火曜日, 5月 14, 2024
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筑波大生の指導受け 子どもたちがアート体験

筑波大学で芸術を学ぶ大学生に教わりながら、子どもたちがさまざまなアート体験をする夏休みの恒例イベント「夏のキッズアート体験」が5日、つくば市吾妻、つくばセンタービル内のコワーキングスペースco-en(コーエン)で催され、子どもたちが、オリジナルうちわ作りや粘土のストラップ作りなどに挑戦した。 関彰商事と筑波大学芸術系が主催し、2016年から毎年夏と冬に開催している。子どもたちが会場に集まり、その場で作品を完成させるスタイルだが、2020年夏から22年夏まではコロナ禍により対面での開催を控え、大学生が小学生向けの自由研究作品を展示したりオンラインで紹介するなどしていた。昨年冬から対面での開催に戻った。 5日は午前と午後の入れ替え制で各20人ずつ計40人の小学生が参加し、大学生10人が直接子どもたちに作品の作り方を指導した。和紙に絵の具をたらして仕上げるオリジナルうちわ作り、粘土に好きな色の絵の具を混ぜて型抜きをするストラップ作り、金網と歯ブラシを使ったはがきのぼかし染め、鳥獣戯画の動物たちの色塗りーの4つのテーブルが用意され、子どもたちは20~30分で作品を仕上げていった。 つくばみらい市から参加した小学生の母親は「子どもたちはとても楽しんでおり、大変良い企画だと思う。専門的なことを学ぶ大学生から直接教えてもらって、美術に興味を持てるようになれば」と話していた。 関彰商事は茨城県の文化芸術振興を共に推進していく県近代美術館のパートナー企業となっている。会場には同美術館企業パートナー制度事務局の田口克弥次長が視察に訪れ、「つくば美術館での開催も提案している。関彰商事とうまく連携をとり、美術館が手伝うことがあれば今後も喜んでやっていきたい」と述べた。 9日は「夏休み宿題応援」と題し、筑波大学で書と芸術を学ぶ大学生が習字、絵画のアドバイスをする特別企画がつくば市二の宮のギャラリースタジオ‘Sで催される。予約受付は終了している。(榎田智司)

障害者が遠隔操作するロボット接客 つくば市 就労可能性探る実証実験

つくば市で今月から、障害者が遠隔地で操作する分身ロボットによる接客などの実証実験が始まった。コーヒーファクトリー「スタートアップカフェ」(同市吾妻)では飲食物の配膳や来店者との会話を、市立中央図書館(同所)では絵本の読み聞かせを、全国各地の障害者や筑波大学に在籍する障害のある学生がロボットを通して行う。同市は昨年度、筑波大学の実証調査に協力する形で、同様の調査を約3週間実施したが、今回は5カ月間にわたり、障害のある市民などの就労可能性を検証する。 ロボットはオリィ研究所(東京・日本橋)の開発による「OriHime(オリヒメ)」。遠隔操作によって人の「分身」として働く。今回の実証実験では、体調などの面から週に数時間しか就労できない障害者数人が1台の分身ロボットを交代で操作する。 障害者雇用促進法は、事業主に障害者を一定数以上雇用する義務を課しているが、その対象は週20時間以上働ける障害者となっており、より短時間しか働けない重度障害者は雇用実績に換算されない。市科学技術戦略課の大垣博文課長補佐は、「ロボット1台の稼働時間を労働者1名の労働時間に読み替えることで、短時間労働の障害者も雇用率に算定できないか検証したい」と話す。 様々な人と会話しながら働く 20日から始まった実験で、筑波大学社会・国際学群1年のきなこさん(18)は24日、カフェで初めて働いた。 体長23センチほどの分身ロボットが乗るワゴンに、店員が「テーブル2番にレモンアイスコーヒーをお願いします」と商品を置くと、「わかりました」とロボットからきなこさんの声が聞こえてきた。自宅にいるきなこさんが遠隔操作でワゴンを動かし、テーブル席まで運んでいるのだ。 ワゴンが近づくと、客が商品と、必要に応じて紙ナプキンなどを受け取る。きなこさんが「シロップが下に溜まりやすいので、かき混ぜてお飲みください」と声をかけ、ロボットはカウンターに戻った。 普段、きなこさんは車椅子で生活する。以前から、様々な人と会話しながら働く接客業に興味があり、アルバイトを探していたが、車椅子での通勤や立ち仕事が不安で、実際に働いたことはないという。リモートでの接客なら、自分に合った働き方ができると思い、今回参加した。「将来は、いろんな人とお話しできる仕事に就きたい。今回の実証実験が、私自身の経験になると同時に、移動に困難があっても、このような形で働けることを多くの人に知ってもらうきっかけになるといい」 きなこさんからコーヒーを受け取った男性客は「最初は戸惑ったが、スムーズにコーヒーを受け取れた。障害のある人も働ける場がもっと広がればいい」と話した。 今回の実証実験に参加する筑波大生は、きなこさんのほか、運動障害や発達障害のある学生5人。 働く経験で高まる「自己効力感」 障害のある大学生が実証実験に参加する意義について、筑波大学人間系の大村美保助教は、「多くの大学生は飲食店などの接客業でアルバイトすることで、様々な年代や職種の人と関わり、社会を知る機会になる。しかし、運動障害のある学生が同様のアルバイトをするのは難しい。今回、このような形で働くことは、社会との接点になるだけでなく、他の大学生と同じ経験をすることで自信にもなるだろう」と話す。 昨年度の実証実験では、分身ロボットによる短時間アルバイトを通して、障害のある学生の「自己効力感」や職業に対する関心が高まったという。大村助教は「今回、より長い期間、働く経験をすることは、その後、学生たちがキャリア形成をしていく上で役立つだろう」と期待する。(川端舞) ●コーヒーファクトリーでは、11月24日(金)までの期間、11時30分から13時30分は全国各地の障害者が、15時30分から16時30分は筑波大の障害学生が接客等をする。11月27日(月)から12月20日(水)は、11時30分から13時30分で、全国各地の障害者のみが行う。いずれも土日祝日と、8月14日(月)から18日(金)は除く。 ●市中央図書館では、9月7日(木)まで毎週木曜日、10時30分から15分間、以前、保育士をしていたが障害のために働けなくなった人たちがOriHimeを通じ、絵本の読み聞かせをする。

