木曜日, 9月 18, 2025
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出資会社作りクレオ全部取得を提案 子供向け科学体験型商業施設に再生 つくば市負担34億

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クレオ

【鈴木宏子】百貨店などが撤退し今年2月から閉鎖されているつくば駅前の商業施設クレオ(筑波都市整備所有)について、同市の五十嵐立青市長は28日、市が出資するまちづくり会社をつくってクレオの土地と建物全部を約38億円で購入する案を発表した。子どもたちが遊びながら科学を学べる体験型商業施設に再生し、出資会社が運営する。市が負担する費用は20年間の賃料なども含め総額約34億3000万円になるという。同日開かれた市議会全員協議会に示した。

新たな商業施設は、1、2階に食品スーパー、百貨店、地元の飲食店や物販店のほか、温浴・健康施設、自転車・アウトドアスポーツ拠点施設などを配置する。目玉となる3~5階は、子ども向け科学体験教育施設、世界のおもちゃ体験施設、書店などを入居させる。市は5階に子供や科学に関する本を集めた子ども科学図書館と市役所窓口を出店する。

各階の配置案(つくば市作成)

体験施設の具体的な中身やどのようなテナントが入居するかについては現在、打診中でまだ決まっていないという。ただし東京・お台場と豊洲に新しいデジタルアートミュージアムを開設して話題のデジタルコンテンツ制作会社「チームラボ」、ロボットスーツを開発・販売する筑波大発ベンチャー企業の「サイバーダイン」、廃校になった小学校で世界のおもちゃに触れて遊べる体験型ミュージアムを運営する「東京おもちゃ美術館」など、注目を集める会社などと協議していると強調している。

商業施設を運営するまちづくり会社は、市が20億円、民間事業者が30億円を出資し資本金50億円とする。民間の出資会社はまだ確定してないがサイバーダインなどと協議中という。さらに金融機関から21億円を借りて計約71億円の資金を元に、約38億円でクレオを購入、約29億円で改修し、約4億円を初期の運転資金に充てるという。入居するテナントの賃料は、クレオの周辺相場が1坪(3.3平方㍍)当たり1~2万円程度なのに対し、3~7割安い7500円程度とし、開業2年目から約1億円の黒字になると試算している。

マンション建てるべきでない

クレオはつくば科学博が開催された1985年に建築。地下2階、地上8階建てで、面積は約1万5000平方㍍、延床面積約5万6000平方㍍。

クレオの再生をめぐって五十嵐市長は6月、約22億円で5、6階に図書館など公共施設を入居させることを検討していることを明らかにした。その後、所有者の筑波都市整備が、年内にも売却を行いたい意向を示したことを受け、今回、新たな案が提示された。

年内に売却の場合、商業施設と併設して14階建てマンションが建設予定であることから、マンション建設をすべきでないとして、全部購入する案としたという。さらに6月時点では標準耐用年数を超えている施設をすべて更新した場合、51億6200万円かかると試算されていたが、あと20、30年は使えるとして長期改修を15億円程度にとどめる。

市の新たな案について筑波都市整備は「市の案が出たということなので、中身を見て確認したい」としている。

10月16日まで市民の意見を募集

市は今回の案を市ホームページで公表、さらに10月7日ごろに市広報臨時号を新聞折り込みなどで配布して、29日から10月16日まで市民の意見を募集する。市民説明会は10月14日午前10時から市役所2階で開く。

アンケートなどで市民の合意が得られれば、10月下旬に市議会臨時議会を開き、20億円の出資の是非について諮る。議会で可決されれば11月中にまちづくり会社を設立、12月中旬にクレオを購入するという。

一方、市議会全員協議会では「さまざまな課題がある中、なぜクレオを優先するのか」「周辺部にどれだけ波及効果があるのか」「公共性があまりにも少ない」「テナントが埋まらないというリスクはないのか」「拙速に進めるべきでない」などの質問や意見が相次いだ。

キャンパス内に商業施設 10月1日筑波大に開店 支払いキャッシュレスに

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10月1日オープする筑波大学ショッピングプラザ=筑波キャンパス南地区

【鈴木宏子】筑波大学(つくば市天王台)のキャンパス内に10月1日、スーパーとカフェを併設したショッピングプラザ(仮称)がオープンする。

スーパーはカスミ(同市西大橋、石井俊樹社長)が運営する同筑波大学店(箱田直美店長)で、同社初の取り組みとして現金のやり取りを行わず、クレジットカードや電子マネーで買い物するキャッシュレス化の店舗となる。

スーパーの建築面積は約1000平方㍍。生鮮食料品や日用品を販売するほか、留学生が多いことから、アジア各国の調味料など輸入食材や、イスラム教の戒律に沿って調理・製造されたハラール認証の食材なども豊富に取りそろえる。学生向けのため、商品価格は他の店よりやや安めにするという。

店舗には、その場で飲食できるイートインコーナー(店内33席、テラス44席)を設置。無料のWi-Fiが使用できるようにする。さらに簡易キッチンを備えた多目的スペース(8席)を設け、学生や教職員がミーティングなどで利用できるようにする。イートインコーナーには一誠商事のセルフ不動産検索機を設置し、新居探しもできるという。

店舗入り口付近にはスマートフォン充電シェアリングサービスを設け、店舗横に宅配便ロッカーを設置し宅配便が受け取れるようにする。自転車の無料空気入れスタンドも設置し、パンク修理も対応する。

学生、教職員計約2万2000人と周辺住民約3200世帯を対象に、年商3億4000万円を目指している。

カフェは、サザコーヒー(ひたちなか市、鈴木美和子社長)が運営する筑波大学アリアンサ店で、建築面積は約200平方㍍。同大と共同開発したコーヒー豆、アリアンサコーヒーのほか、ドイツ製の焙煎機で焙煎したこだわりのあるコーヒーなどを提供する。

同大は、学生と教職員の福利厚生と利便性向上を目的に、平砂学生宿舎北側に食品スーパーを中心にした商業施設を整備することを計画。昨年7月、運営会社を公募した。鹿島リース(東京都港区、稲葉仁社長)が施設を整備し20年間運営して、同大が土地の賃料を得る仕組みで、整備が進められてきた。

◆カスミ筑波大学店の営業時間は平日が午前8時~午後9時、土曜・祝日は午前10時~午後7時。日曜定休。サザコーヒーは平日午前9時~午後9時、土・日・祝日午前10時~午後7時。10月1日のオープン時間はカスミが午前10時45分、サザコーヒーが同11時の予定。

