべき衆議院では小選挙区が、良識の府であるべき参議院では大選挙区制が採用されるべきであるにもかかわらず、現職議員に過度に配慮して両制度が混在し、しかも組み合わせは逆の方向にねじれている。この大いなる矛盾を、そのままに放置している21世紀の日本人の政治的無神経さを疑う。

第2に、細かな点だが、投票の際の立憲民主党と国民民主党の政党略称は、分党以来いずれも「民主党」である。事後的に案分してもらうそうだが、これは国民に対して不謹慎ではないか。次回の国政選挙からは改めてもらいたい。(専修大学名誉教授)

雌と雄の特徴備えたカブトムシ つくば市内で発見

3
展示されている雌雄モザイクのカブトムシ

27日まで 豊里ゆかりの森で展示

雌と雄の特徴を備えた「雌雄モザイク」のカブトムシがつくば市内で発見され、27日まで同市遠東の市豊里ゆかりの森昆虫館で生きたまま展示されている。発見したのは、同市東光台で寿司屋を営む小倉秀正さん(51)。今月15日夜、市内数カ所にカブトムシを採りに行き、翌日仕分けをした際に分かった。数万匹に1匹の珍しいものだという。

体長は約5センチで、前足の形や背中の表面にうぶ毛が生えている雌の特徴と、頭角と胸角を備えている雄の特徴を同時に持つ。細胞分裂の異常や、性染色体の脱落などが原因で起こるといわれ、子孫は残せない。19日から27日まで同館で展示し、その後はく製にして再展示する予定だ。

発見した小倉さんは、目の赤いカブトムシの繁殖も行っており、普段からたくさんのカブトムシを見ている観察眼が発見につながった。今後は地域産のレアなカブトムシで地域活性化を行いたいそうだ。

昆虫館で生きたまま展示されているミヤマクワガタを見せる豊里ゆかりの森職員の山本雄一朗さん

豊里ゆかりの森の山本雄一朗さん(38)は「雌雄モザイクは一生のうちに一度ぐらいしか見られない珍しいもの、展示している間に是非見にきてもらいたい」と話し、「昆虫館では生きているミヤマクワガタを展示しているなど、数を増やし、充実した内容になってきた。今後は子供向けの講座なども考えているので、期待してほしい」と来館を呼び掛ける。

カブトムシは土の中で半年以上過ごし成虫になってからの寿命は1~3カ月ぐらいと言われる。成虫はクヌギやコナラの樹液を好み集まる。ゆかりの森(12ヘクタール)のクヌギ林でもカブトムシが観察でき、昆虫採取もできる。(榎田智司)

夏の夜に里山で開かれる饗宴《宍塚の里山》126

4
ニイニイゼミの羽化

【コラム・森本信生私たち「宍塚の自然と歴史の会」では、宍塚の里山を舞台にして、さまざまな観察会を開催しています。毎月第1日曜日(原則)には、専門家を招いた「テーマ別観察会」が開かれます。植物、野鳥、昆虫に加え、粘菌、プランクトン、種と実、きのこ、モグラ、遺跡など、多岐にわたるテーマで自然の魅力を探ります。

また、季節の移り変わりを体感できる「土曜観察会」は、毎週土曜日の午前中に実施。子どもたちには、遊びや体験も取り入れた「子ども探偵団」も用意しています。

ユニークなのが「夜の観察会」です。夜になると、昼間はひっそりと静かにしていた生き物たちが闇の中でうごめき、まるで別世界のような光景が広がります。春はカエル、夏は昆虫、秋は鳴く虫をテーマに、昼間とは全く異なる夜の里山に分け入ります。

ニイニイゼミの羽化

7月21日に行われた夜の観察会では、セミの羽化が圧巻でした。夕方、長い年月を土の中で過ごした幼虫たちが一斉に地上へ這い出してきます。今の時期に多いのはニイニイゼミ。成虫の大きさは20~24ミリ程度と小さく目立ちませんが、その鳴き声は特徴的で、梅雨明けと夏の訪れを感じさせてくれます。

ニイニイゼミの幼虫は、殻のまわりが泥で覆われているため、見分けやすいのが特徴です。水分の多い土を好むことや、体の表面に泥がつきやすい性質があるのかもしれません。幼虫はゆっくりと木を登り、背中が割れ、殻から抜け出し、今にも落ちそうなほどに背中を反らせ成虫が姿を現します。そして、徐々に羽の模様が現れます。

羽化の瞬間は、まさに生命の神秘を感じさせますが、同時に外敵に狙われやすい、最も危険な時でもあります。4年もの歳月を経てようやく地上に出てきた幼虫が、バッタの仲間であるウマオイにガチガチと食べられてしまう無残な場面にも遭遇しました。自然の美しさと同時に、その厳しさも痛感させられます。

ホタルといえば、水辺で成虫が飛び交うゲンジボタルやヘイケボタルを思い浮かべる方が多いと思いますが、陸生で幼虫の時に光るホタルも存在します。懐中電灯を消して雑木林の闇に身を置くと、木々の間に神秘的な青い光が点滅しているのが見られ、幻想的な気分に包まれます。

