火曜日, 2月 24, 2026
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イタリアの風は(たぶん)優しく暖かい《マンガサプリ》4

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写真は筆者

【コラム・瀬尾梨絵】今回ご紹介するのは、独特の筆致とハイセンスな世界観で、多くのファンを魅了し続けるオノ・ナツメ先生の「LA QUINTA CAMERA(ラ・クインタ・カーメラ)〜5番目の部屋~」(小学館、全1巻)。舞台はイタリアのとある街。そこにあるアパートの一室では、性格も職業もバラバラな4人の中年男性たちが共同生活を送っている。彼らの住まいには、いつも空いている「5番目の部屋」があり、短期留学生や旅人に貸し出している。そこから静かに物語は動き出す。

オノ・ナツメ先生といえば、「リストランテ・パラディーゾ」や「ACCA13区監察課」など、渋い「おじさま」を描かせたら右に出る者はいない。

本作でもその手腕は遺憾なく発揮されており、同居者は、少し気難しかったり、陽気であったり、家事が得意であったりと、それぞれに人生の年輪を感じさせる魅力的なおじさまたち。彼らが囲む食卓や、何気ない日常のやりとりを見ているだけで、読者はイタリアの石畳の上を歩いているような、心地よい異国情緒に包まれる。

この作品の最大の読みどころは、ゲストとして「5番目の部屋」にやってくる人々との交流にある。言葉も文化も違う異邦の若者たちが、一時的にこの部屋に滞在することで、住人である4人の男性たちの日常に小さくて温かい波紋が広がっていく。

この部屋を訪れる留学生たちは、それぞれに夢や悩みを抱えている。対する4人の住人たちは、彼らに過剰に干渉することなく、そっとおいしい料理を差し出したり、さりげない一言で背中を押したりと、年長者ならではの距離感で寄り添う。その交流は劇的なドラマではないが、誰かの人生がほんの一瞬だけ交差し、互いの心を少しだけ温め、また離れていく。そんな一期一会の美しさが、この作品には満ちあふれている。

心の余裕と他者への慈しみ

また、オノ先生の描くイタリアの描写も絶品。シンプルながらも洗練された線で描かれる街並みやインテリア、そして何よりおいしそうな料理の数々。読み進めるうちに、淹れたてのコーヒーの香りや、温かなパニーニの食感、窓から差し込む午後の柔らかな光まで感じられるような、五感に訴えかける表現力が本作の濃度を一層高めている。

派手なアクションや奇抜な設定はないが、ここには現代人が忘れがちな「心の余裕」と「他者への慈しみ」が描かれている。読み終えた後、まるで良質な短編映画を観た後のような、清々しくも少しだけセンチメンタルな余韻に浸れるはずだ。忙しい日常に少し疲れを感じたとき、あるいは静かな夜に一息つきたいとき、ぜひ『LA QUINTA CAMERA』の扉を叩いてみてほしい。

5番目の部屋に集う人々の優しさが、あなたの心も穏やかに解きほぐしてくれるだろう。(牛肉惣菜店経営)

戦争と差別に反対 若者たちがスタンディングデモ つくば駅前

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デモを呼び掛けたハナさん

選挙結果に危機感

2月8日投開票の衆院選で与党が大勝した結果を受け、戦争や差別への懸念を訴える若者たちが21日、「戦争と差別 もうたくさん!」などと書かれたポスターを手に、つくば駅前のつくばセンター広場で街頭に立った。外国にルーツを持つ若者を中心に80人余りが、それぞれが抱く経験や思いを語りながら、「声を上げ続けることの大切さ」を訴えた。

大学院生が呼び掛け

スタンディングデモを呼び掛けたのは、つくば市在住の大学院生、ハナさん(25)。日本とナイジェリアにルーツを持ち、つくばで生まれ育った。2週間前の衆院選で、与党の自民党が大勝した結果について、「自分にとっては衝撃的だった。食べ物は高く、賃金は低い。毎日生活が苦しい状況で、軍事費を上げようとする。日本が戦争に向かっているように感じた」と語る。

ハナさんは、近年強まっていると感じる排外主義や差別に対する危機感も、デモ開催の理由の一つだという。ハナさん自身も、生活の中で差別を感じた経験がある。物件を探していた際、「アフリカ系のハーフだから難しい」と断られたことがあり、不動産業界でも外国人風の人を断る家主が増えていると説明されたことがある。

選挙戦の中では、つくば駅前で外国人排斥を訴える候補者を見ることもあった。「多様な人が暮らすつくばで、外国人を追い出せという声があるのは悲しい。ネット上でも差別的な言葉をよく見るようになった。それが訂正されないまま広がっているのが怖い」とし、「外国人や性的マイノリティ、女性など弱い立場の人が切り捨てられ、スケープゴートにされ、対立があおられていると感じる」と話す。

思いを付箋に書き込む

中高生らも参加

デモには多様な背景を持つ学生が参加した。中国で生活し、現地で反日デモを目撃した経験を持つ中学2年の参加者は「今の日本の状況には複雑な気持ちがある」と話す。「日本人だけど、中国語が話せるというだけで嫌なことをされたり、言われたりしたことがある。それはおかしいと思う」。一方で、多様な言語や文化に触れる経験は自分の世界を広げたとも語り、「いろんな人を受け入れる社会になってほしい」と訴えた。

市内在住の高校3年ジボフスキー・ニキータさんは、「外国人への嫌悪と闘いたいと思って参加した」と話した。同じく高校3年のマッコイ・キリアンさんは「私の家族も差別を経験してきた。差別のない平和な世界をつくっていきたい」とし、高校2年の荒木茉莉花さんは「戦争や差別のない世界にしたい。一つの国のことを語るにも、その国の中にもいろいろな立場の人がいることをしっかり考えなくてはいけない」と、国や立場によって単純に善悪を決めつけない視点の大切さを強調した。

「市民運動の力示したい」

ハナさんは、2年前から仲間たちと声を掛け合い、パレスチナ連帯を訴えるスタンディングを毎月開催してきた。そこで感じてきたのが今回のデモのテーマの一つでもある「市民運動の力」だとし、「選挙結果を見ると、みんなが差別に賛成しているように見えるかもしれない。でも、実際には反対している人は多い。パレスチナに関してもそう。その声を見える形にしたかった」と話す。また、外国にルーツを持つ人が政治について発言すると批判されることがあるとしながら、「日本に住んでいる人なら誰でも、差別は嫌だと言う権利がある」と強調し、「裏金問題や統一協会との関係など、批判されるべきものが批判されないまま、憲法改正が押し進められようとしている。私たちは、そんなこと望んでいない。差別は嫌だ、戦争は嫌だという当たり前のことを、当たり前に言える社会にしたい」と訴えた。

会場には、通行人も自由に思いを書き込めるように付箋と大型の模造紙が用意された。スピーチも誰でもできるようにし、「みんなの声を可視化する場にしたい」という思いが込められた。

来場した牛久市の細谷一明さん(62)は「23歳と17歳の子どもがいるが、彼らを戦争に行かせたくない。雰囲気に流されないよう、声を上げることが大切」と語った。(柴田大輔)

新党「中道」はこれからどうなる《文京町便り》49

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土浦藩校・郁文館の門=同市文京町

【コラム・原田博夫】唐突に始まり、2月8日が投開票日だった総選挙は、自民党の歴史的大勝で、高市早苗首相の賭けは見事に当たった。急ごしらえの野党第一党、中道改革連合は壊滅し、議席数では3分の1に落ち込んだ。これほどのコントラストは、国民一般のみならず永田町の消息通や選挙プロも、事前には予想できていなかった。

実体のなかった新党「中道」の敗北を受けて、共同代表の野田佳彦(旧、立憲)氏と斉藤鉄夫(旧、公明)氏は責任を取り、ともに退任。敗退の原因は解明しきれず、「中道」の認知度も低いままだが、その新代表に小川淳也氏(香川1区、54歳)が選出され、幹事長には階毅維氏(盛岡1区、59歳)が指名され、新執行部が発足。翌18日には、特別国会で首相に指名されて、第2次高市内閣が発足した。

しかし、衆院を基盤とする中道は存在するも、参院では立憲と公明は継続し、国会議員総体では3党の連絡協議の場が設けられることになった。さらに、1976年総選挙以来の慣例で第2会派に当てられてきた衆院副議長ポストに関しては、打診された立憲・元代表の泉健太氏(京都3区、51歳)が拒否したため、石井啓一氏(比例北関東、67歳)が就くことになった。

