金曜日, 7月 4, 2025
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日常にあるもの題材に 「続・平熱日記」の斉藤裕之さん 牛久で個展 11月11日まで

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フランスで描いた作品(左から雲、船、ドローイング)を背に当時の思い出を語る斉藤裕之さん=牛久市南のタカシサイトウギャラリー

【鈴木萬里子】NEWSつくばのコラムに「続・平熱日記」を連載している牛久市在住の画家、斉藤裕之さんの個展「平熱日記Vol.8」が同市南のタカシサイトウギャラリーで開かれている。

斉藤さんは「日常にあるもの」を題材に、金網を切り漆喰(しっくい)を塗った土台にアクリル絵の具で描く独自の作風が持ち味。多くがはがき2枚前後の小作品だが、色彩の奥行きが深いせいか、大きな広がりを感じさせる。

今展は90年代、フランスに留学していたころの抽象画の作品3点を加えた40点が展示されている。留学当時の作品は偶然アトリエで見つかった。斉藤さんは「当時、夜な夜な描いていたのを思い出した。今の作品と基本的に変わらない。今も当時と同じように描いているなあ」と感慨深そうに話した。

小作品には、山口県の実家から送られてくる瀬戸内海の「いりこ」を描いた6作品が含まれる。「描く題材がない時は、だしに使う小魚いりこを描く。いりこは1つとして同じ形のものがない」。平熱日記展ではおなじみの画題で、作者の確かな目線と描き続ける情熱が伝わってくる。

個展初日に訪れた牛久市の男性(47)は「NEWSつくばの平熱日記を楽しみに読んでいます。斉藤さんの絵はリアル感があり、平面に描いているのに立体的に見える。きっといつか我が家に飾りたい」と話した。

◆会期は11月11日(日)まで。開廊午前10時~午後6時(月曜休廊。問い合わせは同ギャラリー(電話029・872・8951、ホームページはhttp://www.saitoh-cofee.com)

◆斉藤さんのコラム「続・平熱日記」は毎月第2,4火曜日に掲載。常陽新聞発刊当時からコラムを担当されたが、昨年休刊してNEWSつくばとなり「続・平熱日記」とした。ひょうひょうとした人柄が描き出すエッセイは面白いとファンが多い。

グローバル化に挑んだ生き様知って 幕末から明治の所蔵記録公開 筑波大図書館で特別展

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29日開幕した特別展「グローバルに挑む群像」の様子=筑波大学中央図書館貴重書展示室
講演予定の筑波大学人文社会系山澤学准教授

【田中めぐみ】今年は明治元年(1868年)から150年の年に当たる。これを記念して政府は明治150年に関連する取り組みを推進している。筑波大学中央図書館(つくば市天王台)では、幕末から明治の動乱を生きた人々を記録した貴重な所蔵資料を公開したいと、特別展「グローバルに挑む群像-幕末から明治へ-」を29日より開催している。

特別展は3部構成となっている。第1部で、神田湯島にあった江戸幕府直轄の学問所「昌平坂学問所」の儒者が条約交渉にどのように関わったかをうかがい知ることのできる資料を展示。第2部では長州藩士の記録など、幕末の動乱を生きた人々の様子を記した資料、第3部では明治を拓いた名著を展示し、計49点の所蔵資料を公開している。

同大は東京教育大学を前身としており、1872(明治5)年に昌平坂学問所跡地に設立された師範学校の流れをくんでいる。昌平坂学問所と縁の深い同大は、同学問所に関する文書を多数所蔵しているという。

当時の様子が分かる「横濱案内繪圖」(筑波大学附属図書館所蔵)

今回の特別展を企画した同大人文社会系の山澤学准教授は「歴史は現代を見るためのかがみだ。大学所蔵の記録資料からは、激動の時代の中、堂々としたたかに生きた人々の様子が見えてくる。開国というグローバル化に挑戦した人々の様子を知ることは、同じようにグローバル化の波にさらされている現代の我々がどのように生きればよいか、生き方の参考になると感じている。」と話す。

同大附属図書館は毎年特別展を開催し所蔵の貴重資料などを一般公開している。昨年は「江戸の遊び心-歌川国貞の描く源氏物語の世界-」を開催し、約2800人が来館した。

◆「グローバルに挑む群像」の会期は11月30日(金)まで。入場無料。開館時間は午前9時~午後5時。11月10日(土)午後1時30分からは、山澤准教授による特別講演会を開催する。西郷隆盛について記した資料などを取り上げ、時代によって人物評価がどのように変わったのか論じる予定だという。問い合わせは電話029・853・2376(同館古典資料担当)

中高生もクレオ再生案に意見 28日つくばでタウンミーティング

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臆せずに意見をいう中高生たち、右が五十嵐市長=つくば市吾妻の交流サロン

【橋立多美】つくば市主催のタウンミーティング「会える市長with中高生」が同市吾妻の商業施設Bivi2階つくば総合インフォメーションセンター交流サロンで28日に開かれ、市内の中高生と近隣の高校に通学する14人が五十嵐立青市長と意見交換を行った。

五十嵐市長は「市長と会える」をキャッチフレーズに、就任3カ月後の2017年2月から市内6地区で市民と語らう会を開催してきた。中高生を対象とした今回のミーティングは初の試み。

「最近気になる」として生徒たちが質問したのがクレオ再生問題だった。「つくば市議会(全員協議会)で市議会議員の賛同を得られないのはなぜか」の問いに市長は「周辺地区の住民はクレオ再生より他にやって欲しいことがあり、議員は地区を代表している」。また「すぐ近くに中央図書館があって図書館は必要ないのではないか」「クレオは寿命がきているのではないか」などの質問が相次いだ。市長は「中央図書館は子どもと大人の共有施設で『子どもの声がうるさい』という意見がある。子どもたちが伸び伸びと本に触れることができる図書館を設置する」「クレオは築33年。専門家に調べてもらったところ建物は頑丈であと20年から30年は使えると言われた」と答えた。そして「クレオ再生問題についてはもうちょっと待ってほしい」と話した。

