木曜日, 5月 14, 2026
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児童扶養手当を過少に支給 つくば市 1165人に計153万円

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つくば市役所

ひとり親家庭などに支給される児童扶養手当について、つくば市は13日、4月分から全国消費者物価指数の上昇に応じて手当額が3.2%引き上げとなったにもかかわらず、引き上げ分を加算せず、本来の金額よりも過少に支給してしまったと発表した。

市こども政策課によると、支給対象保護者約1200人のうち1165人に対し、4月引き上げ分の合計153万8650円を加算せず過少に支給した。過少だった分は保護者1人当たり330円~2640円になるという。

3月と4月の2カ月分を5月11日に対象者に振り込んだところ、複数から市に問い合わせがあり分かった。市は4月分から支給額が変更になることについて4月下旬にあらかじめ対象者に通知を出していた、

同課によると、支給額を変更した上で対象者の口座に振り込む手続きをシステム上で行う際、担当者がシステム処理の手順を誤ったのが原因という。一方、新たに支給対象となった36人については、支給額を変更する操作を実施した後に振り込み手続きをしたため、誤りはなかった。

不足額について同課は、対象者1165人に謝罪の通知を出した上で、5月末までに不足額を振り込むとしている。

再発防止策として、制度の変更については部署内で細心の注意を払うと共に、管理職が必ず確認を行うことを徹底するとしている。

がんに対する構え、対処・治療方法《ハチドリ暮らし》61

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写真は筆者

【コラム・山口京子】がん関連の本をあれこれ読みつつ、書き手によって、がんに対するまなざしが随分違うと感じます。それによって、がんに対する構え、対処方法、治療方法などが変わってきます。どれが正解かはわかりません。参考にしつつ、そこから自分はどういう教訓を得ればいいのか考えます。

1人1人身体の状況も、がんの種類も進行度も異なります。それを無視して、一つの言説を信じ込んでしまったら、後で後悔することになるでしょう。がんと診断されて、治療するのか、しないのか。治療も標準治療なのか、それ以外の治療なのか。調べるほど選択肢が広がり、迷うことが多くなります。

がん治療には、3つの目的があると言われています。根治、延命、緩和です。標準治療(手術・放射線・抗がん剤)がスタンダードですが、それらは対処療法だという指摘があります。標準治療で時間稼ぎをしながら、自助努力し、自己免疫力を高め、体力・体重の維持を意識することが大事だという医師の言葉に出会いました。

どのみち、人生は有限です。自分のできることをして、あとは運にまかせる、開き直りもありだ、とも思います。

がんによる死亡というとき、がん自体で死亡するより、栄養失調、臓器機能不全、免疫機能不全による感染症などで死亡することが多いようです。進行の早い末期がんと診断された私の場合、治療をしないという選択をしたら、臓器の機能不全による腸閉塞や腹水などに苦しめられたでしょう。

生き抜くぞ! いつでも死ねるぞ!

対処療法と言われても、抗がん剤治療をしてよかった、と思います。それによって、がんの進行が抑制され、臓器の機能不全も抑えられ、体力が維持でき、日常生活ができ、延命にもつながっている、と。

ただ、抗がん剤もいずれ効かなくなる時期がきます。そのときにどうするのか。二番手、三番手の薬があるそうですが、効果はだんだん小さくなるようです。体力や副作用の程度を踏まえながら、治療の止め時を決めることになるでしょう。

がん患者本人がすることとして、心を定めること、食事を改めること、睡眠確保や運動習慣など、多くの本は生活全体の見直しを勧めていました。治療と並行して、生活全体の改善も行うことが、延命や緩和のヒントになるような…。ある本は「生き抜くぞ、いつでも死ねるぞ」という気持ちを持つことが大事と言っていました。そうかもしれませんが、どうなることやら…。(消費生活アドバイザー)

過去最高益に 筑波銀行26年3月期決算

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2026年3月期決算を発表する生田頭取=つくば市竹園、筑波銀行本部

筑波銀行(本店・土浦市、生田雅彦頭取)は12日、2026年3月期(25年4月-26年3月)決算を発表した。金利の上昇や貸し倒れに備える与信関係費用の減少などから、当期純利益は単体で過去最高の65億円(前期比25億円、62.4%増)となった。

売上高に当たる経常収益は単体で前期比91億円(22.2%)増の500億円と、こちらも過去最高の増収となった。経常利益は同比29億円(66.6%)増の73億円。

銀行の本業によって得られる業務粗利益は、国内債券の損切り実施に伴い国債などの債権売却損が増加した一方、金利の上昇や与信関係費用の減少などにより単体で前期比2億円減の278億円となり、本業で稼いだ利益のコア業務純利益は前期比30億円増と過去最高の99億円となった。

貸出金の状況は、前年度末比911億円増の2兆2071億円で、住宅ローンなど個人ローンや中小企業への貸出が増加したことが主な要因となった。生田頭取は住宅ローンの増加について「TX沿線を中心に、東京に比べ、地価が安く購入しやすい価格帯にあり、比較的伸びている」とし、中小企業については「県南を中心に資金需要があり、『とことん支援』をうたい、ひざ詰めできめ細かく対応している」成果だと強調した。

預金・預かり資産の状況については、投資信託や生命保険などの預かり資産が増加したのに対し、預金は、茨城県が最も高い金利を提示した金融機関に定期預金などを預け入れる入札制を導入したなどから、公金預金が減少し、預金・預かり資産の合計は2兆9803億円になった。

一方、地域経済については、ホルムズ海峡封鎖など中東情勢の地域経済への影響について生田頭取は「足元では影響はほぼ出てないに等しいが、今後影響が出るであろうと思っている経営者の方たち結構な比率でいる。不安を抱えているお客様はいらっしゃるので、これについてはさまざまな支援を用意している」と話し、「心配ごとは中東情勢だけではない。そもそもモノが高くなり、人繰りで人がいなくて仕事が行きつかないなどがある。我々もいろいろな情報をキャッチしながら、ひざ詰めでやりたい」と話した。(鈴木宏子)

イチジクなんちゅうのは…《続・平熱日記》192

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絵は筆者

【コラム・斉藤裕之】毎年のように描いているもの。ナツツバキ、ドクダミ、クズの花、お茶の花…、そしてイチジク。「イチジクなんちゅうのは、家の周りのどこにでもあって、買ってまで食べるもんじゃない…」というのが私の正直なイチジク観。ところがカミさんはイチジクが好物で季節になると買ってくる。好きなものに文句も言えず、私はイチジクを描くことはあっても一度も口にすることがなかった。

夏のある日、近所の方から大変立派なイチジクをもらった。半分に割ったら鮮やかな赤い色が見えて、まずは絵を描いた。そしてガブリといってみた。とてもおいしかった。なぜ今までこれを食べなかったのか。

そんなことを知ってか知らずか、次女がイチジクの苗を買ってきた。イチジクが果物の中で一番好きだと言う。へー、初耳。しかし困った。次女は想像だにしていないだろう。イチジクがどれだけ奔放に枝葉を延ばすことかを。我が家のような住宅地では地植えは諦めるしかない。

とりあえず、大きめの鉢に植えて様子を見ることにしたが、春が近づくとイチジクにきれいな緑の葉が生え始めた。結局、山口の弟の家の敷地に植えることにした。

ロンドンの美術館は無料

春、山口滞在中に、ロンドンに赴任している姪(めい)夫婦が一時帰国した。母親はおいしい料理を作り、父親は異国の土産話を肴(さかな)に酒を飲む。「最近、絵を習い始めたんです…」と話すのは、休職して姪に帯同している義理の甥(おい)。美術とは全く無縁だった彼が最近絵を描き始めたと言う。きっかけは美術館なんだと。

なんと、ロンドンの美術館は誰でも無料で入れると言う。今や日本の美術館博物館には稼ぐノルマが課せられている。なんでもコスパ? そもそも芸術はその対極にあるものなのに…。文化の裾野を広げるには北風と太陽どっちが良策?