アメリカナマズを四川料理に ガチ中華で食事会【桜川と共に】7

桜川漁業協同組合が主催し7月上旬につくば市や土浦市の桜川で開かれた「特定外来魚釣り大会」(7月16日付)。一般参加者が釣り上げたアメリカナマズ3匹をつくば市在住の医療通訳士、松永悠さんがもらい受け、市内の中華料理店に持ち込んだ。調理を頼んだのはつくば市天久保にある中華料理店「麻辣(マーラー)十食」。オープンして1年ばかり。つくばではまだ珍しい、日本人向けにアレンジしない、いわゆる「ガチ中華」の店だ。 四川料理が専門。筑波大学大学院出身の元留学生が経営する。当初都内での出店を考えていたが、コロナ禍だったこともあり、ゆかりのあるつくば市に店を構えた。メニューには霞ケ浦で捕れたコイを数十種類の香辛料で調理した料理もある。四川省は海に面していない内陸部であることから、主に川魚を食べる食文化を持ち、ナマズやハクレン、フナやコイなどを香辛料で調理する料理が数多くある。 桜川のアメリカナマズを料理 松永さんの呼び掛けで、ナマズ料理を含む本格四川のコースを楽しもうと東京や千葉から参加者10人が集まった。牛肉を使った前菜「夫婦肺片(フーチーフェイピェン)」や「麻婆豆腐」、「回鍋肉(ホイコーロー)」などの四川料理と共に、桜川のアメリカナマズを使った3品「辣子鯰魚(ラーズーニエンユー)」、「酸辣鯰魚(サンラーニエンユー)」、「豆鼓鯰魚(ドウグーニエンユー)」が並んだ。 「辣子鯰魚」はナマズをカリっと揚げて唐辛子と花椒(ホアジャオ)で作った麻辣で味付けした料理。見た目から辛そうだがそれほど辛くはなく、花椒のさわやかな香りとナッツの香ばしさがナマズのから揚げにマッチしている。「酸辣鯰魚」はナマズを蒸して酸味と甘みのあるソースをかけた料理。淡白なナマズの身がふっくらとしていて、ソースがナマズをひきたてる。「豆鼓鯰魚」は発酵した黒豆の調味料を使った蒸し料理で、酸辣とは違った深い旨味とコクがあるソース。これもナマズによく合っていた。 食事会に参加した都内在住の西岳晴さんは、仕事で広東省深圳(シンセン)市に4年間住んでいたことがある。かつて食べていたような本格中華を求めて参加した。桜川のアメリカナマズ料理について「中国で食べた雷魚などの川魚よりこちらの方がおいしく感じる」と驚きを語る。 コースを食べ終わると総料理長の羅彬(ラヒン)さん(44)が姿を見せ、参加者から拍手を受けた。桜川のアメリカナマズは「使えます。おいしいです」と言う羅彬さん。メニュー制作の顧問をする孫麗(ソンレイ)さん(37)は「四川料理の香辛料と技法を使えば、ナマズもいろいろな美味しい料理に変身できる。ハクレンも適した調理法を使えば本当においしい魚。地元の野菜、魚、お肉を取り入れて、地産地消に尽力したい」と話す。 桜川漁協(つくば市松塚)の鈴木清次組合長は「野生のナマズなので、毎日何匹捕れると確約できるものではないが、1匹いくらでも売れるのであれば売りたい」と期待する。仕事の傍ら都内のガチ中華の店を食べ歩き、インターネットで紹介している松永さんは「麻辣十食は都内の店に全くひけを取らないと感じ、ナマズ料理をお願いした。地元のガチ中華店から地域課題の解決につながれば」と話す。アメリカナマズやハクレンの四川料理への活用に期待が膨らむ。(田中めぐみ) ➡連載企画【桜川と共に】の過去記事はこちら

つくばから世界へ リコーダー奏者、辺保陽一さんリサイタル

8月4日、ノバホール 日本を代表するリコーダー奏者で、つくば市在住の辺保(へんぼ)陽一さん(44)が同市吾妻のノバホール・ホワイエで8月4日、リサイタルを開く。リコーダー曲を中心に17世紀イギリスの音楽を奏でる。 リコーダーはバロック中期までは花形の楽器だったが、楽器の持つ音量が他の楽器に比べて小さいなどの特徴から、次第にメーンから外れていった。それでも古楽を演奏するにはなくてはならない楽器だ。小中学生の頃、だれもが吹いた経験があることから、愛好家も多い。 辺保さんは筑波大出身。現在、演奏活動のほか、茗渓学園非常勤講師を務め、リコーダー教室を開いている。 「コロナ禍ではコンサートが出来なかったばかりか、人との交流ができずにつらかった。今回、自分の育ったつくばで音楽の交流が出来る機会ができ、大変うれしい」と話し、「ルネサンス期という時代は音楽的にはとても面白い時代で、日本ではあまり有名でない作曲家の名曲がたくさんある。それらの隠れた名曲をバロック以前の音楽を得意とするリコーダーで是非とも味わってほしい」と語る。 辺保さんは宮崎県日南市出身。9歳の時、父親の仕事で茨城県に移り住み、高校まで鹿嶋市で育った。中学、高校は清真学園管弦楽団に所属しトランペットを吹いた。祖父が物理学者だった影響で、筑波大学自然学類に入学。入学当時から吹奏楽団とリコーダー愛好者団体のブロックフレーテ同好会に所属し、物理学と音楽の二刀流生活が始まった。 筑波大吹奏楽団は団員が多く、人気のトランペットではなかなかレギュラーになれなかったこともあり、リコーダーの方が自分に向いているのではないかと、独学でリコーダーの猛練習を半年続けた。リコーダーは練習すればするほどうまくなれる楽器だった。大学2年からは月に2~3回、都内に通い、正式にレッスンを受けた。物理学の実験、音楽、アルバイトと、ハードな学生生活だったという。 大学卒業後は音楽の道を選択。プロの音楽家になるため、自分が演奏した曲を著名な演奏者の元に送るなどした。 その後、スペイン・バルセロナ市のカタルーニャ高等音楽院に留学し、尊敬する世界的リコーダー奏者ペドロ・メメルスドルフに師事した。しかし音楽大学の大学院を修了した人が学ぶレベルだったため、語学を含め大変な苦労をしたと振り返る。厳しい師の無理難題をこなし、3年目にようやく実力を認められた。 卒業後はさらに、スイス政府の奨学生としてチューリッヒ芸術大学大学院に入学、リコーダー奏者のケース・ブッケの指導を受け、最優秀の成績で卒業し、本格的な演奏活動を始めた。現在ソロ演奏のCDを2枚発売している。 辺保さんはリコーダーの魅力を「圧倒的に音色」だという。「透き通った芯のある暖かい音は命の音色」だと語る。 「私にとってリコーダーはあくまで媒体。リコーダーそのものというより、ヨーロッパの古い音楽や、深い文化の素晴らしさを伝えたい。私は他の人が演奏していないような、知られざる傑作と生涯どれだけ出合えて、聴衆の皆さんと共有できるかといつも考える。外国の人が日本の尺八を演奏するように私はヨーロッパの古い音楽を演奏するわけだが、私にとってヨーロッパの音楽はとても肌に合い、呼吸をするように自然にわかるものに感じている。音楽、広く芸術はその人の姿をありのままに映すものであり、人間の命の輝きをそのまま投影するものだと思っている。深く思考し、常に探求し、それを体現していく。『人生死ぬ以外はかすり傷』をモットーに常に走り続けていきたい」と話す。 8月4日のリサイタルは「17世紀イギリス音楽、ルネサンスリコーダーの復古と革新」をテーマに演奏する。9月15日には世界を代表するリコーダー四重奏団、オリーブコンソートと辺保さんが競演する「つくば国際リコーダー音楽祭2023・特別オープニングコンサート」を開催する。(榎田智司) ◆辺保陽一リコーダーリサイタルは、8月4日(金)午後6時30分開場、7時開演。会場はノバホール・ホワイエ。チケットは一般3000円、大学生以下2000円。チケット申し込みはhttps://tiget.net。 問い合わせはhttp//www.o-arches.comへ。 ◆つくば国際リコーダー音楽祭2023特別オープニングコンサートは、9月15日(金)午後6時30分開場、7時開演。会場はノバホール・ホワイエ。チケットは一般4000円(当日4500円)、大学生以下2500円(当日3000円)。チケット申し込みはhttps://tiget.net。問い合わせは電話029-859-5136(ナカルリコーダー教室)またはメールnakal@hotmail.co.jpへ。