20年来の作品を初お披露目 土浦市民ギャラリーで「木目込み人形展」

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「木目込・手芸同好会」の会員ら。後ろは展示される立ちびなの木目込み人形=土浦市大和町、土浦市民ギャラリー

【鈴木萬里子】土浦市の亀城プラザを拠点に活動している「木目込・手芸同好会」(代表・中野かすみさん、島田幸子さん)による初の作品展「木目込人形・手芸同好会展」が、28~30日の3日間、同市大和町の市民ギャラリーで開かれる。

会員10人が、20年来、活動を続ける中でそれぞれ作り上げ、箱に入れて家の中にしまっていた作品を、今回、市民ギャラリーがオープンしたのをきっかけに初お披露目する。1人10点以上を持ち寄り、100体を超える作品が並ぶという。

会は20年以上前に結成された。会員は現在、60代半ばから83歳までの10人。当初は講師の指導を仰いでいたが、講師が高齢になり、3年前から経験の長い会員が教え合うなどしている。

木目込み人形は、木製の人形に、衣服の形に筋彫りを入れ、布を押し込んで衣服を着ているように仕立てた人形。約250年前の江戸時代中期、京都上賀茂神社が発祥といわれる。

会員らは、既成の人形を土台に、自分の仕上げのイメージに合わせて筋や溝を彫り、衣装を着ているように仕立てる。「十二単(ひとえ)を着たおひな様の襟元を合わせるのが特に難しい」と会員の一人は話す。人形の衣装は、古布、絹の端切れや化学繊維までいろいろある。溝の彫り込み方や着物の柄などに作り手の個性が色濃く出るという。

島田さんは「これだけたくさんの木目込み人形が並ぶのは珍しいと思う。是非見てほしい」と話し、中野さんは「伝統技能なので次の世代に残していきたい」と語る。

ほかにハワイアンキルト、ちぎり絵、パッチワークのバックなど会員の多彩な手工芸作品も展示される。

◆同展は30日(日)まで。開館時間は午前10時~午後6時(最終日は午後3時まで)。入場無料。問い合わせは同ギャラリー(電話029・846・2950)

◆会の活動は毎月第2、4月曜午前10時~午後3時、土浦市亀城プラザ。見学自由。問い合わせは同プラザ(電話029-824-3121)

ハワイアンキルトの作者で会の代表の中野かすみさん㊧と同代表の島田幸子さん=同

釣り針からみ衰弱 谷田川のコブハクチョウ

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川の中で針と糸を取ろうともがくコブハクチョウ=つくば市森の里前の谷田川(写真は富樫さん提供)

【橋立多美】つくば市森の里団地の脇を流れる谷田川にすみつくコブハクチョウが、釣り人が放置した仕掛けが足にからまって傷を負ったが、団地住民と市環境保全課の連携プレーで事なきを得た。

コブハクチョウの写真を撮り続けている同団地の富樫次夫さん(67)が26日夕方いつものように撮影に行くと、生息している7羽のうちの1羽が左足にからんだ針と糸を取ろうと必死にもがいていた。

コブハクチョウから除去した釣りの仕掛け

すぐに倉本茂樹自治会長を通じて市環境保全課に連絡し、同課の職員2人が捕獲用の網を持って駆け付けた。ところがビックリしたコブハクチョウに逃げられて捕獲に失敗した。

翌27日午前9時半、住民が見守る中で2度目の捕獲が成功した。ペンチで足に絡まった糸と足の付け根に刺さった針を除去し無事救出作戦が終わった。同課職員は「針を取ろうとくちばしで引っ張ったせいで、くちばしの一部が引きちぎられて血が出ていた。疲れ果てたのかヨタヨタした状態だった」と話した。

捕獲されたコブハクチョウ。背中に血がにじんでいた=谷田川堤防

その後コブハクチョウは同団地の住民から餌をもらい、安心した様子で仲間のところに泳いでいった。富樫さんは「ここはブラックバスやコイを釣りに来る人が絶えない。これまでも釣り人が持ち帰らない釣り針や糸がからんで死んだコブハクチョウがいる。放置せずに持ち帰ってほしい」と力を込める。

同課は、今回のような人為的な出来事に対処しており、「釣り人のマナー向上」を呼びかける。

【多文化共生を支える】3 コミュニケーション力磨き助産師が奮闘

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マタニティクラスで分娩の仕組みを説明しながら質問に答える玉置さん=つくば市上横場の筑波学園病院

【橋立多美】9月中旬、妊娠後期の中国とインド出身の妊婦4人が夫と一緒に、分娩(ぶんべん)の仕組みや入院中のスケジュールについて助産師から説明を受けた。つくば市上横場の筑波学園病院産科病棟で年4回行われている外国人対象のマタニティクラスのひとコマだ。やりとりは全て英語。終始フレンドリーな雰囲気で時折笑い声が混じる。

指導する助産師は玉置利香さん(46)。座学を終えると分娩室や病室を案内した。日本人向けの母親学級で分娩室を見学することはない。「マタニティクラスはお産の知識を得ながら友だちができる場。妊娠の段階で良い出会いがあると安心して出産できる。分娩室の見学はお産をイメージしてもらうため」と玉置さんはいう。

サービスより親身なケア

玉置さんは同病院の産科病棟に勤務する。3年ほど前、外国人の妊産婦が、安全性が疑われる母国のミルクを持ち込んだり、タイやインド出身の母親が冷たい水で赤ちゃんを沐浴(もくよく)させようとする場面を目の当たりにした。日本人でも母親学級を通して妊娠や分娩への理解を深めて安心して出産を迎える。言葉の壁がある外国人が母親学級に参加することはなく、母国と異なる病院環境に戸惑いと不安を覚えていると感じた。

病院に、外国人対象のマタニティクラスの開設を提案。一方で、出産後の育児を支援する訪問型の助産院を自身で開院しようと決意した。病院が願いを聞き入れ、マタニティクラスを受け持たせてくれた。英語が話せる後輩の助産師、岩瀬和恵さん(38)と共に同クラスの運営に取り組んでいる。

現在は妊婦外来や助産師外来、産後2週間検診に携わり、主に玉置さんが外国人を担当している。お産は夫婦の共同作業という意識の表れから、ほぼ100%の夫が分娩時に立ち会うという。一方、外国人は産後の祝い膳やマッサージといったサービスより、安全な医療と親身なケアを求めていることも分かった。

