日曜日, 7月 6, 2025
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人生の「旅の途中」切り取る オダギ秀さん写真展 つくばで3日まで

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見る人が思わず心象風景を重ねたくなるモチーフが並ぶオダギ秀さんの写真展

土浦市の写真家、オダギ秀さんの写真展「旅の途中」が、つくば市高野台のCafe&Galleryロダンで始まった。オダギさんが「人生という旅の途中で、目に触れたり、心に残ったりしたことをスケッチするように撮影した」という17点を展示している。

小さな頃からカメラに触れ、撮影歴は50年以上になるというオダギさん。2010年から開いている同展は13回目。日常の中で心に残ったことをスケッチするように切り取り、自身のホームページで公開してきた作品の中から、この半年内に撮影したものを中心に選んでいる。

こぢんまりとしたギャラリースペースに合わせて35×35㌢の額に統一して展示。水滴がついた網の上のクモ、いたずらっ子のような笑顔のお地蔵さま、枯れた曼珠沙華に横たわるアゲハチョウ‥見る人が心象風景を重ね、思わず語りかけたくなるモチーフが並ぶ。オダギさんが撮影した時の思いを綴った文章も添えられている。

訪れた人は、写真を先に見て回ってから文章をじっくり読んだり、写真と文章を交互に眺めたり、思い思いに鑑賞を楽しんでいた。昔からオダギさんのファンという、つくば市小田の飯塚睦子さん(78)は「写真からも文章からも、ほっとする優しい気持ちが感じられるのが素敵です」と話していた。

同展は11月3日まで。入場無料。(大志万容子)

巨匠モネ作品を特別展示 土浦新図書館・ギャラリー27日開館記念 41のイベントで盛り上げ

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27日オープンする市立図書館と市民ギャラリーが併設された「アルカス土浦」

土浦市立図書館と市民ギャラリーを核にした再開発ビル「アルカス土浦」が11月27日、JR土浦駅前にオープンする。開館を記念して、印象派の巨匠モネの「ポール=ドモワの洞窟」が特別展示される。モネの出身地フランスにちなんで来年1月末まで毎週土・日曜に、フランスと土浦の食、アート、文化をテーマに41のイベントが催され、にぎわいを演出する。

10月30日、定例記者会見でオープニングイベントを発表した中川清市長は「(41のイベントで)駅前からまちなかへ、ぶらりと歩いてみたくなるような雰囲気づくりを進めていきたい」と話した。一方、市の財政事情から経費を抑えたイベントとなるという。

モネの作品は県近代美術館が所蔵し、同館の移動美術館として1階ギャラリーに展示される。併せて「茨城ゆかりの洋画家たち」と題して、明治から大正期の洋画家、中村彝(つね)のほか、土浦出身の鶴岡義雄、塙賢三らの油絵など計59点が展示される。期間は11月27日から来年1月14日まで。

フランスにちなんだイベントは「駅前ぶらりライブラリー」と題して、アルカス土浦や市役所前のウララ広場を中心に開催される。

市民らが撮影した風景や笑顔の写真でつくる「ポール=ドモアの洞窟」のモザイクアート、県立土浦工業高校の生徒がペットボトルで作るエッフェル塔が展示されるほか、シェフによるフランス料理講座、ワイン通に知られる同市田中、土浦鈴木屋のワイン講座、マルシェ(市場)、コンサート、ワークショップなどが催される。

12月9日には村上龍など著名な作家の本の装丁を数多く手掛ける装丁家、鈴木成一さんのトークライブが開催。クリスマスイブの12月24日は1階屋外広場から4階屋上公園までをつなぐ屋外階段で、新郎新婦の門出を祝う届け出挙式なども催され、駅前を盛り上げる。

アルカス土浦のアルカスは、アートとカルチャーのスペースの頭文字をつなげた造語。1階が同市初の市民ギャラリー、2~4階が新市立図書館になる。図書館の面積は約5120㎡と県内市町村で最大規模。土浦駅西口からペデストリアンデッキで直結し、中心市街地を活性化する交流拠点となることが期待されている。

図書館の開館時間は平日が午前10時から午後8時。土日・祝日は午後6時まで。休館は第1月曜日を除く毎週月曜日で、月曜が祝日の日は開館する。駐車料金は2時間まで無料の方向で現在検討中という。(鈴木宏子)

鮮烈な色調「まっすぐ描き続けたい」 つくば市の金子安伸さん 洞峰公園記念館で作品展

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深い秋の色に仕上がった会心作「妙義連山」と金子さん=つくば市二の宮
新都市記念館で作品を鑑賞する入館者たち

高校生のときから絵筆を握ってきた金子安伸さん(75)=つくば市真瀬=の「絵が謳(うた)う」作品38点が、同市二の宮、洞峰公園の新都市記念館で展示されている。

金子さんは東京生まれ。日本画を描いた義兄の影響で絵画に興味を持ち、15歳から油彩の勉強を始めた。以来、仕事に従事し家庭を持っても絵画サークルなどで研鑽(けんさん)を積み、絵筆を離すことはなかった。

仲間や先輩たちの作品に学び、当初は柔らかな色彩で仕上げていたが、抑えた色では「絵が謳わない」と気づいた。それからは鮮明な色調にこだわり、各々が存在を主張する作品になったという。そんな金子さんが尊敬するのは「色彩の魔術師」と称されるフランスの画家アンリ・マティスだ。

「美しいものは光によって一瞬で変わる。それをすくい取って描きたい」という思いで仕上げた作品は油彩や水彩、デッサンまである。中でも、岩肌が際立つ妙義連山を題材にした油彩画は20年かけて描いてきた作品で、今展直前に最後の筆を入れた会心の作。

「人生100年の時代。次の個展を目指してまっすぐ描き続けたい」と話す。入場無料。会期は31日(火)まで。(橋立多美)

