水曜日, 12月 31, 2025
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不適切な事務 新たに4点 つくば市生活保護行政 県監査で指摘

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生活保護行政を担当するつくば市社会福祉課窓口

生活保護行政をめぐり茨城県福祉部が今年度実施した一般監査で、つくば市に対し、新たに4点の不適切な事務を指摘し、市に改善を求めていたことが情報開示請求で分かった。

つくば市の生活保護行政をめぐっては、誤認定や過支給など不適正な事務処理が2024年度に相次いで明らかになり、市は今年6月、実態調査の結果と再発防止策を記した報告書をまとめたばかり。報告書の調査は十分だったのかが問われる。

県の監査結果は今年8月に市に通知され、市福祉部は9月に改善報告書を県に提出した。市は4点の指摘事項をいずれも認め、県に改善に向けた取り組みを報告している。

問われる再発防止策の実効性

不適切だと指摘を受けた4点のうちの一つは、2024年度に発覚した障害者加算の誤認定の後処理をめぐるもの。県の監査で「自立更生費の検討過程について記録が不十分な事例」があり不適切だなどと指摘された。

市は、誤認定により生じた過支給分の返還を生活保護受給者に求めるにあたり、一部の受給者について、過支給分から「自立更生費」を差し引いた上で返還を求めた。自立更生費とは、受給者が就労や健康回復など日常生活や社会生活上の自立を目指すために必要な費用で、家電の買い替え、資格取得の学費、就労に必要な衣服の購入費、住宅の修繕費などが認められる。

6月の報告書で市福祉部は、誤認定をめぐる再発防止策として「今後の誤認定を防止するため、法令を再確認し、チェックリスト、フローチャートの作成を行い」「法令と根拠資料を突合し、要件の確認を徹底していく」など、自ら再発防止策を掲げていたにもかかわらず、県から指摘を受けた。

県の指摘に対し市は「ケース診断会議で自立更生費の詳細な検討は行っていたものの、記録についての認識不足により検討過程の記録が不十分だった」と県に回答しており、6月の報告書で自らまとめた再発防止策の実効性が問われた形だ。

自立更生費に清涼飲料水121万円

一方、市が誤認定の後処理をするにあたり、具体的に何を自立更生費と認め、返還金から控除したかが、情報公開された資料で一部明らかになった。返還に関する資料に自立更生費として「清涼飲料水代121万750円」「電動自転車12万円」「貸し倉庫利用料10万6244円」などが記されており、生活保護に詳しい関係者によると、通常は認められることが難しい内容だという。

自立更生費として控除したのは最大で過去5年分という。詳細は明らかにされてないが、121万円の清涼飲料水の場合、仮に1本150円と計算すると8071本分、1日当たり4.4本に相当し、5年間にわたって毎日、150円の清涼飲料水を4.4本を飲み続けた額に相当する。この点について市社会福祉課は、医師に病状調査し決定したなどとし、対象者の生活状況や病状によって必要かどうか個別に検討した結果であり、適正だったとする。

不適切な診断料500件超

監査での県の指摘事項はほかに①生活保護受給申請者の親、きょうだい、配偶者などに経済的に援助する力がないかを調査する扶養能力調査が適正に実施されていない事例があった、②受給者の収入の課税調査について、遅くとも8月分の保護費に反映するとされているにもかかわらず、課税調査の完了が9月となっている事例があった、③障害年金の受給を申請する際に必要となる診断書料の支給手順について、本来、市が検診命令を出し、医療機関からの請求を受けて、市が医療機関に支払うべきところ、申請者が医療機関に診断書料を払い、市が申請者に支給していたなど、国の通知に基づかない不適切な診断書料の支給が2019年度から5年間で500件を超過していたことが新たに認められたーなど。

③500件を超える不適切な診断書料の支給について市社会福祉課は「県には以前から運用誤りの報告をしていた」などとして、県に監査結果通知の訂正を求めていたが、県は「見解は変わらない」としている。市によると、不適切な診断書料の支給は550件225万1350円分で、国に返還する必要はないとしている。(鈴木宏子)

認知症の理解《メディカル知恵袋》13

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筑波メディカルセンター病院

【コラム・廣木昌彦】認知症は誰もが発症する可能性のある大変身近な脳の病気です。「考える」「認識する」「記憶する」などの脳の機能が、病気やけがなどで悪化して、日常のさまざまなことに助けが必要な状態をいいます。認知症の最大のリスクは加齢で、超高齢化が進んでいる日本では、2025年には認知症の患者は最大で730万人で、65歳以上の高齢者の5人に1人に達すると厚生労働省の調査で推計されています。症状が進むと家族や社会の問題へとつながるため、一人ひとりが認知症を自分自身の問題として正しく理解しておくことが大切です。

加齢と認知症:物忘れの違い

うつ病などの精神科の疾患や多くの高齢者に見られる加齢による物忘れは認知症ではありません。加齢による物忘れと認知症による物忘れは以下のように違います(表1)。

認知症の原因

認知症の原因となる疾患は、アルツハイマー病(アルツハイマー型認知症)、レビー小体病(レビー小体型認知症)、脳梗塞や脳出血などの脳血管障害の3つが大半を占めます(図1)。アルツハイマー病とレビー小体病は脳の神経細胞が緩徐(かんじょ)に変性し脱落していく病態です。アルツハイマー病は認知症の最も頻度の高い原因で、脳にアミロイドβという特殊なたんぱく質がたまり、それが神経細胞を破壊して、認知症の症状を出現させる病気です。

レビー小体病は脳の神経細胞にレビー小体という異常なタンパク質がたまることで、認知機能が低下する病気です。レビー小体型認知症は運動機能が低下するパーキンソン病と病態が共通することが分かっています。脳梗塞や脳出血に関連した認知症は血管性認知症と言われ、血管の閉塞(脳梗塞)や破綻(脳出血)により脳組織が破壊されることにより生じます。脳のさまざまな場所に起こり得る病態ですので、脳の機能障害もさまざまで、「まだら認知症」といわれています。

認知症の診断

認知症の診断は、日常生活や職場の様子などの問診が重要なため、診察時にはご家族に同席していただきます。認知機能低下の評価として、質問に答えていく形式の検査を行います。さらに血液検査と頭部CTまたはMRI検査を行うことで、根本的治療が可能であるビタミンB欠乏症、甲状腺機能低下症、正常圧水頭症、慢性硬膜下血腫などが診断され、血管性認知症は通常、頭部MRIで診断されます。

これらの疾患が該当しない場合は、頭部CTまたはMRIで脳の萎縮(やせ)や脳梗塞、脳出血などについてさらに詳しく評価し、その結果アルツハイマー型認知症またはレビー小体型認知症が疑われる場合は、最終診断のために脳血流スペクト検査に進みます(図2)。この検査は脳の機能を画像化および定量化するものです。レビー小体型認知症の診断のためには、必要に応じて「MIBG心筋シンチ検査」「DATスペクト検査」という検査を追加します。

認知症の治療

現在のところ認知症を治癒させるものはありません。アルツハイマー型およびレビー小体型認知症に対しては進行を止めることは困難ですが、薬物治療で進行を遅らせることは可能です。現在日本では、アルツハイマー型およびレビー小体型認知症に対して、進行の抑制を目的としたいくつかの内服薬と貼付薬および注射薬が保険適応となっています。また近年、アルツハイマー型認知症に対し、「レケンビ」「ケンサラ」という2つの点滴製剤が保険収載されました。

どちらの薬剤も進行を遅らせる効能ですが、アルツハイマー病の原因とされる脳内にたまったアミロイドβを除去する作用があり、大変注目されています。この治療を実施するためには、施設と医師の要件が定められており、茨城県でもいくつかの限られた病院のみ治療実施が可能です。

さらに薬価が高く、患者さんの自己負担費用が、年間10数万円から100万円程度となることが問題ですが、「レケンビ」は今後薬価が引き下がる予定であり、自己負担が軽減されることが見込まれています。血管性認知症も根本的な治療はありませんが、進行予防は可能です。高血圧や糖尿病などの血管危険因子のコントロールや抗血栓薬の内服などで脳梗塞や脳出血の再発を予防することが重要です。

認知症疾患医療センター

認知症は経過とともに、せん妄、抑うつ、興奮、焦燥などの精神症状(心理行動症状)が伴い、介護者または家族に大きな負担となります。しかし、このような症状は適切な内服薬で安定させることが十分可能ですので、担当医師に適切にその状態を伝えることが重要です。