同病院産科病棟の飯田ひろ美看護師長は「国籍に関係なく、患者の要望に添える看護を目指している。マタニティクラスは後継者が育ちつつあり見守っていきたい」と話す。

英語で質問が飛ぶ外国人対象のマタニティクラス=同

助産院開院し出産後の育児支援

週2日、同病院での勤務を続けながら、玉置さんは昨年4月、外国人をメーンにした「Aina(アイナ)助産院」を土浦市宍塚に開院した。

英語が通じる助産院の開院を知った外国人ママたちがSNSで発信し、利用する外国人が増えてきた。授乳指導や育児支援をするほか、赤ちゃんの予防接種に付き添い、問診票に記載するなどの支援もしている。料金は県助産師会の規定に基づき1時間4000円以上。玉置さんは「コミュニケーション力を磨いて彼女たちを応援したいが、私を雇えない人もいると思う。かゆい所に手が届いていない」と話す。Aina助産院の問い合わせは玉置さん(電話080-4007-4245)。

(終わり)

金井宇宙飛行士が市役所訪問 つくば市の応援に感謝

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国際宇宙ステーションで撮影した写真を五十嵐市長に手渡す金井宣茂宇宙飛行士㊧=つくば市役所

【鈴木宏子】国際宇宙ステーション(ISS)の宇宙飛行士として昨年12月から5カ月半、宇宙に滞在し、今年6月帰還した宇宙航空研究開発機構(JAXA)の金井宣茂宇宙飛行士(41)が26日、つくば市役所を訪れた。打ち上げ時や帰還時につくば市の応援を受けたことに対し、五十嵐立青市長に感謝の意を伝えた。

金井さんはフライトエンジニアとして、ISSの維持管理や運用、宇宙環境を利用した科学実験などに取り組んだ。

宇宙滞在を振り返り「宇宙での生活は意外に快適で不自由なかった。宇宙食もおいしいし、肩凝りもないし、夜はハンモックに揺られるようにすやすや眠れた。普通の人が宇宙旅行しても生活するノウハウは蓄積されていると感じた」と話した。もの散らかっているのが嫌いな性格のため、他の宇宙飛行士が出しっぱなしにしているカメラなどを片付けるなど、片付け係だったというエピソードも披露した。

今年2月、アジアや日本の学生たちが筑波宇宙センターの運用管制ルームで生中継を見守る中、学生たちから提案があった8つの宇宙実験を行った際は「宇宙でも学生たちのパワーを感じた」と話した。

帰還後の6月、つくば市は、金井さんに送る「おかえりなさいメッセージ」を市民から募集し、市民の寄せ書きをつくば駅前の商業施設BiViつくばに展示した。筑波宇宙センターでリハビリ中だった金井さんは会場を訪れ、居合わせた市民から「お疲れ様でした」などと声を掛けてもらったことがうれしかったなどと語った。

29日は筑波宇宙センターで催される特別公開で子供たち向けの講演会を開く予定。さらに全国各地に出向いて帰還報告などをする計画という。「経験をいろいろな人にお話しすることで宇宙を身近に感じていただけば」という。

◆筑波宇宙センターの特別公開は29日(土)午前10時~午後4時。金井さんは「教えて!金井宇宙飛行士」と題して、午前11時30分~、午後1時~、3時~の計3回、子供たちと対話しながらの講演会を開く。入場無料、先着順。問い合わせは電話050-3362-6265(同広報部)

【多文化共生を支える】2 通訳ボランティアが患者に寄り添う

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いずれも中国出身で医療通訳ボランティアの伊藤春華さん㊧と松永悠さん=つくば市国際交流協会事務局が置かれている、つくば市吾妻のつくばイノベーションプラザ前

【橋立多美】つくばで暮らす外国人は昨年10月1日現在9106人。増加に伴って医療機関を受診する外国人は増えているが、日本で医療を受ける最大の障壁は言葉の壁だ。病院が医療通訳を配置するのは極めてまれで、医療従事者も英語以外の言語に対応できることは非常に少ない。

病状重く派遣回数が倍増

日本人と外国人の交流や、外国人の生活支援を目的とするつくば市国際交流協会が、09年から医療通訳ボランティアの無料派遣を行っている。派遣回数は年平均40回で推移してきたが、昨年は88回と倍増した。病状が重い患者が多く通院が長期化する傾向にあるという。

医療通訳の国家資格はない。同協会が開催する養成講座を受講し選考試験に合格後、ボランティア登録をする。個人情報の保護や患者の権利擁護などの倫理規定を学び、言語能力だけでなく、患者に寄り添う人間らしさなどが問われて選考試験は狭き門。合格したが患者の命を支える重圧から登録しない人もいるという。

在日外国人の母語としてニーズが高い中国語、英語、ポルトガル語、スペイン語に対応する30人の医療通訳者が登録されている。その中から通訳歴4年以上の4人に話を聞いた。

中国北京出身で中国語通訳の松永悠さんは「医者の説明を通訳するが、患者が本当に理解しているか確認を怠らない」という。通訳者が勝手に補足するのはタブーで、理解していない時は別の言い方を医者に頼むことがある。

松永さんとパラグアイ出身でスペイン語通訳の岩﨑克司さんは、患者のルーツや宗教に応じた対応を次のように話す。「日本なら薬を処方される程度の小児の病気でも中国では点滴するケースがあり、同じように保護者に求められた時は医療者の説明を通訳して理解してもらう。薬も大量に処方されるのが当たり前で、日本での数日分の薬に『これだけ?』と。それだけに薬の飲み方や回数は丁寧に通訳する」と松永さん。

清原朗子さん㊧とペルー出身の岩﨑克司さん=つくば市吾妻の吾妻交流センター

岩崎さんは「宗教によっては重篤な状況をそのまま伝えず、フィルターをかけたほうがよい場合もある」と話す。また「患者の不安感を和らげるために予約の30分前に病院内で落ち合い、生活環境や困っていることを聞くことにしている。リピーターから、病院は嫌だがあなたがいるから来ると言われ、やりがいになっている」と話してくれた。

英語通訳の清原朗子さんは「日頃から医療用語や病気についての勉強を怠らないようにしているが、通訳当日は持ち込みが許される辞書を持参する。でも見る時間がなくて辞書はお守りです」と笑みを浮かべた。

