火曜日, 11月 3, 2026
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バイシクル・ダイアリーズ ⑺《ことばのおはなし》97

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写真は筆者

【コラム・山口絹記】前回記事では、ツール・ド・つくばを完走し、次の目的地を佐賀県に決めたところまで書いた。

大会後、オーバーホールに出していた自転車が帰ってきた。チェーンやワイヤーなどが交換され、すっかりきれいになっている。店長さんから整備内容の説明を受けたあと、私は切り出した。

「今度、佐賀に行くんですけど、このバイクを連れていきたいんです」

「飛行機輪行ですか?」

輪行というのは、自転車を分解して袋などに収納し、公共交通機関で運ぶことだ。飛行機の場合、運搬中に破損する危険もあるため、店長さんはあまりお勧めしないという。

「ちなみに出発はいつですか?」

「今月末です」

数秒の沈黙。

「ツール・ド・つくばもですけど、また時間がないですね」

なんかすいません。

それから出発まで、何度も自転車屋さんへ通うことになった。輪行袋に入れるために前輪やペダルを外し、ブレーキを保護し、さらにリアディレイラーという変速機まで取り外す練習をする。飛行機のサイズ制限に収めるため、シートポストまで切った。

家でも、ひたすら分解と組み立てを繰り返し、翌日、また店長さんに見てもらう。店の前で作業していると、来店したお客さんに店員と間違えられた。最初は訂正していたのだが、面倒になったので「受付は店内でやっています」と案内することにした。もういいや。

「茨城から、自転車で?」

そして出発当日。朝からバタバタしてしまい、成田空港に着いたのはチェックイン締め切りの9分前。自転車と荷物を抱えて空港を走り回り、なんとか3分前に手続きを終えた。

福岡空港に着くと土砂降りである。空港の外で自転車を組み立て、レインウェアを着て出発。まずは「牧のうどん」で腹ごしらえをした。甘い味付けが好みの私には、九州のうどんが実にうまい。

店員さんに「どちらから?」と聞かれ、「茨城です」と答える。

「自転車で?」

さすがに、そこまで冒険野郎ではない。

その後、雨の中を30キロほど走って博多駅へ。ここで高校時代の友人と、約10年ぶりに再会した。焼鳥屋で昔話をしながら、今回、九州に来た本当の目的や、自転車に乗り始めた理由についても話した。

10年ぶりだというのに、不思議と昨日も会っていたような気がする。17歳だった私たちが、20年後にこんな話をしているとは思わなかった。夜、友人にホテルまで送ってもらい、部屋に入ったところで力尽きた。

翌朝目を覚ますと、レインウェアを着たまま、靴も脱がずに寝ていた。お湯を注いだカップ麺は、すっかり伸びきっている。(言語研究者)

つくば駅前でトラクターデモ 令和の百姓一揆いばらき 県内8農協も参集

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「令和の百姓一揆」ののぼり旗を掲げ、つくば駅前をデモ行進するJA北つくばのトラクター

「令和の百姓一揆」ののぼり旗を掲げたトラクターと軽トラック計28台が1日、「日本の食と農を守ろう」などと訴え、つくば駅周辺をデモ行進した。令和の百姓一揆いばらき実行委員会(共同代表 秋山豊日本の種子を守る会会長など)が県内で初めて実施した。県内の農家や消費者など約350人が集まり、「農家に補償を」「国産守ろう」などと声を上げながらトラクターに続いて、つくば駅前の土浦学園線、東大通り、西大通りなど約3キロをデモ行進した。

県内17農協のうち、地元のJAつくば市、JAつくば市谷田部、隣接のJA水郷つくば(本店土浦市)のほか、 JA常陸(常陸太田市)、JA日立市多賀(日立市)、JA水戸(水戸市)、JA北つくば(筑西市)、JAやさと(石岡市)の8農協が参集した。農民運動茨城県連合会(農民連)、県生活協同組合連合会なども参加し、農家と消費者が一緒に声を上げた。

大清水公園で行われた集会の様子

デモに先立って、同市竹園の大清水公園で集会が催され、共同代表の一人、涌井義郎 鯉渕学園農業栄養専門学校元教員は「日本の農業と食を取り巻く環境は厳しさを増す一方。茨城でも農家が毎年3000人減り、過去5年間で25%減った。これは大変な危機。なぜこんなに減ったのかといえば、暮らしていける所得を稼げないから」と話し「こんな状態でいいんでしょうか。この国の子供たち、孫たちが、国産の食料をずっと食べ続けられるためには農家の所得が安定しなければならない。所得補償を訴えていこう」などと話した。

集会であいさつする涌井共同代表(左から4人目)

県内の農協に参加を呼び掛けた共同代表の一人でJA常陸の組合長でもある秋山会長は「JAもついに立ち上がった。党派を超えて、現場のエネルギーを訴えようということになった」と話し「我々農民が自ら食料をつくって子供たちに食べさせる、そういう意志がないとこの国はだめになる。我々農民は何が何でも日本の農業を守って、食料を守る」と語った。

地元JAつくば市の関喜幸組合長は「今の農業情勢では農家が食べていけない。農業の所得補償が一番。消費者にも農家の実態を把握してもらいたい」などと話し、JAやさとの広沢和善組合長は「今年、JAやさとは(組合員の農家から60キロ当たり)1万3000円でコメを買い上げた。そしたら農業者の皆さんから『安くてやっていけない』とお叱りを受けている。去年は3万4000円で買った。そしたら消費者の皆さんからおコメが高いと叱られた。日本の主食であるコメが安い高いを繰り返すのは競争原理に原因がある。主食なので、国が値決めをしていくことにもっていかないと将来は厳しい」などと訴えた。

先頭でデモ行進する農協関係者

共同代表の一人で、農民連の岡野忠常任執行委員は「今日ここに、さまざまな立場の人たちが国民の食料、農業を守るために集まることができた。画期的なこと。『国民を飢えさせるな』と、政府に大きな声を上げていこう」などと呼び掛けた。

トラクターデモでは、「米作って。飯食えない」と書かれたむしろ旗を掲げたトラクターや、「外米輸入拡大反対」と書かれた横断幕を貼り付けた軽トラックがつくば駅前をゆっくり走り、沿道では、スマートフォンでトラクターの写真を撮る若者の姿も見られた。病害虫の侵入を防ぐため現在輸入を禁止している生鮮ジャガイモの輸入解禁に向けて米国と協議が進められている状況を受けて、手作りのジャガイモの張りぼてを頭にかぶり、「国産ジャガイモを守れ」と訴えながら歩く男性や、「いつまでもあると思うな食と農」と書かれたむしろ旗を持って歩く女性の姿もあった。(鈴木宏子)

つくばセンタービル近くの土浦学園線をデモ行進する参加者

「わんわんランド」で学園祭 つくば国際ペット専門学校

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パートナードッグと一緒にパフォーマンスを披露するドッグトレーナーコース2年生

パートナードッグと成果を披露 

つくば国際ペット専門学校(つくば市沼田、東郷治久理事長)の学園祭「第16回犬友祭(けんゆうさい)」が、隣接する犬のテーマパーク「つくばわんわんランド」を1日貸し切りにして31日催された。動物看護師、犬の訓練士や美容師などを目指す学生たちがさまざまな企画を用意し、普段の勉強の成果を披露した。

卒業生や家族など約1500人ほどが集まった。卒業生が久しぶりに友人たちに会う機会にもなった。

犬や猫のトリミング、トレーニング、ブリーディングなどペットビジネスの知識と技能を総合的に学ぶ「ペットケア総合コース」2年生は、「同じタイプのわんちゃんとふれあう」という企画を実施。人の性格診断を用意して犬との相性を確認し、来場者に合った犬を選定するという催しを実施した。

会場にはグルメコンテスト「OKAWARI(おかわり)」と称し、生徒たちが出店したハンバーガーやおでん、ラーメンなどの模擬店が並んだ。

にぎわう犬友祭の様子。黄色い木造犬は「つくばわんわんランド」のシンボルで高さ11メートルの「もっくん」

フィナレーレを飾ったのは、ドッグトレーナーコース2年生26人による「ドッグ・パフォーマンス・ショー」。入学直後から毎日一緒に過ごしているそれぞれのパートナードッグ(伴侶犬)と1年半向き合った成果として、犬の障害物レースや曲芸を披露した。時折、犬が言うことを聞かない場面もあったが、成功すると会場から大きな拍手が湧き上がった。

横浜市からラブラドール・レトリバーの愛犬と共に来場した卒業生の西塚芽衣さん(23)は「久しぶりに母校に来られて良かった。年前卒業して、今は犬の訓練士をしている。ここで学んだことが役に立ち、犬が好きだから毎日が楽しい。これからもマイペースでやっていきたい」と話した。