大獅子今夏も戦わず つくば「小田祇園祭」

コロナ禍による丸3年の行動制限は、各地の町内会・自治会で行われていた夏祭りにも大きなダメージを残した。7月中下旬、つくば・土浦地域でも盛んに行われる八坂神社の祭礼「祇園祭」。みこしや山車、獅子舞が繰り出して、おはやしの音が各地に本格的な夏の到来を告げるが、15日開催の小田の祇園祭では、メーンイベントの大獅子の練り歩きを今年も見送らざるを得なかった。この大獅子には何かと故事来歴がある。 7月の第3土曜に開催される「小田祇園祭」。江戸時代の貞享四年(1687)に始まったという祭りで、戦後の一時休止期間を経て、50年ほど前に復活した。本町3つ、今宿2つの5組が持ち回りで当番組(トウメ)となり祭りを仕切る。日中から太鼓を鳴らしながら門付けをして回る行事から始まり、夕刻には子供たちのみこしや山車、獅子舞が通りを練り歩く。 例年ならこの後、田向延寿院から大獅子が繰り出して、竹ざおで獅子頭を高く掲げて練り歩くご神行(じんこう)となる。長さ約8メートルの獅子幕を引く巨大獅子頭。小田大獅子保存会が組織され、独特の太鼓や三三七拍子のリズムを聞かせる。当番組は毎年川で藻を採集し、乾かして大獅子のたて髪を結う一方、門付けに持参して家々の魔除(よ)けとして配っている。 メーンイベントは、通りで待ち構えるみこしと獅子が対峙(じ)して、それぞれが高さを競うように角突き合わせる「顔合わせ」という場面を迎える。祭神のスサノオノミコトとヤマタノオロチの戦いを模して、押しては引いての衝突を5度繰り返す。近在の祇園祭には見られないスタイルで、筑波大学の研究者や学生が現地調査に訪れたこともある。 コロナ禍の3年間、「顔合わせ」は中止され、大獅子は奉納場所である延寿院を出ることがなかった。今年の当番は「顔合わせ」の復活を模索したが、担い手の減少と高齢化は予想以上。交代要員を含めれば50人以上を揃えなければならない。「一度休んでしまうと元に戻すのは容易ではない」という。今回は子供会のみこしと獅子との「顔合わせ」で代替した。 奉納したのは長島尉信 「来年こそは完全復活」との意気込みもあるが、人材不足解消に見通しがあるわけではない。街歩きのガイドを務める常陸小田城親衛隊(川村兵庫代表)は、歴史的な初心に戻ることを提案する。 大獅子を奉納した幕末の農政学者、長島尉信(やすのぶ、1781~1867)にスポットを当てる。尉信は20歳の時、旧小田村の名主だった長島家の養子となり、45歳で隠居し、天文、暦学、測量などを学んだ。測量術を生かして土浦の修復などにも取り組んだ。土浦では、色川三中、佐久良東雄らとの交友があった。慶応元年(1865)に土浦藩を退き、小田村へ戻っている。この時これまでの志願成就を謝して、田向延寿院に「獅子頭」を奉納した。 尉信は慶応三年(1867)7月16日没し、延寿院境内の墓地に眠る。「ひとらしき我にあらねどひとまねにまことひとつを置き土産かな」と詠んでいる。 今回の祭りで「顔合わせ」できない「獅子頭」を延寿院から引っ張り出し、メーン会場である筑波山麓小田駐車場に飾ってもらった。実は同駐車場こそ、代々名主を務めた長島家の土地だった。2012年、「長島家跡地」として約4000平方メートルがつくば市に寄贈され、91台収容の無料駐車場として、小田の街歩きや宝篋山の登山客に利用されている。 親衛隊によれば「小田では八田知家(鎌倉幕府有力御家人、小田氏の始祖)や小田氏治(小田氏15代にして最後の当主)のように名の知られる人物もいるが、長島尉信は地元でもほとんど知られておらず残念。なんとかアピールの機会を作って訴えていきたい」と蒸し暑さ募る祭り会場を歩き回っていた。(相澤冬樹)