9年前は認知されず

当初から中国語通訳として活動している伊藤春華さんは中国広西省出身。「医療通訳がスタートした9年前は活動が認知されていなかった。今は患者との関係づくりに役立つと医者や看護師から感謝される。円滑な診療と外国人への有効な治療が進められるよう続けていきたい」と語った。

同協会の中村貴之係長は「病気が重い患者が多いため、通訳者が感情移入し過ぎると気分が落ち込むようになる。医療通訳者をどうケアして守るかが課題」と話す。

医療通訳ボランティア派遣は市内や近隣地域の病院からの申し込み制。医療通訳に関する問い合わせは、つくば市国際交流協会(電話029-869-7675)。

【多文化共生を支える】1 言葉の壁越えるには 

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子どもと交流しながら1対1で日本語の指導が行われている「こども勉強会」=同市吾妻のつくばイノベーションプラザ

【橋立多美】大学や研究機関、工業団地が集積するつくば市は、県内最多の外国人が住む多文化のまちだ。10年前と比べて約2000人増加し、留学生や研究者、就労者など143カ国の約9300人(市人口の4%)が暮らす。国が外国人労働者の受け入れ拡大に乗り出したことで一層の増加が見込まれている。

外国人のいる日常は今や当たり前になった。だが言葉の壁や文化、習慣の違いで彼らが戸惑ったり途方に暮れることは想像に難くない。彼らにどんな支援がされているのか。在日外国人の生活に密着した支援を3回シリーズで報告する。初回は、学齢期の子どもを中心とした言葉のサポートを紹介する。

半数が日本語指導必要

同市には日本語指導を必要とする小中学生が多く暮らす。市教委によると、市内の外国籍児童生徒は約350人で半数の約170人に日本語指導が必要という。主に市中心部の公立小中学校に在籍することから、小中9校に日本語指導の研修を受けた教員12人を配置している。学級を持たずに日本語指導に専念し、別教室で個別の指導も行われている。日本語が読めず、学校からの書類などが理解できない保護者とはスマホの翻訳機能を使ってコミュニケーションをとっているそうだ。

7月中旬、同市吾妻の筑波学院大学で来春の高校進学を目指す外国籍の中学生と家族が、通訳付きで日本の高等学校の仕組みを学んでいた。内容は小中学校との違い、高校の種類やカリキュラム、入試、偏差値、学費と多岐にわたる。台湾出身で龍ケ崎済生会病院の産婦人科医・陳央仁さんが高校進学体験談を語った後は個別相談に応じた。ブラジル出身の父親は「高校のことがよく分かり、娘の学力レベルと通学時間や経済面を考えて受験する高校を決めることができた」とほっとした表情を見せた。

日本の教育制度や高校についての説明を聞く参加者たち。手前は県内の高校のパンフレットと夏季講習のチラシ=つくば市吾妻の筑波学院大学

国際交流協会が担い手に

この「高校進学相談会」はつくば市国際交流協会(小玉喜三郎理事長)が主催。講師を務めた同大の金久保紀子教授は「子どもたちは日本に永住する可能性が高く、高校入試は避けて通れない。しかし日本の教育システムが分からず、公立の小中のように高校に入学できると思っている」と話してくれた。

夏休み期間中は小中学生対象の「こども日本語勉強会」が行われた。市内4地区の学校と公共施設で全12回開かれ、同協会のボランティアが指導にあたっている。つくばイノベーションプラザでの今夏最後の勉強会では、中国とインドネシア出身の児童5人が日本語を学んでいた。小2の男子児童の机の上には「けさはパンをたべましたか」など、日常会話を学ぶドリルが置かれていた。この勉強会は冬・春休みにも実施されている。

外国人とその家族を対象にした「日本語講座」も開講されている。初心者から上級者までの5段階で昼コースと午後6時30分からの夜のコースがある。同協会の中村貴之係長は「日本で生活するために日本語の習得は欠かせず、子どもは学習言語、大人は生活言語を学ぶ必要がある」と話す。

毎週水曜日には無料の「外国人のための相談室」も開かれている。家庭内のいざこざや給料未払い、DV(配偶者、恋人などからの暴力)などの相談が寄せられる。未払いやDVなど弁護士や専門家が介在すべき問題は、たらい回しされないよう確かな相談先に橋渡しをしているという。

県南3JA 予定通り合併へ 竜ケ崎が総会で逆転可決

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臨時総会冒頭、あいさつする木村透JA竜ケ崎組合長=24日、牛久市柏田町、市中央生涯学習センター・文化ホール

【鈴木宏子】JA土浦、竜ケ崎、茨城かすみの合併をめぐり、JA竜ケ崎(木村透組合長)が臨時総代会で合併を否決した問題で、合併議案を再度審議するJA竜ケ崎の臨時総会が24日、牛久市中央生涯学習センター・文化ホールで開かれた。正組合員による投票の結果、3分の2を上回る賛成があり、合併は承認された。これによって当初の予定通り来年2月1日付けで3JAは合併し、新生「JA水郷つくば」が誕生することになる。

正組合員4908人のうち24日の臨時総会に足を運んだのは100人のみ。書面で意思表示した書面議決が3091人、委任状が89人あり、計3280人の出席となった。投票の結果、出席者の3分の2を上回る76%の2492人が合併を承認した。

一方、出席者からは「かなり多くの書面議決がある。賛否の表示がない場合、賛成として取り扱う根拠は何か」などの質問があり、事務局が、会社法の規程などを準用したと説明した。賛否の表示がない書面は562人からあったという。「(農協の)組織のための合併は分かるが、組合員にとってメリットはあるのか」などの質問も出た。

投票結果を受けて木村組合長は「総代会のときに組合員から『説明が足りない』と言われた。その後すぐに職員が一戸一戸訪問し、経過や合併のメリットについて説明して回った。その結果だと思う」と話し「竜ケ崎は土浦や茨城かすみと比べて販売部門が脆弱(ぜいじゃく)。土浦のレンコンは関西の方まで行っており、合併すればそういうところにアプローチがかけられうようになると思う」と組合員にとってのメリットを強調した。

3JAは今年8月1日、大井川和彦知事らの立ち合いで合併契約書に調印した。調印後の8月25日、各JAはそれぞれ臨時総代会を開いた。土浦と茨城かすみは3分の2以上の賛成を得て合併が承認されたが、竜ケ崎は賛成61.3%と3分の2に達せず合併議案は否決された。その後、JA竜ケ崎の正組合員1644人から農協法に基づく総会の招集請求が出され、24日、臨時総会開催に至った。

