金曜日, 4月 26, 2024
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筑波山に魅入られ 元校長 沼尻正芳さんが個展 つくば

【鈴木萬里子】教員を退職後、本格的に筑波山を描き始めたつくばみらい市在住の画家、沼尻正芳さんによる個展「霊峰筑波・人・自然を描く」が24日から筑波銀行つくば本部ビル(つくば市竹園)2階ギャラリーで開かれている。 沼尻さんは武蔵野美術大学卒業後、千葉県松戸市の中学校を始め茨城県南の小・中学校で美術担当教諭を長く務め、つくばみらい市立伊奈東中学校長を最後に退職した。その間卒業生の似顔絵を描き、累計1050枚を卒業生に贈った。現在、美術団体「新極美術協会」常任理事を務める。 今回の個展では縦97㎝、横145㎝の霊峰筑波の大作を含め、四季折々に表情を変化させる雄姿が多数展示され、筑波山への憧憬(しょうけい)が見る側にも伝わってくる。 描き始めたころは遠くから筑波山を描き、最近は間近で雄大さを感じながら描くなど、試行錯誤しながら取り組んできたという。アクリル絵の具で描いた筑波山を何度も加筆修正して、油彩で描き直した作品も多く、沼尻さんは「最初は四苦八苦していたが、今は筑波山が教えてくれるようになった」と話す。 昨年の第23回極美展で東京都知事賞を得た、不動院を描いた「塔に雪降る」など見応えのある作品も多い。沼尻さんの優しい視線が感じられる幼子やペットを描いた作品などもある。 熱心に見ていたつくばみらい市の30代女性2人は「筑波山の自然豊かなところを切り取って描いていて感動する」「身近な自然を題材に描いているので親近感が湧く」などと話していた。 ◆会期は30日(月)まで。入場無料。開館時間は午前10時~午後4時30分(最終日は午後3時まで)。問い合わせは℡090・7277・2328(沼尻さん)

日本屈指のコレクションを公開 さくらそう品種展始まる 筑波実験植物園

【鈴木萬里子】日本屈指のサクラソウの品種コレクションを一堂に公開する「さくらそう品種展」が国立科学博物館筑波実験植物園(つくば市天久保)で14日から始まった。筑波大学が保有する314品種の「筑波大学コレクション」が150点ずつ順に展示される。 サクラソウは室町時代後期から江戸時代前期に野生種の栽培が始まり、茶会の席にも使われるなど人気が高かった。江戸後期になると品種改良が進み多数の園芸品種が生み出された。筑波大は収集した品種のDNAタイプを調べ保全している。同展に展示されている150点は4~5日ごとに入れ替えるため、全品種を見ることが出来る。 NPOつくばアーバンガーデニングのメンバーらが中心となった「筑波大学さくらそう里親の会」による「里子コレクション」も展示されている。筑波大が保有する園芸品種を保存する里親で、市民と共に遺伝資源を守っている。里親の一人は「芽分け作業時には交配しないよう土を入れ替えるなど、細心の注意が必要。でもとても楽しい」と話していた。 会場には、サクラソウの花を観賞するために江戸時代に考案された陳列法「桜草花壇」が建てられている。下向きに咲く花は上段に、上向きの花は下段に配置するなど、花の色が一番きれいに見える工夫がされている。 植物園入口の教育棟には昨年のサクラソウ人気投票上位10品種が飾られている。 牛久市の60代女性は「サクラソウを見るのが楽しみで毎年来ている。あでやかなのに静かな雰囲気が良いですね」と話し、品種ごとに付けられた名前を丁寧にチェックしていた。名前は作った人が付け、和歌から取ったものが多いそうだ。中には日露戦争後に名付けられた「戦勝」などユニークな名前もあった。 ◆同展は22日(日)まで。16日(月)休園。開館時間は午前9時~午後4時30分。入園料は一般310円。