ウクライナの民族弦楽器バンドゥーラで平和を祈る 16日にチャリティーコンサート

ウクライナ出身で東京都在住の民族楽器奏者、カテリーナさん(37)のコンサートが16日、ノバホール(つくば市吾妻)で開かれる。弦楽器の一種バンドゥーラを奏でるチャリティーコンサートで、収益と募金はウクライナ大使館や同国からの避難学生が学ぶ筑波大学、国境なき医師団に寄付する予定だという。 コンサートを主催するのは、つくば市上郷在住の尾崎秀子さん(75)。「ウクライナへの軍事侵攻がはじまり、これは他人事と思わずに、なぜこのような戦争が起こったのか、当たり前の普通の暮らしがいかに貴重であり、もろく崩れ去るのか、平和な状態をどのようにして維持できるかなどを考えてもらいたいと思った。それで、カテリーナさんの音楽の力をお借りしようと思い至った」と話す。 カテリーナさんは、日本各地でバンドゥーラの公演を行っている。ウクライナのブリビャチ生まれ。チェルノービリ原発から2.5キロの地点で生まれ、生後1カ月で原発事故により被災。自宅から強制退去となり、家族で首都キーウに避難した。被災した子供たちで構成された音楽団「チェルボナカリーナ」に所属し、世界各地に演奏旅行に赴く中、日本にも公演に訪れ、19歳の時に日本に活動の拠点を移した。 今年5月には生い立ちや音楽、戦争についてつづる「カテリーナの伝えたい5つのこと」(ナイデル)を出版した。福島の原発事故にも心を痛め、演奏活動を通じて支援を行っているという。つくばでのチャリティーコンサートは昨年7月にも市民ホールとよさと(つくば市高野)で行い、2回目の開催となる。前回は425人が来場し、チケットの売り上げは経費を除いてウクライナ大使館に寄付した。尾崎さんがカテリーナさんのCDを初めて聞いたのは2010年頃のことで、友人からCDをもらったのがきっかけだった。2013年に兄と姉を3カ月の間に亡くし、その悲しみを慰めてくれたのがバンドゥーラの音色だったという。 「若い方々、学生さんたちには、自分の人生、何を大切にして生きて行くのか、考えてもらいたい。カテリーナさんの歌声とバンドゥ-ラの演奏から何かを感じ取って頂ければうれしい。きっと心に響くものを感じ取っていただけると思う」と来場を呼びかける。(田中めぐみ) ◆カテリーナ〝平和を祈る〟コンサート 16日(日)午後1時30分開場、午後2時開演。 会場はノバホール(同市吾妻) 入場料は大人2000円、18歳以下・学生・障害者1000円。チケット販売はノバホール。 定員800人。問い合わせは事務局(電話080-1118-0289)

8/26楽楽大学 講演会「発達障害とは何か」

楽楽大学 第65回講演会 「発達障害」とは何かー「学校がつくる発達障害児」という視点から 立教大学名誉教授の北澤毅氏が講演する。 「発達障害の子どもが増えている」と言われていますが、本当でしょうか。確かに、文部科学省の各種統計データを見ると増加していますが、ここで問題にしたいのは、「統計上の増加」=「発達障害児の増加」という等式が成り立つのかということです。そこでまずは、文部科学省の最新調査結果を再分析することで「統計上の増加」の意味するところを明らかにしたいと思います。それを受けて、「発達障害」や「発達障害児」という概念の捉え直しを試み、「学校がつくる発達障害児」、より一般化して言えば、「制度が発達障害をつくり出す」という命題の意義を述べたいと思います。そして最後に、そのように考えることで可能となる、教育実践レベルと教育制度レベルでの「発達障害」問題への対応策を、具体的な試みを紹介しつつ考えてみたいと思います。 北澤氏は、1953年 茨城県つくば市(旧豊里町)生まれ。茨城県立土浦第一高等学校卒業。東京大学教育学部学校教育学科卒業。筑波大学大学院博士課程終了。日本女子体育短期大学専任講師、立教大学文学部教授を経て、2019年4月から立教大学名誉教授。専門は、教育社会学、逸脱行動論。主な著書:『少年犯罪の社会的構築』東洋館出版社、『文化としての涙』勁草書房、『いじめ自殺の社会学』世界思想社、『教師のメソドロジー』北樹出版、『囚われのいじめ問題』岩波書店など。現在、「発達障害」をテーマとした編著(北澤毅・鶴田真紀編、青弓社)刊行に取り組んでいる。 定員80人。事前予約必要。

9/10楽楽大学 講演会「人生100年時代:女性は健幸華齢、男性は達老人生」

楽楽大学 第66回講演会「人生100年時代:女性は健幸華齢、男性は達老人生」 講師は筑波大学名誉教授の田中喜代次さん 百寿者は昭和38年153人で、現在10万人に到達する勢いです。団塊世代の一部が超長寿となるため、2050年に百寿者が50~100万人に増えます。少子化は進行したままで、日本の人口は9千万人へ、100年後は7千万人を割り込むようです。 そんな中での百寿者の日常生活は、極めて厳しいものとなります。100歳の親を支えたくても、後期高齢期の子が病気療養中で体力的に困難な例、認知機能の低下で自動車を運転できない人が増える時代へと移っていきます。 当日の講演は、健幸華齢・達老人生を送るためのヒント(食事、運動、睡眠、脳トレ、服薬など)を解説いたします。 田中喜代次さんは、1952年 滋賀県生まれ。筑波大学大学院博士課程修了。大阪市立大学講師、筑波大学助教授、教授(~2018)、筑波大学名誉教授。日本健康支援学会元理事長、メディカルフィットネス研究会元会長、日本介護予防・健康づくり学会会長。日本体力医学会理事。専門:健康増進論、スポーツ医学。論文と著書:国内外の医療系・体育系学術誌に多数 (約770編、うち英文論文260篇)、著書は分担執筆を含めると60冊。 先着80人。事前申込必要。

共同開発と実証実験施設建設へ 筑波大 つくば駅近くに2027年完成目指す

筑波大学(つくば市天王台、永田恭介学長)は29日、つくば駅近くの同市吾妻2丁目、筑波大職員宿舎跡地約3万3400平方メートルに、大学と企業が共同で開発研究と実証実験を一気に行うことができる施設「ITF.F(イマジン・ザ・フューチャー・ドット・フォーラム)」を建設すると発表した。2027年の完成を目指す。 施設は延床面積約4万3000平方メートルで、企業が研究機器などを設置し大学と共同研究する「研究スロット」(延床面積計約1万4000平方メートル)と、ドローンの実証実験も可能な縦横100メートル×70メートル、高さ22メートルの大きさがある「実証実験(POC)スペース」(同約7000平方メートル)のほか、オープンスペースなどを設ける。開発した成果をすぐに実証実験できることが特徴だ。 大学の研究成果から新商品をつくったり新規事業を創出するシーズドブリン型から、顧客ニーズに基づいてさまざまな企業と新規事業を創出するニーズドブリン型の開発研究を進め、大学の研究力によって、企業や社会の課題を解決し社会実装までつなげていくことを目指す。つくば市が推進している「スーパーシティ構想」とも連携し市の発展にも寄与したいとする。 当初、東京五輪開催の2020年を目指し、スポーツの試合やイベントなどを開催するアリーナの建設を計画していたが、収益性から計画を見直した。 大学債の発行によって調達した資金200億円(2022年10月12日付)などを活用して筑波大が建設し、入居企業から賃料をとって運営する。 実証実験スペースは、実験の利用がない日は、スポーツの試合やコンサートなどイベント開催のほか、展示場としても活用できるようにする。10~20社入居でき、大企業を中心にすでに、AI(人工知能)、エンターテインメント、人工衛星、半導体、スポーツ、金融、小売り、製造分野の10社から参加意向の表明があるという。 現在、職員宿舎の解体工事が始まり、来年3月までに解体を終える。着工は現時点で未定という。