農協の合併は、国が農協改革の一環で来年5月までに一定の自己改革の成果を求めていることなどを背景に、JA自らが組織や経営基盤の強化を図る目的で進めている。

泳げる霞ケ浦 300人が体感 トライアスロンフェスタ初開催

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スイムの部で一斉にスタートする参加者たち=23日、土浦新港

【池田充雄】霞ケ浦をアピールするスポーツイベント、第1回霞ケ浦トライアスロンフェスタが23日、土浦市川口の土浦新港周辺特設コースで開かれた。全国から約300人が参加し、秋晴れの空の下、スポーツを通じて土浦の街と自然を体感した。

今年3月、土浦駅ビルにサイクリング拠点「りんりんスクエア土浦」がオープンし、10月15日から「第17回世界湖沼会議いばらき霞ケ浦2018」が開幕するのを記念し、県トライアスロン協会と土浦青年会議所(JC)が実行委員会を組織して主催した。大会副会長で土浦JCの2018年度理事長、伊東博幸さんは「水質が安定してきた霞ケ浦をアピールし、さらなる浄化へ弾みを付けると共に、一人でも多くの人に私たちの郷土の魅力に触れていただき、交流人口の拡大と地域振興に貢献したい」と話す。

コース設定はスイムは土浦新港内、バイク(自転車)は手野・田村町のりんりんロードとハス田地帯の農道、ランは川口運動公園の周辺や新川沿いの緑道を走った。特にバイクのコースを「自然豊かで気持ちよかった」と評価する参加者が多かった。

女子レギュラーの部で準優勝した筑波大トライアスロン部の柿野日菜さん(4年)は「走っていてレンコン畑が楽しかった」と話した。ファッションモデルでトライアスリートとしても知られる道端カレンさんも競技の一部に参加し、霞ケ浦の水質に「濁り具合は近くの人もよく見えないほどだったが、思ったより泳ぎやすく、口に入った水も普通で気にならなかった」と感想を述べた。

今後、実行委員会では、この大会を年々盛り上げていき、将来的には霞ケ浦を一周する大規模なものに育てたいと考えているという。

女子レギュラーの部準優勝の柿野さん㊨と、同3位の小沼楓果さん(日大トライアスロン部、4年)。2人共10月7日開催の福井国体トライアスロン競技の県代表。「国体は初めてだが代表にふさわしい活躍をしたい。まわりを笑顔にし、元気にさせるような走りをしたい」と柿野さん

アッセの核店舗カスミ30日撤退 テナント順次移転後、閉鎖へ

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空きテナントが多くなる中、核店舗カスミの撤退が決まったつくばショッピングセンターアッセ=つくば市上横場

【橋立多美】つくば市上横場、つくばショッピングセンターASSE(アッセ)の核テナントで食品スーパー、カスミつくばアッセ店が今月30日午後6時をもって閉店する。同店の撤退に伴って現在営業しているテナント数店も順次移転する予定で、その後、建物は閉鎖されることになるという。

アッセはかつて谷田部地区のにぎわいの中心で、市内はもとより牛久や水海道(現常総市)などからも客を集めた。つくば駅前の西武筑波店やイオンつくば駅前店が撤退し、現在、中心地区のにぎわい創出が市の課題となっているが、谷田部地区のにぎわい創出も大きな課題だ。

アッセはつくば商業開発が運営管理している。カスミを核とするA棟、ホームセンター「ケーヨーデイツー」が入るB棟、国道354号に面したラーメン店などの別棟で構成されている。敷地面積約5万平方㍍、商業施設面積約9600平方㍍で約150台の駐車場を有する。

食品からファッション、旅行会社、飲食店と幅広い店舗が入居する複合商業施設として1995年11月1日にオープンした。常磐道谷田部インターチェンジ近くの国道とサイエンス大通りが交点する上横場交差点に位置し、県南や県西、千葉県などからも来店し、にぎわった。

その後、つくばエクスプレス(TX)沿線開発地区の研究学園駅前に2008年、商業施設イーアスつくばが開業したころから陰りが見え始め、2011年の東日本大震災でA棟は外壁や天井などに損傷を受け、テナントの長期休業や移転が相次いで衰退に拍車がかかった。

ここ数年は空きテナントが多くなり、存続を危ぶむ声が聞かれていた。茎崎地区から市内の職場に車通勤する女性(38)は「帰宅途中でアッセに立ち寄って買い物するのが日課で、生活に直結するだけにショック。これからどうしよう」と途方に暮れる。

同社は「まだ移転先が決まっていないテナントがあって当面は営業する。建物を解体してリニューアルオープンする予定だが、具体的な計画までには至ってない」と話した。B棟のホームセンターと別棟のラーメン店などは営業を続ける。

変わる土浦駅 オープンから半年 自転車通し地域の魅力を再確認

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アトレの佐川綾さん(中央)、「ル・サイク」の新井祥平さん㊧にインタビューする高校生ライターの鈴木ことみさん=土浦駅ビル1階

【高校生ライター・鈴木ことみ】今年3月29日、土浦駅に日本最大級のサイクリングリゾート「PLAYatre TSUCHIURA」(プレイアトレ土浦)がオープンした。オープンから約半年が経つ今、土浦駅はどのように変わろうとしているのだろうか。

現在、第1弾として駅ビルの1階と地下1階にサイクリング拠点「りんりんスクエア土浦」やイタリアの自転車メーカーBianchi(ビアンキ)とタリーズコーヒーがコラボしたサイクルカフェをはじめとする施設がオープンしている。

りんりんスクエアは官民一体となった施設でサイクリストたちに必要なサービスを提供している。自転車のレンタルサービスでは子供用自転車から電動アシスト自転車まで様々な種類・ブランドの自転車約40台を「ル・サイク」のカウンターで借りることが出来る。地下1階ではシェアサイクリング「HELLO CYCLING(ハロー・サイクリング)」システムを活用したレンタサイクル35台を提供している。こちらは午前5時~翌日午前1時までレンタル可能だ。

プレイアトレ地下1階の無人レンタルスペース。この奥には地下駐車場も広がっている。

県外が5割超

これらの施設を利用するサイクリストたちは県外がおよそ5割を超えているという。「県外からのお客様がこんなに多いのは駅ビルとしては珍しいのではないか」と「ル・サイク」店舗責任者の新井祥平さんは言う。自転車を新しく始めたいという相談も幅広い世代から寄せられているそうだ。

