月曜日, 3月 10, 2025
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障害者スポーツ普及させたい 茨城国体契機に つくば市

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つくばフェスティバル2018でハンドアーチェリーを体験する子ども=つくば市竹園の大清水公園

【佐藤信之】来年秋に開催される「いきいき茨城ゆめ国体」の会場となるつくば市は、同国体後に開催される「全国障害者スポーツ大会」に向け、ハンドアーチェリーや車いすバスケットボールなどの体験会を開催し、障害者スポーツの普及に努めている。

茨城国体で初めてオープン競技に加わるハンドアーチェリーは、的に針のついていないピンをあて得点を競うスポーツ。右手で5回、左手で5回の計10回投げ、合計得点が高い人が勝ちとなる。競技者の体の状況によって投げる距離や姿勢、的の高さなどを自由に設定することができ、子どもも高齢者も障害者も誰でも楽しめる。

同市国体推進課の吉井祐二さんによると、昨年度から今まで20回以上、市内各地で体験会を開いてきたという。吉井さんは「昨年まで障害福祉課に勤務していたこともあり、茨城国体を契機として国体が終わった後も地域に障害者スポーツを普及させていきたい」と語る。

5月12、13日に催された「つくばフェスティバル2018」では、会場の大清水公園(同市竹園)に設けられた国体PRブースで、市民にハンドアーチェリーを体験してもらった。参加した子どもたちは、競技で使用されるのと同じピンを使い、3mほど離れた的に向かって一生懸命ピンを投げていた。

7月15日午後1時から同市金田の桜総合体育館でハンドアーチェリー、車いすバスケットボールのほか、バレーボールのルールを取り入れて卓球台で競う卓球バレー、「地上のカーリング」とも呼ばれているボッチャの4種目の体験会が行われる。市内在住、在勤、在学の人なら誰でも参加できる。車いすバスケのみ小学生以上が対象で事前申込制(定員50人、参加費100円)。申し込みは6月1日から市のHPまたは国体推進課窓口で受け付ける。

また、9月にも市内で車いすバスケの体験教室が予定されている(中学生以上が対象)。

筑波山仰ぐ地を俳人目線で描写 扇子売りの柴原保佳さん

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発刊された「筑波の見える風景」と著者の柴原保佳さん

【橋立多美】家業の扇子屋を継ぎ、筑波山を仰ぐ県内を売り歩いた体験や見聞きした人々の日常を細やかに描写した写生文集『筑波の見える風景』(ウエップ、2700円)がこのほど発刊された。

著者は東京都足立区千住在住の柴原保佳さん(85)。俳誌「ホトトギス」会員だった父親の影響を受けて34歳でホトトギス同人になった。写生の技術を散文にした正岡子規の教えを引き継ぎ、子規没後も門人たちによって継続している文章会「山会」にも参加している。1963年から、扇子を並べた商品ケースを机にして書いた写生文は約800編に及び、古希以後につづった54編が収録されている。

「梨の頃に」と題した文がある。「石岡の郊外に土田というところがあって、一面に梨畑が並んでいた」で始まる。千住の家の近くに住んでいた蒔絵(まきえ)描きの職人に漆器などで使う梨子地(なしじ)について聞いたくだりが書かれ、「梨の皮の地模様から考え出された漆芸の伝統の妙を感じたのである。梨の皮をくるくると剥く時にいつも作務衣(さむえ)姿の職人さんを思い浮かべる」と結んでいる。作者の日常へのまなざしが伝わってくる。

大学を卒業したばかりの作者が団扇(うちわ)の代金集めに歩いた真壁町を、長い時を経て再訪した際の文章もある。つくばエクスプレスの開業など時代の変化と、作者自身に流れた時代経過がもたらす機微も読みどころだ。

本書には、小学6年の時に長野県の善光寺宿坊に学童疎開をした折の寂しさと恒常的な空腹をつづった小説「雪吊(ゆきつり)」が載っている。長野で過ごした少年期のことが昨日のことのように描かれ、平和への思いが読み取れる。

同書の問い合わせはウエップ(電話03-5368-1870)まで。

新アウトドアスポーツで ジオパークの魅力堪能

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宝篋山を背景にゴールを目指す参加者たち=つくば市北条の大池公園

【富永みくに】日本ジオパークの一つ、筑波山地域ジオパークを会場とした、アウトドアスポーツ「第2回フォトロゲイニング大会」(同実行委主催)が27日、つくば市の筑波山や宝篋山(ほうきょうさん)で開かれ、約150人が参加した。

フォトロゲイニングは1976年にオーストラリアで生まれたスポーツで、地図を頼りに制限時間内にどれだけ得点を獲得できるかを競う。難易度の高いチェックポイントほど高得点が配分され、指定の観光スポットを利用するとボーナスポイントがもらえる。幼い子どものいる家族も景色や地元のグルメを楽しみながら参加できる。

チェックポイントは筑波山地域ジオパーク推進協議会(会長・五十嵐立青つくば市長)が提案し、ジオパークの見どころを盛り込んだ。高得点が配分されたのは、筑波山山頂の石碑、同ケーブルカー、宝篋山山頂の印塔、尖浅間山頂など。

地図や資料を見ながら作戦会議をする参加者=同市北条の筑波総合体育館

スタート前の午前9時20分、地図とチェックポイントが配布され、各チームが作戦会議を開始。高得点が得られるルートを入念に選んだ。午前10時のスタート時には、同市のゆるキャラ「つくつく」「フックン船長」がスタートゲートに登場し、盛り上げた。

つくば市のゆるキャラに見守られスタートする参加者=同市北条の大池公園

3時間の部で優勝した「時折若柴」チームは製薬会社の同僚3人で参加。加島美穂さん(33)は「日頃の運動不足の解消にと思い参加した。制限時間が短かったため、近場の宝篋山を登るコースを選んだ。思っていたよりも山道が厳しかったがとても楽しかった」とコメントした。

