火曜日, 12月 30, 2025
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つくば自動車研用地に茗渓学園が移転へ TX研究学園駅南側、大和ハウスが開発

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TX研究学園駅南側の自動車研未利用地と茗渓学園の校名表示

日本自動車研究所(JARI)がTX研究学園駅南側に保有している未利用地(つくば市学園南2丁目、15.5ヘクタール)の売却先が決まった(4月19日付)。公募型プロポーザル(事業提案による入札)で選ばれたのは、つくば市内で多角的に事業展開する大和ハウス工業(本社大阪市)。同社はこの一等地に茗渓学園学校(つくば市稲荷前)を誘致するほか、マンション、商業施設、研究施設などを建設する。

未利用地の取得価格は142億円

JARIが20日、公募に応じた3企業グループから提案された事業計画の審査結果を公表した。それによると、取得価格や提案計画などを総合的に審査した結果、大和ハウス・グループが1位だった。JARIが提示していた最低価格92億4000万円に対し、同社は142億円の取得価格を提示した。11月に売買契約が結ばれ、未利用地は12月に引き渡される。

JARIはTX研究学園駅の南側に80ヘクタールの土地を保有している。今回売却されるのは、敷地のほぼ中央を縦断する市道5-1711号線の右側にある未利用地。TX鉄道とエキスポ大通りに挟まれた場所にあり、どこがどう開発するか注目されていた。

自動車研未利用地図(JARI提供)

中高学校+マンション+商業施設…

大和ハウスによると、開発のコンセプトは「活発」「学術」「加速」。具体的には、マンションで構成される居住区画、スーパーマーケットなどで構成される商業区画、中高一貫高などで構成される学術区画、先端研究施設などで構成される産業区画を設ける。総投資額は明らかにしていないが、用地取得代も含めると300~400億円になりそうだ。

土地の造成などを経て、2024年秋に建物の建設に入り、スーパーや運動ジムなどが入る商業施設は26年夏、中高層マンションは28年初の完成を目指す。用地の北・左側から南・右側に走る道路も計画されている。

TX駅前は便利で魅力的=茗渓学園

開発では「中高一貫校」が目玉になる。計画書に学校名は明記されていないが、中高一貫校の茗渓学園(現在の生徒数は1526人)を誘致する方向で話が進んでいる。

大和ハウスは、全体用地15.5ヘクタールの28%に相当する4.3ヘクタールを茗渓学園用に確保している。茗渓学園側も、TX駅側に移れば東京都や千葉県からの通学が容易になり、駅から徒歩で通えるのも魅力的と判断している。大和ハウスが用地を確保したことを踏まえ、近く、移転の可否を理事会と評議員会に諮る。

現在の茗渓学園は赤塚公園の西側、気象研究所の南側に位置し、開校は1979年4月。事務局によると、開校から45年ということもあり、建て替えも検討していたところ、大和ハウスからこの話が舞い込んだ。移転すると敷地は少し狭くなるが、学校棟の高層化により、寄宿舎やラグビー場などから成る施設は十分確保できそうだ。(岩田大志)

自分のことは自分で決める《電動車いすから見た景色》47

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イラストは筆者

【コラム・川端舞】前回のコラム(9月14日掲載)で、1970年代、旧・優生保護法の改正案に経済的理由による人工妊娠中絶の禁止が含まれたとき、フェミニズムの運動に関わる女性たちが主張した「産む・産まないは女が決める」という言葉を紹介した。この言葉は、「胎児に障害があれば中絶する」という障害者にとって恐ろしいメッセージにもなり、障害者と女性の対立を生んだ。

しかし、この言葉の根底にある「自分の体のことは自分で決める」という考えは、障害者運動にも通じるもののように思う。

前回も引用した荻野美穂の「女のからだ―フェミニズム以降」(岩波新書)によると、明治以降、中絶は犯罪とされてきたが、戦後の食糧難の中で、優生保護法が成立し、中絶を認める条件が大幅に緩和された。結果、中絶件数は急増し、出生率は低下した。しかし、高度経済成長期に入り、労働力不足が問題視され始めると、今度は国会で中絶を規制しようとする動きが出てくる。

人口政策のため、母胎に負担をかける妊娠・出産や、女性に負担が偏りがちな育児を、国が管理することに抵抗し、自分の体に対する女性の自己決定を尊重したものが、「産む・産まないは女が決める」という主張だった。

これは障害者運動が大切にしている「自分のことは自分で決める」ことにも通じるのではないか。長年、入所施設の中で生活リズムや外出機会などを他者に管理されてきた重度障害者が、施設を出て、必要な支援を受けながら、どこで誰とどんなふうに生きていくかを自分で決められるよう、介助者などの社会制度を整えてきたのが障害者運動だ。

自己決定が尊重され、誰もが自分らしく生きられる社会にしたいという原点に立てば、障害者運動と女性運動はもっと連携できるのではと、最近考える。

トランスジェンダーも同じ

「自分のことは自分で決めたい」のは、出生時に割り当てられた性別と性自認が一致しないトランスジェンダー当事者も同じだろう。

現行の法律では、戸籍上の性別を変更するためには生殖腺を取り除く手術をする必要がある。これは、自分らしい性で生きたいと願うトランスジェンダーに手術を事実上強制するもので、国連も日本に手術要件の撤廃を勧告している。手術を受けることで、自分らしく生きられると感じる当事者には、公的医療保険の中で受けられるようにすべきだが、本人が望まないのに、健康な身体を傷つけるよう求めるなど、絶対にあってはならない。

全ての人が、必要な情報提供や支援を受けつつ、自分のことは自分で決められる社会を、多様な人たちとともにつくっていきたい。(障害当事者)

つながる機会を 不登校支援団体が第2回合同相談会 21日つくば

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昨年つくば市で開催された第1回不登校・多様な学び つながる”縁”日の様子(不登校・多様な学びネットワーク提供)

2カ所で、2倍の約60団体参加

不登校など学校に悩みを抱える子どもや保護者と、フリースクールや市教育相談センターなど公・民の支援団体をつなぐイベント「不登校・多様な学び つながる“縁”日」が21日につくば市立桜総合体育館と、11月12日に筑西市県政生涯学習センターで開かれる。主催は、県内を中心とした121の支援団体などによる「不登校・多様な学びネットワーク茨城」。昨年に続く2回目の開催で、今年は2会場で昨年の2倍に当たる計約60団体が参加し、問題の背景にあるより多様な課題に向き合う合同相談会となる。

主催団体の代表世話人を務める石田佳織さんは目的について「不登校などの問題を抱えることで、学校を生活の中心にしていた子どもや親がそこから遠ざからざるを得なくなると孤独になってしまう。学校に行けないことへの罪悪感などから外に出にくくなる子どもも多い。先が見えない不安の中で孤立する人たちに『味方になってくれる人はたくさんいる』と伝えたい」と語る。

参加団体は、フリースクールなどの支援団体、通信制学校など教育機関、つくばや土浦市など県南・県西8市の教育相談センター、教育委員会と、ほかに発達障害、学習障害、性の問題に関わる臨床心理士など専門分野に特化した多様な団体が相談ブースを構える。

石田さんは「不登校の背景には、単に人間関係だけではない様々な問題がある。書くこと、読むことが苦手、大勢の人がいるところや大きな音が辛い、性の問題を抱えている子どもなど、様々な特性がある。今の学校や社会は多数派のためにつくられているので、特性によってその周縁にいる子どもにはとても辛い環境」だと指摘する。一方で「環境が整えさえすれば、子どもたちは安定した日々を過ごすことができる」とし、「それぞれにとって適切なサポートを得ながら学び育てる社会が大切。なんらかの影響で学校にいることが苦しいと感じる子どもやその保護者に対して、広く対応できる団体がイベントに参加する。各団体の良さが伝われば」と話す。

つくば会場では、過去に不登校を経験した30代、40代の大人らによる座談会を開催する。当時、それぞれが直面していた生きにくさや、どんな声掛けを周囲にしてほしかったかなど、当事者の体験を参加者と共有する。

また、現在フリースクールに通う子どもたちによる手作り雑貨を販売したり、射的などの模擬店も出され、屋外にはタコスやドーナツなどのキッチンカーが出店する。「不登校に関心のある人だけでなく、子どもたちの企画に参加するだけでも楽しめると思うので、それ目当てでも来てほしい。教育環境は今、過渡期にあると感じている。一つの生き方でもある『多様な学び』について知ってもらえたら」とイベントへの思いを込める。(柴田大輔)