自分の考えや要望を話す生徒に向き合う市長=同

学校に関する意見も挙がった。「(公立中学の)バスケットボール部に所属しているが他の部とシェアしているため体育館が使えず練習できない」という声に、会場にいた門脇厚司教育長が「学校によって体育館が使えない状況は把握している。今春開校した、みどりの学園は工事が順調に進んで年内の完成を見込んでいる」と回答。市長は「TX沿線の小中学校の児童数が増加している。決められた予算の中から教育環境を整備していく考えで、小中学校の普通教室のエアコンは今年整備を終えた」と補足した。

また「夏休みに中央図書館で自主勉強をするが席が足りない」「TX沿線に県立高校を開校してほしい」という要望が上がった。ほかに「義務教育に異文化交流を取り入れたら外国人への理解が深まるようになる」「つくばは緑が多い。落ち葉をごみにせず、回収して堆肥化し、土に戻す『落ち葉銀行』に取り組んではどうか」という提案がされた。

生徒たちからは「自分の意見を言うことが大切だと分かった」「市民の一員なので市政に関心をもっていこうと思う」といった声が聞かれた。

1日借り切り「わんわんランド」で学園祭 つくば国際ペット専門学校

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大勢の見学者で盛り上がったパートナードッグによるドッグレース大会

【鈴木宏子】つくば国際ペット専門学校(つくば市沼田、生徒数275人)の学園祭「第11回犬友祭(けんゆうさい)」が28日、隣接の犬のテーマパーク「つくばわんわんランド」を1日借り切って催された。

犬の訓練士や美容師、動物看護師などを目指す学生たちが、クイズ大会やドッグレース大会など手作りのイベントを開いて、これまで学んだ成果を披露した。約1540人が来場し、犬との触れ合いを楽しんだ。愛犬を連れて参加した家族連れなども目立った。

クイズ大会は、災害時の犬のしつけ方をテーマに、犬の訓練士などを目指すドッグトレーナーコース2年の横須賀奏水さん(19)、宮脇菜奈さん(19)ら7人が実施した。災害時に迷子になるペットが多い中、迷子にならず飼い主と一緒に避難できるようになるための日頃のしつけ方を13問のクイズにし、参加者に〇×で答えてもらった。実際のしつけ方法などを撮影したビデオも同時に上映した。

宮脇さんは「地震が来たら、持ち運びできるゲージに入るようしつけたり、ゲージを怖がらないよう日頃からしつけてほしい」などと話していた。

愛犬のビーグル犬を連れて夫婦でクイズ大会に参加したつくば市の会社員、小武内猛さん(59)は「災害時のしつけを知ることができ参考になった」と感想を話した。

ドッグレースには、入学直後から毎日一緒に過ごしている伴侶犬「パートナードッグ」=6月2日付け=16頭が、学生と一緒に出場し、3レースが展開された。ペットケア総合コース2年の和気彩乃さん(20)と入岡佑花理さん(19)によると、犬同士の相性などを考慮して、各レースの出場犬を決めるなど工夫したという。

災害時の犬のしつけ方法などが伝授された〇×クイズ大会

高齢者と保育園児 毎日交流し楽しみ共有 葛城デイサービスセンター

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おやつの歌を歌って一緒におやつタイム=葛城デイサービスセンター

【鈴木萬里子】つくば市西大橋寺前、葛城デイサービスセンター(石川佳一施設長)では、利用者の高齢者と、隣接のかつらぎ保育園(舘野清子園長)園児らとの交流が毎日行われている。午後のひとときを一緒に過ごし、互いに刺激を受け、楽しみを共有するユニークな試みだ。

同センターは1998年に創立され、当時から高齢者と園児との交流を大切にしてきたという。午後3時のおやつの時間になると、保育園の年長児5人が交代でやってくる。一緒におやつを食べて、ゲームをするなど世代間の交流を自然な形で行っている。壁には園児らの顔写真が貼られていて、名前をすぐに覚えっられるように工夫されている。

園児の1人は「家にもじいじとばあばがいるけど、ここにもたくさんいるので来るのが楽しい」と笑顔で話してくれた。高齢者からは「毎日子どもと触れ合うのが楽しい」「びっくりするくらい大人みたいなことを言うので驚く」などの声も聞かれた。一点を見つめて無口だった男性が園児の話にうなずく様子も見られた。石川施設長は「子どもには高齢者の笑顔を引き出す力があり、皆さん自然に笑顔になる。核家族化が進んで高齢者と触れ合う機会の少ない子ども達にもいい経験になると思う」と世代間の交流の効果を語った。

ソプラノ歌手招き音楽会も

園児とお年寄りが一緒にポポロの演奏を楽しんだ=24日、かつらぎ保育園ホール

24日は「世代間交流イベント—童謡・唱歌を一緒に歌いましょう」が、同保育園のホールで催された。園児とお年寄り約130人が集い、楽しいひとときを過ごした。

出演はNPOポポロ(日本と世界の愛唱歌をうたう会)。NHK教育テレビで「うたのおねえさん」として活躍したソプラノ歌手の山田昌子さんら3人のステージだ。石川施設長が以前ポポロのコンサートを聴いたことがあり出演を依頼した。

披露されたのは童謡と唱歌を中心に全16曲。園児たちとお年寄りが唱和した。園では普段から童謡を歌ったり唱歌をよく聞いているそうで、どの子も飽きることなく楽しそうだった。

デイサービス介護士の一人は「利用者は歌が好きな人が多いので、とても楽しそう。耳の遠い人も口ずさんでいたので安心しました」と笑顔になった。石川施設長は「地域の皆さんが施設を見に来るのはハードルが高いと思う。この様なイベントの機会に来てもらい、サービスや考え方を実際に見てもらえたら」と話している。