そして認知症の患者さんは、自動車の運転、徘徊(はいかい)や行方不明、虐待、詐欺などの被害、自宅のゴミ屋敷化など、さまざまな問題があり、これらの対策として介護保険サービスが活用されています。介護保険サービスは、主治医、社会福祉士、ケアマネジャー、保健師を含め包括的に支援に取り組む地域包括支援センターで相談することができます。また、認知症の医療相談や診察に応じる認知症疾患医療センターが各地域に設置されています。

当院はこのような介護と医療のシステムを十分利用し、患者さんを取り巻く問題を解決してまいります。(筑波メディカルセンター病院 脳神経内科 専門部長)

山本五十六元帥と土浦 いくつかの符合(2)《文京町便り》47

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土浦藩校・郁文館の門=同市文京町

【コラム・原田博夫】前回コラム(11月23日掲載)では、慶應義塾塾長・小泉信三(1888~1966年)の一人息子・信吉(海軍主計中尉、1942年10月22日の戦没後大尉進級)に関連して、信三博士の交友・人脈のうち、旧制土浦中学(現土浦一高)卒の武井大助氏(1887~1972年、海軍主計中将などを歴任)との交誼(こうぎ)に焦点を当てた。今回は、信吉中尉への各般の弔問・弔意の中から、土浦に関連がある2人に目を向けてみたい。

1人は、信吉氏が乗船していて轟沈(ごうちん)した戦艦・八海山丸の艦長・中島喜代宣大佐(戦没後少将)である。北品川の小泉邸へ弔問に数回訪れた武井氏が小泉博士に語ったところによれば、中島艦長は武井氏と中学時代の同級生(土浦中学第3回生、1904年3月卒)だったとのこと。

小泉信三「海軍主計大尉 小泉信吉」(私家版1946年刊、文藝春秋版1966年刊、文春文庫版1975年刊)によれば、八海山丸艦長の夫人・中島まつ子は、夫とともに戦死した信吉・海軍主計中尉の報に接し、1943年1月、次男の宣二(海軍少尉)とともに小泉邸を弔問に訪れ、夫君の出発日朝の様子などを語っている。

数日後、信三博士自身も上落合の中島邸を訪れている。帰宅後に受け取った海軍省人事局長からの速達便には、子息・信吉の海軍主計大尉進級が官記されていた。

この交流には、中島大佐と土浦中学で同窓だった武井氏が介在していたことが推測できる。中島大佐と土浦中学同窓だった武井海軍主計中将は、東京高商(現一橋大学)在学時、福田徳三博士宅で開かれていたアダム・スミス輪読会で信三博士と懇意となり、これが二人をつなぐことになった。

対米開戦直前、霞月楼に礼状

2人目は山本五十六元帥(1884~1943年、戦没後授与)である。山本元帥は1924年、霞ケ浦航空隊(いわゆる予科練)副長として赴任し、航空部門を中心とした海軍力の強化を図った。酒はダメだが酒宴は嫌いでなかったようで、しばしば、土浦市内の料亭「霞月楼」を訪れていた。

当時の若い海軍兵たちの酒宴はかなり乱暴だったようで、霞月楼に今でも保管されている山本元帥の礼状(真珠湾攻撃直前の1941年12月5日付、連合艦隊旗艦長門から)には、無礼講(ぶれいこう)へのお詫びとともに、自分にとっては「最後の御奉公」と記されている。この間の事情は、故堀越恒二(霞月楼元社長)著「記念誌:霞月楼100年」(非売品)に記されている。

山本元帥は信三博士とも交誼があり、元帥からの手紙(1942年11月尽日付、開封は12月21日)には、謹呈された信三博士著「師・友・書籍 第二輯」への礼のあとに、令息(信吉主計中尉)戦死への悔やみが述べられ、自分も「最後の御奉公」に取り組んでいる旨が記されている。元帥も、和歌では武井主計中将(1965年、歌会始の召人)を先達としていたようで、そのことも「海軍主計大尉 小泉信吉」で言及されている。

信三博士は、山本元帥が知友・武井氏と趣向が同じ点でも、元帥に親近感を抱いていたようである。1943年5月21日、慶應義塾教職員俱楽部で山本連合艦隊司令長官戦死のラジオ放送を聞いた時には(実際の死没は4月18日)、満腔(まんこう)の敬意をもって、塾生に知らせるよう指示した。ちなみに、第一艦隊司令長官は、1941年8月、山本海軍大将から、武井大助氏や中島喜代宣氏と同級の高須四郎海軍大将(1884~1944年)に替わっている。これも符合の一つである。

私の(母方)祖父から伝承された「手本とすべき先輩たち」の話に導かれ、小泉信三「海軍主計大尉 小泉信吉」は、私にとっては無視できない符合がいくつか重なった。それらを個人的な記憶として風化させるべきではないと考え、2回にわたり記した次第。(専修大学名誉教授)

里山収穫祭 大人も子供もダンス《宍塚の里山》131

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写真は筆者

【コラム・古川結子】11月23日、土浦市の宍塚の里山で行われた「秋の収穫祭」で、ダンス企画が行われました。私は、法政大学公認の環境系ボランティアサークル「キャンパス・エコロジー・フォーラム」(略称 キャンエコ)の活動として、収穫祭の運営補助をする中で、サークルのオリジナル曲に合わせて踊る機会をいただきました。

「宍塚の里山」はキャンエコのメーン活動の一つであり、普段は毎月第4日曜日に宍塚を訪れ、環境保全活動を行っています。

このダンス企画が始まったのは、昨年4月に行われた「春の収穫祭」からです。バレエやダンスに親しんできた私に対し、里山でキャンエコの活動をサポートしている「宍塚の自然と歴史の会」の齋藤桂子さんが提案してくださったことがきっかけでした。そこから、収穫祭では、はやりの曲に合わせて地域の子供も大人も一緒になって踊ってきました。

そして今回、秋の収穫祭に向けた準備の中で、齋藤さんから「ぜひキャンエコでオリジナルのダンスを作ってほしい」と言っていただきました。卒業を控えた自分にとって、この言葉はとても大きく、思い切ってオリジナル曲の制作と振り付けに挑戦することにしました。

歌詞は、サークルの仲間と協力して書き上げ、AIを使って曲を完成させました。振り付けは子供から大人まで踊れるように意識しました。

里山で生まれた一体感

「踊る」という行為は、慣れない人には少し恥ずかしく感じるかもしれません。それでも、音楽に合わせて身体を動かす楽しさを、少しでも感じてもらえたらという思いがありました。

当日、最初は遠慮がちに周りで見ていた大人の皆さんも、学生や子どもたちにつられるように輪に入り、楽しそうに踊っている様子を見て、とてもうれしかったです。踊り終わったころには、初めて会う人同士でも距離が縮まっているのが、ダンスのすごいところであると感じました。

宍塚の里山は、多くの人の手によって守られています。今回の収穫祭でのダンスが、里山の存在やキャンエコの活動を知るきっかけになっていたら幸いです。みんなで踊った様子は動画として記録し、YouTubeにも公開しています。これをご覧になり、里山で生まれた一体感を、多くの方に感じていただけたらと思います。(法政大学キャンパス・エコロジー・フォーラム 4年)

個人情報記載の住宅地図を誤配布 つくば市

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つくば市役所

つくば市は26日、同市谷田部、陣場ふれあい公園周辺の352世帯に、公園近隣の86世帯の名字など個人情報が入った住宅地図を誤って配布してしまったと発表した。うち2世帯は名字と名前が入っていた。

市公園・施設課によると、同公園でのボール遊びについて注意喚起する文書を、公園の位置を示す拡大した住宅地図を付けて周辺世帯に配布した際、本来、地図の個人情報を削除すべきところ、削除せず配布した。

23日午前10時~正午ごろ、市職員が公園周辺の352世帯に配布、2日後の25日、通知文書を受け取った市民から市に、住宅地図に個人情報が記載されている旨の電話があった。

市は26日、地図に個人情報が掲載された公園近隣の86世帯に対し謝罪の文書を配布。さらに周辺の352世帯に対し、23日配布した住宅地図の破棄を依頼する文書を配布したほか、個人情報を削除した住宅地図を改めて配布した。

再発防止策として同課は、個人情報の取り扱いや外部への情報提供の方法について見直しを行い、再発防止に努めますとしている。

大の里の姿を精巧に表現 雲竜型土俵入りなど人形2体を贈呈

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贈呈された人形と記念撮影に応じる(左から)関彰商事の関社長、大の里、人形師の石川佳正さんら=二所ノ関部屋

横綱昇進祝し 関彰商事

第75代横綱に昇進した大の里を祝し、記念人形の贈呈式が25日、阿見町荒川本郷の二所ノ関部屋で行われ、関彰商事(本社 筑西市・つくば市)の関正樹社長が特別に制作された記念人形2体を大の里に贈った。