地元の土産店で指定の商品を買うとボーナスポイントがもらえた(同市観光推進課提供)=筑波山神社参道

市ジオパーク室の杉原薫主任主査は「北条街づくり振興会など地元の皆さんにも協力いただき、ジオパークだけでなく、地域の隠れた見どころを知ってもらえるようなコースを提案した」と説明した。

会場では宝篋山の名前を、国土地理院の地図に載せる署名活動も行われた。現在、約500人の署名が集まっており、2000人を目指してこれからも呼び掛けるという。

ひとり出版社立ち上げ1年 つくばの高松夕佳さん

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心に残る本を出版していきたいという高松さん

【橋立多美】新刊市場が縮小し、本が売れない時代につくばに出版社「夕(せき)書房」を立ち上げた女性がいる。東京の出版社で経験を積んだ編集者の高松夕佳さん(42)。1人で何でもこなすひとり出版社だ。立ち上げから1年経った先月、3冊目の『宮澤賢治 愛のうた』(澤口たまみ著、税別1800円)を刊行した。

1冊目は、美術家の村上慧さんの『家をせおって歩いた』(同2000円)。東日本大震災後の2014年、発泡スチロール製の家を担いで東北から九州まで移住生活をした369日の日記を収録した。震災を機に「僕たちは(仕事と生活のために)閉じ込められている」と思った著者が、各地の日常を切り取りながら思索した旅の記録だ。

2014年4月、高松さんは当時勤めていた出版社の窓から「家」を背負って歩く村上さんを目撃し、SNSで連絡を取った。仕事の合間に、震災の被災地大船渡や陸前高田を歩く村上さんに会いに行き、地元の人に話を聞いたり絵を描く村上さんの姿を間近で見て「洪水のように押し寄せる情報の波に流されず、自分の目で見てつかみ取る人の言葉は信頼できる」と感じたという。

その年の暮れ、違う環境で生きてみたいと考えた高松さんは出版社を辞めた。ところが本に渇望し、自分の居場所は出版業界しかないと身をもって知った。同じ頃、村上さんから移住中につづった日記を本にしたいという話を聞き、出版社を紹介したが実現しなかった。

「それなら私がやろう」。業界に戻り、生まれ育ったつくばで出版社を興すことを決めた。村上さんの姿勢に共感できたことも後押しした。

出版社に勤務していた頃、仕事で知り合った2人から出版依頼を受けて2冊目と3冊目を世に送り出した。

2冊目は、土門拳賞受賞写真家の亀山亮さんの写真集『山熊田』(同2800円)。新潟県村上市山熊田は、その名の通り山とクマと田んぼだけ。マタギと呼ばれる男衆がブナ林の奥深くに入り込み、仕留めたクマを解体する様子など、山とともに生きる集落の暮らしをモノクロフィルムに収めた本書は、人間ドラマの魅力に満ちている。

新作の『宮澤賢治 愛のうた』は、独身のまま生涯を終えた賢治は恋愛とは縁がなかったとされるが、エッセイストの著者は賢治の作品から恋心を読み取り、恋人がいたと確信。そこに至るまでの謎解きを作品を引用して展開する。

高松さんは「亀山さんは山懐で生きる人々を自らの目で撮り続け、澤口さんは賢治の作品を丹念に読み込んで賢治像に迫る。体験した事実を大事にする生き方は村上さんとも共通するもので、出版の決め手になった」と話す。

3冊とも丁寧で個性的な装丁にこだわっている。表紙やカバー、帯はいずれも手触りの良い紙質で、恋をテーマにした3作目の表紙は、嫉妬心を描いた童話に出てくるヤマナシの花弁のイラストが目を引く。斜陽産業と言われる出版業界だが、紙媒体の可能性を感じさせる。

「流行に便乗した売れる本ではなく、多角的に思考するための材料になる本を作っていきたい」と高松さんは話した。

問い合わせや注文は夕書房(https://www.sekishobo.com/)へ。

夕書房の刊行本。左から『宮澤賢治 愛のうた』、『山熊田』、『家をせおって歩いた』。

知事、国会議員ら北朝鮮情勢や日報問題に言及 霞ケ浦駐屯地65周年

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記念式典で起立をする大井川和彦知事(中央)ら=土浦市右籾の陸上自衛隊霞ケ浦駐屯地

【崎山勝功】陸上自衛隊霞ケ浦駐屯地(土浦市右籾)開設65周年・関東補給処創立20周年記念の一般開放イベントが26日同所で開かれた。記念式典には大井川和彦知事や県選出国会議員らが参加し、緊迫する北朝鮮情勢やイラク日報問題などに言及した。

大井川知事は「北朝鮮の核実験施設の廃棄が報道されたが、過去の経緯からみても予断を許さない。尖閣諸島の中国工船や漁船の度重なる領海侵犯など、我が国の主権を脅かす事案が発生している」と述べ「自衛隊には北朝鮮情勢に関する情報収集、警戒活動や有事即応体制のさらなる強化、さらには2年後に開催される東京オリンピック・パラリンピックのテロ対策など国民の期待はこれまで以上に高まっている」との考えを示した。

藤田幸久参院議員(国民民主)は、不存在とされた陸上自衛隊イラク派遣部隊の日報が見つかった問題に触れ「現場で命がけで戦っている皆さんの現場の叫びがトップまで届いていない1年間」だったと述べ「第2次大戦でも皆さんの記録がしっかり後で教訓として生かされている。皆さんにとっては遠い地まで行っていながら、それ(現場の声)が伝わっていないことが最大の問題」と、自衛隊トップに苦言を呈した。