「ル・サイク」の店頭

自転車で地域の魅力引き出す

しかし、駅ビルは地域の人やその駅を普段利用する人も楽しめるものではないだろうか。

そこで、地域の人に向けた利用法はないか、駅ビルを運営するアトレの佐川綾さんに尋ねると「自転車を通じて新しい地域の魅力に気付くきっかけとして利用していただければと思います。また、今後レストラン等もオープン予定です。コミュニケーション、憩いの場としてご利用いただきたい」と語った。また、りんりんスクエアでは自転車での観光ガイドの育成講座も実施しているという。

同級生に地域の魅力を質問

同級生の友人に地元の観光について尋ねてみた。「土浦・つくばの観光名所といえば」と「霞ケ浦と筑波山は観光名所として魅力的だと思うか」を聞くとそのほとんどが、霞ケ浦や筑波山を大きな魅力として感じていなかった。同駅ビルで配布されているサイクリングコースでは、霞ケ浦や筑波山が観光の目玉として多くのパンフレットで紹介されている。こうした大きなシンボルでなくても、街中での自分なりの魅力を、自転車を通して発見し、それを伝えることで、地域の活性化が見込めるに違いない。

1時間早く来たくなる駅

今年の11月以降には第2弾の「STATION LOBBY TSUCHIURA(仮称、ステーション・ロビー・ツチウラ仮)」がオープン予定だ。「1時間早く駅に来たくなる日本一の駅の待合室」をテーマに、数々の人気飲食店をプロデュースしているバルニバービが、2階から3階にかけての約500坪でレストランやクッキングスタジオなどの施設を計画している。第2弾について佐川さんは「この施設を通して食を始めとした様々イベントを企画することで、日帰り客から宿泊客へ訴求するとともに、地元住民のコミュニティスペースとしての利用シーンを作っていきたい」と話した。

りんりんスクエア土浦内のイベントスペース。自転車に関する様々な講座が開かれている

第3弾では地元の人気ショップを集めたフードマーケットの「LOCAL FOOD MARKET(仮称、ローカル・フード・マーケット)」を、第4弾では自転車と一緒に泊まれるホテルの「CYCLING HOTEL(仮称、サイクリング・ホテル)」をそれぞれ2019年5月と同年秋以降にオープン予定だ。それらの計画はまだ詳しく話せないようだが「素晴らしい体験が出来る場が提供できると思っています」とうれしそうに佐川さんは話してくれた。

自転車を通した新たな形の地域の活性化で土浦駅のこれからの展開が非常に楽しみである。(土浦日本大学中等教育学校6年)

土浦の歴史的町並み調査から40年 建築文化史家 一色史彦さん22日講演

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現在の中条通り

【鈴木宏子】土浦の歴史的町並み調査が1978年に初めて実施された。旧水戸街道沿いに残る同市の町並みに初めて光を当てた調査で、当時、東京都立大で教べんを執った市内に住む建築文化史研究者、一色史彦さん(78)が調査主任を務めた。あれから40年。当時、街並みの保存活用はどうイメージされていたのか、今、町並みを次世代にどう伝えていくのかー。

22日土浦市中央、まちかど蔵大徳で、まちづくり講演会が開かれ、一色さんが「土浦のまちづくりに込めたものー土浦の歴史的町並み調査をふまえて」と題して講演する。土浦界隈まちづくり研究会(伊藤春樹代表)が主催する。

調査は、文化庁の伝統的建造物群調査として実施され、東京大、都立大(当時)、筑波大など五つの大学が参加した。旧水戸街道沿いの下高津から真鍋まで、約3.5㌔間の家屋などをくまなく調査。当時は江戸時代や明治・大正・昭和初期に建てられた町家がまだ多く残っており、すべての建物の建築年代分布や、それぞれの建物が景観をどう形作っているかなどを明らかにした。

一方、当時、町家が取り壊され、近代的なビルや住宅などに変わっていたことから、一色さんらは、保存地区の設定や「奥行のある町づくり」などを提唱した。

現在、調査結果に基づいて、旧水戸街道沿いの中条通りに残る江戸時代後期から明治時代初期に建てられた商家が、土浦まちなど蔵「大徳」「野村」として改修・保存され、土浦で街歩きを楽しむ観光拠点となっている。

一色さんは「木造建築は火災で燃えるし、壊れる、伝統的建造物は大切にしたから残ったのではなく、偶然、奇跡的にたまたま残った」とし、特に「町にはりめぐらされていた川口川や水路が、今は道路などの下の暗渠(あんきょ)になってしまったことが水の都、土浦としてもったいない」などと話す。

講演会を主催する同研究会代表の伊藤さんは40年前、筑波大学大学院生として調査に参加した。40年前の町並み調査が活動の原点になっているという。伊藤さんは「土浦の町並みの魅力は何か、今後のまちづくりにどう生かしていくか、原点となった40年前の調査を踏まえて考えたい」と話す。

◆まちづくり講演会は22日(土)午後1時20分~4時、土浦市中央1丁目、まちかど蔵大徳2階和室で開催する。講演後、県指定文化財矢口家住宅など中条通りの町並みを歩いて見学する。入場無料。参加申し込みは電話090-4059-4860(伊藤さん)

40年前の調査概要書を見る一色史彦さん

神立小にひな壇寄贈 国際警備保障と筑波銀行

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ひな段の目録を手にする国際警備保障の野原敏常務取締役(左)と土浦市立神立小の浜田栄一校長=土浦市中神立町

【谷島英里子】国際警備保障(水戸市、加藤貞光社長)と筑波銀行(土浦市、藤川雅海頭取)は18日、土浦市立神立小学校(浜田栄一校長、児童数462人)にひな壇2基を寄贈した。地域貢献事業として同行の私募債発行手数料の一部を活用した。

ひな壇は2段式。体育館などでの合唱コンクールや、記念撮影の際などに使用する予定。同小にはこれまでひな壇が無かったことから、音楽会や卒業式などの行事の際に、子どもたち一人ひとりの顔がよりわかるようになるという。小山光之教頭は「いろいろな催しで活躍してくれると思う」と話す。

18日、同小で開かれた贈呈式には、国際警備保障の野原敏常務、坂本常男県南支社長、物井稔県南支社課長代理、筑波銀行の原規之水戸営業本部長、檜山信邦課長代理と、浜田校長の6人が出席した。野原常務が「児童のため有効に使ってください」とあいさつ。浜田校長は「末永く大切に使わせていただきます」と話した。