人形は、雲竜型の土俵入りをする戦う表情の大の里と、横綱に昇進し着物姿で喜ぶ表情の2体。土俵入りの人形は、高さ36センチ、幅40センチ、奥行き20センチ、着物姿は高さと幅が46センチ、奥行き32センチの大きさで、いずれも大の里の力強く気品あふれる姿を精巧に表現している。

桐の粉で作った胴体に溝を彫り、布の端をきめ込む「江戸木目込人形」の技法を用いて、さいたま市岩槻区の老舗人形店「東玉」の人形師で伝統工芸士の石川佳正さんが製作した。石川さんは「大変名誉な仕事を預かり光栄。制作には、他の仕事をキャンセルして1カ月かかった。陰影を出すように、肌の色などはつるっとしないように工夫した。はかまは京都の西陣織を採用した」などと説明した。

大の里は「素晴らしい作品が出来上がった。大変光栄なことで、感謝とともに、これを励みにさらに精進していきたい」と語った。

石川さんから人形の説明を受ける大の里(右)

関彰商事は、牛久市出身の二所ノ関親方(当時は稀勢の里)が十両だった2004年から、関正夫会長が「稀勢の里郷土後援会」の会長を務めたなど、長年にわたり二所ノ関親方を支援。親方になってからも二所ノ関部屋を支援している。今回の贈呈も、これまでの継続的な後援活動の一環として行われた。

関社長は人形師の石川さんに感謝し、大の里には今後の活躍にエールを送った。(榎田智司)

30年度1学級増、33年度2学級減 つくばエリアの県立高 県高校審議会答申資料で推計値

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答申がまとめられた県高校審議会の様子=25日、県庁

2027年度以降の県立高校教育改革の方向性を検討する県高校審議会(委員長・笹島律夫常陽銀行会長)が25日、県庁で開かれ、答申をまとめた。

人口が増加している「つくばエリア」(つくば市など4市)の今後の募集学級数と募集定員について、答申の参考資料の中で推計値が示された。同エリアの全日制県立高の2025年度の入学者数は2203人なのに対し、30年度は31人増え2234人となる一方、33年度の入学者数は63人減り(25年度比は32人減)2171人になるとして、25年度の同エリアの学級数が58学級(募集定員2320人)なのに対し、30年度は1学級(40人)増えて59学級(2360人)、33年度は2学級減り(25年度比は1学級減)57学級(2280人)になるとする見通しが示された。

推計値について県高校教育改革推進室は「入学者数や募集学級数はあくまで現時点の推計値であり、(実際には)県教育委員会が志願の状況や欠員の状況などを踏まえて策定する」としている。

市民団体「実態に合わない」

一方、つくば市やTX沿線に県立高校の学級増や新設を要望してきた市民団体「つくば市の小中学生の高校進学を考える会」の片岡英明代表は「つくばエリアの子供たちが増えていることが反映されていない。県の推計値は入学率をもとに入学者数を推計している。もともと県立高校が少ないつくば市は、市内の県立高校に入学する生徒が少なく実態に合わない」と話している。

片岡代表は2033年度のつくばエリアの中学卒業見込者数が25年度の4393人より226人増えて4619人になり、日立エリア(日立市など3市)と水戸エリア(水戸市など4市)を合わせた4425人を上回ると推計され、さらに38年度にはつくば市1市だけで中学卒業見込者が3392人と見込まれ、日立エリアと水戸エリアを合わせた3429人に匹敵する推計値が出されていることから、「つくばエリアは県立高校の緊急な定員拡大と本格的な対応が必要」だなどと指摘している(12月21日付)。

人口増 答申で具体的言及なし

つくばエリアで子供の数が増えている問題については、答申に具体的言及は無く、県全体の県立高校の適正規模について「今後、地域ごとの中学卒業者数の差はますます鮮明になっていくと予想されるため、引き続き、県内全ての地域に一律で適用する適正規模の基準は設けないことが望ましい」などとするにとどまった。

ただし同審議会の専門部会(部会長・中村麻子茨城大副学長)では、つくばエリアについて「教育を目当てに移住する人もいるので、学級数の増を考えてもいいのではないか」とする意見が出た一方、「今、人口が増えているつくば市もいずれ減っていくので、新校設置はあまり現実的ではない」「最終的に生徒が減っていく中、学級数の増をすると、近隣の学校に様々な影響が出る。学級数増については慎重に検討していく必要がある」などの意見が出たことが紹介された。

答申もとに基本プラン策定へ

25日まとまった答申は、来年1月下旬に県教育委員会の柳橋常喜委員長に手渡される。答申を踏まえ来年度の早い時期に、県の全体計画である「県立高校改革プラン基本プラン」が策定され、パブリックコメントなどが実施される予定。

答申の主な内容は、県内の中学卒業者数は1989年の4万9441人をピークに年々減少し、2025年には2万5192人となり、35年には約1万9500人まで減少すると予測されているなどから、中学校卒業者数の変動に対する対応として、生徒数が減少傾向にあるエリアでは、高校規模の縮小が一層進むと予想されるためICTを活用した同時双方型の遠隔授業を推進していくことが求められる。規模が縮小した学校の活力向上を図るため学校連携型キャンパス制のような高校同士が連携する学びの仕組みを一層推進することが重要―などとしている。

学級編成については、小中学校の1学級40人学級から35人学級への引き下げを受けて、特に生徒数の減少が大きいエリアでは、高校の特色の一つとして少人数学級編成を行うことも考えられる。農業、工業、商業学科など学科の在り方については、各エリアの生徒数によっては、複数の学科を総合学科に改編することも考えられるーなど、県全体の生徒数減少に対する対応について方向性を示している。

ほかに、今回の答申では新たに「選ばれる県立高校であるための魅力訴求」についての項目が設けられ、情報化社会の広報について、学校説明会への参加意欲を促すため、学校・学科の魅力や生徒の日常の様子、様々な取り組みなどをウェブサイトを活用して日頃から情報発信することが望ましい。AIなど先端技術については、さまざまなリスクが含まれることも想定され、これまで以上に倫理観や情報リテラシーの育成が求められるーなどが盛り込まれた。

参考資料で示された県全体の今後の募集学級数と定員の推計値は、25年度の全日制県立高の入学者数が1万6098人なのに対し、30年度は1111人減って1万4987人となり、33年度はさらに1438人減って(25年度比は2549減)1万3549人になることが推計されることから、募集学級数は25年度が442学級(募集定員は1万7630人)なのに対し、30年度は30学級減り412学級(1万6430人)、33年度はさらに40学級減り(25年比70学級減)、372学級(1万4830人)となる推計値が示された。(鈴木宏子)

「たくさんの応援で結果出せた」筑波技術大 星野選手ら デフリンピック

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石原学長(右端)に活躍を報告する(左から)テコンドーの星野萌、バレーボールの大坪周平、ハンドボールの林遼哉、陸上の中村大地の各選手=つくば市天久保、筑波技術大学

石原学長に活躍を報告

聴覚障害者の国際スポーツ大会「東京2025デフリンピック」に出場した筑波技術大学(つくば市天久保)の学生アスリート4人が24日、同大の石原保志学長に活躍を報告した。テコンドーで銅メダルを獲った阿見町出身の4年 星野萌選手(21)は「たくさんの皆さんの応援をいただいたお陰で舞台に立つことができ、結果を残すことが出来た」と話し、大会を機に「茨城県内でスポーツの面白さを伝えていきたい」などと話した。

4人は星野選手のほか▽男子バレーボールで6位に入賞した4年 大坪周平選手(22)▽男子ハンドボールで7位に入賞した4年 林遼哉選手(21)▽陸上1500メートルと800メートルに出場した2年 中村大地選手(19)。日本代表の鮮やかなオレンジ色のジャージを着用し、星野選手は銅メダルを手にとって石原学長に見せるなどした。

銅メダルを石原学長に見せる星野選手(左)

バレーボールの大坪選手は「自分にとって初めての大きな大会で、結果は6位だったが、たくさんのお客さんに来ていただき本当に感謝している。最高のチームだった」と振り返った。

ハンドボールの林選手は「8カ国中7位だったが、初出場で1勝することができた。海外のレベルを知ることができ、とてもいい経験になった。2年後のハンドボール世界選手権、4年後のギリシャ・デフリンピックに向けてハンドボールを続けたい」と話した。

陸上の中村選手は「結果的に負けてしまい悔しさがあるが、この気持ちをこれからの大きな大会につなげていきたい」と語った。

石原学長は「皆さんは一生に一度あるかないかのチャンスをものにした。改めてお祝いします」と選手をねぎらい「この経験は自分の人生の経験になり、これから仕事の面でも、生活の面でも、家族をもつことになっても、つながってくると思う。頑張ってくれて大変うれしい」と語り掛けた。