気になる政治家、小川新代表

というわけで、新党・中道の船出は甚だ厳しい。小川新代表は、不退転の覚悟で議論を尽くして党内融和を図り、18日の議員総会では「巨大与党の権力の横暴や怠慢は絶対に許さない。権力監視の先頭に立つ」と言っているが、このスタイルは旧来の野党色を引きずっている印象がある。こうした対決色は果たして、有権者とりわけ20~40歳代にどれだけ届くだろうか。言い換えれば、無党派層に刺さるだろうか。

ここ数年の国政選挙で、国民民主、維新、参政、みらいなどの一点突破型新党が順繰りにそれなりの議席を確保してきたことを踏まえると、その時々のテーマやイシューに躊躇(ちゅうちょ)なく取り組む、進取性が求められる気がする。そうした潮目の変化を「つかむ」「引き出す」柔軟さと戦略性こそが、巨大与党に対峙(たいじ)するには必要ではないか。

たまたま私は、小川新代表と2000年ごろ、ロンドンで交流があり、その誼(よしみ)で夏の週末、リッチモンド野外で開かれたコンサートを家族連れで楽しんだことがある。

その時の小川氏の真摯(しんし)かつ謙虚な言動に感心し、政界に転じた後も折々の活躍を気にしてきた。この際、経済学者リカードの比較優位(自分の相対的に優位な分野に特化すべし)原理に基づいて、ご自分のキャラクターと年来のスタイルを貫き、かつグローバルに激動の時代の息吹を感じ取る柔軟性を発揮してもらいたい、と祈る。(専修大学名誉教授)

雪と氷とコハクチョウ《鳥撮り三昧》10

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写真は筆者

【コラム・海老原信一】今回の題は「雪と氷とコハクチョウ」ですが、北国に行けば普通に見られる光景です。県南地域ではどうでしょう。寒さが募る1~2月、時々雪が降り、公園の池や沼も結氷します。洞峰公園の沼でも、日陰になる場所の雪や氷が溶けることなく、厚さを増すことがあります。そんなときはカモたちの様子を楽しめます。

しかし、ゼロではありませんが、つくば市の洞峰公園の沼にハクチョウが飛来することはあまりありません。20数年前に数羽の飛来を確認できたのに、連続しての飛来がなかったのは残念です。

水戸市の大塚池や旧瓜連町の古徳沼は、ハクチョウの飛来地として知られています。土浦市の乙戸沼もハクチョウの飛来を楽しめる場所です。私の記憶では、主にコハクチョウでしたが、数羽で飛来したハクチョウが20~30羽に増え、多いときには90数羽にもなりました。

私が観察を始めてから数年、20羽前後で飛来していました。しかし、ここ数年は減っており、「気候温暖化」の影響かなと思っています。少なくなったものの、今でも12月末には飛来し、乙戸沼を散策する人たちは、2月中旬ぐらいまでハクチョウを楽しめます。

ところが、2025年12月末~26年1月初旬、その姿が見られませんでした。この原稿を書いている1月18日には飛来しているのか、分かりません。近日中に行ってみるつもりです。

降雪後の晴れて冷えた朝

乙戸沼でのことですが、「雪と氷とコハクチョウ」を経験できたことがあります。22年1月の雪が降った後の晴れて冷えた朝、水面は全面結氷。コハクチョウが数羽、岸近くの日が当たりそうな氷の上に身を伏せ、じっとしていました。

長い首を水中に差し込み、水底の水草の根などを食べる彼らにとって、氷が解けないことには食事ができません。人が与える食べ物を得るにしても、足元が氷では思うように動けません。身を守る上でも不利と思っているのでしょう。ひたすら氷解を待っていると、私は見ていました。

こういったコハクチョウの様子をうれしそうに見ている私を、彼らは「ひどい奴だ」と思っていたかもしれません。それでも「これからも来てほしい、楽しませてほしい」と、彼らの飛来を願っている私。そのために何ができるのかを考えながら、野鳥の観察を続けたいと思っています。(写真家)

追記:1月20日、11羽の乙戸沼飛来を確認し一安心。

つくば市平沢で林野火災 女性がやけど

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現場で残火処理にあたる消防隊員=21日午前11時45分ごろ

差し替え:22日午前11時】20日午後2時14分ごろ、つくば市平沢の山林で火災が発生、約3800平方メートルが焼けた。この火事で70代女性がやけどを負い病院に救急車で搬送された。

火は同夜11時42分、延焼の危険がない鎮圧状態となり、21日午後0時半時点でほぼ鎮火、22日午前8時50分に完全に鎮火したことが確認された。

市消防本部によると、現場は社会福祉法人筑峯学園北側の山林で、20日は市消防本部と消防団から消防車両14台と消防隊員ら81人が出動し、ドローンによる調査とジェットシューター(背負式消火水のう)などで消火活動を実施したほか、県防災ヘリコプターが上空から計10回4400リットルを放水した。

鎮圧後の翌21日も、残り火やくすぶりを完全に消し止める残火処理を午後0時半まで実施。さらに再出火防止のための巡回を続け、22日朝、鎮火が確認された。

市消防で出火原因を調べている。20日は筑峯学園の利用者らが一時避難した。

五十嵐立青市長は、林野火災の多くは、たき火や野焼き、たばこの吸い殻のポイ捨てなどが原因で、22日朝は市全域に林野火災注意報を発令しているとして、屋外での火気使用を極力控えるよう呼び掛けている。

高市首相に土浦のレンコンをお届け 安藤市長ら

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表敬訪問し高市首相と記念撮影する参加者ら=土浦市提供

土浦市は、安藤真理子市長らが17日、高市早苗首相を表敬訪問し、生産量日本一のレンコンとレンコンの加工品を届けたと発表した。レンコンと花火を全国にPRしようと、安藤市長のほか、JA水郷つくばの池田正組合長、土浦商工会議所の中川喜久治会頭、市議会の勝田達也議長らが首相官邸を訪れた。

市によると、安藤市長らが、レンコンは穴が空いていることから先の見通せる縁起物の食材であることを説明したところ、高市首相は「今後、地方自治体の事業者の予見可能性を高めるべく、予算の組み方をがらっと変える」などと話したという。

安藤市長(右)の説明を聞きながらレンコン料理を試食する高市首相=土浦市提供

表敬訪問にあたり高市首相には、贈答用の箱入りレンコン4キロ、レンコンが入ったレトルトカレー、レンコンの粉末が入ったバームクーヘンとサブレ―、レンコンと牛すね肉の煮物のレトルトパック、薄くスライスしたレンコンを油で揚げたレンコンチップスを贈呈したほか、今年度のれんこんグランプリ(1月30日付)で市長賞を受賞した羽成純さんのハス田で採れたレンコンを使ったきんぴらと酢の物を試食してもらったという。

土浦市長が首相を表敬訪問したのは初めて。地元選出衆院議員の国光あやの外務副大臣がとりもったという。

サックス奏者らが開催 「土浦の音」を聞く体感イベント 23日 東光寺

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(左から)東光寺の松井泰信住職、宇津木紘一さん、関裕子さん、将史さん=土浦市大手町、東光寺本堂

市民がさまざまな音集める

土浦市民が製作した竹のランプを灯し、土浦産のそば殻などで染めたストールを装飾した東光寺(同市大手町)の本堂で、市民が集めた土浦のさまざまな音をスピーカーから聞く体験イベント「音と光の建築at東光寺」が23日夜、開催される。当日は住職の読経も加わり、本堂がライトアップされる。音、光、建物そのものが作品となり、全身で体感するアートイベントだ。

同市在住のサックス奏者、宇津木紘一さん(44)が代表を務める「つちうらサウンド・アーカイブ・プロジェクト実行委員会」が主催し、つくば市在住の染色家で「futashiba(フタシバ)248」を営む関将史さん(36)、裕子さん(36)夫妻、東光寺住職の松井泰信さん(44)らがゲストとして関わる。同市の土浦協働のまちづくりファンドの助成金を得て開催する。

土浦の魅力再発見を

イベントで流す音は、同プロジェクトが昨年10月に開催したワークショップ「土浦 サウンドピクニック」の参加者らが録音した。

宇津木さんは土浦で生まれ、土浦で育った音楽家。これまで、土浦全国花火競技大会に合わせて観光客を歓迎するウエルカムフェスティバルを開催するなど(24年10月29日付)、地元の魅力を発信する活動にも取り組んできた。

今回は、土浦の音を記録して、独自のアートを表現し体感してもらうことで「地元の魅力を再発見しよう」とプロジェクトを始めた。「土浦に住んでいても知らないことは意外とあると思うし、何気ない日常の音でも土浦にしかない音がある」と宇津木さんは語る。