散歩がてら幾度も美術館に赴くうちに絵に興味が湧いてきて、とうとうデッサンの講座に通い始めたとのこと。描き始めたデッサンの画像を見せてくれたが、悪くない。その夜は彼とデッサンのことや好きな画家、ヨーロッパの美術館などについて楽しく語らった。

大きな実をつけますように

さて、イチジクは漢字で無花果と書くが、花は実の中にあるらしい。つまり私が描いたり食べたりしているあの赤いツブツブの正体は花。自らの内に花を咲かせるなんて、ちょっと粋なイチジクだが、アダムとイブが最初に身に着けたのがイチジクの葉だったり、西洋ではさまざまな逸話に登場する象徴的な果実で、豊かさや知識の象徴とされることもある。

そういえば、南仏の山間で道端に生えているイチジクをもいで食べさせられたな。日本のものより青く小さかったが、見た目と違って甘く柔らかだったのを思い出した。

桜の咲くころ「大きな実をつけますように」と、いい場所を選んでイチジクの苗を地植えにした。何年かたって次女が忘れたころに、このイチジクの実を食べさせてやろう。あとは「弟が草刈り機で雑草と一緒に刈り取ってしまいませんように…」(画家)

U-23日本代表の大岩監督 つくばのサッカー少年を激励

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あいさつの大切さを伝えるU-23日本代表監督の大岩さん(左)=撮影/高橋浩一

つくば市スポーツ少年団サッカー部が主催するU-10(小学4年以下)世代の少年サッカー大会「セキショウチャレンジシリーズJC(ジュニアチャレンジ)カップU-10サッカー大会2026」が10日、つくば市山木のセキショウ・チャレンジスタジアムで開かれ、市内のクラブチーム、レジスタレッドが優勝した。表彰式ではU-23サッカー日本代表監督の大岩剛さんがプレゼンターを務め、つくばのサッカー少年たちを激励した。

セキショウチャレンジシリーズJCカップU-10サッカー大会2026 決勝
レジスタレッド 2-1 レジスタネイビー
前半 0-0
後半 2-1

決勝戦の様子。赤のユニフォームがレジスタネイビー、茶がレジスタレッド

今大会には20チームが参加、決勝戦には同じFCレジスタつくばから、レッドとネイビーの2チームが勝ち上がった。「同じクラブの仲間であり学年も同じ4年生。互いに負けられない気持ちで決勝に臨んだ」とレッドの杉山亮太監督。

前半は一歩も引かない戦いぶりで両者とも無得点。試合が動いたのは後半1分、レッドの佐藤劉佑さんのミドルシュートだ。ゴール前の混戦からバックパスを受け、「ワンタッチでうまくコントロールし、強いシュートを打つことができた」と佐藤さんの振り返り。「ふかさず、抑えの利いた良いシュートだった」と杉山監督。

決勝戦の様子

ネイビーも負けてはいない。後半2分、柏崎蒼さんがレッド守備陣の横パスをカットしてゴール。ゲームは1-1の振り出しに戻った。すると後半3分、今度はレッドの秀島綾汰さんがパスを奪ってゴールを決めた。「落ち着いてきれいに流し込んだ。DFだが球際でファイトするスタイルが前線で生きた」と杉山監督。

その後はレッドが攻勢を強めるが、ネイビーのGK山本透璃さんが好セーブを連発、互いに追加点を許さないまま試合終了。「優勝を狙っていたので勝ててうれしい。予選からずっと無失点を続けてきたが、最後に1失点してしまった。もっと頑張れたと思う。今日できなかったことを今後に生かしたい」とレッドの坂野一心主将のコメント。

大岩さんからプレゼントを受け取る優秀選手ら

選手である前に素晴らしい人に

表彰式では、2年後のロサンゼルスオリンピックを目指すサッカーU-23日本代表監督の大岩剛さんが、優勝チームおよび各チームの優秀選手に賞品を授与し、「みんなも将来、Jリーグの選手や日本代表を目指すなら、選手である前に素晴らしい人であってください。あいさつができる、感謝の気持ちが持てる、自分のことは自分でできるなど。4年生なら自己紹介もできるようになってほしい。サッカーは自分の得意なことや、相手の嫌がることなど、プレーを通じて自己表現するスポーツ。いい選手になるにはそういうことも考えてください」とアドバイスした。

同大会は、試合出場の機会が限られるU-10世代にチャレンジ精神を発揮し勝利を目指してもらおうと開催されている。関彰商事は2017年から大会に協賛し、大岩さんが同社のスポーツアドバイザーを務めている縁から、子どもたちとの交流の機会が設けられている。(池田充雄)

手応えある勝利 つくばFCレディース 前期ホーム最終戦終え4位

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前半25分、2点目のシュートを放つつくばFCレディースの金子(青いユニフォーム)=撮影/高橋浩一

関東女子サッカーリーグ1部のつくばFCレディースは10日、つくば市山木のセキショウチャレンジスタジアムで前期ホーム最終戦を行い、FC十文字(本拠地・東京都豊島区)に4-2で勝利した。これでつくばは第3節以来の連敗を3で止め、通算成績3勝3敗とし、順位は8チーム中4位に上昇した。次節は17日、甲府市の山梨学院向町サッカー場で山梨学院レッドサンダーズと対戦する。

第32回関東女子サッカーリーグ1部 前期第6節(5月10日、セキショウチャレンジスタジアム)
つくばFCレディース 4-2 FC十文字
前半3-0
後半1-2

前半23分、横パスで佐藤の先制点をアシストした坪井

つくばは前線からの連動したプレスと流動的なポジショニングでボールを保持し、体格で勝る相手を勢いづかせなかった。「前節までの引き気味で守るスタイルから変え、FWを中心に前からがんがん行くことで良い流れをつくれた」とDF野口ひかり。「ビルドアップ(攻撃の構築)を整理したことでボールを握る時間帯が増え、ゴール前に人数が入り込めたことが勝因。これをチームとして磨き上げていきたい」と志賀みう監督。

先制は前半23分。右サイド深くでパスを受けたMF坪井茉凛が、相手GKと向き合った状態から横パスを選択、これにFW佐藤美緒が合わせた。「中に自分しかいない状況なので絶対に決めるしかない。相手DFとの駆け引きで一歩ずらして、グラウンダーのクロスに先に触れた」と佐藤の振り返り。

前半23分、得点に喜ぶ佐藤(右から2人目)

このゴールが呼び水になったか、2分後の前半25分には早くも追加点。前線でこぼれ球を拾ったFW金子結愛来が、相手DFを一人交わしてゴール右角へ突き刺した。新入団の金子はこれが初先発で初ゴール。「練習の成果が出てよかった。FWの役割を果たすことができた」と喜び、「もっと決められる場面はあったので、それが課題」と反省も語った。

3点目は前半38分。コーナーキックからDF津田穂乃香が放ったヘディングシュートはバーに嫌われたが、跳ね返りに野口が合わせた。野口はつくばで2年目だがこれが初ゴール。「連敗していたのでどんな内容でも勝ちたかった。セットプレーからの得点がなかったので、自分が決められてよかった」と笑顔を見せた。

後半26分、単独突破できる強さを見せる中村

後半29分にはだめ押しの4点目。DF打桐菜海が敵陣で中へ切れ込みながら放ったクロスに、走り込んだMF中村真奈がダイレクトで合わせた。「打桐は守備ラインとGKの間に入れるのが得意なので、来ると思って飛び込んだ」と中村。この日はベンチスタートだったが、途中出場でも流れを変えるプレーができることを証明した。

後半アディショナルタイムに2失点を喫したが、これは積極的なメンバー交代など先を見据えてトライした結果といえる。「母の日なので、お母さん方に力を与える試合をしたいと思った。もっと強い相手にも落ち着いて自分たちのサッカーができるよう、日々の強度を上げてトライしていきたい」と志賀監督は前を見据える。(池田充雄)