◆「第2回不登校・多様な学び つながる“縁”日」は、10月21日(土)につくば市流星台63、桜総合体育館と隣接の流星台プレイパークで、11月12日(日)に筑西市野殿1371、県県西生涯学習センターで開催。時間はそれぞれ午前10時30分~午後4時。入場無料。詳細は公式サイトへ。

創業39年、筑波大近くの「フライパン」《ご飯は世界を救う》58

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イラストは筆者

【コラム・川浪せつ子】お店の前をよく通り、気になっているけど、行ったことのないお店ってありませんか? 筑波大学の北側、西大通りを曲がってすぐのお店。私にとって、ここ「フライパン」さん(つくば市春日)がそんな所でした。

我が家からだと、西大通りから東大通り方面に行くときの狭い抜け道。ずっとずっと前からあるなぁ~と。入店してみて驚いたのは、創業39年という、長く地域に愛されてきたお店でした。

東京教育大学が、筑波山がある地域に移転して筑波大学となったのが1973年。つまり50年前。そのころから、新規のお店がたくさん出来たのでしょうね。でも、そんなに長く続いているお店は、ほとんどないと思います。

私がつくばに来てから、この秋で42年に突入です。運転免許証を持っていなかった私は、来てまず一番に自動車教習所に通いました。週に数回、渋谷まで仕事で通わなくてはいけないのに、荒川沖駅まで行くのだけでも大変でした。

建築パースの仕事を続けて、こちらでも受注したくて、電話帳で探した建築設計事務所にDM(ダイレクトメール)を100枚出しました。そのときに知り合った設計事務所の方々とのご縁は、今でも続いています。

ささみを上手にいろいろ工夫

「フライパン」さんは、ささみを上手にいろいろ工夫して、提供してくれます。大学の近くのお店ですから、学生さんでもお手頃価格で食べられるよう、工夫なさっているのでしょうね。

昨今の物価高で、飲食店も大変と思います。我が家から歩いて行ける居酒屋さんのランチが、大のお気に入りでしたが、今年に入って閉店されました。居酒屋さんは、特にコロナで打撃が大きかったのだと…。また円安もあり、どんな業界も生き抜いていくのが大変ですね。消費者はどうしても、お財布のひもが堅くなります。

でも、お店には通いたいので、上手に節約しながらうかがうことで、応援させて頂きたいと思います。(イラストレーター)

音を浴びる別次元の映画祭 県内初 26日からイーアスつくばで

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MOVIXつくばのスクリーン。期間中は両側、中央にスピーカーが運び込まれる(丸与工芸提供)

ライブコンサートのような迫力ある音で楽しむ映画祭「“音”で楽しむ!MOVIXつくば映画祭〈ライブ音響上映〉」が26~31日、つくば市研究学園の商業施設、イーアスつくば内の映画館「MOVIXつくば」で開催される。県内初開催となる。

映画館にライブコンサート用の大規模で高品質な音響機器を設置し、迫力ある音や振動で臨場感を感じることができる期間限定の映画祭だ。スピーカーはスクリーンの左右と中央に配置され、立体的な音響効果をもたらすサラウンドスピーカーは劇場のものを使う。

主催は丸与工芸(東京都渋谷区)と松竹マルチプレックスシアター(中央区)。丸与工芸は2020年に設立され、全国各地で映画祭を企画、主催し、映画作品の配給も行っている。「音で楽しむ映画祭」は20年12月からこれまで8都府県で24回開催された。好きな映画を大音量で楽しむことができたと、観客の評判も良かったという。

丸与工芸の米澤朋子代表は「音に特化するという新たな試みをすることで差別化を図りたい」と語る。さらに「ハリウッド映画、アニメ、インド映画など音にこだわる映画が増えたので今回の企画をした」と話す。

また「今回いろいろなタイプの映画を用意する。自分の好きな映画を大音量で浴びるという別次元の世界を多くの人にぜひとも体験してほしい。今まで各地で開催してきて、ネットから情報を得た観客が全国から、遠方でもこのイベントを見にやって来る。せっかくの機会なので、つくばの人にもぜひとも見にきて楽しんでほしい」と来場を呼び掛ける。

経産省が発表している映画館指数の推移によると、映画館の入場者数は2004年以降減少を続け、11年代に大きく低下、その後は少しずつ上向きに推移するが18年に再び低下している。原因として特に若い世代の映画鑑賞時間が減少していることが挙げられている。(榎田智司)

◆同映画祭の上映作品は、映画、アニメ、ミュージカルなど多様なジャンルの13作品で、▽ボヘミアン・ラプソディ▽RRR▽ONE PIECE FILM RED▽グランツーリスモ▽ヴァチカンのエクソシスト▽グレイテスト・ショーマン▽劇場版シティーハンター 天使の涙(エンジェルダスト)▽特別編 響け!ユーフォニアム~アンサンブルコンテスト~▽劇場版マクロスΔ絶対LIVE!!!!!!▽劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト▽犬王▽ガールズ&パンツァー劇場版(Blu-ray版〉▽劇場版 うたの☆プリンスさまっ♪ マジLOVEスターリッシュツアーズーを上映する。

◆MOVIXつくばはつくば市研究学園5-19、イーアスつくば3階。料金は2500円(税込)、V8J絶叫上映企画チーム登壇による“応援上映”の回は3000円(同)。詳しくは同館公式サイトへ。

金色姫伝説 謎解きツアー《映画探偵団》69

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イラストは筆者

【コラム・冠木新市】「同級生3人でつくばへ遊びに行きたいので案内してくれますか?」と、今は40歳となった女子大生の教え子から突然電話が来た。つくばがテレビで話題になっているらしい。ちょうど『世界のつくばで子守唄』の準備で忙しい時だったけれど、母親になった彼女たちが、つくばでどんな反応を見せるか興味があり、引き受けた。

3人は「サザコ一ヒ一をつくばで飲みたい」「フ一フ一スパゲッティを食べたい」「おいしいパンを買いたい」と、特に食べ物への関心が強かった。つくばを1日で回るのは無理なため、①つくばセンター地区とその周辺、②研究学園と筑波山、③つくば古道と金色姫伝説めぐり―の3コ一スを作成し、選ばせた。すると、うれしいことに③を選んできた。

6月11日(日) 9時、つくばセンターのサザに集合し、モ一ニングコ一ヒ一を飲んだあと、ホテル日航つくばの「つくたび」開発者2人を加えて計7名、車2台で「金色姫伝説モニターツアー」に出発した。

つくば古道に向かう車中、緑の木々を見て3人が「癒やされるう〜」と同時に声を上げた。シン・旧住民の私には見慣れた景色だが、外から来た彼女たちにとっては新鮮な光景に映ったようだ。緑の木々も観光資源になるのだと改めて感じさせられた。

まんじゅう販売したら売れる

始めに訪れたのは、「つくば古道」入口の北条にある国登録有形文化財・宮清大蔵だ。店主の宮本清さんが、元醤油醸造所の仕組みを説明、蔵で記録映画を上映してくれた。終了後、子宝に恵まれる妊婦の形をした「はら宿りの木」を皆でなでる。3人の子持ちの1人は触らなかったが…。

次に平沢官衙遺跡に移動し、散策した後、すぐ近くにあるつくばワイナリーで担当者からブドウ畑の説明を受け、ワインの試飲。早速、3人はワインを購入した。

それから神郡・蚕影山(こかげさん)神社に向かい、ここで、私が金色姫伝説の由来を語った。200段はある階段を登リ下ったあと、1人が「ここでまんじゅう販売したら売れますよね」と言った。階段を登ったあとには甘い物が欲しくなる、確かにそうだなと思った。

続いて知り合いの屋敷を訪ね、離れにある茶室で額に入った山岡鉄舟の書を見せていただき、神郡の話をうかがった。かなり高齢化が進み、あちこち跡継ぎ問題があるとのこと。皆、神妙な面持ちで聞いていた。

そして中心拠点、神秘的な雰囲気が漂う場所、石蔵Shitenを見学した。ここで、11月3日(金)、4日(土)、5日(日)に、『金色姫伝説旅行記』のイベントをやると説明したら、元アイドルグループの1人は「私も出演したい! 」言ってきた。そのとき、私はある作品を思い出した。

ソフィア・ロ一レン主演『アラベスク』

アラビア風の唐草模様を意味するタイトル、スタンリー・ド一ネン監督、グレゴリー・ペック、ソフィア・ロ一レン主演の『アラベスク』(1966)。この作品は、人間関係と話が複雑でわかりにくいのだが、それでいて面白く見られる仕上がりなのだ。