観察会では、宍塚大池の堤防に明かりを灯し、光に集まってくる虫たちの観察も行いました。夜の空気に溶け込むように虫たちの息づかいを感じることができます。

カラスウリの花びら

秋になると赤く熟すカラスウリの実。その花は、夏の夜にレースのような白い花びらを開き、翌朝にはしぼんでしまいます。闇夜に白く浮かび上がるその姿は、一夜限りの、まさに“夏の饗宴”と呼ぶにふさわしい光景です。

日中の暑さが厳しいこの時期、昼間の外出はためらわれるかもしれませんが、夏の夜には、静けさと神秘に満ちた別世界が里山に広がっています。夕涼みがてら、宍塚の里山に足を運んでみてはいかがでしょうか。(宍塚の自然と歴史の会 理事)

霞ケ浦、準決勝で力尽きる【高校野球茨城’25】

4
3回表霞ケ浦2死二塁、大石の適時打で荒木洸史朗が生還

第107回全国高校野球選手権茨城大会は25日、ノーブルホームスタジアム水戸で準決勝2試合が行われた。第2試合では霞ケ浦が2-7で明秀日立に敗れ、土浦つくば勢はトーナメントから姿を消した。

25日 準決勝 第2試合 ノーブルホーム水戸
霞 ケ 浦  001010000 2
明秀日立 22000111× 7

3回表霞ケ浦2死二塁、大石が左前へ適時打を放つ

霞ケ浦は序盤の4失点が最後まで重く響いた。先発の三浦颯介が初回4四死球と1安打で2点を失い、2回にも中前打と中堅への三塁打でさらに1点を失ったところで降板。「序盤からボールが上ずってコントロールできなかった。決まったときは相手を押せていただけにとても悔しいし、3年生に申し訳ない。来年はもっと力強い球を投げられるようになりたい」と三浦。

霞ケ浦の先発、三浦

高橋祐二監督によると1年生投手三浦の先発起用は、前日まで悩み抜いた結果だという。「市村(才樹)であと2つ勝ちたいが、さすがに18回は頼れない。いままで先発を任せてきた稲山(幸汰)も調子がいま一つ。三浦は今大会初登板だが、3回頑張ってくれればと思い、子どもたちにも相談して起用を決めた」

ところが皮肉にもこの日の市村は良かった。三浦に代わってマウンドに上がると、6回まで明秀日立打線を散発2安打に抑えた。「プレッシャーはなくチャレンジ精神で行った。春に負けている相手だが意識し過ぎず、力を抜いた結果がいいピッチングにつながった」と市村。

2回途中からマウンドに上がった市村

後は点を取るだけだが、6回を除く毎回走者を出しながら、なかなか思うように得点に結びつかない。4回は2死満塁としたが村上聖が二ゴロに倒れ、5回は無死満塁の好機にも、奪ったのは暴投による1点だけだった。

5回表霞ケ浦無死満塁、相手投手の暴投で三走・鹿又嵩翔が生還

特に5回途中から登板した相手の3人目投手、中岡誠志郎を打ちあぐねた。投球モーション中に足をぶらぶらと振り子のように振ったり、上手にクイックモーションを使ったりして、タイミングを狂わされた。

すると市村にも暑さの影響などが見えてくる。6回の失点はエラーと内野ゴロによるものだったが、7回は2安打と暴投、8回は4安打でそれぞれ1点ずつを許した。

8回裏明秀日立1死満塁、霞ケ浦が遊ゴロからのダブルプレーでピンチを脱する

7回表の霞ケ浦にはこの試合3度目の満塁のチャンスが訪れた。まず大石健斗が四球を選び、代打・大橋泰祥の左前打に敵失がからみ1死二・三塁、だが西野結太が見逃し三振、片見優太朗が四球で満塁。ここで原道仁志が代打に立ったが、内野フライに倒れた。

「打ちたい気持ちが先行し、ボール球を振ってしまう場面が目立った」と高橋監督。「特に5回のチャンスが惜しかった。一度追い付いていれば市村ももっと元気を出せた。6回くらいまではボールのキレ、精度とも今季一番だった」と悔やんだ。(池田充雄)

霞ケ浦の応援席

常総学院、準決勝で敗れる【高校野球茨城’25】

0
相手校歌を聞き涙を流す常総学院の選手たち

今大会、優勝候補筆頭の常総学院が準決勝で敗れた。第107回全国高校野球選手権茨城大会は25日、ノーブルホーム水戸で準決勝2試合が行われ、常総学院は藤代に2ー4で敗れた。

25日 準決勝 第1試合 ノーブルホーム水戸
常総学院 100000010 2
藤  代 10102000× 4

常総学院はここまでの4戦全てコールド勝ちと、圧倒的な強さで勝ち進んできた。藤代は23日の準々決勝で、茨城大会では47年振りに完全試合を達成したプロ注目の水戸啓明の最速右腕、中山優人を打ち崩し準決勝に挑んだ。

1回1死2塁で常総学院の佐藤剛希がレフト前へ先制のタイムリーヒットを放つ

常総学院は初回に藤代先発のエース斉藤駿介から、先頭の浜崎怜央がセンター前ヒットで出塁。「いつも通りのスイングで低めの直球を振り抜いた」と浜崎。続く渡辺康太がバントで送り、1死2塁で佐藤剛希がレフト前へタイムリーヒットを放ち先制する。