関さん夫妻は、県内の農家から譲り受けた草木、規格外の農作物など本来は廃棄される素材から色を抽出して、染色作品を製作している。

今回のプロジェクトには、所属しているまちづくり団体「土浦界隈まちづくり研究会」(同市中央)の紹介で参加した。「土浦はかつて私たちが工房兼店舗を構えていた場所でもあり、現在も継続的に関わり続けている思い入れのある土地」だとし、「地元のものを生かし、新たな魅力の再発見につながる取り組みになるのであればと思い参加した」と話す。

スマートフォンを使って音を集める参加者=宇津木さん提供

湖岸を自転車で走り録音

音を集めるワークショップは昨年10月に開き、小学生親子10人が参加した。霞ケ浦湖岸を自転車で走り、自分たちの足音、湖の波音、葉のこすれ合う音、水車の音、野球を練習する音などを、数秒から数十秒、参加者がスマートフォンなどで録音した。さらに同日は、遊覧船にも乗船して霞ケ浦を航行する船の音なども録音した。何を何秒録音するかなどの指定せず、参加者に任せた。集まった音源は50本以上になり、宇津木さんが編集して1本に繋げた。

イベントでは、東光寺本堂にスピーカーを設置して流す。スピーカーは立体的に音が聞こえるよう左右に向かい合せて置く。宇津木さんは「本堂の場所によって音の聞こえ方が異なる。当日は、席を決めずいろいろな場所に自由に移動して土浦の音を楽しんでほしい」という。途中、松井住職の読経が加わる時間帯もあり「読経と合わせて土浦の音を聞くことも、新しい体験だ」と話す。

竹に穴を開ける参加者=宇津木さん提供

地元の材料で染めたい

会場に飾る竹のライトと染め物のストールは昨年12月開催したワークショップで、参加者約30人が作った。竹のライトは「にれ工房」(つくば市下平塚)の関係者が指導し、廃材となった竹を切ったりドリルなどで穴を開けて作った。中にLEDライトを入れることで穴から光がこぼれる仕組みだ。

ストールの染色は関さん夫妻が指導した。「地元土浦の材料を使って染めたい」と、小町の館(同市小野)が販売する常陸秋そばのそば殻を譲ってもらったという。さらに土浦地方卸市場(同市卸町)で出た廃棄物となるタマネギの皮も譲り受け、綿のストールを染色した。

関さん夫妻は「当日はワークショップの参加者にも来てもらう予定で、自分で染めたストールを持参してもらう。来ないとそれだけ装飾は寂しくなる。どれだけ参加者が一緒に盛り上げてくれるかという試みもユニーク」と話す。

小町の館のそば殻で染めたストール=宇津木さん提供

東光寺の本堂を会場に選んだのは「非日常を味わえるから」と宇津木さん。住職の松井さんと宇津木さんは中学の同級生で、野球部のピッチャーとキャッチャーだった。松井さんは「東光寺は市民に開かれたお寺として落語や演劇などにも使用してもらっているし、こういったイベントは大変うれしい」とし「この機会にお寺を身近に感じてもらえたら」と話す。「夜のイベントもライトアップも初めてなので、いつもと違う表情のお寺が見えるのではないかと思う」と語る。

観客が当事者に

宇津木さんは「コンサートや展示というと、通常多くは演者と観客が分かれている。しかし今回は観客がイベントの当事者になるというのがテーマ」とし「録音に参加した人は自分が録音した音かな?と聞き入る。録音してない人も、この水音は土浦のどこで録音した音だろう?と能動的に聞く。これらも体験のひとつだ」と話す。「今回のイベントが、積極的に物事にフォーカスを当てることにつながればいい。結果的に市民が自分から率先して動くことで土浦での文化活動が広がるのではないか、それが根付いていくきっかけになれば」と話す。(伊藤悦子)

◆「音と光の建築」は23日(月・祝)午後7時から7時30分まで、土浦市大手町3-14、東光寺で開催。参加費無料。定員50人程度。事前予約が必要。問い合わせ・予約はメール(contact@bbmusic.tokyo)で。詳しくはつちうらサウンド・アーカイブ・プロジェクトのウェブサイトへ。

TX土浦延伸実現に向けシンポジウム 地元高校生が提案

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シンポジウムの様子

つくばエクスプレス(TX)の土浦駅延伸実現に向けたシンポジウムが18日土浦駅前の県県南学習センターで開かれた。土浦日大高校の生徒たちが提案したもので、安藤真理子土浦市長、伊藤豪人県交通政策課長、塚本一也県会議員らがパネリストとして参加、つくば駅止まりのTXを土浦駅まで延伸することで生まれる利点について議論した。席数450の会場は約500人の聴衆であふれた。

中間駅周辺開発は160ヘクタール、人口5000人

説明する伊藤県交通政策課長

パネルディスカッションに入る前に、伊藤課長が「TX延伸構想の今」と題して延伸の必要性などを説明。この中で、つくば駅と土浦駅(約10キロ、所要時間約9分)の中間に設ける新駅周辺のイメージについて、①開発面積は160ヘクタール②計画人口は約5000人―などと説明した。新駅の場所は決まっていないが、土浦延伸が実現すれば、中間駅の周辺には新しい街が誕生する。

TX延伸による「街づくり」については、パネリストで元UR都市機構職員の色川一紀さんがTX流山おおたかの森駅周辺開発の成功事例を紹介、①地権者と市民が中心となって街づくりを進めた②子育てしやすい街を目指した③緑豊かな自然との共生を図った―などと説明し、中間駅周辺開発の参考にするよう促した。

県全体の活性化につながる

また、伊藤課長は土浦延伸の効果として①東京圏から新たな人の流れが生まれる②つくば地域と水戸地域の交流が拡大する③脱自動車に向けた公共交通の役割が向上する④研究学園都市の魅力が一層向上する―などの視点を提供、延伸効果を土浦エリアに絞って見るのでなく、県全体はもちろん、東京圏にまで広げて検証する必要性を強調した。

伊藤課長の説明スライド

こういった説明を受け、安藤市長は「TX延伸は土浦だけの問題だけでなく、常磐線と交差することで水戸や日立エリアとつながり、さらに将来に茨城空港まで延びることになれば、県全体の活性化につながると思うようになった」と発言した。

JRとTXの振替輸送が可能に

JR東日本の元技術職だった塚本県議は、TXの特徴として①ほぼ真っ直ぐ都心に入る②全線が高架か地下で踏み切りがない③スピードが時速130キロ(設計上は160キロまで可能)と速い―などの特徴を挙げ、「踏み切りがないと事故による運行停止が減る。常磐線と土浦で交差すれば、どちらの線が不通になっても振替輸送が可能になり、この利点は大きい」と、専門家の知見を述べた。

この振替輸送に関連して、伊藤課長は「リダンダンシー(重複)」という専門用語を使い、災害時などに輸送機能を停止させないよう、代替経路を用意する必要性に触れ、JRとTXが土浦で結ばれると「人員・物資輸送の拠点としての土浦駅の役割が強化される」と説明した。

土浦が活気ある街に

土浦日大高校の生徒も3グループに分かれて勉強の結果を報告した。この中では「中間駅周辺に人を集めることで人の往来を活性化できる」「東京圏への通勤・通学がより容易になる」「高齢化などで変化する土浦エリアを活気付けられる」「高校、大学、研究機関へのアクセスが向上する」「土浦が活気ある街になる」といった発言があった。

報告する土浦日大高校の生徒

県は2025年2月にTX延伸構想をまとめ、延伸先をJR土浦駅に絞り込んだ。その時点での事業費は概算1320億円、開業目標は2045年。県は延伸実現に向け、TXが通過する東京都、埼玉県、千葉県、鉄道政策を管轄する国土交通省との交渉に入り、TX東京駅延伸とセットで土浦延伸を実現させる展望を描いている。(坂本栄)

【ファクトチェック】外国人「優遇」制度とヨーロッパの治安めぐる発言は本当か 衆院選’26

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土浦学園線(写真と記事は直接関係ありません)

2月8日投開票が行われた衆院選で、参政党から茨城6区に出馬した堀越麻紀氏は選挙戦最終日の7日、TXつくば駅前での街頭演説(8日付 全文掲載)で、外国人に関する制度や海外の治安について複数の発言をした。公的機関の資料と統計をもとに事実を確認した。

【検証1】外国人「優遇」制度めぐる発言は本当か

発言①「与党は、外国人を雇うと企業に最高72万円の助成金を渡している」
➡誤り

この発言は、厚生労働省の「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)」を指していると思われる。ただしこの制度は「外国人を雇ったこと」への報酬ではなく、就業規則の多言語化や相談体制の整備など、職場環境を整備した費用の一部を補助するものだ。支給上限も1事業主あたりの額であり、雇用した外国人1人あたりに支給されるものではない。