イヌもOKの「プラスワンカフェガーデン」 《ご飯は世界を救う》56

【コラム・川浪せつ子】前回の「珈琲俱楽部なかやま」(4月18日掲載)を読んで、連絡をくださった方が何人もおりました。NEWSつくばの記事がネットで拡散しているようです。「なんだか出て来たから、読んだよ~♪」と言われたことも。 「かつて、なかやまさんで働いていました」というメールもいただき、驚きました。23年も続いているお店のオーナーの方でした。早速、そのお店「プラスワンカフェガーデン」(つくば市桜)を訪ねたら、ステキなカフェ&ガーデン。 ご夫婦で「なかやま」で働いて、その後独立され、今の場所に。「なかやま」の雰囲気とは違うものの、センスの良さは抜群。名前に「ガーデン」が付いているのは、ワンちゃんと一緒にひと息つけるカフェというコンセプトだそうです。 建物、インテリアもオシャレです。お話をお聞きしたところ、お店の名前は「+1 Living(プラスワンリビング)」というインテリア雑誌から頂いたとか。残念ながら、雑誌は創刊から41年目、2019年に廃刊になったそうです。 お店が出来たころは、こんなオシャレなお店は今の地域にはない、と筑波大学の芸術系の方々が多く来たそうです(今も)。納得。 笑顔とおもてなし でもお店って、インテリアやお料理が良くても、経営者、スタッフさんの感じが良くないとね。総合力がものを言いますもの。小さな配慮にキュンとするのですよね。 私は今まで食べ物のコラムを書いてきて、取材したことはありませんでした。でも今回ばかりは、「なかやま」さんとの関係をお聞きし、食事をして帰ろうとしたら、お店の方が玄関までお見送りをしてくださいました。お忙しい中、笑顔とおもてなし。 人と接するときのホンワカな心があるからこそ、23年も続いてきたのだと思いました。プラスワンカフェガーデンさん、これからも、ステキな空間とおいしいご飯、楽しみにしています。ご連絡をありがとうございました。(イラストレーター)

イヌもOKの「プラスワンカフェガーデン」 《ご飯は世界を救う》56

【コラム・川浪せつ子】前回の「珈琲俱楽部なかやま」(4月18日掲載)を読んで、連絡をくださった方が何人もおりました。NEWSつくばの記事がネットで拡散しているようです。「なんだか出て来たから、読んだよ~♪」と言われたことも。 「かつて、なかやまさんで働いていました」というメールもいただき、驚きました。23年も続いているお店のオーナーの方でした。早速、そのお店「プラスワンカフェガーデン」(つくば市桜)を訪ねたら、ステキなカフェ&ガーデン。 ご夫婦で「なかやま」で働いて、その後独立され、今の場所に。「なかやま」の雰囲気とは違うものの、センスの良さは抜群。名前に「ガーデン」が付いているのは、ワンちゃんと一緒にひと息つけるカフェというコンセプトだそうです。 建物、インテリアもオシャレです。お話をお聞きしたところ、お店の名前は「+1 Living(プラスワンリビング)」というインテリア雑誌から頂いたとか。残念ながら、雑誌は創刊から41年目、2019年に廃刊になったそうです。 お店が出来たころは、こんなオシャレなお店は今の地域にはない、と筑波大学の芸術系の方々が多く来たそうです(今も)。納得。 笑顔とおもてなし でもお店って、インテリアやお料理が良くても、経営者、スタッフさんの感じが良くないとね。総合力がものを言いますもの。小さな配慮にキュンとするのですよね。 私は今まで食べ物のコラムを書いてきて、取材したことはありませんでした。でも今回ばかりは、「なかやま」さんとの関係をお聞きし、食事をして帰ろうとしたら、お店の方が玄関までお見送りをしてくださいました。お忙しい中、笑顔とおもてなし。 人と接するときのホンワカな心があるからこそ、23年も続いてきたのだと思いました。プラスワンカフェガーデンさん、これからも、ステキな空間とおいしいご飯、楽しみにしています。ご連絡をありがとうございました。(イラストレーター)

論文もパネルで「CONNECT展」 筑波大芸術系学生らの受賞作集める

筑波大学(つくば市天王台)で芸術を学んだ学生らの作品を展示する「CONNECT(コネクト)展Ⅶ(セブン)」が3日、つくば市二の宮のスタジオ’Sで始まった。2022年度の卒業・修了研究の中から特に優れた作品と論文を展示するもので、今年で7回目の開催。18日まで、筑波大賞と茗渓会賞を受賞した6人の6作品と2人の論文のほか、19人の研究をタペストリー展示で紹介する。 展示の6作品は、芸術賞を受賞した寺田開さんの版画「Viewpoints(ビューポインツ)」、粘辰遠さんの工芸「イージーチェア」、茗渓会賞授賞の夏陸嘉さんの漫画「日曜日食日」など。いずれも筑波大のアートコレクションに新しく収蔵される。芸術賞を受賞した今泉優子さんの修了研究「樹木葬墓地の多角的評価に基づく埋葬空間の可能性に関する研究」は製本された論文とパネル、茗渓会賞を受賞した永井春雅くららさんの卒業研究「生命の種」はパネルのみで展示されている。 スタジオ’S担当コーディネーターの浅野恵さんは「今年は論文のパネル展示が2作品あり見ごたえ、読みごたえがある。版画作品2作品の受賞、漫画の受賞も珍しい。楽しんでいただけるのでは」と来場を呼び掛ける。 筑波大学芸術賞は芸術専門学群の卒業研究と大学院博士前期課程芸術専攻と芸術学学位プログラムの修了研究の中から、特に優れた作品と論文に授与される。また同窓会「茗渓会」が茗渓会賞を授与している。 展覧会は関彰商事と筑波大学芸術系が主催。両者は2016年から連携し「CONNECT- 関(かかわる)・ 繋(つながる)・ 波(はきゅうする)」というコンセプトを掲げ、芸術活動を支援する協働プロジェクトを企画運営している。 (田中めぐみ) ◆CONNECT展Ⅶ 3日(土)~18日(日)スタジオ’S(つくば市二の宮1-13-6)開館時間は午前10時から午後5時。入場無料。電話029-860-5151