未来のアニメーター必見! つくばのウィットスタジオに未知なる可能性

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茨城スタジオを担当する山田健太さん(左)にインタビューする高校生ライターの加藤涼芳記者=東京都武蔵野市、ウィットスタジオ本社

【高校生ライター・加藤涼芳】「進撃の巨人」と言えば、広い世代に愛されている漫画の1つである。奇妙ともいえるストーリー設定でありながら不思議な魅力を放つこの漫画をアニメ化したウィットスタジオ(本社・東京都武蔵野市)に迫る。

アニメを作ってみたい人に朗報 

アニメ「魔法使いの嫁」のポスター前で撮影する山田さん(右)と加藤記者=同

つくば市にウィット茨城スタジオがある。同市産業振興センター(同市吾妻)内に設けられ、人材の育成をコンセプトとし企画制作活動をしている。来年4月からの新卒者を含む新規採用の募集もスタートしており、地域に根ざした新たな形のアニメ制作の可能性に挑む。

茨城スタジオでは、まず短編アニメやご当地オリジナルグッズの作成など短期間でできるものから手掛け、さらに、地元の商業施設や学生との連携なども視野に入れていきたいとのことだ。

茨城スタジオを担当するのは同社制作担当の山田健太さんだ。つくば市は人材育成に適していると話す山田さんから、将来アニメ制作の仕事につきたいと思っている人にアドバイスをもらった。①考えているものを、具現化することを楽しむ②自分の意見を持ちつつも、他人の意見に耳を傾けコミュニケーションを大切にする③アニメーションの画面の作り方を理解する―の3つだという。 

膨大な時間と尽力が必要 

ウィットスタジオでは、企画→脚本→絵コンテ→作画→加工、納品までを他社のスタッフとの関わりを持ちつつ仕上げている。

企画・脚本・絵コンテでは、いろいろな設定の材料が必要になる。脚本作成に週1回のペースでシナリオライターとの打ち合わせをし、大量の絵コンテ作成には、アニメ監督をはじめ社内スタッフから社外発注も含め対応する。中でも作画には、膨大な時間と労力を要する。1枚の絵を複数の人がチェックし加筆しながら作業を進めていく。

キャラクターの色や背景の色彩の個々の設定、また、同じ対象物の色でも明るいところと暗いところでは色味を変えて塗るなどの細かな指定をする。設定の詳細が書かれた指示書の作成・作画の変更等を重ね最終画面の決定に至る。素材の合体の後、最後に光の処理を加える。こうして出来た原画60枚で映像8秒程度にしかならない。

手掛けたスタッフ1人ひとりの妥協のない熱い思いが原画1枚1枚に注ぎ込まれ、戦闘シーンの速い動きをも滑らかに描き出し、見る者すべてを魅了する作品ができ上がる。たくさんの人と協力し合い、分業しつつ数年単位の年月を1つの作品に費やし作成する。

取材の際、見せていただいた原画からは神聖さを感じるほどの迫力があった。機密資料ということで写真を掲載できないのが残念だ。

同社制作担当スタッフの山田さんは「パソコンを使って1秒間に例えば8~12枚の絵を何層分も重ねて描くなど、1枚ずつ手作業で行うのでやりがいがあります」と話してくれた。山田さんいち押しの作品は新感覚・青春ロードムービーと話題になった「ローリングガールズ」だそうだ。

学校対抗アニメコンテストなど地域活性化に期待

ウィット(WIT)スタジオのWITとは、和田丈嗣社長を初めスタッフの名前の頭文字(W・I・T)を連ねて出来たものと、英語のWITからできており「機知(その場に応じてとっさに機転きかせる)に富んだ」という意味がある。物づくりに携わる人たちならではの頓知のきいたネーミングだ。ウィットスタジオには、そんなアイデアに満ちたスタッフがたくさん所属し、アニメの企画制作業務を行っている。

同スタジオは長編アニメーションだけでなく、プロモーションビデオやテレビの番組宣伝ほかゲームのオープニング等も担当している。

山田さんが特に印象に残っているのが、スカイツリー展望台で流した映像の作成だったという。通常、縦9:横16の画面比率に対し、縦9:横96という横長の大画面への挑戦は、苦労もあったが技術の飛躍的発展につながったと笑顔を見せてくれた。

今後アニメを見る際、アニメ企画制作の角度から鑑賞するのもまたひと味違う楽しみ方になるだろう。アニメ制作には数年単位の年月と膨大な尽力を要することは前に紹介済みだが、地方でそれをどうカバーするかが最大の課題であろう。また、地域活性化の一助として学校対抗アニメコンテストや動画甲子園などと銘打った企画の実現に期待したい。(土浦日本大学中等教育学校5年)

世界的自動車安全部品メーカーが入居 つくば駅前 旧ライトオンビル

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オートリブ日本法人のデイル・スティーブン・クック社長(左)に補助金交付の認定書を手渡す大井川和彦知事=つくば市吾妻、旧ライトオンビル4階

【鈴木宏子】つくば駅前の旧ライトオンビル(つくば市吾妻、現L.Bizつくば)4~7階に来年1月、スウェーデンに本社がある世界的自動車安全部品メーカー、オートリブが入居し「ジャパンテクニカルセンターつくば」を新設する。自動運転車や電気自動車など次世代自動車の安全性を向上させる最先端の技術開発部門をつくばに集約するという。

同ビル4~7階はカジュアルウエア専門店「ライトオン」の本部が置かれていたが、今年7月末に売却され=7月4日付け=、空き室となっていた。

オートリブはエアバッグ、シートベルト、ハンドルなどを生産する安全部品メーカーで、世界市場の38%のシェアを占める。県内には、1988年、かすみがうら市上稲吉に筑波事業所を設立し、エアバッグなどを生産しているほか、衝突試験や技術開発などをしている。

同社が、技術開発拠点の新設を計画しているとの情報を得た県が、地元金融機関などと協力して誘致した。最大50億円と銘打って県が今年度から取り組んでいる、新たな成長分野の本社機能・研究所移転促進補助金を活用し、約3年間で5億4000万円を交付するという。