4試合ぶりの勝利を得たつくばFCレディースの選手たち

耕作放棄地を宝の山に《邑から日本を見る》194

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総会会場の装飾を背に石川会長(右)と長山豊明部会長

【コラム・先﨑千尋】明るい話題が少ない中山間地の農村と農業。しかし、「ここは違う」というところを見つけた。茨城県北部で花材として欠かせない枝物栽培に楽しく取り組んでいる集団があった。その名は、常陸農協奥久慈枝物部会だ。エリアは常陸大宮市、大子町、常陸太田市、那珂市。2025年には、地域の活性化とさまざまな取り組みが評価され、「日本農業賞大賞」を受賞している。

県農協中央会常務だった石川幸太郎さんは、山間部である常陸大宮市那賀(旧緒川村)に住んでいる。26年前、「年金プラスアルファの収入を枝物で稼ごう。耕作放棄地を再生し、宝の山にしよう」と考え、20アールの畑にハナモモを植え、枝物の生産を始めた。2005年に9人の仲間と当時の茨城みどり農協で枝物部会を立ち上げ、「部会員100人、栽培面積100ヘクタール、売り上げ1億円」の目標を掲げた。

売り上げは2018年に1億円を突破した。現在、部会員は150人を超え、販売金額も2億5000万円を超えている。

石川さんは、年金生活者が自分や孫にあげる小遣いを稼ぐための仕事として思いついた。枝物は花材としての需要があり、特殊な栽培技術が要らない。荒地での栽培が可能だし、他の農産物と違い出荷時期の調整も容易で、天候にも左右されない。とにかく地域を元気にしたいと考えた。今では会員は皆「枝物栽培が楽しい」と言い、部会を辞めたいという人は1人もいない、と楽しそうに話す。現在、同部会の会長を務めている。

石川さんがハナモモを選んだのは、当時つき合いがあった青柳フラワー(ひたちなか市)の笹川茂社長の勧めがあったから。今では年に17万束(5~6本で1束)を出荷し、枝物促成施設と貯蔵施設を持つ。一元管理による高品質のハナモモは、市場から高い評価を受けている。

花桃出荷作業の様子(常陸農協提供)

250種類以上の枝物を全国出荷

現在では、主力のハナモモのほかに、奥久慈桜や染柳、夏ハゼ、ヒメリョウブ、七夕笹など250種類以上の枝物を全国に出荷している。多品種少量生産だ。ハナモモは3月3日のひな祭りに向けて1月から2月に枝切りをし、促成温室で加温して花芽の膨らみ具合をそろえ、注文に応じて出荷する。作業は部会員が共同で行っているので、部会の強い結束が原動力になっている。

同部会の現況は、部会員が160人、販売額2億5000万円超、栽培面積80ヘクタール。生産者は定年帰農者の60代以上が75%を占めている。トップの生産者は5ヘクタールを栽培し、販売額は2000万円に達している。部会員1人平均で160万円を超しており、小遣い以上の収入が得られ、プラスアルファ以上になっている。

部会には若手生産者の「ヤング・ファーマーズ」という青年部組織があり、30~40代の9人が技術の研鑽(けんさん)と新しい品目や技術の情報収集などに当たっている。さらに装飾部もあり、各種イベントの会場の飾りつけを行っている。2023年の「G7茨城水戸内務・安全担当大臣会合」の会場では、季節外れの桜をメーンに飾りつけを行い、参加者は「オー、ワンダフル」と歓声の声を上げていた。

同部会は地域貢献活動も活発に行っている。「全国高校生花いけバトル」出場校への支援や、地元小学生たちへの花いけ支援、福島県浪江町への枝物苗の無償提供、植え付け支援などの復興支援、ウクライナ難民支援など。(元瓜連町長)

教師に必要な「臨床知」《竹林亭日乗》40

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井戸川の筑真橋から見た筑波山(写真は筆者)

【コラム・片岡英明】教師の基礎力とは何だろうか。日常的な現場から自分の頭で考え、指導を組み立てる力量である。教育は教師が授業やHR(ホームルーム)で指導方針を持つことから始まる。

すると、職員室では二つの流れが生まれる。一つは、教師が方針を持った指導の中で生まれる思いがけない事態にも、「そうきたか」と柔軟に対応できる教師。もう一つは指導方針を持ったため、かえって予想外の事態が見え、計画通りに進めようとイライラする教師である。

指導方針を持つ教師のこの違いはどこから生まれるのか、長い間の疑問であったが、その違いがいわゆる教師の「臨床知」への姿勢に由来すると分かった。

授業の指導方針が立てられず、ヒット1本を求めて暗中模索の段階の実践をステップ1、方針を持った実践をステップ2、授業の方針を持った教師が出会う予想外の困難な場面の指導をステップ3―とする。

今までは、ステップ3の実践は臨機応変で柔軟な指導力の問題だと一般化して考えてきたが、最近その指導の構えのヒントとなる本に出会った。今回はその内容を紹介し、教師の応援のためステップ3の指導について考えたい。

臨床思考の問題解決

「東京大学で考える臨床思考の問題解決」(須藤修監修、ダイヤモンド社、2026年2月発行)を読んで、指導方針を持った教員の現場で出会う課題は、この本で取り上げた臨床知が必要な場面であると感じた。

本書は、最近のマルチモーダル(多様な情報を処理できる)AIが、人間の創造性にからむレベルに達しているという、最先端の研究者の危機感から生まれた。AIに覆われている現在の人間に必要な第2の知性を、個性的な講演者の創造性から学び取るという発想で、各分野の最先端の11人の講演と討論の報告書である。

姜尚中氏の「臨床の知の可能性と向き合うべき課題」や、盲ろうの大学教授福島智氏の「格差・教養・多様性をめぐるアンコンシャス・バイアスを考える」など、いくつかの分野を極めている方が、その先端部分を語り、現代に必要な臨床知を検討した。

その講演と討論内容は驚くことに、AIの広がりで生まれた人間社会の危機感を、AIについては何も語らず、第一線の学者・芸術家・宗教家などの、極めて人間臭い一人ひとりの体験から臨床知を探った。この点で一読の価値がある。

勘と経験知では限界

授業で指導案を持った教師が出会う予想外の事態への対応力は、今までは臨機応変で柔軟な指導力という一般的な経験知の問題とされてきた。しかし、経験知では現在の多発している教師が抱える予想外の事態には対応できない。

これは勘と経験だけでなく、研究的な場面である。まず、直面した困難な事態が臨床知を深める場面であるとテーマ化し、ステップ3の実践を記録してほしい。そこから教師が臨床知を学び取ってほしい。この臨床知を教師の学びのテーマに設定すれば、教師は自分の出会う授業やHRだけでなく、学年や魅力ある学校づくりにも、この視点を生かすことができると考える。(元高校教師、つくば市の小中学生の高校進学を考える会代表)

不同意わいせつ罪確定の消防士が失職 つくば市

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つくば市役所

つくば市消防本部の男性消防副士長(27)が当直勤務中、20代の女性消防士にわいせつな行為をしたとして不同意わいせつ罪で起訴された事件で(25年2月20日付同3月28日付)、つくば市は7日、消防副士長に対する有罪が確定し、地方公務員法に基づき消防副士長は同日付で失職となったと発表した。

消防副士長は2024年10月24日午前2時ごろ、市内の消防施設で、当直勤務中の女性消防士にわいせつな行為をした疑いで25年2月20に不同意わいせつの疑いで逮捕、同年3月12日に起訴された。市は3月27日から消防副士長を休職処分としていた。

発表によると、今年4月22日に東京高裁で控訴が棄却され、5月7日に不同意わいせつ罪で懲役2年、執行猶予5年の有罪が確定し、地方公務員法に基づき失職となった。

市は管理監督責任があったとして5月7日付けで、当時の消防長と所属を担当する当時の消防次長をそれぞれ厳重注意、当時の所属長を訓告処分とした。

松岡幹夫市消防長は「当該職員の行為は決して許されるものではなく、市民の皆様に心から深くお詫びします。今後も引き続き綱紀粛正に努め、再発防止に向けた改善に取り組みます」などとするコメントを発表した。

初夏からは高原が私の遊び場《鳥撮り三昧》13

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オオルリ(筆者撮影)

【コラム・海老原信一】4月下旬から5月初めになると、鳥撮りのための車中泊が本格的に始まる。やって来る夏鳥たちに会いに行くのが主な目的だ。時間に縛られない車中泊の気軽さも味わえる。野鳥たちを見るには早朝の活動開始になるので、どうしても車中泊が必要になる。

その相棒となる車は登録33年目で、走行距離は地球10周分の40万キロメートル。どちらが先にダウンするかね?などと話しかけながら、ハンドルを握る。よい相棒に巡り会えた幸運をかみしめながら、ドライブはもう少し続く?