古民家活用のモデル模索中 6月10日つくばで邑マルシェ

行動制限のない夏、つくば市栗原の古民家で続く「邑(むら)マルシェ」が母から子へのバトンタッチを図りながら、古民家活用の新しいモデル構築に挑んでいる。6月10日には今年3回目のマルシェ開催も予定され、準備に余念がない。 マルシェが開かれるのは、県道土浦大曽根線沿いにある下村家の本宅「下邑家住宅」。代々の地主で、2軒の分家も長屋門を構えるなど、地域を代表する豪農だった。江戸時代後期に建てられたとされる住宅は約4200平方メートルの敷地に長屋門、3つの蔵、日本庭園、屋敷林などを構える。 マルシェには庭にキッチンカー、和洋菓子、カフェなど、屋敷内にマッサージ、ハンドメイド作品など、計23店舗が集まる。コロナ禍にもかかわらず毎回抽選で出店者を決定するほどの人気イベントになっている。 主催は、下村家の長女の郷晴美さん(61)が代表を務める邑マルシェ&ギャラリー。古民家を継承し、維持していくには負担が募ることから活用方策を模索し、6年前から月1回ペースでマルシェを開催するようになった。 昨年から晴美さんの長男である郷悠司さん(30)が7代目当主となり、古民家の運営を引き継ぐ形で、レンタルスペースとしての活用を始めた。さらに長女の郷瑞季さん(25)も加わり、イベント全体(マルシェ)を仕切ることになる。年4回の開催となったが、若い感覚でSNSなど、デザインなど変えてみるとすぐに効果が現れたという。 レンタルスペースとしては、ワーキングスペースよりも撮影会の利用が多く。古民家を使った動画「刀剣乱舞」(個人作品)などの撮影が行われたりした。NHK総合のテレビ番組「鶴瓶の家族で乾杯」で紹介され、6月17日放送のテレビ東京「出没!アド街ック天国」でも取り上げられる予定という。 悠司さんに話を聞くと、「一度実家を離れた時に、自分の生家の素晴らしさを改めて発見した。是非色々な人に見てもらいたいと思うようになった」そう。「自分の生家が稀有な古民家で、伝統的建築で作られたものであり、その価値を他の人にもわかってもらい、その思いをさらに広げていきたい」との思いが募る。 筑波大学などの調査ではつくば市内には現在、長屋門を持つ古民家が200以上あるとされる。しかし今風の居住スタイルには適さないこともあり、継承や維持には各戸とも頭を悩ませている。土蔵を改築するとなると約2000万円がかかるという。 悠司さんは「イベントなどを通じて知り合った人にファンになってもらい、クラウドファンディングなどの方法を用い資金を集めていきたい」と語る。(榎田智司) ◆邑マルシェ 6月10日(土)午前10時〜午後3時 下邑家住宅(つくば市栗原3470)連絡先電話080-5380-9321(郷悠司)ホームページはこちら

トレンド Well-being《令和楽学ラボ》23

【コラム・川上美智子】私が勤務する「みらいのもり保育園」の母体は、関彰商事です。現在、「Well-being(ウエルビーイング)カンパニー」を目指し、社内でも地域でも取組みを進めています。例えば、高齢者のWell-being向上のため、筑波大学と連携して運動指導(機能訓練)とe-スポーツを併用する実証実験を行っています。社内においては、社員のWell-being調査やWell-beingプログラムが始まりました。 また、先日、日立製作所の東原敏昭会長の講演を拝聴する機会がありました。グローバル社会で活躍する企業として、SDGs(持続可能な開発目標)などの社会課題を解決し、人々の幸せや「Quality of life(クオリティー・オブ・ライフ、生活の質)」の向上を目指し、人間中心とWell-beingの2つを掲げ、イノベーションを通じて世界中の人々が望む良いこと、「good(グッド)」の実現に挑戦しているということでした。 いずれの企業も、事業と社会貢献の目標にWell-beingを掲げていて、私にとっては実に懐かしい言葉との出会いでした。今から四半世紀前(1998年)、茨城キリスト教大学が、まだ文学部のみの単科大学であったときの話になります。 高学歴化が進み、女子の進学先が短期大学から4年制大学へとシフトする時代を迎え、学内では短期大学を4年制大学に改組するプロジェクトを立ち上げました。新学部の母体となったのが大学のキリスト教学科と短期大学の生活文化学科で、新学部設置のため奔走する3年間となりました。 その結果、創設者ローガン・ファックスの意思を継ぎ、福祉、心理、食物の専門分野が軸となる「人間福祉学科」と「食物健康科学科」の2学科構成の「生活科学部」を文部科学省(当時、文部省)に設置申請することになりました。 生涯使える資格の付与に重点を置き、人間福祉学科では社会福祉士受験資格、精神保健福祉士、社会福祉主事任用資格、認定心理士、中高教諭免許(社会・公民)、社会教育主事、学芸員、食物健康科学科では管理栄養士受験資格、栄養士、中高教諭免許(家庭、後に栄養教諭も)、食品衛生監視員、食品衛生管理者資格、社会福祉士受験資格の多岐にわたる資格が取得できる学科が2000年に誕生しました。 人間の生と環境を取り戻す その時の申請書のキーワードがWell-beingでした。設置の趣旨は以下のようになりました。長文ですが、引用しておきます。 「20世紀の科学技術の発展は、豊富な生活物資や快適、かつ便利な生活環境をもたらし、人間の生活様式を大きく変えました。他方において人間は繁栄の故に生じた環境破壊の危機、自ら生み出した化学物質による生命や健康の危機、精神や心の疲弊といった、健やかな生を脅かす今日的課題も抱え込みました。これらの問題群を冷静に見据え、その原因と結果を分析し、本来の豊かであるべき人間の生と環境を取り戻すこと、それが現在、人間にとって最優先の課題となっています。即ち、人間の「ウエルビーイング(良き生)」の回復が21世紀の人類の課題であり、そのための人材養成こそが急務なのです」 Society(ソサエティー)5.0が実現する2050年には、人間の仕事がAIやロボットに全て置き換えられると言われています。そのような危惧から、今、Well-beingが見直されているのかもしれません。せめて、Well-beingに関わる部分は人間主体であり続けてほしいと思います。(みらいのもり保育園長、茨城キリスト教大学名誉教授)