大学教授ポロックが、謎の男から、古代アラビアの象形文字の解読を強引に依頼される。手のひらに収まる紙片に描かれた象形文字。この紙片をめぐり争奪戦が繰り広げられる。だから観客は、象形文字の謎解きが重要なのだと思い込む。ところが、実はそうではないドンデン返しがラスト近くで判明するのである。

今度のイベントも、「金色姫伝説」と「うつろ舟事件」の謎解きが目的と思わせておいて、ドンデン返しを仕掛けたいと思った。

夕方、彼女たちは目的を達し大満足で帰っていった。どうやら、つくばと「金色姫伝説」はダシで、実はただ小旅行と買い物と食事を楽しみたかっただけなのかもしれない。サイコドン ハ トコヤン サノセ。(脚本家)

サッカーで研究者同士の交流を 21日、筑波大でサイエンティスト杯

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イベントポスターを持つ(左から)筑波大学体育スポーツ局の海老原加恵さん、ワールドフットつくばの山内健太郎さんと佐俣友彬さん

サッカーを通して研究者同士の交流を促進しようと、筑波大学(つくば市天王台)の学生団体「ワールドフットつくば(World Fut TSUKUBA)」と同大体育スポーツ局が21日、スポーツイベント「つくばサイエンティストカップ(TSUKUBA SCIENTISTS CUP)」を同大のサッカー場、セキショウフィールドで開催する。

参加者は当日、5人制のチームを組み、8チーム程度に分かれて予選試合を行い、勝ち上がったチームで決勝トーナメントを行う。参加者の研究分野がそれぞれ異なるよう、同大体育スポーツ局と同団体によりチーム編成が行われる。

参加対象は研究に携わっている男女で、市内外、文系、理系など大学や研究機関、企業などの所属を問わない。大学生や大学院生、サッカー未経験者でも参加可能だ。サッカーを通して研究者同士や研究者と学生の横のつながりを生み出し、新たなコミュニティを提供する。

同団体はこれまで、国内でチャリティーフットサルイベントを開催、また国外活動の一環として、カンボジアを拠点にサッカー教室を開催し、現地小学校にサッカーグラウンドを建設してきた。昨年11月には、同大サッカー場でサッカーワールドカップ(W杯)のパブリックビューイングを企画し、開催している。

今回学生団体が、つくば市に集まっている研究者に着目し、「サッカーを通して世界中の人々に笑顔を」という同団体の理念と重ね、昨年11月に企画が始動した。

その後、大学組織の同大体育スポーツ局に企画提案を行い、今回のイベントが具体化した。体育スポーツ局が主催、同団体が協力という形で初めてタッグを組んだ。

イベントの開催にあたり体育スポーツ局は、市内各研究所にイベントに関するメール案内の送付や大学内で宣伝のためのチラシ配り、同団体はSNSを利用して参加を呼び掛けてきた。

同団体プロジェクトリーダーで、理工学群・応用理工学類3年の山内健太郎さん(21)は「父は研究者で憧れの存在。サッカーは幼い頃から親しみがある。二つはまさに自分の人生そのもの。今回、ご縁のあるすべての人に感謝し、やってよかったと思えるようなイベントにしたい」と話した。同団体の広報で、社会国際学群・国際総合学類1年の佐俣友彬さん(19)は「このイベントの開催は、研究学園都市であるつくばにとってもプラスになること、成功させたい」と話した。

体育スポーツ局の海老原加恵さん(27)は「文理問わず、研究に関わる様々な方に気軽に来場してもらい、筑波大学をより身近な存在にしてもらえれば」と話した。

当日は会場のサッカー場の半分を予選や決勝トーナメント戦に使用し、残りの半分は「PK体験」や、シュートの速度を測る「シュートスピード」、片栗粉と水を用い力をかけると固くなる「ダイラタンシー現象」を体験できる場など、家族連れの来場者も楽しむことができるブースを企画中だ。イベント終了後には同大第一サッカー場で開催される筑波大学蹴球部による関東大学サッカーリーグのホームゲーム公式試合(対東海大学)を観戦できる。(上田侑子)

◆つくばサイエンティストカップは10月21日(土)午前9時〜午後1時30分まで、つくば市天久保3-1、同大キャンパス内のセキショウフィールドで開催。参加申し込みには事前予約が必要、申込締切は20日(金)午後5時。体験ブースは事前予約なしで入場可能。サイエンティストカップの参加申し込みフォームはこちら。イベントに関する情報はワールドフットつくばのX(旧ツイッター)公式ホームページへ。

懸案に苦慮する市議会 土浦とつくばの事例《吾妻カガミ》169

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土浦市役所(左)とつくば市役所

【コラム・坂本栄】本サイトが報じた案件で土浦市とつくば市の議会が苦慮しています。土浦のケースは、車いすの中学生がいじめを受け続けたのに市の対応が不十分だったという話。つくばのケースは、県から譲渡される洞峰公園に関する市の予算説明が不正確で議会が判断に迷っているという話。いずれも市側の「逃げの姿勢」に問題があるようです。

いじめ問題をどう調査するか

前回コラム「土浦市のいじめ回答拒否 個人情報保護が盾」(10月2日掲載)では、市立中学校で起きたいじめ問題を取り上げ、市議会はプライバシー保護を理由に調査を見送ったと書きました。ところが、いじめに遭った本人が市議会の議長と文教厚生委員長に調査要望書を提出したことで、議会はこの問題を放置できなくなったようです。

私が入手した要望書「共生社会の実現への協力を要望します」(保護者連名、10月1日付、A4版5枚)には、2019年春から22年春にかけて受けたいじめの実態と学校・教育委員会の不手際の数々が報告されています。加害生徒に対する学校・教育委の調査の仕方がいい加減だったという件(くだり)はなかなかリアルです。

ある有力市議は「要望書が出たことで状況は変わった。議会としてどうするかまだ決まっていないが、何らかの対応は必要になる」と言っています。関係者のプライバシーを保護できるか、当時の加害生徒からヒアリングできるか―といった問題もあり、どういった調査が可能か苦慮しているようですが、この問題の表面化を恐れていた教育委はもう逃げられないでしょう。

洞峰公園の予算をどうするか

つくば市のケースは、県から無償で譲渡される洞峰公園の維持管理+補修+更新に必要な予算についての説明が不正確だった、という話です。

6月議会で執行部は、洞峰公園予算は年間1億8600万円(維持管理費1億5100万円+施設補修費3500万円)と説明しました。ところが、本サイトの記事「施設の補修・更新費34億円超 洞峰公園 つくば市、議会に示さず」(9月23日掲載)によって、毎年の1億8600万円のほか、31億円(市長のツイッター)の更新費(20年で順次更新するとすれば年平均1億5500万円)が必要であることが明らかになりました。

維持管理費+施設補修費+施設更新費=関連予算総額を隠したのは、金額を少なめに見せて、関連予算を渋る議員をなだめたかったからでしょう。これは情報操作でないかとの私の指摘に対し、市長は感情的に抗弁しています。要約すると、体育館などの設備・器機は更新せず、修理・修繕で済ませれば、県が数年前に算出した更新費31億円は必要ない―と。

議会がチェックすべき選択肢

どう計算するか議会は苦慮しているようですが、①更新軽視で施設や諸設備・器機が老朽化するのを承知で譲り受ける(市案可決)、②つくば市自慢の都市公園だから更新費用はケチらない(同増額修正)、③新規支出を避けるために洞峰公園を譲り受けない(同否決)―の3案を審議し、決を採ったらどうでしょう。

①ないし②で決まった場合でも、公園関係予算はもっと増えるかもしれません。というのは、洞峰公園問題のほとぼりが冷めたころ、県は洞峰公園とセットで造った赤塚公園の無償譲渡も仕掛けてくると予想されるからです。その維持管理費も、①ないし②に上乗せされると覚悟しておいた方がよいでしょう。(経済ジャーナリスト)

【参考】

いじめ関連記事とコラム>

▽「いじめをなぜ止められなかったのか… 」(9月3日掲載

▽コラム166「…車いす生徒に冷たい土浦市」(9月4日掲載

<洞峰公園問題の関連記事>

▽「つくば市への無償譲渡は妥当 県議会…」(9月25日掲載

▽「全員協開き説明を つくば市議16人が…」(10月11日掲載

スケートボードの新星、草木ひなのさん つくば市長を表敬

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五十嵐市長と共に撮影に応じる草木ひなのさん(左)。胸にはアジア大会の金メダルと世界選手権の銀メダル、手にはアジア大会のトロフィー