100人の筑波ジュニアオーケストラ 団員募集から1年 29日、ノバホールで第1回定期演奏会

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第1回定期演奏会に向け練習に熱が入る=つくば市竹園の筑波銀行

オーディションで選ばれた、小学1年生から大学生まで約100人が参加する「筑波ジュニアオーケストラ」(団長・藤川雅海筑波銀行頭取)の第1回定期演奏会が10月29日、つくば市吾妻のノバホールで開催される。昨年秋から団員を募集し1年で第1回定期演奏会にこぎつけた。

昨年12月から今年にかけ4回のオーディションを行い、現在小学1年生から高校生まで80人と大学生20人の約100人が所属する。つくば市を中心とした県南地域には個人向けの音楽教室が多く、個々の発表会は多いが横のつながりは少ない。そこで運営委員長で飲食チェーン店を経営する飯泉智弥さん(43)を中心に10人の実行委員が、子どもたちが成長できる場にと設立した。地域で育った子どもたちが将来、ふるさとと感じられる場所にしたいという。

活動の柱は「地域の人々と親への感謝の気持ちを大切にする」「友達をたくさん作り友情を育む」「合奏を通じて成長する」の三つ。プロの音楽家を育てるのではないが音楽好きの人口を増やしたいという。飯泉さんは「音楽人口が多い県南の子どもたちに、スポーツと同様に光を当てたい」と話す。

今年3月26日の入団式を経て4月9日から練習が始まった。毎週日曜日の午前中に2時間30分みっちり練習する。夏休みには3日間の合宿も行った。合宿を機に団員同士の連帯感も生まれ、成長が見られたという。事務局長で地方公務員の大野初美さんは「始めはバラバラだった音も調和するようになり、講師の言うことをすぐ理解できるなど、子どもたちの吸収力は早い」と話した。

つくば市周辺だけではなく、東京や千葉などから参加する子どもたちもいる。埼玉県八潮市からバイオリンで参加している小学4年の安斉涼治さん(9)は「皆と合奏するといろんな音が混じって音色がきれいになる。ゲームをするより合奏する方が楽しい」と笑顔に。母親のアリーシャさんは「送迎は大変だが子どもが楽しいと思うことをやらせたい。このオケに入って鳥肌が立つほど上手になった」とうれしそうだ。

29日は午後2時開演。演奏曲はシベリウスの交響曲「フィンランディア」、バッハ「二つのヴァイオリンのための協奏曲」、パッヘルベル「カノン」、ビゼー「アルルの女第1組曲、第2組曲」。指揮者はNHK交響楽団チェロ奏者で筑波ジュニアオケの音楽アドバイザー、桑田歩さん。入場無料。

問い合わせは同運営委員会(メールアドレスinfo@tjo.jp)。

【記者のひとこと】大学生が入っているとはいえ小中高生が主体なので、そこそこかと高をくくっていた。練習を取材するため会場に入った途端、迫力ある音に驚いた。当日は大学生全員が都合により不参加と聞いて2度驚いた。個人レッスンを受けている子が多いとはいえ、小さい子もいるオケで、この迫力は高評価されて良いと心底思った。(鈴木萬里子)

別室にて「カノン」を練習する。指導は事務局長の大野さん

 

オリジナルTシャツを紹介する運営委員ら。中央が委員長の飯泉さん

広島から5位ドラフト指名 霞ケ浦高、遠藤淳志選手「夢かなった」

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ドラフト会議で広島から5位指名後、記者会見に応じた霞ケ浦高校の遠藤淳志投手(中央)=阿見町青宿の霞ケ浦高校
広島東洋カープの「C」マークで霞ケ浦高校野球部員たちと記念写真に応じる遠藤淳志投手(中央)

プロ野球ドラフト会議が26日、東京都内で開かれ、5巡目で広島東洋カープが霞ケ浦高校の遠藤淳志投手(18)=土浦市出身=の交渉権を獲得した。26日夜の記者会見に応じた遠藤投手は「とりあえずホッとしている。2年後、3年後、自分がチームの一角として投げれるよう身体を作って頑張りたい」と抱負を述べた。

遠藤選手は「グローブの刺しゅうにも『夢実現』と入れていた。夢がかなってよかった。小学校に入学して野球を始めてから、ずっと(プロ野球選手になりたいと)思っていた」と述べ、プロ選手を目指す小学生たちに向けて「努力していけば夢はかなうことを小学生たちに伝えたい」と語った。

会見に同席した同校野球部の高橋祐二監督は「『早い指名はありえない』と思っていたが5位指名はビックリした。広島は12球団の中で一番練習するチーム。これから身体を作って、150㌔、155㌔を投げるピッチャーになると思う」と、今後への期待を寄せた。

元高校球児で父親の隆さん(64)は「小学6年のときから『プロ野球選手になりたい』と言っていた。その夢がかなった。これからは活躍してナンボ」と喜んだ。母親の遠藤美江さん(53)は「5巡目になっていきなりだったので、最初はびっくりした。感動で足が震えた。けがの無いように息の長い選手になってほしい」と語った。

遠藤投手は、身長184㎝、体重75㎏、右投げ右打ち。184㎝の身長から投げ下ろす角度のあるストレートと、縦に割れるカーブを投げ分けるのが武器。ストレートは最速142㎞を投げる。ほかにスライダー、フォークの球種がある。

市立斗利出小、新治中出身。少年野球チームの斗利出ベアーズ(当時)で小学1年から野球を始め、4年から投手として活躍。新治中軟式野球部を経て、霞ケ浦高校硬式野球部に入部。1年の夏には甲子園出場を果たしたものの、ベンチ入りできず、1年秋から念願のベンチ入りを果たした。
2年の夏の県大会4回戦では先発出場し完封する成績を挙げた。2年の秋からエースとして活躍が期待されたが、夏休み中に右手の甲を縫うけがを負ったため調整が遅れて登板できなかった。