デフリンピックを意味する手話で記念撮影に応じる選手と石原学長(中央)

同大にとっての大会の意義について石原学長は「大学からはアスリートだけでなくたくさんの学生がボランティアとして参加した。学生たちはグローバルな体験をする中で、障害を一つの個性として自覚し、共生社会の実現に向け活躍してくれると思う」などと話した。

同大からは学生6人と卒業生11人の計17人が選手として大会に出場した。星野選手のほか、夫婦で出場した大学院生の沼倉昌明、千紘選手がバドミントン混合団体で金メダルを獲った。卒業生では、女子バスケットボールの橋本樹里選手が金メダル、女子サッカーの岩渕亜依選手と男子サッカーの杉本大地選手がいずれも銀メダル、男子柔道73キロ級の蒲生和麻選手が銅メダルに輝いた。

ほかに、学生(現在は卒業生)の多田伊吹さんが大会エンブレムをデザインしたほか、開閉会式には3年の伊東咲良さんと2年の瀧澤優さんの2人がパフォーマーとして出演。同大の学生約100人がボランティアスタッフとして大会運営を担った。(鈴木宏子)

つくば駅前に大型ディスプレイ登場 イルミネーションと共ににぎわいを

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200インチの大型ディスプレイと点灯したイルミネーション

オフィスビル「T.S BUIL」

つくば駅前のオフィスビル「T.S BUIL」(同市吾妻)のペデストリアンデッキに面した2階部分の壁面に21日、縦2.5メートル×横4.4メートル、200インチの大型ディスプレイがお目見えし、クリスマス関連の映像が放映されている。

22日夜からは同ビル恒例のクリスマスイルミネーションも加わり、道行く人たちの目を楽しませている。駅前をもっとにぎやかにしたいと、同ビルを所有する不動産業の都市開発(塚田純夫社長)が新たに大型ディスプレイを設置した。

ディスプレイの設置工事は14日から始まり、1週間の工事期間を経て21日から放映が始まった。毎日正午から夜9時まで映像が流れる。クリスマスの現在は、クリスマスにちなんだクイズやイルミネーション点灯のお知らせなどが流れ、26日以降は年越しに関する映像に変わる。

今後は市の情報や警察関連情報、防災情報なども放映していく予定だ。「屋外広告物」という扱いのため、大きな音を出し大勢の人が集まるコンサートやパブリックビューイングを行うためには今後、市と相談しながらになるという。

イルミネーションは来年1月12日まで点灯する。3年前に始まり、昨年同様、同ビルのペデストリアンデッキに面する2階エントランスのガラス張り壁面全体がLEDで装飾され、ショーケースの中にはサンタクロースや雪だるま、トナカイ、クリスマスツリーなどが飾り付けられている。

2階エントランスに飾り付けられたサンタクロースや雪だるま、トナカイ、クリスマスツリーなど

ディスプレイに見入っていた市内に住む60代女性は「大型のディスプレイにびっくりした。世の中に季節感がなくなってきた時代なので、こんな感じでクリスマスなど季節を知らせてくれるのはありがたい。ディスプレイの前のペデストリアンデッキは広くなっているのでコンサートでもやってくれたら」と話す。近くの職場に通う50代の男性会社員は「ずっと殺風景だったので、とても良いと思う。どんどんにぎやかにすることをやってほしい」と話していた。

都市開発の霞学部長は「つくば駅前にあるつくばセンター広場のにぎわいづくりに協力出来たらということでやっている。防災も重要なので、行政の防災の取り組みに協力し、防災に関することも放映していきたい」と語る。また「今年、1階にスタジオを移転したラヂオつくばの中継も可能なので、ディスプレイで何が放映できるか考えていきたい」と述べる。

現在放映している映像の制作は20代の同社若手社員が担当した。管理部の藤沢花恋さんは「グラフィックデザインのソフトを使って動画を作ったが、初めてだったので大変だった。デザインなどは不慣れだが担当させてもらい、いい経験になった。今後の展開も考えたい」と話した。設置業者とのやりとりや申請業務など担当した営業部の高橋開人さんは「人が集まる場所が出来ればとてもうれしい」と述べた。(榎田智司)

サンタクロース《短いおはなし》46

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イラストは筆者

【ノベル・伊東葎花】

今日、学校で男子とケンカした。
だって、サンタクロースはいないって言うんだもん。
私は絶対いると思ってる。プレゼントだって、毎年くれるもん。
家に帰ってママに聞いた。

「ママ、サンタクロースはいるよね」

「そんなことより、今夜は冷えるから温かくして寝るのよ」

…そんなことって言われちゃった。

今、世界中が燃料不足で大変なのは知ってる。
イブなのに、イルミネーションも暖房も自粛なの。
お店は早く閉まっちゃうし、地球全体がどんより暗い。
テレビも毎日「新しい燃料が見つからないと人類滅亡」とか言ってる。
でもね、私はそんなことよりサンタクロース。
今日は寝ないで、サンタクロースの写真を撮るの。
私をバカにした男子を見返してやるんだから。

私は、ベッドにもぐりながら、その時を待った。
すると、午前0時を過ぎた頃、窓の外が一瞬明るくなった。街中が真っ暗だから、すぐにわかった。サンタクロースが来たのかも。

耳を澄ますと、ピコピコと電子音のような音が聞こえた。
サンタクロースは鈴の音と共に来ると思っていたけど、今どきは違うんだ
写真を撮ろうと窓を開けると、緑色の少し小さめの人が飛び込んできた。
あれ、サンタクロースは赤い服を着たおじいさんだと思っていたけど違う。緑色だ。

「いやあ助かった。船が故障しちゃってさ。地球って寒いね」

サンタクロースが言った。
サンタクロースは、そりに乗って来ると思っていたけど、船で来るんだ。

「あ、仲間が助けに来てくれた」

サンタクロースが指さす先に、角が生えた黄色い生き物がいた。
これがトナカイ? 本物のトナカイを見たことはないけど、角があるし、きっとそうだ。

「お邪魔しました。ありがとう地球人」

サンタクロースがトナカイと一緒に帰ろうとしたので、私は慌てて呼び止めた。

「あの、ちょっと待って…、プレゼントは?」

「ああ、親切にしてくれたお礼ね。地球人、意外としっかりしてるね」

サンタクロースは、持っていた袋から赤い石を取り出してポイと投げた。
「石かよ!」と思ったけれど、世界中が不景気なので文句は言えない。
「じゃあね」とサンタクロースは、あっという間に出て行った。
きっとたくさんの家を回るから急いでいるんだ。

「あ、写真!」

慌ててシャッターを押したけど、UFOのような白い光が写っただけだった。
ああ、失敗。

写真は撮れなかったけど、サンタクロースに会えた興奮でなかなか眠れない。
それに、どういうわけか部屋の中が夏みたいに暑くて、毛布を全部蹴飛ばした。
サンタクロースからもらった赤い石は、暗い部屋で不思議な光を放っている。
なんだろう、これ。

この石が、燃料不足の地球を救うエネルギー源になる物体だと知るのは、少し後の話。
地球を救ってくれたのはサンタクロースだって、私は信じてる。

(作家)

「つくばは第二の故郷」 日本人3人目のISS船長 大西卓哉飛行士

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五十嵐市長と懇談する宇宙飛行士の大西卓哉さん=22日、つくば市役所

つくば市役所を訪問

日本人として3人目となる国際宇宙ステーション(ISS)の船長を務め、8月に帰還した宇宙航空研究開発機構(JAXA)の大西卓哉飛行士(50)が22日、つくば市役所を訪問し、五十嵐立青市長に活動を報告した。市役所入口では、職員を始め来庁中の市民が大西さんを出迎えた。ISSの船長には、過去に若田光一さん、星出彰彦さんが就いている。

大西さんは1975年東京都生まれ。2016年には第48次、第49次長期滞在クルーのフライトエンジニアとしてISSに約113日間滞在した。第72次、第73次長期滞在クルーとして滞在した今回は、10年ぶり2度目の宇宙飛行となった。

つくば市役所に到着する大西さん(右)

ISSでは船長として緊急時の指揮を執るなど全体の安全確保と計画遂行を統括し、他の飛行士の活動を取りまとめた。またISSに設置された日本の実験棟「きぼう」で、ほぼ重力のない宇宙空間の微小重力環境を利用した科学実験に取り組んだ。