つくば市出身で2024年パリ五輪での活躍が期待されるスケートボード選手、草木ひなのさん(15、市立大穂中3年)が16日、五十嵐立青つくば市長を表敬訪問した。草木さんは今年9月のアジア大会(中国・杭州)で金メダル、10月の世界選手権(イタリア・ローマ)で銀メダルを獲得したばかり。会見にも2つのメダルを携え、五十嵐市長がその重さに驚くという一場面もあった。

アジア大会と世界選手権の報告として「杭州では2本目で優勝が決まったが、最後の3本目もフルメイク(ノーミス)で終わろうと、出したい技を決めまくった。ローマではやりたい技を考えすぎて、技を落としたりしてしまった。全部を見越した滑りができるようにしたい」と話した。

草木さんの専門はパーク種目。コンクリート製のくぼ地のような複雑な形状のコースを走りながらさまざまな技を繰り出し、その難易度や完成度などを競う。草木さんがいま決め技にしているのが、バックサイド540(ファイブフォーティー)という、ジャンプして空中で1回転半する大技だ。杭州でもローマでもこの技で得点を大きく積み上げた。

8歳のときお母さんに連れられてコースデビュー。9歳からはつくば市大舟戸のアクシススケートボードパークに通って技を磨いてきた。「負けん気が強く、はつらつしており、世代を問わずコミュニケーションがとれ、みんなを巻き込んでスケートするオープンな性格」と、同パークの宮崎将幸店長の評。

大人顔負けの滑走スピードから「鬼姫」の異名を持ち、ジャンプの高さにも自信がある。一方、けがが多いことが悩みで「1回1回集中し、けがを少なくしてうまくなっていければ」とも話す。

母のゆりさん(47)は「親としては、スポンサーとして支えてくれる企業への責任感なども教えたいが、プレッシャーになるので言わないようにしている。本人がやりたいことを楽しくやっているのが一番」との考えだ。

世界選手権の結果を受けて、現在のランキングは世界2位。パリ五輪のスケートボード各種目の出場枠は22人(1カ国最大3人)なので、出場の見込みは大きいが、まだ確定ではない。来年6月まで続く予選シリーズの中で、ポイントを積み上げていく必要がある。「ライバルは自分自身。来年3月からのシーズンも勝ち進んで、優勝してパリにつなげたい」と意気込む。(池田充雄)

つくばにツタヤが帰ってくる 17日、デイズタウンに開店

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店長の小松崎隆浩さん=17日オープンするつくば市竹園、TSUTAYAデイズタウンつくば店内

つくばの新しい文化拠点にー。そんな思いを込めて、つくば市竹園の複合商業施設デイズタウン1階西友跡に「TSUTAYA(ツタヤ)デイズタウンつくば」が17日オープンする。ちょうど1年前の昨年10月16日に閉店したLALA(ララ)ガーデン内のTSUTAYA LALAガーデンつくばの後継店で、約2300平方メートルの売り場に約18万7000冊の書籍と10万本以上の映像作品が並ぶ。

店のテーマは「つくばカルチャーベース」。「この店が、本、映画、音楽、それぞれの文化を発信できる場所でありたいという意味で掲げたテーマ。多様な趣味嗜好を持つ人たちが、それぞれ心に響く作品と出合う場になれば」と、同店店長の小松崎隆浩さんは来店を呼び掛ける。

このご時世にあえてレンタル

小松崎さんが「力を入れた」というのが、過去の名作から、世界各地の映画賞受賞作品など幅広い作品を取りそろえたレンタルDVDコーナー。オンラインでの動画配信が主流になりつつある中で、「ネットでは、自分の履歴を元に出てくる『オススメ』が中心になる。お店で新しい映画と出合って欲しいという思いでたくさんの作品をそろえた。棚を見るだけでも圧倒的に選ぶ幅が広がるはず。知らない作品でも、カバーを見て気になった作品を手に取ることも実店舗だからこその楽しみ方。映画の魅力を感じて欲しい」。

隣接のコミックコーナーでは新刊の販売とともに、市場では流通していない過去の作品をレンタル作品として多数取りそろえ、新しい試みとしてレコードのレンタル、販売も音響機器販売とともにスタートさせる。「このご時世にあえてレンタルに力を入れるのは、なんとしても映画、音楽、本も含めて文化を発信していきたいから。絶対に継続させたいと思っている」と小松崎さんは強調する。

コミックコーナー脇の壁面には、作画を楽しむ人向けの専門書籍が並ぶ

研究機関と選書で連携、社会課題と向き合う児童書充実

「つくばを意識した店舗づくり」だというのがサイエンスコーナーだ。宇宙航空研究開発機構(JAXA)や国立科学博物館 筑波実験植物園など、市内にある各研究機関と選書などで連携し、専門書籍を取りそろえるだけでなく、一般的では流通していないJAXAのタブロイド広報誌などのバックナンバーも含めて取りそろえる。

市内で行った街頭アンケートを元に選書したという児童書も充実させた。「近隣の子育て世代から、今の社会問題について子どもたちにどうやって伝えればいいのかわからないという、戸惑いの声を聞いた。絵本の面白さとともに、子どもたちがきちんと学べるコーナーとして、戦争、ジェンダー、障害、SDGsなどの児童書を充実させた」

社会問題に向き合うための児童書コーナー

その他に店内では、トレーディングカードの販売コーナーを設けており、子どもたちが自由に交流できるスペースも用意され、そこで毎週トレーディングカードのゲーム大会が開催される。

LALAガーデン閉店時に店長を務めていたという小松崎さん。「再びつくばに戻って来られて、率直にうれしい。つくばには様々な個性ある方たちがいて、これまでも一緒にイベントなどを開いてきた。お客様、お世話になった方もたくさんいる街でまた一緒に楽しい企画をつくっていきたい。お客様にも喜んでいただき、私たちも楽しくお店を続けていけたら」とし、「つくばにはたくさんの研究所がある。世界の最前線で何を研究しているのかを、地元の子どもたちに知ってもらえるイベントも企画していきたい」と力を込める。(柴田大輔)

◆同店はつくば市竹園1-9-2、デイズタウン1階。営業時間は午前10時~午後10時。定休日無し。地元を応援する企画として来年3月末まで、書籍、雑誌、コミックの売り上げ1冊に付き10円を、市内小学校の図書室の蔵書充実のため市に寄付する。

今季最終戦を白星で飾る つくばFCレディース 

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前半13分、つくばFCレディース、内藤のゴールでつくばが先制(撮影/高橋浩一)

プレナスなでしこリーグ(日本女子サッカーリーグ)2部のつくばFCレディースは15日、つくば市山木のセキショウチャレンジスタジアムでリーグ最終戦を行い、ディアヴォロッソ広島(本拠地・広島県熊野町)に1-0で勝利した。今季の最終成績は5勝3分10敗、順位は昨季と同じく10チーム中8位。

プレナスなでしこリーグ2部・第18節(10月15日、セキショウチャレンジスタジアム)
つくばFCレディース 1-0 ディアヴォロッソ広島
前半 1-0
後半 0-0

今節のつくばのフォーメーションは中盤がダイヤモンド型の4-4-2。通常はボランチを務めるMF内藤夏鈴がトップ下へ上がり、しかも初めてキャプテンマークを巻いた。「突然指名されたが、1年を通してチームを引っ張らなくてはいけない役目かなと思う。今日のポジションは、守備では一つ下がってゲームをつくるが、攻撃ではよりいっそうゴールに向かわないといけない。ファーストシュートで決めることができて良かった」と感想。

内藤の得点は前半13分。自陣から左サイドへつないだボールが相手との競り合いの中でこぼれ、それを拾った内藤がペナルティエリア手前からミドルシュートを決めた。これで内藤はチームトップの6得点目。なでしこ2部リーグの得点ランキングでも5位タイに浮上した。

幸先の良い得点となったが、試合状況は良いとは言い難かった。強い風雨が叩きつけ、ボールが止まるピッチコンディション。つくばは足元の技術を生かし、対面する相手をはがしてゴールへ向かおうとする。広島はフィジカルの強さを生かし、速い展開でパスをつないで前線の選手を走らせる。だが両者とも、シュートチャンスは数えるほどしかつくれなかった。

前半27分、敵陣を突破するMF工藤古都子(同)

「目の前の局面は良くても、その先でパスがずれるとか、パスを出しても人が入らないなど、1つ先へつながるところで甘さとか技術に劣る場面があり、ゴールに届かなかった」と白馬聡監督。