くちばしで木の幹を突く音

まずは裏磐梯。ここから始まる高原通いは20年弱になる。裏磐梯にはこれほどの鳥たちがいたのかと驚き、時間を忘れて見続けていた日々。1羽見ることができたら、すごい出会いだと思っていたオオルリ(上の写真)も、複数がさえずりを聞かせてくれた。

キビタキは、ブンブンと羽音を立て相手を脅す様子を目の前で見せてくれた。アカゲラ、オオアカゲラ、アオゲラなどのキツツキが、鋭いくちばしで木の幹を突く音を樹木林に響かせると、それだけで幸せな気分になる。

クロツグミ、コサメビタキ、コムクドリ、イワツバメ、ヒレンジャク、サンショウクイ、トラツグミ、オオヨシキリ、ノジコ、オオジシギ、ルリビタキやベニマシコ、ノビタキ、ウグイス、シジュウカラ、ホオジロ、コゲラ、エナガ。

そして水の上には、マガモ、カルガモ、コガモ、オシドリ、サギ、バン、オオバン。ジージーと虫のような声で鳴くヤブサメとの出会いも楽しくて仕方がない。

かなりくたびれてきた相棒

裏磐梯通いも、ここ数年、オオルリ、キビタキ、ヤブサメなどは個体数が少なくなったように思う。オオジシギやノジコは見られなくなった。湿地環境の変化が原因のようだ。オオヨシキリが観察できたヨシ原は乾燥化して消えてしまった。オオジシギも湿地の減少とともに姿が見えなった。

鳥たちの変化を湿地環境要因だけで説明するのは単純すぎるとは思うが、地球規模で見ていかないと、こういった変化の理由が説明できないような気がする。相棒の車と私、可能な限り通い続け、繰り広げられる野鳥たちの命のきらめきと、彼らを取り巻く生息地のあり様を見続けたい。気がかりなのは、かなりくたびれてきた相棒のことだ。この後、どのぐらい頑張ってくれるかは見当がつかない。(写真家)

「仕事も競技も全力で」アスリート社員らが抱負 関彰商事入社式

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抱負を語った新入アスリート社員の(左から)辻さんと先本さん

筑波大出身の2選手

関彰商事およびセキショウグループ(本社筑西市・つくば市、関正樹社長)の2026年度新入社員入社式が8日、つくば市竹園のつくば国際会議場で催された。式の後半では「セキショウスポーツ活動紹介」と題し、同グループで働きながら競技に励むアスリート社員や部活動所属者らが登壇、目標などを発表した。

今年度新卒で入社したアスリート社員の一人が、総務部総務課の先本貴一朗さん。昨年度の日本陸上競技選手権リレー競技では4×100m種目で筑波大チームのアンカーを務め、チームは38秒72の大会新で優勝した。「競技面での目標は日本選手権で100m決勝の舞台に立つこと。仕事も競技も両立しながら、何事にも全力で取り組んでいきたい」と意欲を見せた。

アスリート・部活動社員らの活動紹介

もう一人の新入社員が、ヒューマンケア部マネジメント統括マネジメント課の辻ななるさん。女子柔道70kg級の選手でやはり筑波大出身。昨年度は関東学生体重別選手権で優勝するなど顕著な成績を残してきた。「競技では世界選手権やオリンピックにつながるような選手になりたい。まだまだ未熟だが、持ち前の明るさや行動力で仕事面でも頑張っていきたい」と述べた。

野球部門では、かつて大リーグ・ボストンレッドソックスなどで活躍した田澤純一さんがアドバイザーに就任したことも発表された。田澤さんはビデオメッセージで「皆さんもこれから新しい環境で一歩を踏み出すところだと思います。私たちと共に新しい価値を作っていきましょう」と新入社員へエールを送った。

新入社員64人に辞令

関社長から辞令を受け取る新入社員ら

同社とグループの今年度の新入社員は大卒30人、専門学校卒14人、高卒20人の計64人。ほかに過去半年間のキャリア採用者40人やアスリート社員、幹部社員らも加え、総勢187人の出席により式は執り行われた。

式典では、4月の入社以来1カ月間の研修を終えた新入社員一人一人が、関社長から辞令を交付された後、代表者4人が研修の成果などを発表した。アドバンス・カーライフサービスアドバンスセルフ荒川本郷店に配属された石丸峻さんは「研修では正しい言葉遣いや身だしなみ、立ち居振る舞いなどの基礎を学んだ。これらはお客様第一に行動する土台であり、配属に向けて意識が高まった」と話した。

セキショウホンダ郡山朝日店の三輪和摩さんは「セキショウグループの一員として地域に貢献し、お客様から信頼される整備士になりたい」、ビジネストランスフォーメーション部水戸支店の牧玲奈さんは「お客様一人一人の想いやニーズを引き出せるようなコミュニケーションを身に付けたい」、セキショウモバイルソフトバンク境の鈴木小晴さんは「日々の勉強を怠らず、お客様のニーズに合わせた提案ができるようになりたい」とそれぞれ抱負を語った。

研修成果発表で登壇した(左から)鈴木さん、牧さん、三輪さん、石丸さん

式辞では関社長が「働くセクションやグループは違っても、私たちには仕事を通じて全員が大切にしなくてはならない共通の使命がある。それは何よりもまず、自分自身と自分の大事な人を守るということ。そして自分自身や家族を守るのと同じように、お客様や自分以外の人たちも大切にしていただきたい。お客様の抱えている悩みや課題を共有し、仲間や他の部門とも連携しながら解決に導くと共に、お客様が思い描いている理想の姿を一緒に実現することが私たちの使命。そこに皆さん個人の意志がきちんとミックスできるような会社の雰囲気を作っていきたい」とあいさつした。(池田充雄)

新入社員と役員らによる記念撮影

「全員で戦えた」 知的障害者バスケ大会 つくばで県内初開催

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相手チームに切り込むつくばスマイルキャプテンの會澤心さん(中央の黄色いユニフォーム)

地元のつくばスマイルは準優勝

茨城県内で初となる知的障害者バスケットボール大会「スマイルカップ イン つくば」が6日、つくば市竹園のつくばカピオで開かれた(4月23日付)。地元のつくばスマイルは準優勝。キャプテンの會澤心さん(24)は試合後、涙を浮かべながら「やり切った気持ちはあるが課題も残った。地元開催で応援に来てくれた人たちに優勝を届けたかった。来年は一人一人が課題を克服し、またこの舞台で優勝したい」と悔しさを滲ませた。遠藤裕監督(42)は「試合の中でミスを修正しきれなかったのが敗因。ただ、ベンチを含め全員で戦えた。さらに伸びるチーム」と振り返った。