式典には国光文乃、青山大人衆院議員、中川清土浦市長や県会議員、同市議らが多数出席した。

一般公開ではヘリコプターが地上にいる被災者を救助する訓練が披露されたほか、実際に使われている防弾ベストとヘルメットを試着する体験なども催された。

一般公開イベントで防弾ベストを試着する女性(中央)=同

人工知能で次世代の地銀へ 筑波銀行など7行が新会社

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筑波銀行つくば営業部=つくば市竹園

【鈴木宏子】筑波銀行(土浦市、藤川雅海頭取)は25日、他県の地方銀行計7行と連携し、人工知能(AI)などを使って金融サービスや業務のデジタル化を進める共同出資会社「フィンクロス・デジタル」(東京都中央区、社長・伊東真幸元横浜銀行頭取)を6月25日に設立すると発表した。

現金を使わずスマートフォンによる電子商取引が広がったり、IT企業が情報技術を駆使してフィンテックと呼ばれる新しい金融サービスを提供するなど、めまぐるしいスピードで経済のデジタル化が進む中、地方銀行が共同出資してデジタル化を進める。

7行はほかに、池田泉州銀行(大阪市)、群馬銀行(前橋市)、山陰合同銀行(松江市)、四国銀行(高知市)、千葉興業銀行(千葉市)、福井銀行(福井市)。新会社の資本金は1億円、設立時の純資産は1億4000万円。14.3%ずつ出資する。

新会社は、7行がもつ顧客情報を匿名化してデータ分析し、顧客の生活スタイルや子供の成長などに合わせた最適な金融商品を個別に提供などする人工知能を研究・開発する。さらに人工知能を用いて事務作業を効率的に自動化するロボット(RPA)を導入し銀行業務の効率化を進めたり、店舗のペーパーレス化やキャッシュレス化などを進めるという。

他の金融機関の参加を歓迎するほか、今後、複数行による協働事業も検討するという。ただしシステムの統合などは実施しないとしている。

風景に溶け込む野仏20点 オダギ秀さん写真展

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写真に見入る3人=同ギャラリー2階

【鈴木萬里子】町なかにたたずむ野仏を切り撮ったオダギ秀写真展「遥(はる)かなる野仏」が、つくば市小田のギャラリーカフェ梟(ふくろう)で開かれている。

土浦市在住のオダギさんは県下写真界の指導的立場にある写真家。野仏展は今回で3回目。3年前から年1回、同ギャラリーで開催されている。

今展で展示されたのは、同市虫掛や大岩田などの道端に祭られた仏を撮影した20点。野仏の多くは江戸時代に作られ、亡くなった人への供養や地域の守り神として人々の生活と深い関わりを持ってきた。長い間の風雪で朽ちる寸前の仏など、その表情は1つとして同じものはない。

オダギさんは関東一帯の野仏を撮り続けている。ある地域の川辺で小さな野仏を見つけたときのこと。近くにいたお爺さんが「昔、川の氾濫で田畑が流されることに困った村人が、人柱にした娘の供養として作ったと伝えられている」と話してくれたそうだ。

観賞後に古民家を改築したカフェでくつろぐ来場者ら=つくば市小田のギャラリーカフェ梟

「野仏自体にも仏の生がある。最初に込められたいろいろな思いが長い年月をかけて朽ちていく。それに自分の人生を重ねてしまう。見ていると興味が湧いて尽きることがない」とオダギさんはいう。

オダギファンだという70代の女性3人が牛久、土浦、龍ケ崎から来場した。オダギさんの作品は毎回欠かさず観ているという。三人は「すてきな写真ばかり、素朴でしっとりした感じが良い」「プロの物を見る、目の付け所がすごいと感心する」「選んだ仏さまの表情が何とも言えず良い」と話していた。

オダギさんはNEWSつくばのコラムニストの一人でもある。毎回、これまで出会った人を温かみのある目線で捉えて軽快につづっている。

◆同展の会期は6月3日(日)まで。開廊は午前10時~午後4時30分。月曜、金曜は休廊。入場無料。問い合わせはオダギスタジオ(電話029・225・2679)まで

ギャラリーカフェ梟の入口

男だってヘアドネーション つくばで自立支援の浅井和幸さん

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カットした自分の髪の毛をもつ浅井和幸さん=つくば市二の宮、美容サロンIRIS
束ねた髪をほどいて切る準備をする浅井さん

【鈴木宏子】引きこもりの若者などの自立を支援しているつくば市のNPO若年者社会参加支援普及協会アストリンク理事長の浅井和幸さん(46)が12日、約4年間伸ばした髪を切った。小児がんなどの治療で髪の毛を失ってしまった子供たちにウィッグ(かつら)を提供するヘアドネーションに協力するためだ。伸ばした長さは30㎝以上。男性がヘアドネーションに協力するのは珍しい。どんな思いだったのか。

5年程前、インターネットのニュースでヘアドネーションを知り協力しようと思ったという。世間には男らしい髪形や女らしい髪形、男が長髪なのはおかしいという常識があって、常識に合わない人は自分を恥じ、縮こまってしまう状況に異議申し立てしたいという思いがあった。支援する引きこもりの若者の中に、床屋に行かず、髪が伸び放題になっている若者がいたことから、自宅に居ながらできるボランティアがあることも知ってほしかったという。

普段は後ろ髪を一つに縛り束ねていた。理由を話すと多くの人は「すごいね」などと応援してくれた。一方で髪を伸ばした浅井さんに嫌悪感を抱き、一時、浅井さんを避けるようになった知人もいたという。利点も多いと強調し「一度会っただけで覚えてもらえるし、講演会で話すネタにもなる」という。

髪が肩まで届くようになると、バックや趣味のギターを肩に掛けた際、髪の毛がからまったり、就寝し寝返りを打った際、引っ張られて目を覚ますこともあったという。洗髪は10分ほどで終えたが、乾かすのが大変で、寒い冬はぬれた髪が冷え冷えしたなどの苦労もあった。