大西さんは船長としての役目について「良い意味でのプレッシャーと同時に、大きなやりがいを感じた。大切にしていたのは、一人一人とのコミュニケーション。さまざまな国出身の飛行士がいる中で、それぞれの性格や個性の振れ幅のほうが、国籍の違いよりも大きかった。決断を下す際に、きちんと説明して理解してもらうよう心掛けた」と話した。ISSの運用は2030年で終了することから「これが最後かもしれないなと思うと寂しさというのがあった」とし、帰還時については「宇宙に名残惜しさも感じつつ、地球に帰れることのうれしさも同時に感じているような、不思議な心境だった」と振り返った。

記者の質問に応じる大西さん

今後については「米国を中心に人を月面に送る計画がある。その計画に宇宙飛行士として貢献したい。また民間による宇宙ステーションなど新しい分野で、自分がこれまで得てきた知見を活用できるチャンスがあれば」と語った。

つくばについては「私たち宇宙飛行士にとって、つくばはたくさんの仲間がいる『第二の故郷』のようなまち。つくばに来るとほっとする」とし、子どもたちに向けては、「私たち宇宙飛行士が宇宙空間でどのようなことをやっているのかを伝えたい。宇宙をきっかけに科学に興味を持ってもらえたら。宇宙センターの特別展などへ足を運んでもらえるとうれしい」と語った。

23日から市役所本庁舎一階に展示される予定の写真パネル

つくば市によると、大西さんが搭乗したロケットの打上げ風景や、ISSでの実験風景、クルーらの様子が掲載された記念パネルは、23日から市役所庁舎1階に掲示予定だ。(柴田大輔)

よみがえる新日本紀行花火師編《見上げてごらん!》47

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2024年の「大曲の花火」。大仙市提供写真を筆者が加工

【コラム・小泉裕司】今回は11月19日放送のNHK BS「よみがえる新日本紀行」に登場した、そうそうたる花火師の顔ぶれを紹介したい。「新日本紀行」は1963年10月から82年3月まで19年続いた30分の紀行番組。NHKのホームページによると、「日本各地の風土紹介だけではなく、そこで生きる人々の物語や話題など人間の記録を中心にすえた紀行ドキュメンタリー」とある。私が小学生のころ、担任の先生に社会科の宿題として見るよう言われ、中学生になっても見続けた。

「よみがえる新日本紀行」は「新日本紀行」を最新デジタル技術で色鮮やかな映像によみがえらせ、加えて、番組で描かれた取材地の「現在」を新たに取材している、2022年4月から続く40分番組。過去から現在への空間移動が興味深く、西新宿や築地など個人的趣味で録画している。

このうち、花火師を取材した番組は「煙火師群像/愛知県三河地方」と「夜空の詩人たち/秋田県大曲市」の二つ。いずれも時代は変わっても変わらぬ花火師の心意気を描いており、花火愛好家にお薦めしたいアーカイブ映像。残念ながら再放送の予定は見つからないので、今回は「大曲」を紹介したい。

夜空の詩人たち/秋田県大曲市

この番組、実は2024年10月5日にBS4Kで初回放送済みのBS再放送。1981年、秋田県大曲市(現大仙市)で開催された「全国花火競技大会」を支える要人や大会に挑む県内外の花火名人たちの奮闘を描いた名作。なんて心に響く、素敵なタイトルなのだろう。

地元の花火師を支えるだけでなく、全国の花火師との緻密な連携で大会を支える実行委員長の佐藤勲さん。小型トラックで500キロの長距離を運転し到着した茨城県真壁町(現桜川市)の「筑北火工」の花火師をねぎらう姿は、おもてなしの気持ちに満ちている。「題名のイメージに合う花火を上げてもらいたい」と大会に寄せる思いを語った。

2017年には、最も創造性が豊かであると認められた作品(創造花火)に贈られる佐藤さんの名前を冠した特別賞が創設された。

土浦火工の北島義一氏のもとで3年間修行した北日本花火興業(秋田県大仙市)3代目の今野正義さんは、農業と兼職の農民花火師。自宅の窓辺でトランペットを吹く正義さんの長男義和さんは、4代目を決意し、「音楽の世界を光で描いてみたい」と夢を語った。

就業して10年。競技大会で優勝するなど、現在まで数々の輝かしい成績を積み重ねてきた。卓越した型物花火の技術や音楽と融合した花火の創造など、煙火業界の発展に寄与した偉大な功績が評価され、昨年度は「現代の名工」、今年度は「黄綬褒章」に輝いた。

永久保存の価値ある影像

「花火は花火師の個性が出るもの」と語るのは、小松煙火工業(秋田県大仙市)4代目の小松忠二さん。後を継いだ5代目忠信さんは、市内5業者のリーダーとして「見る人々がいかに楽しんでもらえるか」を追求し続ける。

このとき、すでに日本煙火協会の要職を歴任するなど煙火業界の重鎮であった武藤輝彦さんも登場。著書「日本の花火のあゆみ」や「ドン!と花火だ」などは、私のバイブル的資料として書棚に鎮座している。

茨城県明野町(現筑西市)の新井煙火店の新井茂さん。同じ旧明野町で森煙火工場を創業した初代森清さん(現在は森武さんが2代目)がそれまで働いていた新井煙火店は、現在は廃業したとのこと。

群馬県の菊屋小幡花火店の4代目小幡清秀さんは、故郷への想いを赤とんぼにイメージした作品を出品。多重芯割物花火においては名人の域にあり、「四重芯の小幡」とも呼ばれた。2023年、土浦のスターマインの部で、5代目知明(としあき)さんは、故郷の上毛カルタをモチーフにした「風神雷神」で内閣総理大臣賞を受賞。父の系譜を紡ぐ郷土愛満載の作風を愛するコアなファンは数多い。

雨降りしきる中、創造花火の部で優勝した作品は「紫陽花」。花火師は川畑宏一さん、土浦火工の2代目。この年は、北島義一さんが逝去した2年後で、十八番(おはこ)の紫、青や紅の牡丹(ボタン)花火が次々と開花する美しい映像は、アーカイブとして永久保存の価値がある。

放送43年、次代へ継承

番組後半では、番組放送後43年たった2024年の大会を取材。打ち上げの準備に余念がない今野義和さんは、花火作品への思いを「筒の中で静かに出番を待っている花火玉を『役者』として生かしてあげたい」と語った。花火を芸術の世界にまで築き上げたひとり、今野さんならではの哲学に感銘。

デジタル技術を駆使した音楽花火の世界を追求する息子の貴文(たかのり)さんの奮闘も紹介。40年前の番組に登場した花火師の息子世代が、今や業界をけん引する存在となり、父から受け継いだ技と最新のデジタル制御などを融合させて夜空を彩る様子が描かれている。

時代が変わっても、多くの観客を魅了するために、一発一発に魂を込める職人たちの哲学や情熱は変わっていないことを強く感じ取ることができる。冨田勲さん作曲の名曲「新日本紀行のテーマ」で幕を閉じる。

今野さん親子とのご縁

2008年、大曲で花火鑑賞士試験を受験したときの講師のお一人が今野義和さん。「もっとも難しい色は何色か?」の私の愚問に、答えは「黒色」。黒色は光を吸収するゆえ、闇に溶け込んでしまう。誰も想像もつかない数々の名作、奇作を世に出してきた今野さんの究極が「黒い花火」だったのかも知れない。禅問答の奥にある答えの本質に気付けなかった自分が、今さらに恥ずかしい。

息子の貴文さんとは、今年9月の常総花火大会前夜、市内の居酒屋で親睦を深めた。とても穏やかな語り口の裏にある、並々ならぬ花火への情熱に深く感銘。常に父親と比較されることが多いと思うが、豊かな感性と創造性を磨き上げて、「らしさ」を極めてほしい。来年、常総での再会を期して、本日はこれにて、打ち留めー。「シュー ドドーン パッパッパッ!」。(花火鑑賞士、元土浦市副市長)

県立高不足「つくばエリアは新たな事態に」 市民団体が学習会

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学習会で基調報告をする「つくば市の小中学生の高校進学を考える会」の片岡英明代表

人口増加が続くつくば市やTX沿線に県立高校の学級増や新設を求めている市民団体「つくば市の小中学生の高校進学を考える会」(片岡英明代表)の学習会が21日、同市役所コミュニティ棟で開かれ、片岡代表が「最近の受験事情について」と題して基調報告した。

県教育庁が県高校審議会に示した資料で、2033年度のつくばエリア(つくば市など4市)の中学卒業見込者数が25年度の4393人より226人増えて4619人になり、日立エリア(日立市など3市)と水戸エリア(水戸市など4市)を合わせた4425人を上回ると推計され、さらに38年度にはつくば市1市だけで中学卒業見込者が3392人と見込まれ、日立エリアと水戸エリアを合わせた3429人に匹敵する推計値が出されていることについて(8月27日付)、「つくばエリアは新たな事態に直面している。このままではさらに重大な事態になる。県立高校の緊急な定員拡大と本格的な対応が必要」だなどと話した。