自由な表現に見応え つくば美術館で「茨城現展」

【鈴木萬里子】日本を代表する公募団体の一つ、現代美術家協会の県支部会員による「第34回茨城現展」(同支部主催)が、つくば市吾妻の県つくば美術館で開かれている。30人の作家による絵画、写真、工芸、立体、デザインなど、幅広い分野の作品が一堂に展示されている。 会場中央には、稲敷市在住の正野豪勇さん(75)が、上野憲示監修「鳥獣戯画の謎―国宝に隠された6つのミステリー」(別冊宝島)から起こしたカエルが11体展示されている。カエルは工具のやすりを加工して作られ、腹の中に鉄のかけらを入れてある。揺らすと音がして、カエルの声が聞こえるよう作られている。正野さんは日本中央競馬会美浦トレーニングセンターで馬に蹄鉄を打つ装蹄師(そうていし)として働いた経験から、蹄鉄や鉄製の仕事道具を使った作品を数多く発表している。独学で学んできたという正野さんは「企画展示に選ばれて今回多数の作品を出品できた。ここにある作品はどれも、手で触って鉄の感触を感じてほしい」と話した。 水彩画の佐々木量代、工芸と絵画の正野豪勇、デザインと絵画の三木ひろみ3氏による企画展示コーナーもある。佐々木さんの水彩画に見入っていた土浦市の60代の女性は「淡く、やさしい色彩だけれど、力強い迫力を感じる」と話していた。 土浦から来た70代の夫妻は「毎回見に来ている。絵だけでなく工芸品などもあって楽しめる。どれもレベルの高い作品が多い」と話した。 茨城支部は全国17ある支部の1つ。会長の佐野幸子さんは「今回の出品者は30人、出品数は150を超え見応えのある現展になった。公募展なのでたくさんの人に、自由な表現で参加してほしい」と話した。 ◆会期は15日(日)まで。開館時間は午前9時30分~午後5時(最終日は午後3時まで)。問い合わせは04・7188・8621(佐野さん)

カタクリ見頃 例年より早く 筑波山

【鈴木萬里子】「第18回筑波山頂カタクリの花まつり」が20日まで開かれている。山頂付近には約3万株のカタクリが群生しており、花を目当てにケーブルカーで登る観光客やカメラを首にかけた登山者らでにぎわっている。期間中イベントがあり、花まつりを盛り上げる。 群生地は男体山山頂付近の自然研究路と、ケーブルカー筑波山頂駅のある御幸ケ原から女体山に向かう「カタクリの里」など。自然研究路は標高800m辺りをぐるっと一周する登山道で、北側の登山道両脇に今が盛りと咲き誇る群生の花が見られる。ここ数日がピークのようだ。自然研究路南側とカタクリの里は見頃を過ぎてしまった。つくば観光コンベンション協会によると、今年は例年より開花が5~10日ほど早いという。 カタクリは早春に薄紫や桃色の花を下向きに咲かせ、2週間程の開花時期しかないことから「春の妖精」とも呼ばれ、愛好者を引きつけている。花の色は薄紫が一般的だが、カタクリの里には白い花も咲く。自生する白色の花は数万本に1本しかないそうだ。今年は残念ながらもう散ってしまったが、山頂売店の「たかはしや」に写真が飾られている。カタクリと同時期に咲くのがニリンソウで、御幸ケ原の南斜面ではニリンソウの群生も多く見られ、2種が共に咲く姿も見られる。 静岡県富士市から団体バスで訪れた60代女性は「やっと憧れの筑波山に登ることが出来てうれしい。その上カタクリの群生を見られるなんて、私達ラッキー」と写真を撮りながら大喜びしていた。 カタクリの花まつり関連イベントは次のとおり。 ◆筑波山神社参拝と筑波山頂カタクリの花散策=14日(土)。参加費無料(乗車料金は各自負担)、先着80人。特典として筑波山神社を正式参拝できTXオリジナルキャップがもらえる。申し込み029・866・0611(筑波観光鉄道) ◆筑波山ウォームアップ登山=14日(土)午前9時30分~午後4時。無料(一部有料)、筑波山登山と併せたスタンプラリー、ワークショップ、登山講座など。詳しい情報はhttps://www.yamakei-online.com/yk/tsukuba/ ◆筑波山ミニコンサート=15日(日)午後1時~3時。問い合わせ029・869・8333(つくば観光コンベンション協会)http://www.ttca.jp ◆ガマの油売り口上=山頂御幸ケ原で期間中の土日、午前10時~午後2時。

