土曜日, 4月 5, 2025
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「努力続ければ夢かなう」 11カ国35人が卒業 日本つくば国際語学院

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卒業式後、卒業生と職員が記念写真を撮った=つくば市小野崎、つくば山水亭

つくば市松代の日本語学校「日本つくば国際語学院」(東郷治久理事長)の卒業式が7日、隣接の同市小野崎、料亭「つくば山水亭」で開かれ、青い角帽とガウンを身につけた今年度の卒業生35人が式典に臨んだ。35人の出身国は全11カ国で、最多の中国が11人、ネパール9人、モンゴル4人、ミャンマー3人、スリランカ2人、韓国、イラン、タイ、マレーシア、ベトナム、米国がそれぞれ1人。

式典で卒業生を代表して答辞を述べた中国出身の包諾敏(バォ・ナォミン)さん(31)は「学校生活を通じて日本語だけでなく、日本の文化や礼儀、考え方を身に付けられた。来たばかりの頃は授業についていけなかったり、アルバイト先での困難もあったりした。しかし困難を乗り越えることで自信がつき、前に進めることに気づいた。何事も諦めずに努力する力を身につけることこそが、留学の意義」だと学生生活を振り返り、「努力を続ければきっと夢をかなえられる。自分自身を誇りに思えるよう、頑張りましょう」と後輩たちにエールを送った。卒業後は神奈川県内にある歯科衛生士の専門学校に進学することが決まっている。

卒業生を代表して答辞を述べる包諾敏(バォ・ナォミン)さん

在校生を代表して送辞を読んだミャンマー出身のトゥラ・ミョー・ウィンさんは、時折手元のメモに目を落としながらも、終始前を見据えて「毎日勉強をし、アルバイトをしながら学校へ通う生活は大変なもの。先輩たちには学校だけでなく、アルバイトでも助けてもらった。大変なことも助け合いながら乗り越えることができた」と感謝の気持ちを語った。

あいさつに立った東郷理事長は「日本に来て辛い時、苦しい時に支えてくれたのは、隣にいる仲間や先生たち。皆さんは1人で日本に来ましたが、今は1人ではない。仲間や先生は、日本に来てから得た、最も大きな財産。これからも大切にしてください。そして、日本へ留学しようと決意した気持ちを忘れずに、迷ったり、悩んだりした時に、その気持ちを思い出してほしい」と言葉を送った。

東郷理事長から卒業証書を受け取る卒業生

同学院によると、卒業生を含む今年度の在校生は160人で、来年度は前期・後期合わせて約60人の入学が予定されている。学生数の増加により、今年度2室増やした教室を、来年度さらに2室増やす。

出入国在留管理庁によると、2024年6月末時点の在留外国人数は358万8956人。前年末から5.2%増え、過去最高を更新している。また、日本学生支援機構の調査によると、2023年5月1日時点の外国人留学生数は27万9274人で、前年度から20.8%の増加となっている。留学生数の多い国・地域は、中国が11万5493人(対前年度比11.2%増)、ネパールが3万7878人(対前年度比56.2%増)、ベトナムが3万6339人(対前年比2.8%減)。(柴田大輔)

牛久栄進高の志願増と竹園高の学級増《竹林亭日乗》26

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少し雪がかぶった筑波山(写真は筆者)

【コラム・片岡英明】つくば市内の県立高校不足に土浦一高の定員削減が重なり、つくばの受験生と保護者の不安が高まっている。つくば市からの進学者が多い土浦一高、竹園高、土浦二高、牛久栄進高への志願数を調べた。

牛久栄進の志願者が激増

今年は土浦一高4学級化の2年目。高校入試で何が起きているかを、2024年と25年の志願先変更前の志願者数で調べてみる。

削減1年目の昨年、土浦一高への志願者は222人(定員160)となり、志願先変更で208人(前年比75人減)となった。この土浦一高の定員削減のあおりを受け、土浦二高志願者が430人(定員320)、竹園高435人(定員320人)と、両校に100人以上オーバーの波がきた。

2年目の今年はどうか。土浦二高と竹園高は昨年の100人以上オーバーで難校化、今年の受験生は牛久栄進高に497人(定員360)の波となって現れた。志願先変更で466人となったが、106人の定員オーバーである。

31人という志願先変更の多さには心が痛む。多くの方に、これら生徒、保護者、教師の苦労を感じてほしい。

心配なのは、削減1年目に土浦二高と竹園高、2年目に牛久栄進高に向かった受験生の波が、3年目はどこに向かうのかだ。その受け皿として、改革が始まったつくばサイエンス高校と筑波高校に期待している。つくば市内の両高の魅力アップは地域の発展にも重要で、私たちも応援したい。

しかし、中卒生が激増し、6人に1人しか市内の県立高校に入学していないつくば市で、それだけでは不十分である。

24年からの受験生の大波は、つくばエリアの県立高校不足と土浦一高の定員削減によって生まれた波と考えている。その波の性格に注目し、大人は受験生が安心して学べる入試環境を用意する必要がある。

竹園高に2学級増を

TX沿線開発で人口と子どもが増えているつくばエリアに、県立高校新設が必要なのは明らかである。県も牛久栄進高1学級増や市内3校のうち2校で対応(サイエンス高の普通科設置、筑波高の進学クラス設置)しているが、生徒増に追いつかない。そのため、生徒と保護者の期待は竹園高に向かっている。

県は2019年の高校改革プランで、当時のつくばエリアの57学級(中等4学級を含む)を、26年までに59学級にすると発表した。

25年入試では58学級だが、その1学級増は水海道一高付属中からの内進枠である。一般の高校受験枠は改革プラン実施後も53学級のままで、増加していない。この点でも学級増の必要性は高い。県はTX沿線への高校新設を検討しつつ、26年から竹園高に2学級増やし、昨年から起きた受験生の波を受けとめてほしい。

つくば市も、竹園高学級増のために校舎建設の協力を表明している。1月の県教育委員会との懇談では、県も独自の調査で校舎増設が可能であると述べた。条件は整ったと思う。今年の受験生の波を受け止め、竹園高の学級増で小中学生と保護者の希望に応えてほしい。(元高校教師、つくば市の小中学生の高校進学を考える会代表)

未払いの特殊勤務手当て 17人、延べ700日分に つくば市生活保護業務

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つくば市役所

昨年末に計19万円支払う

市職員から指摘を受け、つくば市が昨年5月に明らかにした市社会福祉課職員に対する特殊勤務手当てと残業代(時間外勤務手当て)未払いのうち(2024年5月9日付)、生活保護業務に従事する職員の特殊勤務手当てについて、市は昨年末、未払い分を請求できる過去3年間にさかのぼって、職員17人に同手当て計19万1675円を支払った。同手当ては1日当たり275円で、3年間で延べ697日分が未払いだった。支払いが遅れたことによる遅延損害金(遅延利息)について5日、市議会2月定例会議本会議に専決処分の追加提案があり分かった。

市人事課によると、昨年末に支払った特殊勤務手当ては、2021年1月~24年3月まで3年3カ月分で、昨年12月26日付で支払われた。遅延損害金は17人のうち、受け取りを希望した6人に計5403円が今月4日に支払われた。

一方、未払いの残業代については、2024年4月~10月の7カ月分について、職員18人に対し計197万5111円が昨年2月21日にすでに支払われているという。延べ何時間分が未払いだったかについて市人事課は「計算してない」としている。残業代についても過去3年間にさかのぼって支払う予定だが、残りの支払いについては現在精査中だとし、支払い日などは現時点で未定。4日は、すでに支払われている197万5111円の遅延損害金について、18人のうち受け取りを希望した5人に計1万6054円が支払われた。