悔しさをバネに、オフシーズンに練習を重ね、3年の春の関東大会ではベスト8進出の原動力となった。夏の県大会は2年ぶりに決勝戦進出を果たした。決勝戦では先発投手として200球を超える力投を見せ、延長15回の末、土浦日大に敗れ、惜しくも準優勝の成績を収めた。

会見後、同校野球部員たちに胴上げされ祝福された。県内では遠藤投手を含め4人の高校球児がプロ野球志望届を出したが、ドラフト会議でプロ野球球団に指名された県内の高校球児は遠藤投手のみだった。(崎山勝功)

男性不妊の専門外来2年、手術後妊娠54.4% 筑波学園病院「早めの受診を」

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妻のお腹にふれた男性の手には「すくすく育って」の思いが込められていた=つくば市上横場
男性不妊治療が専門の山崎医長(右から2人目)と内田医師に加え、看護師をはじめとしたスタッフが患者のサポートにあたっている

筑波学園病院(つくば市上横場、病床数331床)に男性不妊専門外来が設置されている。産婦人科が不妊治療に取り組み、高度な体外授精や顕微授精などを行う県内でも数少ない病院だ。同院の「男性」を冠にした不妊外来の専門医と、男性不妊治療をしたことで妊娠したカップルに話を聞いた。

これまで不妊は女性の問題とされてきたが、近年は男性側にも原因があることが解明され、男性に原因があるケースは半数近くに上る。不妊に悩むカップルは共に婦人科の門をくぐり、男性が不妊症の場合は泌尿器科で不妊治療を受けることになる。

婦人科を受診することをためらう男性は多い。実情に即し、同病院泌尿器科は2015年5月、一般外来の他に男性不妊専門外来を設置。男性不妊が専門の山崎一恭医長を中心に、専門外来診療と手術を行っている。山崎医長は「同性だから分かる。男のプライドと羞恥心が邪魔をする」と話す。

男性不妊の原因の多くが精巣(睾丸)の機能低下によるもので、乏精子症や精子無力症などが挙げられる。これらの疾患を引き起こす大きな原因となっているのが、睾丸周辺の静脈が太く腫れ、曲がりくねった状態になる精索静脈瘤。静脈を結び、血液の逆流をなくす手術によって検査結果や妊娠率の改善が見込まれるという。同病院は小さな傷口で迅速に治療できる手術用顕微鏡と腹腔鏡を導入。最新の治療法によって患者の負担は軽くなり、手術の件数が増えている。

山崎医長の着任から今年6月までに精索静脈瘤の手術を受けた患者79人中、妊娠したのは43人(妊娠率54.4%)に上る。山崎医長は妊娠率について「同時に女性側の治療も行われる事が多く、男性側の治療の結果なのか不明な点もある」と率直に語る。なお、妊娠の件数は自然妊娠の他に人工受精、体外授精、顕微授精を含む。

日本産科婦人科学会は1年以上妊娠しない場合を「不妊」または「不妊症」と定義しており、そこが治療を考えるタイミングか。山崎医長は「男女とも35歳を境に妊娠率は下降する。子どもが欲しいなら1年待たずに早めの検査と治療が望ましい」。

つくば市在住の男性(34)と妻(32)には小学1年の男児がいる。2人目が欲しかったが授からず、2人で検査を受けることにした。妻に不妊の症状はなかった。男性は昨年12月に同病院を受診して精索静脈瘤と診断された。3月上旬に山崎医長の執刀で手術を受けて5月末に妊娠が分かった。出産予定は来年1月中旬だという。

男性は「正直手術は怖かったし、男性機能が衰えるのではないかという不安もあった。ところが全身麻酔で目が覚めたら終わっていて、術後は痛みもないし平常通り。入院は1泊で医療保険の範囲内だったのも良かった。くよくよ悩むより一歩踏み出したほうがいい」。妻は「2人の問題だからと話し合って治療してきたことが良い結果を生んだと思う」と笑顔で語ってくれた。

男性不妊専門外来は山崎医長と泌尿器科の内田将央医師が担当し、診療は月曜と土曜日。完全予約制(予約センター029-836-6688)。

研究学園の交通量急増に危惧 天馬ちゃん通園の保育園で交通安全教室 ひき逃げ死亡事故受け

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天馬ちゃんが通った保育園で開かれた交通安全教室=つくば市研究学園

つくば市研究学園の市道交差点で、ひき逃げ事故に遭い死亡した和田天馬ちゃん(3)が通ったラ・フェリーチェ保育園(同市研究学園、高橋晃雄園長)で25日、交通安全教室が開かれた。事故を受け同園が市に依頼した。高橋園長は「ここ2,3年、研究学園地区は交通量が急増している」として周辺環境の悪化に目を向ける。

同市防犯交通安全課、交通安全教室指導員の大川初江さんと佐々木信恵さんが同園を訪れ、絵本や手品、腹話術などを繰り出しながら、園児約30人に道路の歩き方や信号の渡り方を指導した。園児たちは童謡の替え歌を歌ったり、指導員の質問に答えたりしながら、横断歩道の渡り方などを学んだ。

同園には天馬ちゃんの今年6月の誕生日に撮った遺影が飾られ、仲良しの友だちや父母から贈られたおもちゃ、供花(くげ)が供えられている。事故後、夜になると泣き出したり、朝登園してきてお母さんから離れようとしないなど不安を抱える子が出ているという。

天馬ちゃんは20日午後6時30分過ぎ、保育園に迎えに来た母親のまりさんと歩いて自宅に帰る途中、横断歩道を渡っていたところ、直進してきた車にはねられた。まりさんも重傷を負った。当時雨が降っていたことから、天馬ちゃんは蛍光反射材が付いた青いかっぱを着て、青い長靴をはき、母親と手をつないで横断歩道を渡っていたという。犯人はまだつかまっていない。