つくばわんわんランドは今年30周年を迎え、つくばペット専門学校は来年、30周年になるという。(榎田智司)

公立学校の安全衛生はなぜ脆弱なのか《安全の窓》6

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イラストは筆者がAIで作成

【コラム・佐々木哲美】公務員は民間労働者とは異なる制度体系の下で働いており、安全衛生の基盤も民間企業とは大きく違います。このことを改めて実感したのは、東京都内A市教育委員会から用務員向けの安全講話を依頼されたことがきっかけでした。

一般に公立学校の安全衛生は民間より弱いと言われますが、これは教職員の意識の問題ではありません。学校という職場が制度・監督・文化の三つの面で「安全衛生を強化しにくい構造」に置かれているためです。個人の努力だけでは補いきれない仕組みになっているのです。

学校は安全衛生制度の外側

まず制度面では、学校が労働安全衛生法(安衛法)の一部適用外であることが大きな問題です。民間企業には安全管理者や衛生管理者、産業医、安全衛生委員会が配置され、労働基準監督署の監督を受けながら安全衛生が維持されています。しかし、公立学校はこの制度の網の外側にあり、労働安全衛生法関係法令の条文は危険作業に適用されますが、学校という組織自体は対象ではありません。

そのため、自治体が独自に内部規程をつくって対応していますが、制度の強制力や体系性が民間より弱くなります。

次に学校には労働基準監督署のような強制力を持つ外部監督がなく、教育委員会による指導・助言が中心となるため、民間より外部チェックが弱い構造にあります。民間企業では監督署が立入調査や是正勧告を行い、外部の目が安全文化を支えています。しかし、学校にはこの外部監督がありません。教育委が安全衛生を担いますが、監督署のような強制力はなく、教育委や学校は自己完結型の安全衛生を続けざるを得ません。

教員文化と安全文化の衝突

さらに文化面では、教員文化と安全文化の衝突があります。教員文化は「子どものために多少の無理をする」「個人の裁量で仕事を進める」といった価値観が強く、安全文化が重視する標準化や手順遵守と相性がよくありません。結果として、学校では安全衛生が個人の良心に依存しやすく、組織的な安全管理が育ちにくい状況が続きます。

学校は体育、理科、技術科、部活動、校舎設備、用務員作業など、多くの危険作業を抱える職場です。本来なら特別教育や資格が必要な作業も多いのに、教員が専門教育を受けていないことが少なくありません。さらに校長は、総括安全管理者に相当する役割を担うにもかかわらず、安全衛生の専門教育を受けていないという制度的ギャップもあります。

こうした制度・監督・文化の弱点が重なり、学校の安全衛生は「複数の制度が重なり合った結果として、安全衛生が強化されにくい」と言わざるを得ません。

だからこそ、学校の安全衛生を強くするには構造改革が必要です。民間の仕組みをそのまま移植するのではなく、学校という特殊な職場に合わせた安全文化を再設計することが求められています。これは教育委、校長、教職員が共に取り組むべき次のステップだと感じました。(労働安全コンサルタント)

日本代表も参加 青空の下でパラスポーツ体験 関彰商事

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アイシェード(目隠し)を着用してゴールボールを体験する家族連れ

子供から大人まで、楽しみながらパラスポーツや視覚障害者に理解を深めてもらおうと、「セキショウゴールボールフェスティバル」が31日、つくば市天久保の筑波大学セキショウフィールドで開催された。関彰商事(本社筑西市・つくば市、関正樹社長)が主催した。スポーツ庁の「2026年度パラスポーツ推進プロジェクト」の一環。関彰商事社員でゴールボール日本代表強化指定選手の山口凌河さんと高橋利恵子さんも参加し、来場者と交流しながら競技の魅力を伝えた。

ゴールボールは3対3で行うチームスポーツ。アイシェード(目隠し)を着用して聴覚や触覚をフルに活用し、全身を使ってボールを投げたり捕ったりする。ボールの位置を知るには、ボールの中に仕込まれた鈴の音だけが頼りだ。声を出したり手を叩いたりするのは自由なので、チーム全員がコミュニケーションをとりながら、力を合わせてゴールに向かってくるボールを防ぐ。

アイシェードをつけて本格的なゲーム体験

トップ選手が使うボールは重さ1.25キロ。投げるスピードは時速60~70キロにもなり、体に当たるとけっこう痛いという。今回の体験教室では初心者向けの重さ900グラムの軟らかいボールを使用。鈴がたくさん入っているので、音も聞き取りやすい。

関彰商事ではこれまで、つくば市や筑西市の小中学校と、筑西市の道の駅「グランテラス筑西」でゴールボールの体験教室を開いてきたが、屋外イベントとしては今回が初めて。青空の下、芝生の上の開放的な空間でパラスポーツを体験できるというチャレンジングな企画になった。

ゴールボールを使ったボウリングゲーム

「屋外でもどこでもできることを知ってもらい、ゴールボールを皆さんに楽しんでいただけたら」と山口選手。「開かれた中でいろんな人に参加していただき、こんなスポーツがあるんだと広めたい」と高橋選手。

つくば市立桜南小6年の田嵜楓馬さんは、学校でもゴールボールの体験授業があり、そのときチラシをもらってこのイベントを知り、もう一度山口選手に会いたいと思って参加した。「鈴の音だけで判断するのが難しかったけど楽しかった」と感想を話した。

家族で初めてのゴールボール体験

土浦から参加したのは安藤峻之介さん(29)、彩香さん(29)、茜里さん(1)の家族。「以前に体験したことがあり、いろんな人が楽しめるスポーツだと思った。なかなかやる機会がなく、貴重な機会と思って来た」と峻之介さん。「ゴールボールは知らなかったが珍しい体験ができた。鈴が入っているのが面白いし音も好き」と彩香さん。

会場には点字体験や白杖体験のコーナーも設けられ、参加者は楽しみながら視覚障害への理解を深めた。(池田充雄)

高橋選手(左)と共に点字体験

五十嵐つくば市長 スペイン海外出張、黒田議長らドイツ視察 1日から6日間

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つくば市役所

つくば市の五十嵐立青市長と、黒田健祐市議会議長ら市議5人はそれぞれ、11月1日から6日までの6日間、海外出張と海外視察を実施する。五十嵐市長は、スペインのバルセロナ市で開かれるスマートシティの国際展示会に参加する。黒田議長らは、昨年5月に招待を受けたドイツのボーフム市を視察する。五十嵐市長の海外出張は今年2月、4月に続いて3回目(2月2日付、4月26日付)、市議会の海外視察は2017年3月以来、10年ぶり(3月26日付)。

市長の渡航はビジネスクラス、市議5人はビジネスクラスとエコノミークラスの中間で座席幅が広いプレミアムエコノミー、随行職員はエコノミークラスで渡航する。

スマートシティ エキスポ2026に参加

五十嵐市長は、バルセロナ市で3日から5日まで3日間開かれる世界最大級の国際展示会「スマートシティ エキスポ2026」に参加し、会場内で開かれるステージイベントに登壇したり、内閣府出展のブースの中に設置されるつくば市のパネルの前で、スマートシティの取り組みなどを発信する。日本から参加する首長はほかに東京都の小池百合子知事など。

日程は3泊6日で、11月1日深夜に羽田空港を出発、2日にミュンヘンで乗り換え、バルセロナに到着する。3~5日は国際展示会に参加する。5日にバルセロナをたって、6日フランクフルト経由で帰国する。3日は、会場内に設置される日本の情報発信ブース、ジャパンパビリオンなどでプレゼンテーションする。4日は宇宙航空研究開発機構(JAXA)と衛星地球観測コンソーシアムが主催するステージイベントに登壇する。5日は住宅問題をテーマにしたハウジングサミットに登壇などする。

内閣府と一般社団法人スマートシティ・インスティテュートから要請を受けて参加する。費用のうち、市長一人分のエコノミークラス相当額の渡航費と宿泊費が内閣府から補てんされるという。

市が負担する今回の海外出張の費用は全体で約414万円。内訳は市長分が169万円。内閣府から補てんされるエコノミークラス相当額の渡航費と宿泊費を差し引いた、ビジネスクラスの渡航費の差額と日当などという。随行する職員は秘書課1人が3泊6日で約79万円、政策イノベーション部職員2人が4泊7日で計166万円、職員の合計は約245万円。