損害遅延金は、特殊勤務手当てと残業代未払分合わせて2万1457円で、いずれも人事課の予算から流用したという。

特殊勤務手当ての未払いは2024年2月、残業代の未払いはさらに半年前の23年9月、市社会福祉課職員から指摘があり判明した。特殊勤務手当て未払いの原因について市社会福祉課は、各職員で業務の解釈が異なっていたことが原因だったとした。残業代未払いの原因については、当時の管理職が、できるだけ申請しないよう不適切な指導を行い、職員が申請しにくい状況になっていたとし、監督責任から、五十嵐立青市長が給料を2カ月間10%、副市長2人が1カ月間10%減給した。さらに不適切な指導をした管理職に対し処分を実施するとしているが、処分はこれからという。

市は加えて、社会福祉課以外にも同様の未払いがないか全庁的に調査を実施するとし、全庁的調査は昨年6~7月に、管理職の不適切な労務管理について、実名を名乗ることを条件に全庁的に実施された。実名で回答した職員にヒヤリングが実施され、新たに分かった社会福祉課以外の未払いについても今後、未払い額の調査を実施するとしている。

今回、特殊勤務手当て支払いの対象となった職員の一人は「時間外手当て未払いの方は3年分が支払われて初めて全容が分かると思うが、なぜ未払いが発生したのか、どうして支払いが遅れたのか、遅れたことによる遅延損害金の発生や、責任がどこにあるかなどが明らかになってほしい」とし「遅延損害金は不適切な労務管理や支払い手続き事務の遅延の結果であり、一時的にせよ市民に負担をかけてしまったことは一職員としてはひじょうに心苦しい」と話している。(鈴木宏子)

次世代育成や社会実装目指す サイバーダイン、台湾の大学などと提携

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戦略的パートナーシップを締結した(左から)輔仁大学附属病院の劉宏輝副院長、台湾バイオテクノロジー開発センターの黃千岳副執行長、輔仁大学の藍易振学長、サイバーダインの山海嘉之社長、筑波大学サイバニクス研究センターの黒田嘉宏センター長

医療用の装着型ロボット、HAL(ハル)を開発、販売する筑波大発ベンチャー「サイバーダイン」(つくば市学園南、社長・山海嘉之筑波大教授)と台湾の研究機関、大学など5者は4日、戦略的パートナーシップの提携を結んだ。同社が開発する、医療とロボット工学、情報技術などを融合したサイバニクス医療技術を台湾に展開すると共に、共同研究や教育プログラムなどを通じて次世代の専門家の育成やイノベーションの創出、社会実装につなげたいとする。

5者はサイバーダインと、山海社長が籍を置く筑波大学サイバニクス研究センターのほか、台湾バイオテクノロジー開発センター、輔仁大学、輔仁大学附属病院。サイバーダイン本社で調印式が開かれ、山海社長をはじめ、各機関の代表者らが出席した。

今後5者は共同で、バイオ・医療系テクノロジーとAI、ロボット、情報系テクノロジーを融合した技術を活用し、日台における医療・ヘルスケアサービスの向上を目指していくとし、脳神経・筋系の機能改善、機能再生を促進する装着型サイボーグ HALを用いた治療や、日常的にメディカル・ヘルスケアデータを収集・解析・AI処理する技術を台湾で展開し、社会実装を目指す。

台湾からの関係者(左)に製品の説明をするサイバーダインのスタッフ

サイバーダインは、筑波大サイバニクス研究センター長の山海教授が2004年に立ち上げたベンチャー企業で、同氏が開発した、人が体を動かそうとする際に脳が発する微弱な電気信号をセンターが読み取り動作を補助する動作支援ロボット HALを国内外に展開している。HALは、人間の皮膚につけたセンサーが感知する電気信号を、内蔵コンピューターが解析し、足や腰、腕などに着けた補助装置のモーターを作動させることで人の動作を助けるものだ。事故や病気、高齢などにより自力で動かすことができなくなった身体部位に対しする機能回復にもつながるという。

社会課題解決策、新たな輸出産業に

同社は近年、開発した技術の海外展開に力を入れており、2024年12月にはマレーシア政府系機関と7億円規模のサイバニクス製品導入契約を結び、同国に建設される東南アジア最大級のリハビリ施設「国立神経ロボット・サイバニクス・リハビリテーションセンター」に、異なる3タイプのHAL 65台を納入した。また、昨年11月には、国際協力機構(JICA)によるウクライナ復興支援の一環として、ロシアによる軍事侵攻が続く同国で負傷した市民らの機能回復訓練を目的に、HALを46台納入すると発表している。

山海社長は海外活動について「新しい領域の開拓は非常に重要」であるとし、「日本が直面する社会課題には、高齢化など世界に先んじていることがある。社会課題の解決は、税金を使い公的機関が取り組んできた分野。しかし、社会の変化が加速する中で、公的機関の力だけでは全てをカバーできない難しい状況が生まれている。課題解決のためには新しい経済のサイクルを発想しなければいけない。日本の経験を生かした解決方法をつくり出し、各国と相互に情報共有しながら社会変革をスピードアップしていけるよう、まずはアジアから開拓している」と話す。

今回の台湾とのパートナーシップ協定締結については「台湾も高齢化が進む国の一つ。日本でつくり上げてきた技術が、高齢化により台湾で起きている課題に直接介入し、支援できるような構造をつくることで、台湾の中の高齢化問題の解決にもつなげていきたいと考えている」とし、「早い段階で、社会課題の解決策を産業として各国の社会に導入することで、それが日本にとっての輸出産業に仕上げていくことができる。日本が世界に貢献できる新たな取り組みにしたい」考えを述べた。(柴田大輔)

音楽に包まれて《ことばのおはなし》79

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写真は筆者

【コラム・山口絹記】先日、久しぶりに学生時代の友人のライブに行った。学生時代、私はなぜだかクラシックギターをやっていたのだが、当時ジャズサークルでやかましいドラムを叩いていた同期の彼に「クリスマスに爆音で大学のチャペルをぶっ壊したいんだけど、一緒に演奏しない?」と声をかけられて以来の付き合いである。

クラシックギターをやっている人間に対する誘い文句ではないと思うのだが、たぶん何も考えていなかったのだろう。私も何も考えずに生きているからこそ承知したわけで、人のことは言えない。

ライブに行くと、毎度会場でDJを担当しているのも学生時代から付き合いの友人だ。なぜ毎回いるのだろう。暇ではないと思うのだが、毎回いるので、もしかしたら本当は暇なのかもしれないが、そんなことはどうでもよい(コラム42に登場する2人である)。

芯まで響くバスドラに、サックスとギター、ベースの音が乗って、頭がピリピリする。やかましくもどこか変わらない音に身を包まれながら目をつむると、途端に自分が今どこにいるのかわからなくなる。

発破をかけてくれる音

音楽に限らず、何かをずっと続けて、日々進化し続ける意思というのは尊い。どれだけ洗練されようと、そうした精神には何かずっと変わらないものが宿るのだと思う。そんな音にあてられると、ふわふわとした日常の不確かな自己の座標なんて簡単に吹き飛ばされてしまう。初めてその音を体験した日に連れてかれてしまう。