長さが規定の31㎝を超えたため、12日、ヘアドネーションに協賛しているつくば市二の宮の美容サロンIRIS(イーリス、東海林瑛人代表)で髪を切った。

まずひもで縛って6束に分け、ばっさりカット。長い髪は38㎝あった。浅井さんは「久しぶりに首が軽くて涼しい」と感想。同店で、30㎝の髪ではショートヘアのウィッグしか作れないこと、ロングヘアーを作るには50㎝以上必要であることを教わったので「何年先になるか分からないが、次は50㎝以上伸ばしたい」と、浅井さんはすぐに次のチャレンジをスタートさせた。

2日に1人が協力

浅井さんの髪を6つの束に縛ってばっさりカットする美容師の東海林夏奈さん

同店を経営する美容師で妻の夏奈さんによると、ヘアドネーションはテレビやメディアで紹介され認知度が上がってきており、今年に入って急に協力者が増えているという。

同店の場合、4月は18人が協力。ほぼ2日に1人のペースだ。5月も同じペースで、男性も浅井さんが2人目だという。女性の場合、もともとロングヘアで、七五三や小学校入学、成人式などの節目に合わせて切り、何かに役立てたいと協力する人が多いという。

同店は、店をオープンした2年前からヘアドネーションに協賛している。夏奈さんは「ウィッグを待っている子どもたちが現在100人以上おり、一つのウィッグをつくるのに10人から30人の髪の毛が必要になる。パーマをかけていても、染めていてもOK。普段の生活をしている人ならだれでも協力できる」と協力を呼び掛けている。

経年劣化しボルト破断が原因 筑波大渡り廊下屋根崩落事故

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事故原因の調査結果を発表する石野利和副学長(中央)ら=筑波大学

【鈴木宏子】筑波大学(つくば市天王台)で昨年12月10日、教室がある建物と建物の2階部分をつなぐ連絡通路(渡り廊下)の屋根が崩落した事故で、同大は24日、原因は経年劣化により、建物のコンクリートに打ち込んで屋根を固定していたボルトがさびて腐食し破断したためと発表した。外部の専門家を加えた特別チームを設置し事故原因を調査していた。

崩落した屋根は42年前の1975年に建設された。鉄骨造、長さ約17.5m、幅約4.5m、重さ約13.6tで、2つの建物と両側20本のボルトで固定されていた。普段は学生が渡り廊下を歩いて教室を行き来しているが、事故時は日曜日のため学生がおらずけが人はなかった。

さびた原因は、長年にわたって雨水が直接かかり腐食したという。事故前からすでに破断していたとみられるボルトや、細くなっていたボルトもあり、屋根の重さを支えきれない状態になっていたと考えられるという。この日氷点下2.3度を記録したため部材が収縮したことがきっかけになった可能性もあるという。

対策について、これまで目視により定期点検を行っていたが、ボルト部分は鋼板で覆われていたため、さびなどを確認することができなかったとした。一方、2004年に建物の耐震診断を実施した際、崩落した屋根については構造計算をしておらず、当時計算していれば事故を防げた可能性があったとした。

事故後、同大は、学内の渡り廊下77カ所の緊急点検を実施し、これまでに平砂宿舎の渡り廊下など計3カ所を撤去したり改修した。他に、崩落事故があった屋根と同様にボルトで固定されている渡り廊下が3カ所あることから、さらに点検を進めるとしている。

調査結果について永田恭介学長は「学内施設に対する安全性への信頼を低下させる極めて深刻な事故。今後同様の事故が発生することがないよう安全・安心の確保のため全力を尽くしたい」とするコメントを出した。

高齢化で在宅介護の相談急増 民生委員自ら初の研修 つくば市茎崎

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民生委員の質問に答える渡辺さん。右は久保田さん=つくば市小茎

【橋立多美】住宅団地住民が一斉に年をとり、急速な高齢化が進むつくば市茎崎地区で、民生委員が在宅介護に関する相談を受けるケースがここ数年、急増している。こうした状況を受け、同地区の民生委員自らが初の試みとして、在宅介護のシステムと現状を知る研修に取り組んだ。

茎崎交流センターで18日開かれた、同市茎崎地区民生委員児童委員協議会(関口光治会長)による全体研修で、初めて在宅医療と介護をテーマにした。

訪問診療を専門に行っている、つくば在宅クリニック院長の渡辺拓自さんの講演と3人を看取った介護者の体験談が語られ、会場に集まった32人の委員たちは静かに耳を傾けた。

渡辺さんは同市を中心に、10市1町の在宅患者約140人の診療にあたっている。様々な患者と家族の例を挙げながら「在宅医療は看取りのための医療ではなく、患者の意思に添いながら訪問看護師などがチームで支える医療」と話した。その一方で「本人にとって介護が生活の基盤で家族の理解と協力がないと成り立たない」とも。

続いて谷田部地区民生委員の久保田美智子さんが、実母と夫、従妹の順で介護し見送った体験を語った。「本人の痛みをコントロールしてくれる在宅医がいたから、9年に及んだ介護の日々を乗り切ることができた」と振り返った。

参加した民生委員からは「相談に乗ってくれる良い主治医を探すには?」「知りたかった訪問診療にかかる費用が分かって良かった」などの質問や感想が聞かれた。

民生委員は、地域の身近な相談相手として必要な支援を行う非常勤の公務員。あしび野に住む民生委員の稲川誠一さんによると、2005年に施行された個人情報保護法でお年寄りの安否確認が満足にできなくなって業務に弊害が生じたり、民生委員自らが高齢になって辞めるなど、なり手不足になっていると課題を指摘した。

北京冬季五輪で採用目指す ヒト型ドーピング検査ロボット開発 産総研など

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公開された汎用ヒト型ロボット「まほろ」=23日、つくば市春日の筑波大学

【富永みくに】スポーツ選手のドーピング検査の自動化を可能とするヒト型ロボット「まほろ」が23日、つくば市春日の筑波大学高細精医療イノベーション棟で報道陣に公開された。2022年の北京冬季オリンピックでの採用を目指して開発を進めている。