1回佐藤剛希希のタイムリーで生還する浜崎怜央

その裏藤代も、常総学院先発のエース小澤頼人の立ち上がりを攻め、2本のヒットで1死1、3塁とすると、佐々木陸大がレフト前へタイムリーヒットを放ち同点に追いつく。

小澤は今大会初めて失点を許すと、3回には2死後永野快飛にライトオーバーのスリーベースヒット、石岡遼清にレフトへタイムリーヒットを打たれ2−1と逆転され藤代が勝ち越した。

先発したエース小澤頼人

5回、常総学院は浜崎のヒットで出塁すると、渡辺が四球を選び、1死1、2塁のチャンス。しかし続く佐藤剛希がピッチャーランナーで、2塁走者浜崎が飛び出しアウト。チャンスを逃した。

8回1死3塁で小澤頼人がライトへ犠牲フライを放つ

その裏藤代は2点を追加し突き放す。反撃に出たい常総学院は8回1死から柳光璃青がスリーベースヒットで出塁すると、小澤頼人がライトへの犠牲フライで1点を返すものの、9回は水口煌太朗、荒沼暖人と、有川志裕に代わる代打柴田隼里が倒れ、4年ぶりの決勝進出はかなわなかった。

8回小澤頼人の犠牲フライで柳光璃青が生還

藤代は春の大会準決勝で常総学院に敗れたリベンジを果たし、今大会ここまでわずか1失点だった常総学院から9安打、4得点を挙げた。優勝した2014年以来の決勝進出となる。

先発した常総学院の小澤頼人は「調子は悪くなかったが最後の決め球が甘く入ってしまった。辛いこともあったが仲間たちと支えあって出来た。最高の仲間たちだった」と常総学院での野球生活を振り返った。浜崎怜央主将は「初回に先制したが自分たちのペースにもっていけなかった。内容は悪く無かったし力は出し切った。藤代とは春に対戦し苦手意識は無かったが、(藤代先発の)斉藤駿介にしっかりコースを決められた」と話した。

試合終了後ベンチに引き上げる常総学院の選手たち

島田直也監督は「チャンスをものにした藤代の執念が強かった。小澤は最後まで小澤らしいピッチングをしてくれたし悪い球は投げていなかった。今日の試合は紙一重だったがツキがなかった。今年のチームは昨年よりは力がないチームだった。正直ここまで出来るとは思ってなかったが、浜崎主将の、何とかしたいという必死さを感じた試合結果で、高校野球を見せてもらった。負けたのは自分のせいで選手は力を出せた」と涙ぐんで話した。(高橋浩一)

安否確認適切に実施せず つくば市委託の宅配弁当業者 高齢者、自宅で死亡

31
つくば市役所

つくば市は25日、高齢者の安否確認を主目的に同市が実施している「高齢者宅配食事サービス事業」で、委託業者が16日、適切に安否確認をしなかったと発表した。高齢者はその日の夜、自宅で死亡しているのが確認された。

弁当を自宅に届け高齢者から応答がなかった場合、委託業者の配達員はただちに会社に連絡し、会社は高齢者本人と緊急連絡先の親族などに連絡することが市の安否確認対応マニュアルで義務付けられている。しかし配達員はただちに会社に連絡しなかった。

市高齢福祉課によると、宅配業者の配達員は16日午後1時20分ごろ、市内の一人暮らしの高齢者宅に弁当を届けたが、インターホンを押しても、電話をしても応答がなかった。配達員はその日の午後4時ごろまで計5回、高齢者に電話連絡したが、応答がなく、職場に戻ってから会社に報告した。

一方、同日、高齢者と連絡がとれないことを不審に思った親族が、高齢者の子供に連絡し、同日午後8時30分ごろ、子供が高齢者の自宅を訪れたところ、玄関のドアノブに弁当が掛けられていた。子供が玄関のかぎを開けると内側にチェーンロックが掛けられ、すべての窓が施錠されていた。子供は警察に通報、その後レスキュー隊が駆け付け、室内に入り、洗面所に倒れている高齢者を発見した。

警察の検死の結果、死亡推定時刻は16日午前中で、死因の特定には至らなかった。高齢者は軽度の認知機能障害があったが、健康状態は良好で、かかりつけ医の定期的な診察を受けていたという。

事態を受けて市は委託業者に対し、経緯報告書と改善計画書の提出を求めたほか、再発防止のため業務委託仕様書と安否確認マニュアルの再確認と、事業の主目的である安否確認を徹底するよう指導したとしている。業者からは経緯報告書と改計画書が提出された。

高齢者宅配食事サービス事業は、安否確認や健康保持を目的に、買い物や調理が困難な高齢者に、希望する日に弁当を手渡す事業で、現在、市内の高齢者約130人が登録し、1日平均50人が利用している。弁当は1食650円で、一般の高齢者は400円で利用でき、差額の250円を市が負担している。宅配事業は土浦市に事業所がある1社が受託している。

視覚障害者の歩行誘導マットなど体験 関彰商事のアスリート社員2選手

0
視覚障害者の屋内用歩行誘導マットを体験する山口凌河選手=つくば市二の宮、関彰商事つくばオフィス

車椅子やベビーカーも引っ掛かりなく

関彰商事のアスリート社員でパラリンピック日本代表の山口凌河選手(28)と高橋利恵子選手(27)が23日、大阪のゴム部品メーカーが開発した屋内用 視覚障害者歩行誘導マットなどを、つくば市二の宮の関彰商事つくばオフィスで体験した。高橋選手は「視覚障害者向けの製品がさらに進化していることを知ることができた」などと感想を話した。