何もかもが簡単に過ぎ去り変わっていく日々の中で、本当に変わらないものというのは、実は常に前進し続けるものだけなのだと私は考えている。停滞すれば、歩みを止めれば風化が始まる。変わってしまう。

たぶん私は、定期的にそんな音に発破をかけて欲しくて、あの音を浴びに行くのだと思う。(言語研究者)

主語がコロコロと変わっていく《続・気軽にSOS》159

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【コラム・浅井和幸】問題を解決するには、目的を決め、現在の状況を把握し、今できる一歩を考えて実行することが大切です。会議でも1対1の相談でも、問題解決につながらずに話が堂々巡りをしてしまうことが多々あります。現状の把握はとても大切な要素のひとつですが、これができないひとつの要因に主語がどんどん移り変わっていくことがあります。

会議や相談で話を進めていくうちに、あれ?今誰の話をしているのですか?と、私は聞き返すことが多々あります。Aさんという男性からBさんという女性が嫌がらせを受けていると、Bさんが相談してきたとします。

Aさんから、どのような状況で、いつ、どのような嫌がらせをされたか聞いているうちに、ちょっと話が飛んでいるように私が感じて、「あれっ? それはAさんがそのような嫌がらせをしてきたのですか?」と質問すると、「いえAさんの話ではなく、男性とはそのような嫌がらせをするものです」と、男性全体の話に代わっていたり、Aさんではなく全く別の人の話になっていたりするという相談の流れもしばしばあります。

これでは、Aさんに対してどのような態度をとればよいかとか、それがAさんに対応するように職場の上司にどのように相談を持っていけばよいかという動きから外れていくものです。もちろん、人というものは理路整然と全ての話を組み立てて話すことはできるはずもないし、問題解決のための考え方というものは思っているよりも難しいものです。

ですが、それだけではなく自分にも言いたくないやましいところがあり、それを意識的、無意識的に避けるために起こることもあります。話が飛んだり矛盾が生じたり、現状を正確に聞き取ろうとすると、何でそのようなことまで聞かれるのだと怒りが湧くこともあるでしょう。

君子危うきに近づかず

人は完璧に振る舞えるわけではないので、嫌がらせをされたら自分も相手に嫌がらせで返してしまうことも当然あります。ですが、それも含めて、実際にどのようなやり取りがあって、どのような関係性で、どのような状態に持っていきたいかと、現状と目的を共有したほうが問題解決のためのアプローチがしやすいのは当然のことです。

それだけではなく、問題解決をするのに、自分が何か対応を今までと変えることは自分が悪者のように言われているようで、釈然としないので避けたいという感覚になることもあるでしょう。これは一般的に悪者が変わるべきであって、善人である自分が言動を変えることはおかしいという思い込みに縛られているからです。

もらい事故が多い人は、自分が交通ルールを守っているのだから何も自分は変える必要はないと、かたくなに思い込んでいる可能性があります。運転がうまく事故が少ない人は、危ない運転をしている車などは避ける行動をとります。

時には「君子危うきに近づかず」という考えが功を奏することもあることを理解しましょう。あくまで自分の人生の主人公は自分自身であり、自分が一番動かしやすいゲーム盤上の駒であるというイメージを持つとよいかもしれません。(精神保健福祉士)

遺骨を取り違え 別の遺族が収骨 つくば市営火葬場

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つくばメモリアルホール=つくば市玉取

つくば市は4日、同市玉取の市営火葬場「つくばメモリアルホール」で1日午後、火葬場の職員が、火葬した遺骨を取り違え、別の遺族に収骨させたと発表した。収骨がほぼ終わった段階で、遺族が台車に付いている名札が違うのに気づき収骨を中断。職員が骨壺から元に戻して、本来の遺族が収骨をやり直した。同メモリアルホールで遺骨を取り違える事故が起きたのは初めて。

メモリアルホールによると、1日は午後2時ごろから2人の火葬が執り行われた。1人の火葬が終わり、午後3時20分ごろ、火葬委託業者の職員が火葬を終えた遺骨を、遺族が骨壺に収める収骨室に移動した際に、本来の部屋とは別の収骨室に運び、待合室で待っていた別の遺族を呼んで収骨させた。

遺骨を運ぶ台車と収骨室にはいずれも名札が付いており、メモリアルホールのマニュアルでは、両方の名札を確認をすることが定められていたが、遺骨を運んだ職員が確認を怠った。火葬した遺骨は家族が収骨する前に、職員2~3人が収骨室に入って整えるが、整えた職員も名札の確認を怠ったため取り違えに気付かず、ミスが重なったことが原因だとしている。

メモリアルホールと委託業者の責任者は両家に対し謝罪。市は委託業者に対し、マニュアルに定められた確認作業を徹底するよう強く要請したとしている。

五十嵐立青市長は「ご遺族様にとって最期のお別れである収骨において重大な事故を起こしてしまい深くお詫びします。今後このようなことが決してないよう、委託業者に対し適正な運営を指導し、市としてもさらに緊張感をもって施設運営に取り組みます」とするコメントを発表した。

「蛇」とつきあうコツ《くずかごの唄》147

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イラストは筆者

【コラム・奧井登美子】 

「おめえら、赤か?」

「赤?…アカではありません。ピンクの人はいるかも知れませんが」

「赤のやつら、なんでも反対しやがる」

「市民運動の説明にあがったのですが…すみません」

「霞が浦の浄化なんて、偉そうなこと言いやがって…」

「失礼します」

1947年、医師の佐賀純一先生が「土浦の自然を守る会」を創立した。事務所は佐賀医院。主なメンバーは先生に誘われた医師会の人たち。土浦協同病院に勤務していた田谷利光先生は農薬にも詳しく、散布時の事故などについて発表してくださった。

土浦市内にある高校の教師たちも参加。植物の後藤直和先生のほか、動物、魚類などの専門性を生かして市民に教えてくださった。当時、土浦の水道水処理は未熟で、アオコの臭いがしたり、色が付いていたりして、市民の不安は大きかった。飲食店も困っていたらしく、飲食店組合の組合長もメンバーだった。

県会議員とは見解が違う

今考えると、市内のすごい人材をよくぞ集めてくださったと思う。毎週木曜日に佐賀医院に集まって、「霞が浦の水の浄化」についてものすごい議論をし、市民にも読んでもらえるように文書を残している。頭脳集団の方々は仕事が忙しいので、我々主婦がその文書を持って回り、一般市民、市会議員、県会議員の方々の反応を確かめる。

「おめえら、アカか?」といきなり聞かれて、「ああ、この人は蛇だ。まともな話はしない方がいい。私は蛇に巻かれたふりをして逃げるしかない」。そう判断する。

政治家の中には「政治屋さんゴッコ」をしている人もいることがわかった。「誰と誰にあいさつしたか?」と、県議の名前を挙げて確かめる人も多い。うっかり巻き込まれたら、時間がいくらあっても足りなくなってしまう。「県会議員さんとは、見解(けんかい)が違います」と言いたいところを、ガマン、ガマン。

「〇〇先生のところには、友達の✕✕が行っていると思いますので、私は失礼します」。蛇に巻かれたフリをして帰る。蛇さんと付き合うコツ(前回コラム)を知っていたおかげで、霞ケ浦水質浄化の運動を市民の間に定着できたと思う。(随筆家、薬剤師) 

土浦小町がパトレイバーとコラボ そば焼酎を限定販売

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ラベルに、タイプ-J9 グリフォンがデザインされたそば焼酎と化粧箱