五十嵐市長の海外出張は、今年2月のフランス・イギリス出張(出張経費362万7000円)=2月2日付、4月のスペイン出張(招待のため6万1000円)=4月26日付=に続いて今年3回目。五十嵐市長の海外出張をめぐっては、昨年、山中真弓市議(共産)から「回数が多く、期間が長い。東京都知事の海外出張運用指針にならってつくば市も運用指針を策定すべき」などの指摘が一般質問で出され、市は今年1月、運用指針を策定した経緯がある。

ボーフム市の各所視察

一方、黒田議長らのボーフム市海外視察は、黒田議長と同じ会派でつくばクラブの五頭泰誠、木村清隆市議と、Nextつくばの飯岡宏之、塚本洋二市議が参加する。ボーフム市はつくば市と連携合意書を締結した関係にある。2025年4月、ボーフム市の市長と議員5人などがつくば市を訪れ、その後ボーフム市長からつくば市議会が招待を受けたことから訪問し、先進事例の視察研修や議会との情報交換を行う。

日程は▽11月1日夕方、羽田空港を出発▽2日フランクフルトから車でボーフム市に移動し、市内に立地するITセキュリティ企業、ジー・データを視察する。その後、ボーフム市庁舎を訪れ、市長や議員を訪問する▽3日はボーフム経済開発公社が主導し、自動車メーカーの工場跡地を利用して再開発した、約70ヘクタールの自動運転などのテクノロジー・知識生産拠点のプロジェクトを視察、さらに筑波大のパートナー校の一つ、ルール大学ボーフムを視察する▽4日はボーフム市のスマートシティ政策を推進するために設立された行政と企業によるデジタル推進組織、スマートシティ・イノベーションユニットを視察するほか、コンサートホールや鉱山博物館を視察する▽5日は、市中心部の築100年の中央郵便局をリノベーションして建築中の、中央図書館と市民大学、市内7大学の知見を発信する拠点、食を楽しむ屋内マーケットの複合施設を視察、さらにボーフム市が所有する隣接市の文化歴史施設、ケムナーデ館を視察する、その後、フランクフルトに移動し、6日帰国する予定。

費用は計約729万8000円で、内訳は議員5人が計約477万円(一人当たり約95万4000円)、随行職員は、議会局2人のほか、連絡調整・通訳として市長公室職員2人の計4人分で約252万8000円(一人当たり約63万2000円)。予算は803万円を計上したが、航空機のビジネスクラスをプレミアムエコノミーにしたなどから安くなったという。

一方、10年間行われなかった市議会の海外視察を再開するにあたっては今年3月議会で、市議の一部から「物価高や円安、不安定な社会情勢に市民が苦しむ中、血税を使って海外に行く緊急性も市民の納得も得られない」などの反対意見が出たが、賛成多数で予算が可決された経緯がある(3月26日付)。(鈴木宏子)

なぜ歴史を学ぶのか《放課後の哲学》2

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【コラム 月山望】歴史を学ぶことに意味はあるのだろうか。このコラムをお読みの皆さんの中にはこのように考えた学生時代がある人も多いかもしれない。数字、漢字、カタカナをただひたすら脳に詰め込む作業のようにも感じられる。受験勉強はそういうものだと割り切ることもできる。しかし、学ぶからには有意義で意味のあるものであってほしい。少なくとも私はそう考える。

そもそも歴史にはさまざまな解釈の仕方があり、新たな資料の発見一つで、それまでの見方が変わることもある。なぜなら、私たちが知る「歴史」とは、過去に実際に起こった出来事そのものではなく、残された資料をもとに、選択・解釈して構成したものだからだ。

それなのに、なぜ私たちは歴史を学ぶのだろうか。よく聞く意見として「同じ失敗を繰り返さないためだ」というものがあるが、これは少し間違っていると私は思う。歴史上の出来事と現在の出来事では状況が異なっていることの方が多い。社会制度も技術も価値観も異なる時代のことを易々(やすやす)と当てはめることはできない。例えば過去に失敗したと言われている政策があったからといって、今また失敗するとは限らないし、その逆もまた然りだ。

ここで視点を少し変えてみる。同じ失敗を完全に防ぐためではなく、同じ状況に対する行動の選択肢を増やすために歴史を学ぶべきだと考えるのだ。過去の出来事を踏まえて現在の行動を多角的に認識すれば、自分が間違っている可能性や自分がしない(しなかった)選択について考慮しながら進むことが可能になる。過去の歴史を知ったからといって未来の失敗を完全に防ぐことはできないが、知らない場合より選択肢を多く持てるようになる。

歴史の価値はそういったところにあるのではないだろうか。つまり、歴史上の失敗と同じことを繰り返してしまったとしても、それだけで学ぶ意味がないということにはならない。

学ぶ主体の視点を変化させる

では、そうした学びを成立させるために何が必要か。ここで避けて通れないのが暗記である。確かに試験が終わってすぐに頭から抜けてしまうような覚え方に意味はない。だが、起きた事や時系列、その時代の文化や風土に関する知識が抜けていては「なぜその出来事が起こったのか」について考えることもできない。

加えて、今起きているさまざまな紛争や社会問題の背景にはその地域が歩んできた歴史が関わっていることも多い。グローバル化した社会の中でさまざまな国の人と出会い、関係を持つことがあるだろう。同じ時代を生きている人でも起こったことに対する認識が異なることもある。そんな時、ほんの少しの知識で相手の背景に配慮した話ができるかもしれない、自分の国について尋ねられた時、自分の言葉で語ることができるかもしれない。

刻々と変わりゆく社会の中で、他国や自分の国の歴史を知らずにどうして未来を思い描くことができるのか。歴史を学ぶことによって私たちは新しい視点を得ることができる。そう考えると歴史を学ぶ意味は歴史的な事実を知ることではなく、それを学ぶ主体の視点を変化させることにあると私は思う。歴史を学ぶことは自分の人生を変化させることにつながっていく。より良い明日を思い描くために、私は今日も歴史を学ぼう。(土浦一高哲学部2年)

つくば市区は6人超の11陣営、土浦市区は4人超の7陣営 県議選立候補予定者説明会

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土浦合同庁舎で開かれた県議選立候補予定者説明会の様子

12月4日告示、13日投開票で行われる県議選を前に、県南の選挙区を対象とした立候補予定者説明会が30日、土浦市真鍋の県土浦合同庁舎で行われた。つくば市区(定数5)は6人超の11人(うち1人は説明会に不参加、県庁選管窓口で書類を受け取り)、土浦市区(定数3)は4人超の7人の陣営関係者がそれぞれ出席した。

つくば市区で出席した11陣営は受付順に
▽山本美和氏(56)=公明、現職
▽塚本一也氏(61)=自民、現職
▽鈴木将氏(54)=自民、現職
▽長塚翔平氏(37)=無所属、新人
▽宇野信子氏(61)=市民ネット、現職
▽宮内萌架氏(26)=無所属、新人
▽堀幸太氏(44)=参政、新人
▽山中泰子氏(74)=共産、元職
▽村上義典氏(25)=無所属、新人
▽長谷沢和宏氏(54)=国民、新人
▽ヘイズジョン氏(63)=無所属、現職(説明会に不参加、県庁選管で書類受け取り)

一方、土浦市区で出席した7陣営は受付順に
▽阿部裕氏(54)=公明、新人
▽プラニクヨゲンドラ氏(49)=無所属、新人
▽小野勉氏(64)=無所属、新人
▽鈴木一彦氏(63)=無所属、新人
▽伊沢勝徳氏(55)=自民、現職
▽内田正彦氏(53)=無所属、新人
▽高橋直子氏(42)=自民、現職

事前審査は11月17日、18日の2日間、各市の選挙管理委員会で実施される。

4年前の県議選は、つくば市区は3人超の8人が立候補した。投票率は37.72%だった。土浦市区は定数と同じ3人が立候補し、同市区として初の無投票当選となった。9月1日現在の有権者数は、つくば市が20万3941人と4年前と比べて約1万1000人増え、土浦市が11万7472人と約1100人減っている。(柴田大輔)

カタログギフトで地域おこし 筑波高校 

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カタログギフトの表紙デザインを紹介する生徒たち

県立筑波高校(つくば市北条、永井信一校長)の1年生43人が、地元の筑波山麓地域で製造・販売されている魅力的な商品を高校生目線で集め、カタログにし、販売にまでつなげようと、カタログギフト「TSUKUBAKO(つくばこ)」のデザインを作成した。12月には冊子とウェブのカタログギフトを実際に印刷、作成し、オンラインショッピングモール「みらふるモール」(一般社団法人くるみらい運営)で販売を開始する。