2人は視覚に障害があるパラリンピック競技「ゴールボール」の選手で、山口さんは東京パラリンピック日本代表、高橋さんは東京とパリパラリンピック日本代表を務めた。高橋さんは東京パラリンピックで銅メダルを獲得した。体験会には山口選手を応援しているノンフィクション作家の小松成美さんも駆けつけた。

体験した誘導マットはゴム製で表面は平らで柔らかく、車いすやベビーカーなどが行き来しても引っ掛かりなく通行できるのが特徴。視覚障害者は床と誘導マットの材質の質感の違いを足の裏や白杖で感じながら歩くことが出来る。

誘導マットは縦横30センチ、厚さ5ミリ。床面に1枚ずつ両面テープで貼り付けて目的地まで誘導する

錦城護謨(きんじょうごむ、大阪府八尾市、太田泰造社長)が開発した。緑内障を患う男性が通院先の病院に、トイレまで点字ブロックを設置してほしいと頼んだ際、医師から、病院内はストレッチャーや点滴スタンド、車椅子などが行き交うので障害になってしまうと言われたことがきっかけという。他の医療・福祉機器の移動の邪魔にならない誘導ブロックとして開発された。両面テープで簡単に設置できる。

多目的トイレの床に設置できるトイレ誘導ライン

ほかに、多目的トイレの床に設置して便座や洗面台まで誘導するトイレ誘導ライン、視覚障害者がかばんに入れて持ち歩き、必要な時に必要な場所に貼る歩行テープが紹介され、それぞれ体験した。

かばんに入れて持ち歩き、必要な時に必要な場所に貼る「歩行テープ」を手にとって感触を確かめる(左から)高橋利恵子選手と山口凌河選手

多目的トイレの誘導ラインについて山口選手は「多目的トイレの中は配置がわからず、ほとんど使ったことが無かった。誘導ラインがあれば自分も使えると思う」と話し、高橋選手は「多目的トイレを使う場合は、まずトイレ内を時計回りに一周して確認していた」などと話した。

自分で持ち歩き必要な時に貼る歩行テープについて高橋選手は「歩行テープはいろいろなところで使いたい。例えば新幹線でトイレに行く際、自分の座席の目印に通路の床に貼るなどの使い方ができると思うが、社会の理解も同時に広がっていってくれれば」などと話した。

山口選手と高橋選手は今年2月、靴に装着して目的地を足の振動で案内する視覚障害者向け歩行ナビを体験した(2月25日付)。体験会の様子を発信した関彰商事のSNSを見た錦城護謨から山口選手に自社製品も体験してほしいと連絡があり、錦城護謨は日本ゴールボール協会のオフィシャルサプライヤー、関彰商事は同協会のオフィシャルサポーターを務めている縁から、社会貢献活動の一環として関彰商事が体験会を開いた。(鈴木宏子)

残業少ない・休暇取りやすい… つくばのソフト会社 ユースエール認定企業に

0
ハローワーク土浦の今野義勝所長から認定通知書を受け取るSmart Solutionsのプレーヴェ・ティル社長(左)=つくば市千現

市内2社目

残業が少ない、休暇が取りやすい、離職率が低いーなど、若者の採用に積極的で雇用環境が整った中小企業を厚生労働大臣が認定する「ユースエール認定企業」に、新たにつくば市千現のソフトウェア開発会社、Smart Solutions(スマート・ソリューションズ、プレーヴェ・ティル社長)が認定され、24日ハローワーク土浦の今野義勝所長から認定通知書が手渡された。

市内の認定企業は、2018年12月に県内で4番目に認定されたソフトウェア開発会社、ペンギンシステム(同市千現、仁衡琢磨社長)に次いで2社目。

認定基準は、正社員の平均残業時間が月20時間以下、有給休暇の取得日数が年平均10日以上、直近3年間の新卒者の離職率が20%以下など。

認定されると、ハローワークの支援拠点などで積極的にPRしてもらえたり、認定企業限定の就職面接会に参加したりできる。自社の商品や広告に認定マークを使用できるほか、総合評価入札を行う行政機関で加点評価などを受けることもできる。

同認定制度は若者雇用促進法に基づいて2015年10月にスタートした。県内の認定企業は28社目になる。

ティル社長によると同社は、従業員が始業時間や終業時間を自由に決めることができるフレックスタイム制で、自分で日々の労働時間を調整できるという。ティル社長は「全員がエンジニアなので、残業して長く働くより、睡眠時間をとって、どう解決するかやいいアイデアを出す方が大事」だという。同社技術営業部の中津留高広さんは「若い人を採用したいと会社のホームページで社員を募集していたが、2021年から3年間は採用できなかった。(6月17日に)ユースエール認定企業に認定されたことをきっかけにハローワークを通じてすぐに応募があり新卒者を採用することができた。こんなにすぐに注目してもらえるとは思わなかった」と話す。(鈴木宏子)