つくばエリアの県立高校は、学級数で比較すると25年度はすでに県平均より17学級(定員680人分)不足しており、今後も県立高校の定員が変わらないと、子供の数がさらに増える33年度はさらに深刻になるとした。

改善した高校はプラスに

ここ数年の受験事情については、つくば市は生徒数が増加する中、県立高校の定員不足に加えて土浦一高の付属中設置による定員削減の影響で、市外の高校に通学する生徒が多く、通学に苦労している。土浦市の生徒は、つくば市から土浦市内の高校への流入と土浦一の定員削減で、志願者数が多い高校が毎年変わるなど進路決定に迷いがみられ、土浦一高を受験するのを控えている。牛久市は進学志向が強いまちだが、土浦の高校から牛久市内の高校への回帰がみられるーなどと昨今の傾向を話した。

一方で、①2024年度に定員を1学級(40人)増やした牛久栄進高校は地元牛久市とつくば市からの入学者が増えた ②25年度に普通科を新設したつくばサイエンス高校は入学者が増え、地元のつくば市内の中学校からも入学者が増えた ③筑波高校は今年度、つくばサイエンス高の普通科設置で入学者数が減ったと考えられるが、地域とつながる小規模多面高校として学校づくりをしているーなどと分析し、「26年の募集定員の発表で、期待していた竹園高校の定員増は実現しなかったが、改善した部分は確実にプラスになっているので、改善が必要だと県に要望していきたい」などと話した。

「当時者として不安しかない」

学習会には小中学生の子供をもつ父母らも参加した。都内からつくば市に転居してきたという母親は「都内から来て、つくばは高校の通学費が月3万円くらいかかると聞き、こんなに通学費が高いんだと驚いた。公立高校は行きやすいところにあることが重要なのに、当事者として不安しかない」などと語った。中学生と高校生の子供をもつ土浦市の母親は「つくばに高校の選択肢が少ないことで、つくばの生徒が土浦や牛久に流れていて、土浦の生徒は、土浦一高と二高は、つくばの出来る子が行くところだと思うようになっている。近い高校に行ける仕組みをつくってほしい」と訴えた。

PTAの活動で、隣のつくばみらい市で開かれた会合に参加したというつくば市の父親は「(会合に)つくばみらい市の小田川浩市長も参加していて、小田川市長から『市立高校をつくりたい』という話を聞いた。つくばみらいには伊奈高校があり、市役所に入ってくる卒業生がすごくいい子だから、地元で地元の子を育てたいということだった。そうしたこともいいのではないか」などと話した。(鈴木宏子)

堆肥にまみれたこと、ありますか?《マンガサプリ》2

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写真は筆者

【コラム・瀬尾梨絵】今回紹介するマンガは、数々の名作を送り出してきた荒川弘先生の異色エッセイマンガ「百姓貴族」(新書館、現在8巻まで)。この作品は知らずとも、緻密な世界観と深いテーマで読者を魅了した「鋼の錬金術師」や、命の重みと青春を描いた「銀の匙(さじ) Silver Spoon」はご存じの方も多いだろう。荒川先生の魅力は、話の構成の深さ、個性際立つキャラクターの造形、読者を引きつける圧倒的な画力にある。

子どものころ、「こんなマンガを描けるような大人になれたら」と思わせてくれたその才能が、本作ではフィクションの鎧(よろい)を脱ぎ捨て、等身大の“農家”というフィルターを通して爆発している。

「百姓貴族」の舞台は、先生の実家である北海道の酪農家。タイトルに冠された「貴族」という言葉は、大地の恵みで自給自足の生活を営む農家に対する、都会人からのユーモラスな皮肉かもしれない。しかし、描かれているのは想像を絶する過酷な労働と、それに立ち向かうたくましい家族の日常だ。

作中には、酪農を営む実家での「農家あるある」が満載。非常食は常に収穫物でストックされ、エゾシマリスやヒグマといった野生動物との攻防は日常茶飯事。「牛乳が飲み物ではなく、エネルギー源」として扱われるなど、私たちが持つ常識を軽々と超えてくるエピソードの数々は、全く共感できないが笑えてくる。

食と命と家族ドラマ

中でも作品の核となるのは、個性と生命力が強すぎる荒川家の人々との絆が描かれている点。一家の大黒柱である肉体が徐々にメカになりつつある父や、パワフルな母、姉妹たちが繰り広げるハプニング、常人離れした判断基準は、読者に笑いを提供するだけでなく、彼らの生活力がどれほど強靭(きょうじん)であるかを教えてくれる。

ファンタジーの世界観で鍛え上げられた荒川先生の画力をもって、時にリアルに、時にコミカルに描かれる家族の表情一つ一つが、物語に圧倒的な熱量を与えてくれる。他の作品たちの中では異色かもしれないが、この「百姓貴族」を読み進めるにつれて、私たちは普段何気なく食べている「食」の裏側にある、途方もない手間と愛情、そして大地への感謝を知ることができる。

ただのコメディでは終わらない、食と命と家族のドラマ。荒川弘ファンはもちろん、「銀の匙」で農業の楽しさに触れた人、そして日々の食卓に隠された熱いリアリティを知りたい全ての人に、自信を持ってお勧めできる最高のノンフィクション作品だ。(牛肉惣菜店経営)

「公示送達」のネット拡散に懸念 つくば市議会で珍事

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公示送達の紙の文書が掲示されている、つくば市役所正面入り口脇の掲示場

行政が、税金未納者に督促状を送ったり滞納者の財産を差し押さえたり、法令違反による許認可の取り消し処分などを行う際、相手の住所が不明で、督促や聴聞の通知が相手に届かず郵便物が戻ってきてしまった場合、役所の掲示板などに紙の通知文を一定期間掲示することで相手に通知が届いたとみなす「公示送達」という制度がある。つくば市議会12月定例会最終日の19日、「公示送達」方法を見直しインターネットで閲覧できるようにするという二つの条例改正案をめぐって、委員会で賛成者ゼロで否決された条例案が、本会議で賛成多数で可決するという珍事があった。

二つの条例は、地方税法の改正に伴う市税条例の改正案と、行政手続法の改正に伴う行政手続条例の改正案。本会議に先立って詳しく審議された総務文教委員会では、市税条例は賛成少数で否決、行政手続条例は賛成者ゼロで否決された。しかし19日の本会議では一転、いずれも可決された。問われたのは、インターネットに個人や会社の不利益な情報が掲載されることにより、拡散されたり、削除が困難となる懸念に対する歯止めだ。

二つの条例はいずれも、政府のデジタル規制改革推進一括法が2023年6月に公布されたのに伴うもの。これまで役所の掲示板に一定期間掲示されていた公示送達の紙の文書を、インターネットでいつでもどこでも閲覧できるようにするという全国一斉の見直しだ。

市納税課によると市税については、宛て所不明や転居先不明で納税通知書や督促状が相手に届かず市役所に戻ってきてしまい、さらに住民票で転居先を確認したり、近隣の場合は現地調査をしても所在が分からなかったり、外国人の場合は出入国管理庁に開示請求などをしても分からなかった場合などに公示送達し、市役所正面玄関脇の掲示場に、通知内容と対象者の氏名などを掲示する。

2024年度中に個人や会社を公示送達した事例は、市・県民税が161人、固定資産税が34人、軽自動車税が115人だった。徴収回数は年に複数回あることから、国民健康保険税を除く市税に関し計836件の公示送達があり、納税通知書が手元に届かず自ら市役所窓口に税金の支払いに来て、自分が公示送達されていることを知ったケースもあったという。

一方、行政手続条例改正案に関し、許認可の取り消しなどを行うにあたり相手の意見を聞く聴聞手続きについて、過去に公示送達を行ったのは0件という。

二つの条例改正案の施行時期は、市税条例は来年6月末までの地方税法改正に合わせて施行し、行政手続条例は来年5月の行政手続法改正に合わせてそれぞれ施行する。施行後、同市では新たに市のホームページに公示送達が掲載されるほか、市の掲示場にも掲示される。

市ホームページに掲載される中身については、デジタル庁が8月に示した運用指針に基づき、市税についてはこれまで、納税通知や督促などの通知内容と個人名や会社名などを掲示していたものを、改正後は、地方税法第〇条に基づく通知とするなど、法令と個人名や会社名を掲載するほか、個人を検索できないよう画像の状態で掲載するとしている。