アニメ「機動警察パトレイバー」の聖地、土浦市で、アニメに登場するキャラクターを化粧箱とラベルにデザインしたそば焼酎「土浦小町 パトレイバー版」(720ミリリットル、税込み4000円)が3日から、市内3カ所で限定120本販売されている。

デザインされているのは、アニメの舞台、土浦研究所で開発されたという設定の悪役、グリフォン(タイプ-J9)の左向き上半身で、作品のキャラクターデザイナー、高田明美さんがかき下ろした。

昨年12月20日、パトレイバーのデザインマンホールカード配布に合わせて、JA水郷つくばの農産物直売所、サンフレッシュ土浦店で、グリフォンがラベルにデザインされた30本を限定販売したところ即日完売。今回は第2弾として、ラベルと同じデザインが施された化粧箱入りを120本販売する。4月以降、さらにバージョンアップさせ、限定30本を同市のふるさと納税の返礼品とする計画もある。

焼酎は土浦産常陸秋そばを原料にし2021年から販売する。市農業公社が企画、明利酒類(水戸市)が製造し、そばの産地、同市新治地区に残る小野小町伝説から「土浦小町」という商品名を付け、通常は1500円で販売している(21年12月30日付)。小町とパトレイバーがコラボする今回は、市農業公社と市観光協会が販売する。

同市は2022年1月に初めてパトレイバーの企画展(22年1月13日付)を開催、その後、パトレイバーのデザインマンホールカードを制作し配布したり、マンホール蓋をパトレイバーのデザインに変えるなど(22年5月28日付23年3月24日)、コラボ事業による土浦市のPRや来訪者の市内回遊と消費拡大などに取り組んでいる。昨年は夏祭り「土浦キララまつり」に合わせて、同アニメの実写版映画に登場した高さ10メートルの実物大ロボットが立ち上がるデッキアップイベントを開催するなどしてきた(24年7月28日付8月3日付)。

デザインマンホールに3種類追加

そば焼酎のほかにコラボ事業として、現在15種類あるパトレイバーのデザインマンホール蓋に新たに3種類を追加する。新たなデザインは同アニメに登場する「後藤喜一隊長」「南雲しのぶ隊長」「グリフォン&イングラム1号機」の3種類。12日から市役所1階きらら館で展示後、土浦駅西口周辺に設置する。3種類はすでにアクリルキーホルダーで販売しているデザインという。

◆そば焼酎「土浦小町」パトレイバー版は720ミリリットル、4000円(税込み)。販売店は①土浦駅西口前の市役所1階きらら館(土浦市大和町9-1)②旧水戸街道沿いにある江戸時代の蔵を改装した観光名所「まちかど蔵大徳」(土浦市中央1-3-16)③小町伝説を伝える交流施設「小町の館」(土浦市小野491)の3カ所。

賞味期限切れのだしパックを使用 保育所給食 つくば市

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つくば市役所

つくば市は3日、市内の市立保育所1カ所で、1月28日から2月28日までの間の13日間、給食で出した汁物に賞味期限切れのかつおだしパックを使用していたと発表した。

市幼児保育課によると、賞味期限は1月27日までだったが、気付かずにその後13回にわたり使用し、園児延べ約650人に提供していた。2月28日に食材の在庫確認をしていて判明した。3月3日時点で健康被害の報告はないという。

市立保育所の給食は各園ごとに調理する自園調理で、食材の発注と管理は各園の調理員と栄養士が実施している。食材の在庫確認方法は各園ごとにばらばらだったという。

同保育所は2月28日に保護者に謝罪。市は、市内の全保育所を対象に調味料等の賞味期限の確認作業を実施したとしている。再発防止策として市は、今後は各園それぞれ毎週1回、定期的に在庫確認作業を実施するとしている。

TX土浦延伸は東京延伸とセットで、知事 《吾妻カガミ》203

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大スクリーンを使った大井川知事の県政報告会

【コラム・坂本栄】大井川和彦知事の県政報告会が2月18日、霞ケ浦文化体育館(土浦市大岩田)で開かれました。知事は3期目への出馬をまだ表明していませんが、今夏の知事選を意識した1時間を超える講演になり、7年半の実績を説明する話の締めはTX土浦延伸でした。

水戸とつくばの経済圏をつなぐ

講演の最後の箇所を文字に起こして少し補足すると、以下のような内容です。つくば止まりのTXを土浦駅まで延ばすことのメリット、延伸実現に向けての手順が中心です。

「TXルートの土浦駅延伸は(学識者ら)第三者に検討してもらい客観的に決めた。私も土浦産まれだから(土浦延伸に)忖度(そんたく)しなかったとは言わない(笑)。そう言ってはいけないのかな?(笑)。大事なのはTXをJR常磐線に接続すること。それによって水戸・ひたちなか地域とつくば・土浦地域が結びつく。県の2大経済圏がつながる」

「県の行政を担っていて思うのは、『つくばはつくば』『水戸は水戸』というふうに分断してしまっていること。両公共交通機関をつなぐことで、つくばの人も水戸でお酒を飲んで電車で帰るとか、逆に仕事で水戸の人がつくばに行くとか、往来や交流が増える。こういう効果が非常に高い。これは茨城県にとって大きい」

「そろそろ(県によるフェーズⅠ)調査が終わるので、これから政府や関係都県(東京、埼玉、千葉)に説明を始める。大事なのはタイミング。東京延伸と一緒に土浦延伸を決めてもらうことが大事。いまTXは秋葉原駅で止まっている。これを東京駅に延ばし(都が計画している)臨海地下鉄につなげば羽田空港まで行ける。そういう話が進んでいる。そのタイミング(国交省の交通政策審議会による東京延伸答申)で勝負をしようと思っている」

「東京延伸と一緒に土浦延伸を(審議会に)持ち出すことが勝利の秘訣(ひけつ)。(茨城)単独で土浦延伸だけをやると皆(東京、埼玉、千葉)乗ってこない。茨城だけのためなら自分でお金を出せと言われてしまう。東京延伸のタイミングで、茨城も東京延伸に賛成するから土浦延伸も一緒にやってくれと持っていくつもりだ」

国交省・交通政策審が勝負の場

1週間後の2月25日、茨城県は「TX延伸構想―県の事業計画素案」(2月26日付県HP)を公表しました。知事の県政報告を各種データで補強したものです。

タイトルは素案と控えめですが、東京駅延伸と土浦駅延伸をセットで進めることがいかに望ましいかを説明する内容になっています。ポイントは、一体整備の費用は3070億円だが27年で元が取れる(累積資金収支黒字転換)という試算に対し、土浦単独でも1320億円が必要で元を取るのに43年かかるという試算です。

分かりやすく言うと、一体整備ならば茨城の負担は767億円で済むのに(茨城、東京、千葉、埼玉で3070億円を均等負担すると仮定)、単独整備だと茨城だけで1320億円負担しなければならないという想定です。これでは一体延伸で勝負せざるを得ません。

素案では、土浦延伸について①開業目標は2045年②延長距離は10キロ③つくば~土浦間の駅は1つ④所要時間は9分⑤JR土浦への乗換時間は4分―などの概要を示し、その効果として①東京からの新たな人の流れを創出②つくばと水戸の2大経済圏の交流拡大③自動車に代わる公共交通サービスの向上④土浦延伸による茨城の一層の飛躍―が期待できるとしています。効果の②は知事による県政報告の肝でした。