高校生が選んだ8業者の10品目は
▽しょうゆ・みそ醸造蔵元、沼屋本店(同市谷田部)の筑波山麓地域特産の福来みかんの果汁を使用した「福来ぽんず」
▽地元の果物を使ったジャムと、焼き菓子のスコーンを手作りしているジャムファクトリー(同市小田)の「ジャムとスコーンのセット」
▽北条商店街の老舗菓子店、エクレール林家(北条)の「カステラ」
▽筑波山中腹の老舗旅館、江戸屋(同市筑波)による、江戸屋の湧水を配合した「ガマの油リップクリーム」とハンドクリームとリップクリームのセット「元祖陣中油セット」
▽自家焙煎のコーヒー豆店、もっくん珈琲(同市大曽根)による、店舗近くの高エネルギー加速器研究機構への寄付付きで、同機構が研究する素粒子をパッケージにデザインしたブレンドコーヒーの「素粒子ドリップバック」
▽老舗の七味唐辛子製造所、苅谷七味加工所(同市百家)の「福来みかん入り七味」
▽筑波山麓の自家農園で栽培された自然薯(じねんじょ)を使った料理や商品を提供する新関フードサービス(同市上横場)の「じねんじょチーズケーキ」と「じねんじょギフトセット」
▽御菓子処いとう(同市並木)の福来みかんを寒天で薄氷のように固めた乾燥菓子「福来氷(ふくれごおり)」。

掲載する商品をプレゼンテーションする生徒たち

カタログギフトの作成は、地域と関わりながら実習や探求をする同校独自のカリキュラム「つくばね学探求Ⅰ」の授業の中で1年生43人全員が参加して実施された。

同校の飯村好和教諭が、高校生の教育を支援する「くるみらい」(熊本県)の活動をインターネットで知ったことがきっかけ。熊本では、くるみらいの支援を受け、高校生たちが地元の魅力を取材し発信するカタログギフトを作り販売していた。飯村教諭は、くるみらいの支援を受けながら、筑波高校でもカタログギフトの作成ができるか、オンラインなどで打ち合わせを重ね、支援の了解が得られたことから取り組みを始めた。カタログ作成にあたって熊本ではくるみらいのスタッフが教室で対面授業を行っているが、筑波高校ではオンラインで授業を受けることができた。

週1回の「つくばね学」の授業の中で、生徒たちは商品班、広報班、デザイン班に分かれ、役割分担して進めた。商品班の生徒たちは地域の特産品などについて調べ、事業者に対し、カタログに掲載させてもらえるかどうか交渉した。広報班は活動の様子を学校のインスタグラムに掲載したり、学校内でプレゼンテーションしたりした。デザイン班は選定された商品のページデザインに取り組み、それぞれの商品の特徴をとらえ、より魅力的に見えるように工夫するなどした。

三菱みらい育成財団から100万円の助成金を得て取り組んだ。商品の選定には、つくば市が認定する市内の優れた物産品「つくばコレクション」なども参考にした。

報告会の様子

28日、カタログギフトデザインの完成報告会が関係者や保護者を招待して同校で催された。報告会は司会進行からプレゼンテーションまで1年生が務め、商品一つ一つについて、担当した生徒が、商品を選んだ理由、商品の特徴、デザインの意図などを説明した。

カタログ作りに協力した、つくば駅構内の特産品セレクトショップ「つくばの良い品」の沼尻和宏さん、「小田地域まちづくり推進機構」の鈴木真人さん、つくば市経済部職員なども集まり、高校生の新しい試みにエールを送った。

報告会の中で高校生たちは「店主や製造会社担当者と直接話さなければならず、電話のかけ方や話し方が慣れてなくて大変だったが、地域の人を知り、地域の魅力をも知ることになり、ためになった」などと話した。

報告会で発表した佐藤星莉(あかり)さん(16)と飯田百恵さん(15)は「今日の報告会はとても緊張した。『つくばこ』の作成は普段の授業よりもずっと面白かった。自分が住んでいるところがどういうところかわかった。これからも魅力的な商品を見つけ、広めていきたい」などと話していた。

1学年主任の吉山翔太教諭は「生徒たちがメーンでプロジェクトを進めた。われわれはサポート側に回った。最初は不安もあったが努力の結果、形になったのでとてもうれしい」とコメントした。(榎田智司)

11~12月にオープンハウス型説明会 事業者が市に回答【つくばに国内最大級のデータセンター】

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1棟目の建設が進むデータセンター=10月8日、つくば市大穂

つくば市大穂の元公有地に、外資系不動産開発会社グッドマンジャパンが国内最大級となる1000メガワットのデータセンター建設を計画しているのに対し、周辺住民団体が市民向け住民説明会の開催を求めている問題で、同社は、11月から12月にオープンハウス型説明会の形式で、情報・相談ブースを開設すると市に回答した。詳細は市と協議の上決定するという。ほかに、つくば市民を対象に、同社が開発した千葉県印西市の工業団地内に立地する稼働中のデータセンターなどを間近で見学できる見学会を12月に開催するなどとしている。

グッドマングループアジア統括責任者のポール・マクギャリー同社取締役が23日付で、五十嵐立青市長に回答した。

オープンハウス型説明会(情報・相談ブースの開設)は、開催期間中、市民それぞれが自由な時間に来場し、展示してあるパネルや会場に置いてある資料を見て回る形式。会場にいるスタッフに直接質問できるが、集会型の住民説明会とは異なって個別のやりとりになるため、市民全体の意見共有や総意の把握がしづらいとされる。

同社はオープンハウス型とした理由について、つくば市が策定した「データセンターの建設及び運営に関する地域共生ガイドライン」(10月23日付)で、敷地境界から100メートルより外側に住む住民への説明については「オープンハウス型説明会を1週間以上開催」するとしたこと挙げ、「22日に市から公表されたガイドラインに沿ってオープンハウス型説明会の形式で実施」するとしている。市のガイドラインで「説明会を開催する」とされている敷地境界から概ね100メートル以内の住民と土地所有者に対する説明については、「これまでも個別説明、約1万2000部のちらし配布、戸別訪問、8月の住民説明会(8月21日付)、専用のウェブサイト等を通じて情報をお伝えして」きたなどとしている。

住民説明会の開催をめぐっては、住民団体「データセンターから市民を守る会」(柳町弘幸代表)が、周辺住民約470人の署名を添えて市議会9月定例会議に、グッドマンジャパンに出席を求めた上で、市による市民向け公開説明会の開催を要望する請願を出していた(8月31日付)。一方、市議会は請願について、請願の趣旨は理解できるが採択できないという意味の趣旨採択とし、代わってグッドマンジャパンに、周辺住民に限らず市民や市議会議員等が広く参加できる説明会の開催などを要請する決議を採択した(9月29日付、10月6日付)。

市議会の決議を受けて、五十嵐市長は22日付で同社に説明会の開催と情報提供を求める要請文を出し、23日付でグッドマンジャパンからオープンハウス型説明会開催などの回答があったと発表した。(鈴木宏子)

免震装置、40年の変化を検証 奥村組がつくばで実験

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日本初の実用免震ビルとして建てられた技術研究所管理棟。40年目の実験で揺らされた

10年ごとに実験 日本初の実用免震ビル

40年前に建てられたビルを人工的に揺らし、免振装置の経年変化を調べる自由振動実験が28日、つくば市大砂の奥村組技術研究所で実施された。ビルは鉄筋コンクリート造4階建ての技術研究所管理棟で、日本初の実用免震ビルとして1986年に建てられた。竣工以来、約10年ごとに実験を続けており、今回が5回目。過去の測定結果と比較し、免震装置の性能が設計時予測範囲内の変化にとどまっていることを確認した。

実験では、建物を支える直径50センチの天然ゴム系積層ゴム25基の性能を検証した。エネルギーを吸収するための鋼棒製ダンパー12基を取り外し、総重量約2500トンの建物を積層ゴムだけで支える状態にした上で、油圧ジャッキ2基、200トンの圧力を使って建物を水平方向に10センチ押し込んだ。ジャッキの力を解放して建物を自由振動させ、揺れの周期や振幅などを測定、分析した。力が解放された瞬間、「ドン」という大きな音と共に足元から強い衝撃が伝わったが、それ以降、急速に揺れが小さくなった。

振動を起こすのに使われた油圧ジャッキ

実用免震建物の歴史は約40年と比較的浅く、長期間使用した装置の性能変化を実際の建物で検証したデータは限られている。同社技術研究所の上寛樹所長は、「積層ゴムの性能が、経年によって40年以上にわたりどう変化するかは、実際の建物ではまだ十分に実証されていない。40年分のデータの傾向を分析することで、設計時の予測値が正しいかどうかを検証できる」と話す。