また制度はすでに2025年4月に改定済みで、街頭演説当時(2026年2月)、上限は80万円(1取り組み20万円、最大4取り組み)に変わっており、「72万円」という数字はすでに旧制度のものだった。

▶ 厚生労働省「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/gaikokujin.html

研究学園地区

発言②「外国人は5年払えば年金がほぼ全額戻る。帰国と再入国を繰り返して得をしている」
発言②-1「5年払えば年金がほぼ全額戻る」
➡不正確

外国人が10年未満で帰国する場合に利用できる「脱退一時金」という制度があるが、これは年金ではない。将来の年金受給権を放棄する代わりに、本人が払った保険料の一部を受け取る仕組みだ。

また、「ほぼ全額」は誤り。会社負担分(保険料の約半分)は戻らず、受取時には税金も差し引かれる。計算の上限も原則5年分(60カ月)だ。受け取ると年金加入記録が消え、老齢年金の受給資格(10年)からも遠ざかる。

発言②-2「帰国と再入国を繰り返して得をしている」
➡一部事実・「得をする」は言い過ぎ

複数回受給が制度上可能だったことは事実。2025年に成立した年金制度改正法では、再入国許可を持って出国した外国人について、再入国許可の有効期間内は脱退一時金を受け取れないと定めた。また、支給額の計算に使う期間の上限をこれまでの5年から8年に延ばした。技能実習(3年)を終えて特定技能(5年)に移行し、計8年間日本で働く外国人が増えていることへの対応で、長期滞在者が将来きちんと老齢年金を受け取れるようにすることが目的とされている。

ただし「得をする」とは言い切れない。受け取るたびに加入期間がゼロに戻るため、長期的には老齢年金の受給資格を失うリスクを伴うからだ。発言は制度の一面を捉えてはいるが、「ほぼ全額」「得をする」という表現は誇張と言える。

▶ 日本年金機構「脱退一時金について(FAQ)」
 https://www.nenkin.go.jp/faq/jukyu/seido/sonota-kyufu/dattai-ichiji/index.html
▶ 厚生労働省 第20回社会保障審議会年金部会 資料2(2024年11月15日)
 https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001332275.pdf
▶ 年金制度改正法の概要(令和7年)
 https://www.mhlw.go.jp/content/12500000/001496971.pdf

つくば駅

【検証2】ヨーロッパの治安めぐる発言は本当か

発言③「移民が10%を超えたヨーロッパの国は明らかに治安が悪化している。先ほど池田議員がお伝えした通り、(スウェーデンでは)レイプの件数が恐ろしく多い」※堀越氏に先立ち演説に立った同党の水戸市議・池田悠紀氏による「スウェーデンは性犯罪件数が世界2位」という内容の発言を受けて
発言③-1「移民が10%を超えたヨーロッパの国は治安が悪化している」
➡誤り

移民比率と治安悪化の因果関係を示す根拠はない。EU統計局によると、2024年1月時点でEU全体の人口に占める外国出身者の割合は13.3%に達しており、加盟27カ国のうちルクセンブルクをはじめドイツ、フランス、スペイン、スウェーデン、オーストリアなど11カ国がすでに10%を超えている。「10%超」はEUでは珍しい状況ではない。

ドイツのifo経済研究所が2018年から23年の警察統計を分析した結果、「地域内の外国人比率の上昇と犯罪率との間に明確な相関関係は見られない」と結論づけている。EU全体の殺人による犠牲者数も2013年比で約15%減少しており、この間に外国出身者は約50%増加している。治安が長期的に悪化している傾向は確認されない。

▶ NEWSつくば 2月3日付 【ファクトチェック】外国人労働者は日本人の雇用を奪っているのか 衆院選’26
 https://newstsukuba.jp/59822/03/02/

発言③-2「スウェーデンはレイプが恐ろしく多い」
➡根拠不十分 統計上は高いが、発生率の高さとは言えない

スウェーデンの人口あたりレイプ被害届件数は国際比較で高い数値を示している。しかしスウェーデン犯罪防止委員会(BRÅ)はこの統計について「各国の統計は単純比較できない」と指摘している。主な理由は3点ある。第一に、2018年の法改正で同意のない性行為を「犯罪」としたこと。第二に、同じ加害者による継続的な被害を1件とせず、行為ごとに起きた被害を1件と計上していること。第三に、被害を届け出やすい制度環境が整っており通報率が高いことだ。したがって、スウェーデンでレイプ被害届件数が多いことを持ってして「世界的に性犯罪が多い」と発生率の高さを断定することは、統計上、適切ではない。

▶ BRÅ「Reported and cleared rapes in Europe」2020年  https://bra.se/download/18.45e4b8e192705389a364af/1729670248064/2020_13_Reported_and_cleared_rapes_in_Europe.pdf

(柴田大輔)

つくば駅前の樓外樓学園本店《ご飯は世界を救う》71

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イラストは筆者

【コラム・川浪せつ子】樓外樓(ろうがいろう)学園本店(つくば市吾妻)は、つくば駅前の商業施設「トナリエつくばスクエア」にある中華料理店です。かなり前、ここで開かれた立食パーティーに参加したことがありました。立体駐車場横にあり、ランチの看板が出ていますが、宴会中心のお店と思っていましたので、入ったことはありませんでした。

私、茨城県建築士会・女性部の新年会幹事になり、みなさんが集まれる場所を、昨年秋から探し回っていました。ところが、昨今の食料品の値上がりで、予定額に見合うようなお店がなかなか見つかりません。女性ばかりの会なので、「デザートとお茶、頼むよ!」との要望に応えてくれるお店を見つけるのは難しいのです。

いろいろなお店に電話して訪問。私たちの予算では無理だわ~と思っていたところ、たどり着いたのが樓外樓さんでした。12月初めに皆さんに連絡する必要があるので、下見をする時間もなく、とりあえず11月に日程を押えました。

それでも少し心配になって、ランチに行ってみました。そうしたら、お手ごろ価格! それに、上のイラストのようなバリエーションに富んだメニュー。私は「小龍包セット」を頼んだのですが、焼きそば、スープ、サラダ、コーヒーなどが、食べ・飲み放題。ほかに、ポット入りの温かいウーロン茶や杏仁豆腐まで。

餃子と小龍包、夫とシェアできず

皿数が多いと、食べる前に線でスケッチするのには、とても時間がかかるのです。スケッチブックに全部収まるかなぁ~。やっと、どうにか描けました。それに、描き終えてから気がついたのですが、こんなことに…。

餃子定食を頼んだ連れ合いと、私の小龍包と一個ずつシェアすることにしていたのに、餃子は1個も残っていません! 私が絵を描くのに時間がかかり過ぎ、つい食べてしまったようでした。あらら…。

肝心の新年会は、お部屋も取れて、皆さんに好評でした。予定人数が少し増えるとか、デザートの追加注文もあり、お店に何度も連絡することになりましたが、とても気持ちよく対応していただきました。食べられなかった餃子、またの機会に注文しようかなと思っています。(イラストレーター)

12本中半数に空洞 ソメイヨシノ6本を伐採 つくば 桜の名所 農林さくら通り

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農林さくら通りに面した森林総合研究所第2樹木園のソメイヨシノの伐採作業の様子=16日午後2時ごろ

森林総合研究所第2樹木園

つくば市の桜の名所、同市観音台、農林さくら通りで16、17日の2日間、森林総合研究所第2樹木園の敷地内に植栽されているソメイヨシノ12本のうち6本の伐採作業が実施されている。12本の幹の内部などを調べたところ、空洞があり、倒伏の恐れがあることが分かったためだ。

伐採後は土壌改良し、早くて来春、八重咲きのサクラ「はるか」と野生種の新種「クマノザクラ」を植栽する予定だ。はるかは同研究所が開発し、俳優の綾瀬はるかさんが命名した。クマノザクラは同研究所などが紀伊半島で発見し2018年に命名された。

50年前に植栽

農林さくら通りは、農林関係の国立系研究機関が集積する約1.5キロの通り。通り沿いに約500本の桜が植栽され、各研究所が管理している。戦時中、谷田部海軍航空隊の飛行場跡だったところで、戦後、開拓地となり、その後、筑波研究学園都市の一角として農林研究団地が造成された。桜は約50年前の1975年ごろに植栽されたと見られている。同研究所第2樹木園は、筑波学園病院から常磐車道に架かる橋を渡ってすぐの、さくら通り入り口に位置する。

