日曜日, 1月 18, 2026
ホーム ブログ ページ 28

「利他的行動とり社会の役に立って」 日本国際学園大学で卒業式

0
答辞を読む犬嶋美雨さん(中央右)

日本国際学園大学(つくば市吾妻、橋本綱夫学長)で17日、卒業式が催された。128人の卒業生を前に橋本学長は「世界は自国の利益を追求する時代へと変わってきた。今後一層競争が激化する社会で生き抜くために重要となるのはAIとデータだ。本校では経営情報学を学んだと思うが、利他的な行動をとることが必要。社会の役に立つようがんばってほしい」とエールを送った。筑波学院大学から名称を変更し、昨年4月、日本国際学園大学として開学後、初めての卒業式となった。

告辞を述べる橋本綱夫学長

卒業生を代表して経営情報学部メディアデザインコース4年の犬嶋美雨さん(22)は答辞で「大学生の集大成として臨んだ卒業研究は、想像していたより多くの経験と学びを与えてくれた。扱った研究テーマの中で、私たちは案外自分のことを不確かにしか知らないまま生きていることがわかった。実験も一人では出来ないように、自分一人だけの知識思考では自分の特性すら知ることが出来ない存在であることを知った。大学で得た知識や経験を生かし、これからの未来を歩んでいきたい」と語った。

犬嶋さんは大学時代を振り返り「卒業研究は大変だったが、楽しい学生生活を送ることができた。仕事は介護職、資格などをとりしっかり仕事をしていきたい」と述べた。

式典では、卒業生を代表して経営情報学部4年の佐藤碧さんが橋本学長から学位記の授与を受けた。優秀な成績や功績があった卒業生に褒賞が授与され、経営情報学部4年の佐藤碧さんに学長賞、同4年の日高悠希さんに理事長賞、矢治竜乃介さんに大江賞がそれぞれ贈られた。

式典に臨む卒業生ら

同大は1990年、東京家政学院大の筑波短期大学として開学。96年に4年制の筑波女子大学になり、2005年に男女共学の筑波学院大学になった。大学の運営は19年度に東京家政学院から学校法人の筑波学院大学に移り、23年からは学校法人名を日本国際学園に変更した。昨年からは姉妹法人の東北外語学園(仙台市、橋本理事長)が運営する仙台市の東北外語観光専門学校に新たに日本国際学園大学の仙台キャンパスを設置した。

つくばキャンパスは、国際教養モデル、英語コミュニケーションモデル、現代ビジネスモデル、公務員モデル、AI・情報モデル、コンテンツデザインモデルがあり、これらのモデルから選択し専門の学びを深めることができる。外国人留学生は日本文化ビジネスモデルで学べる。昨年の新入生からは、開学とともに選択できる学びに変わった。(榎田智司)

現金取扱でつくば市が虚偽報告、県「非常に悪質」 生活保護 特別監査

66
昨年末、県がつくば市に出した特別監査結果の通知の一部

つくば市の生活保護行政に関する不適切な事務について、県が同市に対し異例の特別監査を実施している問題で、昨年末、県が特別監査結果を同市に通知し、現金の取り扱いについて、同市が県の監査に虚偽報告を行っていたとして「非常に悪質」「誠に遺憾」だと指摘していたことが情報開示請求で分かった。

特別監査の結果は昨年12月25日に同市に出された。総括的事項として①現金の取り扱いに関する一般監査での虚偽報告のほか、②誤支給に伴う保護費返還決定事務の遅延③生活保護費返還金の不適切な債権管理の3点について指摘している。

①現金の取り扱いに関する一般監査での虚偽報告ついては、同市が生活保護費を受給者に支給するにあたって、2019~23年度にかけて現業員(ケースワーカーなど)が現金の取り扱いを組織的に行っていたにもかかわらず、市は県に提出した同年度の監査調書に虚偽の回答を行い県に提出していた、さらに23年度の事務監査でも事実と異なる説明をしていたとし、市に対し「監査において虚偽の報告を行う行為は非常に悪質であり、生活保護行政に対する社会的信頼を損なうものとして誠に遺憾」だと指摘、「二度と同じ過ちを繰り返さないよう対策を講じ」、要因を分析した上で改善に向けた取り組みを報告するよう求めている。

現金の取り扱いに対しては、会計検査院が2007年度決算検査報告で、実地検査した全国212の福祉事務所のうち42カ所で現業員が生活保護費を取ったり、失くしたりしたなどがあったことから是正改善を求め、厚労省は現金の取り扱い手順や決済権者を明確にした事務処理規定の整備や、現業員の出納業務への関与の縮減や事務処理方法の見直しなどを求めていた。

市によると、内部規定はあったが組織内に周知徹底されず、引き継ぎもされなかったため適切に運用されなかったとしている。昨年1月、県から確認があり、その後是正したとしている。

特別監査で県が指摘した②誤支給に伴う返還決定事務の遅延に関しては、県の指摘を受け同市が昨年7月に発表した、一時扶助による障害年金の診断書料の誤支給、障害者加算の誤支給、重度障害者加算の誤支給などの(24年7月20日付)その後の対応について、保護費の返還決定事務が遅延している例があるので「返還決定事務を遅滞なく行い、返還金にかかわる国庫負担金を適切に精算する」ことを求め、遅延の要因を分析した上で、改善に向けた取り組みを報告するよう求めている。

➂生活保護費の返還金の不適切な債権管理については、同市が昨年8月に発表した生活保護費の過支給分の返還金にかかわる不適切な事務などについて(同8月21日付)、期限までに過支給分を返還できなかった受給者などに対し行うこととされている催促や催告にかかわる記録がない例、受給者など死亡した場合の相続人調査が適切に行われていない例が認められたほか、不納欠損にかかわる事務が遅延している例が認められたなどとして、厚労省の通知に基づいて適切な債権管理を実施し、さらに不適切な債権管理の要因を分析した上で、改善に向けた取り組みを報告するよう求めている。

特別監査結果について県福祉人材・指導課は「継続して指導中の案件」だとしている。(鈴木宏子)

広がるか? 壊し屋トランプの世界《吾妻カガミ》204

8
高層マンション(土浦市)と筑波山

【コラム・坂本栄】トランプが米大統領になってから2カ月がたちました。予想通りと言うか、世界中をハラハラさせています。「100年前に戻る?トランプの世界」(1月20日掲載)では、経済は保護主義(自国経済・産業優先)、政治は孤立主義(自国第一・他国軽視)、外交は「力が支配」と書きましたが、予想以上です。

自由貿易の終わり

関税引き上げを多用する「関税原理主義」には驚いています。仮想敵国中国からの輸入を減らして相手にダメージを与えたいという理屈は分かります。しかし隣国のカナダやメキシコからの輸入品に高い関税をかけ、日本や欧州にも同様の行動を起こすというのは狂っています。

私が通信社の経済記者だったころ(1970~2000年)、米主導で貿易の自由化(関税引き下げがその柱)が進められました。南米ウルグアイまで飛んで多国間交渉を取材したこともあります。しかし自由化の流れが後退、21世紀に入ると自由貿易圏(域内は自由貿易、域外には保護貿易)が主流になります。米国、カナダ、メキシコで形成する北米貿易圏はその代表的なものでした。

ところが、トランプは域内2国に高関税を適用することで北米貿易圏を自ら壊し、両国との間の貿易を混乱させる動きに出ました。自由貿易と保護貿易の間に位置する自由貿易圏システムさえ否定、世界を保護貿易に戻そうとする動きです。

自ら国是を捨てる

トランプの孤立主義がよく分かるのは、移民嫌いです。米国は、欧州、アフリカ、中南米、中国、日本など世界中からの移民によって出来上がった国です。それを自国に都合のよい外国人を除き入国させないというのですから、米国の国是を自ら捨てるようなものでしょう。

クリントンとレーガンが大統領だったころ、私はワシントンの郊外に住んでいました。首都から車で20分のマクリーン(VA)という住宅地でしたが、右隣りはドイツ系の退役陸軍中将、左隣りは世界銀行に務めるインド人でした。どちらも米国移民(退役中将は数代前)のエリートです。彼らのような働きがなければ米国は偉大(トランプの決めぜりふ)になれなかったでしょう。

私は、マーロン・ブランド、アル・パチーノらが出演するフランシス・F・コッポラ監督の映画「ゴッドファーザーⅠ・Ⅱ・Ⅲ」のファンです。イタリア移民の生活やマフィアの世界を描いた映画ですが、彼らのようなハングリーな移民がいなければ米国の生活娯楽産業は育たなかったでしょう。

決めるのは強国?