つくばの新センターでは、自動運転車や電気自動車などに求められる新たなエアバッグやシートベルトなどの技術開発に取り組む。4~7階4フロアの面積は約4300平方㍍で約200人が働く予定。70~80人がかすみがうら市の筑波事業所から移転し、約100人を新規雇用するという。

県が補助金を交付することから26日、大井川和彦知事が同ビルを訪れ、日本法人(本社横浜市)のデイル・スティーブン・クック社長に補助金交付の認定書を手渡した。

クック社長はつくばを選んだ理由について「東京からの利便性が高く、優秀な人材を確保しやすい。(旧ライトオンビルの)建物がモダンで、よい環境で従業員に働いてもらいたい」と話した。大井川知事は「つくばは筑波大学や研究機関があり、つくばエクスプレスで東京からのアクセスもよいので、いろいろな人材を確保できるポテンシャルがある」と応じていた。

県による同補助金の交付決定は同社が3件目。つくば市内への移転決定は初という。

旧ライトオンビル=同

 

土浦協同など5病院が充足 来春の研修医マッチング

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土浦協同病院

【山崎実】土浦協同病院など県内の5医療機関が、来春からの臨床研修医マッチングで、充足率(募集定員に対する確保人数)を満たしたことが厚生労働省のまとめで分かった。茨城県は人口10万人当たりの医師数が全国ワースト2位(2016年)と医療後進県。脱却をめざす県にとって、研修医確保枠の達成は必須条件の一つだ。

医師臨床研修マッチングは2004年度、医師の臨床研修が義務化されたことに伴い導入された。日本医師会、全国医学部長病院長会議など臨床研修を行う病院等の団体で構成する「医師臨床研修マッチング協議会」(東京都港区)が、医学生と病院のプログラムを相互の希望を踏まえ、一定の規則(アルゴリズム)に従ってコンピューターにより組み合わせを探り、確定するシステムとなっている。

調査結果によると、県内の研修指定参加20病院の募集定員は228人。これに対し、マッチングによる確保人数は169人で、充足率は74.1%(前年度は74.3%)だった。臨床研修医の県内受け入れは、13年度の126人から17年度は162人と確実に増え続けており、今回も過去最多を記録した。

受け入れ先を病院別に見てみると、筑波大学附属病院が前年度比6人増の73人で県内最多。ほかに水戸済生会総合病院(2人増)、水戸医療センター(4人増)、土浦協同病院(6人増)、霞ケ浦医療センター(1人増)、JAとりで総合医療センター(5人増)、茨城西南医療センター病院(2人増)の計7病院は前年度に比べ増加した。

さらに水戸医療(9人)、土浦協同(14人)、筑波メディカルセンター病院(10人)、JAとりで(5人)、茨城西南(6人)の5病院は募集定員枠を満たし注目される。一方、受け入れ内定がゼロだったのは、水戸赤十字病院、つくばセントラル病院、友愛記念病院の3病院だった。

県医療人材課は「病院間の人的交流も活発に行われており(枠確保未達成の病院があることが)不安材料とは考えていない。むしろ、県内へのマッチング者数の増加傾向を、さらに伸ばしていくことが重要」と話している。

     2019年春採用の臨床研修医マッチング結果
募集定員 マッチング 前年度比マッチング増減
1 水戸赤十字病院(水戸市) 4 0 ▼4
2 水戸協同病院(水戸市) 10 7 ▼3
3 水戸済生会総合病院(水戸市) 10 8 2
4 水戸医療センター(茨城町) 9 9 4
5 茨城県立中央病院(笠間市) 9 4 ▼3
6 日立製作所日立総合病院(日立市) 12 9 ▼2
7 日立製作所ひたちなか総合病院(ひたちなか市) 8 7 0
8 土浦協同病院(土浦市) 14 14 6
9 霞ケ浦医療センター(土浦市) 3 1 1
10 筑波記念病院(つくば市) 8 6 ▼2
11 筑波大学附属病院(つくば市) 90 73 6
12 筑波メディカルセンター病院(つくば市) 10 10 0
13 筑波学園病院(つくば市) 5 1 ▼1
14 東京医科大学茨城医療センター(阿見町) 10 4 ▼4
15 牛久愛和総合病院(牛久市) 5 4 0
16 つくばセントラル病院(牛久市) 3 0 0
17 JAとりで総合医療センター(取手市) 5 5 5
18 総合守谷第一病院(守谷市) 3 1 0
19 友愛記念病院(古河市) 4 0 0
20 茨城西南医療センター病院(境町) 6 6 2
合計 228 169 7
※20医療機関は県内の臨床研修医マッチング参加病院
※定員に空席がある病院は今後2次募集を実施する

【クレオ再生問題】10月中の議会提案見送り

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10月中の市議会提案を見送る考えを表明した五十嵐立青つくば市長(左)=市役所

【鈴木宏子】つくば駅前の商業施設クレオ再生問題で、五十嵐立青市長は25日、当初予定していた、10月中に市の再生案を議会に提案するスケジュールを見送る考えを明らかにした。18日の市議会全員協議会では、クレオ所有者である筑波都市整備の厳しい財務問題などが浮上した。現時点では再生案を提案しても、議会の過半数の理解が得られないためとみられる。

今後について五十嵐市長は「(議会に)提案する努力を続けていく」と強調し、新たなスケジュールについて「12月中に(クレオ取得費用の38億円を)筑波都市整備に入金できるスケジュールで考えていく」とした。

今後、議会の理解をどう得ていくかについては「(18日の)全員協議会で出た質問にいろいろ整理して対応していかなくてはならない。クレオだけでは解決できない問題に対して、中心市街地を面的にどう捉えるのか、少し広い枠組みで(議会に)話をしていきたい」と述べるにとどまり、具体案は示さなかった。

当初の市のスケジュールでは、アンケートなどで市民の合意が得られれば、10月下旬に市議会に諮り、市が20億円を出資して11月中に資本金50億円でクレオを取得するまちづくり会社を設立する予定だった。12月中にクレオを購入するという期限は変わらないという。