周辺地区商店街でチャレンジショップを つくば市がビジネスプランコンテスト

1
昨年度のビジネスプランコンテストで選ばれ、吉沼地区に出店した(左から)原田まゆみさん 鷲尾祥規さん 藤田真一さん

新規出店や新規事業の立ち上げを目指す個人や団体を対象につくば市は、周辺地区商店街の空き店舗などで一定期間、チャレンジショップを出店するためのビジネスプランコンテストを開催する。

選ばれた人は同市吉沼と北条地区で、準備から運営まで行政や伴走者のサポートを受けながら、実際に実店舗の開業と運営を体験できる。独自性や話題性のある出店者を選出するという。ビジネスプランの募集は8月29日まで。

チャレンジショップ事業は、急速に発展する同市の中心市街地などから離れた周辺地区の振興と、新規事業の立ち上げ支援などを目的に2022年から実施している。

出店場所は、同市吉沼の商店街にある「吉沼まちかどテラス」と、北条にあるレンタルスペースの一角を利用した「北条イリアイテラス」の2カ所。業種としては小売業とサービス業を募集し、吉沼は飲食業も可能。利用料は月額1万円。

運営費として15万円の補助を受けることができるほか、行政や伴走者がSNSや市の広報などでPRしてくれ知名度アップを図ることができる。昨年度は、店舗レイアウトのアドバイスや、市役所内での出張販売によるPR支援を受けたほか、チャレンジショップ終了後は5月開催のつくばフェスティバルに出店などした。

審査スケジュールは、書類審査とプレゼンテーションによる最終審査があり、実際に出店が始まるのは10月からとなる。審査に当たるのはアオニサイファーム代表で市議の青木しんやさん、いなりとお赤飯ろはん店主の川渕明日香さん、中小企業診断士でビズシアの高橋寛さん、中小企業診断士でいろどり経営デザイン代表の赤田彩乃さんの4人。

体験後は実店舗やキッチンカーで

昨年度、北条地区に出店した和田紗智さん

昨年度は10人の応募があり4人が選ばれた。吉沼に出店したのは▽カフェ「WASHI no COFFEE」の鷲尾祥規さん▽ベーグル専門店「Dot.Begel」藤田真一さん▽絵本専門店「3Po Books」の原田まゆみさんの3人。北条に出店したのは▽ドライフラワーなどの雑貨店「curly flower shop」の和田紗智さんだ。鷲尾さんは現在同市みどりの東、藤田さんは牛久市で実店舗を経営している。原田さんは車で移動式図書館を運営している。和田さんはつくば市酒丸で実店舗を経営している。

鷲尾さんは「元々実店舗を持つのが夢で、実際に店舗を持つ前にチャレンジしたかった」と述べる。

市周辺市街地振興課の吉田未来さんは「ビジネスコンテストに参加された方には好評で、実店舗での営業体験が大変良かったという声も聞いている。これからは地域の協議会などともうまく橋渡しが出来たら良い」と話す。(榎田智司)

◆ビジネスプランコンテストの問い合わせは、運営事務局のセキショウキャリアプラス(電話029-860-5080、メールcs_tsukuba@sekisho-career.co.jp)へ。

霞ケ浦 つくば秀英に昨秋の借り返す【高校野球茨城’25】

2
5回表霞ケ浦無死三塁、荒木の適時二塁打で羽生が生還、チームの祝福を受ける

第107回全国高校野球選手権茨城大会は23日、2球場で準々決勝4試合が行われた。J:COMスタジアム土浦の第2試合では霞ケ浦が9-3の大差でつくば秀英を破り、準決勝へ駒を進めた。

23日 準々決勝 第2試合 J:COMスタジアム土浦
霞 ケ 浦 001022031 9
つくば秀英 100101000 3

霞ケ浦は初回のピンチを最少失点で乗り切り、尻上がりに調子を上げた。つくば秀英はエース中郷泰臣の後を任せられる投手がいなかった。

2回表、つくば秀英の先発・中郷(右)が、霞ケ浦の攻撃を打者3人で退けベンチへ戻る

1回表、霞ケ浦は1番・荒木洸史朗が右前打で出塁し、死球と敵失で1死三塁とするが、5番・花内晴紀の一ゴロで荒木が本塁封殺され好機を失った。1回裏、つくば秀英は1番・芦谷響が初球を中越えの三塁打、2番・吉田侑真が四球で無死一・三塁、3番・知久燿は遊ゴロでダブルプレーとなるが、その間に芦谷が生還し1点を先制した。

4回表霞ケ浦1死一塁、ライナーを捕球したつくば秀英の二塁手が一塁に送球、走者・西野結太が封殺される。一塁手・知久燿

「序盤のチャンスに得点できず、その裏に1点を取られ相手のペースになった。だがあせらず1点ずつ取り返していこうと、自分たちの野球ができた結果が、今日の勝利につながった」と霞ケ浦の鹿又嵩翔主将。

追撃のチャンスは3回表。先頭の荒木が四球で出塁し二盗、これが捕手のけん制悪送球を誘い三進、4番・大石健斗の中前打で生還し同点とした。

霞ケ浦の先発、稲山

だが4回裏、霞ケ浦の先発・稲山幸汰は、3連打を浴び1点を失ったところで早くも降板。1死一・二塁の場面でマウンドに立ったのはエース市村才樹。この後9回1死まで打者19人に対し奪三振5、被安打3、失点1の好投を見せる。