近年ドーピングは巧妙化し、禁止薬物を使用するのではなく、遺伝子操作を行った細胞を体内に注入する「遺伝子ドーピング」が行われるようになっている。従来の尿検査では検出できず、特殊な検査が必要となるため、国際オリンピック委員会(IOC)や世界反ドーピング機関(WADA)は、対策に頭を悩ませている。

産業技術総合研究所(つくば市)は、安川電機(福岡県北九州市)らと共同で昨年4月、ドーピング解析の自動化を目的としたプロジェクト「まほろプロジェクト」を設立。オリンピックなど世界的なスポーツイベントでの採用を目指している。

熟練者の動き再現

産総研創薬分子プロファイリングセンターの夏目徹センター長によると、「まほろ」には2本の腕と7つの関節が付いている。器具などを次々と持ち変えながら、液体を注入したり、遠心分離機を操作するなど一連の動作をこなす。熟練した検査員の基本動作を1台のロボットで再現した。

普段、検査員が使用している器具・機材をそのまま使える。さらに遺伝子検査は通常のドーピング検査に比べて検査工程が多く、髪の毛1本落とすことも許されないクリーンルームでの作業となるため、ロボットを活用することでさらに不純物の混合が避けられる。オリンピックなどの大会期間中、不眠不休で作業に当たることも可能。5年間24時間働き続けてもミスを起こさない性能を持っている。

リース価格は1台につき約1億円だが「人件費や開発費などを考慮すると数年で回収できる」と夏目センター長は話す。工程の追加・入れ替えをするだけでドーピング検査に限らず幅広い検査に活用できる。

当初、2020年の東京五輪での採用を目指していたが、公式的な作業手順の策定や、検査を行う研究所の設置などが間に合わなかった。夏目センター長は「スポンサーが見つかれば東京オリンピック中にもデモンストレーションをやってみたい。今は人の動作を完全にまねているが、いずれはAIを使って最適な動作が行えるようになる」と意気込みを語った。

「まほろプロジェクト」をリードする産総研創薬分子プロファイリングセンターの夏目徹センター長

来年6月8、9日 つくば国際会議場 G20大臣会合日程決まる

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2019年6月8、9日にG20貿易・デジタル経済大臣会合が開かれるつくば国際会議場=つくば市竹園

【鈴木宏子】来年つくば市で開催されるG20貿易・デジタル経済大臣会合の日程と会場が決まった。6月8、9日の2日間の日程で、つくば市竹園、つくば国際会議場(同市竹園)で開催される。会場は16年5月に開催されたG7科学技術大臣会合と同じ。

大井川和彦知事は22日の定例会見で「非常に注目される会議になる。貿易とデジタル経済の2つの大臣会合が合同なのでおそらく非常にたくさんの参加者がいらっしゃる。県としてはこの機会を最大限に利用して、茨城を知ってもらう、楽しんでもらうことに全力を尽くしたい。県内の観光インフラ、おもてなしの機運、知名度、そういうものの振興に全力を注ぎたい」と話した。

さらに各国の大臣を案内したい場所として、つくばの研究機関の視察のほか、大洗、石岡のフラワーパーク、水戸の偕楽園、霞ケ浦などを挙げ「いろいろなところを見ていただきたいし、食事も含めて茨城の良いところを是非体験していっていただきたい。息抜きにりんりんロードをサイクリングしていただくのもありかなと思っている」などと述べた。

地元つくば市の五十嵐立青市長は「準備から会合当日まで1年余りの間、つくば市の魅力を国内外に発信する絶好の機会。未来につなげるレガシーを創出すべく、市民を始め、政府、県、関係機関と連携し、成功に向けて準備を進めたい」とコメントを出した。

同会合は、来年6月28、29日に大阪で開かれるG20サミットに併せて、全国8カ所で開かれる関係閣僚会合の一つ。自由貿易の推進や IoT(身の回りのあらゆるものがインターネットにつながる仕組み)、AI(人工知能)などの革新的技術を通じて、世界の経済成長を力強いものとするための取り組みについて議論する予定という。

平成最後の大会は10月6日 土浦全国花火競技大会

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10月6日の開催を決めた第87回土浦全国花火競技大会の実行委員会=土浦市城北町のホテルマロウド筑波

【谷島英里子】第87回土浦全国花火競技大会実行委員会(会長・中川清市長)は22日、市内で会議を開き、今年度の大会を10月6日(土)に学園大橋付近の桜川畔で開催することを正式決定した。

会議には土浦警察署や公共交通機関の関係者、地元区長らが出席した。中川会長は「平成最後の大きな節目の年だと思っている。すばらしい花火大会で終わらせたい」と話し、「安心安全な大会運営に努め、夢と感動を与える大会にしていきたい」と述べた。

実行委によると、花火は午後6時から約2時間30分、2万発を打ち上げる。競技種目はスターマイン、10号玉、創造花火の3部門あり、全国の花火師が腕と創意を競う。中盤で打ち上がる大会名物の横幅500mに及ぶ「ワイドスターマイン土浦花火づくし」(主催者提供花火)は約2100発が9カ所から打ち上げられ、夜空一面を鮮やかに彩る。昨年は約75万人の観客があった。

花火大会は1925(大正14)年、文京町の神龍寺住職が霞ケ浦海軍航空隊殉職者の慰霊と、関東大震災後の不況で疲弊した土浦の経済を活性化しようと、私財を投じて開催したのが始まり。

自治会やPTAが市に要望 用地購入し公務員宿舎跡再生を つくば市竹園

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つくば市の飯野哲雄副市長に要望書を提出する竹園学園地区まちづくり連絡協議会の小島崇宏会長(左端)=同市役所

【鈴木宏子】小中学校など公共施設が老朽化する一方、人口が急増し過密化が深刻な問題となっているつくば市竹園3丁目、国家公務員宿舎跡地の再生問題で、地元自治会やPTAなどが新たに住民団体を結成し、22日、市に同地区の中心にある用地の購入を検討するよう求める要望書を提出した。購入は、緑豊かで統一のとれた同地区の一体的な再生に不可欠だとしている。