延伸は大井川知事の政治案件

162「TX土浦駅接続計画…」(2023年7月18日掲載)では、土浦延伸実現に向けての県の作戦計画と知事の政治戦略を取り上げました。県の計画はフェースⅠ(たたき台作成)→フェーズⅡ(調整と磨き上げ)→フェーズⅢ(計画の総仕上げ)ですが、素案はフェーズⅠのひとつです。フェーズⅡは知事の3期目前半、フェーズⅢは3期目の後半(交通政策審で決定?)に重なります。

国交省の審議会で双方延伸を決めてもらうには知事の高度な政治工作が必要になるでしょう。TX土浦延伸は知事の政治案件でもあるわけです。(経済ジャーナリスト)

「地図と測量の科学館」を訪ねて《ふるほんや見聞記》2

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忠敬の日本全図(写真は筆者)

【コラム・岡田富朗】国土地理院の歴史は、1869年(明治2)に設立された庶務司戸籍地図掛に起源を持ち、内務省地理局、参謀本部陸地測量部、内務省地理調査所など数々の機関を経て、1960年(昭和35)には現在の「国土地理院」と改称されました。1979年(昭和54)に筑波研究学園都市へ移転し、1996年(平成8)に「地図と測量の科学館」が開館しました。

この施設では、古地図から最新の測量機器まで、視覚的に理解しやすい展示が豊富にあります。地図や測量の世界が、天文学や宇宙、地震、災害などの広い世界といかに密接につながっているかを改めて感じることができ、子どもから大人まで楽しめます。

古地図の展示箇所では、1482年に作成されたプトレマイオスの世界図(複製)や、茨城にゆかりのある長久保赤水の『改正日本輿地路程全図』(複製)が展示されています。赤水は 1717年に茨城県高萩市赤浜の農家に生まれ、20余年の歳月をかけて、伊能忠敬の「伊能図」完成より40年以上前の1779年、日本で初めて経緯線を入れた日本地図『改正日本輿地路程全図』を刊行しました。

江戸後期「伊能図」は秘蔵され、一般の目に触れることはなかった一方で、赤水の地図は版を重ね「赤水図」と呼ばれ、唯一信頼し得る地図の定番として広く普及しました。

赤水の地図の並びには、「伊能図」(複製)や測量器具(複製)も展示されています。江戸時代、忠敬は日本全国を測量して歩き、わが国最初の実測日本地図を作り上げました。その地図は総称して「伊能図」と言われています。『大日本沿海輿地全図』は、1800年から17年にわたる測量により作成された日本全土の地図です。忠敬の没後、1821年に完成し、幕府に上呈されました。

忠敬の測量器具(写真は筆者)

伊能図は江戸時代の地図ですが、明治維新後も、近代測量による地図が整備されるまで、国家の地図作成に利用されました。伊能図完成から200年目を迎えた2021年、企画展が開催されました。その際、国土地理院所蔵の伊能中図(模写)が特別公開されました。

企画展『日本の地形を知ろう地図から学ぶ

国土地理院の特別収蔵庫には、古地図などの貴重な資料約3000点が保管されており、その一部はデジタル化され、「古地図コレクション」としてインターネットで公開されています。 閲覧可能な地図の数は約1500点あり、1600年代初頭~1900年代前半のものがあります。

茨城県には、赤水のほかにも、山村才助、沼尻墨僊、間宮林蔵、鷹見泉石、赤松宗旦など、江戸時代に地理学の発達の上で忘れることのできない業績を残した人物が数多くいました。

今回は国土地理院「地図と測量の科学館」の方にご協力いただき、取材させてもらいました。 3月18日~6月22日、国土地理院で企画展『日本の地形を知ろう―地図から学ぶ―』(入場無料)が開催されます。(ブックセンター・キャンパス店主)

霞ケ浦のアメリカナマズ味見して 9日、土浦青年会議所がイベント

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土浦青年会議所 地域活性委員会委員長の小見亘輝さん

特定外来生物だけどおいしい

土浦青年会議所(三谷将史理事長)の地域活性委員会のメンバーが中心となって9日、地域の課題解決を目指す地域活性化イベント「霞ケ浦なまずフェス~食べて、学んで、広めよう!」を、土浦駅西口前のうらら大屋根広場(土浦市大和町)で開催する。本来は青年会議所の例会としての行事だが、地元の小学生や住民にも広く知ってもらおうと地域ぐるみのイベントとして開催する。

当日、会場では、霞ケ浦の天然ウナギ専門の漁師で麦わら村長こと外山厚志さん(23年5月9日付)や、かすみがうら市の地域おこし協力隊の長里涼平さんが講師となり、霞ケ浦のアメリカナマズについて対話型の講演会を開催する。さらに子供たちによるナマズダンスのお披露目やナマズのマスコットキャラクターの表彰式、ナマズグルメとして土浦カレーフェスティバルでグランプリを受賞した「なまずカレー」のほか、「なまずバーガー」や「ナマズフライ」を販売する。

2024年の第21回土浦カレーフェスティバルのC-1グランプリで優勝した、かすみがうら市「うなぎ村」の「食べて助ける霞ケ浦!黄金なまずカレー」

霞ケ浦はワカサギやシラウオの産地として知られ、観光や産業の基盤となっていたが、年々生産量の低下が続いている。原因の一つが、在来魚を食べてしまい漁業に被害を与えるとして駆除が推進されている特定外来生物のアメリカナマズの繁殖によるものだといわれる。地域の資源でもある霞ケ浦を何とかしたいという思いから、特定外来生物に関する知識を深め、有効活用方法を地域に伝えたいというのが開催の趣旨だ。

地元の漁師である外山さんによれば、アメリカナマズの味は淡白でふっくらして美味しく、加工はブラックバスなどに比べ比較的楽。外山さんは、現在捨ててしまっているものを食用にすれば良いと考えている。

地元の小中学生にすでに、ナマズをモチーフにしたオリジナルのマスコットキャラクターを募集しており、当日、優秀作品の表彰式も行う。

地域活性委員会委員長の小見亘輝さん(33)は「地域の宝である霞ケ浦を良くしたい、大きくは茨城全体ももっとイメージアップして欲しいという思いから事業を計画した。今回は単発の事業だが、ここから発展して継続的な事業になってくれれば」と語る。(榎田智司)

➡アメリカナマズの過去記事はこちら

天才たちの老後《看取り医者は見た!》37

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写真は筆者

【コラム・平野国美】筑波研究学園都市ができてから50年以上が経ちました。私もこの街の住人。当時は「村民」でしたが、40年以上が経過しました。TX開通後は、都心のベッドタウンになるという変化も起きています。初期から住まう研究者は高齢者となり、診察の場面でお会いすることが増えております。

研究職だった皆さんのお話を本人や家族から聞けるのは、研究学園都市で仕事をしているからだと、感謝しております。この街、「石を投げれば学者に当たる」時代もありました。彼らの子供時代の話、現役時代の話を聞き、いま老後を観察できるのは医者冥利(みょうり)です。

子供のころ、私は偉人伝や伝記をよく読みました。思い返すと、彼らは決して模範生ではありませんでした。問題児と呼ばれた天才たち―型破りな科学者たちの幼少期が書かれていました。

アインシュタイン、ダーウィン…

相対性理論で有名なアルベルト・アインシュタイン。彼は幼少期、言語能力の発達が遅く、学校の授業にもなじめなかったそうです。教師から「将来何者にもなれないだろう」と評価されたそうです。しかし、彼は既存の学説にとらわれず、独自の視点で宇宙の法則を解き明かしました。