後半14分にはFW小西由利恵とMF岸川りなを前線に投入、右サイドを務めていたMF赤嶺美月をトップ下へ配し、より走れる布陣に変更した。「ボールがつながらないコンディションだったので、前半はクロスや突破で攻撃の起点となり、後半は2列目からの飛び出しなどで相手のラインを下げさせることを意識した」と赤嶺。ゴールセンスに優れる選手で、今季チーム2位の4得点を挙げている。

後半26分、コーナーキックからDF石井有紗がヘディングシュートを放つがボールはバーを越す(同)

30分にはDF佐藤歩夢とMF藤井志保を入れて左サイドを活性化するも、追加点は生まれずそのまま試合終了。「風雨による選手の消耗が大きく、後半は天候が回復したものの、コンディションの変化でやりたいことがずれた」と白馬監督。

今季は開幕3連勝と絶好のスタートを切ったが、その後は勝ちきれない試合が多く、7連敗を喫したこともあった。「課題を修正する力が足りず、監督の指示をピッチで表現しきれなかった」と内藤の見解。赤嶺は「苦しいシーズンだったが最後に勝ち切ったことをプラスに考え、来季に向かっていきたい」と気持ちをまとめた。(池田充雄)

今季を終えた選手たち(同)

現職と新人が立候補 土浦市長選告示

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雨の中、出陣式に集まった支持者ら

任期満了に伴う土浦市長選が15日告示され、現職で2期目を目指す安藤真理子氏(62)=無所属、自民・公明推薦=と、新人で家庭教師の小野勉氏(61)=無所属=の2氏が立候補を届け出た。14日現在の有権者数は11万8644人。投票は22日、市内50カ所で行われ、同日午後7時から同市大岩田、水郷体育館(霞ケ浦文化体育会館)で即日開票される。

安藤氏は商工、農業団体など130団体以上の推薦を得る。選挙期間中、片山さつき、進藤金日子参院議員らが街頭演説の応援に駆け付ける予定だ。小野氏は、市内を車で回り、選挙掲示板にポスターを張りながら、人が集まっているところで街頭演説したいとしている。

土浦に誇りがもてるまちをつくる

出陣式で支持を訴える安藤真理子氏=新治ショッピングセンターさん・あぴお駐車場

安藤真理子 62 市長 無現①

【略歴】土浦出身、土浦二高、成城大学短期大学部卒。会社勤めの後、介護福祉会社を経営、市議2期、県議2期。同市大町
【公約】①TX土浦駅延伸の早期実現②給食費無償化、産前産後の生活支援体制の充実など子育て支援の充実③土浦スマートインターチェンジ新設の早期実現

【安藤氏出陣式】午前10時から同市大畑の新治ショッピングセンターさん・あぴお駐車場で出陣式。雨が降る中、後援会によると支持者ら約1000人が足を運んだ。冒頭の挨拶に立った島岡宏明市議会議長は「今日は全市議24人が応援に来た」とし、「TX延伸など、土浦は百年に一度のチャンスにある。百年先の土浦のために、党派、会派を超えて土浦が一体となり、圧倒的な勝利をもって安藤氏を土浦市にお迎えしよう」と訴えた。安藤氏は「コロナがあり、命を守り抜くために闘ってきた3年間だった。ピンチをチャンスに変えるため様々なことに着手してきた。土浦に誇りをもち、みなさんに素晴らしいところだと思ってもらえるまちづくりをしていきたい」と述べた。出陣式には市議らのほか、地元選出の国光あやの、青山大人ら国会議員、同市区選出の伊沢勝徳、八島功男県議ら、「満場一致で安藤氏を支持する」とした県市長会から、会長の高橋靖水戸市長ら市長村長約30人ら多数が駆け付けた。

土浦を大改革し自由で楽しいまちを

第一声で公約などを話す小野勉氏=市役所大屋根広場

小野勉 61 家庭教師 無新

【略歴】土浦出身、土浦一高、明治大学政治経済学部政治学科卒。演劇プロダクション所属俳優や会社員などを務めた。同市小岩田。
【公約】①一律の給付金支給、減税、水道の基本料金ゼロなど市民の経済的負担軽減②費用対効果を考えた実効性のある施策を実現するための役所改革③市長賞与・退職金の返上

【小野氏第一声】午前10時から、同市大和町、市役所前で第一声。小野氏は「4年に1度の土浦を変えるチャンスが来た。現市長の市政が4年間続いていいのか。今の市長になってから本当に何か良くなったことがあるのか、私にはちっとも伝わってこない」と批判した。さらに「私の公約は、土浦大改革と、自由で楽しいまちをつくる」ことだとし、公約について「困っている人がたくさんいる。給付金、減税、水道基本料金をゼロにし、助けが必要な人に助けを届ける」と述べた。市役所改革については「今の市役所に公平さがあるのか、一部の人ばかりが得している」などと批判。市長の賞与・退職金ゼロについて「市長は公務員特別職、ボーナスもらうとか、退職金もらうとか、おかしい」と話した。その上で「夢を互いに応援しながら、自由で楽しいまちをつくろう」などと訴え支持を求めた。(鈴木宏子、柴田大輔)

料理はデザインである《デザインについて考える》1

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イラストは筆者
三橋俊雄さん

【コラム・三橋俊雄】みなさん、はじめまして! 私がデザインの道を歩み出してから、はや半世紀が過ぎました。幼い頃から“絵を描くこと”と“ものづくり”が好きだった私にとって、高校3年時に知った「工業デザイン」の世界は、思ってもみなかった出会いでした。大学は工業意匠学科に進学し、卒業研究では「障害児のためのデザイン」を行いました。

その後、デザイン事務所に入り「プロダクトデザイン」に従事。36歳でもう一度学生に戻り、「地域づくりとデザイン」について学びました。その後、大学教員となってからは、主に「障害者の福祉用具デザイン」や「過疎地域の活性化デザイン」を学生たちと進めてきました。大学で最後に関わったテーマは、「遊び仕事(マイナー・サブシステンス)」という、人間の「生き方のデザイン」でした。

こうして私が歩んできたデザインの道を振り返りながら、みなさんと「デザインの世界」について楽しく語り合えることができればと思っております。

中華の青椒肉絲を作る

今回は、「料理はデザインである」というお話からいたしましょう。

人は、お腹がすくと「今日は何を作ろうか」と思案します。冷蔵庫をのぞくと、豚肉、ピーマン、タケノコなどの食材があります。そこで、「チンジャオロースー(青椒肉絲)を作ろう」と思い立ちます。もちろん、「青椒肉絲」の具材が台所になければ、必要なものを買いに行くことから始めます。酒、醬油(しょうゆ)、それにオイスターソースなども確認して、料理に取りかかります。

このように、「料理をする」とは、「お腹がすいた」という課題(問題)に対して、食べたい料理をイメージし、食材や調理道具など、台所の限られた条件の中でやりくりしながら料理を行い、最後は食べる(課題を解決する)という一連の行為であり、それは「デザイン」をすることに他なりません。

自分をすてきに見せる

また、あなたが、外出する前に鏡の前で、帽子からドレス、靴下、バッグなど、あれこれと悩み、選ぶという行為も、「自分をすてきに見せたい」という目標に向けた課題解決型の創造的行為であり、それも「デザイン」と言えるでしょう。

そのように考えたら、自転車を直すのもデザインですし、お母さんが赤ちゃんの将来を考えながら育てていくこともデザインです。

このように、わたしたちは、「目標(課題)を抱き」「いろいろ考えて」「それを実行し」「目標に到達する(解決する)」というデザインの行為を、無意識のうちに、日々、行っているわけです。すなわち、みなさん一人ひとりが「デザイナー」であると言っても過言ではないのです。(ソーシャルデザイナー)

【みつはし・としお】1973:千葉大学工業意匠学科卒業/1973〜6年間:GKインダストリアルデザイン研究所/1979〜6年間:二番目のデザイン事務所/1985〜6年間:筑波大学(デザイン専攻)・千葉大学(環境科学専攻)にて学生/1991〜6年間:筑波技術短期大学・千葉大学にて教官/1997〜18年間:京都府立大学にて教員。6年単位で「居場所」を替えながら、さまざまな人と出会い、さまざまなデザインを行ってきました。退職後つくばに戻り、「竹園ぷらっと」「ふれあいサロン」「おやじのキッチン」など、地域の「居場所づくり」「まちづくり」のデザインを行っています。

あす告示 土浦市長選

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土浦市長選のポスター掲示板=土浦市中央、亀城公園前

任期満了に伴う土浦市長選が15日告示される。立候補を表明しているのは現職で2期目を目指す安藤真理子氏(62)=無所属、自民・公明推薦=。ほかに新人で家庭教師の小野勉氏(61)=無所属=が立候補の意向を示している。