トランプがロシア・ウクライナ戦争の仲裁に乗り出すに当たり、ロシア寄りの姿勢をはっきり示したことにも驚きました。これは米国がウクライナを見捨てることを意味します。独ヒットラー総統の領土的野心に譲歩した英チェンバレン首相を思い起こさせます。

こういった強国間の取引を目の当たりにすると、日本としても対米関係を見直す必要があるでしょう。NATOの欧州主要国は「米の核の傘は当てにならない」と思っていますから、米の核抑止力を前提に安全保障を考えている日本にとって米の軽さは深刻です。トランプが言う日米安保の片務性(米側に不利だ!)どころか、枠組み全体を再考しなければなりません。(経済ジャーナリスト)

土浦花火2025「春の章」《見上げてごらん!》38

14
「HEART花火」クラウドファンディング募集のデザイン

【コラム・小泉裕司】4月5日(土)は、土浦出身の俳優、故三浦春馬さん(享年30)の誕生日。午後6時30分、霞ヶ浦ほとりの土浦新港で、春馬さんを慕う仲間「HEART花火」がミュージックスターマイン花火を打ち上げる。2022年の第1回から、クラウドファンディングで全国の賛同者から資金を集めて開催しているもので、今年で4年目。

昨年に続く音楽付き花火、今年は春馬さん主演の映画「天外者」(てんがらもん)のオープニングテーマ。打ち上げ担当の煙火業者は、春馬さんの著書「日本製」に登場する山﨑煙火製造所(つくば市)。初回から担当しているが、これまで以上の見応えあるプログラムが用意されたようだ。

オープニングは恒例の、春馬さん慰霊の白菊花火4号玉が3発。このあと、最大直径約15センチの5号玉が19玉。イルミネーションのように光が動き回る花火も含まれ、地上から吹き上がる色とりどりの花束花火、ハートや桜を模した型物花火などが、観覧者に強烈な感動を醸し出すだろう。

企画起ち上げから現在まで

今回に至るまでには、スタッフの並々ならぬ努力と多くの関係者の支えがあった。

2022年1月、三浦春馬さんに鎮魂の祈りを捧げるとともに、誕生日祝いの思いを花火にのせたいと思う仲間3人で、この企画を立ち上げた。このときの資金賛同者は286人。68万円の支援が届けられたが、コロナ禍の影響で、無観客での打ち上げとなった。

そもそも、この企画を後押ししたのは、新型コロナの影響を受けた花火業界支援のために土浦市が始めた「マッチング花火事業」。記念日などで花火を打ち上げたい個人や法人に花火業者を紹介するもので、まさに「HEART花火」との理想の「マッチング」といえる。2年目は356人から144万円、昨年の3年目は503人から241万円の賛同が寄せられ、金額の増加に伴い、打ち上げ、音響、記録動画、観覧者へのおもてなしなど、企画内容も拡充されてきた。

観覧者は国内にとどまらず、昨年は米国からも訪れた。今週、日本初の大リーグ開幕戦に期待が高まるが、ドジャースの本拠地ロサンゼルスやヤンキースの本拠地ニューヨークからもやって来た。そして今年は、678人から目標額の350万円を大きく上回る452万円が届けられた。

クラファンのリターンは花火打ち上げ

花火大会を開催するまでには、火薬類消費や航空法関係、施設利用など、各般の手続きに加え、警備体制や保安対策などが必須となる。こうした課題をクリアして、美しい、心に残る花火を見ることができる。改めて、主催者、春馬さんのファンをはじめ、企画賛同者、カメラマン、音楽関係者などサポートされる皆さまが一体となって、土浦で春花火を実現されていることに、心から敬意を表したい。

HPでは、「一人で出来ることは限られているが、誰かが誰かを思いやる気持ちや、平和を願う気持ちの集まりが、何かを変えるきっかけになることが、私たちスタッフ一同、心からの願い。そして、花火師さんが創り出す花火を、春の土浦で打上げる取り組みを、これからも皆様と一緒に、少しずつ充実した催しに育てていきたい」と、控えめながらも、継続への熱い想いを伝える。

花火のご縁

土浦セントラルシネマズ(土浦市)では「天外者」を長期上映中。当日には、田中光敏監督が映画館を訪れるとのこと。田中監督は、昨年の大曲全国花火競技大会の審査員。ここでも土浦と大曲のご縁を感じざるを得ない。

そして、今年は土浦の花火100年。第1回が開かれた地で行われる「HEART花火」。100年前に思いをはせながら、春の湖上を見上げることにしよう。本日はこれにて、打ち留めー。(花火鑑賞士、元土浦市副市長)

<参考> 当日は、市内各所で、春馬さんファンによるイベントが予定されている。

ちょっと先の未来に出会える 10年ぶり常設展示施設を一新 産総研つくば 

13
部外者には容易に立ち入れないスーパークリーンルーム(産総研つくば西)の見学も臨場感ある映像体験でできる=AIST-Cube「AIST DISCOVERY」

完全予約制 4月1日オープン

産業技術総合研究所(産総研、AIST)は、つくば市東、つくばセンターにある常設展示施設の展示内容を一新し、「AIST-Cube(アイスト キューブ)」と改称して4月1日にリニューアルオープンする。

これまで一般向けに「サイエンス・スクエアつくば」として公開されてきた展示施設の10年ぶりのリニューアル。新事業創出をめざす企業、研究を志す学生たちと研究成果を体感しながらコミュニケーションを深めて、新たな価値の創出につなげていくのが目的で、4月からは完全予約制になる。

社会課題20テーマで

施設は、エントランス部分を除くと約500平方メートルの広さ。展示は、産総研が取り組む20の社会課題をテーマ化した3つのゾーンで展開される。①エネルギー・環境・資源制約への対応②人口減少・高齢化社会への対応⓷レジリエントな(自然災害などからの回復力をもつ)社会の実現-の3ゾーン。

具体的には、安全に大量の水素を貯蔵できる水素吸蔵合金、音楽と歌詞を楽しむ新表現「リリックアプリ」、特殊なゲルで屋根に積もった雪を滑り落とす技術-などの開発がテーマ化された。

産総研の研究拠点は全国展開されていることから、現地映像や電子顕微鏡画像で紹介するAIST DISCOVERY(アイスト ディスカバリー)のゾーンも設けている。幅11メートルの大型スクリーンに展開される映像で、研究の最前線を体験できる。