進化論を提唱したチャールズ・ダーウィンも、学校の勉強よりも自然観察や昆虫採集に夢中になる子どもでした。父親からは「怠け者」と見なされ、医師になることを期待されましたが、彼の興味は自然科学に向けられていました。

発明王トーマス・エジソンに至っては、小学校を3カ月で退学になっています。学校の授業になじめず、先生からは「理解力がない」と評価されました。しかし、母親の教育を受け、独学で科学の知識を身につけ、数々の発明を成し遂げましたカ

量子力学の祖と呼ばれるニールス・ボーアは、ノーベル物理学賞を受賞した物理学者です。幼いころの彼はのろまで、身の回りのものを分解する癖がありました。

学園都市の研究者…

彼らに共通するのは、既存の枠にとらわれない発想と常識を疑う探究心です。周りからは理解されにくい彼らの行動も、未知の世界を解き明かすためのプロセスであったのかもしれません。

私が接する元研究者たちも独特な個性を持っています。そこは「多様性の海」のようです。戦後の高度経済成長期、彼らは自由で、多様性が生かされた時代でした。とても幸せだったと思います。今はと言うと…、残念な時代になってしまいました。(訪問診療医師)

市制移行で大忙しの千葉繁 阿見町長【キーパーソン】

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阿見町長の千葉さん

土浦市に隣接する阿見町の人口が2023年秋に5万人を超え、町から市になる要件の一つを満たした。2年半先の市制移行を目指す千葉繁 阿見町長に、その段取りと県内では珍しく人口が増えている要因などについて聞いた。霞ケ浦湖畔を活用するまちづくりの話は面白い。

国勢調査で5万人要件クリアへ

千葉さんによると、2月上旬に有識者会議から、①名称は漢字の阿見市とする②27年11月に市制に移行する―など「市制移行が望ましい」との答申をもらったので、3月の庁議で決定することになる。ただ、これは町としての方針を決めるだけで、5万人要件をクリアするためには国勢調査(25年10月実施、26年5月公表予定)の数字を待たなければならない。

そのあと、町議会議決→県知事承認→総務大臣承認→県議会議決→県知事決定のプロセスを経て、2年半先の市制施行が実現する運びとなる。「こんなに大変な仕事になるとは夢にも思っていなかったが、町の将来を考えて取り組まなければならない」

町民アンケート調査では、回答の85%が市制に賛成だった。「残り15%の人がどんなことを語っているのか調べ、きちんと回答するよう担当課に言っている」

子育て世代をターゲットに施策

「町長に就任した7年前、人口は4万7300人だった。そのとき目標5万人と掲げたら、できるわけがないと言われた。就任後(JR荒川沖駅に近い)本郷地区を区画整理して住宅地にまとめたことも大きかった」。2月上旬の5万300人が今秋までに5万人割れすることはないかと意地悪な質問をすると「『あみプレミアム・アウトレット』近くに県が開発した計画人口2600人の住宅地がある。入居者はまだ半分の1300人。まだまだ増える」

7年で人口が3000人増えた理由を聞くと、「若い世代に移り住んでもらおうと子育て世代をターゲットにした施策を繰り出した」。具体的には、①18歳まで(非高校生も含む)の医療費無料化②ランドセルを小学生に無料配布③共稼ぎ家庭向けの病児保育の設置(東京医科大学茨城医療センター内)―などを挙げた。

意外だったのは、「移って来る方は、東京圏からよりも、土浦、つくば、牛久など近隣からが多い」との説明。もちろん「今販売中の住宅地『セントラルアベニュー荒川本郷』(175区画)のモデルハウスをのぞいたら、東京から来たという30代の夫婦が6000~7000万円の物件を熱心に見ていた」そうだ。

霞ケ浦の水をきれいにして観光地化

阿見町には、東京医科大学茨城医療センター、茨城大学農学部、県立医療大学といった医療・教育施設があるが、他の自慢スポットを聞いたところ、三菱地所グループが経営するアウトレットのほか、旧海軍航空隊の記録を展示する予科練平和記念館、元横綱稀勢ノ里が親方の二所ノ関部屋、町の北東に広がる霞ケ浦などを挙げた。このうち、霞ケ浦の話を語り出すと止まらなくなった。

「小学2年まで霞ケ浦で泳いでいた。政治家になった理由の一つは、水をきれいにして泳げる湖に戻すこと。やっと実現できそうになってきた」。那珂川と霞ケ浦を地下トンネルで結ぶ導水が計画通り2030年に完成すれば、河川の水が霞ケ浦に入って浄化され、「昔のように豊富な魚種もとれる」と、霞ケ浦による観光地化を展望した。

農業・工業用水に塩分が入ることを嫌って設置された常陸川逆水門(霞ケ浦と利根川の合流点を仕切る水門)についても、「(上げ潮時に水門を柔軟運用するなど)開ければ本当の意味で霞ケ浦を浄化できる。同世代の湖岸の市長たちもそれがよいと言っている」

【ちば・しげる】竜ケ崎一高(野球部に所属)、青山学院大卒後、父が経営する昭和運送に入社(現在は役員)。阿見町議(2000年4月~09年12月)を経て、町長(18年3月~)。62歳、阿見町在住。

【インタビュー後記】阿見町にはJRの駅がない。市制移行を記念して「土浦市から荒川沖駅の周辺を譲ってもらい『阿見駅』にしたらどうか」と質問してみた。「確かに阿見のステータスは上がるが、今は土浦の(駅舎・周辺整備)予算で町民が駅を使わせてもらっている。感謝しかない」。町→市は名をアップさせる施策だが、こちらは経営者町長らしく実を取る回答だった。(経済ジャーナリスト、坂本栄)

文豪風入院日記③無知の知《遊民通信》107

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【コラム・田口哲郎】

前略

入院すれば退院がある。晴れて病院に寝泊まりすることから解放されるのである。でも、退院には医師の許可がいる。医者が出てもよいと言わなければ、出られないわけである。病気というものは十人十色で、肺炎は回復まで何日、腸炎は何日、胃潰瘍は何日と決まっているわけではないから、体調を見ながら、ということになる。

さて、私はというと、絶食も解かれて、ご飯も3食、普通食を食べられるようになったのもあり、自分の感覚としてはすっかり元気になったつもりであった。特に検査や手術をするでもないから、1日することがない。好きな時に本を読み、寝てよい。食事は据え膳上げ膳、至れり尽くせりの休養なのだ。

毎夕、医者がやってきて体調を尋ねてくれるが、とても良いです、と答える日が続いている。絶食の時にあれだけ食べたいと思っていた病院食も、段々飽きがくる。贅沢なものだ。もともと薄味派なので、毎食完食をしているが、さすがに娑婆(しゃば)の脂っこい料理を食べたくなる。

そんな不満を心でつぶやいていたら、食事は3分で終わってしまった。楽しいご飯が終わると、夕食まで退屈である。私は本を手に取ったが、文章が頭に入ってこない。本をまともに読めないなら、することもなく手持ち無沙汰である。仕方がないから、横になった。ふて寝が午睡(ごすい)になったのである。

食事はよく噛んでゆっくりと

小一時間して、目が覚めた。気分良くではなく、不快感でである。下腹部がむかついて、苦しい。入院した日の記憶がよみがえる。何度も何度も便所に飛び込んでは、吐き出すものもないくらいに吐くのである。私の額には脂汗がじわりとにじんだ。