タレント鈴木奈々さんが一日警察署長 つくばで交通安全呼びかけ

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一日警察署長を務めたタレントの鈴木奈々さん=つくば市研究学園の商業施設「イーアスつくば」
訪れたファンに啓発チラシを配り握手する鈴木奈々さん=同

【谷島英里子】龍ケ崎市出身のタレント、鈴木奈々さん(30)が18日、一日警察署長に就任。同日につくば市の商業施設「イーアスつくば」で行われた「秋の全国交通安全運動キャンペーン(21~30日)」に制服姿で登場し、交通安全を呼びかけた。

鈴木さんは県警の種部滋康本部長から一日警察署長のたすきをかけられると「安全ルールとマナーを守っていきましょう」と集まった買い物客らに元気に呼びかけた。

続いて、警察から2017年中の交通事故死者数が143人を数えたことや、飲酒運転による交通死亡事故が全国ワースト一位と説明を受け、車の早めのライト点灯や反射材の重要性を訴えた。

セグウェイに乗って交通安全を呼びかける鈴木奈々さん=同

鈴木さんは立ち乗り電動二輪車「セグウェイ」に乗って交通安全を呼びかけたあと、反射材や啓発チラシを配ったり、ファンとの記念撮影に応じたりしていた。

県民投票考えよう 東海第2原発再稼働 つくばで学習会

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県民投票についての説明を受ける参加者たち=つくば市吾妻のつくばイノベーションプラザ

【崎山勝功】日本原電東海第2原発(東海村)について、再稼働の是非を問う県民投票の直接請求を考えようという動きが市民の間で起こっている。16日、つくば市吾妻のつくばイノベーションプラザで学習会「原発県民投票について考えよう」が開かれ、市民ら約40人が参加した。市民団体「原発県民投票を考える会@茨城」が主催した。

原子力規制委員会は7月4日、安全対策が新しい規制基準に適合しているとして、事実上合格したことを示す審査書の案を取りまとめた。11月には運転開始から40年を迎えることから、現在は運転期間延長などの審査を実施している。再稼働にはさらに自治体の了解が必要だが、原電は3月、県と東海村だけでなく、水戸市など周辺5市の事前了解も必要とする新たな安全協定を締結した。

同会の代表世話人を務めるつくば市議の宇野信子さんは「私たちができるのは、県に対して住民自らが意思表示する県民投票を一つの選択肢として示すこと。そのための準備をしている」と話す。

学習会では、市民の手で県民投票条例を制定させる直接請求の説明が行われた。県には住民投票条例が制定されていないことから①条例案を作り、2カ月間に有権者数の50分の1以上の署名を集める②代表者が住民投票条例を知事に直接請求する③知事は意見を付けて20日以内に県議会に提案する④県議会が条例案を可決すれば住民投票を実施する―などの手順が説明された。

出席者からは「県民投票を周知することが原発の再稼働問題の関心を高めることにつながる」「新聞に意見広告を出すのも一つの方法」「説得の仕方から考えてみては」「小泉純一郎元首相の分かりやすい説明のように、いくつかあることを絞ってバシッと言ってみては」「若い世代にはポジティブな言い方で説得してみては」など積極的な意見の一方、「県議会が否決したら終わり」との意見も出された。

同学習会は、今年7月に結城市で開かれたのを皮切りにひたちなか市などで開かれ、つくば市は6カ所目。県南では牛久市に次いで2カ所目。宇野市議によると、これまで開かれた学習会の中では参加者数が一番多かったという。背景には県南地域にはホットスポットが点在し、県央・県北地域と違って原子力関係の仕事に従事する人が少ないことから「仕事関係のしがらみが無いことがあるのでは」と話した。

今後の学習会は、県南地域は10月18日に石岡、11月8日に取手で開かれる予定(日程や場所は公式サイトで公表)だ。土浦などまだ学習会が開かれていない市町村もあり、同会では学習会開催への市民の協力を呼び掛けている。

敬老の日 高齢者割合 つくばは県内最低 土浦は数年先に3割超

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【枝川廉】きょう17日は敬老の日。県統計課は、敬老の日(17日)現在の高齢者人口を公表した。県人口は285万1057人で、このうち28.9%に当たる82万4397人が65歳以上の高齢者となり、人口、割合ともに過去最高を更新した。県常住人口調査を基に推計した。

市町村別に見ると、大子町が44.5%と最も高く、つくば市が20.1%で最も低い割合となった。土浦市の高齢者人口の割合は28.9%で、県全体の割合とほぼ同水準となっている。

県の高齢者人口は年々上昇しており、人口の割合も1960年頃までは6%程度で推移していたものの、以後は年々上昇している。

高齢者人口の割合がつくば市や守谷市で小さいのは、TX沿線の開発による生産年齢人口の増加などが背景にあると考えられる。

全44市町村で高齢者割合増加

また、今回の推計に使われた県常住人口調査では、7月1日現在の年齢別人口が公表されている。これによると、大子町など25市町村で高齢者の割合が30%以上となっており、県内全ての市町村で前年同期より高齢者の割合が増加した。

過去10年間について見ると、高齢者の割合は年々上昇しており、土浦市は県全体とほぼ同程度の水準で推移している。この傾向が続いた場合、土浦市は数年以内に高齢者人口の割合が30%を超える可能性が高い。

一方、つくば市は、県全体と比較すると低い割合だが、割合は年々上昇しており、現在は約5人に1人が高齢者という状況になっている。

子犬のベビーラッシュ つくばわんわんランド

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黒色の子犬を触る来場者たち=つくば市沼田のつくばわんわんランド

【崎山勝功】筑波山の麓、つくば市沼田の犬のテーマパーク「つくばわんわんランド」で、子犬が約20匹以上生まれ、ベビーラッシュの季節を迎えている。パグやトイプードルなどが8月から9月にかけて生まれた。

子犬がたくさん生まれるこの時期だけの催しとして、同園では、子犬と触れ合える特別イベントを15日から17日と、22日から24日までの3連休に開いている。

このうち、生後1カ月から5カ月前後の子犬をひとりで触ることができる「子犬ふれあい独占タイム」には15日、多くの来場者が訪れ、体長10~20㌢前後の子犬を膝の上で抱きしめるなどして子犬の感触を楽しんでいた。

埼玉県から来た小学3年生の男子児童(8)は「すごくかわいかった。子犬が震えていた」と、初めて触った感想を語った。一緒に子犬を触った母親(31)は「初めて触って、いい体験になった」と話した。