茨城パラスポーツ協会(朝日省一事務局長)が主催した。開催に向けて活動してきた県内唯一の知的障害者バスケットボールチーム「スマイル」代表で、茨城FIDバスケット連盟代表の福原美紀さん(54)らが中心となり実現した。

スマイル育成チームの子どもと入場するキャプテンの會澤心さん(右)

トーナメント方式の「チャンピオンシップ部門」には、昨年の神奈川県大会優勝チームAST、千葉のビッグスリー、栃木のFID栃木など関東各地の強豪チームが出場した。つくばスマイルは的確なパスで攻撃を組み立て、体格で勝る相手にも果敢に挑んだ。1回戦は、つくばスマイルが千葉ビッグスリーを93対61で破り、ASTがFID栃木を71対48で下した。決勝では、つくばスマイルが粘り強く攻めたものの62対85でASTに敗れ、準優勝となった。

競技経験の浅い選手や福祉施設利用者らが参加した「フレンドリーシップ部門」も実施され、ボールを持っての移動を認めるなどルールを柔軟に運用し、全員がボールに触れシュートできるよう配慮された試合が行われた。市内外から4つの福祉事業所のほか、知的障害のある子どもも所属するつくば市のチアリーディングチーム「フェニックス」、スマイルの育成チームも参加した。

演技を披露するフェニックスのメンバーたち

障害者の余暇活動に取り組むシャンティつくばのOB・OGチームで参加した下条真生さん(22)は「バスケをしたのは高校の授業以来。試合形式ではなかなかやる機会がないので、とても楽しかった」と話し、同チームの長沼徹さん(42)は「中学生の時にバスケ部だった。40代になって体力的にはきつかったが、また楽しみたい」と笑顔を浮かべた。スマイルで活動する小学5年の鈴木城二さん(10)は「バスケが好きなので、試合に出られてうれしかった。学校の先生にも今日のことを教えたいし、頑張ってもっと上手くなりたい」と目を輝かせた。

ドリブルをする鈴木城二さん

会場では試合の合間にチアチーム・フェニックスの演技や、車いすバスケットボールの交流試合も実施された。つくばの車いすバスケチーム「つくばストリックス」と日本選手権優勝経験を持つ東京ファイターズが対戦し、観客を沸かせた。ストリックスには車いすバスケ女子日本代表の郡司渚名さんや、アジアユースパラ大会でパワーリフティング日本代表経験のある土浦日大高生の飯沼世名さんが所属し、この日もプレーした。

車いすバスケ女子日本代表の郡司渚名さん(中央)

人間的にも成長

福原さんは「障害のある人だけでなく多くの人に見てもらえたことは大きい。県内にはまだ知的障害者のチームが少なく、小学生から大人まで同じチームでプレーしている状況。チームが増えれば自分に合った環境を選べるようになるし、もっとバスケを楽しめる。大会はその第一歩」と語り、「スマイルの選手自身、これまでにも他県での大会参加を通じてレベルアップしていったし、バスケを通じて県外に友達が増えて人間的にも成長するのを肌で感じてきた。来年以降も大会を続けていき、将来的には海外チームの招待も目指したい」と展望を示した。

入場する選手を迎える福原美紀さん

五十嵐立青つくば市長は「関東各地からの参加は非常にうれしい。障害の有無に関わらずスポーツを楽しめる環境づくりが重要で、行政としても支援を考えていきたい」と述べた。

また、茨城パラスポーツ協会の朝日事務局長は「大会を毎年継続し、チーム数の拡大や他競技との連携も進めたい。県内では個人で活動する選手も多く、競技団体が連携する場としても意義がある。大会や体験会を通じてパラスポーツの魅力をさらに発信していきたい」と話した。(柴田大輔)

筑波大生ら メーデー行動で「学生宿舎値上げ反対」訴え

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茨城アンダークラスメーデーのデモ行進の様子=5日、つくば駅前

大きな労働組合に属さない非正規労働者や生活困窮者など幅広い人々を対象にしたメーデー行動「茨城アンダークラスメーデー」(同メーデー実行委員会主催)が5日、つくば駅前のつくば市民活動センター・コリドイオなどで開かれ、集会で筑波大学の学生らが、現在学内で問題となっている「学生宿舎の宿舎料値上げの撤回」を訴えた(3月11日付同18日付)。

集会では、学生組織「筑波大学学生宿舎宿料増額の撤回を求める会」メンバーの筑波大生が、同会代表を務める大学院生のメッセージを読み上げた。

代表の大学院生は現在、学生宿舎に住んでいる。家庭の事情で父親と2人家族となったという大学院生は、筑波大に合格した後「高校卒業までに残された時間を使って取り組んだのは金策でした」といい、日本学生支援機構や民間の奨学金制度を利用することを決め、親からの仕送りなしで学業を継続できるようにしたとした。大学院生は、授業料免除のほかに、月数万円の生活費も支給され、学費の懸念が解消されたが、生活費の不安から学生宿舎へ入居を決めたという。

「私にとって学生宿舎は大学で勉強を続けながら生活するための前提条件。私の知人にとっても、宿舎の魅力は安さ。経済的メリットこそが宿舎の意義」と、低額な宿舎料のおかげで大学で学ぶことができたと訴えた。

その上で大学院生は「特に問題なのは、この値上げが学生に与える影響に対する大学側の無理解」だと指摘し、障害のある学生や経済的に困窮している学生の存在を無視した値上げを改めて批判した。

集会に参加した筑波大生ら

学生向け告知は延期期間の明示なし

大学側は、学生らの反対運動に押される形で3月18日に宿舎値上げの延期を発表したが、大学院生は「学生に向けて掲示された告知は『改定された寄宿料などは役員会が定めた日から適用する』としかなく、具体的な延期期間は明示されていない。この状況は、新学期が開始されて1カ月余り経過した今この瞬間まで続いている」と明かし、「学生の困窮を救うための解決ではなく、一時的に批判をかわすための先送りと取られても致し方ない」などと、大学側の対応を改めて批判した。

メッセージの最後に大学院生は「私はこの宿舎問題を通じて突きつけられた問いがある。それは、大学とは誰の場所かという問い」だとし「大学は親の経済力にかかわらず、誰もが安心して学び、生活し、成長できる場所なのか。それとも高額なコストを支払える顧客だけが選択され、残れる場所なのか」と問い掛け、誰もが排除されない大学への変革を訴えた。

参加した別の筑波大生は「宿舎以外に生活の選択肢がない学生に対して、一方的に値上げして、生存の権利を脅かすというのは、間接的にその人の自己決定権、生活に対する侵害」だと話し、大学当局を強く批判した。

質疑応答では、大学側との話し合いの進展状況について質問があり、筑波大生からは、学生側が掲げた要求項目を全部無視し「大学側が学生を2人か3人選ぶ形で『大学の職員が学生の言い分、意見を聞くので、それでどうですか』という返事が来た」といい、まだ交渉には至ってない現状を明かした。

また、周辺にスーパーなどが少なく買い物に不便な同大の一の矢宿舎共用棟にあった売店が、業者が撤退した2025年に閉鎖されて以降、再開されないままであることについても指摘があり、一の矢宿舎の学生向け公衆浴場も再開されていない現状も報告された。

集会は「労働運動と学生運動の交差点」をテーマに掲げた。ゲストスピーカーとして、キャバクラ店従業員の労働組合「キャバクラユニオン」の立ち上げに参加し、「キャバ嬢なめんな!」著者の布施えり子さんも参加した。布施さんは「学生と労働組合、社会人、いや労働者が共闘することは必須だと思う」と述べた上で、障害を持つ学生向けの宿舎の値上げ率が約2.1倍という件について「障害のある人たちが、値上げ率が一番高い部屋に住まわされる。本当に弱い立場の人が狙われ、お金が稼げないのにお金を取られる。この状況は労働者も全く同じ。お金がない人ほど賃金の安い仕事をさせられ、そこからいろいろなものを搾取される率が大きい。その状況は全く同じなので、一緒に戦うのは必然」だと、学生と労働者との連帯を訴えた。