同研究所の佐藤保企画部長によると、さくら通り沿いの第2樹木園にはもともと13本のソメイヨシノが植えられていた。桜が散った後の昨年4月、そのうちの1本が2車線のうち片側1車線をふさぐように道路側に倒伏した。朝、出勤した職員が発見、倒伏した時刻は深夜か早朝だったとみられ、幸いけが人はなかった。

同研究所は、残りの12本に倒伏の恐れがないか調査。森林微生物が専門の研究者が目視と特別な機器で樹木の健全性を調査した結果、12本中6本に空洞があることが分かり伐採を決めた。近年、全国各地で落枝や倒木による人身事故が多発しているほか、ソメイヨシノは樹齢50年ほどを過ぎると枯れ枝が目立つようになるという。一方、昨年4月に倒伏した1本は、幹の空洞が原因ではなく根の一部が腐っていた。当日吹いた強風により根が地上部を支えられなくなったと考えられるという。

桜の名所、農林さくら通り

伐採する6本はいずれも幹の直径が70センチ程度、高さは10~12メートル程度で、歩道を覆うように桜の枝が伸び、桜の名所の一角を形成していた。

来春以降、植栽する桜は現在、同研究所の多摩森林科学園で育てられている。佐藤部長によると、花を咲かせるのは植栽してから3~4年後、桜並木を形成する大きさに成長するのは10~20年先になるという。(鈴木宏子)

思いやりのデザイン《デザインを考える》29

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写真は筆者

【コラム・三橋俊雄】昨年の春のことです。UR住宅で一人暮らしをされている97歳のMさんが、ビルの出入口前にある2段の階段でつまずき、仰向けに倒れて頭を少し打ってしまいました。ちょうど近くの遊び場にいた女の子たちがその様子に気づき、そのうちの1人がスマートフォンで救急車を呼んでくれたそうです。ところが、Mさんが「救急車を呼んじゃったの!」と言ったためか、その子は姿を消してしまったとのことでした。幸い、Mさんは病院で手当てを受け、その日のうちに無事に帰宅することができました。

翌日、この話をMさんから伺った私は、救急車を呼んでくれた子どもたちの気持ちがどうだったのか、心にひっかかりました。善意から行動してくれた子どもたちが、Mさんの一言によって「迷惑だったのかもしれない」と感じ取ってしまったのではないかと思うと、そのときの出来事が子どもたちの心に残ってしまいそうで気がかりだったのです。

そこで私はMさんと相談し、「救急車を呼んでくれてありがとう。私が階段で倒れていたところを、みなさんが心配して救急車を呼んでくれました。おかげさまで、病院で頭の傷の手当てを受け、その日のうちに退院できました。みなさんのおかげです。ありがとう! 97歳のおばあちゃんより」と書いた手紙を作り、遊び場にある滑り台の脇に貼りました。

次の朝に見に行くと、その手紙の下に「無事退院できてよかったです。お体に気をつけてください! by 中1の7人より」という小さな書き込みが添えられていました(上の写真)。それを目にしたとき、私は、子どもたちの善意とMさんの気持ちが、ようやくひとつにつながったように感じました。それは、小さな「思いやり」が確かに行き交った瞬間でした。

「お礼」でなく「手立て」

この出来事を振り返ると、親切心から行動した子どもたちでしたが、Mさんの一言によって、かえって不安を抱くことになったと感じたとき、私たちはどうしたらよいのか。ここでは、こどもたちが誰なのかも分からない状況のなかで、子どもたちとMさんの気持ちがもう一度寄り添えるようにと、手紙というかたちで「ありがとう」を伝えることにしたのです。

子どもたちへの手紙は単なる「お礼」ではなく、状況をより良い方向へ導くための小さな「手立て」だったと思います。途切れかけた人と人との関係を、もう一度そっとつなぎ合わせるための「きっかけ」でありました。

こうした行動こそ、小さな問題に気づき、状況を読み取り、より良い関係へとつなぎ直していく、そして素敵なコミュニティにしていくための「思いやりのデザイン」だったと感じています。(ソーシャルデザイナー)

筑波大ラグビー部の歴代ジャージを再生 福祉と結び「つくベア」誕生

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筑波大ラグビー部の田島汰一さん(右)とマネージャーの西村柊さん=つくば市天久保、筑波大ラグビー場

筑波大学ラグビー部などを強化支援する社会貢献団体「つくばスクラム」(廣瀬重之代表)=25年4月15日付=が、部内に保管されてきた歴代の試合用ジャージを再利用し、応援グッズとしてクマのぬいぐるみを制作するプロジェクト「つくベア〜Future Blue〜(つくベア フューチャーブルー)」を開始した。

制作にあたるのは、同市竹園の就労継続支援A型事業所「CWらぼ つくば」。同事業所の林佑一郎さんは「スポーツと福祉のこういった形の連携は今までにない経験。ラグビーというスポーツの枠を拡張したところに、障害のある利用者の方々もプレーヤーの一人として参加していければ」と、「ラグビーの町つくば」で始まった新しい企画へ思いを込める。

1枚のジャージから、約22cmのぬいぐるみが2体作成でき、試合会場などで取り扱う。一体あたり税込4500円。

ジャージを再利用するため、一体ごとに表情が異なる

闘いの証を縫い込む

「こことここを見てください」。そう言って、手にしたクマのぬいぐるみを示すのは「CWらぼ つくば」で利用者に縫製を指導する職員の柏木ひとみさんだ。擦れた傷と薄い緑色のシミが残る生地を指さしながらこう語る。「普通はこういった生地は製品には使いませんよね。でもここでは『ダメ』じゃない。ここに物語がある」

同事業所では、障害や病気のある人たちによる伝統工芸「こぎん刺し」を施した雑貨を製作し、製品は、市内の雑貨店や都内の百貨店などで販売されている。

利用者に制作方法を説明する柏木ひとみさん(右)=つくば市竹園、 CWらぼつくば

今回のぬいぐるみの素材となるのは、同市筑波大ラグビー部が保管してきた公式戦用に使われてきた歴代ユニフォーム。節目ごとに新調したりモデルチェンジを重ねながら使われてきたもので、部員にとっては誇りの象徴でもある。簡単に処分できず、少なくとも数十年前から倉庫で大切に保管されてきた。

「つくばスクラム」は2023年に発足。ラグビー部員主体で活動し、ラグビーを通じて地域とのつながりを広げたいという思いから、眠っていたユニフォームの再活用を模索していた。市に相談したところ、紹介されたのが市内で民芸品制作や販売を通じて障害のある人たちの社会復帰を支援する「CWらぼ つくば」だった。

世界に一つだけ

服飾学校で学んだという柏木さんは「生地のシミや傷を見ていると、トライしてついた芝生や土の跡なのかな、と背景を想像できる。汚れは決してダメなものではないんです」と話す。

「ジャージに残るシミや傷を生かして製作する」と柏木さんはいう

ラグビージャージは特殊な素材だ。部位によって伸縮性が大きく異なる。「ここはすごく伸びるけど、ここは全く伸びない。引っ張られても切れないようにできている。通常ぬいぐるみには使わない素材だが、逆にそこを活かしたい」と言う。

特性の異なる生地を縫い合わせるために、複数の糸を使い分ける。縫製時には紙を挟んで伸びを抑えるなど工夫を重ねる。立体感を出すためにダーツを入れるなど、洋裁の専門知識も活かされている。背番号や色の切り替え部分をどこに使うか考える。1体ずつ表情が異なる「世界に一つだけのぬいぐるみ」だ。

制作に携わる利用者からは「難しさもあるが、やりがいを感じている」「選手が残した闘いの証。完成させると本当にうれしい」と声が上がる。

同事業所でサービス管理責任者を務める林さんは「学生に私たちの活動を知ってもらうチャンスはなかなかない。すごくいい機会だと思った」と、つくばスクラムからユニフォーム再活用の相談を受けた当時を振り返る。

個性尊重し合うラグビー精神

つくばスクラムでスポンサーなど企業とのやり取りを担っているのが、ラグビー部2年の田島汰一さんだ。スクラムハーフとして、試合では攻撃の起点を担う。「ジャージには、誇りを持って戦った先輩たちの証が残っている。その特性を失わずに活かしてもらえたのは、本当に意味があると思った」と話す。公式戦に出られるのは23人。部員約60人のうち、半数近くは憧れの公式戦用ユニフォームである「ファーストジャージ」を着られずに卒業する。だからこそ、そのジャージには特別な思いが込められると話す。