日本画家、故小林恒岳の未発表作品を発見 土浦まちかど蔵で初公開

【鈴木萬里子】石岡市太田の日本画家で昨年6月に逝去した小林恒岳(こうがく)の未発表作品が、このほど夫人の志津江さんによって発見された。30号(91×65㎝)の「滝」という作品で、土浦市中央、土浦まちかど蔵「大徳」で開催中の「第8回緑炎会作品展」で初公開されている。 今年12月13日から北茨城市の県天心記念五浦美術館で開催される「追悼―小林恒岳展」の出品作品を整理していた志津江さんが、アトリエに保管されている作品の中から見つけた。志津江さんは「とても驚いた。1993年頃しきりに滝を描いた時期があったので、そのうちの1枚だと思う。アトリエには作品が重ねて置いてあり、ほかにも未公開の5~6作品が見つかった。6月に遺作展を予定しているので、皆さんにも驚いて見てほしい」と話している。 小林恒岳は、県立土浦一高、東京芸大卒。父親で日本画家の巣居人(そうきょじん)が創設した「新興美術院」の代表的な画家として活躍し、霞ケ浦をテーマにした初期の作品は環境破壊に警鐘を鳴らした。1987年に石岡市の吾国山中腹にアトリエを構え、霞ケ浦や筑波山など地域の自然を豊かな色彩で描き続けた。 生前、土浦市の日本画同好会「緑炎会」を指導していたことから、同会の作品展で初公開されることになった。 指導受けた8人が力作展示 緑炎会作品展は、会員8人がそれぞれ2~6作品を出品し、「滝」を合わせた38作品が展示されている。日本画の持つ柔らかな色合いが、会場の蔵と調和し、優美な雰囲気を醸し出している。 会は小林さん亡き後、講師を招かず、制作活動を続けている。尾島和子会長は「会員らが意見を出し合い、その意見を入れて描き直したり、和気あいあいとやっています」と会の現況を話す。 来場した土浦市の70代男性は「力作ぞろいですごい。特徴的な日本画の色合いに春の季節の深まりが感じられる」と話していた。祖母と一緒に来たという同市の6歳の少女は「絵の色がすごくきれいで見ていて飽きない。ばらの赤色がすてき」とにっこりしていた。 ◆「第8回緑炎会作品展」は10日(火)まで。開館時間は午前10時~午後5時(最終日は午後3時)。入場無料。問い合わせは℡029・824・9209(尾島さん) ◆「小林恒岳ー遺作展」は6月2日(土)~6日(水)、四万騎農園石蔵ギャラリーで開催する。開館時間は午前10時~午後5時30分。問い合わせは℡0299・44・3305(小林志津江さん)

野の花や失われゆく植物描く 三浦ひろ子さん個展 つくば

【鈴木萬里子】見慣れた野の花や絶滅危惧種、日本固有種などを精密に描いた「植物画の世界 三浦ひろ子個展」がつくば市竹園の筑波銀行つくば本部ビル2階ギャラリーで開かれている。初日の3日には100人近い来場者が訪れ、精密に描かれた作品の数々に感嘆の声が上がっていた。 植物画は花びら、がく片、葉の形、花や葉の色合いなどの特徴を細かく、正確に、実寸で描く。写真技術が発達する以前には植物標本として描かれていたため、精密さが要求されている。 三浦さんが描いたきっかけは、バブル期に大規模開発に伴う動植物の環境調査に関わったこと。「失われゆく動植物、特に野草に心を動かされ、確かに存在した事実を残したかった」との強い思いからだ。環境省の2017年レッドリストには、植物だけでも絶滅危惧種は2267種あるという。 個展は今回で4回目。初めて開催した時、三浦さんは「華やかな花ではなく野の花ばかりで来場者が落胆するのではないか」と心配していた。ところが「地味でも克明に描かれた野草が魅力」との声が上がり安堵したという。 会場には作品42点が展示され、そのうち14点は絶滅危惧種、準絶滅危惧種、日本固有種などだ。 熱心に作品を見ていた土浦市の70代の夫婦は「作品が素晴らしいのはもちろんだが、絶滅危惧種への取り組みに三浦さんの人間性が垣間見えて素晴らしい」と話していた。「普段見逃してしまいそうな所まで正確に描かれていて感動した」「心が穏やかになった」などの感想が寄せられているという。 ◆会期は9日(月)まで、時間は午前10時~午後5時(最終日は午後3時)、土日も開催。入場無料。問い合わせは090・8873・0590(鮎澤さん)