メーデー行動ではデモ行進も行われ、参加した十数人がつくば駅前や筑波大学春日キャンパス前などをデモ行進し「宿舎値上げ反対」などを訴えた。(崎山勝功)

嫌なことを忘れるために《続・気軽にSOS》171

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【コラム・浅井和幸】3月のコラム(3月4日付)で嫌なことを忘れるための方法を五つ挙げました。①嫌なことが思い浮かんでもそのまま放っておき別のことを行う②嫌なことにもう少し近づき思ったよりも嫌なことが起こらないことを体験する③身体的なリラックス方法をゆっくり試してみる④味方と思える人と安心できる時間や空間を共有する⑤嫌なことを乗り越えるために自分ができることを計画して実行する―です。

この五つを心理療法っぽい言葉で表現すると、以下のようになります。難しく考えず、気楽に受け止めていただけたらと思います。

⑴ ACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)みたいな感じ
⑵ 曝露療法かな―以上の2つは認知行動療法でくくってもよいかも
⑶ 身体的アプローチ:自律神経とかなんとか
⑷ 関係性の安全基地(愛着理論):心のよりどころね
⑸ 問題解決コーピング:ストレスとかストレッサーがキーワード

このコラムを読んでいる人はインターネットに接続している人ですよね。上のキーワードでネット検索や生成AIに聞いてみてください。自分が覚えている嫌なことを具体的に当てはめてみるとよいですね。

嫌なことを考えることに時間や労力を使って疲れてしまい、楽しいことに人生を使えないのはもったいないと私は考えます。自分の人生観ではどうだろうかと自問自答し、じっくり自分と向き合って、自分の価値観を大切に生活していけるとよいですね。

嫌なこととの付き合い方を変える

具体的な方法も思いつくままに記しておきます。

(A)嫌なことが思い浮かぶのは無意識なので、すぐにコントロールはできません。嫌なことが頭にあるまま、手の込んだ料理を作ったり、ストレッチなどをしながら、音楽を聞いたりします。

(B)嫌な人が思い浮かんでもごまかさず、もっと考えてみます。でも感じているほど、自分の人生や身体的な脅威はないことに気づくようにします。

(C)ゆっくりとストレッチや深い呼吸をします。湯船につかるのもよいでしょう。

(D)信頼できる人と、気楽に笑える話をする。嫌なことを考えるよりも、自分には大切にしたい人との時間がつくれることを実感します。

(E)嫌な上司よりも上の上司や人事部に相談する。あるいはカウンセリングを受ける。うるさい音を遮断するために、ノイズキャンセルのヘッドホンをする。

考え方や行動を変えることは簡単ではありません。それでも、嫌なことをなくすのではなく、付き合い方を少し変えることで、感じ方は少しずつ変わっていくのかもしれません。私自身も日々悩みながら試しています。(精神保健福祉士)

日本最古の学校、足利学校を訪ねて《ふるほんや見聞記》16

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足利学校 学校門

【コラム・岡田富朗】足利学校は、日本で最も古い学校として知られ、その遺跡は1921(大正10)年に国の史跡に指定されています。1万7000冊以上の古書(和とじの書物)を所蔵しており、国宝に指定された漢籍(中国から輸入された書物)の存在はよく知られています。国宝に指定されている書籍は、「周易注疏」「文選」「礼記正義」「尚書正義」の4種です。

足利学校の創建については諸説ありますが、学校の歴史が明らかになるのは、室町時代中期以後、上杉憲実が関東管領になると、学校を整備し、学校領とともに孔子の教え「儒学」の五つの経典のうち四経の貴重な書籍を寄進し、鎌倉から禅僧快元(かいげん)を招き初代庠主(しょうしゅ=校長)とし、学問の道を興し、学生の養成に力を注ぎました。

その後は代々禅僧が庠主になり、学徒三千といわれるほどに隆盛しました。明治時代以降、足利学校を訪れた多くの人々が記した「来訪者揮毫集」からは、渋沢栄一や嘉納治五郎といった人物をはじめ、中村不折などの画家や文化人、学者が、上杉憲実以来の貴重な漢籍などの蔵書を求めて来訪していたことがわかります。

足利学校所蔵 国宝 文選(宋刊本)

近世日本の教育遺産群

2015年には、「近世日本の教育遺産群」として、茨城県水戸市の旧藩校「弘道館」、岡山県備前市の郷学「閑谷学校」、大分県日田市の私塾「咸宜園」とともに日本遺産に認定されました。「弘道館」は1841年に水戸藩主・徳川斉昭が創設した藩校で、藩校としては日本最大規模を誇ります。学問・武芸から医学・薬学・天文学に至るまで幅広い分野の教育が行われており、総合大学のような存在でした。

企画展「文選と古典文学」

史跡足利学校内にある足利学校遺跡図書館では、年に5~6回、約2カ月ごとにテーマを変え、企画展が開催されています。4月7日(火)から6月7日(日)まで開催されている「文選と古典文学」では、令和の元号の典拠とされる「万葉集」をはじめ、「源氏物語」などの古典文学と、それらの作者に影響を与えた「文選」(江戸時代本)を展示し、その魅力や漢籍との関連について紹介しています。

また、4月25日(火)から5月10日(日)までの期間には、国宝書籍である「文選」(宋刊本)も特別に展示されます。この「文選」は金沢文庫旧蔵本だったのを、1560(永禄3)年、北条氏政が七世庠主九華に贈ったもので、末尾には北条氏の虎印「禄寿応穏」の朱印と、九華が北条家で易の講義をしたという識語があります。

足利学校の研究員・学芸員である大澤伸啓さんは「現代では紙の書籍の需要が減少しつつありますが、足利学校が幾度も火災に遭い、資料を失いながらも、長い年月を経てなお貴重な書籍を残し伝えることができたのは、和紙と墨でつくられた書籍であったからこそではないでしょうか」とお話しくださいました。(ブックセンター・キャンパス店主)

土浦日大が29年ぶり優勝 ’26春季高校野球県大会

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試合終了、歓喜の土浦日大ナインがマウンドに集まる(撮影/高橋浩一)

第78回春季関東地区高校野球茨城県大会は4日、土浦市川口のJ:COMスタジアム土浦で決勝戦が行われ、土浦日大が8-0で水城を破った。打っては15安打で圧倒し、守っては投手6人の起用で1安打に抑えた。土浦日大の春優勝は1997年以来29年ぶり4度目。

第78回春季関東地区高校野球茨城県大会 決勝(4日、J:COMスタジアム土浦)
水  城 000000000 0
土浦日大 01230101X 8

県大会4試合を全て1点差で勝ち上がってきた粘りの水城を、土浦日大が投打でねじ伏せた。「相手に先制点を取られると波に乗られてしまう。自分たちが先に点を取り、前半のうちに流れをつくれたことが大きい」と土浦日大の小菅勲監督。

2回裏土浦日大無死満塁、河津の中前打で先制

先制は2回。無死満塁から7番・河津直登が中前打を放った。「打ったのは真ん中高めの直球。来るだろうと思って狙っていた。自分のバットで先制点を取れてうれしい。先手を取ったことで自分たちのペースで野球ができた」と河津。

3回裏土浦日大無死満塁、右犠飛を放つ桐山

土浦日大は3回にも無死満塁から5番・林悠哉の右前打と6番指名打者・桐山輝琉の右犠飛で2点を追加。4回表には無死一・二塁のピンチを招くが、捕手・吉田惺南の二塁牽制とダブルプレーで切り抜けた。

3回裏土浦日大無死満塁、桐山の右犠飛で吉田が生還

吉田は8回にも一塁牽制を決めており、この日2刺殺。「走者の気のはやりを見抜いてしっかり刺してくれた。冷静に状況を読む力があり、チーム全体も自分自身も俯瞰(ふかん)して見る目を持っている吉田の存在は大きい」と小菅監督。