田島さんは、ラグビーの魅力を「能力の違いを超えて、それぞれの個性を尊重し合うところ」だと話す。地域貢献活動については、「日本一になるためにもグランド内外でしっかりと活動しないといけないと思っている。つくばにはラグビーの大きなコミュニティがある。筑波大はその柱として活動していく使命がある。地域の方々に私たちの活動を見てもらい、共感してくれる仲間が増えたり、応援してくれる方々が増えることで、より高みへと目指したい」とし、「この活動が、ラグビーを知ってもらうきっかけになれば」と想いを込める。

ぬいぐるみのお披露目は、12月に秩父宮競技場で行われた全国大学ラグビーフットボール選手権大会準々決勝。試合会場で取り扱った10体は、設置直後に完売した。今後も試合会場などで取り扱っていくという。会場に立ち会った同大1年でマネージャーの西村柊さんは、「『また作ってほしい』という声がたくさんあった」と振り返る。西村さんは、「仲間として助け合うのがラグビー。見てる側の感情に訴えかけられるし、人間っていいなぁって思える」とし、「ぬいぐるみを通じて色々な人がつながり、手にした人たちが『私もつくばファミリーの一員』だと感じてもらえたらうれしいです」と笑顔を浮かべる。(柴田大輔)

➡就労継続支援A型は、利用者と雇用契約を結び、従業員として働いてもらう福祉サービス。「CWらぼ つくば」の利用者は身体障害、軽度の知的障害のほか、うつ病などの中途障害者も多い。

衆院選に見たポピュリズムの蔓延《吾妻カガミ》216

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イオン土浦(同市上高津)内に設けられた衆院選の期日前投票所

【コラム・坂本栄】先の衆院選で各党が掲げた消費税の公約には強い違和感を覚えました。その範囲と程度に濃淡はあったものの、一様に消費税の縮小や廃止を訴えていたからです。減税や廃税を歓迎することはあっても反対する国民は少ないでしょう。選挙での消費税改廃合戦は、国民大衆に迎合して票の取り込みを図るポピュリズムの極みです。

消費税減税と廃税を競う

各政党が目玉公約に設定した消費税政策は以下のようなものでした。飲食品に限り2年間ゼロ(自民、維新)、同ずっとゼロ(中道改革)、全商品5%にカット(国民民主)、同5%にカット+いずれゼロ(共産)、消費税全廃(れいわ、参政、減税日本、日本保守、社民)、消費税でなく社会保険料をカット(チームみらい)。

飲食品限定か全商品が対象か、期間限定か恒久的か、一部廃止か全部廃止か、消費税でなく社会保険料を下げるか―各政党の政権への距離によって差はありますが、生活に身近な消費税をいじくり回し、票をかき集めたいという思惑が見え見えでした。

来年度予算122兆円の4分の1を国債発行(借金)で賄うというのが日本財政の現状です。この構造を直視せず、各党は減税あるいは廃税を競い、有権者に選択を迫りました。政府の借金がすでに巨額に上っていることを考えると、国民も随分バカに(愚民視)されたものです。

いま必要なのは「増税党」

消費税公約を読んでいて、元財務省次官だった矢野康治・神奈川大学教授の講演(2025年秋、ホテル日航つくば)を思い出しました。21年10月発行の月刊「文藝春秋」に「財務次官、モノ申す 『このままでは国家財政は破綻する』」とのタイトルで寄稿、大きな話題になった方です。講演では財政赤字拡大を憂慮、借金財政が経済を活性化、それが税収増につながるといった考え方には強い疑問を呈していました。

講演のあと、「講演行脚だけでなく、『増税党』を立ち上げ、財政再建を国民に直接訴えたらどうか」と、新党立ち上げを促してみました。笑ってかわされましたが、今思うと、「増税党」議員数は財政ポピュリズムへの「懸念指数」になるのではないでしょうか。

外国人奪い合いが現出する?

排外主義を目玉にする参政党にあおられたのか、外国人政策でもポピュリズムが蔓延(まんえん)、永住者と日本国籍取得の審査を適正化(自民)、外国人比率の上限設定を検討(維新)、観光公害対策として外国人の入国に徴税(国民民主)、低賃金労働力導入が目的の移民政策に反対(れいわ)、外国人の受け入れ総量と運用を厳格化(参政)―といった公約が並びました。

外国人規制が「受ける」のは、言葉や習慣が違う人たちは嫌いだ、自分たちの仕事が奪われる―といった気分や心配があるからでしょう。しかし、人口が減っていく日本の経済や社会は、外国人に手伝ってもらわないと成り立ちません。外国人問題は、ヒューマニズム(人道)やダイバーシティ(多様性)の問題だけでなく、プラグマティック(実利的)な問題でもあるのです。

懇意にしている高齢者施設の経営者が「施設を造っても、それに必要な介護職員を集められず、部屋が埋まらない。近い将来、人口が減っていく先進諸国の間で外国人労働力の奪い合いが起きるだろう」と話していました。

長期視野と構造対策が欠如

外国人問題は気分や心配に振り回されることなく、将来の人口減を展望して取り組む必要があります。また、物価高に消費税で対処するのは場当たり策であり、為替円高や市場機能を活用する抜本策が必要でしょう。先の衆院選では、こういった長期視野と構造対策の欠如が目立ちました。政治の劣化です。(経済ジャーナリスト)

土浦の花火100年の紡ぎ(2)《見上げてごらん!》49

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土浦の花火カレンダー今年の表紙と2月の暦:にぎわう町/町の人々の支え

【コラム・小泉裕司】神龍寺の秋元梅峯師(1882~1934)が組織した大日本仏教護国団の主催により始まった「全國煙火共進會」(現在の土浦全国花火競技大会)は、回を追うごとにその規模を拡大させていった。しかし、その華々しい盛況ぶりとは裏腹に、財政面では累積した借財が大きな負担となり、大会の継続そのものが危ぶまれる窮地に立たされる。この状況を救ったのが土浦町の人々であった。

「土浦煙火協会」を結成

1932年の第6回大会以降、土浦町の商工関係者らが「土浦煙火協会」を結成。名称も「全國煙火競技大会」へと改められ、町の振興を担う重要行事へと発展した。1941年に戦争で中止となるまでの15年間は、3回の中止を挟みながらも、大会の草創期といえる時代であった。

協会は、国務大臣も務めた原脩二郎氏(1871~1934)を名誉総裁、梅峯師を会長に据えて組織され、地区長や町会議員、1929年に創立された土浦商工会のメンバーも賛助員として加わり、まさに全町協力の下、第6回大会が開催された。

秋元梅峯師と豊島庄十郎氏

翌年、梅峯師が病により会長を辞任。実業家の豊島庄十郎氏(1874~1944)が後任に就き、第7回大会が開催された。なお、梅峯師は名誉会長へと退いた。 1934年3月に原脩二郎氏、同年7月に梅峯師が相次いで没したことから、同年の第8回大会初日の午後、競技に先立ち両氏の追悼法要が執り行われた。その折には、霞ケ浦海軍航空隊から3機の水上機が飛来し、空から哀悼の意を表したという。

神龍寺本堂前の秋元梅峯銅像=筆者撮影

豊島氏は中城町の豊島家に婿養子として入り、土浦繭糸(けんし)市場や百貨店の経営などを通じて一代で財を築いた、希代の事業家である。

町会議員に推挙されるほどの堅実な人間性と郷土愛を兼ね備え、文化的な都市計画にも建設的な知見を述べるなど、行政側からの信望も極めて厚かった。町当局の強力な支援を背景に、運営難に陥っていた収支は速やかに改善。1936年の第10回大会を空前の大成功へと導いた。

花火大会の経済波及効果は?