4回途中からマウンドに上がった霞ケ浦の市村

このとき市村と共にグラウンドに出て右翼の守備についたのが羽生伯。打順は9番に入った。今季恒例の交替パターンだが、意外な好循環をもたらした。羽生は4打数4安打、うち3本が長打で2打点を挙げる活躍。そして次打者の1番荒木はこの日3打数3安打2打点、四球も2つ選んで出塁率は100%。この9・1番のコンビが試合後半の大量点の源泉となった。

4回裏つくば秀英無死、知久が右翼へ長打を放つが、霞ケ浦の中継プレーにより三塁で刺殺される。三塁手・村上聖(左)

例えば5回表の攻撃、先頭の羽生が初球を中越えの三塁打。次打者の荒木も初球を左中間の二塁打で羽生が生還。その後、鹿又の右前打で荒木も生還した。「途中から出て、勝ちたい気持ちで全力でバットを振った。荒木につなげば決めてくれると信頼し、つなぐことだけを考えて打った」と羽生。「1死三塁で最低でも犠牲フライが必要な場面、初球からしっかり振れ、チームに貢献できる打撃ができた」と荒木。

これで霞ケ浦は、昨年の秋大会決勝でつくば秀英に敗れたリベンジを果たすことができた。次戦、準決勝の相手は明秀日立。今年の春大会で8回コールド負けの屈辱を味わったチームだ。鹿又主将は「挑戦者の気持ちで挑み、自分たちのペースで守備から流れを作って、さらに上へつなげていきたい」と、次のリベンジに向けて意気込む。(池田充雄)

常総 全てコールド勝ちで準決勝へ【高校野球茨城’25】

0
2回、常総の浜崎怜央がタイムリースリーベースを放つ

3試合で50得点

第107回全国高校野球選手権茨城大会は23日、準々決勝4試合が行われた。JCOMスタジアム土浦では常総学院が東洋大牛久を7回コールド9ー0で破り、準決勝進出を決めた。常総はこれで今大会、全てコールド勝ち。ここまで爆発的な打撃力を見せつけ3試合で50得点を挙げた。

23日 準々決勝 第1試合 J:COMスタジアム土浦
常 総 学 院 0503001 9
東洋大牛久 0000000 0

常総学院は今大会、投打がかみ合い、投手陣もわずか失点1に抑えている。東洋大牛久も4回戦で緑岡を延長タイブレークの末6ー5と接戦を制して勢いに乗る。

常総学院は2回1死後に吉岡基喜が死球で出塁すると、横山義賢がライトへツーベースを放ち1死2、3塁とチャンスを広げる。続く水口煌太朗は、東洋大牛久の先発佃大地のチェンジアップに食らいつき、レフトへ先制のタイムリーツーベースを放ち2点を先制。「自分がランナーを返す気持ちで打席に入った」と水口。

2回1死2、3塁で水口煌太朗が先制タイムリーツーベースを放つ

さらに有川志裕の四球後に、浜崎怜央が直球を右中間にタイムリーツーベースを放ち2点を追加。浜崎は「気負うことなく積極的に打ちにいった」 と振り返る。次の渡辺康太は四球を選び1死1、3塁、続く佐藤剛希はベンチからのサイン通り、しっかりスクイズを決めた。常総はこの回に一挙5点を取り、試合の主導権をつかんだ。「プレッシャーはあったが決まって良かった」と渡辺。

4回には1死1、2塁から佐藤剛希、柳光璃青、小澤頼人の3者連続タイムリーで3点を追加。7回には浜口怜央がこの試合2本目のタイムリーでさらに1点を追加し、9ー0と東洋大牛久を大きく突き放した。

常総学院先発のエース小澤頼人は、初回はテンポ良く短い球数で打者を3人で抑え、2回目以降も直球、スライダー、カーブを主体に東洋大牛久打線を6回まで1安打に抑えた。

先発した小澤頼人

7回は2番手箕輪蒼が2死1、3塁のピンチを迎えるが、最後は稲葉康介をファーストゴロに打ち取り、準決勝進出を決めた。

2番手の箕輪蒼

常総学院の島田直也監督は「初回のチャンスに点が取れなかったが、その裏に小澤がしっかり3人で抑えてくれた。2回の5点で流れが来て、こっちのペースで出来た。準決勝でもやることをしっかりやれば結果はついて来る。1試合、1試合に集中してやっていく」と語った。

5点目となるスクイズを決めた佐藤剛希は「次の藤代には、春は勝っているが夏は関係ない。また一からやっていき一戦必勝で勝つ」と気合を込めた。 3打点を上げた浜崎令央主将は「声を掛け合ってベンチワークもしっかり出来ている。次の準決勝でもしっかり力を出し切る」と力強く語った。

常総学院は9年振りの優勝まであと2勝となった。次は、春の大会3位の藤代と、25日ノーブルホーム水戸で対戦する。(高橋浩一)

猛暑の中熱い声援を送る常総の応援団

4人に1人がかかる脂肪肝 専門医が市民講座 東京医科大茨城医療センター

1
東京医科大茨城医療センターの池上正副院長(中央)