総務文教委員会から一転し、二つの条例改正案が賛成多数で可決された19日のつくば市議会本会議の様子=つくば市役所

10日開かれた総務文教委員会では「地方税法第〇条という掲載でも、条文を調べれば内容が分かってしまう」「(目的外での拡散など)悪用を防ぐ仕組みができていない」「SNSで拡散された事例があるので心配している」「リスク管理が不十分な中で拙速に進めるべきではない」などの意見が相次いだ。

19日の本会議では、条例改正に賛成する議員から「住所や所在が不明であっても不利益処分を受ける可能性がある人に意見を述べる機会があることを伝えるための措置。時代に即した必要な対応」だなどの意見が出た一方、「インターネットで公開すると情報が拡散されることが容易になる。一度拡散された情報は簡単に消すことができない。(目的外の閲覧を)取り締まる仕組みや、プライバシーに配慮した運用はまだ整っていない」などの反対意見が出て、二つの条例改正案いずれも賛成多数で可決された。

委員会で反対し、本会議で賛成した議員の一人は「市執行部から委員会後に説明を聞いたところ、上位法がスタートする時から県も市町村も合わせていかなくてはならないということだった。条例が通らないと市職員の負担が相当重くなったり、支障をきたすということなので本会議では賛成した」と話している。

市納税課は条例施行後の市ホームページでの掲載方法について「国や県の取り組みを参考にしながら検討していきたい」などとしている。(鈴木宏子)

高校生が江崎玲於奈賞受賞者と科学交流 つくば

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科学交流会で、発表に耳を傾ける参加者たち=19日、つくば国際会議場

探究活動や課外研究で科学の実験などに取り組むつくば市内の高校生が実験成果を発表し、顕著な研究成果を上げ江崎玲於奈賞を受賞した研究者から講評を受けたり、直接会話して懇談する「科学交流会」が19日、つくば国際会議場(つくば市竹園)で開かれた。昨年に引き続き2回目の開催となる。

茨城県科学技術振興財団(つくば市、江崎玲於奈理事長)とつくばサイエンス・アカデミー(つくば市、江崎玲於奈会長)が主催し、関彰商事が協賛した。

あいさつに立つ江崎玲於奈賞受賞者の十倉好紀さん

発表したのは、並木中等教育学校、茗溪学園中高、つくばサイエンス高、竹園高に通う高校生9人。講師を務めたのは、省電力で高性能な次世代のメモリ素子開発に可能性を開く研究で2023年にで江崎玲於奈賞を受賞した理化学研究所の十倉好紀さんと于秀珍さん。于さんは初の女性受賞者だ(23年11月20日付)。

あいさつする于秀珍さん

並木中等教育学校高校2年の中島桃花さんは、「光の波長におけるイースト菌の代謝制御への影響」を発表。パンを作る際に欠かせないイースト菌に可視光を当てると、波長によって発生する二酸化炭素の量や、細菌などの微生物がシャーレなどの上で増殖してできるコロニーの数が異なることに着目した。グルコース(ブドウ糖)の消費量を調べることで、その原因を探った。

茗溪学園高2年の秋山茉白さんは、食品添加物として使用されるグリシンが、細菌のストレス耐性に及ぼす影響について調べた。

実験結果を発表する茗溪学園中高の秋山茉白さん

つくばサイエンス高1年の飯岡玲菜さんと染谷千穂さんは、水道から流れ出る水を2リットルのペットボトルに入れた際の音の変化について、注水の様子を撮影した動画と音声編集ソフトを用いて分析した。

生徒たちの実験結果に対して講評に立った十倉さんと于さんは、「レベルの高い研究発表」「面白い研究」などと感想を述べたほか、「論拠をしっかり書く必要がある」「科学では、どのくらいなのかを具体的に説明しなければならない」などと、生徒らにアドバイスを送った。

つくばサイエンス高の飯岡さんは「発表はとても緊張した。(講師や他の生徒からの質問は)とても勉強になった。答えられなかったところもあったが、これからの活動に生かしていきたい」と話した。また、飯岡さんとともに登壇した染谷さんは「今回の経験を生かして、2年次に向けて、より完成度の高いものにしていきたい」と意気込みを語った。

イベントにビデオメッセージを寄せた江崎理事長は、「参加する高校生の皆さんは、日頃から探究活動や課題研究に取り組んでおられると伺っている。これからの時代を担う皆さんが科学に興味を持ち、研究を行うことは大変素晴らしいこと。本日の科学交流を通じて創造力をさらに高め、研鑽(けんさん)を深めて、今後の活動に生かしていただきたい。本日参加している高校生の皆さんの中から、いつか江崎玲於奈賞の受賞者が出ることを願っています」と、科学に打ち込む生徒たちに言葉を送った。(柴田大輔)

冬鳥ジョウビタキとの夏《鳥撮り三昧》8

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ジョウビタキの幼鳥(2009年8月 筆者撮影)

【コラム・海老原信一】この時季、皆さんの近くでもジョウビタキの姿を見かけるでしょう。オスはオレンジ色のおなかとシルバーグレイの頭部が美しく、メスは全体に薄いオレンジ色をしており、ちょっと控えめな色合いです。どちらも体側に白い小さな羽模様があり、「紋付き鳥」とも言われています。

今ごろ見られるのは、越冬のためにやって来るからで、冬鳥と言われます。4月ごろまでは観察できますが、いつの間にか北へと帰ってしまい、見られなくなります。そして、9月末~10月にまたやって来るという忙しい生活をしています。そのジョウビタキが日本でも繁殖しているようです。

2009年8月、諏訪市の高原で、ジョウビタキの幼鳥に出会ったのです。毎年、ノビタキ、ホオアカ、カッコウなどを観察に行っているのですが、その時も夕暮れ時に出てきたノビタキの幼鳥を撮影した(つもりでいた)のです。帰宅後画像を見返して、違和感を持ちました。「これ何だかノビタキとは違うぞ」。

そこで鳥見の先輩方に画像を送り、ジョウビタキの幼鳥と確定できました。まだ繁殖情報がさほど多くない中での出会いで、人知れず興奮したものです。そのような状況ですから、公表は避けた方がよいと言う先輩方の助言を入れ、公表しませんでした。それから16年。私は、2016年、19年、24年、今年、同じ地域で、成鳥・幼鳥の姿を確認しています。松本市の乗鞍高原でも観察しました。

国内を移動する「漂鳥」?

今日、ジョウビタキの国内繁殖は確実となり、繁殖適地での観察や報告が増えています。長野県では、その状況を観察・研究している人たちがおり、八ケ岳近辺での繁殖状況も報告されています。

一方、ちょっと考え込んでもいます。本来、北で繁殖するジョウビタキが、なぜ夏の日本で繁殖するようになったのか、と。近年、地球規模での温暖化が進んでいると言われます。そのようなことから、「北の繁殖地もさほど涼しくない状況になっているのでは」と想像しています。

わざわざ遠距離を移動せず、冬を越した日本の高所と似たような環境があれば、そこを利用すればよい―そんな選択をした個体が現れても不思議ではありません。そういった個体が増えれば、冬鳥ではなく、国内の標高差・地域間を移動する「漂鳥」になる可能性さえあります。そうなれば、ジョウビタキだけの話ではなく、生き物全体の話でもあると考えたりしています。

それは「素人の杞憂」と言われれば、それに越したことはないし、そう願うところです。(写真家)

職員2人を懲戒処分 土浦市

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土浦市役所

土浦市は19日、職務上の義務を怠ったなどとして納税課主任の男性職員(50)を3カ月間 減給10分の1の懲戒処分に、個人情報を漏えいしたなどとして神立消防署消防指令の男性消防職員(60)を停職1カ月の懲戒処分にしたと発表した。

市人事課によると、納税課主任は2024年度に国民健康保険税、翌25年度は市・県民税を担当した。国保税を担当した24年度については、所得や世帯構成の変更によって国保税を納め過ぎた場合の過誤納金の返還事務に関し、主任は24年度に確認された過誤納金のうち169件138万88円分について、加入者に返還する還付処理を行わず、未処理案件の存在を上司に報告せず、後任の担当者に引き継ぎを行わなかった。翌年、後任の担当者が還付処理を行っていないのに気付き発覚した。169件のうち7件については還付通知が遅延し、市が5300円を追加で払う還付加算金が発生した。

主任はさらに、国保税に未納などがあった場合、過誤納金を未納や延滞金などに充当する充当処理に関して、還付処理を行わなかった169件とは別に、24年度に確認された過誤納金のうち235件について、上司の決済を受けずに未納税額に充当処理を行っていた。