天馬ちゃんは生後10カ月のとき保育園に入園した。高橋園長は、かけっこが速く、ご飯も残さず食べて、何でもきちんとできる子だったと話し「天馬君とお母さんには何の落ち度もない。無謀な運転によって大切な命が奪われたことに強い憤りを感じる」と語る。一方「周辺には新しい店が次々に出来、渋滞も発生している。事故が起こる要因が積み重なっている」と危惧を口にする。(鈴木宏子)

ひき逃げ事故があった市道交差点の横断歩道。ひっきりなしに人と車が交差する

 

 

「市負担軽い福祉有償サービス強化を」 高齢化進む茎崎から提言

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市民による支え合い活動を5人が報告した。マイクを持つのは小原正彦さん。着席者は右から伊儀宜夫さん、落合正水さん、倉本茂樹さん、佐藤文信さん=つくば市小茎
多くの参加者が我が事として熱心に耳を傾けた

つくば市で最も高齢化率が高い茎崎地区は、皆の困りごとを皆で支え合う活動への関心が高い。21日、茎崎交流センターで「茎崎の高齢者生活支援を考える集い」(市民団体「まちづくり研究会」主催)が開かれ、現在、各自治会などで取り組みが行われている支え合い活動が5例紹介された。市の負担が軽くなり、住民主体の福祉有償サービスを強化しながら支え合おうという新たなまちづくりへの提言もあった。集いには110人が詰めかけた。

支え合い活動を最初に紹介したのは区会連合会長の小原正彦さん。毎年秋に開催される「くきざき夢まつり」を例に挙げ、区会連合会が実行委員に加わって情報を集めたり資金集めに奔走している状況を報告。「茎崎には人と人がつながる土壌がある」と話した。

宝陽台の伊儀宜夫さんは、団地住民の半数を占める高齢者が相互に助け合う宝志(ほうし)会活動を報告した。電球の取り換えやごみ出し、送迎などの生活支援と、自治会行事などに参加するとポイントが貯まる健康維持活動が柱。「人と交わる環境づくりがテーマ」と語った。

桜が丘団地の落合正水自治会長は今年度立案した高齢者支援活動について述べた。庭木の手入れや草刈り、大工仕事、災害時の要援護者支援が主な活動内容で、送迎や介護の手伝いも視野に入れている。活動は自治会福祉部と登録制ボランティアとの協働で実施するという。

今年度から、ふれあい相談員(社協の地域見守り事業の一環)として森の里団地の見守り活動をしている倉本茂樹さんは、個人情報保護の壁があって支援が必要な高齢者にたどりつけない、また団地には約1400人の高齢者がいるが見守り登録者は3人と少なく、当事者が「自分は大丈夫」と登録を拒否する状況を報告した。

最後に登壇したのは、有償ボランティアによる外出支援を20年続けているNPO法人「友の会たすけあい」の佐藤文信事務局長。タクシーの半額程度の料金で利用者のニーズに応える福祉有償サービスが認知され、20年間で延べ5万人を送迎した。「市の乗り合いタクシー『つくタク』の茎崎地区運行に要する年間経費は推計で約2000万円、対して同会は290万円。つくタクの運行を見直し、福祉有償サービスを強化すれぱ市の負担を軽減できる」と訴えた。

途中から参加した五十嵐立青市長は「住民自身の支え合いが活発な茎崎は他の地区の手本」と話した。また「議会で反対されなければ」とした上で「来年度、友の会たすけあいへの予算を準備している」と明かした。

茎崎地区の高齢者にとって移動手段の確保は切実な問題。市の動向を注視していきたい。

旧茎崎町細見生まれで東京大学客員研究員の木村清一さんによる「高齢社会とコミュニティ」と題した講演もあった。木村さんは、人と人が交流し支え合う取り組みが多い地域の高齢者は、元気で健康寿命が長いと語りかけ、「孤独から悲劇が生まれる。1人にしない取り組みが必要」と結んだ。(橋立多美)

 

花火の仮設トイレ約70基流された 台風21号で桜川河川敷浸水、うち10基は不明に

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台風21号の通過で水位が上昇した土浦市、桜川学園大橋付近の河川敷
流された仮設トイレを重機で引き揚げる作業員

超大型台風21号は23日朝、茨城県を通過した。土浦全国花火競技大会が催された土浦市、学園大橋付近の桜川河川敷は水位の上昇に伴って河川敷が浸水し、花火大会のため設置したものの、まだ撤去されていなかった仮設トイレ約70基が流された。

同市商工観光課によると、約60基は河川敷にとどまっているため撤去するが、約10基が下流に流されて行方不明になった。大会翌日に汲み取りをして清掃したため汚物が桜川や霞ケ浦に流れ込むことはないという。同課の担当者は、撤去の手配が遅れたことが原因と話している。

台風が過ぎた23日は、作業員が腰まで水に浸かり、流された仮設トイレを重機で懸命に引き揚げる作業に追われた。

一方、花火桟敷席も水に浸かった。撤去作業は例年、10月中旬ごろに完了するが、今年は大会後、長雨が続き作業が遅れていたという。

桟敷席の解体作業をしていた同市立田町、知久(ちきゅう)工務店、知久重巳社長(53)は「今年は雨が続き、桟敷席の材料に使っていた木材を乾かしていたため撤去が遅れていた。10月中には撤去したい」などと話していた。

台風21号による冠水のため、土浦市内では板谷7丁目から神立町まで市道約2㎞が22日正午から23日午前9時まで通行止めとなった。市道脇を通る都市下水路があふれたためという。

同市では新治地区公民館など3カ所に避難所を開設し、2人が避難した。

つくば市では同市北条、筑波交流センターなど3カ所を避難所として開設し、3世帯4人が一夜を明かした。(鈴木宏子)