3年後の亀城会会報第18号には、当時の状況について次のような記述がある。「花火師の交通費や宿泊費、火薬代などに6千円を要するが、一方で町に約20万円が落ちると推定される花火大会は、土浦の福の神である。ぜひ定着させたい」。

これを「レファレンス協同データベース」の資料を参考に現代の貨幣価値に換算すると、支出は約1千万円、経済効果は約3億5千万円に相当すると考えられる。

経済効果の専門サイト「経済効果.NET」は、2023年11月4日に開催された第92回土浦全国花火競技大会の経済波及効果を算出している。 発表された総観客数は60万人。2023年茨城県観光客動態調査によると、1日当たりの入り込み客数は県内最大を記録している。

試算の結果、宿泊や飲食、土産物購入などの直接消費額は1日で51億2200万円にのぼり、新たに発生した2次・3次波及効果を含めた経済波及効果は全国で107億5100万円。うち茨城県内への波及効果は12億300万円、税収効果は5300万円に達し、地域経済の活性化に大きく貢献した。

イオン土浦も大会運営に協力

一方、大型商業施設「イオンモール土浦」が大会運営に協力して当日営業を休止するなど、開催に伴い通常の経済活動が一時的に停止する側面があることも併記しておきたい。本日はこれにて、打ち留めー。(花火鑑賞士、元土浦市副市長)

<参考文献>
「亀城会会報第18号」(亀城会事務局、1939年刊)
「茶の間の土浦五十年史」(市村荘雄一著、いはらき新聞社、1965年刊)
「土浦町内ものがたり」(本堂清著、常陽新聞社、1989年刊)
「花火と土浦」(土浦市、2018年刊)

スマートICとTX延伸見据え産業用地の候補地抽出 土浦市’26当初予算案

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新年度予算案を発表する安藤真理子土浦市長

過去最大規模に

土浦市の安藤真理子市長は13日、2026年度当初予算案を発表した。一般会計は前年度当初比12.1%増の656億2000万円、特別会計を含めた総額は同比7.5%増の1089億6000万円で、いずれも過去最大規模となる。3月議会で審議される。

主な事業は、常磐道桜土浦インターチェンジ(IC)-土浦北IC間の土浦市とつくば市の境に建設予定のスマートIC整備とつくばエクスプレス(TX)土浦駅延伸を見据え、新たな産業用地の候補地を抽出し、地権者の意向確認やインフラ整備状況の調査、基本構想の策定や測量などを実施し、具体化に向けた基礎資料を作る(6300万円)。同スマートICは早期完成に向け、用地測量や補償物件調査を実施する(1億円)。

桜土浦IC周辺に産業用地を開発する土地区画整理事業(25年4月25日付 )は1億2800万円を計上し、基本設計実施に併せた道路や街区の測量、土地区画整理組合設立に向けた準備委員会への助成などをする。

上大津統合小、荒川沖消防署建設に着手

さらに、28年4月の開校を目指し上大津東小の拡張敷地に上大津地区統合小学校の校舎などを建設する工事に着手する(11億5200万円)。同じ28年度の開署に向けて荒川沖消防署と南分署の中間の右籾地区に、新荒川沖消防署を建設する工事に着手する(4億6400万円)。

老朽化が著しいため3年かけて設備の更新を実施してきた市清掃センターは、3年目の26年度にごみクレーンなどの設備を更新する(18億8400万円)。更新工事期間中は焼却炉を停止し、可燃ごみの処理を近隣自治体や民間処理施設に委託する。

築35年が経過した市保健センターは、高断熱、省エネのZEB化による改修に向け基本・実施設計を実施する(3800万円)。開館から30年が経過した上高津貝塚ふるさと歴史の広場の博物館施設は26、27年度の2カ年で、施設の長寿命化改良工事を行うと共に最新の研究を反映した展示内容への改装などを実施する(2億2900万円)。工事期間の今年9月から休館し、28年4月のリニューアルオープンを予定している。

モール505の歩行空間を再構築

土浦駅周辺の市中心市街地に立地しながら空き店舗が目立つ川口ショッピングモール(モール505)の歩行空間は、安全で魅力ある歩行空間とするための再構築工事を実施する(8600万円)。

民間の力を導入し霞ケ浦の土浦港周辺に観光・レクリエーション拠点を整備する構想(1月3日付)は、公募があった民間事業者と契約を締結する(110万円)。

県内初、紙おむつのサブスク助成

子育て支援は、保育施設が実施している紙おむつのサブスクリプション(定額使い放題サービス)に対し1340万円を計上し、県内で初めて市が利用料金の2分の1(月額上限1200円)を助成する。紙おむつの残数管理は保護者と職員双方にとって負担となっており、保護者にとっては紙おむつに名前を記入して持参する負担が軽減されるほか、職員も負担が軽減され保育の質の向上が期待できるとする。先行して実施した給食費無償化は、4月から全国で実施される小学校のほか、中学校の給食費無償化も引き続き実施する。

同市への移住や定住を促進するため、大学卒業後、同市に居住し就業している若者の奨学金返還支援(上限10万円)を継続するほか、移住する際の移転費を新たに一部助成し(上限10万円)、転入者が中古住宅を取得しリフォームする際の費用を新たに助成する(工事費の2分の1、上限30万円)。

犯罪被害者支援条例制定

ほかに新規事業として、2027年12月末で水銀ランプ、蛍光灯の製造、輸出入が完全に禁止されることから、省エネに関する包括的サービスを実施し実現した省エネ効果の一部を報酬として受け取る「ESCO事業」を導入し、地区公民館や保育所など15施設の照明をLED化する(1億3000万円)。さらに、町内会や自治会が設置する防犯カメラの設置費用の2分の1、上限20万円を補助する(120万円)。今年4月1日付で犯罪被害者支援条例を制定する予定であることから、犯罪被害によって重傷を負った人に10万円、死亡した遺族に30万円の見舞金を給付する。

ふるさと納税過去最高に

一方、歳入のうち、法人市民税は物価高や人件費高騰による収益低下から前年度当初比8.8%減を見込む一方、個人市民税は賃金や所得の上昇などから6.1%増、固定資産税は新築・増築家屋の増加により1.4%増を見込み、市税全体では2%増を見込む。ふるさと納税は、25年度分が今年1月末時点で20億円を超えるなど過去最高となったことから、26年度は25億円の寄付を見込む。これに対し市の借金である市債は、学校建設やごみ焼却施設の更新などにより前年度当初の2倍の70億円を発行する。

市債については、特別会計と併せ、総額で90億円を発行するのに対し、100億円を返済する予定であるなど、市債残高自体は年々減少しているとする。さらに財政調整基金からの繰り入れについては、25年度に収支不足を補うため同基金から4億円を繰り入れることになったため、26年度は強い危機感を持ち歳入歳出の見直しを行った結果、収支不足の大幅な縮減を達成することができたとしている。26年度末の同基金残高は49億円の見込み。(鈴木宏子)

1人5千円を電子クーポンなどで給付、水道基本料金も半年間減免 土浦市

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土浦市役所

政府の物価高対応交付金活用

土浦市は10日、物価高騰対策として4月以降、市民全員を対象に1人当たり5000円の電子クーポンまたはギフトカードを給付するほか、一般家庭全世帯を対象に4月から9月までの6カ月間、水道料金の基本料金を減免すると発表した。政府の物価高対応交付金を活用し、総額で約10億1200万円の支援となる。10日市議会臨時会を開き、全会一致で可決された。隣のつくば市は19歳以上に現金5000円を給付などする。

プッシュ型で

土浦市の5000円の給付対象は年齢制限を設けず、市民全員約14万1500人に給付する。電子クーポンで受け取るかギフトカードかは選択できる。給付総額は約8億3400万円。

給付方法は4月から5月にかけて、市から市民全員にプッシュ型で、5000円分の電子クーポンが利用できるQRコードを郵送する。世帯単位で郵送し、家族の人数分のQRコードが送られるという。マイナンバーカードなどと紐づけることなく利用できる。

利用方法は、郵送された世帯人数分のQRコードをそれぞれがスマートフォンで読み込めば、JCBカード、ペイペイなど約1800種類の電子クーポンの中から自由に選んで、5000円分の買い物や飲食をすることができる。現金にしたい場合はセブンイレブンのセブン銀行で現金化することもできる。

一方、スマートフォンを持っていないためQRコードの読み込みができなかったり、電子クーポンを利用したくない市民などには、2カ月間の意思表示期間を設け、代わりに5000円分のバニラビザギフトカードを郵送してもらうことができる。電子クーポン、ギフトカードいずれも申し出がなかった市民に対しても、後日、5000円分のバニラビザギフトカードをプッシュ型で郵送する。

電子クーポンは幅広い市民が利用できること、QRコードを受け取った時点ですぐに利用可能になること、現金の口座振り込みと比べ、手間や経費を縮減できることなどから電子クーポンにしたなどという。

18歳以下の児童手当支給対象者は政府の物価高対応子育て応援手当を活用して1人当たり2万円を受け取ることがすでに決まっているが、同市の場合、18歳以下は2万円に加えて5000円を受け取ることができる。

水道基本料金減免は2700円

さらに水道料金基本料金の減免は、一般家庭約6万5300世帯が対象で、1カ月当たり450円の基本料金を4月から9月までの6カ月間、1世帯当たり計2700円減免する。総額は約1億7790万円になる。

5000円の給付と水道料金の減免は、昨年12月に補正予算が成立した政府の物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金を活用して実施する。各自治体が地域の実情に合わせて支給内容を決めることができ、政府が推奨事業メニューに示した「おこめ券」などは配布しない。隣のつくば市は、現金5000円給付のほか、介護保険サービス事業者や障害福祉サービス事業者などに支援金を給付する(1月7日付)。