トレンド Well-being《令和楽学ラボ》23

【コラム・川上美智子】私が勤務する「みらいのもり保育園」の母体は、関彰商事です。現在、「Well-being(ウエルビーイング)カンパニー」を目指し、社内でも地域でも取組みを進めています。例えば、高齢者のWell-being向上のため、筑波大学と連携して運動指導(機能訓練)とe-スポーツを併用する実証実験を行っています。社内においては、社員のWell-being調査やWell-beingプログラムが始まりました。 また、先日、日立製作所の東原敏昭会長の講演を拝聴する機会がありました。グローバル社会で活躍する企業として、SDGs(持続可能な開発目標)などの社会課題を解決し、人々の幸せや「Quality of life(クオリティー・オブ・ライフ、生活の質)」の向上を目指し、人間中心とWell-beingの2つを掲げ、イノベーションを通じて世界中の人々が望む良いこと、「good(グッド)」の実現に挑戦しているということでした。 いずれの企業も、事業と社会貢献の目標にWell-beingを掲げていて、私にとっては実に懐かしい言葉との出会いでした。今から四半世紀前(1998年)、茨城キリスト教大学が、まだ文学部のみの単科大学であったときの話になります。 高学歴化が進み、女子の進学先が短期大学から4年制大学へとシフトする時代を迎え、学内では短期大学を4年制大学に改組するプロジェクトを立ち上げました。新学部の母体となったのが大学のキリスト教学科と短期大学の生活文化学科で、新学部設置のため奔走する3年間となりました。 その結果、創設者ローガン・ファックスの意思を継ぎ、福祉、心理、食物の専門分野が軸となる「人間福祉学科」と「食物健康科学科」の2学科構成の「生活科学部」を文部科学省(当時、文部省)に設置申請することになりました。 生涯使える資格の付与に重点を置き、人間福祉学科では社会福祉士受験資格、精神保健福祉士、社会福祉主事任用資格、認定心理士、中高教諭免許(社会・公民)、社会教育主事、学芸員、食物健康科学科では管理栄養士受験資格、栄養士、中高教諭免許(家庭、後に栄養教諭も)、食品衛生監視員、食品衛生管理者資格、社会福祉士受験資格の多岐にわたる資格が取得できる学科が2000年に誕生しました。 人間の生と環境を取り戻す その時の申請書のキーワードがWell-beingでした。設置の趣旨は以下のようになりました。長文ですが、引用しておきます。 「20世紀の科学技術の発展は、豊富な生活物資や快適、かつ便利な生活環境をもたらし、人間の生活様式を大きく変えました。他方において人間は繁栄の故に生じた環境破壊の危機、自ら生み出した化学物質による生命や健康の危機、精神や心の疲弊といった、健やかな生を脅かす今日的課題も抱え込みました。これらの問題群を冷静に見据え、その原因と結果を分析し、本来の豊かであるべき人間の生と環境を取り戻すこと、それが現在、人間にとって最優先の課題となっています。即ち、人間の「ウエルビーイング(良き生)」の回復が21世紀の人類の課題であり、そのための人材養成こそが急務なのです」 Society(ソサエティー)5.0が実現する2050年には、人間の仕事がAIやロボットに全て置き換えられると言われています。そのような危惧から、今、Well-beingが見直されているのかもしれません。せめて、Well-beingに関わる部分は人間主体であり続けてほしいと思います。(みらいのもり保育園長、茨城キリスト教大学名誉教授)

川遊び創出に海洋クラブ助け船 【桜川と共に】4

「最近の子どもたちは川に入ってはいけないと教わる。もっと川で遊んで、桜川の環境に興味を持ってほしい。そして澄んだ桜川を取り戻したい」。桜川漁協の組合員らは、大人が安全を重視するあまりに子どもたちが川から遠ざかっている現状を憂う。そんな中、子どもたちが川で遊ぶ機会を創出しようと、桜川に新しい風が吹き込んできた。 地元NPO、7月から本格的な活動へ 桜川での自然体験活動を先導するのはNPO法人Next One.(ネクストワン、つくば市研究学園)。筑波大学大学院で体育科学を修めた井上真理子さん(39)が代表を務める。桜川漁協の協力を得て今年から「B&G Next One.海洋クラブ」を発足させた。本格的な活動を7月から開始する。月1回、桜川での自然体験を行い、地域の人と交流しながら、環境問題についても学びを深めていく予定だ。 28日には、同クラブの活動拠点となる桜川漁業協同組合(つくば市松塚)でカヌーやライフジャケットなどの舟艇器材配備式が行われた。式では井上さんや器材を提供した公益財団法人B&G財団(東京都港区)の理事長である菅原悟志さんらが挨拶。市内外から訪れたクラブ員の児童ら16人とその保護者ら、つくば市環境保全課や観光推進課の職員も出席し、児童と漁協組合員らがクラブ発足を記念して桜の木2本の植樹を行った。式後は児童らが組合員やネクストワンのスタッフらから手ほどきを受けて釣りやカヌーの体験を行い、桜川の自然を満喫した。 同クラブ員で松代小学校5年の山本杏さん(10)は、舟艇器材配備式で「時間、空間、仲間、3つの『間』を大事にして桜川で活動していきたい」と話し、器材の配備への感謝を述べた。山本さんはこれまでにも霞ケ浦でカヌーに乗った経験があり、「特に2人乗りのカヌーで息を合わせて漕ぐのが好き。ここでの活動も楽しみ」と桜川での活動に期待を寄せる。 井上さんは、「桜川での活動はASOBICLUB(あそびクラブ)として、幼児から大人まで参加可能な部活動として、遊びを通していろんなことが学べる場となればと考えている」と話す。毎月第1日曜日を活動日とし、ネクストワンのホームページで参加の募集を呼びかけていくという。 「B&G海洋クラブ」は海や川などでの環境学習を通し、地域の子どもたちの育成や地域貢献活動を行う組織で、全国で281カ所が海洋クラブとして登録し活動を行っている。ネクストワンはスポーツでの健康増進を図るイベント活動を行う団体で、今年から海洋クラブに登録した。県内では8番目の登録となるという。海洋クラブへの登録は年間活動日数10日以上、活動人数800人以上などが条件。今回、B&G財団からカヌー5艘、SUP2枚、ライフジャケット35着など総額約100万円の器材が無償貸与された。これらの器材は今後の活動実績などに応じて無償譲渡するという。(田中めぐみ) 「桜川と共に」過去記事はこちら