最新の研究成果にとどまらず、その成果が社会に実装されたらどうなるのかなど“ちょっと先の未来”と出会える空間を意図したといい、内容は適宜更新され、テーマの入れ替えも行われるという。

産総研の宮崎歴ブランディング・広報部長は「フラッと来てのぞいてみるという見学の仕方はできなくなるけど、予約はスマホから簡単にできるので、たとえば地質標本館を見にきたついで寄りたくなったら試してみて。きっと発見があるはず」という。(相澤冬樹)

◆AIST-Cubeはつくば市東1-1-1、産業技術総合研究所つくばセンター中央事業所内にある。開館時間:午前9時30分~午後5時、毎週月曜休館。入館無料。見学は完全予約制。AIST-Cube公式ホームページから予約できる。問い合わせは電話029-862-6215(同ブランディング・広報部)へ。

「眠狂四郎」の悪女と聖女《映画探偵団》86

8
イラストは筆者

【コラム・冠木新市】市川雷蔵は映画『大菩薩峠』3部作(1960〜1961)を終えたあと、2年後に『眠狂四郎』シリーズを始める。柴田錬三郎原作『眠狂四郎無頼控』は中里介山作『大菩薩峠』の主人公・机竜之助の影響を受け書かれている。その意味から雷蔵にふさわしい企画だった。

だが第1作『眠狂四郎殺法帖』(1963)は、雷蔵自身や脚本家・星川清司、製作者も認める失敗作であった。雷蔵が結婚して幸せな家庭ができたため、主人公の虚無感をうまく表現できなかったからだ。

1964年の第2作『眠狂四郎勝負』、第3作『眠狂四郎円月斬り』でその点は修正され、転び伴天連の子で茶髪の狂四郎イメージは固まるが、興行的にはヒットしなかった。そして第4作がヒットしない場合は、シリーズ打ち切りの方針が決まる。

時代は東京オリンピックを迎え盛り上がっていたが、映画界はテレビの普及で斜陽の時期に入っていた。10月10日から開催されたオリンピックの最中、『眠狂四郎女妖剣』(併映は『座頭市血笑旅』)が公開される。これが大ヒットし、雷蔵が亡くなる年までに第12作が製作された(映画探偵団14)。

シリーズ続行の決まった『眠狂四郎女妖剣』を見てみよう。この作から、眠狂四郎の円を描く円月殺法はストロボ撮影となり、剣が幾重にも映り催眠効果を上げ、その後シリーズの定番になる。また、この作品から狂四郎を狙う悪女が次々と登場する。

この年の4月に『007/危機一発』が公開され、世界中で007大ブ一厶が起きていた。ジェ一ムズ・ボンドを助ける女性やボンドを狙う女性をボンドガールと呼んだ。ボンド映画の手法を取り入れて狂四郎ガールを設定し、これが受けた。

将軍の娘とキリシタン女僧

『女妖剣』には2人の女性が出てくる。1人は將軍の娘の菊姫(毛利郁子)。この女性は顔の下半分に火傷(やけど)のようなデキモノのようなものがあり、常に顔を隠している。それだけならよいのだが、菊姫は美しいものを憎み、大奥の美女をアヘン患者にし、薬が切れ苦しむ様子を楽しんだあと殺害し、全裸にして川に捨てる。

また若い美男を持て遊んだ後、同じく殺す狂女である。狂四郎に素顔を見られ、恥ずかしめを受けた菊姫は逆上する。その後シリーズには狂四郎の宿敵として能面をつけた菊姫が度々登場するようになる。『007/ノ一・タイム・トゥ・ダイ』(2021)には能面をつけ、顔に奇妙な痣(あざ)をもつ悪役がボンドの敵として現れるが、菊姫をモデルにしたのではないだろうか。

『女妖剣』には聖女が1人出てくる。キリシタンの尼僧のびるぜん志摩(久保菜穂子)だ。隠れキリシタンの信頼を一身に集める美しい指導者である。ところが、実は財力を欲しがる曲(くせ)者なのだ。

尼僧を信じて死んでいった者たちに代わり、その正体を知った狂四郎が『お前を斬る』と言うと、尼僧は開き直り『私を斬れるでしょうか』と、金を背に美貌を誇るのだ。聖女に見えた大悪女である。もちろん、狂四郎は斬って捨てる。金と美貌を無視する狂四郎を信じられないといった表情で死んでいく尼僧。

『眠狂四郎』シリーズに出てくる女性は、ほとんど狂四郎の命を狙う悪女である。雷蔵の女性ファンは、どう感じていたのだろうか。今にして思う。悪女をバッサバッサと斬る眠狂四郎に魅了された女性ファンは、同性として、悪女、偽りの聖女が許せないと感じていたのではないか。眠狂四郎は女性の本音を表わしている。サイコドン ハ トコヤンサノセ。(脚本家)

土浦藩の町人・武士13人 それぞれの「まなび」 博物館で特別展

3
展示物の双六(すごろく)を複製して実際に遊べるようにした展示を紹介する土浦市立博物館の井上翼学芸員

「まなびのかたち―江戸時代のキャリアデザイン」をテーマに掲げた特別展が15日から土浦市中央、同市立博物館で始まる。同館が1988年の開館以来地道に調査、収集してきた史資料から、特に江戸時代の土浦藩で活躍した武士と町人13人の事績を紹介、それぞれの「まなび」の系譜をたどる。

13人は土浦藩土屋家の第2代藩主、政直(まさなお)と第10代寅直(ともなお)をはじめ、町人から5人、武士から6人で構成される。政直を除けばほぼ江戸時代後期に活躍した人物群だ。

町人は幕末期に寺子屋を開いた沼尻墨僊(地理・天文学者)、墨僊に学んだ尾形とみ(商家の女主人)、色川三中(国学者、商人)、内田義制(関東取締出役の道案内)、辻元順(医師)の5人。武士は関知信(砲術指南役)、山村才助(地理学者)、岡部洞水(藩のお抱え絵師)、藤森弘庵(藩校郁文館の教師)、関雪江(書家)、長島尉信(農政学者)の6人だ。

これまでも特別展など何らかの形で紹介された人物だが、内田義制がきちんと取り上げられるのは今回初めて。博物館が収集、あるいは個人から預かって管理している図画や文書のほか、墨僊の傘式地球儀や大店(おおだな)のひな人形などの標本を展示した。

 

沼尻墨僊制作の傘式地球儀(左)と渾天儀

水戸市の県立歴史館から借り受けた国重要文化財「一橋徳川家席順」も展示される。藩士の中でも藩主に会えるのは「席順」の上位者に限られるなど、当時の厳格な身分制度を表す文書となっている。同様の史料が土屋家文書の中にもあったことから、その対比を見せる形での展示となる。

この身分制度は当時の双六(すごろく)遊びの中にも投影され、最初のふりだしで低位の役職を選ぶとなかなか上位には行きつけない。ゴールの「大老」まで63マスで構成される双六は実際に遊ぶこともでき、「学び」の一端になっている。

◆第46回特別展「まなびのかたち―江戸時代のキャリアデザイン」は15日(土)~5月6日(火)、土浦市立博物館(土浦市中央1)で開催。開館時間は午前9時~午後4時30分(月曜休館)。入館料:一般200円、高校生以下無料。併せて博物館では13人に関連する史跡・遺産をめぐる「土浦城ウオッチング」を20日に開催する(要予約)ほか、永井博県立歴史館歴史資料課特任研究員と千葉真由美茨城大学教育学部教授による記念講演会を4月17日、県県南生涯学習センター(同市大和町)で開く予定だ(参加無料、要予約)。問い合わせは電話029-824-2928(同館)へ。