種子法廃止って何? 将来、高騰警戒 県「これまで通り生産」も外圧注視

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【山崎実】「種子法廃止って何?」—今、都市、農村部を問わず、種子法廃止がホットな話題になっている。政府は今年2月、民間活力の導入を理由に同法を廃止。農業の現場や消費者からは「将来、外資系を含む民間企業の参入で種子価格が高騰、ひいては値上がりが続くのでは」と警戒する意見がある。一方、種子生産当事者である県は「基本的にはこれまで通り、県が責任をもって生産するので心配はない」(県産地振興課)としている。

種子法は、戦後の食糧安定供給のため、稲(コメ)、麦、大豆3品目の種子を、国、都道府県が責任をもって生産、普及することを目的に制定された。稲のコシヒカリ等、身近な品種は都道府県のオリジナルとして同法に基づき開発されてきた。

ところが、産地間競争の激化に伴い、民間開発の種子も奨励品種に採用する道を開けるべき(民間活力の導入)との意見が出てきたため、政府は規制改革の一環として同法の廃止を決め、国会も通過し成立した。県内でも既に一部地域で「ミツヒカリ」「とねのめぐみ」等、民間開発の種子による稲が作付けされているが、限定的かつ契約栽培の域を出ていない。

この主要農作物種子法廃止の動きは全国的に影響を与え、茨城県内でもJAグループや県採種部会協議会等から「法廃止後も、優良な種子の安定確保のため、引き続き県が現行の役割を担ってほしい」旨の要請が出ていた。そこで、県は今年3月23日付けで新たに「茨城県稲、麦類及び大豆種子の生産と供給に関する要綱」を策定。従来通り、関係機関と連携して種子生産に取り組むことにした。

法廃止後も条例で対応しているのは、埼玉、新潟、兵庫の3県のみ。茨城県と同様に要綱を定めて種子生産を継続する道府県は41に上るという。

不安要因はないのか。県が指摘するのは、外圧だ。理由は、この問題がTPP(環太平洋経済連携協定)の協議事項に含まれているためで、米国等との交渉の行方も気がかりなところ。「種子をめぐる国際的な圧力だけは注視していく必要がある」と同課。現時点で「心配はない」とはいえ、県は今後の推移を注意深く見守っている。

保護犬・猫と触れ合って ボランティアが譲渡会 11月4日土浦

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譲渡会で里親を募集する犬猫たち(「犬猫物語」提供)
「犬猫物語」代表で県動物愛護推進員の鈴木佳代さん

【橋立多美】犬猫の保護活動をしているボランティア団体「犬猫物語」主催の「犬と猫の譲渡会&犬猫マルシェ」が11月4日、土浦駅前のアルカス土浦広場(土浦市大和町)で開かれる。同団体は土浦やつくば、坂東市などで、迷子になったり、人間の都合で捨てられた犬猫の保護活動をしている人たちが今春立ち上げた。土浦市在住の鈴木佳代さん(51)が代表を務めている。

鈴木さんは「茨城は犬猫の殺処分数がワースト上位ということもあって、不幸な犬猫を減らそうと譲渡会の会場では里親探しに必死になりがち。私たちは力まず、犬猫と触れ合う楽しい場を提供することから始めたい」という。4日の譲渡会で里親を募集するのは成犬3、4匹と生後3カ月から成猫までの10匹前後の猫たち。

マルシェには犬猫フードやおやつ、関連グッズなどが並び、占いやバルーンアートのブースが設けられる。また、犬猫もかけがえのない命であることを知ってもらうために聴診器で心音を聴くコーナーや、犬猫が脱走したり迷子になった時に飼い主を識別できるマイクロチップについて学ぶコーナーも開設される。飼い方の相談や共生する上で大切なことを楽しみながら学ぶことができる。

鈴木さんが保護活動に取り組むようになったのは15年前、土浦市に自宅を建ててブリーダーから買った雌のコリー犬と暮らすようになってから。それまでは動物の飼育が禁止された集合住宅に住んでいたため初めてのペットとの暮らしだった。「かわいくて、ペットのいなかったこれまでの人生は大損した」と思ったそうだ。その後は県動物愛護推進員として犬猫の適正飼養の啓発や譲渡などの活動を続けている。今は保護した犬猫を家族として迎える一方、譲渡するために複数匹の犬猫の世話をしている。

活動の喜びは「行き場のない犬猫がハッピーになること」と鈴木さん。譲渡後、付き合いが生まれた里親宅を訪ねた時、「かつて世話した犬猫が自分を覚えていないと、良い里親さんに出会えて幸せに暮らしていることが分かってうれしくなる」。

犬猫の譲渡には条件がある。▽犬猫を飼育できる住宅に居住し、飼育することについて家族全員の同意が取れていること▽終生一緒に暮らすこと▽必ず不妊、去勢手術を行うこと▽県動物の愛護管理条例で飼い猫の屋内飼養が努力義務として規定されており、ネコは室内で飼うこと-などだ。

◆「犬と猫の譲渡会&犬猫マルシェ」は11月4日(日)午前11時~午後2時30分、アルカス土浦(土浦市大和町)1階広場。問い合わせは鈴木さん(電話090-1767-3372)まで。

土浦港に新スポット 「湖沼との共生」テーマに壁画アート

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土浦港の壁面に完成した壁画アート

【鈴木宏子】霞ケ浦の土浦港(土浦市川口)に新スポットができた。第17回世界湖沼会議のテーマ「人と湖沼の共生」をモチーフにした壁画アートで、同会議サテライト土浦の開催に併せて、土浦青年会議所環境政策委員会(柏村泰孝委員長)が、全国からプロのアーティストなどを募って制作した。