世界肝炎デーに合わせ日本肝臓学会

日本人の4人に1人以上が罹患しているとされる「脂肪肝」を知るための市民講座が、8月2日、阿見町の東京医科大茨城医療センターで開かれる。世界肝炎デー(7月28日)に合わせて、日本肝臓学会が肝臓がん撲滅を目指して企画した。講座には、肝疾患診療連携拠点病院に指定されている東京医科大学茨城医療センターと日立製作所日立総合病院から5人の専門医が登壇し、病気の基礎知識や予防法を解説する。会場では参加者20人を対象に、超音波を使い肝臓の硬さや脂肪量を測定できる「フィブロスキャン」の無料体験会も開かれる。

今回の企画を担当する同センター副院長の池上正さん(62)は「脂肪肝は20代や30代の若年層にも一定数の患者がいる。肝臓がんの原因にもなりうる病気で、自覚症状が少なく、まだ治療薬がない。正しい知識に基づく予防が大切になる。早い段階で生活習慣を改善するためにも、病気について知ってもらう機会になれば」と話す。

食生活と体質 肝臓がん増加を危惧

脂肪肝は、肝臓に脂肪が過剰に蓄積し、臓器全体がふくれあがる病気だ。放置すると慢性肝炎や肝硬変、さらには肝臓がんに進行する危険がある。男性は30代から、女性は閉経を迎える40代から50代で増加傾向にある。国内の罹患者は約3000万人とされ、将来的に、肝臓がん患者のさらなる増加が予想されると、池上さんは危惧する。

かつて肝臓がんの主な原因は、B型、C型肝炎などのウィルス性肝炎だったが、現在は薬の開発により、ウィルス性肝炎による肝臓がん患者は大幅に減少した。一方で、脂肪肝から進行する肝臓がんは増加している。池上さんはその要因として「西洋化する食生活」と「日本人の体質」を挙げ「お酒を飲まない人でも脂肪肝になることは珍しくない。日本人を含むアジア人は内臓に脂肪をためやすい体質であり、アメリカ人とかヨーロッパ人に比べて脂肪肝により肝臓が悪くなりやすい傾向がある。さらに運動不足など生活習慣の乱れがリスクを高めている」と指摘する。

身長と体重の関係から肥満度を表すボディマス指数(BMI)は22のときに生活習慣病のリスクが最も低いとされるが、日本人は数値が23でも脂肪肝になる例があるという。予防に欠かせないのは、正しい知識を身につけること。「脂肪肝は肥満や糖尿病との関連も深く、生活習慣病の一つとも言える。適切な食事と運動で脂肪を消費することが大切。急激なダイエットは逆に肝臓に脂肪を溜める原因になる」

同医療センターは、厚労省が定める肝疾患診療連携拠点病院として、専門的な医療の提供とともに、医療情報の発信や専門家ネットワークの構築に取り組んできた。

「今回の講座では、さまざまな専門家が集まり多様な角度からこの病気について取り上げたいと思っている。10歳から12歳で脂肪肝になる例もあり、できるだけ早い対策が大切になる。夏休みを利用し、親子での参加もお待ちしています」と呼び掛ける。(柴田大輔)

◆日本肝臓学会 肝がん撲滅運動 市民公開講座「どうする?脂肪肝」は、8月2日(土)午後1時30分から午後4時まで、東京医科大茨城医療センター医療・福祉研究センター(阿見町中央3-20-1)で開催。参加費無料。申し込みは専用サイトから。問い合わせは医療センター総務課の若松さん(代表029-887-1161)へ。

スーパーシティ実証街区へ 開発事業者を公募 つくば駅近く公務員宿舎跡地

18
樹木が茂る国家公務員住宅跡地の吾妻2丁目の70街区=つくば駅近く

スーパーシティに指定されたつくば市が、最先端技術を実証する街区とすることを目指しているつくば駅近くの同市吾妻2丁目、国家公務員宿舎跡地の70(ななまる)街区約5.7ヘクタールについて、土地所有者の財務省関東財務局とつくば市は22日、開発事業者の公募を同日開始したと発表した。

公募方法は、スーパーシティの取り組みの青写真をまとめた「つくばス―パ―サイエンスシティ構想」を実現する新しい街とするなどの開発条件をあらかじめ設定し、入札参加者から企画提案を受け付ける。さらに国が設置する審査委員会で企画提案を審査の上、審査通過者による価格競争で落札者を決める。「二段階一般競争入札」という方式で、落札者は同街区の国有地約5.4ヘクタールと市有地約0.3ヘクタールの売却を受ける。

企画提案書の提出期限は来年2月2日。同3月24日に企画提案書のプレゼンテーションを実施し、同5月22日に入札する予定。落札した企業などは土地取得から7年以内に民間資金などで工事を完了する。

スーパーシティ実装センターを整備

街区内にイノベーション拠点と中高層マンションを配置するなどが想定されている。22日明らかにされた開発条件は、街区内に「スーパーシティ実装センター」を設置し、先端技術を使ったサービスを実証したり提供する事業者などが入居するオフィスを12室以上整備して、街区内の様々な施設と連携して最先端技術の実装の場とする。同センター内には、研究者や企業、市民が交流したり、くつろいだりできるスペースを整備する。街区内の各施設、テナント、オフィス、住民などが先端技術の実証に参加するような仕掛けをつくる。街区全体で二酸化炭素排出量実質ゼロを目指すなど。