同用地所有者の都市再生機構(UR)が今年度中に、用地を民間に売却することが明らかになったのがきっかけ。用地は宇宙航空研究開発機構(JAXA)宿舎跡地約9900㎡で、昨年8月、つくば市が計画を中止した「竹園3丁目地域拠点再構築事業」区域の一部だった。中止前の計画では、築40年以上が経過し老朽化している小中学校や幼稚園、保育所、交流センターなどの公共施設を一体的に建て替える区域の中心に位置していた。市の計画中止を受けてURは、同用地を売却する。

4月に売却計画を知った住民らが、地元自治会や区会、中学校PTA、児童館や保育所の父母会などに呼び掛け、5月13日、計8団体で「竹園学園地区まちづくり連絡協議会」(小島崇宏会長)を結成し、要望書を提出した。

要望書は、竹園3丁目地区は公共施設の老朽化や公務員宿舎の廃止などにより、国家事業として全国に先駆けてつくられた緑豊かなコンパクトシティが崩壊しつつあるなどとしている。一方で公務員宿舎跡地で急速な宅地開発が進み、子育て世代が著しく増加し、教育施設や児童福祉施設の過密化が深刻な問題となっていると指摘している。

老朽化、過密化している公共施設の増築や建て替えは避けられないのに、各施設の敷地面積は十分でなく、個別に建て替えることは非効率で、利用者は多大な負担を強いられるなどとし、市に対し同用地の購入を検討して、公務員宿舎跡地の一体的な再生に取り組むよう求めている。

一方、22日、要望書を受け取った飯野哲雄副市長は、個人的な感想だと前置きした上で「(土地の)取得は目的を明確にしないと難しい。個別の話をすべて実現できるかというとそれは違う」などと答えるにとどまった。要望に対しては、検討し回答するとしている。

要望書を提出した同連絡協の小島会長(44)は「(同地区の)再構築を実施し、新たなまちの姿をつくる上で購入は必要不可欠」だと強調し、住民の一人、三橋俊雄さん(68)は「公務員宿舎は緑豊かで日本でも誇れる環境だったが、どんどん売却され普通の宅地に変わっている。つくばは40年前、(最初に公務員宿舎が建設された)竹園3丁目から始まったのだから、竹園3丁目から新しい姿を模索してもらいたい」と話している。

二刀流で土浦を発信 入沢弘子図書館長

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4階に展示中の土浦二高図書委員会のお薦め本を紹介する、市広報マネージャー兼任の入沢弘子館長=土浦市立図書館

【鈴木宏子】土浦市立図書館の入沢弘子館長(55)がこのほど、市広報マネージャーに任命された。全国にも例を見ない館長と広報マネージャーの二刀流で、今後は図書館だけでなく市全体の魅力を発信していく。

週4日、館長として図書館に勤務し、週1日、市役所広報広聴課シティプロモーション室に勤務する。大手広告代理店、博報堂の広報統括ディレクターだった経験を生かし、市の情報発信を総合的にプロデュースしたり、関連事業を企画、立案するという。

具体的な構想として「高校生パワーで土浦を盛り上げたい」と抱負を話す。「土浦の良さは高校生が多いこと。県立、私立を含め9校ある自治体は周辺にない。高校生が多いという強みを生かしたい」という。

高校との連携事業は図書館で8日からスタ―トしている。県立土浦二高図書委員会の生徒にお薦め本を紹介してもらい、高校生が多く集まる4階学習室隣りのロフトに28冊の推薦文を展示し、本を貸し出している。今後、他校にも声を掛け広げていく方針だ。

現在、高校対抗ビブリオバトル(書評合戦)や制服ファッションショー、部活紹介などの企画案を温めているところだという。

さらに「土浦の高校を発信することは、進学を目指している小中学生や家族が土浦に足を運んでくれる機会にもなるのでは」と期待を寄せる。

「連携企画を通して土浦の高校生に楽しい思い出をつくってもらい、ずっと土浦のファンでいてほしい。進学や就職でいったん土浦を離れても、土浦に戻ってきたり、家族を連れて遊びに来たり、将来、土浦で事業を展開するなどしてくれれば」と夢を語る。

つくば市在住。父親が朝日新聞記者で転勤族だったことから全国各地を転居し、小学2年から中学2年まで土浦で過ごした。

博報堂退職後は、つくば市でプロモーションマネージャーを務めた。土浦市中心市街地活性化の核として昨年11月、駅前にオープンした市立図書館の館長に公募で選ばれ、今年3月、通信制大学で司書の資格を取得した。

常総 逆転で初戦突破も課題残す 春季関東高校野球

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エース右腕の谷田部健太(取手シニア出身)

【伊達康】第70回春季関東地区高校野球大会が19日開幕した。茨城1位の常総学院は20日、千葉県袖ケ浦市営球場で群馬2位の関東学園大附属と対戦し、7対2で逆転勝ちを収め初戦を突破した。終わってみれば5点差がついたものの、終盤まで追加点が取れず一時はミスが続いて逆転を許す苦しい試合展開となった。

常総学院は1回裏に2番・水野勢十郎の左中間に飛び込むホームランで1点を先制するが、4回表に二塁打とタイムリーエラーで同点とされる。さらに7回表に、二つの四球とバント処理のミスで無死満塁のピンチを迎えると、セカンドゴロの本塁転送がこぼれてノーヒットで勝ち越し点を奪われ、逆転を許した。

1点リードされた常総学院は終盤にようやく自慢の打線が目を覚ます。7回裏、一死二塁から1番・二瓶那弥の左中間ツーベースで同点とし、内野安打などで2点を追加する。さらに8回裏にも1番・二瓶の2点タイムリーなどで突き放し7点目を挙げ、そのまま逃げ切った。