ヨットなどが停泊する土浦港の高さ1.3㍍の壁面に、約230㍍の長さにわたって壁画15作品が描かれている。湖の中に共存する植物や生き物を青く輝く水の美しさで表現した作品や、生き生きと泳ぐコイと揺れる水草などを描いた作品などがある。100年後の霞ケ浦に子供たちの笑顔と生き物たちの生命力あふれる姿があるようにと願って、地域の子供たちと一緒に描いた作品もある。

8月中旬から描き始め10月13日にお披露目されたばかり。土浦やつくばなど県内で活動するアーティストを中心に計10人が土浦港に通い、霞ケ浦に寄せるそれぞれの思いを表現した。ほかに筑波研究学園専門学校、土浦日大高校美術部、常総学院美術部の生徒らが描いた作品もある。

柏村委員長(34)は「今後この壁画アートが、霞ケ浦や周辺の豊かな自然環境の保全や地域活性化につながり、地域のランドマークになれば」と話している。

阿見セーリング特設会場開所 26日から国体リハーサル大会

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土浦市街地越しに筑波山を展望する霞ヶ浦セーリング特設会場=阿見町大室
開所式でテープカットする千葉町長㊥ら=同

【相沢冬樹】2019年の「いきいき茨城ゆめ国体」に向け、阿見町(千葉繁町長)が整備してきた霞ケ浦セーリング特設会場がこのほど完成し、19日現地に関係者を招いて開所式が行われた。26日からは国体のリハーサル大会となる全日本選手権3大会が3日間の日程で組まれている。

特設会場は、同町大室の霞ケ浦高校大室グラウンドの一画約2万4000平方㍍を借り受け、霞ケ浦りんりんロードをはさんで湖岸堤にせりだす格好で整備された。一部湖内のしゅんせつを施した上、湖岸部には長さ60㍍の浮桟橋と2本の仮設桟橋、幅80㍍×奥行40㍍のスロープが建設された。

陸上部には艇置き場として2人乗り用(ダブルハンド)、1人乗り用(シングルハンド)各188艇分の区画を設け、人工芝を張ったウインドサーフィン用エリアも整備された。2階建てと平屋造のプレハブ本部棟(合計710平方㍍)や艇庫、イベントテント、売店テント、身障者向けを含む仮説トイレなどを設けている。

陸上施設は国体が終われば原状回復して高校側に戻すため、路盤も簡易舗装で車両の乗り入れなどはできない仕様。駐車場は設置されず、観客輸送は土浦駅発着のシャトルバスでまかなうことになる。

観客輸送を含めた大会運営のリハーサルのため、26日から3日間の日程で高松宮妃記念杯第64 回全日本実業団ヨット選手権、第 20 回全日本セーリングスピリッツ級選手権、2018 年全日本セーリング選手権の3大会が開かれる。これに先立っての開所式で、県セーリング連盟の関係者は「これほど観戦しやすい会場はない」と太鼓判。ヨシの残る水辺から土浦市街地越しに筑波山が展望できる風景などが評判だった。

千葉繁町長は、「国体のための特設会場だが、湖岸のスロープと桟橋の一部は残るということなので、大会後も活用を図り親水空間づくりの足がかりにしていきたい」と意欲をみせた。19年国体のセーリング競技は9月29日~10月2日の4日間が会期、成年男子・女子、少年男子・女子の4種別で10競技が行われる予定だ。

湖の恵み持続的享受へ英知結集を 「霞ケ浦宣言」発表 世界湖沼会議閉幕

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閉会式で挨拶する大井川和彦知事=つくば市竹園、つくば国際会議場大ホール

【池田充雄】15日からつくば国際会議場などで開かれていた第17回世界湖沼会議は19日に閉幕した。閉会式で大井川和彦知事(同会議実行委員長)は「生態系サービスを将来にわたって継続的に享受するためには、時代のニーズと変化に対応しつつ、各サービスのバランスを保つことが極めて重要だ。そのためには湖沼をとりまくさまざまな課題について、私たち一人ひとりが自らの問題として認識し、改善に向けて行動していくことが何よりも大切だ」とあいさつした。

会議には世界50カ国と地域から市民、行政、研究者、企業など約4000人が参加し、472の研究発表のほか幅広い展示、討議などが行われた。本会議に先立って8つのサテライト会場でシンポジウムやイベントが開かれ、市民ら4万2699人が参加した。それらの成果をもとに19日、世界の湖沼が抱えるさまざまな問題の解決に向けた考え方を世界にアピールする「いばらき霞ケ浦宣言」が発表された。

宣言は、2015年の国連サミットで採択された「持続可能な開発目標」でも湖沼の位置付けは弱く、極めて不十分であること、また、多くの湖沼が汚濁負荷の増加や流域開発、地球規模の気候変動などにより環境破壊が進んでいることなどを挙げ、湖沼から得られる恵みすなわち「生態系サービス」を将来にわたって持続的に享受できるよう、英知の結集を呼び掛けている。

そのための大原則が、生態系サービスの衡平(こうへい=均衡のとれた)な享受と、次世代への引き継ぎだ。特に後者では、今回の会議では小中高校生800人が参加した学生会議が開かれたことを受け、「私たちは、子どもたちも生態系サービスを衡平に享受するための大切なパートナーであることを認識し、彼ら次世代の自主性・主体性を尊重し、彼らの思い描く未来、そして現代に対する警鐘に真摯に耳を傾けなければならない」と説いている。

このほか、次回の世界湖沼会議が2年後の20年にメキシコで開催され、また21年にはセネガルで世界水フォーラムが開かれることを受け、両国の関係者があいさつに立った。

流域関係者が課題共有 世界湖沼会議霞ケ浦セッション

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霞ケ浦セッションのポスター発表=つくば市竹園のつくば国際会議場

【鈴木萬里子】つくば国際会議場(つくば市竹園)で開幕中の「世界湖沼会議」4日目の18日は「霞ケ浦セッション」が行われた。持続可能な生態系サービスに向けた具体的な行動に連携して取り組むため、霞ケ浦流域関係者が霞ケ浦の抱える様々な課題を共有した。