そこに、ちょうど看護師がやってきて、氷枕は要るかと尋ねてくれた。私は腹部の違和感を訴えた。看護師は検温して、モバイル・バイタルを見て、聴診器を腹に当てた。吐き気はあるかと聞かれたので、落ち着いて体に聞くと、不快感はあるが吐き気までではないと思えたので、そう伝えた。

「そうですか。お腹もちゃんと動いていますし。先生に報告はしておきますけど、多分、お食事、早食いなんじゃないですか」と言われ、私はポカンとしていたら、看護師は笑顔で続けた。「よく噛んでゆっくり食べれば、胃腸への負担が減りますよ」。

果たして、私は夕食から一口一口をよく噛んで食べるようにした。食事に味わいがあることを初めて知ったような気がした。それから食後の腹部の不快感は起こらなくなった。元気なのにいつ退院させてくれるのだろうという、いら立ちもなくなった。よく手紙に「お体お自愛くださいませ」などと書くが、自分の体を労(いた)わることを学んだのである。

医者、看護師の言うことは聞いて、療養はゆっくりするものだと思った次第である。まさに無知の知である。ごきげんよう。

草々

(散歩好きの文明批評家)

手順誤り27人に再検査 3歳児健診の尿検査 つくば市

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つくば市役所

つくば市は27日、市谷田部保健センターで20日午後1時30分ごろ実施した3歳児健診の尿検査で、検査機械による検査を実施した市の看護職員が、検査手順を誤り、判定結果に影響が出た可能性があるとして、27人の幼児に再検査を実施すると発表した。

尿検査は当日朝、それぞれ自宅で尿を採取し、所定の容器に移し替えて市保健センターに提出する。保健センターでは、市の看護職員がその日のうちに検査を実施、提出された尿に試験紙を浸し、検査機械に試験紙を入れて、血尿、たんぱく尿、尿糖などを検査する。

市こども未来センターによると、本来の検査手順は、尿に試験紙を浸してすぐに検査機械に入れなくてはならない。機械での検査は一人当たり1分程度かかるという。

この日は検査を担当した看護職員が、効率良く5人分をまとめてやろうとして、試験紙5枚を1枚ずつそれぞれ5人の尿に浸し、浸したままにして順番に検査機械に入れていった。最長で5分ほど試験紙を尿に浸したままにしたケースもあったという。

機械での検査中、エラー表示が多かったことから、看護職員は上司に相談、検査手順を確認したところ、試験紙の取り扱いが誤っていたことが分かった。機械の検査は一人で担当していたという。

20日は同センターで61人を対象に3歳児健診をし、そのうち55人について尿検査を実施。最初の10人は本来の手順通り、尿に試験紙を浸してすぐに検査機械に入れたが、11人目からは5人分にそれぞれ試験紙を浸したままにして、順番に機械に入れていったという。原因が分かった後は、本来の手順に戻した。

再検査が必要となる27人の保護者に対し市こども未来センターは、26日と27日、電話で謝罪し状況を説明した。28日に改めて通知を出し、3月4、5、6日の3日間、再検査を実施するとしている。保健センターに来られない保護者に対しては市職員が自宅を訪問するという。

再発防止策として、健診に従事する全職員に検査手順などを改めて確認させ、検査中も複数でチェックするなどして再発防止に努めるとしている。

3歳児健診は、3歳になった幼児を対象に、谷田部と桜の2カ所の保健センターで実施している。3歳児の尿検査は先天性尿路異常がないかなどを検査する。

ウイーンのピアニストが演奏会 つくばの音楽家が無料開催

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ウィーンを代表するピアニストのピアノ演奏会を開催する「ウィーンつくば交流市民の会」代表でチェンバロ奏者の橋本麻智子さん=つくば市内

「家族連れで聴いてほしい」  

ウィーンを代表するピアニストの一人で、ウィーン国立音楽大学教授のクリストファー・ヒンターフーバーさんのピアノ演奏会が3月12日、つくば市竹園、つくばカピオホールで開かれる。子供たちを含め家族連れで聴いて感動を持ち帰ってほしいと、同大出身でつくば市在住のチェンバロ奏者、橋本麻智子さん(75)が代表を務める市民団体「ウィーンつくば市民交流の会」が入場無料で開催する。

ヒンターフーバーさんは同大ピアノ部門の部長を務め、CDがドイツで「最良で最も魅惑的なピアノ録音」の一つに選ばれるなど高く評価されている。世界各国で演奏活動を行い、日本にはウィーン・フィルの首席奏者とたびたび来日するなどファンも多い。

演奏会を主催する橋本さんは日本のチェンバロ奏者の草分けで、同大チェンバロ本科を卒業、世界各国の国際音楽祭やスイスや中国の招へいコンサートにも招待され、国内外で演奏活動を行ってきた。

1995年、研究者の夫と共につくばに転居。20年ほど前からはクラシック音楽の普及にも尽力し、カスミの社会貢献事業「『わたしの企画』応援します」に応募して、子供たち100人がベルリンフィルの演奏家と合奏するワークショップを開催したり、同市ふれあいプラザで幼児や未就学児を対象に毎月2回、子供たちがクラシック音楽に触れたり、絵を描いたりする「親子で遊ぼう『芸術ごっこ』」をボランティアで開催するなどしてきた。

国内外で共演してきたウィーンフィルやベルリンフィルの演奏家をつくばに招いて、同市北条にある江戸時代後期に建てられた蔵「宮清大蔵」で共演するなどしてきたほか、20世紀の最も偉大なフルート奏者、J.P.ランバル氏へのオマージュ(献辞)として開催した「つくばフルートコンクール」の実行委員長を務めるなどしてきた。親友でもあった国際的バイオリニスト、故若林暢さんの業績を顕彰しクラシック音楽の普及と振興に努める若林暢音楽財団の代表も務める。

「20年くらい前から、クラシック人口が減ってきて若い人がクラシックに興味をもっていないと感じられ、50代半ばぐらいから一般の人にもクラシック音楽に関わってもらえる活動をスタートさせた」と振り返る。

「コンサート会場で生まれる、皆で感動を分かち合う何ともいえない空気感が、演奏家の見事な演奏を生み出す場面を何度もみてきた。すばらしい聴衆との巡り合いがあって演奏家が育つ」と思いを話し、「家族そろって一緒の演奏を楽しんで、うちに帰って感動を分かち合ってくれれば」と語る。

3月12日のピアノ演奏会は、ヒンターフーバーさんのトークもあり、大学の教え子でピアニストの吉兼加奈子さんが分かりやすく解説する。注目の若手フルート奏者、瀧本実里さんの演奏もある。

会場には募金箱を設置し、全額を「日本ユニセフ協会」と、つくばの市民団体「アジア友情の会」「筑波メディカルセンター紡ぎの庭」の活動に寄付する。(鈴木宏子)

◆クリストファー・ヒンターフーバーさんのピアノ演奏会は3月12日(水)、つくば市竹園1-10-1 つくばカピオホールで開催。開場は午後6時30分、開演は7時。演奏曲目はバッハ/リストの前奏曲とフーガ BWV 547、ベートーヴェンのピアノソナタ8番 ハ短調 作品13「悲愴」など。チケットは事前予約が必要。定員は約300席で、満席になり次第締め切る。

進む脳卒中治療の現状《メディカル知恵袋》9

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筑波メディカルセンター病院

【コラム・原拓真】最新のデータによれば、介護が必要になる主な原因の第2位は脳卒中で16.1%(第1位が認知症で16.6%)となっており、特に介護度が重い人の原因としては脳卒中が主原因になります。脳卒中は①脳梗塞②脳出血③くも膜下出血の3症状を合わせた呼び方です。