投げてはエース谷田部健太と岡田幹太(2年)の右腕二枚看板で6安打2失点と踏ん張った。ただし、谷田部は与四球6個と課題の残る内容だった。

緻密さや小技をお家芸とする常総学院らしからぬバントミスや守備のミスが続出したゲームだったが、まずは初戦を勝利で飾ることができた。次戦(準々決勝)は今春センバツ4強の東海大相模が相手だ。今日の反省を踏まえて横綱級を相手にのびのびとプレーして欲しい。

2安打3打点と活躍した主将で1番の二瓶那弥

春季関東地区高等学校野球大会2回戦

関学大附 0 0 0 1 0 0 1 0 0 2
常総学院 1 0 0 0 0 0 3 3 × 7

関:高橋、福田、柴田―中里

常:谷田部、岡田―菊地

本塁打:水野[常]

二塁打:柴田[関]水野、二瓶[常]

【ひと】「つくばなれ」現象を問題提起 筑波大大学院 和田桃乃さん

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「つくばなれ」について語る和田桃乃さん=つくば市天久保、共有オフィス「グローバルインキュベーションカフェ ピーチ」

【柿内典子】「これからつくばでどう生きる?みんなで考えるつくばライフ」と題したトークイベントを4月下旬、筑波大近くの共有オフィスで開催し、筑波大生の「つくばなれ」現象を問題提起した。

大学入学を機に出身の福井県からつくば市に転居して6年目。現在、同大大学院システム情報工学研究科2年で、新規プロジェクトを応援する共有オフィスの学生スタッフを務める。

「つくばなれ」は和田さんが作った造語だ。つくば市に住むのではなく、千葉や東京のつくばエクスプレス(TX)沿線に下宿して大学に通う筑波大生が増えている現象を指すという。「特に卒業を間近に控えた学生が、流山おおたかの森や浅草などに移住する傾向にある」と話す。

和田さんが暮らした6年の間に、つくば市は西武筑波店、イオンつくば駅前店など大型商業施設の相次ぐ撤退があった。昨年12月には、学内で渡り廊下の崩落事故が発生、施設の老朽化を実感した。学生宿舎では3つあった銭湯のうち2つが廃業となった。「学生にとってつくばは緩やかに暮らしにくくなっている」と感じ「『つくばなれ』の背景にあるのでは」と指摘する。

一方で、学生自身による、つくばならではの学生コミュニティを再構築しようという新たな動きが起こっていることに着目。4月のトークイベントでは、全国初の大学サッカー部ファンクラブ設立に向けたクラウドファンディングの取り組みをしている学生や、唯一残る平砂学生宿舎の銭湯を生かしてコミュニケーションの場をつくろうと挑戦している学生の取り組みを紹介した。

和田さん自らは、学生同士のつながりをつくる手法として県人会に着目。今年4月、自らツイッターで福井県出身の学生に呼び掛けて、福井県人会を再開させた取り組みを、トークイベントで紹介した。

「都内に住む学生と違ってつくばは深い人間関係が築けることが魅力」と話し、「筑波大生として市内でコミュニティ活性化を目指している学生を紹介し、つくばでの暮らしをもう一度考えて欲しかった」と和田さんは説明する。

そうした積極的な姿勢が評価され、現在は市役所や筑波大同窓会「茗渓会」から声がかかり、地域活性化に向けた協力もしている。茗渓会からは、各県にいる筑波大卒業生と、現在つくばにいる人たちをつなげて欲しいと相談がきたという。「コミュニティの輪をさらに広げ、つくばを離れて暮らす人にもつくばに興味を持ってもらいたい。たくさんの人と協力し、つくばのイメージアップにつなげたい」と話す。

「これからつくばでどう生きる?みんなで考えるつくばライフ」と題して4月21日開かれたトークイベント=同

元被告 桜井昌司さん つくばの上映会で訴え

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上映会のトークショーで話す布川事件元被告の桜井昌司さん㊨と金聖雄監督=つくば市竹園のカピオホール

【崎山勝功】冤罪事件の元被告たち5人の交流や日常生活を描いたドキュメンタリー映画「獄友(ごくとも)」のつくば上映会が18日、つくば市竹園のつくばカピオホールで開かれた。映画に登場した布川事件=メモ=元被告の桜井昌司さん(71)が参加し、警察による自白偏重の捜査活動を改めて批判した。

会場では桜井さんと、同映画を製作した金聖雄監督(54)とのトークショーが開かれた。桜井さんは自身の体験を元に「あの方たち(警察)は、逮捕状を得たら犯人と確信して、あとは『やった』と言わせるために(元被告たちを)殴っても蹴ってもいい、って昔は言われていた」と話した。さらに現在、東京地裁で審理中の国家賠償請求訴訟について触れ「裁判で警察がうそついちゃダメじゃん、裁判で検察庁が証拠隠ししちゃダメじゃんと言うだけ。裁判でうそをついた警察官を処罰する、裁判で証拠隠しをした検察官を処罰する法律を作らせたい」と訴えた。

桜井さんは、十数年前から茗渓学園(つくば市稲荷前)で高校1年生向けに冤罪についての講演を行っており「高校生には真剣に伝わっている」と感じるという。映画について「若い人も含めて、今の社会に迷ったり悩んだりしている人に見てほしいし、『今の日本がいい』と思っている人にも見てほしい」と呼び掛けた。

同上映会は日本国民救援会県本部が主催した。3月から水戸を皮切りに始まった「茨城縦断上映会」の一環で、県南地域では取手に次いで2カ所目。つくばでは昼・夜の部合わせて約130人が鑑賞した。同会の柴原充つくば支部事務局長は「映画にも登場する袴田事件=メモ=は、筑波大の先生が再審開始のDNA鑑定で関わっているので、筑波大でも茨城大でも上映してもらえれば」と話した。

映画製作元のキムーンフィルムでは自主上映会の開催を受け付けている。金監督は「県内の大学でも自主上映会をやってもらえれば。若い人にもぜひ見てほしい」と語った。

映画「獄友」のワンシーン。桜井昌司さん㊨が袴田事件元被告の袴田巌さんと将棋の対局をする場面(キムーンフィルム提供)