セッションには13人から事例発表があった。「取り組みの現状や課題解決に向けた展望」として登壇した県生活学校連絡会会長の藤原正子さんは、日本の食品廃棄の約半分が一般家庭からの廃棄だとして、捨てられる食品を少なくし、食品ロスや廃棄食材について考えようと訴えた。賞味期限を過ぎた食材でも五感で判断して食べる工夫をしようなどと語り、食べ切り、使い切りのエコ料理ワークショップを開いている取り組みも紹介した。

事例発表後の質疑応答では、中国から来日した参加者からハス田に使う農薬や水質について質問などがあり、発表者と意見交換がなされた。

大ホール前ロビーでは35の団体や個人によるポスター発表が行われた。日本野鳥の会会員で土浦市の金澤まち子さんらは、霞ケ浦周辺のハス田の野鳥除け防鳥ネットにからまって死んだ野鳥などの写真を掲載し、人と野鳥の共存、生態系を守ることを訴えた。

日本野鳥の会茨城支部の資料によると2014年から5年間で7000羽強の野鳥の羅網死が確認されている。防鳥ネットを開けっ放しにせずきちんと張れば被害は防げるとし、ネットの正しい使用を呼びかけた。ポスター前には多くの参加者が訪れ、痛々しい野鳥の羅網死の写真にくぎ付けになっていた。

霞ケ浦セッションの日とあって、会場には流域の市民団体が多数参加した。潮来市から来場した潮来市地域女性団体の20人は「霞ケ浦を汚す一因ともなっている家庭排水の問題に取り組んでいて、廃油から作った粉せっけんを販売している」と話し、熱心にポスターを見て回っていた。

会場1階受付前には県の特産品である結城紬のブースが設けられ、着物の着付けのパフォーマンスがあった。海外からの参加者がうれしそうに袖を通す姿が終日見られた。

1階受付前の結城紬のブースで着物を着て笑顔の海外からの参加者=同

【クレオ再生問題】キュート、モグも売却意向

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クレオに隣接するつくば駅前商業施設キュート=つくば市吾妻

【鈴木宏子】つくば駅前商業施設クレオの再生問題で、五十嵐立青市長は18日、市民アンケート調査結果を発表したつくば市議会全員協議会で、所有者の筑波都市整備(同市竹園、石原孝社長)が、隣接の商業施設キュート(Q’t)とモグ(MOG)をクレオと一体で売却したい意向であることを明らかにした。五十嵐市長は同社の取締役を務める。

これについて滝口隆一市議(共産)が、クレオには約160億円の抵当権が設定されており、キュートとモグにも共同担保が設定されている問題を指摘。「(同都市整備は)クレオを(市が出資するまちづくり会社に)38億円で売って終わりではない。会社としてどう窮地を切り抜けて、立て直そうとしているのか、明確にすべき」だとただした。

滝口市議によると、約160億円の抵当権設定のうち約62億円が、西武筑波店が撤退した昨年2月末に、本来そごう・西武に返還しなければならない保証金(敷金)で、同都市整備が返還できてないことから、キュートとモグに共同担保として抵当権が設定されているという。滝口市議は「(まちづくり会社が)38億円で購入しただけでは筑波都市整備は担保を払いきれない」「西武の保証金(入居当初の約53億円)はどこに使われたのか(明らかにすべき)」と指摘した。

五十嵐市長は「企業情報は開示できない」と突っぱね、「市がクレオを取得する際は、抵当権をはずせることは関係者に確認した」と話した。その上で「筑波都市整備は経営改善計画を策定しており、それに従った経営改善を目指していただいている。その一つが市が関与しているクレオであり、最悪の事態に対応できるのがクレオの再生」だと強調した。

これについて滝口市議は「(議会は)資料を読み込んだ上で判断していくことが必要。社内秘扱いで開示できないということでは、筑波都市整備の経営に疑念をもってしまう。(疑念があるまま)ものごとが進められては困る」としている。

【クレオ再生問題】市の関与に賛成84.4%

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市民アンケート結果を発表する五十嵐立青市長(中央)=つくば市役所

【鈴木宏子】つくば駅前商業施設クレオの再生問題で、つくば市議会全員協議会が18日開かれ、五十嵐立青市長は市民アンケート結果を発表した。有効回答数1769件のうち「まちづくり会社に市が出資してクレオを再生を図ることに賛成」と回答した市民が1493件と84.4%を占めた。「市場動向に任せ市が関与することには反対」は276件と15.6%だった。

一方、市は、アンケートなどで市民の合意が得られれば、10月下旬に市議会臨時議会を開き、20億円の出資の是非について諮りたいとしていた。五十嵐市長は議会に諮る日程について「まだ確定していない」としている。

アンケート結果について五十嵐市長は「無記名でとった前回(7~8月)より多い。1000件を超えると統計的に有意」だと述べた。市HPで実施した前回は1242件の回答があり81.7%が「市が関与すべき」と回答した。今回も前回とほぼ同様の結果となった。

回答者の内訳はクレオのある学園地区が55.5%。次いでTX沿線地区が11.2%、谷田部地区が9.7%、桜地区が8.6%など。前回と同様、中心地区が多く、周辺地区は回答者が少なかった。回答方法は市HPが71.8%を占めた。

クレオの再生について五十嵐市長は、市が20億円を出資し、まちづくり会社をつくって土地と建物を取得し、71億円かけて子どもたちが遊びながら科学を学べる体験型商業施設に再生する案を示している=9月28日付け。

アンケートは9月29日~10月16日まで、市ホームページと市広報誌臨時号に掲載した返信用はがき、4カ所で開催した市民説明会で実施した。はがきを付けた市広報誌臨時号は、新聞折り込み、小中学校での配布など計9万8777部を配布した。

違いある人と一緒に体験を 20日「なないろサッカーフェス」 筑波大

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インクルーシブサッカーの試合(去年のイベント)