4年前は市を二分する選挙戦が繰り広げられたが、今回は現職の安藤氏が市内各団体の支持を固めている。投票は22日行われ、即日開票される。9月1日現在の有権者数は11万8572人で4年前より約1700人増えている。

安藤真理子氏

安藤氏は「土浦で生まれ、土浦で育った若い人たちが、地元土浦を誇りに思ってもらえるということが私の大きな原点。1期目の公約はすべて着手し、できたものもあるし、これから続けていくものもある。種をまいたものが実を付けて、市民の皆さんが1日も早くその実を食べられるようにしたい」と話す。

公約として①TX土浦駅延伸の早期実現②給食費無償化、産前産後の生活支援体制の充実、1人親世帯の自立支援など子育て支援の充実③土浦スマートインターチェンジ新設の早期実現などを掲げる。

安藤氏は土浦出身、土浦二高、成城大学短期大学部を卒業。会社員などを務めた後、介護福祉会社を創業。市議2期、県議2期を務めた。

小野勉氏

小野氏は「4年間の成果が市民に見えない。現職の市政がこのまま続くのであれば納得できない」と現職を批判、「自由で楽しい土浦をつくりたい」と話す。

公約として①一律の給付金支給、減税、水道の基本料金ゼロなど、市民の経済的負担軽減②費用対効果を考えた実効性のある施策を実現するための役所改革③市長賞与・退職金の返上などを掲げる。

小野氏は土浦出身、土浦一高、明治大学政治経済学部政治学科卒。演劇プロダクションに所属し俳優となった後、会社員などを務めた。2019年と今年4月の同市議選と、20年の守谷市長選に出馬したがいずれも及ばなかった。

土浦の花火in大曲《見上げてごらん!》19

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一覧作成は筆者

【コラム・小泉裕司】今回は、「土浦の花火」史上、特筆すべきイベントに立ち会うことができたので、その概要を報告したい。

10月7日(土)、秋田県大曲の秋の夜空で、「土浦の花火」と「大曲の花火」の競演が実現した。そもそも、新型コロナウイルスの影響で第90回土浦全国花火競技大会が中止となったことを受け、昨年1月から2月にかけて、実行委員会が「土浦の花火~後世に伝える匠(たくみ)の技」(2022年4月17日掲載)を霞ケ浦湖畔で開催。最終日、大曲の4社と土浦の6社合同による「二大花火競技大会『土浦』『大曲』夢の競演!!」として打ち上げたのがきっかけ。

大曲の花火 秋の章」の第2幕、「土浦の花火物語」と題し、日本煙火協会茨城地区会が共同して、土浦全国花火競技大会の打上規定にそった作品、10号玉6発、創造花火2組、スターマイン2台をPART1と2に分けて打ち上げたもの。

芯入り割物を中心とした「10号玉の部」は、6社が1発ずつ出品。芯の数が多ければいいというものでもないが、競技大会で常に上位を占める山﨑煙火や野村花火が5重芯ではなく4重芯だったのは、地元として少し寂しいけれども、完璧な正円を披露したのはさすが。

「創造花火の部」には、茨城勢は大会に出品しておらず、今回に限り、山﨑煙火が担当した。これまで10号玉とスターマインに出品、創造花火は未経験の世界だった。独創性やタイトルと花火の整合性など、見る側の想像力をかき立てる、他に例のないユニークな競技部門となっているが、その楽しみを今一つ伝え切れなかったのは残念。

「スターマインの部」は、大曲での経験豊富な堀米煙火店が土浦の規定(4号玉から2.5号玉まで400発以内)に準じた作品を披露し、野村花火は、昨年の土浦で優勝した「水無月のころ」をリメイクし、5号玉を加えた大曲バージョンを披露した。

野村ブルーをふんだんに盛り込んだ八方咲きや1玉1玉の見せ方など、目の肥えた大曲市民を満足させるに十分な作品に仕上げ、会場の拍手喝采を浴びた。

地元の風土・歴史で育まれる花火

大曲の広大な夜空に上がる堀米煙火店のスターマインは、見事な色彩や打上構成を披露したが、上空のすかすか感が多少気になった。それも当たり前。開花時の最大高度200メートルの4号玉と250メートルの5号玉では、そもそも上空の暗闇部分を埋め尽くす広がりが違う。

逆を言えば、土浦の狭あいな空間では、4号玉以下で十分迫力ある構成に仕立て上げることができることを再確認できたことは、意外な収穫となった。改めて、両競技大会は、地元それぞれの歴史や風土に育まれてきたのである。

「土浦の花火」が姫神山をバックに雄物川の対岸から打ち上がるという、考えたこともない企画は無事終了し、来場者への土浦花火の認知度向上という所期の目的は十分に果たしたように思うし、今後もないだろう歴史的な瞬間に土浦市民の1人として立ち会えて、至福のひとときを味わうことができたのである。

実現に至るまでの土浦、大曲の花火関係者や煙火業者の皆さまに、心から敬意を表する次第。

ちなみに、当日の午後、花火伝統文化継承資料館「はなび・アム」(大仙市)で、「土浦の花火、大曲の花火」をテーマとした「花火特別セミナ-」(日本花火鑑賞士会主催)を開催したところ、入場しきれないほど多くの皆さまにご来場いただいた。

両花火競技大会が長年築き上げてきた「友情物語」について、来場者の皆さまが理解を深めていただく一助になったとすれば、5カ月をかけ準備を進めて来たスタッフ、そして講演者の1人として「がんばり」が報われたというもので、うれしい限り。本日は、この辺で「打ち留めー」。「ドン ドーン!」。(花火鑑賞士、元土浦市副市長)

申請わずか2件 つくば市の民間フリースクール補助事業

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民間フリースクールへの支援などが検討された昨年のつくば市不登校に関する児童生徒支援検討会議の様子

つくば市内の民間フリースクールを対象に、市が7月に申請受け付けを開始した補助事業について(7月7日付)、申請があったのは2件だけだったことがわかった。運営経費の2分の1などを補助する事業で、市は市内8カ所程度からの申請を想定して制度設計していた。申請件数が少なかったのはなぜなのか、背景を探った。

制度設計を担当した市教育局学び推進課課長補佐の東泉学さんは、あまりに申請の少ないことに「正直驚いた」と胸の内を明かした。東泉さんによると「昨年、市内にある民間施設10カ所中、市内在住の児童生徒が通所している8カ所の状況調査を行い、その内容を事業者補助制度に生かした」という。利用人数や利用料など、施設の規模に応じて交付額を300万~900万円台までの4段階に分け、8カ所の施設への交付を想定して算出した補助金4850万円を23年度当初予算として計上した。

申請受け付けにあたっては、既存の民間施設10カ所と、同課に相談のあった5カ所に補助金の情報提供をした。しかしふたを開けてみると申請件数は2件。審査を経て、2カ所には交付決定が通知された。そのうちの一つは、認定NPO法人リヴォルヴ学校教育研究所(小野村哲理事長)が運営する「むすびつくばライズ学園」(4月に改称)だ。

なぜ人気がなかったのか。月20人程度が通所するフリースクール「TSUKUBA学びの杜学園」を運営する中谷稔さん(57)と、月平均7、8人が通所する小規模施設を運営する鈴木恵子さん(仮名、46)に話を聞いた。2カ所とも補助金申請はしなかった。

つくば市内には10カ所の施設があり、このうち半分程度の施設が収容能力10人前後の小規模施設だという。フリースクールは法や制度で定められていないため、規模や運営形態、月謝などの費用は施設によって異なる。小中学生は元の学校に在籍したまま通所することになる。

中谷さんは「多くの事業者が様子見になったのではないか」と推測する。「利益を目的とせず、不登校で困っている親子のために尽くそうというボランティア感覚で運営している小規模施設の事業者にとって、いきなり助成金を受給するのにはハードルが高かった。また、施設規模を問わず、なんとか月謝や寄付などでやり繰りできているし、事業計画を立てて申請しても受給できる保証はないし、受給できても制度が打ち切られたら立ち行かなくなるという思いがあったと思う」。

鈴木さんは「煩雑な事務処理で手を出しづらかった」と話した。事業者と、利用者が在籍する学校との連携が重視され、毎月、利用者の出席状況報告書を学校長に、また施設利用状況報告書を市学び推進課に提出することが義務付けられている。鈴木さんは小中学生2人の子どもを育てながら週4日を施設運営、平日の残り1日を子どもの塾通いの送迎に充てる多忙な毎日を送る。土日に施設のホームページの更新やSNSでの情報発信、保護者への対応、会計処理などをこなしている。「ボランティの手を借りながら、ほぼ1人で運営している。これ以上の事務処理をする手間も時間もない」とした。