このほかにも子犬に授乳体験ができる「赤ちゃんわんこにミルクをあげよう」や、生後1年未満の子犬と触れ合える「わんわん幼稚園」など、子犬と触れ合える催しが開かれている。

同園は「子犬がたくさん生まれるこの時期だけのイベントなので、子犬に触れることを楽しんでもらえれば」と話している。

ミルクを飲む子犬=つくばわんわんランド提供

【直売所めぐり】2 栗、新米、新レンコン…秋の味覚が勢ぞろい JA土浦さんふれ新治店

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朝の店内

【田中めぐみ】朝晩が涼しく感じられるようになると食欲もわいてくる。地場産の秋の味覚を探しに、今回はJA土浦農産物直売所「サンフレッシュ(さんふれ)新治店」を訪れた。

常磐道土浦北インターから国道125号線を西へおよそ3㌔、新治庁舎南交差点の角にある。6店舗あるJA土浦直売所のうち最も大きい店舗だ。

午前9時、お店に到着すると、開店前だというのに待ちきれないお客さんたちが店内に入っていく。商品を品定めするお客さんと、搬入、陳列するスタッフとが入り乱れ、朝の店内は慌ただしく活気づいている。

店頭に並ぶ栗(左上)、コシヒカリとあきたこまちの新米(右上)、レンコン(左下)、ぶどう(右下)

入り口でまず目についたのは早生栗だ。大粒が40個以上入って値段も300円からと手頃。来店者はみな足を止め「あら、栗が出ている」と手に取る。思わず互いに顔を見合わせ笑顔がこぼれた。「こっちの方が粒ぞろいよ」、「傷があるけどこっちのが安いよ」。農産物を間に、偶然居合わせたお客さん同士で会話が弾むのも直売所の楽しさだ。

店を入って右手のケースには新米が並べられていた。毎年秋の新米を心待ちにしている人も多いだろう。同店では9月の2週目の日曜に、1袋30㎏の新米が30袋売れたという。今年は例年より少し値段が安いそうだ。欲しい分量を伝えると、スタッフが精米して袋詰めしてくれる。その都度精米してくれるので鮮度は最高だ。もちろん玄米のまま買うこともできる。

色白な新レンコンは今ぜひ食べてほしい野菜の一つだ。店長の北泉正男さんのお勧めは、油で炒めて塩コショウするだけの調理法。この時期のれんこんはみずみずしく柔らかい。短時間で炒めることでシャキシャキした食感が損なわず、シンプルな味付けが新鮮なれんこんの甘みをひきたてる。

笑顔で出迎えてくれる「さんふれ新治店」のスタッフ

新治産のぶどうも人気で、様々な品種が並んでいた。お客さんたちは思い思いに好みの品種のぶどうを手に取っていく。巨峰やピオーネは今がまさに旬。特に種なしで食べやすく糖度の高いピオーネは人気だそうだ。どのぶどうもつやつやと光り輝いている。

9月が旬の梨の品種、豊水もずらりと並ぶ。豊水は甘みと酸味のバランスがよく、上品な味わいだ。日持ちもするが、ぜひ新鮮なうちに味わってほしい。

店内には「そば処まほら庵」というそば屋がある。ここは平日でも開店前から行列ができるという人気店で、安くておいしいおそばが食べられると評判だ。常陸秋そばのそば粉を使用しており、お店の入り口ではそば粉を売っているので、買って帰ることもできる。「まほら庵」は開店前の時間で、残念ながらそばを食べることはできなかったが、次は必ず買い物ついでにおそばを食べよう、と思いながら帰途についた。

そば処まほら庵入り口

サンフレッシュ新治店
住所▽土浦市藤沢514-1
電話▽029-862-3573
駐車台数▽60台 観光バス用3台
営業時間▽午前9時30分~午後6時(4月~9月)、午前9時30分~午後5時30分(10月~3月)
定休日▽無休(ただしお盆・年末年始は休み)

否決の合併議案を総会で再審議へ 県南3JA合併問題

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記者会見しこれまでの経緯と今後の取り組みなどを話す(左から)JA茨城かすみの糸賀一男組合長、JA土浦の池田正組合長、JA竜ケ崎の木村透組合長=土浦市田中、JA土浦本店

【鈴木宏子】来年2月の合併を目指しているJA土浦(本店・土浦市)、竜ケ崎(龍ケ崎市)、茨城かすみ(美浦村)のうち、JA竜ケ崎が8月25日に開いた臨時総代会(総代507人が対象)で、合併議案が否決された問題で、3JAの組合長は13日記者会見し、9月24日にJA竜ケ崎が臨時総会(正組合員4905人が対象)を開き、再度、合併議案を審議すると発表した。

3JAの組合長は8月1日、大井川和彦知事らの立ち合いで合併に調印した(8月2日付け)。調印後の総代会で議案が否決されるのは全国的にほとんど例がないという。

合併の手続きとして調印後に、各JAがそれぞれ臨時総代会を開き、3分の2以上の賛成を得ることが必要になる。3JAは8月25日、それぞれ臨時総代会を開催した。土浦と茨城かすみは賛成多数で可決となったが、竜ケ崎は61.3%の賛成しか得られず、合併議案は否決された。

その後、JA竜ケ崎では組合員から「臨時総代会で半数以上が賛成している。正組合員からも賛成する声が上がっている」などの声が上がり、正組合員1644人から農協法に基づく総会の招集請求が出されたという。

総会を開催するためは同法の規定により正組合員の5分の1(JA竜ケ崎は981人)以上の請求者が必要になる。JA竜ケ崎は請求者数を確認、5分の1に達していたことから、8日理事会を開催し、臨時総会の招集を決めたという。

JA竜ケ崎の木村透組合長は「竜ケ崎は牛久、龍ケ崎、利根で農業形態が違っていて、畑作が多い牛久の組合員から『私たちが発言できる場をつくってほしい』という声が上がった。総会招集請求が出て、急きょ、総会を開くことになった」と経緯を話した。

ただし総会で合併議案を可決するためには正組合員2分の1以上が出席し、出席者の3分の2以上の賛成が必要になり、結果はふたを開けてみないと分からない。JA土浦の池田正組合長は「(結果についての)そこの議論はしたくない」と話し「竜ケ崎が最大限努力するということなので、できる限りバックアップして合併できるよう頑張りたい」と語った。24日の臨時総会で可決されれば来年2月1日の合併スケジュールに変更はないという。