【田中めぐみ】障害の有無や年齢、性別、国籍など、様々な違いのある10人がチームを作り、一緒にプレーする「なないろサッカーフェス18」が20日、筑波大学(つくば市天王台)のセキショウフィールドで開催される。

2016年から始まり今年で3年目。同年、視覚障害者のサッカー団体、NPO日本ブラインドサッカー協会(東京都新宿区)から、筑波大学のサッカー場を使ってブラインドサッカー東日本リーグを開催したいという話があったのがきっかけで、同大体育系の澤江幸則准教授が中心となり同イベントが始まった。ボランティアスタッフが協力し、企画、運営を行っている。

澤江准教授によると、市内には全盲者などのブラインドサッカーチームが2チーム、弱視者などのロービジョンサッカーチームが1チームあるという。「ぜひこの機会につくばゆかりのチームについて知ってもらい、つくばの人に応援して欲しい」と澤井准教授は話す。

同東日本リーグも同会場で開催され、ブラインドサッカーとロービジョンフットサルの計3試合を間近で観戦することができるという。

学生たちが運営

筑波大学の学生ボランティア。 新居万里奈さん(左)、 岩田朋之さん(中央)、 平賀慧さん(右)

筑波大学4年の新居万里奈さん(23)は、昨年初めて同イベントに参加した。ルールや用具などの工夫次第でいろいろな人とサッカーが楽しめ、交流ができるということに驚いたという。サッカーに詳しくなかったが、イベントに参加することでサッカーの魅力や奥深さを知った。自分もイベントにかかわりたいと今年から運営に携わる。

同大学院修士課程の平賀慧さん(23)は、視覚障がい者が日常の中でどのような感覚なのかを知ってもらいたいと、アイマスクや弱視ゴーグルを付けてシュートにチャレンジしたり、視覚障がい者の日常生活を体験したりするコーナーを企画した。体験コーナーでは段差や着替え、お金の支払いなど日常生活を体験できるので、理解を深めてほしいと話す。

ロービジョンフットサルの日本代表で、同大学院修士課程の岩田朋之さん(32)もスタッフとして参加し、自身の経験をもとにイベントのプログラム作成を担当した。岩田さんは、様々な背景を持つ人たちが集まる中で、全員が心を一つにしていくための最適な状況を見つけるのが醍醐味だと語った。

▼同フェスは20日(土)午前10時から午後4時まで。参加無料。問い合わせ先は同実行委員会2018(メールnanairo.s2018@gmail.com)

つくば美術展開幕 地元ゆかりの現役作家18人 新作など一堂に

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16日開幕した第7回つくば美術展=県つくば美術館

【田中めぐみ】つくば市にゆかりのある現役作家18人の新作などを一堂に展示した「第7回つくば美術展—うずまく」が16日、つくば市吾妻の県つくば美術館で開幕した。

油絵制作とコラージュなどの研究で知られ筑波大学芸術系長を歴任した洋画家の玉川信一さん、日本画家の藤田志朗さんなど筑波大学関係者のほか、在野で活躍する多彩な分野の作家による洋画、日本画、版画、彫刻の66作品が展示されている。

同展は2005年から隔年開催されており、今年で7回目。主催はつくば市、つくば文化振興財団。同財団は「つくば市ゆかりの多彩な分野の作家の作品を一堂に集めた作品展はなかなか無いのではないか」と話す。

副題は毎回異なる。今年の副題「うずまく」には「賛否両論渦巻く」という意味が込められているという。副題のとおり、作品に対峙する人に相反する感情を同時に抱かせるような、メッセージ性の強い作品が多く出展されている。

絵画を出展した画家の山中宣明さんは、作品について「見る人によって様々に見えてくる作品を描いた。いろんなことを感じてもらえるのでは」と語った。

隣接の市中央図書館によく来館し、帰りに美術館に足を運ぶことが多いというつくば市内の70代の女性は「この展覧会には初めて来たが、さすがに現役作家の作品はすごい。思わず引きこまれてしまった」と一つ一つの作品に長時間足を止め、作品を味わっていた。

◆入場無料。会期は28日(日)まで。開館時間は午前9時半~午後5時。最終日は午後3時まで。21日(日)午後2時からはマリンバのギャラリーコンサートが催される。22日(月)は休館。

山中宣明さんの作品

世界湖沼会議2018開幕 つくば国際会議場

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基調講演する三村信男茨城大学学長=つくば市竹園、つくば国際会議場大ホール

【鈴木宏子】第17回世界湖沼会議(茨城県、国際湖沼環境委員会主催)が15日、つくば市竹園、つくば国際会議場で開幕した。「人と湖沼の共生―持続可能な生態系サービスを目指して」をテーマに19日まで5日間開催される。世界49カ国・地域から約4000人が参加する予定。

同日午前、秋篠宮ご夫妻を迎えて開会式が催された。大井川和彦知事は「湖沼に関わるさまざまな立場の人の連携が一層強化され、問題解決の新たな展開につながること、新たな知見の集積と展望を開く会議になることを願っている」などとあいさつした。

「地球環境の変動と湖沼の未来」をテーマに基調講演した三村信男茨城大学学長は、気候変動が湖沼に与える影響について話し、広くて浅い霞ケ浦について「水温が上がり雨の降り方が変わると、アオコが発生しやすくなる条件となり、プランクトンの増殖によって透明度がさらに低下し、水中の水草の成長が阻害されるなど水質汚濁が悪化する懸念がある」などと語った。その上で「湖沼自身が適応する能力をもっているので、それぞれの湖沼で何が賢い利用なのか探さなければならない」などと話した。

会議日程は次の通り。

▽16日(火)=政策フォーラム、湖沼セッション、分科会、展示会、ワークショップ

▽17日(水)=エクスカーション(霞ケ浦など視察)、ワークショップ

▽18日(木)=霞ケ浦セッション、同ポスター発表、分科会、展示会

▽19日(金)=会議総括、閉会式が催され、いばらき霞ケ浦宣言2018を発表する予定。

県民は1日1000円で参加できる。