4回表水城無死一・二塁、吉田の牽制で二走を刺殺。遊撃手・伊勢山

その後も土浦日大は4回、6回、8回と順調に加点した。特に3番・吉田は5打数3安打1犠飛、4番・青木智潤は2打数2安打3四球の成績。また河津や2番・藤沢佑樹、代打・根津然斗らこの春から試合に出始めた選手も力を発揮、選手層に厚みを加えている。「彼らの活躍で、誰にでもメンバーに入るチャンスがあることを示せ、チーム全体に活気が生まれている。夏に向かって競い合い、みんなで力を合わせて頑張ってほしい」と小菅監督。

投手陣は、決勝戦の大舞台をなるべく多くの選手に経験させたいというチームの考えから6人全員が登板し、トータルで1安打5四死球7三振という成績。特にエース小池陽斗は7回からマウンドに上がり、最終回を3者連続三振で締めた。「少しはエースらしい投球ができたかと思う。自分の前の投手全員が無失点に抑え、監督や内野手全員が楽しく投げられる環境をつくってくれたおかげ。関東大会ではチームを勝たせられるような粘り強いピッチングをしたい」と小池の振り返り。

7回からマウンドに上がった土浦日大のエース小池

「県大会を1位通過するという、選手たちみんなと掲げた目標を達成できてうれしい。これを夏に結び付けなくては意味がない。強豪とぶつかって切磋琢磨(せっさたくま)し、練習試合と違う本番の厳しい野球で本気の勝利を目指している」と小菅監督は関東大会に向けて静かな闘志を燃やす。(池田充雄)

表彰式で整列する土浦日大ナイン

学生たちがゼロから挑戦 6月7日 つくばで野外音楽フェス

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実行委員長の落合一翔さん(右から4人目)と実行委員の筑波大生ら=筑波大春日キャンパス

「つくばを好きになるきっかけに」

筑波大学の学生が中心となり、企画から運営までを担う野外音楽イベント「つくばジャム2026(TSUKUBA JAM2026)」(つくばジャム実行委員会)が6月7日、つくば市の研究学園駅前公園で開催される。資金集めや出演交渉を含め、全てを学生自身が手掛けるゼロからの挑戦だ。2000人の来場者を想定している。

発起人は同大大学院生の落合一翔さん(22)。きっかけは、八千代町で開催されている野外音楽イベント「やちおん」だった。やちおんは、地元の若者たちが手掛け、町の活性化を目的に開催している、昨年4回目を迎えた野外音楽フェスで、毎年5000人の来場者を集める一大イベントだ。入場無料で誰でも楽しむことができるのも特徴だ。筑波大学でボランティアサークルに所属する落合さんは、運営ボランティアとしてやちおんに参加した。「地域の人がたくさん集まり、好きな音楽を聴いて、おいしいご飯を食べて、スポーツもあって、大人から子どもまで、1日を楽しむ。その雰囲気がすごく良かった。こんなイベントを、つくばでもやりたいと思った」と動機を語る。

実行委員長の落合さん(左)と、実行委員の岡田健さん

昨年のやちおんが終わった直後の10月には構想を固め、すぐに仲間集めを始めた。最初に声をかけたのは、大学の軽音楽サークルの学生たち。「音楽の知識がある人に入ってもらおうと思った」と振り返る。現在、実行委員は約25人。音響、照明、デザイン、SNS、書類、運営などの班に分かれ、それぞれの専門性を活かして準備を進めている。週に2~3回、対面やオンラインでの打ち合わせを重ねながら、意見をぶつけ合う日々だ。「みんなが意見を出し合いながら、イベントの質が高まってきた」と話す。

一方で、一番の課題は資金面。約50万円の予算を見込み、市の補助金制度「アイラブつくばまちづくり補助事業」や、地元企業・飲食店からの協賛を頼りに奔走する。実績がない中で、「自分たちだけの資金でやることも考えた。でも、『なぜ自分たちはこんなことやりたいか』という熱意を伝えて賛同してもらえる人を集めたい」と話す。

筑波大軽音学サークル「TOJO-K ON(トジョーケイオン)」の部室でミーティングが開かれた

入場無料、いろんな人に来てもらいたい

イベントは、入場無料にこだわっている。「つくばは外国の人や学生も多く、人の出入りが激しい街。音楽の魅力は、年代や国籍に関係なく楽しめること。だからこそ、入場無料でいろんな人に来てもらいたい。フラッと来てもらい、音楽で多くの人がつながってほしいと思っている」と期待を込める。主な来場者として思い描くのは、学生と子育て世代。「この街に来たばかりの人が、地域のお店やバンドを知ることで、つくばを好きになるきっかけになればうれしい」と語る。

当日は、ライブハウスで活動するロックバンドや地域密着型の人気バンド、八千代町発のパフォーマンス性の高いグループ、大学生や高校生によるバンド、本格的な吹奏楽も披露され、ダンスを取り入れたアイドルグループなど、多彩な約10組が出演する。その他に、10台前後のキッチンカーが並び、地元の農産物や陶芸作品、アクセサリーなどの出店がある。市内のバスケットボールクラブチームや本格的なスポーツ鬼ごっこ、だれでも楽しめるウォーキングフットボールなどの体験ブースも用意される。

「いい1日だった」と思ってもらえたら

落合さんは「好きなバンドがいることで、その街自体が好きになる。自分がそうだった。『人造人間メタルバンド ヘル・ダンプ』に衝撃を受けた。つくばに誇れるものができれば、外に出た人がまた戻ってくる理由にもなるかもしれない」と言い、「将来的にはステージ数を増やすなど規模を大きくすることにも挑戦してみたい。東京に行かなくても楽しめる、つくばならではのカルチャーをつくれたら」と思いを描く。

実行委員メンバーの岡田健さん(22)も、このイベントに特別な思いを持つ一人。「自分は音楽や言葉に救われてきた。新しいものに出会うことで、日常の見え方が変わることがある。このイベントが、そういうきっかけになれば。それぞれが自由に過ごし、帰るときに『いい一日だったな』と思ってもらえたら。それで次の日、ちょっと元気になってもらえたらうれしいです」と思いを込める。

◆つくばジャム2026(TSUKUBA JAM2026)は6月7日(日)正午から午後7時まで、TX研究学園駅南側のつくば市学園南2-1、研究学園駅前公園で開催。入場無料。問い合わせ、協賛の受付はメール(tsukujam@gmail.com)または、公式ライン(https://lin.ee/SJGo34L)まで。詳細は公式SNS(インスタグラム: 、X:)へ。

土浦日大と水城が決勝へ ’26春季高校野球県大会

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準決勝第1試合 東洋大牛久-土浦日大 3回裏土浦日大2死一・二塁、吉田の中前打で伊勢山がホームイン(撮影/高橋浩一)

第78回春季関東地区高校野球茨城県大会は2日、土浦市川口のJ:COMスタジアム土浦で準決勝が行われた。第1試合は土浦日大が東洋大牛久を10-3で破り、7回コールド勝ちを収めた。第2試合は水城が7-6で常磐大を破り、それぞれ決勝に進出した。決勝は4日午前10時から、J:COMスタジアム土浦で開催される。勝った両校は16日から千葉県で開催される関東大会に出場する。

7回裏土浦日大無死満塁、6番DH・根津然斗の中越え三塁打で3者生還しコールドゲームが成立

土浦日大が7回コールド

第78回春季関東地区高校野球茨城県大会 準決勝第1試合(2日、J:COMスタジアム土浦)
東洋大牛久 1001100 3
土浦日大  0030304X 10

土浦日大は投手3人がつないで相手打線を封じ、攻撃では走者をためた後に長打で大量点を奪った。試合前に土浦日大の小菅勲監督が「失点は3点以内に抑え、相手の好調な投手陣を打ち崩して4点以上を取りたい」と語った通りの結果となった。

