【伊藤悦子】土浦市中村西根のつくばカーサを拠点に活動するT plus creation(ティープラスクリエイション)取締役の鶴町伸子さんは、「東日本大震災後のふるさと福島県を応援したい」とお酢づくりのプロジェクトを立ち上げ、福島産の桃「あかつき」と使った「福ももの酢」を商品化した。同市のインターネットテレビ、Vチャンネルいばらき「NEWSつくばチャンネル」は6日、鶴町さんを招いてインタビューした。

商品化のきっかけは、2018年に都内に行っ際、福島の風評被害が払拭されてないことを改めて感じたこと。「それまではさほど郷土愛はなかったが、ふるさとがバカにされたような悲しい気持ちになった。福島の風評被害を払拭したいと思った」という。

鶴町さんは、出身地である福島県伊達郡桑折町(こおりまち)産のモモを使った無添加酢の製品化を思い立った。桑折町は、県北に位置する人口1万1714人(3月1日現在)の町だ。名産品は桃の「あかつき」。1994年以降、皇室に「あかつき」を献上し続けていることから「献上桃の郷」とも呼ばれる。町のシンボルは標高863.1メートルの半田山。ふもとには、桃畑が一面に広がる。桃の花が一斉に咲く風景は、「桃源郷」とも呼ばれるという。

商品化のために、まずクラウドファンディングで資金を集めた。1カ月で132人の支援を得て、目標額の143%に相当する金額を達成できた。資金を出してくれた人からは「がんばってください」など励ましの声が寄せられたという。

「商品化は手探りだった。桑折町の町議に相談したところ、伊達果実農業協同組合が600キロの桃を用意してくれることになった。また町役場や町振興公社の方などたくさんの人が応援してくれた」と鶴町さん。

600キロの桃からできる「福ももの酢」は1100本。1本あたり4個分のあかつきが入っているという。桃を発酵させて作ったお酢に、桃ジュースをくわえて味を調整している。製造は、常総市にある「野村醸造」が引き受けてくれた。

福ももの酢(T plus creation提供)

酢は、そのまま飲むのはもちろん、豆乳に混ぜて飲んだり、ジャスミン茶、ノンアルコールビールに入れてもおいしくいただける。はちみつと一緒にお湯で割るホットピーチティーなどの楽しみ方もできるそうだ。オリーブオイル、塩コショウを合わせてドレッシングとして、カルパッチョにかけるのもおすすめだ。

鶴町さんは「無添加のため、その年の桃の出来具合で微妙に味が変わる。年ごとの桃を味わってほしい」とアピールしている。

「福ももの酢」は200ミリリットル入り1836円。問い合わせは、つくばカーサ内 T plus creation(電話:029-843-4312)