管理棟を支える積層ゴム

免震構造は、地面と建物の間に積層ゴムなどの装置を設け、地震の揺れが建物に伝わるのを抑える仕組みだ。積層ゴムは、薄いゴムと鋼板を交互に何十層も重ねたもので、建物の重さを支えながら、地震の際にはゴムが水平方向に変形することで、地面の揺れが建物に伝わりにくくする。ただし、石製ゴムだけでは揺れがなかなか収まらないため、エネルギーを吸収するダンパーを併用する。同管理棟では、鋼の棒が変形することで揺れを吸収する鋼棒ダンパーを使っている。

同社によると、過去の実験では、積層ゴムの硬さは設置から20年で約10%、30年で約11%増加。今回の40年目の実験では約12%となり、設計時の予測範囲内で推移していることを確認した。設計上は、120年後に最大30%硬くなっても安全性を確保できるようにしているという。

奥村太加典社長

奥村社長は「30年目までの結果から大体の方向性は予想できていたが、40年目の実験で改めて確認できた。免震技術に対する社会の信頼性も高められたのではないか」と話した。今後も50年目、60年目と実験を続け、得られたデータを学会発表などを通じて業界全体で共有し、免震技術の信頼性向上に役立てるとともに、地震の多い日本で免震建物の普及を目指す考えだ。(柴田大輔)

筑波山の風景画家 御手洗さんしのび 回顧展と金色姫舞踏劇

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自然生クラブによる舞踏劇「金色姫伝説 幻想」の練習風景=つくば市神郡、田井ミュージアム

11月1日~3日 自然生クラブが開催

筑波山を愛し、筑波山麓で筑波山の絵を描き続け、今年7月に亡くなった画家、御手洗(みたらい)竹松さんの回顧展「山に恋して~筑波山の風景画家」が11月1日から3日まで、筑波山麓の田井ミュージアムで開催される。併せて11月1日には同所で、御手洗さんが制作した「金色姫(こんじきひめ)」の紙芝居をベースにした舞踏劇「金色姫伝説 幻想」などが上演される。

知的障害者たちと共同生活をしながら筑波山麓で有機農業や表現活動に取り組むNPO法人「自然生(じねんじょ)クラブ」(柳瀬敬代表)が、長年交流のあった御手洗さんの功績を改めて多くの人に見てもらおうと、「筑波山麓秋祭り2026」の開催に合わせて企画した。

御手洗さんは1943年山口県生まれ。神奈川や東京暮らしを経て、79年につくば市片田に移住し画廊を開設した。88年には筑波山麓の神郡に移住、養鶏を営みながら筑波山の四季を描き続けた。2003年には日本郵便の年賀はがきに御手洗さんが描いた筑波山の絵が採用された。

御手洗竹松さんが描いた作品の一つ

回顧展で展示する作品は油絵33点。ほとんどが筑波山を描いたものだ。森や草原の中に小川が流れオレンジ色に染まった雲の下にそびえ立つ筑波山、里山の満開の桜の向こうにそびえる筑波山など、大きいものでは縦約90センチ、横約1.3メートルなど、大小さまざまな作品が並べられる。

御手洗さんの紙芝居のテーマとなった「金色姫」は、地元の蚕影(こかげ)山神社に伝わる伝説で、天竺(インド)の王女である金色姫が、継母の迫害を逃れて、桑の木で作られたうつぼ舟(丸木舟)で常陸国(茨城県)の豊浦に流れ着き、漁師に助けられたが亡くなり、なきがらがカイコとなって日本の養蚕が始まったという物語。

竹松さんは、筑波山麓の景色を次の世代に残していきたいという思いから連作の紙芝居をつくったという。自然生クラブでは2006年に上演。今回、アレンジを加えて、物語の朗読や笛や太鼓の演奏と共に再演する。

自然クラブ代表の柳瀬敬さん(68)は「御手洗さんとは40年くらい前、学園地区に住んでいたころからの知り合いで、ほぼ同時期に筑波山麓に移り住んだ。山麓で農業を始めたのも、御手洗さんの影響があった」と振り返る。「御手洗さんの描く筑波山は、写実的に描くのではなく、心の風景を描いたもので、自分が見たいと思ったものを描いている。今回は御手洗さんの素晴らしい筑波山の絵を多くの人に見てもらいたいと企画した」と話す。

御手洗さんの長男の太郎さん(46)は「こんなに短い期間に企画をまとめていただいて、大変ありがたい。父は筑波山が好きで、筑波山が近くに見える場所にアトリエを構えた。生活のために養鶏業を営んだが、ここでたくさんの絵を描いてきた」と思いを語る。(榎田智司)

◆自然生クラブ 秋の芸術祭2026 御手洗竹松の回顧展「山に恋して~筑波山の風景画家」は11月1日~3日、 つくば市神郡54、田井ミュージアム(アトリエ)で開催。開館時間は午前10時~午後3時。入場無料。▽追悼公演「金色姫伝説 幻想」は1日午後1時30分開演。入場料1000円、学生や障害者など500円。定員40人、予約者優先。詳しくは自然生クラブのホームページ、または電話029-866-2192(同)へ。

西友跡地にイオンそよら ひたち野うしく駅前 11月18日オープン

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工事が進む「そよらひたち野うしく」

昨年10月に閉店した、ひたち野うしく駅東口前の「西友ひたち野うしく店」跡地にイオンの商業施設「そよらひたち野うしく」が11月18日オープンする。西友の施設を居抜きで活用する。他社跡地の既存建築を活用するのは「そよら」として初めて。

出店するイオンリテール(千葉市、古澤康之社長)は「出店を決める際には立地条件、交通利便性、周辺人口動態や地域特性などを総合的に判断して決定する」とし、「西友ひたち野うしく店跡地がたまたま居抜きに該当した。JR常磐線の駅前に立地し、子育て世帯が流入する発展著しいエリアであることから出店を決めた。結果的には投資金額も抑えられている利点もあった」とする。

「そよら」は、イオンリテールが新しく展開する都市型ショッピングセンターで、今月25日オープンしたばかりの「そよらつくば学園の森」(9月30日付)に続いて県内で2番目の出店となる。

常磐線利用客や牛久市周辺などの子育て世代を主なターゲットとする。ファミリー層が気軽に集い、思い思いの時間が過ごせる場とするため、約550席の大型フードコードを設け、さらにスポーツ観戦ができるディスプレイを設置する。2階には子供のための屋内型運動施設「のびっこ」を設置する。

立地は、ひたち野うしく駅改札口からペデストリアンデッキで店舗2階につながる。店舗は2階建て、敷地面積は約3万4700平方メートル、売場面積約1万1900平方メートル。

説明をする執行役員の永山久美子 北関東・新潟カンパニー支社長(右)と簑原邦明SC本部長

1階では、時短ニーズや健康志向に配慮した食品、地域で親しまれている商品のほか、食品売場内に日用消耗品や肌着、ベビーフードなど利用頻度の高い商品を販売する。

2階のヘルス&ビューティケア売場では、トレンドコスメや高機能ヘアケア商品、香りアイテムのボディ・ルームフレグランス、機能性衣類のリカバリーウェアなどを幅広くそろえる。ボビーや雑貨を扱うエンターテイメント売場では「祝う」「集める」「学ぶ」などのシーンをテーマ毎にゾーニングし、それぞれのテーマに沿った商品を販売する。

専門店はサイゼリヤ、バーガーキング,ミスタードーナツなど飲食店を始め、29店舗が入る。

商圏は牛久市、阿見町、龍ケ崎市など。車で10分以内のところに約10万人が住んでおり、駅の利用客も含め、年間150万人の利用客を見込む。

同社執行役員の簑原邦明SC本部長は「コロナ禍が過ぎて人々はリアルを求めており、データを見ても顧客数は増えている。既存施設の価値をもっと上げていきたい」と話し、今後も茨城南部に店舗を増やす可能性を示した。(榎田智司)

つくば市と水戸市の少子化対策を比較《水戸っぽの眼》18

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つくば市の子育て総合支援センター(写真は筆者)

【コラム・沼田誠】フェイスブックを眺めていたところ、千葉県の熊谷俊人知事の投稿が目に入った。少子化対策に関するもので、子どもの医療費や保育料の助成を競ってきた自治体の施策の多くは、少子化対策というより「社会増の奪い合い」だったのではないか、という指摘である。