土浦城「御城印帳」「御城印」を刊行

 

土浦城「御城印」(手前)と2種の「御城印帳」

特別展開催に合わせ同博物館は15日から、新デザインの土浦城「御城印(ごじょういん)」と土浦城「御城印帳」を刊行する。御城印は第3弾、御城印帳は第2弾となる刊行で、前回分はすでに完売となっていた。

御城印帳は全体色調を一新し、表紙には土浦城櫓(やぐら)門と東櫓、歴代の城主たちの家紋と日本の伝統的な和模様を配した。すみれ色と草緑の2種がある。A5判、42ポケット。1冊2500円(税込み)。

御城印は5000部を作成。1枚300円(税込み)で販売。第2弾は完売となっているが第1弾は数百部の残部があるそうだ。博物館のほか土浦市観光協会(同市中央)で販売する。(相澤冬樹)

閉まるシャッターと接触し来庁者が顔面打撲 つくば市役所

40
つくば市役所

つくば市は14日、同市役所本庁舎1階ロビーで13日午後4時45分ごろ、歩行中の来庁者が、受付時間終了の4時30分に合わせて閉鎖作動中だった防犯シャッターに接触し、顔面に打撲を負う事故があったと発表した。

市管財課の発表によると、けがを負った来庁者に対し、市の保健師が応急措置を行い、医療機関への受診を促した。市は引き続き通院状況に応じた適切な対応をしていくとしている。

通常、防犯シャッターが閉まる時は、市が警備を委託している会社の警備員が安全確認を行うところ、事故時、シャッターが完全に閉まる前に警備員が持ち場を離れ、安全確認を行わなかったとしている。

市は、警備を委託しているビルメンテナンス会社のともゑに対し、安全管理を徹底するよう改めて強く指導したほか、市としても庁舎の安全対策に努めていくとしている。

貴重な野生種、最新の園芸品種など500点を展示 16日から「つくば蘭展」

3
空中で栽培されるラン。7割が着生植物といわれる

筑波実験植物園

世界有数の野生ラン保全施設である国立科学博物館 筑波実験植物園(つくば市天久保)で16日から、企画展「つくば蘭展」が開催される。同園が保有する「つくばコレクション」のうち開花中の貴重な野生種約200 点と、協力団体が丹精込めて育てた普段見ることのできない最新の園芸品種や失われつつある貴重な古典品種など300点の計500点を公開する。

今回は、学習帳の表紙を撮り続けたことで知られる写真家で自然ジャーナリストの山口進さん(2022年逝去)の渾身の力作「ランと昆虫の共生をとらえた」の追悼展示や、オーストラリアやヨーロッパの野生ランの実物も展示する。

バケツランの写真の前で説明する遊川知久さん

同館植物研究部 多様性解析・3保全グループ長の遊川知久さんによると、ラン科植物はキク科と並んで種類が多く、2万8000種の野生種がある。その姿は多様性に富み、一目ではラン科とはわからない種もある。見分ける方法は、特殊化した花弁と花粉、小さくて軽い種子、クッションのような根などの特徴だ。7割は着生植物で木の上で生活している。身近にもラン科の植物がいて、ネジバナなど普段雑草とし扱っている繁殖力の高い種類もいるという。

研修展示館入口付近に展示するのが、バニラの木。バニラもラン科だという。メキシコ産のバニラ・プラキフォリア、バニラアイスなどでおなじみの香りを持つ。遊川さんはボルネオ産のバニラ・ボルエンシスを比べて、おびき寄せる動物の違いでも匂いが変わってくると説明する。

メキシコ産のバニラ・プラキフォリア(中央左)とボルネオ産のバニラ・ボルエンシス(同右)

教育棟では、山口進さんによるランと昆虫の共生をとらえた貴重な写真のほか、虫をだまして命をつなぐオーストラリアやヨーロッパの野生ランの実物を展示する。熱帯資源植物温室では、つくば洋蘭会など愛好団体が育てた園芸品種など、研修展示館では筑波実験植物園のコレクションから世界の美しく、珍しい花を200点展示する。

遊川さんは「故山口進さんの写真は、何週間もかけて撮られたとても貴重なもので、ランと昆虫の不思議な共生のストリーを味わって欲しい」と来場を呼び掛ける。(榎田智司)

◆企画展「世界のランが大集合!つくば蘭展」は16日(日)~23日(日)、つくば市天久保4-1-1、筑波実験植物園で開催。開園時間は午前9時~午後4時30分(入場は4時まで)。関連イベントとして、植物園研究最前線と題した講座や、展示ガイド、オンライン講演会、栽培講座、持ち込み相談コーナー、鉢植え販売などのイベントも開催される。会期中無休。入場料は一般320円、高校生以下と65歳以上は無料。障害者手帳所持者とその介護者1人無料。つくば蘭展のホームページはこちら。詳しくは電話029-851-5159(同園)へ。

天才たちの老後(2)天賦の才《看取り医者は見た!》38

1
写真は筆者

【コラム・平野国美】今回は私が看た患者さんの話です。優秀な元物理学研究者でしたが、人付き合いが極度に苦手でした。引退後は引きこもるようになり、妻の作る食事にほとんど手を付けず、風呂を嫌がり、髪やひげも伸び放題でした。認知症を疑った妻は、認知症外来に連れて行きましたが、検査で簡単な引き算問題が出たところで診察室を飛び出し、外出を拒否するようになったというのです。

引きこもる部屋をのぞくと、椅子に座って寝ていた彼が「かっ」と目を開いて一心不乱に数式を書き始めたのです。その姿は不気味でしたが、どこか神々しくもありました。本人とはなかなか話せず、妻からこれまでのことを聞き出すと、若いころから奇行があったそうです。部屋にこもって数式を解いていて、食事を受け付けないこともたびたびあったそうです。

この日は、部屋にあったノートやメモ書きを少しもらって帰りました。この方は認知症なのだろうか? 紙に書かれた数式は落書きなのか? 何かを意味するものなのか? 高校の数学が赤点だった私にはまったくわかりません。

ところが、パソコンを使って、今はやりの人工知能に、ノートに書かれた数式を読み込ませると、「ロジスティック成長モデル」「ロンドン」「マクスウェル方程式」といったキーワードが出てきます。数式が合っているのか間違っているのか分かりませんが、何か意味のあるものが書かれていることは間違いなさそうです。

ある日の昼過ぎに診療に出向くと、やはり何かを解こうとしています。私と目さえ合わそうとしないので、その日のラスト診察に順番を変更して、夕方に再度出向くと、まだ計算をしておられました。1時間後、鉛筆を置いたところで、「解答は出ましたか?」と話し掛けました。

すると「解答は初めから分かっている。問題は、この数式が何を表現しているか? 美しいか? 醜いものか? そこなんだよ」と、神々しい答えです。「先生は頭が衰えているわけではないですね?」と話しかけると、「いや、大分衰えてきたよ。昔は紙と鉛筆を持たずに頭の中だけで完結できたからね」。おそらくこれが真実なのでしょう。

幼いころから難聴があり、ご両親は心配されたようです。しかし、独特の感性を認められて研究所に入ったようです。奥様の話では結婚し一緒に生活して、あまりに社会性や常識がないので驚いたそうです。金銭欲も出世欲もなかったそうです。

この方を認知症と呼ぶわけにはいかないと思います。この方とお会いしたあと、分野は違いますが同じタイプの方とお会いしました。そして私は、Gifted(ギフテッド、天賦の才)という言葉にたどり着きました。(訪問診療医師)