被災地の種、小学生が咲かせる 「ど根性ひまわり写真展」龍ケ崎で22日まで

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約110展が展示されている「ど根性ひまわり写真展」会場=龍ケ崎市小柴のショッピングセンターサプラ1階

東日本大震災の被災地、宮城県石巻市門脇地区に咲いた「ど根性ひまわり」の種を取り寄せ、龍ケ崎市内の小学1年生たちが各家庭で咲かせた様子を写真に収めた写真展「ど根性ひまわり写真展」(龍ケ崎市民生委員児童委員連合協議会主催)が龍ケ崎市小柴、ショッピングセンターサプラ1階で開かれ、約110点が展示されている。22日まで。

主催者の民生委員児童委員連合協議会が、民生委員制度100周年記念事業の一環として市内の小学1年生の入学祝いに「ど根性ひまわりを育てようプロジェクト」を企画。石巻市から取り寄せた「ど根性ひまわり」の種を5粒ずつ渡し、各家庭で育ててもらい、成長した様子を写真に収めてもらった。

企画した同市大徳町の板倉正幸さん(72)は「震災を忘れず、被災地の皆さんを励ましたい」と話した。会場の一角では「ど根性ひまわり」の種数粒が入った小袋が無償で配布されている。

「ど根性ひまわり」 東日本大震災が起こった2011年夏に石巻市門脇地区のがれきの中に咲いたヒマワリ。震災直後、石巻市民が立てた「がんばろう石巻」の看板の後ろに一輪咲いたことから命名された。毎年「復興のシンボル」として地元住民に育てられ、7代目になる。(崎山勝功)

100組のクリエーターがブース連ねる つくばフリーマーケット 22日は台風で中止

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つくばスローマーケットのステージ=つくば市吾妻
雨の中、傘をさしながらブースをのぞくつくばスローマーケットの来場者たち

県南地区最大級のアート&クラフトマーケット「つくばスローマーケット」(同実行委員会主催)が21日、つくば市吾妻のクレオ前広場で開かれた。あいにくの雨だったが、個性豊かなクリエーターのオリジナル作品を販売するブースが軒を連ね、訪れた人は傘をさしながら思い思いにのぞいて楽しんでいた。22日も開催予定だったが、超大型台風21号の接近に伴い中止となった。

2008年から市内で毎年開かれている。例年100組以上の独自のこだわりを持つクリエーターらが参加。作品紹介を通じて、つくばならではのスローライフの提案と、ライフスタイルを見直すきっかけづくりを発信している。

台風接近に伴う雨の中だったが、会場には手作りアクセサリーや木工、陶芸品、こだわり食材を使った飲食店などのカラフルなブースが並んだ。ステージでは多彩なパフォーマンスが行われ、傘をさした人々でにぎわった。

雨のためワークショップなどを取りやめるブースもあり、キャラクターグッズを販売する「おたさく商事」の深井靖子社長(45)は「缶バッジを作るワークショップを開く予定だったが雨のため中止にした」と残念そうだった。

昨年2月に閉店し、今年7月から吾妻店(つくば市)のみ営業を再開した友朋堂書店もブースで営業再開をアピールした。つくば市の50代の女性は「ノーベル文学賞受賞のカズオ・イシグロさんの本や地元出身の人の本も置いてあり、すごくうれしい」と笑顔で話していた。(大志万容子、崎山勝功)

つくばスローマーケットに出店した「友朋堂書店」

雨の中、遺児ら進学支援訴え 秋のあしなが学生募金始まる

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道行く市民にパンフレットを配る、あしなが奨学生の大平京夏さん=21日午後0時45分ごろ、つくば市吾妻

病気や事故、自殺などで保護者を亡くした遺児の進学支援を訴える「第95回あしなが学生募金」が21日、つくば市吾妻のつくば駅前など県内2カ所で始まった。朝から雨が降り、学生スタッフたちは雨がっぱを着て、道行く市民に募金を訴えた。

県内の学生スタッフが不足しているため、つくば駅前では、あしなが奨学生で新潟青陵大学3年の大平京夏さん(21)が新潟県からつくば入りして支援を訴えた。この日県内から参加した学生4人はいずれも水戸駅前で募金活動をしているという。

大平さんは父親を亡くし、高校生のときから奨学金を借りている。大学進学後の現在はあしなが育英会から月4万円、日本学生支援機構から月8万円借りているが、大半を大学の学費に充てており、日々の生活費はアルバイト代月4~5万円とパートで働く母親の若干の仕送りが頼り。「学費と教科書代の出費が痛い」と窮状を口にする。

「まだ支援が行き届いていない子どもたちが国内にまだいることを訴えたい」と話し「衆院選で大学授業料無償化などの議論があるので(教育問題に)世間の注目が集まるかも」と期待を寄せる。

午後からは、つくば市に住む私立高校2年の梅原萌乃さん(17)が募金活動に加わった。梅原さんは「奨学金をもらえなかったら今の高校を辞めて他の学校に行かないといけなかったのでありがたい」と感謝し「将来は管理栄養士になりたいので、大学か専門学校に進みたい」と夢を語った。

募金活動は22、28日にJR取手駅前で行われ、遺児らが街頭に立つ。(崎山勝功)

22日の「ご当地コロッケ横丁in龍ケ崎」中止 超大型台風21号接近で

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大雨予想のため中止となった「第2回茨城県ご当地コロッケ横丁in龍ケ崎」のチラシ

22日に龍ケ崎市役所駐車場で開催予定の「第2回茨城県ご当地コロッケ横丁in龍ケ崎」(龍ケ崎市商工会など主催)が中止になった。超大型台風21号の接近に伴い大雨が予想されるため。同市商工観光課によると来場客の安全などを考慮した。