理学部学生の男女比率差解消へ 筑波大など10大学が共同声明

筑波大学など10大学の理学部が25日、理学部の女子学生の割合が低い状況など、ジェンダーバランスの課題に連携して取り組むことを宣言し、同日声明を発表した。10大学はほかに北海道大、東北大、東京大、東京工業大、名古屋大、京都大、大阪大、広島大、九州大の国立大学法人の理学部。 ジェンダーバランスは、さまざまな分野で男女の格差を解消することを指す。国連は2015年から、持続可能な開発目標(SDGs)の一つとして「ジェンダー平等を実現しよう」を掲げており、性別に関わらず、個性や能力を十分に発揮することができる社会の実現を目指している。 一方、日本の大学理学部の女子学生の割合は低く、内閣府の男女共同参画白書によると2021年度の理学部女子学生の割合は27.8%、大学院博士課程は21.0%と他分野と比べて著しく低い。さらに過去10年間の女子学生の比率はほぼ横ばいだった。こうした状況の中、理学部におけるジェンダーバランスのとれた環境の実現に向けて、10の理学部が声を上げた。 声明は、性別や国籍などに関わらず、学びや研究を安心して進められる理学部をつくるために環境を整備し、学生をサポートして、理学部で学ぶことに対する不安を解消できるよう、大学生活や卒業後のキャリアの情報提供を充実させるなどとしている。 大阪府豊中市でオンラインを交えて記者会見した東京大学理学部長の大越慎一教授は「理学部における女子学部生の割合を高めるには、中高生やその保護者を含めた理学部進学の働き掛けや理学部の魅力を発信することが重要である」などとした。 また、理学部の中でも生物学は女子学生の割合が比較的高いのに対し、物理学や数学といった分野は女子学生の割合が低いことに言及し、「(性差の)無意識の思い込み」があると述べ、解消に向けて取り組む努力をしなければならないと話した。 ただし博士課程に進学する女子学生の割合が増加傾向にあることから「中高生への門戸を開くことで、理学部の進学を躊躇(ちゅうちょ)させる要素を取り除き、現状を打破できるのではないか」とも述べた。 共同声明と併せて25日から、理学部を志す中高生に向けて新たに「理学ナビ」を共同で作成し、公開した。10大学の理学部情報を掲載したもので、今後さらにキャンパスライフに関する情報や、理学部を卒業・修了後のキャリアや理学部の魅力を伝える情報を掲載していく予定という。(上田侑子) ◆理学ナビはこちら

教員を懲戒解雇 筑波大 研究成果を不正使用

筑波大学(つくば市天王台)は24日、同大教員が2021年度に、大学の業務とは関係ないところで、企業と行った共同研究の研究成果を不正に使用する行為を行ったとして、同教員を同日付けで、最も重い懲戒解雇処分にしたと発表した。 教員は、同大の共同研究取扱規程及び共同研究契約書の規定に違反したとする。 同大広報局は、教員の研究分野や共同研究の内容、どのように不正使用したかや発覚の経緯などは、共同研究企業との契約などから明らかにできないとしている。 同大の永田恭介学長は「研究を主導する大学教員がこのような事態を起こしたことは極めて遺憾で、共同研究の相手企業並びに関係者の信頼を損なうこととなり深くお詫びします。事態を真摯に重く受け止め、全学を挙げて再発防止に取り組むと共に、学内における知的財産権のマネジメントの徹底を図り、大学の信頼の維持・向上に努めます」などとするコメントを発表した。

5/21映画「マイスモールランド」上映会

人権団体アムネスティ・インターナショナル日本 水戸グループは、国内の難民や入管問題をテーマにした映画「マイスモールランド」の無料上映会を5月21日(日)午後2時から、JR水戸駅南口のあむねすみとビル2階で開催する。入場無料。 上映後に、牛久入管面会に取り組んでいる筑波大学生グループ「CLOVER」が活動報告を行う。 上映日時:5月21日午後2時~4時30分 場  所:あむねすみとビル2階(水戸駅南口から徒歩5分) 映画「マイスモールランド」のあらすじー 少し前まで同世代の日本人と変わらない普通の高校生活を送っていた埼玉に住む17歳のクルド人サーリャは、あるきっかけで在留資格を失い、当たり前の生活が奪われてしまう。彼女が、日本に居たいと望むことは“罪”なのだろうか―? 映画は日本初の栄誉となる第72回ベルリン国際映画祭/アムネスティ国際映画賞スペシャル・メンションを受賞し、世界からも大きな注目を集めた。

ウクライナ大使が筑波大で講演 避難学生と懇談も

駐日ウクライナ大使のセルギー・コルスンスキー氏が24日、筑波大学(つくば市天王台)を訪れ、日本人学生やウクライナからの避難学生、大学関係者ら約100人を前に講演したほか、ウクライナからの避難学生と懇談した。 同大は昨年4月にウクライナからの避難学生の受け入れを表明し、渡航費用や生活費を一部支給している。さらに学生宿舎の無償貸与、日本語学習プログラムの提供、カウンセリングの実施など、サポート体制を整えてきた。現在は、国立大学としては国内最多の42人を受け入れているなどから大使の訪問に至った。 講演では、ウクライナが誇る芸術のバレエや、卵の殻に花や鳥などを描き込んだ工芸品の「プィーサンキ」、郷土料理などを、スクリーンに写真を映しながら紹介し、ウクライナの歴史と、ロシアから侵攻を受け破壊された街並み、犠牲となった市民の姿に触れながら、戦争により傷ついた祖国の現状を訴えた。 大使はまた「侵攻後、最初に支援を表明したのが茨城県」であるとし「茨城とは特別な関係がある」との述べ、感謝の意を表した。今後の日本への期待として「日本の企業などとは戦後復興について、インフラ再建への投資など協力関係構築について協議をしている」とした上で、「難民の帰還への協力とともに、新しいウクライナを共につくっていくことを期待したい」と語った。 講演の後には避難学生との懇談会が開催され、大使から学生に「学生たちは、この大学で学ぶことができて、明るい未来があると私は思っています。しっかり学んでください。ウクライナはあなたたちを必要としています」とメッセージが送られた。 講演を取材した、同大の学生で筑波大学新聞の川上真生さん(19)は「ウクライナのことはこれまでテレビなどの報道で接してきたが、直接、話を聞いたことはなかった。講演を聞く中で、被害を伝える場面での声の強弱などによる感情の変化に接して、現状をよりリアルに感じられた」と話した。 茨城県は、ロシア侵攻が始まった翌日の昨年2月25日、県議会が「ロシアによるウクライナ侵攻に断固抗議する決議」を全会一致で可決。さらに全議員から募った義援金100万円を大使館に贈った経緯がある。また同年3月には、守谷、常総、坂東、つくばみらいの4市が連携し、ウクライナからの避難民受け入れを表明している。(柴田大輔)

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