住宅については、分譲マンションなどだけでなく、多様なターゲットを想定した間取りの賃貸住宅を100戸以上整備する。分譲住宅を500戸以上つくる場合は20%以上を賃貸住宅などにする。吾妻小学校と隣接していることから建物は小学校の敷地に極力影を落とさない。戸建て住宅をつくる場合は歩行者が車両と交差しないよう工夫する。小学校側の通りに車が集中しないようにする。幹線道路沿いは中高木を主体とした植栽帯を設け、公園やペデストリアンデッキに面した部分は緑地にするなど緑の連続性を確保するなどが条件となっている。

ほかに、駅前のにぎわいをつくる商業・サービス施設を配置し、物販及び飲食の床面積は1500平方メートルを超えるものとする、ペデストリアンデッキ側に商業施設などの出入り口を設置する、近隣住民などが利用する放課後児童クラブまたは地域子育て支援拠点を整備するーなど。

70街区の売却をめぐっては、2021年に関東財務局が同市と共同で民間企業の意向調査(サウンディング調査)を実施(21年10月26日付)。7事業者から提案があり、採算性の観点から厳しい意見も出された(22年3月22日付)。22年8月には市による市民説明会が開かれ、五十嵐立青市長は70街区の開発イメージについて「例えばマンションや商業施設、イノベーション拠点、クリニックなどがあって、マンションに住む方は(街区内の)商業施設のものはスマホで注文ができ、ドローンでベランダまで運んでくれるというようなサービスや、完全自動運転のモビリティが動いて、移動が不自由な方でも自動運転で移動していける。健康状況とか心拍などを提供すると自分に合った食事メニューが届くなど、そういうことを複合的にやる場所にしたい」(22年8月4日付)などと説明している。

サウンディング調査や市民説明会から開発事業者の公募まで3年かかった理由について市学園地区市街地振興課は「国と市とで開発条件の協議調整などを行い時間がかかった」などとしている。(鈴木宏子)

つくばの街づくりを考える《水戸っぽの眼》3

34
つくば市竹園の商業施設デイズタウン。地下階へもダイレクトに行くことができるこの建物はつくば駅周辺で最も雑居的と言えるだろう

【コラム・沼田誠】つくばセンター地区では、週末よくイベントが行われている。整った空間に人が集まり、音が響く。しかし、ふと平日の何もない夜に歩くと、そこにあるのは、ガランとした広場、急ぎ通り過ぎる人、そしてムクドリよけの不快な音である。

全国各地で「にぎわいづくり」「活性化」が叫ばれている。しかし、何をもって「活性化」とするかは曖昧で、結局イベントによって歩行者通行量を増やすことに落ち着く場合が多い。だが、催事で人を呼び込めても、それが「街に関わる人」を育てるわけではない。にぎわいが誘致されたものであるうちは、終わった瞬間に人も空気も消えてしまう。

水戸で「街には“雑居”が必要ではないか」という議論を仲間たちとしたことがある。雑居とは、さまざまな用途や人が同じ空間に入り込み、入れ替わりながら共存している状態のこと。飲み屋の隣に美容室があり、近くからは三味線の音が聞こえる。地元の高齢者と移住者がカウンターで隣り合い、時に混じる。そうした「入り乱れ」が、街のにぎわいを日常に根づかせていく。

では、つくば駅周辺はどうだろうか

近年マンション建設が進み、居住者も増えている。にもかかわらず、デッキに面した店舗が入れ替わるなど、にぎわいが定着しているとは必ずしも言えない。これは単に「人口が少ないから」ではない。人はいるのに、街との関係性が薄いのだ。

その背景には、通勤や買い物を郊外で済ませる生活習慣とともに、駅前空間が「用がある人」向けに整備され、「なんとなく歩きたくなる」「ふらっと寄りたくなる」余白が少ない、ということもあるのではないか。あるいは、余白をつくる取り組みも、建物や特定の人の中だけで完結すれば、エリアとしての広がりは生まれない。

実際に、徒歩数分圏内で商売をする人たちからは「声が掛からない」「どう関わればいいか分からない」との声も聞いている。

これは、声の拾い方の問題ではないか

行政が市民の声を聞こうとする際、商店会やNPOなど組織化された団体を通すことが多い。その方が制度や予算とも接続させやすいからだ。しかし街を支えているのは、そうした団体に属さない個人の営みであることが少なくない。常連との会話の中に、街の課題と可能性が詰まっている。記録に残らない、だが確かな「地の声」がそこにある。

だからこそ、「耳を使う」姿勢が必要

職員が意識的に街を使い、街の一部として過ごす。仕事終わりに一杯飲みに行き会話する。マルシェやイベントに来場者として足を運び、主催者や出展者と話を交わす。そうした日常の中で、声は自然と耳に入ってくる。それは単なる「親しみやすさ」ではなく、現場感覚を持った政策形成の、最も確かな土台となる。

そうした小さな積み重ねが、“雑居の土壌”を耕し、つくばセンター地区をにぎわいのある街へと育てていくのではないだろうか(そうした職員を見つけたら大事にしてあげてほしい)。(元水戸市みとの魅力発信課長)