【桜花爛漫】 2000本が春の山に彩り 雪入

【鈴木萬里子】雪入地区はかすみがうら市西部に位置し、雪入山、浅間山を中心とした山地に自然豊かな林が広がる。ここに2000本を超える山桜が点在し、春の山に彩りを添える。雪入山南側の成沢には山桜の自生林があり「茨城の自然百選」に選ばれている。 「山桜がこんなにあるのに注目されてこなかった。たくさんの人に知ってほしい。豊かな自然と山桜をPRしたい」と雪入山麓にあるふれあいの里公園ネイチャーセンター所長の川崎慎二さんは話す。 例年の満開はソメイヨシノより1週間ほど遅い4月10日頃だが、今年は早足に春がやってきているという。訪れるなら早めがお薦め。同センターや三ツ石森林公園もりの小屋で、公園内マップの入手やトイレ使用も可能だ。 山桜は日本に自生する野生種の1種。花は白色や淡紅色が多いが、白色に淡紅色が混じったものなども見られる。葉は最初は赤く、徐々に緑色になっていくが、最初から緑色の葉もある。 自然交配により生まれ、鳥や虫の糞から排出された種が地に落ち芽を出す。交配した条件、根付いた土壌、育った環境により開花時期、花の色や新芽の色など様々な違いが出るのだという。 平均寿命は100~400年。中には500年を超える山桜もあるそうで、寿命60年とされるソメイヨシノの比ではない。山中で芽吹き、たくましく育った山桜に「生命力の強さを感じる」という人の多いのもうなずける。ハイカーの60代女性は「凛(りん)と咲き誇る姿が孤高の人のようでひかれる」と話した。 4月7日に山桜ウォーク 4月7日(土)に開催される今年で6回目となる春の一大イベント。毎回500人もの参加者が桜を愛でながら山里を歩く。山全体の桜を下から眺める「里コース」(5㎞)と、尾根から満開の山桜を眺める「尾根コース」(10㎞)がある。コース途中の三ツ石森林公園で幹回り1mの山桜約200本が迎えてくれる。「眺望大桜」「天空桜」「美肌桜」など、命名木に出合うのもウォーキングの楽しみになっている。 申し込みは▽里コース=定員200人、℡0299-59-7000(雪入ふれあいの里公園)▽尾根コース=定員300人、℡029-862-3500(県立中央青年の家) =【桜花爛漫】終わり

あでやかに、かなだけの書展 土浦で香墨会

【鈴木萬里子】第33回香墨会展が土浦市大和町の土浦市民ギャラリー(アルカス土浦1階)で開かれている。かなだけの書道会は県内唯一で、土浦・つくばを始め多くの来場者が訪れている。 昨年まで土浦市中央の亀城プラザで開いていたが、今回は会場を昨年11月にオープンしたアルカス土浦市民ギャラリーに移しての開催となった。新しい会場の明るさが作品に反映して、どの書もあでやかな雰囲気が漂っている。 会場の入り口正面に大屏風(びょうぶ)が展示されて来場者の目を引いている。会員らが半懐紙(かいし)に和歌をちらし書きし、色合いなどをあんばいして仕立てた。それぞれの個性が一つにまとまり見事な作品に仕上がっている。ほかに屏風、掛け軸、巻子(かんす)など多くの作品が展示されている。市内の70代女性は「すばらしいの一言。かな書は一見優し気ですが、どの作品にも力強さが現れている」と話し、作品一つひとつをじっくり観賞していた。 会場奥の一室には香墨会を主宰する平田洋香さんの「米寿回顧展」が開かれている。平田さんの45年間にわたる書が展示され、変遷を垣間見る機会となっている。平田さんは「努力、精進して今日がある。45年間で字は時代の流れに沿った字となり、良い雰囲気を醸し出します」などと話した。 潮来市から来場した飯田亮子さんは「かなだけの書展は珍しいので毎年楽しみ。平田先生の書は線のすばらしさ、みやびだが力強い美しさがあって、毎回感動します」と話していた。 ◆会期は18日(日)まで、午前10時~午後6時(最終日は午後3時)、入場無料。問い合わせは029・821・0428(書道研究香墨会)。