同市内をはじめ土浦、牛久市など県内外からご当地コロッケ24店舗が出店し、つくば市などの菓子店6店舗も参加するグルメイベントが開かれる予定だった。

一方、イベントに合わせて22日午前9時から同市の関東鉄道竜ケ崎線竜ケ崎駅で行われる、市のマスコットキャラクター「まいりゅう」を描いた新しいラッピング列車、2代目まいりゅう号の出発式は予定通り行われる。(崎山勝功)

「あしなが募金」街頭呼びかけ体験、記者の思い 21日からつくば駅前などで秋の活動

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進学支援の募金を訴える「あしなが学生募金」のボランティア=4月22日、JR取手駅西口

常陽新聞(今年3月休刊)記者だった筆者は、高校や大学への進学支援を訴える「あしなが学生募金」の活動ぶりや遺児たちの苦しい生活事情を記事にしてきた。新聞が休刊したあと遺児たちの記事が書けなくなる―そう絶望感に襲われた記者は「遺児たちのために何かできることはないか」と春の街頭募金活動に志願した。秋の募金は10月21日から29日まで土日の4日間、つくば駅前(21日のみ)など県内4カ所で行われる。

街頭募金は春と秋の年2回実施される。記者は4月に取手とつくばで街頭募金活動に参加した。4月は新年度の切り替え時期と重なるため、例年学生ボランティアが不足する。2016年4月にはボランティア不足のため、つくばでの街頭活動が断念された。

4月22日、JR取手駅西口では、群馬県から来た学生スタッフの女性と2人で募金活動を始めた。茨城のボランティアが足りないため群馬県から遠征してきたという。記者は中学生のとき、郷里の岩手県宮古市で「赤い羽根共同募金」活動に参加した経験があり、街頭での呼び掛けに抵抗感はなかった。

午前10時から開始したものの、募金どころかチラシを受け取ってもらうだけでひと苦労。駅を行きかう人はなかなか足を止めようとしない。インターネットで流れている言葉をうのみにして「募金が何に使われているのか分かっているのか」と食ってかかる男性もいたが、ひとしきり持論を述べてから募金に応じてくれた。

粘り強くチラシ配布を続けると、少しずつ募金に応じる人が出てきた。「ボランティア不足であしなが学生募金が苦境」という報道が新聞やテレビであったため、認知度が上がったのだろうか。硬貨ではなく紙幣を募金してくれる年配の女性などもいて、女性スタッフは「取手はすごい」と感激していた。

午後から、あしなが奨学生OBが助っ人に加わってくれたこともあり弾みがついた。午後4時までに記者が集めた募金は1万4963円だった。

4月30日、つくば駅前での活動には午前中のみ参加した。取手とは打って変わって、高校生、大手保険会社社員のボランティアなど20人前後がいて、飛び入りで参加した親子連れもいた。

「つくばは大学生や研究者が多いから関心度が高いのか」と期待したが、チラシも受け取らず通り過ぎる市民が多かった。心が折れそうになったが、高校時代、応援団長から「腹から声出せ」と指導を受けたのを思い出し、大声で呼び掛けた。2時間で募金額は2028円。取手と比べると少ないが健闘したと思う。

10月21日からの募金ボランティアの参加は「あしなが学生募金」公式サイトで受け付けている。

あしなが育英会は2018度から「給付型奨学金」を新設し、大学生などには月3万円(年間36万円)、高校生などには月2万円(年間24万円)が給付される。従来から行われている貸与型の無利子奨学金と併用すると、大学生で年間84万円を受けられることになり、勉学に打ち込める環境が改善される。(崎山勝功)

伝説の地で稲刈り体験を 11月3日に土浦「小町の館」

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黄金色に穂を実らせている稲=土浦市小野の小町の館

平安時代の歌人、小野小町の伝説が残る土浦市小野地区の「小町の館」で11月3日、もち米の稲刈り体験が行われる。稲刈りの後はかまどで炊いた地元産の新米が振る舞われる。80人(先着順)の参加者を募集している。

都市と農村との交流を目的に小町の館が2013年度から開催している。

場所は小町の館北側棚田2面(約1400平方㍍)で、鎌を使い地元農家の指導のもと、稲を刈る。6月3日に行われた田植えには約90人が参加した。

稲刈りは午前9時30分から午後2時まで、参加料は大人500円、子ども(3歳以上小学生まで)300円(保険料込み)。持ち物は長靴、軍手、マスク、タオル、着替え。申し込み、問い合わせは、電話(029・862・1002)まで。

忘れてはいけない記憶 斎藤さだむさん、福島原発周縁の記録など展示 つくば美術館で「写真工房」展

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福島第1原発周縁を中心に撮影し記録した斎藤さだむさんの「不在の光景V」
「写真工房写真展」の会場=つくば市吾妻、県つくば美術館

つくば市を拠点に活動する写真サークル「写真工房」(百瀬信夫会長)による「2017『写真工房写真展』Vol.15」が、つくば市吾妻、県つくば美術館で開かれている。つくば市在住の写真家、斎藤さだむさんが顧問を務め、現在会員16人が活動している。

斎藤さんの「不在の光景V」10枚は、東日本大震災以後の福島第1原発周縁を中心に撮影し記録した作品。忘れてはいけない記憶を、あえて色彩のトーンを明るめにして表している。荒廃した暗い風景を撮っているのだが、全体に明るい色調なのが不思議に見える。作品一つひとつを丁寧に見ていた女性は「あえて昔のスライドのように作ったように感じる」と話していた。作品の一角には斉藤さんの作品が掲載された本の紹介や、希望者が持ち帰れる作品のハガキも置かれている。

「写真工房」は、つくば市の公民館で開かれた写真講座に参加した写真愛好家により、2002年に結成された。毎回統一テーマは決めず、会員それぞれが興味のある対象を撮っている。会員の個性が際立った、興味深い作品に仕上がっている。