土浦日大、先発の嶋

土浦日大の先発は嶋悠希、初回に2四球と1安打で1点を先制された。しかし3回にはすかさず逆転。9番・寒田絢太と1番・伊勢山暖が四球と敵失で出塁し、2番・藤沢佑樹、3番・吉田惺南、4番・青木智潤の3連打が炸裂し、3点を奪った。

3回裏土浦日大2死一・二塁、青木の中越え2点二塁打で藤沢、吉田の2者生還

「打線の援護のおかげで気持ち楽に投げることができた。相手打線は低めの変化球に合わせるのがうまかったが、自分としては良い球を投げられていたので気にせず、自分なりの投球でチームに良い流れを持ってこようと心掛けた」と嶋の振り返り。嶋は3・4回にもピンチを背負ったが、挟殺や凡打などにより最少失点で切り抜けており、「スライダーがコースに決まり、それを相手打線が引っかけてゴロを打たせることができた」とうなずいた。

5回には追加点。2死一・三塁の場面で、5番・大立克輝が左翼席へ3ランを放った。「打ったのは甘く浮いた変化球。最初はエンタイトルツーベースかと思ったが、周りの雰囲気と、球審が腕を回しているのを見て確信した。公式戦のホームランは初めてで自分でも驚いている」と大立。「打席に入る前に、レフトへの外野フライを打てる球を狙えとアドバイスした。風が強いので流れてスタンドに入るだろう」と、これも小菅監督の狙い通り。

5回裏土浦日大2死一・三塁、3ランを放った大立がダイヤモンドを回る

5、6回は左腕の変化球投手、板橋悠希がマウンドに上がり4安打1失点。7回はエース小池陽斗が1安打1四球2三振で締めた。「試合内容は決して良くなかったが先制されても耐え、底力を見せてくれた。今のチームは、守りからリズムをつくれていないのは課題だが、打力と明るさ、雰囲気では2023年の(甲子園ベスト4の)チームにも引けを取らない」と小菅監督。「今日の勝ちは通過点。関東大会まで一日一日を大切にしっかり準備し、一つ勝つことを目標に一戦一戦戦い優勝したい」と吉田主将は意気込む。(池田充雄)
 

生成AIが「後押し」した余白の真髄《看取り医者は見た!》51

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写真は筆者

【コラム・平野国美】最近あちこちで「AIが人を駄目にする」という言説を耳にします。思考を代行させ、効率ばかりを追い求めた結果、人間特有の感性や創造力が退化してしまうのではないか―そんな不安は、確かに一理あるのかもしれません。しかし、先日、私が目にした「絵手紙」を巡るエピソードは、AIと人間の幸福な関係性、そして「思考の文房具」としての真の価値を、鮮やかに示してくれました。

私の知人に、絵手紙を趣味にしている方がいます。毎月、師匠からお題が送られてくるのだそうです。今月のお題は「後」という一文字。真っ白な紙を前に、彼女はなかなか筆を進めることができずにいました。そこで彼女が試みたのは、AI「壁打ち」でした。つまり、生成 AIを活用して、思考を整理しようとしたのです。

当初、AIは「絵手紙」という文化を正しく理解していなかったようです。提示されるアイデアはどこか事務的で、絵手紙が持つ独特の情緒や、短い言葉に託す心の機微とはかけ離れていました。しかし、彼女は諦めませんでした。対話を重ね、「絵手紙とは何か」「自分が何を表現したいか」を粘り強く伝えていく。そのプロセスこそが、彼女自身の思考を深く掘り下げる作業になっていたのです。

やがて、AIは一つのアイデアを提示してきました。「そっと後押し」はどうでしょう、と。

彼女は、その言葉を作品に採用することはありませんでした。しかし、その瞬間、彼女の心は動いたと言います。AIが出した言葉そのものではなく、AIとの対話によって自分自身が「後押し」されていることに気づいたのです。停滞していた創作意欲に火が灯り、彼女は迷いなく筆を執りました。

自分の感性を響かせる「共鳴箱」

興味深いのはその「後」です。完成した作品を画像としてAIに見せたところ、AIからこんな言葉が返ってきました。「この作品は余白が素敵ですね」

絵手紙の真髄は、描かれた絵や文字そのものよりも、その周りにある「余白」にこそ宿ると言われているそうです。最初は絵手紙の作法すら知らなかったAIが、わずかな時間の対話と画像解析を経て、その表現の核心にまでたどり着いたこと。彼女はその事実に深い驚きと喜びを感じたそうです。

このエピソードは、AIとの付き合い方の本質を突いています。AIに「答え」を丸投げすれば、確かに人は退化するかもしれません。しかし、AIを自分の感性を響かせるための「共鳴箱」として、あるいは自分の輪郭をはっきりさせるためのアシスタントとして使いこなすことができれば、それは人間の可能性を広げる強力な味方になります。

AIに正解を求めて依存するのではなく、対話を通じて自分の中にある「真髄」を再確認する。最後に筆を置き、余白の美しさを決めるのは、どこまでも人間自身なのです。「AIに後押しされながら、自分だけの余白を描く」。それは、私たちがこれからの時代を豊かに生きていくための、一つの道標のように思えてなりません。(訪問診療医師)

バイシクル・ダイアリーズ《ことばのおはなし》92

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写真は筆者

【コラム・山口絹記】大切な人から本格的な自転車を譲り受けた。いわゆるロードバイクというやつだ。防犯登録のため家の近くの自転車屋さんへと向かう道すがら、さっそくギアチェンジのやり方がわからない。軽くはできるのに重くできないものだから、高回転でペダルを漕(こ)いでいるのにスピードは徒歩と変わらない安全運転。前方から歩いてきた家族連れが怪訝(けげん)な顔でこちらを見ている。見せもんじゃねぇぞ。

登録手続きをお願いしながら手近な柱に自転車を立てかけようとすると、慌てた店長さんに制止された。(私の自転車の)フレームに傷がつくからやめてくれということらしい。「そんなたいしたものじゃ」と言いかけて、自分がこの自転車の価値を知らないことを思い出す。

無知を隠すつもりはないので、一からこの自転車の扱いを教えて欲しい旨を伝えると、店長さんが申し訳なさそうに「当店で購入されたものではないので、説明も有料になってしまうのですが」と言う。知識の提供に対価を支払うのは当然のことである。私は「払います。必要なものも全部買うので教えてください」と答えた。こちらはハナからいくらかかっても構わない腹づもりなのだ。

自転車のエンジンは自分自身

店長さんは自転車をスタンドに乗せると、丁寧にすべてのパーツの名称からその仕組みと役割、ギアチェンジの方法まで教えてくれた。また、年式を考えると、油圧ブレーキのオイルを交換した方がよさそうなで、ギアを切り替えるパーツも分解清掃した方がよさそうということらしい。そこまで自転車を操作しながら話していた店長は、立ち上がると私の顔を見て言った。

「正直に言うと、一度すべて分解して油を指し直して組み直した方がよいと思います。このバイクにはそれだけの価値がある。そうさせてもらえるなら、私もうれしいです」。私の答えはとうに決まっていたのだけど、先に聞いてみたいことを聞くことした。

「この自転車で、筑波山を登ることはできますか」「もちろん。3、4往復は普通にできます」。店長さんは誇らしげに答える。「それって、一度にってことですか?」。私が唖然(あぜん)として聞き返すと、「自転車のエンジンは自分自身ですから、もちろん自分自身を鍛える必要はありますが、このバイクはそれくらいのことを普通にこなしますよ」と、不敵な笑みを浮かべる。

ああ、この店に来て良かったと思った。ものごとの始まりにはいつだって、こういうやりとりが必要なのだ。私は「長く大切に乗りたいので、ぜひお願いします」と頭を下げつつ、「あ、空気入れもください。あと、空気の入れ方も」と付け加えた(言語研究者)