中谷さんは「補助対象経費を定めた条項の『(つくば市在住の)利用者が5人未満の月の事業に要する経費は、補助対象経費としない』の規定も申請をためらわせる要因になった」と指摘した。利用者に近隣自治体居住の児童生徒が含まれるのは珍しくない上に、体調が悪くなったり気分が落ち込んで通所しなくなるのはフリースクールにありがちなことだという。「キャパが大きく利用者の多い施設には問題ないだろうが、利用者10人程度の小規模施設にとって5人枠はきつい」とし「5人の根拠が示されないまま申請受け付けがスタートした」と、口惜しそうに話した。

続けて中谷さんは「自分1人が思っていることかもしれないが」と前置きした上で「(2021年12月の事業者選定をめぐり迷走した不登校学習支援施設の)むすびつくばへの市のやり方に不安を覚えた。22年度の不登校の学習支援施設の委託業者の選定で1位はトライだった。市の委託を受けて同施設を運営していたむすびつくばは2位になった。継続を求める陳情があると事業費を追加して1年延ばし、昨年度は市内2カ所で委託事業が実施された。その一方で昨年5月から不登校支援の検討会が開かれ、わずか1年というスピードで補助制度がスタートした。これは何か切迫した事情があったのか、と不信を招きかねない」と語った。そして「4850万もの補助金を継続できるのか、首長が変わったらどうなるかという思いも拭いきれない」とも。

鈴木さんは「複雑な事務処理などないシンプルな制度にしてほしい」と強調した。中谷さんは「施設の状況調査はあったが制度について意見を述べる機会はなかった。地元事業者の現状に合うものではなかった」と締めくくった。

申請を断念したフリースクール運営者の声について市学び推進課の東泉さんは「補助経費に関する規定には、児童生徒5人以上での施設利用が制度活用に必要であるという意味を込めた」とし、数カ所から「3人ではどうか」などの問い合わせがあったと明かした。そして「100点満点の制度はないが、5人枠を含めて見直しを行い、使い勝手の良い制度にしていく。事業者さんたちの話を聞く機会は必要だと思っている」と語った。

一方、申請し交付を受けることが決まったリヴォルヴの小野村理事長は「改善を求めたい点もあるが、公的資金を原資としているから要件が厳しくなるのは仕方がない」とした上で、「補助対象外とされることが多い人件費を経費として認めるなど、比較的使いやすい制度設計だと思う。補助金は、カウンセラーによるサポートやスタッフの研修機会を充実させるなど、子どもたちにとってより良い環境づくりに生かせる」と話す。

利用者補助は74人が申請

同市は民間フリースクールへの補助金と併せて、不登校児童生徒の保護者がフリースクールに支払った利用料を補助する事業をスタートさせた。利用料補助は期限までに74人が申請した。

利用者への交付事業は8月4日に補助金交付要綱を公表した。1年を4カ月ごとに区切って年3回交付が行なわれる形で、9月30日まで申請を受け付けた。特例として4月から7月までの利用料はさかのぼって交付した。

昨年実施した民間施設への調査で小中学生100人弱が施設を利用していることが分かり、100人程度への支援を想定して、23年度当初予算に利用者への交付金2400万円を計上した。所得制限を設けず、1人当たり月額上限2万円を交付する。

申請には施設を利用した際の領収書の写しなど5枚の書類を市学び推進課に郵送又は直接提出することになっているが、初めての申請で不備を心配してか、申請者の9割が同課に持参したという。(橋立多美)

➡つくば市の不登校児童生徒支援施策の迷走問題に関する過去記事はこちら

栗を栽培する四万騎農園《日本一の湖のほとりにある街の話》16

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イラストは筆者

【コラム・若田部哲】秋の味覚・栗と言えば、長野県小布施町や兵庫県丹波市が有名ですが、実は生産量日本一は茨城県。かすみがうら市はその中心地のひとつです。

その中でも「高継(たかつぎ)」という、今では日本の栗栽培において広く普及している方法を確立したのが、同市の「四万騎(しまき)農園」。今回は、同農園の3代目である兵藤昭彦さんに、おいしい栗栽培についてのお話を伺いました。

四万騎農園は昭彦さんの祖父、兵藤直彦氏により1919(大正8)年に創業。直彦氏は凍害に弱い栗の木の育成を改善するため、土台となる台木の高いところで接ぎ木をする高継苗を開発し、茨城の栗の生産性向上に多大な足跡を残されました。

昭彦さんによれば、栗の栽培にはスタンダードな方法がなく、その生産者により正解が異なる面白さがあるそうです。四万騎農園では代々の工夫の結果、木の間隔を4メートル空けて植樹し、さらにその後間伐により8.5メートル間隔としているとのこと。

また、12~3種類に及ぶ品種を生産することにより、9月から10月下旬まで収穫期を広げ、収穫する労力の集中を避けるとともに、時期ごとにより異なるおいしさが楽しめるよう工夫をしているそうです。

渋皮煮のマロンジャムも

ところで栗と言えば秋ですが、この農園には春にも見事な名物が! それが、栗畑一面に咲き誇る菜の花です。緑肥のために数十年前に蒔(ま)いた菜の花が、いつしか種が土にすき込まれて自然に生えてくるようになったとのこと。本来、花を咲かせることが目的ではないものの、この風景を楽しみにされるお客さんが増えたことにより、できるだけきれいに咲くよう、心配りをされているそうです。

さて、同園では生栗のほか、渋皮煮、ジャムなども販売しています。昭彦さんのお薦めは、手間暇かけた渋皮煮。そのほか渋皮煮をベースにして作ったマロンジャムも、看板メニューとして親しまれています。

「プレーン」「ラム」「オー・ドゥ・ヴィ」の3種類のジャムは、粒感たっぷりの濃厚な味わいで、パンやアイスと共にいただくと、濃厚な栗感を存分に楽しめる逸品。また、ローストポークやチキンソテーなど、肉料理のソースに使っても相性抜群でおススメです。

代々の工夫により磨かれてきた、濃厚かつ芳醇(ほうじゅん)な秋の味わいを、ぜひお楽しみください。(土浦市職員)

<注> 本コラムは「周長」日本一の湖、霞ケ浦と筑波山周辺の様々な魅力を伝えるものです。

➡これまで紹介した場所はこちら

産卵床を造成 アユを呼び戻したい【桜川と共に】9

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重機に乗って桜川の川底を耕耘する漁協理事の酒井さん=つくば市栗原

1990年代にアユがよく捕れていたという桜川。近年少なくなってしまったアユを呼び戻そうと、9月末、つくば市栗原の桜川で、重機を使って川底を耕す作業が行われた。川底にある直径1センチから2センチの小石や砂利に付いた古い藻類や泥をはがし、餌となる新しい藻類を定着させて、アユの産卵床を作るのが目的だ。9月下旬から11月ごろがアユの産卵期となるため、桜川漁協(鈴木清次組合長)が年に1度、この時期に産卵床の造成作業を行っている。

朝9時、漁協理事の酒井康男さん(86)が油圧ショベルを運転して広場から桜川に乗り入れ、1時間半ほどかけて川底を掘り起こした。この日の水深は30センチから50センチ程度。小倉さんと共に、鈴木組合長や理事の松田七郎さん、組合事務担当の小神野一巳さんが川底の耕うんの様子を見守った。

重機に乗る酒井さん、前左から小倉之一さん、松田七郎さん、鈴木清次さん、小神野一巳さん=同

河床を耕したこの日、桜川の清掃や水質浄化などに取り組む「桜川多面的機能活動組織」が、生態系の維持、保全などを目的に魚類モニタリング調査を実施、1時間ほど投網を打ち、オイカワ、モロコ、ニゴイなどが捕れた。約40匹のうち、8割ほどがオイカワだったが、体長13センチの小さいアユ2匹も入った。耕うん後の今月7日に行われたモニタリング調査では、1時間の投網でアユ18匹、オイカワ114匹そしてボラ15匹が捕れ、アユの数が明らかに増えた。

漁協理事の小倉之一さんは「昔は三本爪の鋤(すき)を使って手作業で川底を耕していた。耕すとアユが増えるのは経験から確か」と話す。「昔はアユがたくさんいたが、今は減ってしまった。川にアユを呼び戻したい」と組合員ら。しかし、桜川にアユがいることが分かるとアユ目当ての遊漁者が増え、さらに減ってしまうのではないかとの危惧もあるという。