「サービスとエリアを拡大」 J:COM茨城の海老澤社長【キーパーソン】

12
海老澤孝一さん

ブランド名「J:COM茨城」の土浦ケーブルテレビ(本社・土浦市真鍋)は元々土浦地区を対象にしたケーブルテレビ会社として発足したが、今では県南を中心とした13市町村にサービスエリアを拡大、テレビ番組の放送だけでなくインターネットを活用する各種サービスを提供する会社になっている。サービスメニューとエリアを広げる戦略について海老澤孝一社長に聞いた。

ネットがサービスの柱に

本社は「つくば霞ケ浦りんりんロード」沿いに建つビルの中にある。裏手にはJ:COMロゴ入りの軽自動車を止める駐車場が確保され、県南地区へのサービス提供に出動できる体制が整っていた。

発足時(1983年)と現在の違いを聞いたところ、「元々ケーブルテレビ事業者、つまり電波障害を解消する補完メディアとしてスタートした。その後、インターネットによる通信サービスを事業に加え、今ではネットに付随するインフラを地域に提供する会社。メディア事業者として地域密着のテレビ番組も情報発信しており、生活インフラサービスとメディアとして地域情報を提供する特異な会社と言える」

サービスメニューは豊富で、電信柱経由で各戸に引き込まれた同軸ケーブルと、光ファイバーを使った①多チャンネルテレビ②インターネット接続③固定電話のサービスをベースにしながら、④ネット経由の防犯カメラ設置⑤住宅への太陽光発電パネル付設⑥電気・ガス・格安スマホ・小額短期保険の販売―にまで手を拡げている。

ケーブルは光ファイバー化

ユーザーとの契約は、インターネットとスマホは増えているものの、多チャンネルテレビは横ばい、固定電話は減少傾向にある。一方、アマゾンプライムビデオ、ネットフリックスなどの動画サービスを高速・大容量ネットで視聴する若者層が増えていることから、同軸ケーブル網を光ファイバー網に切り替えている。

工事は2024年夏から始まっており、サービスエリア(J:COM契約が可能な23万世帯)の光ファイバー化の完了は27年春になる。投資額は25億円という。

水戸地区でもサービス展開

光ファイバー化は、ベースになるサービスの強化、ケーブルを活用した新サービスの提供を狙ったものだが、対象エリアも広げている。自社ケーブルだけではなくNTTの光ケーブル網を借り受け、インターネットと固定電話の契約に絞って、今年から水戸・笠間エリアでもサービスを開始したそうだ。

「茨城はケーブルTV事業者が少ない。県庁所在地に事業者が存在しない唯一の県。事業者が存在する日立、県西、つくばの各エリアには進出しないが、今後は県央、県北、鹿行の各エリアには(他社ケーブルを借りる形で)出て行く」

言い換えれば、フルサービス地区の市町村(かすみがうら市、つくばみらい市、つくば市茎崎地区、阿見町、美浦村、牛久市、取手市、守谷市、常総市、石岡市、土浦市、利根町、龍ケ崎市)に安住することなく、メニューを限定して他エリアにも事業を拡大するということだ。

番組は地域密着が基本

J:COM茨城は、県南を中心としたローカル番組を地デジ11チャンネルで、全国展開するグループ局の番組などを同10チャンネルで提供している。最後に「地域に密着するテレビ番組」について聞いた。

「地域のイベント、暮らし、安心安全情報などを取材した『ジモト・トピックス』などの番組で放送していく。好評の高校野球番組は、夏季大会の生中継だけでなく、地元チームの監督や選手への事前インタビューにも力を入れる」「昨年末には、全国37カ所で開かれた花火大会のダイジェスト版を一挙放送した。今後もこういった企画番組を通じて地元を活性化するメディアでありたい」

【えびさわ・こういち】大学中退後、小金井市民テレビ(現ジェイコム東京)入社。ジェイコム埼玉東日本常務を経て、2024年6月から土浦ケーブルテレビ社長。水戸市出身、57歳。地元資本で発足した同社は1995年からジュピターテレコム(当時は住友商事が出資、2010年にKDDIも資本参加、契約先560万世帯)のグループ会社に。J:COM茨城の契約先は6万9000世帯。売上高86億円、純利益5億5000万円(2024年3月期)。

【インタビュー後記】県南に張り巡らしたケーブルを使って各種サービスを展開。多チャンネル番組も自前チャンネル番組もこのケーブルを経由。地上波TV局がない茨城ではJ:COMの番組は貴重。番組充実と視聴エリア拡大を期待。(経済ジャーナリスト、坂本栄)

文豪風入院日記④《遊民通信》108

12

【コラム・田口哲郎】

前略

日に日に腸の調子が良くなってくると、だんだん気持ちに余裕ができた。自分がいる病床の周りのことに関心が向くようになる。同室ではないが、廊下を挟んで向かいの個室には長期にわたって入院している患者が入っている。長患いということは病気が軽くないのだが、意識がはっきりしていて、歩き回れる人もいるようだ。

私のベッドは出入り口に近いので、他の病室の様子がよく聞こえる。向かいの個室の患者は高齢男性である。声が大きいので、元気そうなのだが、どうやら腹部の腫瘍をとる手術を行い、そのまま療養しているようだ。その患者は夜になると何度かナースコールを鳴らす。

看護師が駆けつけて、どうしたのか聞くと、「娘がそこにいるだろう?」と必ず言う。看護師が娘さんは今はいないと答えると、そうか帰ったのか、と納得する。同じやり取りが毎夜、繰り返されていた。

昼間、私が談話スペースにある自動販売機に水を買いに行くとき、ナース・ステイションのカウンターで、男性が「娘が来るはずなんだが」と看護師に聞いていた。看護師は娘さんが来る予定は今日ないよ、と丁寧に応対していた。私は声だけで知っていた男性の姿を初めて見た。やさしそうで、気さくな感じである。私の入院中、その男性がステイションで同じようなやりとりをしているのに何度か遭遇した。

家族的な人の存在

その男性患者がどんな病気なのか詳しく知る由もないし、家族関係がどうなのかもわからない。でも、男性が娘さんを待っているのは事実である。至れり尽くせりの医療を受けて、体は回復しているが、元気になってくると、心もはっきりとしてきて、体と同じように癒しを求めるのかもしれない。

ふと、人間にとって必要なものは何なのかを考えた。真っ先に浮かぶのは、衣食住であろう。それが満たされて、もし病気になっても、健康が回復し、必要になってくるのは家族あるいは家族的な人の存在なのかもしれない。

私は男性がさびしそうだとか、哀れだとかは思わなかったが、それでも早く娘さんに会えれば良いと思った。結局、私が入院している間、娘さんは現れなかったのである。ごきげんよう。

草々

(散歩好きの文明批評家)

新たに5課で残業代未払い つくば市 全庁調査結果

22
つくば市役所

生活保護業務などを担当するつくば市社会福祉課職員に対し、残業代(時間外勤務手当て)と特殊勤務手当ての未払いがあった問題を受けて(24年5月9日付)、他の課にも同様の未払いなどがなかったか、同市が昨年6~7月に全庁的な調査を実施した結果、新たに社会福祉課以外の5つの課で残業代未払いなど不適正な労務管理があったことがわかった。12日の市長定例会見で明らかにした。

市人事課によると全庁調査の結果、不適正な労務管理として職員から「(時間外勤務を)1時間以上やらないと(手当てが)付かない」「夜7時以降(の勤務)でないと付かない」「所属長に(時間外勤務手当ての)申請が認められない」など課の慣習や所属長の認識不足に関する回答が寄せられたという。