北条の街で起こった出来事《映画探偵団》97

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イラストは筆者

【コラム・冠木新市】1月25日、つくば市北条にある宮清大蔵での詩劇コンサート「北条芸者ロマンの唄が聞こえる」を無事終了することができた。当日は晴天だったものの警報級の大寒波が襲った。参加者が集まるか心配したが、開場前から参加者が来場され、74人が観劇する「満員御礼」となった。

参加はつくば市からが多かったが、埼玉県8人、土浦市5人、常総市2人、東京都2人、小美玉、桜川、北茨城市が各1人と、遠方からも見に来てくれた。年齢も20~70代と幅広く、女性が半数以上だった。

うれしかったのは、地元・北条から4人の参加があったことだ。たかが4人と思う人がいるかもしれないが、これまで「北条芸者ロマン/筑波節を歌う女」「北条芸者ロマン/三代目襲名」「北条芸者ロマン/二代目の恋」と3度公演したが、地元の参加者はほぼゼロだった。

今回は北条街づくり振興会会長に、地元の人からの問い合わせが数多くあったという。スタッフも会場前を通りがかった北条の人から「今日ですね」と声を掛けられたそうだ。シリーズ4作目にして、ようやく地元に浸透してきた。

異口同音に「なぜか懐かしい」

お話は95年前の1930(昭和5)年の出来事だから、北条の人は生まれていないはずなのに、「なぜか懐かしい」と異口同音に連発するのだ。プロローグで、昭和初期の筑波・北条のスライドにかぶせて、カ一ペンタ一ズの「イエスタデイ ワンスモア」を流したせいだ。知らない世界なのに、名曲の力で懐かしさを感じられる。

北条の人は、劇中に出てくる地名にいたく反応し、感動していた。これは予想外でびっくりした。終了後、劇中に出てくる料亭で結婚のお祝いをしたと、うれしそうに語り掛けられた。自分の思い出を重ね合わせて見ていたのだろう。もっと地元の人に見ていただければ、さらに世界観が深まると思った。

岡本喜八監督の「殺人狂時代

翌日、急に岡本喜八監督のアクションコメディ「殺人狂時代」(1967)が見たくなった。この作品は1966年に東宝で作られたが、理由なくお蔵入りとなった。翌年2月4日に公開されるが、東宝始まって以来の不入りとなり、短期間で打ち切りとなる。その後、名画座で上映されると、だんだん人気が出てきてカルトム一ビ一化する。私は公開時に見たが、名画座でも度々見て夢中になった。

水虫に悩む、さえない大学講師・桔梗信治(仲代達矢)は、「不要な人間は殺せ」という思想の精神病院院長・溝呂木省吾(天本英世)が育てた精神病患者の殺し屋に狙われる。しかし、桔梗は次々と殺し屋たちを返り討ちにする。話が進むうち、溝呂木は、ナチスドイツの残党が桔梗の知る宝石「クレオパトラの涙」を狙っていると分かる。

物語はいつしか宝石をめぐる話へと変わる。さらに、桔梗は殺し屋たちに襲われるふりをして、逆に殺し屋組織の壊滅を図っていく。仲代演じるぬぼーっとした桔梗が、どんどん格好よく変貌を遂げるのだ。

なぜ、北条でのイベントが終わって「殺人狂時代」を見たくなったのか? 多分、さえない桔梗が変化する姿と北条の街に共通するものを感じたからかも知れない。北条の街はこれから変化していくのではなかろうか。次の「北条芸者ロマン・完全版」では、北条の街の歴史を組み込むつもりである。「北条芸者ロマン」が、少しでも街の発展のお役に立てればと願っている。サイコドン ハ トコヤンサノセ。(脚本家)

<お知らせ>特別試写会『北条芸者ロマンの唄が聞こえる』
・日時:2月28日(土)午後1時~
・場所:つくばカピオ(つくば市竹園)中会議室
・参加費:無料
・対象:まちづくりに興味がある方

末期がんと診断されてしまいました…《ハチドリ暮らし》58

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写真は筆者

【コラム・山口京子】末期がんと診断され、生活が変わりました。昨年12月、痔の治療のつもりで病院を訪れたところ、「痔ではなく、大腸がんです」と、医師にあっさり説明されました。そのあとの血液検査と内視鏡検査で分かったのは、進行性の直腸がん。

「ここでは治療はできないので、紹介状を書きます。どこの病院を希望しますか?」と言われても…。がんだから、専門の病院がいいのか、家から通いやすい病院がいいのか…。

家に近い総合病院の名前を伝えると、受付の方がそこに連絡し、予約日を決めてくれました。紹介状を受け取り、帰宅したものの、実感はありません。確率的にはおかしくはないけれど、自分にもホントに来たのだな…。

体の感覚は昨日と変わらないのに、がんと診断されたことで、何か変わってしまいました。この原稿を書いているときも、がんが増殖中と思うとおかしな気分。昨年は体調不良を感じていたけれど、左足の骨折や夏の暑さのせいと思い込んでいました。

4日後、総合病院で検査。10日後、直腸がんであること、肝臓・肺・リンパに転移し、ステージ4との検査結果。治療しないと余命8カ月、治療してうまくいけば2年半。治療方針は、化学療法で転移を抑え、経過を見るとのこと。年明けに入院し、抗がん剤治療を始める日程。説明を涙ながらメモしている娘。

2週間を1クールとして治療

期間限定の人生になったらしい…まだ信じられない。でも人生は期間限定。死亡率100%なのだし…。副作用の説明もあったけれど、具体的にはどんな症状が出るのか。痛みに弱い、ヘタレな自分がどこまで治療についていけるのか。

がんと分かってから、がん関連の本を何冊も読んでみました。標準治療に対する評価、抗がん剤に対する考え方、先進医療や代替治療、食事やサプリメント、漢方薬など。さまざまな見解がありましたが、とにかく抗がん剤治療を受けることにし、仕事は12月で辞めました。

入院は1月6日。CVポート(皮下埋め込み型カテーテル)を装着し、2日後に抗がん剤の点滴を開始。4日間入院して点滴を受け、退院後の10日間は静養。この2週間を1クールとして治療を続けていく段取り。これから、どのような経過をたどるのでしょう。(消費生活アドバイザー)

デジタル技術を駆使 アニメ、ゲーム、広告デザインなど展示 日本国際学園大

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日本国際学園大学でデザインを学ぶ3、4年生の作品展の様子。モニター画面には学生が制作したアニメやゲーム、映像作品が放映された

日本国際学園大学(つくば市吾妻)でデザインを学ぶ3、4年生が、日ごろの学習の成果を発表する作品展「2026コンテンツ デザイン エキシビジョン」(同大経営情報学部ビジネスデザイン学科主催)がこのほど、同市吾妻、中央公園内のつくば市民ギャラリーで開かれ、アニメ、ゲーム、メタバースなど最新のデジタル技術を駆使した作品や、想定した架空の店舗や商品のブランド価値を高める広告デザインなどが展示された。

1月31日から2月6日まで開催され、学生17人が作品約40点を展示した。同展は毎年開催され今年で15回目。4年生にとっては卒業制作展になる。

県内各地の昭和レトロな商店街の魅力を紹介したガイドブック

展示されたのは、楽曲に合わせて容姿が変化していくキャラクターを描いたアニメ作品、音楽に合わせてキャラクターや背景を動かすなどデジタルアートの制作過程そのものを映像にした作品、AIを使って小説のシナリオとキャラクターを制作したノベルゲームなど。

広告デザインは、つくば駅近くに架空のカフェがオープンしたと想定し、店舗のロゴやチラシ、缶バッチやシールなどを実際にデザインしたものや、土浦や水戸、常陸太田、龍ケ崎など、県内各地の昭和レトロな商店街を実際に訪ね歩き、それぞれの魅力を紹介したガイドブック、架空の水戸納豆のオリジナルキャラクターや商品パッケージなどをデザインした作品などが展示された。

架空の水戸納豆の商品キャラクターとパッケージデザイン

インターネット上の3次元の仮想空間、メタバースの中で参加者を募り、参加者の分身であるアバターの撮影会や交流会を主催するなど2年間にわたる活動記録をポスター展示した4年の姜翔(きょう・しょう)さん(21)は「メタバースでは、いろいろな人が参加できるように企画を考えてイベント開きコミュニティを引っ張ったが、毎日のように反省点が出てきた」と活動を振り返った。

情報デザインやメディアアートを指導する同大の高嶋啓教授は「4年生にとっては、新型コロナの行動制限が始まった最初の年を1年生として過ごした。表現したいという強い気持ちが現れた作品や、センスが面白い作品があるので、これを引き継いでさらに深めていってくれれば」と話していた。