一番多いのは脳梗塞

その中で一番頻度が高いのが脳梗塞です。脳梗塞は、脳血管の閉塞により脳を構成する神経細胞が血流不足に陥り、最終的に死に至ってしまう疾患です。つまり脳組織に血流が供給されていない時間をいかに短縮するかが治療の最重要ポイントになります。

急性期脳梗塞に対する再灌流(さいかんりゅう)を目的とした治療として、2005年に血栓溶解療法(rt-PA静注)、2010年からカテーテルによる血栓回収療法が日本で認可され、現在までに10数年経過していますが、脳梗塞発症早期に病院にたどり着けないと、こうした最新の治療は受けられません。

今回は、最新のガイドラインを基に、適切な治療を受けるためのポイントを解説いたします。

血栓を溶解する療法

脳血管内で血管閉塞の原因になっている血栓を溶かす薬剤を点滴で投与する治療です(図1)。血栓溶解療法(rt-PA静注)は以下の条件で実施可能です。①発症から4.5時間以内、もしくは発症時刻が不明でもMRI画像所見で発症早期であると判断される場合、かつ②治療適応のチェックリストに禁忌項目がない場合。

ただし、症状が軽微な場合には投与に伴う脳出血リスク(約6%)と治療効果を天秤にかけて判断します。時間の制約がある治療ですので、いち早く病院に来院してもらうことが最も重要です。

血栓を回収する療法

血管が血栓などで閉塞している部位に、直接カテーテルの細い管を誘導し、様々な機器を使用して機械的に血栓を回収してくる治療です(図2)。こちらは、現在も最新のエビデンスが日々更新されている状況ですが、簡単にまとめると以下の条件で実施可能です。①発症から24時間以内の内頚動脈または中大脳動脈近位部閉塞、もしくは②その他の頭蓋内血管の閉塞の場合は画像・臨床初見に応じる。

こちらの治療も、血栓溶解療法同様に6%前後の脳出血リスクがあります。治療適応の時間的制約は血栓溶解療法と比して軽いものの、脳血流再開までの時間経過が機能予後に影響することは明らかです。

急性期治療の現状

脳梗塞急性期治療は進歩し、その効果も明白ですが、実際に急性期治療を受けられた患者さんが脳梗塞患者さん全体の10%を上回ることは、当院のデータ上も無く、早期に来院していれば急性期治療が可能だったと考えられ、悔やまれるケースは今も数多く存在します。それは、つくば市内のみならず茨城県、ひいては日本全体の問題です。

治療法の進歩は相当なレベルに達していますが、最大の問題は脳梗塞患者さんをどのように早期発見し搬送してもらうかです。ベストな治療をすべての患者さんが受けられるように、現在県内で始まっている取り組みがあります。

患者搬送ネットワーク

上記のような急性期治療を実施できる病院は県内でも限られてきます。救急受け入れ患者数も各病院で限界があり、急性期脳卒中治療の質向上には各地域でのネットワーク構築が欠かせません。当院や県内の脳梗塞急性期治療が可能な病院の多くでは、県の協力のもと数年前より医師間でのスマートフォンを用いた患者情報共有アプリを使用しています(図3)。

従来であれば患者さんの情報は電話でやり取りするしかなく、情報の精度は著しく低下していました。しかし、こうしたICTツールの使用で他院の患者さんの画像所見も瞬時に確認可能となり、脳梗塞急性期治療が可能かどうか、急いで搬送すべきかどうかの判断がしやすくなっています。

県内に多く存在する医師少数地域であっても、こうした遠隔連携アプリなどを使用することで、脳梗塞急性期治療へのより迅速なアクセスが可能になりつつあります。こうしたICTツールの導入は「医師の働き方改革」の問題の解決にも貢献しており、今後の医療には欠かせません。

早期発見と早い救急要請が大事

しかし、最終的に重要なのは「第一発見者が脳卒中と疑って119を押せるか?」です。脳卒中治療の質向上には早期発見が欠かせません。我々医療者は今後も様々なツール、機会を利用して一般の方々に向けて、脳卒中早期発見に必要な知識の情報発信を続けていくことが求められていると思います。

脳卒中患者さんを救うキーパーソンは我々ではなく、一番身近におられるご家族や友人など皆さん自身です。私たちみんなが脳卒中診療チームです。今後もより良い脳卒中診療を目指してご理解、ご協力をお願いします。(筑波メディカルセンター 脳神経外科診療科長)

二審も国の責任認める 鬼怒川水害訴訟 東京高裁で判決

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「勝訴」の旗を出す原告共同代表の片倉一美さん=東京高裁

2015年9月の鬼怒川水害で、常総市の住民が甚大な被害に遭ったのは国交省の河川管理に落ち度があったためだなどとして、同市の住民ら20人が国に対して約2億2000万円の損害賠償を求める国家賠償訴訟の控訴審判決が26日、東京高裁で出された。中村也寸志裁判長は一審に続いて、国の河川管理の落ち度を一部認め、被害を受けた同市若宮戸地区の住民9人に対して約2850万円を賠償するよう命じた。

鬼怒川水害では豪雨により常総市内を流れる鬼怒川の堤防の決壊や越水があり、市内の約3分の1が浸水した。同市では災害関連死を含めて15人が亡くなり、住宅被害は全壊53軒、半壊5120軒、床上浸水193軒、床下浸水2508軒に及んだ。一審で水戸地裁は国に対し、原告住民32人のうち若宮戸地区の住民9人に約3900万円の損害賠償を支払うよう命じる判決を出した。原告住民と被告の国の双方が控訴していた。

判決後、記者会見する原告団ら。左から、只野靖弁護士、原告住民の片倉一美さん、高橋敏明さん、鈴木憲夫さん

二審では、国の責任が一審で認められた若宮戸地区について住民側は、自然堤防の役目を果たしていた砂丘林を民間事業者が太陽光パネル設置を目的に採掘したことにより堤防の機能が失われたとし、国が同地域を「河川区域」に指定し、開発を制限すべきだったと主張していた。住民側の弁護団によると、一審から賠償額が約1000万円減額になった理由は「被害に遭った家財の認定金額が低くなったことと、写真など『思い出』の品物への慰謝料が認められなかったため」という。

一方、同市上三坂地区で越水し堤防が決壊したことによる被害については、一審に続き二審でも住民側の主張が退けられた。住民側は、同地区は堤防の高さが低く、他の地域に優先して改修すべきだったのに、国が対応を怠ったことが水害につながったなどと主張していた。控訴審で中村裁判長は「国の改修計画は不合理とは言えない」とし、住民の訴えを退けた。

一石投じるも、救済遅すぎる

原告団共同代表の片岡一美さん(71)は「1人でも勝てば勝訴だと思い『勝訴』の旗を出したが、一審より悪い結果となった今回の判決は、実質、敗訴だと感じている。水害は天災だと思っていたが、その要因を知ると国交省の河川管理責任による人災だと考えが変わった。国交省の考えを司法が追認したのは遺憾」だとし、上告の意思を表した。

住民側の只野靖弁護士は「水害から9年経ってようやくここまできた。救済という意味では遅すぎるが、水害訴訟では住民の訴えが認められない『冬の時代』が続いていた中で、一部でも国の瑕疵(かし)の責任が認められたことは画期的。日本中で水害が起きる中で、地方公共団体の責任が問われるものもあり、一石を投じる判決」と語った。(柴田大輔)