全庁調査は昨年6~7月、非正規職員を含む約3900人を対象に、実名で回答することを条件に庁内のネットワーク回線でアンケート調査を実施し、1203件の回答があった。そのうち不適正な労務管理があったと回答した職員にヒヤリングなどを実施し、新たに5つの課で残業代の未払いがあったとした。

今後は5つの課の職員を対象に、法的に未払い分を請求できる過去3年間にさかのぼって、対象人数や未払い時間などについて調査するとみられる。5つの課の名称は現時点で未公表。

一方、市社会福祉課職員に対する特殊勤務手当てと残業代未払いのうち(25年3月6日付)、まだ支払われていない残業代の支払い対象者は14人だとした。支払い時期について市人事課は、25日が最終日の市議会2月会議に未払い金の遅延損害金の議案を追加提案するのは難しいとし、できるだけ早期に支払いの手続きを進めたいとするにとどまっている。(鈴木宏子)

「楽しむことを諦めないで」インクルーシブ映画上映会 30日 つくばで

0
過去に開催されたAYAインクルーシブ映画上映会の様子(NPO法人AYA提供)

大きな声を出しても、動き回ってもOK

病気や障害を理由に、楽しむことを諦めないでー。そんな思いから生まれた「AYAインクルーシブ映画上映会 」が30日、つくば市稲岡、イオンモールつくば内の映画館 USシネマつくばで開かれる。上映作品は、映画ドラえもんシリーズ45周年記念作品の「のび太の絵世界物語」。イベントを企画したのは、医療的ケアが必要な重い病気や障害のある子どもと家族らがスポーツや芸術、文化を体験する場を提供するNPO法人AYA(東京都)だ。代表理事で医師の中川悠樹さん(41)は「会場では大きな声を出しても、じっとしていなくてもいいし、医療機器のアラーム音が鳴っても大丈夫。医療従事者もいる。大きなスクリーンで見る映画は絶対に楽しいはず」と来場を呼び掛ける。

体験を諦めざるを得ないのは社会課題

NPO法人AYA代表理事の中川悠樹さん(同)

AYAは2022年の団体設立以来、「健常の子どもが体験することを、病気や障害がある子どもにも体験してもらいたい」という思いから、スポーツ観戦や、小笠原諸島での海水浴等、多数のイベントを企画してきた。映画上映会は、過去の企画に参加した病気を持つ子の母親の声がきっかけだった。

「2000円握りしめて劇場に行けば映画が楽しめる、と言うのが一般的な感覚。でも私たちの社会には、周りの環境が整わずに映画にすらいけない人がたくさんいる」と中川さん。理由は、病気や障害の重さや、スロープやバリアフリートイレの有無だけでない。大声が出る、歩き回ってしまうなどの特性や、人工呼吸器のアラーム音、吸引機の機械音などが周りの迷惑になるのでは、という不安からくる遠慮があると言う。「『これがしたい』と思うことすら諦めている当事者や家族がいる。子どもたちがいろいろな体験を諦めざるを得ないのは社会課題」だと中川さんは指摘する。

上映会ではあらかじめ参加者に「医療機器のアラームが鳴る」「声を出したり動き回る」ことがあると周知し、歩き回っても足元が見えるよう照明を明るめに設定する、医療従事者を最低1人必ず会場につけるなどし、参加者が安心して映画を楽しめるよう配慮する。

環境さえ整えば体験できる

2023年に神奈川県川崎市で最初の上映会を開催した。その後、協力の輪が広がり、24年3月から6月にかけて「AYAインクルーシブ上映会2024春」を開き、全国11都府県で13回の上映会を実施し、延べ2056人が参加した。同年8月から10月の上映会では12劇場で約2000人が来場した。今年1月から3月初旬にかけても全国10か所で映画「モアナと伝説の海2」を上映した。参加者からは「家族で映画館に行けると思っていなかった」「兄弟にも我慢させてたけど、初めて家族で行けた」などの感想が寄せられているという。今回の上映会は、3月22日から6月15日にかけて、つくばを含む全国22か所で開催する予定だ。

中川さんは「いろいろなことを子どもに体験させたいと思う親は多いはず。体験する環境が社会に整っていないのが、今」だと話す。その上で「実際に映画を見て楽しんでいる姿を劇場の人に見せることで、劇場をより使いやすいものにしたいと思ってくれれば。実際に『これ、またやりましょう』と言ってくれる劇場の方もいる。病気や障害のある人を受け入れる事業者のハードルを下げることも我々の役目」だと話す。

「病気や障害を理由に諦めてしまう体験はゼロにしていきたい。周りの環境さえ整えば、病気、障害があっても体験できることはある。私たちの活動がきっかけになり、当事者や家族の方たちが社会に参加するきっかけになれば」と中川さんは思いを語る。(柴田大輔)

◆「AYAインクルーシブ映画上映会 in つくば」は3月30日(日)午前10時から上映開始。場所は、つくば市稲岡66-1イオンモールつくば2F、USシネマつくば。料金は、車いす席は全年齢1000円、一般席は3歳以上が1000円。2歳以下の子どもは保護者の膝上で鑑賞の場合は無料。事前申し込み制で、NPO法人AYAの公式LINEより申し込む。締め切りは19日(水)。応募多数の場合は抽選となり、抽選結果は24日(月)に応募者にLINEで連絡する。詳細は公式イベントページへ。

武谷三男著「市民の論理と科学」《ハチドリ暮らし》47

0
写真は筆者

【コラム・山口京子】前回コラム(2月11日掲載)で触れたように左足を骨折して、病院に行くほかは家の中での生活となりました。図書館にも本屋にも行けず、家にある本を読み直しています。久々に本棚を見ると、古い本が並んでいます。結婚、引っ越し、リフォームの際にかなり処分しましたが、捨てられなかった本です。あとで読み直そうとしたのでしょう。本棚に眠っていた本を手に取ってみました。

その中の1冊を取り上げます。1975年に出版された「市民の論理と科学」(武谷三男著、筑摩書房)です。「人権の哲学」のために、日本的無責任の論理を生みだすもの、技術とはなにか、市民の論理と科学、という4章から成っています。

著者が理論物理学者・哲学者だと略歴で知りました。当時の公害と闘う市民運動を支援していて、運動の根本は人権を守る闘いであると述べています。人権の論理を据えることで、様々な出来事がどんなふうに見えてくるのか語っています。

技術革新については、戦時中の戦争技術を平和的利用に転換することが基本的な性格であり、そもそも技術は乱暴な性格を持っている、現代技術は大量生産・消費の上に乗っかっており、エネルギーも大量に消費する、そうしたことを踏まえると戦時のやり方を戦後産業にそのまま持ってきたわけで再考の余地がある―と。

公害と地球汚染への視点

安全性という概念を元にすること、公害は結果であるから起こってしまったらもうおしまいだ、安全が確認されていないことはやってはいけない、疑わしいものは止めろというのが人権を守る原則だ―と。公害や労災の認定については、その原因以外で病気になったと証明ができない限り、その公害が原因であると認定するのが人権の立場である―と。

地球汚染については、GNP(国民総生産)に比例して地球が汚染されたのだから、GNPに比例した世界税を徴収して、まだ汚染に加わっていない諸国民の発展のために使え―と。「人権という言葉と実態を掘り下げ、市民として活動して切り開こう」ということでしょうか。これからの社会や人間を考えるにあたり、深い意味が込められた本だと思いました。(消費生活アドバイザー)