千葉では全市町村が、高校卒業相当の18歳まで医療費を助成している(茨城でいうマル福)が、県内の出生数は9年で28%減ったという。知事は施策を、お金の支援と、可処分時間・子ども部屋を持てる住環境・出会いを整える策に分け、自治体が力を入れるべき施策は後者だと主張している。今回はこの指摘を踏まえ、つくば市と水戸市の施策をチェックしたい。

水戸は重要課題、つくばは人口増加

水戸市は人口減少を最重要課題に掲げている。2026年度は、給食費の無償化に13.1億円、第2子の保育料無償化に3.39億円を充てている。住まいを支える補助もあるが、規模は小さい。

気になるのは指標だ。第2次総合戦略は出生率1.70を目標にしたが、現行の第3次戦略の指標(概要版)に出生率はなく、年少人口や子育て世帯の社会動態が並んでいる。転入と転出の差を目標にするのは、熊谷知事の言う「社会増」の物差しそのもので、明確な転換があったようだ。

つくば市はどうか。2028年度の市長所信表明に「少子化」の用語は見当たらない。強調されたのは、人口増加率が全国第3位ということだ。第3期戦略プランでも、少子高齢化についての言及はあるものの、施策としてはパッケージ化されていない。対策として明示されているのは、不妊治療費助成(上限4万円)くらいだ。

両市の内容を整理すると、水戸は少子化対策を掲げ、手段はお金による支援が中心。つくばは転入によって人口が増えていることもあり、少子化対策を前面に出していない。

出生率、つくば1.49、水戸1.42

出生率はどうだろうか。厚生労働省の2018〜22年の5年間の推計値では、つくば市は1.49、水戸市は1.42、茨城県は1.34、全国は1.33。人口が増えも減りもしない水準(置換水準)は2.07で、いずれもこの数値には遠く及ばない。つくば市と水戸市に共通するのは、それぞれの施策が出生率に効いたかを確かめる数字が見えにくい。

出生率低下は、労働力の確保や社会保障制度の維持に関わる課題である。OECD加盟国のほとんどで出生率は置換水準を下回っているが、日本はその中でも下位に位置する。もちろん、婚姻や出産は個人の自由であり、強制できるものではない。だからこそ、婚姻や出産をしやすい環境だけは十分に整える必要がある。基礎自治体のレベルから、対策を間違えないことが重要なのではないか。

そうした環境を整えることは、結果的に他の世代にも住みやすい社会をつくることになるのではないだろうか。(元水戸市みとの魅力発信課長)

サンガイア、SVグロースに参戦 31日 ホーム開幕戦

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サンガイアの選手たち

バレーボール大同生命SV.LEAGUE GROWTH(SVグロース)男子のつくばユナイテッドSunGAIA(略称サンガイア、本拠地つくば市)は31日、結城市のかなくぼ総合体育館で今季開幕戦を迎える。対戦する千葉ドット(本拠地千葉市)は、今季サンガイアから3選手が移籍した因縁の相手だ。加藤俊介監督に開幕に向けた意気込みを聞いた。

SVグロースは、SVリーグと旧Vリーグの間に設置された新しいリーグ。将来的にSVリーグ入りを目指す8チームが集まった。「旧V1リーグ東西カンファレンスの上位チームが参加し、V1よりもレベルが上がった。トップリーグであるSVリーグの下部リーグということで、社会的な注目度も上がってくると思う」と加藤監督は期待する。

SVグロースでは選手の出場機会を増やし、実戦経験を積ませるための新ルールも導入された。その一つが選手交代回数の最大化だ。1セットにつき従来の6回から12回へと倍増された(SVリーグは国際ルールの8回)。例えば先発メンバー6人を全員ベンチに下げ、その6人をもう一度コートに立たせることも可能になった。またベンチ入り選手数の上限も、従来の14人から16人に拡大している。

「より専門的な能力を持った、一芸に秀でた選手の出番が増えると思う。2枚替えや3枚替えといった戦術的交替も使いやすくなる。初の試みなので、頭の中ではいろいろ考えているが、機能するかどうかは実際にやってみないと分からない面もある」

「目指すは優勝のみ」

そうした環境の変化の中で、サンガイアとしてはどのような戦いを繰り広げるのか。

意気込みを語る加藤監督

「目指すのは優勝のみ。ふたを開けてみないと分からないが、各チームとも陣容が大きく変化しており、リーグのレベルが上がってタフなゲームが増えると思う。それに対し、昨季も若い選手が多い中、最終節までプレーオフを目指して戦えた経験は、今季への大きな財産になっている」と加藤監督。

メンバーも大きく入れ替わった。特に注目したいのは地元出身選手2人の加入だ。まず笠間市出身のアウトサイドヒッター(OH)、佐々木駿(土浦日大高-明治大)。守備力に優れ、スピードある攻撃が得意。もう一人は石岡市出身のOH櫻井佑都(土浦日大高-日本大-レーヴィス栃木)。堅実なレシーブから攻撃力を発揮し、敵としてもやっかいな存在だった。

ミーティング風景

ほかにOHでは、昨季のポイントゲッター長谷川直哉は千葉ドットへ移籍したが、代わりに東地区得点王の小松一哉を埼玉アザレアから獲得。長谷川の穴を埋めてくれるはずだ。ミドルブロッカーも大きく入れ替わったが、山本帯刀(大同特殊鋼知多レッドスター)、水野徳力(フラーゴラッド鹿児島)ら新加入選手への期待は大きい。

「新メンバーが多いのでゲーム慣れが必要。序盤戦はコンビネーションに不安もあるが、気を付けて戦っていけば波に乗れると思う」と加藤監督。特に初戦の相手である千葉ドットには、長谷川のほか松林哲平、森居史和という昨季の主力3人が移籍しているので「絶対に負けたくない。しっかり2連勝でスタートしたい」という強い思いがある。(池田充雄)

サンガイアのホームゲーム日程
▽2026年
10月31日・11月1日 かなくぼ総合体育館 vs千葉ドット
11月21・22日 霞ケ浦文化体育会館 vsきんでんトリニティーブリッツ
12月5・6日 茨城トヨタスポーツパークうしく体育館 vsヴィアティン四日市
12月19・20日 つくばカピオ vsクボタスピアーズ大阪
▽2027年
1月16・17日 霞ケ浦文化体育会館 vs千葉ドット
2月6・7日 つくばカピオ vsアイシンティルマーレ碧南
2月20・21日 霞ケ浦文化体育会館 vs富士通カワサキレッドスピリッツ
3月20・21日 茨城トヨタスポーツパークうしく体育館 vsレーヴィス栃木

14年越しで隠岐諸島・海士町へ《文京町便り》57

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菱浦港でフェリーを見送ってくれた若者たち(写真は筆者)

【コラム・原田博夫】9月中旬、専修大学社会科学研究所(私は今、研究参与)の「地域資源を活用した地域づくりと産業振興」実態調査で、島根県の松江市、奥出雲町、海士町(あまちょう)を訪ねた。調査対象地に隠岐諸島の海士町が含まれていたことが、この調査に参加するきっかけだった。

14年前、日本経済研究センターの研究会(千代田区大手町)で、当時海士町長だった山内道雄さんの話を伺ったことがある。山内町長は「逆転の地域づくり・町おこし」で全国的に著名な方だった。町の現状打破に向け繰り出す政策に、地域おこしのリーダーとしての魅力を感じたものだ。

海士町が含まれる隠岐郡(隠岐諸島)は四つの有人島と180余の小島からなっている。四つの有人島が、海士町、西ノ島町、知夫(ちぶ)村からなる島前(どうぜん)と、隠岐の島町の島後(どうご)から構成されることを、今回の調査で初めて知った。

松江市に前泊した関係で、七浦港から隠岐汽船フェリーで約4時間かけて海士町の菱浦港(ひしうらこう)に到着した。同港はよく整備されていて、同町観光協会の若いスタッフが、われわれを市内の宿泊施設に案内してくれた。この若者たちが、海士町の現状を語る上で重要な役割を担っている。これだけの数の若者が昼日中から動き回っていることに驚いた。

宿泊拠点「Entô」は順調

海士町ではいろいろな施設を訪ねたが、町役場では、隠岐ユネスコ世界ジオパークで泊まれる拠点「Entô(エントウ)」を運営している青山敦士代表(北海道出身)の話をうかがった。宿泊料はかなり高いが、「隠岐の自然や人の営み、地球の時間を感じる滞在」をモットーに運営しており、事業は順調なようだ。