市・県民税の担当になった25年度には、地方税ポータルシステムのeLTAX(エルタックス)を用いて事業者が毎月電子納付する従業員の市・県民税について、事業者がうっかり会社に割り振られた指定番号を入力しないで納税した場合、担当者は納付事業者を特定する確認を行った上で、収納管理システムに入力し、未収を消す消込作業を行うべきだったにもかかわらず、主任は、指定番号が無かった電子納付のケースについて、事業所を特定するための確認を怠り、納付金額が同額だった別の事業者から納付されたと思い込むなど、誤った納付情報を収納管理システムに登録した。その結果、7事業所が月々電子納付した11件について、実際には納付されていたにもかかわらず、督促状が発送された。

同課によると主任は処分理由を認め、「未熟だった」などと話しているという。ほかに、25年度の管理監督者だった課長と係長、24年度の課長を厳重注意とした。

安藤真理子市長は「市民の信頼を損なったしまったことを心よりお詫びし、二度とこのようなことがないよう、法令遵守はもとより、これまで以上に適正な事務処理の執行に取り組み市民の信頼回復につとめます」などとコメントした。

家族に注意喚起するため

一方、神立消防署の消防指令は、2024年10月ごろ、匿名で電話があった野焼きの通報について、知人の声と似ていたため、着信履歴の番号と自分の携帯電話に登録されている連絡先の番号を突合して知人だと確信し、自分の家族に通報者が知人だと口頭で伝え、通報者の名前を漏えいした。

さらに今年8月、非番の日に発生した救急搬送について、出勤日に、同署内の救急隊員に確認して知人がけがをしたことを知り、自分の家族に知人の名前とけがの内容を口頭で伝えるなど個人情報を漏えいした。

11月4日、消防に匿名の電話があり、個人情報の漏えいが判明した。その後の消防本部の調査で、今年発生した3件の火災についても、発生場所の所有者の名前などを家族に口頭で伝えていたことが分かった。

消防本部によると消防指令は、漏えいした相手と利害関係などは無く、家族に対し、火事や事故に注意するよう伝えるためだったと話しているという。消防指令は消防隊をつかさどる立場の管理職だった。ほかに、管理監督者である同署署長を厳重注意とした。

安藤市長は「法令を遵守し個人情報を保護すべき立場にある公務員としてあってはならない行為であり、市民の信頼を損なってしまったことを心よりお詫びします。二度とこのようなことがないよう職員の綱紀保持や法令遵守の徹底などにこれまで以上に取り組みます」などとするコメントを発表した。

技術の粋集めた「霧筑波」で最優秀賞 つくばの浦里酒造店

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左から浦里恵子さん、蔵元杜氏の知可良さん、五十嵐立青市長、浩司社長

11月に行われた第96回関東信越国税局酒類鑑評会の吟醸酒の部で、つくば市吉沼の醸造元、浦里酒造店が最優秀賞を受賞した。浦里浩司社長(64)と、6代目蔵元杜氏の浦里知可良さん(34)、知可良さんの妻・恵子さん(32)が19日、つくば市役所を訪れ、五十嵐立青市長を表敬訪問した。受賞したのは同社の「霧筑波」。また純米酒の部で同店の「浦里」が2位にあたる優秀賞を獲得した。

杜氏の知可良さんは「国税局の酒類鑑評会は、私たちにとって技術の粋を集めたF1レースのようなもの。コストや手間を度外視し、蔵が持っている最高の技術と最高の素材を結集して作った最高の1本で勝負する。関東信越国税局の鑑評会はさらに、全国に12ある国税局鑑評会の中で最も規模が大きい。そこで第1位を受賞できたことは本当にうれしい。目標は高く、連覇を目指したい」と思いを語った。

同鑑評会は、管内の茨城、栃木、群馬、埼玉、長野、新潟の各県にある製造場を対象に日本酒の出来栄えを審査する。60回目を迎えた今回は、173の製造場から吟醸酒の部に121点、純米吟醸酒の部に150点、純米酒の部に79点が出品された。

浦里酒造店は、1877年に現在の吉沼で創業。知可良さんは2021年に南部杜氏自醸清酒鑑評会で主席を獲得、23年には全国新酒鑑評会で金賞を受賞するなど、全国的に高い評価を得てきた。こだわりの酵母は、牛久市出身の画家・小川芋銭の三男で国税庁職員だった小川知可良が開発した「小川酵母」を使用する。

浦里知可良さんは、「(最優秀賞を受賞した『霧筑波』は)非常に華やかな香りとお米由来の甘み、それでいてしっかりとしたキレがあるという三拍子そろったバランスの良さが高い評価につながった。表彰式が11月13日、茨城県民の日だった。この日に県民の皆さまに報告できたのは本当にうれしかった」と話した。浩司社長は「酒造りは『ここで終わり』というものがない。毎年が勝負なので、これからも高みを目指したい」と語った。

表敬を受けた五十嵐市長は「受賞は大変誇らしいこと。つくば市では『つくばのおさけ推進協議会』が立ち上がり、地元のお酒を広げていこうと取り組んでいる。皆さんの今後の活躍を全力で応援していきたい」と述べた。(柴田大輔)

5選手がJリーグへ 筑波大蹴球部

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小井土監督を囲んで、Jリーグに羽ばたく5選手。左から山崎、諏訪間、佐藤、小井土監督、加藤、安藤の各選手

筑波大学蹴球部からJリーグへ羽ばたく5選手の合同記者会見が19日、つくば市天王台の同大大学会館で開かれた。5人のうち3人は大学サッカーを1年前倒しで退部し、すでにプロ選手として活動を始めている。残る2人は蹴球部の主力として今季の関東大学サッカーリーグ1部優勝に貢献し、現在も全日本大学サッカー選手権大会(インカレ)で優勝を目指して激闘中だ。

5人それぞれ意気込み

サイドバックの安藤寿岐は1月に退部しJ2サガン鳥栖へ加入。「けがで思い描いたシーズンとは違ってしまったが、鳥栖の顔になり、自分を見にお客さんが来てくれるような選手になりたい」と来季の巻き返しを誓った。

センターバック兼ボランチの加藤玄は今季J1名古屋グランパスで公式戦10試合に出場。「(途中出場が多く)出場時間を伸ばせなかった。来季こそ自分の価値を証明したい」と決意を見せた。

ゴールキーパーの佐藤瑠星はJ1浦和レッズに加入が内定。昨年の天皇杯筑波大ー町田ゼルビア戦ではPKセーブで勝利をたぐり寄せる活躍をした。「レッズには西川周作さんら優れたGKがいる。全員から学べることを吸収しスタメンを勝ち取りたい」と語った。

センターバックの諏訪間幸成は今季J1横浜Fマリノスで14試合に出場。「プロは小さい頃からの夢。目の前にチャンスがあるなら行くべきだと思った。フィジカルの強さや判断スピードなどを鍛え、勝利に貢献できる選手になりたい」と話す。

サイドハーフの山崎太新はJ2大分トリニータに加入内定。今季は主将を務めチームの精神的支柱になった。現在はインカレ予選リーグを突破し、21日に準々決勝の大阪体育大学戦を控える。「チームの目標である日本一を何としても勝ち取りたい。個人としては得点やアシストなど、目に見える結果でチームを勝たせる活躍をしたい」と述べた。

チームメートらとの集合写真

早期退部が新たな刺激に

近年、大学サッカーを途中で切り上げてプロ入りする例は増加傾向にあるが、一度に3人が出るのは筑波大でも初めて。さらに7月にはエース内野航太郎がチームを離脱し、デンマーク1部のブレンビーに加入した。これも快挙ではあるが、チームとしてはさらに苦しい状況に追いつめられた。「実力ある選手たちに頼れず、チーム運営としてもぎりぎりで、最初は不安しかなかった」と小井土正亮監督は明かす。だが残った選手たちには、4つのイスが空く新しいチャンスに映った。

「ポジションを得た選手たちが予想以上にたくましく成長してくれた。サイクルを1年でも早く回していくのが、みんなにとって良いことだと感じた」と小井土監督。、早期退部についても「次のキャリアに進むチャンスがあるなら応援してあげたいし、選手としての成長を妨げられない。大学の価値を上げることにもつながる」と、ポジティブにとらえる。

ダブル優勝で集大成を

関東リーグで2年ぶり17回目の栄冠に輝いた筑波大が、今季の集大成として次に狙うのは9年ぶり6度目のインカレ優勝だ。「筑波大がインカレと関東リーグの2つのタイトルを同時取得するのは、実現すれば1980年以来45年ぶり。それくらい難しいことに取り組める権利が今年はある。また新しい扉を開けるよう、あと3つを勝ち抜いていきたい」と小井土監督。

「本当に難しい挑戦であることは理解しているが、成功につなげられる自信と強さが今のチームにはある。それを結果で証明し、歴史に名を刻みたい」と山崎主将は気勢を上げる。(池田充雄)