投網を打つ小倉さんとそれを見守る松田さん=同

霞ケ浦から上ってくる陸封型

アユは年魚で、寿命は1年。普通は海で生活し、その後川に上ってくる回遊型の魚だが、桜川のアユは海には出ず、霞ケ浦から上ってくる陸封型だ。秋に川底の砂礫に卵を産むと10日から14日前後でふ化し、ふ化仔魚は1日も経たず霞ヶ浦に下る。冬は霞ヶ浦で過ごし、春から夏にかけて遡上してくる。

県霞ケ浦北浦水産事務所によると、桜川のアユ漁獲量について統計データはないが、1990年代から2000年代までは、遊漁者による釣りや漁業者による投網で漁獲されていた。しかし、近年は姿を見ない年が続いてきた。

昔と比べると少ないものの、今年になり再び投網に入るようになった。

今月7日に桜川で捕れた18匹のアユ(桜川漁協提供)

霞ケ浦・北浦では、1992年以降に定置網(張網)などに入るアユが急増。多く捕れる状況は2000年代まで続いたが、現在は極めて少なくなったという。国の統計(漁業・養殖業生産統計年報)によれば、1999年に19トン(霞ケ浦18トン、北浦1トン)、2000年に12トン(霞ケ浦9トン、北浦3トン)、01年に3トン(霞ケ浦3トン、北浦0トン)で、02年以降は、統計に表れていない。最も漁獲量が多かったころの霞ケ浦・北浦では、築地市場や地元ホテルなどに鮮魚出荷したり、甘露煮などに加工したりしていた。桜川では自家消費のみだ。

桜川のアユの食性については、詳しい調査が行われていない。しかし、同じ霞ケ浦流入河川の恋瀬川で1996年に行われた調査では、アユが藻類をはむ行動や「はみあと」が観察されており、夏から秋にかけての餌は藻類主体であることが分かっているという。桜川のアユの「なわばり」行動については不明だが、当時、餌釣りが行われていたことから「なわばり」性は低いと考えられている。(田中めぐみ)

➡桜川と共にの過去記事はこちら

音楽サブスクとノスタルジー《遊民通信》74

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【コラム・田口哲郎】

前略

音楽をサブスクリプションできく時代になりました。アップル・ミュージックやアマゾン・ミュージックなどネットワーク上にあって提供されている無数の曲を月々定額で楽しむことができるサービスです。

30年前はCDからお気に入り曲をカセットテープにダビングしたりしていたのですが、いまはお気に入りの曲をプレイリストに入れればよいので簡単です。

あのころきいていた曲が音楽のサブスクにはたくさんあります。なつかしい曲をきくと、そのころの空気感までよみがえってきて、なんとも言えない気持ちになります。

宇多田ヒカル「Automatic」とノスタルジー

それをつよく感じるのは、私の場合、宇多田ヒカルの「Automatic」です。この曲は私を20世紀末の東京都心につれていきます。慶應義塾に通っていたころは、三田、麻布、六本木、渋谷あたりによく行きました。当時は空前のカフェ・ブームとクラブ・ブームでした。

喫茶店ではなくカフェ、隠れ家的な空間が城南エリアにたくさんできて、若者がこぞってゆきました。また、ディスコではなくクラブ、小さなハコと言われる空間で、DJが繰り出すテクノ系ダンス・ミュージックで踊る店が、六本木、麻布、渋谷界隈(かいわい)にたくさんできて、そこに若者は夜な夜な通ったのです。

宇多田の「Automatic」はヒットチャート上位にランクインしましたので、カフェやクラブを渡り歩く人たちからすると、少々、メジャーすぎる音楽だったかもしれません。でも、あの「音」はまさにあのころの東京の雰囲気そのものだった気がします。

世界がきな臭く、国内もいろいろと既成概念が突き崩されて、内外で激しい変化が起こっている日本が、あのころは比較的平和でおだやかだったのかもしれません。そうしたぬくぬくとした空気のなかで、若者はカルチャーをつくろうとしていました。とはいえ、それでも人びとはいろいろな問題に向き合いながら、生きていたのですが。

「むかしはよかった…」と言うのは年寄りだと言われますが、私もそんなことをしばしば思わざるをえない年齢になりました。いまの景色をむかしのそれと比べてしまうほどに、街を見てきたということでしょう。

どうしても昔のほうがよいと思えてしまう。宇多田ヒカルの「Automatic」はそんなノスタルジーをかき立てる名曲なのは間違いないようです。

草々

(散歩好きの文明批評家)

全協開き説明を つくば市議16人が議長に要望書 洞峰公園の更新費問題

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五頭議長(右)に要望書を手渡す(左から)飯岡市議と山中市議=11日、市議会議長室

つくば市が県から無償譲渡を受ける方針を示している県営の都市公園、洞峰公園(同市二の宮、約20ヘクタール)について、市が6月の市議会全員協議会や7月の市民説明会で、体育館やプールなどの施設の更新費用を示さなかった問題で(9月23日付け)、市議26人のうち16人が11日、五頭泰誠議長に対し、市民アンケート調査実施前に全員協議会(全協)を開催して、県議会調査特別委員会で示された更新費用(9月25日付)などについて説明するよう求める要望書を出した。

16人は、自民党政清クラブの飯岡宏之、鈴木富士雄、塚本洋二、木村修寿、宮本達也▽つくば・市民ネットの皆川幸枝、小森谷さやか、あさのえくこ、川村直子▽共産党の橋本佳子、山中真弓▽創生クラブの小村政文▽新社会党の金子和雄▽清郷会の木村清隆▽新緑会の中村重雄▽つくばチェンジチャレンジの川久保皆実市議。

要望書は①県議会特別委員会が設置された後のやり取りと経緯②県が行った健全度調査の結果と市が見通している今後の維持管理・更新費用③市民アンケート調査の内容と取り扱いーの3項目について、全協を開いて説明するよう求めている。

要望書を提出した飯岡市議は「当初11人で提出することを予定していたが数が増え過半数を超えた。他の議員も市が説明責任を果たしていないと感じたのだと思う。市長はきちんと誠意を示して、アンケート実施前に市民の代表である我々に説明してほしい」と話し、山中市議は「正確な情報を市民にきちんと伝えることは私たちの役割。アンケート実施前に正確な情報を開示してほしい。『すべての事業で情報を共有しながら進めていく』と市長が言うのであれば、議会に対しても情報を共有してほしい」と話す。

洞峰公園の無償譲渡に関する市民アンケート調査の実施日程については、五十嵐市長が9月議会最終日の6日、13日から11月5日まで実施すると表明している。

同市議会全員協議会運営要綱によると、全協は議長が招集することになっている。

つくば市が洞峰公園の無償譲渡を受けた場合にかかる費用について市は6月の市議会全協と7月の市民説明会で、維持管理費が年約1億5000万円、施設修繕費が年平均3500万円程度かかると説明している。

これに対しNEWSつくばは情報開示請求した資料に基づき、最も金額が大きい更新費用がいくらかかるかを市は明らかにしておらず、市議会や市民説明会で示した数字は維持管理費と補修費のみだと指摘し、県が2016年度実施した健全度調査のライフサイクルコストを元に、2024年度以降、維持管理、補修、更新費用など合わせて34億円以上かかると指摘している(9月23日付け)。

その後、大塚秀二県都市整備課長は9月25日の県議会県有施設・県出資団体調査特別委員会で県議の質問に答え、2016年に健全度調査を行った際は洞峰公園の更新に約40億円かかると算出しており、8割の32億円が建物分だなどと説明している(9月25日付)。

一方、五十嵐立青つくば市長は4日の定例記者会見と同日のツイッター(X)などでNEWSつくばの質問に対し、県は2016年実施の健全度調査で「24年度以降に補修費用約2.1億円、更新費用約31.2億円かかるとされた」など、来年度以降、30億円を超える更新費用がかかるという県の算定を把握していたことを認めた一方、更新費について言及しなかったのは「県が試算した当時の更新費用の前提が県の指針とも市の指針とも違い、意味をなさないから言及しなかった」などとしている。(鈴木宏子)

【13日午後3時50分追加】13日から実施予定だった市民アンケートについて、つくば市は12日、市議会から全員協議会を開いて、洞峰公園の更新費や市民アンケートの内容などについて説明するよう求める要望があったことから、アンケートの実施を延期すると市ホームページで発表した。実施時期は未定という。