※メモ
【布川事件】1967年に利根町布川で起きた強盗殺人事件。桜井昌司さんと故・杉山卓男さん=2015年死去=が逮捕起訴され無期懲役判決を受けた。09年に再審開始。11年5月24日に水戸地裁土浦支部で無罪判決が確定した。現在桜井さんは県と国を相手取り国家賠償請求の裁判を東京地裁で行っている。

【袴田事件】1966年に静岡県清水市(現静岡市清水区)で発生した強盗殺人放火事件。裁判で死刑が確定していた元被告の袴田巌さんが冤罪を訴え、2014年に静岡地裁が死刑と拘束の執行停止、裁判の再審を命じる判決を出し仮釈放された。

野口聡一さんがつくば市長訪問 宇宙への持参品選定をお願い

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五十嵐立青市長に宇宙に持参する記念品の選定を依頼する野口聡一宇宙飛行士=つくば市役所

【崎山勝功】宇宙飛行士の野口聡一さん(53)が18日、つくば市役所を訪問し、五十嵐立青市長に宇宙に持参するつくばの記念品の選定を依頼した。野口さんは2019年終わりごろから、国際宇宙ステーション(ISS)のフライトエンジニアとして半年間宇宙に滞在する。宇宙に行くのは3度目。

野口さんは1996年に宇宙航空研究開発機構(JAXA)筑波宇宙センターがあるつくば市で暮らした。「つくば市民として街の発展を見てきた。ゆかりのある物を宇宙に持っていきたいというのは宇宙飛行士の願い。今までつくばの物を宇宙に持って行っていないことに気付いた」と、提案した理由を明かした。

市長との懇談で野口さんは「(米国の)ヒューストンに移る前はつくばに住んでいた」とつくばとの縁が深いことを強調。宇宙への持参品について「乾きもので、平べったいもので、潰せるもの」と条件を出した。

市科学技術振興課によると、宇宙に持っていく記念品にはほかに、重量100g以内などの諸条件があるという。市が候補を選定した上で、8月上旬ごろまでに野口さんと相談して決定する予定という。

五十嵐市長は「つくばも名産品があるので、選定していきたい」と述べた。

会場には市のマスコットキャラクター「フックン船長」が現われ、「野口宇宙飛行士、ぼくを宇宙に連れてってフク!」とのコメントを書いたプラカードを掲げていた。

「宇宙に連れてってフク!」と書かれたプラカードを掲げるフックン船長と、野口聡一宇宙飛行士(中央)、五十嵐立青市長㊨=同

シェーキーズ20日閉店 つくばセンタービル 35年の歴史惜しみ行列

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閉店を知り名残りを惜しんで入店を待つ人たち=つくばセンタービル1階のシェーキーズ筑波学園店前

【橋立多美】つくばセンタービル(つくば市吾妻)1階のレストラン街、アイアイモールにあるピザチェーン店「シェーキーズ筑波学園店」が20日に閉店する。同センタービルがオープンした1983年に開店し、35年間市民に親しまれてきた。西武筑波店、イオンつくば駅前店に続いて中心地区のにぎわいがまた一つ消える。同店前では、閉店を惜しむ人たちが連日行列をつくっている。

シェーキーズは関東を中心に23店舗を展開するピザチェーン。運営本部のアールアンドケーフードサービス(東京都世田谷区)によると、2014年頃から売り上げが下降傾向となり、近隣の商業施設の撤退もあり、やむなく撤退を決めたという。

閉店まで残り3日となった17日の正午過ぎ、40人以上が店の前で行列をつくり順番を待った。市内在住の40代の母親と娘2人は「寂しいし名残り惜しい」。60代の男女5人は「みんなピザ好きで土浦から誘い合って来ていた。これからどうしよう」と話した。牛久在住の49歳の男性は「当時通っていた牛久高校の期末試験が終わると、友人と50ccのバイクで来るのが決まりだった。青春時代の1ページが終わる」。精算を済ませた40代の男性は「今日も変わらずおいしかった」と話した。

4割が空き店舗に

同店はアイアイモールの核店舗の一つ。同モールがあるセンタービルは、建築家、磯崎新の代表作として知られ、コンサートホールや交流センター、ホテルなどの都心機能を併せもつ施設として建設された。

つくばセンタービルを運営している筑波都市整備(同市竹園)によれば、同モールは12区画あるが、同店が閉店することで4割の5区画が空くことになるという。

センタービルオープンに次いで、科学万博が開かれた85年に大型商業施設クレオが誕生した当時は、同モールとクレオを結ぶ平坦な歩道があった。市内外から集まった多くの買い物客は回遊してショッピングを楽しむことができた。

その後94年に歩道がなくなり、クレオと分断された格好になった。さらに2009年に常陽銀行、翌年関東銀行(現筑波銀行)が撤退し、モールの活気が徐々に失われていったという。総務部長の糸賀徹さんは、2銀行が撤退した頃にはオープン当初の来館者数の半分以下になっていたと振り返る。

小林睦営業部長は「シェーキーズは固定客が多くモールの核だっただけに、撤退は痛手」と話す。つくばエクスプレス(TX)開業や周辺に大型商業施設ができたこと、市庁舎が研究学園地区にできたなど社会的背景が変わってセンター機能が失われたとした上で、「人気店の撤退を機に、文化と科学が集積するセンター地区で求められる機能は何かを追求していきたい」とした。

「中心地が疲弊し厳しい状況だと分かっている」と語ったのは、つくばセンター地区活性化協議会事務局長の稲葉祐樹さんだ。中央広場を囲むセンタービル1階のモールは階段で2階のペデストリアンデッキに通じるが、ベビーカーを押す人や高齢者などはビル内のエレベーターに乗るという動線上の問題がある。稲葉さんは「磯崎新の設計を変えず、どう使いやすい施設にするかが課題」と話した。

つくばセンタービル中央広場