住民15人が最高裁に上告 鬼怒川水害訴訟 

0
記者の質問に答える(左から)只野靖弁護士と、原告団共同代表の片倉一美さん=東京高等裁判所司法記者クラブ

2015年9月の鬼怒川水害で、常総市の住民が甚大な被害に遭ったのは国交省の河川管理に落ち度があったためだなどとして、住民らが国を相手に起こした国家賠償訴訟で、二審判決を不服とした住民15人(法人1社を含む)が11日、最高裁に上告した(2月26日付)。

2月26日に出された二審の東京高裁判決は、住民側が、高さの低い堤防の改修を後回しにしたことが水害被害を受けた上三坂地区の堤防決壊につながったと主張したのに対し、「国の改修計画は不合理とは言えない」とし、国に責任があるとした住民の訴えを退けた。

一方、越水による水害被害を受けた若宮戸地区については、住民側が、太陽光パネル設置を目的に民間事業者が砂丘林を掘削し、自然堤防となっていた砂丘林から堤防の機能が失われたのは、同地域を「河川区域」に指定し開発を制限しなかった国に責任があると主張したのに対し、一審は住民の主張を認め、若宮戸地区の住民9人に約3900万円の損害賠償を支払うよう国に命じる判決を出した。これに対し住民も国も双方が控訴し、二審も国の責任を認めたものの、住民への賠償金額が一審から約1000万円低い約2850万円となった。

住民側の只野靖弁護士は上告審について「上三坂地区は国の責任が認められていないので、そこを争う。若宮戸地区は責任は認められたが賠償金額を削られたのは不当だと主張する」と説明した。

原告団共同代表の片岡一美さん(71)は「国民の生活を守るのが国や司法の役目」と話し、「(堤防が低かった)上三坂地区の堤防が真っ先に改修されていたら、私たちのような被害者は生まれていなかったし、亡くなる人もいなかった」とし、「一番怖いのは堤防が決壊すること。決壊する原因の9割は、越流(水があふれること)だ。常識的に考えれば、堤防で問題になるのは幅より高さで、低いところから改修するというのは単純明快。国のやっている河川行政はおかしい」と上告審への思いを語った。

鬼怒川水害では、豪雨により常総市内を流れる鬼怒川の堤防の決壊や越水があり、市内の約3分の1が浸水した。同市では、災害関連死を含めて15人が亡くなり、住宅被害は全壊53軒、半壊5120軒、床上浸水193軒、床下浸水2508軒に及んだ。(柴田大輔)

「地層に弱点、絶対に再稼働ダメ」脱原発など訴え市民団体がつくばで集会

6
「福島を忘れない」などの横断幕を一斉に掲げる参加者

3.11から14年

東日本大震災から14年が経った11日、「さよなら原発!守ろう憲法!」と題した昼休み集会&パレードがつくば駅前のつくばセンター広場で開かれた。市民団体「脱原発ネットワーク茨城」共同代表の小川仙月さんが登壇し「東海第2原発は地層に決定的な弱点がある。絶対に再稼働してはダメ」などと訴えた。

市民団体「9条改憲NO!市民アクションつくば連絡会」と「『東海第二原発いらない首都圏ネットワーク』つくば」が主催した。東日本大震災翌年の2012年3月11日から、毎年開催している。約60人が参加し、集会後つくば駅周辺をデモ行進した。

小川さんは、原発が立地する地層について「ほとんどの日本の原発は海岸線の半島の先端に立地し、『解放基盤面』という固い地層の上に立っている。例外は東海第2原発と柏崎刈羽原発。東海第2原発は地表からマイナス370メートルのところでないと解放基盤面に相当する固い地層が出てこない。地層に決定的な弱点がある。防潮堤問題も本質的な問題は地層。原発を建ててはいけないところに建てた」などと話した。

東海第2原発の地盤について話す小川仙月さん

震災当時、8歳と3歳の子どもを連れて福島県いわき市から自主避難し、現在都内で暮らす「福島からの避難生活を守る会」の鴨下美和さん(54)と長男の全生(まつき)さん(22)もスピーチした。美和さんは、14年経っても続く避難者の苦難を語り、夫の祐也さんが大腸がんを患い昨年は10回の入院を経験したこと、心臓にも異常が見つかったことなどを話し「福島県では急性心筋梗塞で死亡する割合が全国平均の2倍になっている。不思議なことがたった今、福島で起きている」などと話した。さらに国が2017年に提供を打ち切った避難住宅から退去しなかったため、東京都から訴訟を起こされていることなどを語り「夫は心労がかさんで心も体も疲れてしまって、それでも裁判を闘わなくてはならない」などと話した。

全生(まつき)さんは、17歳の時にローマ教皇の前でスピーチした手紙を読み上げ「汚染された大地や森が元通りになるには僕の寿命の何倍もの歳月が必要。大人たちは汚染も被ばくもこれから起きる可能性のある被害も隠さず伝える責任がある。うそをついたまま、認めないまま先に死なないでほしい。原発は国策。そのため原発を維持したい政府によって被害者の間に分断が生じ、傷ついた人同士が互いに隣人を憎しみ合うよう仕向けられてしまった」などと訴えた。

14年経っても続く福島の避難者の苦難について話す鴨下美和さん(左)と長男の全生さん

主催者を代表して山本千秋さんは、石破政権が第7次エネルギー基本計画で原子力を最大限利用すると方針展開したことに対して「世界は再生可能エネルギーに切り替えていく方向で大きく動いている。日本は逆走している。日本は再生可能エネルギーの道を進んでいくべき」などと述べた。

参加者の一人で、震災の翌年から毎年参加しているという市内に住む女性(75)は「震災で亡くなった人の鎮魂と、原発を絶対に止めないといけないという思いで毎年参加している」などと話していた。(鈴木宏子)

つくばセンター広場からデモ行進に向かう参加者=つくば駅前

女性のさらなる社会参加を 国際女性デー 50カ所にミモザ

0
ホンダカーズ茨城西研究学園店の店頭に飾られたミモザのフラワーアレンジメント

関彰商事

「国際女性デー」の8日から、関彰商事(本社・筑西市、つくば市、関正樹社長)グループ企業の県内外の拠点や店舗50カ所に、黄色いミモザをあしらったフラワーアレンジメントが飾られている。

国際女性デーは、20世紀初頭に行われた女性による政治参加を求める運動が始まりで、1975年に国連が女性の平等な権利を願う日として制定し、現在ではジェンダー平等の実現を目指すものとしても世界各国で様々なイベントが開催されている。黄色いミモザがこの日のシンボルとなったのは、同日を「女性の日」とするイタリアで、男性から女性に日ごろの感謝を込めてミモザの花を贈る習慣が広がったものだとされている。

セキショウホンダ(つくば市東新井 路川淳一社長)の自動車販売店ホンダカーズ茨城西研究学園店でも8日から店頭に、黄色いミモザをあしらったフラワーアレンジメントが飾られている。同店で接客全般を担うCAスタッフの成田和美さんは「入り口に花があることで、実際にお客様との会話が生まれている」と話す。

同社の雰囲気について「何かあれば『ありがとう』とあいさつをし合うなど、当たり前のことを当たり前にできている職場で、女性スタッフが頼られていると実感できる場面も多く、男女関係なく頑張ることができる」とし、「自分の希望を伝えやすい配慮があり、育休制度も取りやすい。また、制度が周知されているので、復職もしやすい。女性向けの研修もある」と社内での取り組みについて話す。