壁一面に佐野亨さんの「眼前のひろがり」5作品が展示されている。写真7~8枚を合成して1作品にした。リスボン、ニューヨーク、北海道などで撮った写真が力強く迫ってくる。

広田倫子さんの「これいいね」は、土浦市内の何気ない風景の一部を切り取ったもの。対象物の色彩とアングルが興味深い。

藤澤裕子さんの作品「襲色目(かさねいろめ)」の襲色目とは、平安時代の着物「重ね着の色の組み合わせ」のことで、それにならい写真を2~4枚重ねて作られている。重なった部分が下から透けて見え、深みのある独特な色彩が面白い。

会長の百瀬信夫さんは「景(かげ)」で花とその影を撮った。百瀬さんは「花を撮る人は多いが、花の形と影を主題にしたのは少ないのではないか」と話していた。(鈴木萬里子)

◆会期は22日(日)まで。開館は午前9時30分~午後5時(最終日は3時)。入館は閉館の30分前まで。

◆会ではメンバーを募集している。つくば市小野川の小野川交流センターで毎月1回定例会を行っている。入会希望や見学などの問い合わせは百瀬さん(☎029・838・0186)まで。

佐野亨さんの「眼前のひろがり」

 

広田倫子さんの「これいいね」

親鸞はなぜ茨城に? 謎解き実像に迫る 西谷隆義さん絶筆の書刊行

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西谷隆義さんをしのぶ会で遺影に献杯する参加者
「愚禿釈親鸞の行実」

今年4月、76歳で死去した筑波研究学園専門学校(土浦市上高津)理事長、西谷隆義さんが、謎とされている親鸞の実像に迫った「愚禿釈(ぐとくしゃく)親鸞の行実(ぎょうじつ)―東国常陸の仏教事情」(阿見寺俊洋さん発行、茨城新聞社制作、本体価格3000円)がこのほど刊行された。15日、つくば市小野崎、ホテルグランド東雲で催された「西谷隆義さんをしのぶ会」で参加者に紹介された。

西谷さんは県議1期を務めた後、同専門学校を設立。総合科学研究機構(CROSS)理事長、私立霞ケ浦高校理事長などを歴任し、つくばインターナショナルスクールの設立に尽力した。

晩年は郷土史研究家としても知られ、2012年にこれまであまり関心がもたれてなかった筑波山の開祖、徳一(とくいつ)に光を当てた「徳一大師と霊峰筑波山」、14年に「東国仏教を開いた徳一菩薩の足跡を探る」を出版した。

「親鸞の行実」は絶筆の書となる。これまで謎とされていた、親鸞はなぜ茨城に来て、20年後に茨城を去ったのを、膨大な資料をもとに時代背景を分析しながら解き明かし、親鸞の実像に迫っている。

「同書を香典返しとしたい」という遺言に従って、生前親交が深かった同しのぶ会参加者約100人に配布された。

■100人が思い出語り合う

しのぶ会は、CROSS名誉理事長の高良和武東京大学名誉教授、土浦一高同窓生の市川紀行元美浦村長ら11人が呼び掛け人となって開かれた。参加者一人ひとり、西谷さんとの思い出を語り合い、人柄や功績をしのんだ。

高良さんは「博識で構想力のある方だった」などと話し、早過ぎる死を悼んだ。呼び掛け人の一人で、つくば市国際交流協会理事長の小玉喜三郎・産業技術総合研究所特別顧問は「10年ほど前、飲み会で語り合い『これからのつくばを変えていこう』という情熱にびっくりした」、霞ケ浦高校の浅田順さんは「『おれは絶対揺らがないぞ』という強い信念の持ち主だった」などと振り返った。(鈴木宏子)

 

森の里団地、作者が見える文化祭 押し花、書…300点

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来年の干支(えと)戌(いぬ)年にちなんで和布で作られた玩具に見入る=つくば市森の里
わらじ作り。新潟で育ち、親が囲炉裏端で作っていたわらじを見事に再現した眞島さん

つくば市茎崎地区の住宅団地、森の里で13日から15日までの3日間、自治会文化部主催の第3回「森の里文化祭」が開催され、約450人の住民が会場の公会堂に足を運んで作品を鑑賞したり、もの作りを楽しんだりした。

同団地は、首都圏に勤務する若年層が1979年から入居した大規模住宅団地(約1300世帯)で、入居から30年以上を経て高齢化が進む。その一方で仕事や子育てから開放され、自由な時間で趣味に没頭する住民もいる。新たなライフステージで取り組み丹精した絵画や、布を貼り合わせた裂画(きれが)、えんぴつ画、写真、書、パッチワーク、刺しゅうなど約300点が展示された。

吉田敏文化部長は「『市の文化祭に出展するのは恥ずかしいけれど、団地内の公会堂なら』と出展者も作品も昨年より増えた。展示作業はてんてこ舞いだった」と語り、「『私も何かやろうか』と触発された人もいると思う。団地内だけに作者と顔が一致し、出展が取り持つ縁で交流が生まれると思う」と話した。

玄関ホールで坂本利昭さんを講師にした押し花教室、和室では眞島昭吾さんによる草履(ぞうり)とわらじ作りの実演が行われた。押し花教室は、約60人の親子が思い思いの押し花を選んで栞やコースターを仕上げた。草履とわらじ作りの実演コーナーでは、挑戦した住民がわらを綯(な)って縄にすることの難しさに舌を巻いていた。

毎年団地の夏まつりで会場を沸かせる、よさこいソーランのメンバーが手作りした小物を販売した。コーヒーショップがしつらえられて談笑する姿も見られた。団地住民にとって「人・もの」に囲まれた秋のひとときとなった。(橋立多美)