新しい庁舎1階のロビーでは、20数名の若者が何やら皆でプレゼンや意見交換している。ドアが開いている奥の町長室には「誰でも入れます」のプレートが掛かっている。のぞくと、青いTシャツ姿の中年男性から「ヤー、ドウモ」と、昔からの知り合いのような声が返ってきた。大江和彦市長で、2012年9月に山内道雄前町長からもらった名刺を取り出して見せすると、「やー、懐かしいな。私の名刺もこのスタイル、‘ないものはない’をほぼ引き継いでいます」と、人をそらさない人柄。

鳥取県の境港に向けフェリーで海士町を離れる際は、われわれの滞在をサポートしてくれた若者数名が横断幕を持ち、出航の銅鑼(どら)で見送ってくれた。調査団の海士町滞在と各種調査には相当の金額がかかったが、この経費は当然の対価ではないかと振り返っている。(専修大学名誉教授)

科学万博や鉄道…街の変遷たどる 国土地理院が「地図展つくば」

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江戸時代の地図が並ぶ2階特別展示室

24日から 県内初、開館30周年記念

「第59回地図展2026つくば―常陸の先人から研究学園都市・つくばへ」が24日、つくば市北郷、国土地理院内にある地図と測量の科学館で始まった。今年、同館が開館30周年を迎えたことを記念し、茨城ゆかりの地図製作者たちの業績やつくばの変遷を、地図や空中写真など約200点の資料で紹介する。11月1日まで。

地図展は、地図を通して国土や地域への理解を深め、地図の利用を促進することを目的に、1967年に東京で始まった。地図展推進協議会と国土地理院が主催し、茨城県内での開催は初めて。

茨城ゆかりの先人の古地図を展示

伊能忠敬が間宮林蔵に宛てた手紙

2階の特別展示室では、江戸時代後期に全国を測量して日本地図を作った伊能忠敬の「伊能図」をはじめ、茨城ゆかりの人物が手掛けた国内外の地図の複製などを展示する。日本地図の先駆者で高萩出身の長久保赤水、樺太を探検した幕府の役人でつくばみらい出身の間宮林蔵、小笠原諸島の地図を作った笠間出身の小野友五郎、地図や地理書を収集・研究した古河藩家老の鷹見泉石らを紹介する。伊能が間宮に宛てた手紙などの関連資料も並び、地図製作に取り組んだ先人たちの仕事を知ることができる。

2階の廊下には、1883年から2019年までに作られた、現在のつくば市域を描いた8枚の地図を展示する。さらに床面には、国土地理院の測量用航空機「くにかぜⅢ」が2025年から26年にかけて撮影した、つくば市の大型空中写真が広がる。縦7メートル、横6メートルの写真は、上空約4800メートルから撮影されたもので、縮尺は3500分の1。担当者によると、身長170センチの人が4800メートル上空の飛行機の窓から目にする光景と同じ縮尺を再現した。

2025年から26年にかけて撮影されたつくば市の航空写真

幻の城南電気鉄道谷田部線の資料も

1階の地図のギャラリーでは、「あの日のつくば、今のつくば、そしてこれからのつくば」をテーマに、主に1980年から現在までのつくば市の変遷を、地図や空中写真でたどる。1985年開催の「科学万博」に焦点を当てた展示では、万博会場があった谷田部地区や、万博開催に合わせて設けられた万博中央駅(現在のひたち野うしく駅)周辺などを取り上げ、建設前から現在までの街の変化を紹介する。このほか、土浦駅と岩瀬駅を結んだ筑波鉄道筑波線や、筑波山ケーブルカー・ロープウェイ、大正後期に建設計画が持ち上がった幻の常南電気鉄道谷田部線に関する地図、写真、パンフレットなども展示する。地域の交通の歴史を振り返ることができ、郷土史や鉄道に関心のある人も楽しめる内容となっている。

1階では、つくば市にまつわる鉄道の資料も展示される

開会式で、地図展推進協議会の稲葉和雄会長は、地図展が地図への親しみを深め、利用を促すために始まったとし、「デジタル地図が身近になる一方、紙の地図からは地形や文化財の分布、地域の発展の歴史などを読み取ることができる。また、水害時には標高を示す地図が避難先や水の流れを考える手掛かりになる。展示では、それぞれの気に入ったコーナーを楽しんでいただけたら」と来場を呼び掛けた。

国土地理院の河瀬和重院長は、長久保赤水や間宮林蔵ら茨城ゆかりの先人と、国土地理院がつくばに立地することとのつながりに触れ、「つくばは歴史ある街並みや筑波山を擁する一方、研究機関が集積する科学技術の拠点として発展してきた。つくばの魅力や日本の国土への理解を深めていただけるものと期待している」と話した。

つくば市内の科学館を巡る「つくばの科学館JAXA衛星スタンプラリー」の一環で訪れた大阪府の木村真さん(30)は、「伊能忠敬より42年も前に地図を作った長久保赤水という人がいると初めて知った。実際に歩いたわけではなく、膨大な資料や天文学の知識を集めて作ったことにも感銘を受けた」と話した。(柴田大輔)

展示会場の様子

◆「第59回地図展2026つくば―常陸の先人から研究学園都市・つくばへ」は、つくば市北郷1、国土地理院内の地図と測量の科学館で、11月1日(日)まで。会期中は休館日なし。開館時間は、午前9時半から午後4時半まで。入館受付は午後4時まで。入場無料。来場者には記念地図が配布される。イベント詳細、問い合わせは一般社団法人日本地図センターのイベント公式サイトへ。

▽25日(日)午後1時半から1階ラウンジで講演会が開かれ、日本地図センターの初代地図大使を務めるタレントの石原良純さんが「地図と空を飛ぶ~眼下に広がる地図景色~」と題して講演する。同日午後3時からは1階オリエンテーションルームで、法政大学文学部の米家志乃布教授が「江戸の地図と出版文化」をテーマに講演する。それぞれ予約不要。入場無料。

▽25日(日)午前10時半、31日(土)午前10時半、午後1時半からは、小学生を対象としたワークショップ「手作り地球儀に挑戦しよう!」が開かれる。球体カプセルを使って小さな地球儀をつくる。各回15組(1組3人まで)。事前予約制。予約は公式サイトから。

▽11月1日(日)午前10時から午後4時まで、野外会場で、一定の歩幅を保つことで測量した伊能忠敬をモデルに、歩幅を測って歩測で距離を調べる「歩測チャレンジ」が開かれる。予約不要、雨天中止。

時間をかけて作り上げる人生のレシピ《マンガサプリ》12

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写真は筆者

【コラム・瀬尾梨絵】目まぐるしく変化する現代社会の中で、私たちはつい効率やスピードばかりを求めてしまいがちだが、世の中には「時間をかけること」でしか生まれない奥深い、うま味や温もりがある。今回ご紹介するのは、「じゃああんたが作ってみろよ」など人間味あふれる日常と魅力的な食を描く名手、谷口菜津子先生の「まめとむぎ」(双葉社、初版2024年出版、3巻完結)だ。

本作の見どころのひとつは、作中に登場する数々の発酵食品を使ったおいしそうな料理の数々。みそ、しょうゆ、塩こうじ、みりん、甘酒、そして酒かす。日本の食卓をそっと支えてきた発酵食品たちが、ていねいな手仕事によって絶品の一皿へと姿を変えていく。じんわりと身体に染み渡るような温かな料理の描写は、ページをめくるだけで豊かな香りが漂ってきそうなほど魅力的で、読んでいるだけで心が解きほぐされていく感覚を味わうことができる。

そしてこの作品の真骨頂は、料理のテーマである「発酵」が、主人公である米田マメと清水麦をはじめとする登場人物たちの生き方そのものに見事に重ね合わされている点にある。発酵とは、微生物の働きによって時間をかけて素材のうま味を引き出し、新たな価値を生み出すプロセスで、即効性はない。

じっと待つ時間、寝かせる時間があってこそ、角が取れ、深くまろやかな味わいが完成する。そして物語の中で描かれるマメと麦の人生もまた、決して平坦でスピーディーなものばかりではなく、時には迷い、立ち止まり、思い通りにいかない日々に葛藤することも。しかし2人が過ごす日常の積み重ねや、他者との温かな交わりは、まるで時間をかけて熟成されるみそやしょうゆのように焦らずに紡がれた時間によって、彼女たちの人生は少しずつ発酵し、豊かで深みのあるものへと変化していく。

心のごちそうのような名作

夏も終わり、夜が長くなり、「今の自分の歩みは遅すぎるのではないか」「何にもなれていないのではないか」と不安になるとき、この作品はそっと寄り添ってくれる。一見すると立ち止まっているように見える時間や、うまくいかないもどかしい遠回りすらも、人生という味わいを深くするための熟成期間なのだと教えてくれる。