関彰商事では、社内での女性活躍を進める取り組みとして、有期雇用者の社員登用など女性を積極的に採用しているほか、管理職への登用、営業職・技術職への積極的な配属など職域を拡大している。2024年度は女性36人、男性8人が育児休業を取得している。役員、管理職に就く女性は、それぞれ2人、22人となっている。

関彰商事広報の石井雅也さんは「整備士など従来、男性比率が高い職種では、一般的に『男性の仕事』という思い込みもある。しかし女性の整備士の雇用も進んでいる。今後も幅広い職種で女性の雇用を増やしていきたい」とし、「ミモザを、販売店など地域の方が目にするところに飾ることで、国内では周知が行き届いているとは言いにくい国際女性デーをより多くの方に知っていただき、さらなる女性の地位向上へのきっかけにつなげていければ」と思いを語る。(柴田大輔)

「たなごころ」「絵ごころ」《続・平熱日記》177

3
絵は筆者

【コラム・斉藤裕之】「たなごころ」という優しい言葉があって、元は「手の心」から来た掌(てのひら)を指す言葉。この「こころ」を英語に訳そうとすると、spirit? Soul? mind? どれもちょっと違うような気がする。漢字よりもひらがなの「こころ」が似つかわしいと思う。

似た言葉に「絵ごころ」という言葉がある。日本語にはこの「こころ」が付いた言葉がたくさんあることに改めて気づく。母心、真心、幼心、気心、出来心…。

思い起こせば私自身、現代絵画に背伸びしながら首を突っ込もうとしていたころは、「こころ」なんていうおセンチな要素はあまり出番がなくて、それは当時「ナラティブ」とか「リリカル」などといわれて敬遠されたり、「メタファー」なんて曖昧な言葉でくくられたり、用語として使われる言葉はほとんどがカタカナや難しい漢字ばかり。

では、この「絵ごころ」というのは何かというと、それは俳句などの「詩ごころ」にも通じる「こころ」なんだと思う。普段何気なく見ている風景や季節、人の営みなどの中に何か見つけ、言葉にしていくような…。例えば、印象派の絵画が日本人にウケる理由のひとつは、この「絵ごころ」を感じ取れるからじゃないか。

「ええころじすと」

転じて、私が日々ダラダラと描いている「平熱日記」も、実は「絵ごころ」が描かせているのではないかと思えてきた。

そこで、「絵ごころ」というやや抽象的でモヤっとしたものと「ロジック」を合わせて、「えごころじー」というのを思いついた。ちょっと安っぽい造語だけど、我ながら気に入った。ついでに、「いいかげん」のことを私の故郷では「ええころかげん」と言うのだが、これをいい意味で「ええころじー」と名付けた。

自称「えごころじすと」とは恥ずかしくて言えないが、「ええころじすと」の資格は十分にある。

さて、国内屈指の現代絵画のコレクションで知られる川村記念美術館(千葉県佐倉市、半夏生の季節に妻とよく訪れた思い出深い場所)。折しも縮小移転が物議を醸している最中、友人に誘われるも体調不良でキャンセル。我々世代にとってのスーパースター達の絵画を「えごころじすと」の眼で改めて鑑賞したかったのだが…。

三寒四温。なじみのカフェで、温かいコーヒーの入った器に両手を添える。すると、それを作った人の「たなごころ」を感じる。「ピカソよりラッセンが好き…」というお笑い芸人のネタが頭に浮かんだ。(画家)

フルートとピアノの若手ユニット つくば 夢工房で23日コンサート

0
Muses du sonの(左から)森田さんと荻さん

昨年7月水戸で結成

つくば市豊里の杜のギャラリー夢工房で23日、若手音楽家のユニットMuses du son(ミューズ デュ ソン)がマチネコンサート(昼公演)を開く。「春に舞う あたたかな風ときらめく音」と題し、春らしい軽やかで楽しいイメージの楽曲を多く披露するほか、言葉や香り、装いなどの要素を加え、空間までも表現の一つとしてデザインする。

(左から)森田さんと荻さん

ミューズ デュ ソンは水戸三高音楽科出身の2人によるユニットだ。フルートの荻美波さんは潮来市出身、高校卒業後パリ・エコール・ノルマル音楽院で学び帰国。現在は東京フィル主席フルート奏者の斎藤和志さんらに師事する傍ら、フリーランスの演奏家として活動中。能力を最大限に発揮する体の動かし方や重心位置などの身体理論「4スタンス理論」で知られるREASH(レッシュ)マスター級トレーナーの資格を持ち、同理論をフルートの指導にも取り入れている。鹿島高吹奏楽部の外部講師でもある。

ピアノの森田凪さんは笠間市出身、東京音大ピアノ演奏家コース卒業。第35回国際古楽コンクール審査員奨励賞受賞。水戸芸術館「第27回茨城の名手・名歌手たち」「プロムナード・コンサートEXTRA」などに出演。ソロや伴奏ピアニストとしての活動のほか、東京藝大別科で古楽器のフォルテピアノを学び、母校である水戸三高の非常勤講師も務める。

高校時代から互いに趣味や感性が似ていることは意識していて、「いつか一緒にやりたいね」と話してはいたが、当時はそれぞれの活動で忙しく、卒業後も年1回ほどの頻度で会う程度だった。昨年5月の再会を機に気持ちが再燃。「お互いに修業やコンクールへの挑戦などで苦しみ悩んでいた時期を抜け出して、演奏が楽しくなってきたところ。今なら一緒にできると思った」と森田さん。

昨年7月に水戸で結成記念ライブを行い、その後も都内のカフェやライブハウスなどで活動。「去年の公演はドビュッシー、武満徹、ピアソラなど自分たちのやりたいものばかりを詰め込み、クラシックになじみがない人には難しくなってしまった。今回のラインナップはサロン向けの小品などが中心で、初めての人にも楽しんでいただけると思う」と荻さん。

結成ライブの様子=昨年7月7日、水戸Girltalk

フルートとピアノというと主旋律と伴奏を連想しやすいが、この2人はそうではなく、互いに前に出たり背後に回ったりして支え合う関係。特に荻さんのフルートは、中低音で漂うような空気感を出したり、人の声や風の音を模したりといった特殊な奏法も駆使。さまざまな管楽器や打楽器も取り入れ、2人の手が届く範囲で色彩に富んだ音空間を作り上げる。

マチネコンサートのちらしデザイン。イラストはデザイン担当の森田さんが描いた

詩やイラストも手掛ける2人。今回演奏する曲の一つにはオリジナルのストーリーも付けた。「絵本を開くような気持ちで音楽の世界に入り込んでほしい」という言葉は、「空間ごとデザインする」このユニットの真骨頂といえそうだ。今後はイベント出演や子ども向けの企画なども含め、ジャンルの垣根を越えて幅広い音楽を届けたいという。(池田充雄)

◆Muses du sonマチネコンサート「春に舞う あたたかな風ときらめく音」は3月23日(日)、つくば市豊里の杜2-2-5、夢工房で開催。開場は午後1時30分、開演は2時。演目はセシル・シャミナード「コンチェルティーノ」、アンリ・ビュッセル「プレリュードとスケルツォ」、村松崇継「Earth」、小倉大志・組曲「星を掴みに出かけた音楽家たち」。入場料2000円。申し込み・問い合わせは電話090-4676-9623(夢工房)。Muses du sonのインスタグラム、X(旧ツイッター)、LINEはこちら

【お詫び】問い合わせ先の電話番号に誤りがありました。お詫びして訂正します。