押し花教室。好きな色や形の押し花を選んで栞やコースターを仕上げた

復興へ努力、金賞日本一の酒とグルメ味わって 「東北祭り」きょうまで

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来場者に日本酒を注ぐ「男山本店」の加藤勇一さん=つくば市吾妻のつくばセンター広場
岩手県の伝統芸能「さんさ踊り」を披露した「赤坂さんさ」のメンバー

筑波大生が運営に携わり、東北6県の日本酒やご当地グルメなどを紹介する「第4回食と酒東北祭り」(同実行委員会主催)が14、15日、つくば市吾妻のつくばセンター広場で開かれている。11の酒蔵が出展し、コップ1杯100円から日本酒を販売している。岩手県北上市の「北上コロッケ」などご当地グルメの飲食店も軒を連ねている。

東日本大震災被災地を継続して支援していくのが目的。「東北とつくばの架け橋になる活動をしていきたい」と、同実行委広報担当で筑波大3年の坪井飛呂香さん(22)は意気込む。

会場には、実行委が東北地方の魅力を伝えるパネルを展示。ステージでは、岩手県の伝統芸能「さんさ踊り」の発表もあった。

「『桃川(青森県)』という日本酒がおいしかった」と話す筑波大3年の男子学生(21)は「つくばでは東北のものを一度に食べる機会が無く、参加してよかった」と話した。

出展した福島県会津若松市、「鶴乃江酒造」の向井洋年統括部長(45)は「筑波大の実行委員会の人たちがわざわざ(福島県まで)来てくれた。若い方が主催するイベントに関われるのがうれしい」と語った。福島県では原発事故の風評被害を受け「味が第一、というのを見せないといけない」と、蔵元同士が技術を教え合い、品質向上に努めたという。その努力もあって、全国新酒鑑評会では福島県が2012年から5年連続で金賞受賞数ナンバーワンを維持。「福島の蔵元みんなが『みんなで金賞を取るぞ』という気持ちでやった」とし「安全性でも全部のコメを放射能検査している。あとは品質で見せたい」と話した。

岩手県大船渡市、「酔仙酒造」営業部販売課の紺野裕介さん(30)は「今年は雨であいにくの天気だが、お客さんの反応はかなりいい」と語る。震災から6年7カ月が経つものの、岩手県沿岸地域は復興途上で「震災のことを気にかけている人がいて、復興の手助けになる」と同イベントを高く評価。「日本酒のレベルが高い、東北の酒蔵が集まる貴重な機会」として、他県の酒造関係者との情報交換にも役立っているという。(崎山勝功)

岩手県大船渡市産のホタテを焼く「海山市場」のスタッフ
東北6県の観光名所を紹介するパネル展示を見る来場者

土浦市のごみ袋は県内一高額に 「負担増どこまで」懸念の声

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土浦市真鍋新町、土浦ピアタウン・イベントホールで開かれた「土浦市まちづくり市民の集い」

土浦市で指定ごみ袋を来年10月から2倍以上値上げすることが決まったのに続き、新たに公共施設の使用料金などの見直しが検討されている。市は新図書館建設など箱モノ整備を進める傍ら、財政悪化と人口減少を背景にこれまで、公立幼稚園の廃止、公立保育所の民営化などを進めてきた。「公共」の在り方を変える矢継ぎ早の改革が進んでいる。「公共サービスの見直しと住民負担の増加はどこまで続くのか」―市民の間で懸念の声が出始めた。

10月1日、同市真鍋新町、土浦ピアタウン・イベントホールで、市民団体「土浦まちづくり市民の会」(代表・長坂慎一郎元山形大教授)による「市民の集い」が開かれた。会場には満杯の約80人が参加。「大型整備事業と悪化する財政」をテーマに報告した同会事務局長の高村義親茨城大名誉教授は、市が市役所、斎場、消防本部、新図書館などの大型施設を次々に整備してきたことに触れ「全国で平成の大合併で生まれた自治体が深刻な財政難に苦しんでいる」と問題を指摘した。

家庭ごみの有料化や使用料の見直しなど住民負担増の懸念に対しては「土浦市は(大型整備事業による)借金を背負って苦しみ始め、身近なところからお金を取っていくことが始まっている」と指摘した。

同市の指定ごみ袋は9月議会で、来年10月から有料化することが可決されたばかり。燃やせるごみ袋は現在の40㍑10枚入り170円が約3倍の45㍑10枚入り500円になり、県内一高いごみ袋になるという。

公共施設の使用料見直しは、今年スタートした「市使用料見直し検討委員会」で検討が行われた。施設ごとに基準が異なる減免制度に統一基準を設け、減免の適用を限定するなどの基本方針が示された。ほかに、現在使用料が無料の施設として▽小中学校体育館・グラウンド等▽佐野子・木田余地区・右籾地区の市民運動広場▽中貫公園運動広場▽社会福祉センター▽老人福祉センター(60歳以上)の公共施設の使用料のほか、▽事業所所在証明書発行手数料▽ふれあいセンター「ながみね」定期送迎バス―が例に挙げられ、有料化を検討することが指摘された。

一方、公立幼稚園は来年3月末で5園のうち土浦第二、都和、大岩田の3園が廃止される。公立保育所は今年4月、新川保育所が民営化された。来年4月以降、竹ノ入、都和、桜川が毎年一カ所ずつ民営化される計画だ。

高村事務局長は「無駄をチェックし、身近な行政サービスを低下させないよう、市民が見守っていかなければ」と語り「共働きの子育て世代にいいまちづくりをしていくべき」と話す。

市のこうした動きを受けて同市民の会は、まず市議会の無駄をチェックし、近く市民リポートをまとめる予定だという。(鈴木宏子)

 


土浦市真鍋新町、土浦ピアタウン・イベントホールで開かれた「土浦市まちづくり市民の集い」