谷口菜津子先生ならではの、いとおしくも生々しい人間描写と、おししい料理の湯気。その向こう側に広がる人のぬくもりと人生の豊かさを、ぜひ体感してみてほしい。慌ただしい日常から少しだけ離れて、温かいお茶を片手にじっくりと味わいたい、心のごちそうのような名作だ。(牛肉惣菜店主)

VR体験などで認知の不思議に迫る 日本国際学園大で学園祭

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来場した高校生に色の見え方について話す横澤ゼミ3年の亀山拓己さん

日本国際学園大学の学園祭「第35回KVA祭」が24日、つくば市吾妻、同大つくばキャンパスで催された。VR(バーチャルリアリティ、仮想現実)空間を体験しながら認知や身体感覚の不思議に迫ったり、留学生それぞれの出身国の文化に触れるイベントなど、さまざまな催しが行われた。

認知の不思議に迫る企画を出展したのは、認知心理学が専門の横澤一彦教授率いる横澤ゼミの学生と卒業生。3年の亀山拓己さん(20)は、モニター画面に横縞模様のドレスと、カラーの靴ひものスニーカーを映し出し、それぞれ何色に見えるかと来場者に質問。人によって色の見え方が異なることを実証し、来場者を驚かせた。亀山さんによると、周囲の明るさなどを手掛かりに、脳が本当の色を無意識に補正し推測して色処理するため、人によって色の見え方が異なるのだという。3年の高橋晴南さん(20)は、モニター画面で仮面や人のシルエットを回転させ、錯視といわれる現象を説明した。現在はそれぞれIT企業に勤める同ゼミ卒業生の犬嶋美雨さん(24)と鈴木瑞穂さん(23)も応援に駆け付け、VRゴーグルを着装して仮想空間の街中を散策しながら、来場者に距離や大きさなど空間認識の違いを体験してもらうなどした。

横澤教授は「当たり前と思っている色や動きの見え方や空間認識が、実は当たり前ではないこと、どう認識するかは人によって違うことを、実験データに基づいて知り、人間とはどういうものかを知って、学生たちが社会に出て生かしてくれれば」と話す。

留学生同好会のイベント会場で、ウズベキスタンの伝統衣装を試着する同大の学生

ほかに、同大の留学生でつくる留学生同好会が、さまざまな国旗を見せて、国名と世界地図上の位置を当てるクイズを出したり、留学生それぞれの出身国の伝統衣装や楽器、貨幣などを持ち寄って展示したり、試着体験会を開くなどした。ウズベキスタン出身の留学生、ジヨダさん(32)は「入学を希望する外国人も見に来てくれた。そういう人には、入学した後は一人じゃないということを伝えたい」と話した。

オリジナルデザインのトートバックやポスターカードなどを販売するメディアデザイン部の学生

メディアデザイン部は、オリジナルデザインのトートバックや缶バッチ、ステッカー、ポストカードを販売。茶道部は、来場者に抹茶をふるまうなどした。アルバイトをしながらエステティシャンの民間資格を取得し、卒業後は起業してサロンを開くことを目指している4年の田井真央さん(22)は、てのひらや指先をマッサージしたりケアするハンドエステの体験会を開いた。

ハンドエステ体験会を開く田井真央さん

市内から家族で来場した50代女性は「皆、頑張ってるなと感じた。準備も大変だったと思う」と話していた。現在、子供が同大に通っているという。

KVA祭実行委員会委員長で4年の小林亮太さん(21)は「この大学は留学生が多く、世界のさまざまな言語や文化に出会える大学なので、今年のテーマを、さまざまな色の花が咲き乱れるという意味の『千紫万紅(せんしばんこう)~開け!世界への扉』とし、さまざまなバックグラウンドをもつ学生が一つの同じ目標を目指して、つくっていくということを意識した。今年3月から、テーマや企画を考え、つくってきた」と話している。(鈴木宏子)

キノコ食文化の奥深さを紹介 筑波実験植物園で企画展

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展示を担当する保坂健太郎さん

24日から

国立科学博物館筑波実験植物園(つくば市天久保)で24日、企画展「きのこ展~驚きの菌食の世界」がスタートした。2010年に始まった恒例の企画展で、今年は「食」をテーマに、日本各地や世界に残るキノコやカビ、酵母などの菌類を利用した食文化を研修展示館1階で紹介する。多目的温室では、つくば市を中心に日本各地で採集された野生キノコや、栽培されたキノコが生の状態で展示される。

担当する同館植物研究部菌類・藻類研究グループ研究主幹の保坂健太郎さん(50)は「一時的なブームではなく、伝統的に定着してきた食文化を紹介したい」と話す。食文化として根付いていても、広く知られているとは限らない。世代を超えて受け継がれてきた食習慣が失われつつあることも、展示の背景にある。

研修展示館1階の展示の様子

「日本の食文化」で取り上げるナラタケは、各地に分布し、かつて広く食べられていたと考えられるキノコだ。「アシナガ」「ボリボリ」「ササンボ」など地域によって呼び名が異なる。多様な呼び名も、人々の暮らしに根付いてきたことを示す手掛かりだ。

「世界の食文化」では、カリブ海のハイチで「ジョンジョン」と呼ばれるキノコを紹介する。煮出すと黒い色が出る特徴を生かし、その汁で米を炊く料理に使われる。保坂さんは、西アフリカにも共通する食文化があることに着目し、その起源や地域ごとの食べ方の違いを調べており、研究成果も展示する。

キノコだけでなく、カビや酵母を利用した食文化も紹介する。その一つが、木を切った後に出る樹液に酵母が集まり、「スライムフラックス」と呼ばれるオレンジ色の塊だ。「やまかぜ」や「やまうに」という名称で、青森県や長野県の一部で伝統的に食べられてきた。

伝統的な食文化に加え、将来の食の可能性にも目を向ける。肉の生産に伴う環境負荷などを背景に注目される代替肉もその一つだ。カビの一種を培養して得た菌糸体を使う英国発祥の食品「クォーン」を紹介する。「食感も肉に近く、おいしい。菌糸を使った代替肉は今後、主流の食料になっていくかもしれない」と期待を寄せる。

実際にキノコを食べたレポートも展示されている

見て、触って、嗅いで、知ってほしい

保坂さんによると、日本には約5000種、世界には約2万種のキノコがあるとされる。また、各地で伝統的に食べられてきたものがある一方で、あまり知られていない種類も多い。「日本や世界には、知られていない食文化があることも知ってほしい」と話す。

会場では、つくば市内を中心に各地で採集した野生キノコと栽培キノコを、生の状態で入れ替えながら、常時約100種類を展示する。野生と栽培のキノコを一度に見比べられるほか、香りを嗅いだり、手で触れたりできるのも特徴だ。保坂さんは「茨城県南部は山が多い地域ではないが、身近な場所にも多様なキノコが生えている。キノコが少ないといわれるこの時期に、これだけの種類があることも魅力の一つ」とし、「ヌメヌメしたものなど、触ってみると違いが分かる。ぜひ、たくさんのキノコを見て、匂いを嗅ぎ、触れて体感してほしい」と来場を呼び掛ける。(柴田大輔)

◆企画展「きのこ展~驚きの菌食の世界」はつくば市天久保4-1-1 国立科学博物館 筑波実験植物園で開催。会期は11月1日(日)まで。会期中は休園日なし。開園時間は午前9時から午後4時半、入園は午後4時まで。入園料は一般320円、高校生以下と65歳以上、障害者などは無料。問い合わせは同園ホームページへ。

◆研修展示館2階では、つくば市在住の木版画家・武井圭子さん、守谷市在住の画家・本田尚子さん、きのこを利用した押し絵作家の中谷佳詩子らによる、きのこをモチーフにした作品が展示される。同館3階では、きのこ画コンテスト「きのコン」の応募作品約200点が展示される。11月1日(日)正午から、入賞者の表彰式が開かれる。

◆保坂さんが植物園内に生息するきのこを案内するツアー企画「植物園きのこ案内」は、24日(土)、25日(日)、30日(金)、31日(土)、11月1日(日)、午後1時から。

◆期間中、小学生以上を対象としたワークショップが研修展示館3階で開かれる。▽「きのこのプラバンストラップつくり」は、24日(土)、25日(日)、31日(土)、11月1日(日)午前10時から正午、午後1時から午後3時までの間、30分ごとの入れ替えで、定員は各回10人。整理券は午前9時40分と、午後0時半から同会場にて配布。▽「きのこの折り絵パズル」は、24日(土)、25日(日)、31日(土)、11月1日(日)。午前の部が午前10時から、午後の部が午後1時から、それぞれ30人が定員。整理券なし。幼児は保護者同伴。