【震災7年】「生ある限り考え続けたい」 福島にこだわり毎年写真展

【鈴木萬里子】「日々探鳥びと」を名乗り、野鳥写真家として知られる阿見町、海老原信一さんは「生ある限り考え続けていきたい」と、東日本大震災以来、毎年3月に、福島にこだわった写真展を開いている。 つくば市二の宮の洞峰公園新都市記念館展示ホールで14日まで開催中の「鳥撮り三昧第32回写真展―七度目の三月に」では、福島県の海岸や帰還困難区域の現在の様子を伝える写真を展示している。 2011年3月11日、海老原さんは第11回写真展を同会場で開いている最中に、東日本大震災の大きな揺れを経験した。11年、11日、11回と11の並びに、巡り合わせを感じたという。 海老原さんは以前から、野鳥の撮影のためよく福島県裏磐梯に通っていた。しかし福島第1原発事故後は一時閑散としてしまった。北茨城にも通ったが、津波により美しかった海岸線は破壊され、現在は護岸工事が進み堤防が作られているという。 昨年12月、海老原さんは夫妻で福島県を訪れた。常磐道南相馬インターチェンジ(福島県南相馬市)で高速道路を下り、国道6号を双葉郡広野町まで南下するルートを走った。原発事故影響下の地域を自分の目で見てみようとの思いからだ。帰還困難区域の国道の両側に人の姿はなく、人々が息づいていた痕跡だけが残されていた。さらに南下し広野町に入ると様子は一変、人々の日常の姿に生活の響きがあり「その対比に戸惑った」と振り返る。脇道は今でも通行不可だが6号は全線開通している。海老原さんは「避けていると耳だけの情報しか入ってこない。実際に行って自分の目で見ることが大切だと思った。是非現実を見てほしい」と話した。会場の一画にはその時に撮った写真6枚が展示されている。 ほかに、野鳥の写真が、裏磐梯18点、つくば・土浦20点、その他北茨城など8点の計46点展示されている。 ◆会期は3月14日(水)まで。開館時間は午前8時30分~午後5時(最終日は3時)。入場無料。問い合わせは029・852・1432(洞峰公園管理事務所)

障害者らアートへの情熱発信 チャレンジフェス つくば

【鈴木萬里子】障がいがある人の絵画や造形作品などを展示し、芸術活動を発信する「第17回チャレンジアートフェスティバルinつくば」の作品展示が6日から県つくば美術館(つくば市吾妻)で始まった。市内28カ所の社会福祉団体による、個人や共同制作作品が広い会場を埋め尽くしている。 立体造形「おばけの森」(NPO法人にっこりの森)のゾンビやカラフルお化けなどは、みんなで楽しんで考え出した。古屋正太郎さんの墨絵「流れ」(アートクラブふぉれすと)は第21回「国際現代」水墨画展こどもの部金賞受賞作品。単色なのにカラー以上の迫力で強く迫ってくる。このほか貼り絵、手芸、習字、ちぎり絵など作品は多岐にわたる。つくば市の友好都市、東京都荒川区から特別参加の絵画も展示されている。 6日のオープニングイベントでは、子育て仲間の友人らで結成した「たけとんぼ」によるミニコンサートが催され、来場者らは演奏に合わせて合唱を楽しんだ。ワークショップ「ペーパーフレームをつくろう!」では講師の伊藤三千代さんの指導で額縁が出来上がった。 社会福祉法人関係者の女性は「この展覧会は障がいのある人が自分を表現できる場となっている。施設の日々の活動の中で作り上げた作品、アートに向ける情熱を感じてほしい」と話した。来場者の女性は「どれも素晴らしい作品ばかり。障がい者、健常者とくくるのではなく、芸術性で見たいですね」と絶賛していた。 主催者で同実行委員会の笹本健一委員長は「素晴らしい作品が多い。関係者だけではなく一般の人にも是非足を運んで見てほしい。障がいのある人とない人が共生する社会への意識を高めて、より素晴らしいまちにしていきたい」と話した。一部の作品は5月頃、常磐道谷田部東パーキングエリアで展示される予定だ。 ◆会期は3月11日(日)まで。開館時間は午前9時30分~午後5時(最終日は3時)。入場無料。問い合わせは029・883・1111(つくば市障害福祉課)

《学生インタビュー》7 人を引き込む職員の力に感銘 エキスポセンターで解説

筑波学院大学には社会参加型の教育プログラムOCP(オフ・キャンパス・プログラム)があり、地域と連携しながら社会力豊かな人材の育成を図っている。情報システムコースの中山優作さん、ビジネスマネジメントコースの鈴木光介さんと松川優馬さんの3人は2年生の夏休みに7回ほど、つくばエキスポセンター(つくば市吾妻)の科学体験コーナー「おもしろサイエンスゾーン」で実験や解説を通して来場者に科学のおもしろさを伝える活動を行った。 経営情報学部経営情報学科3年 中山優作さん 鈴木光介さん 松川優馬さん 3人とも県立水海道二高出身   ―3人は同じ高校の出身ですが筑波学院大学に進学した決め手は何ですか。 中山 進路について迷っていましたが、学校説明会で多様な進路が選択できると知り、良いと思いました。 鈴木 授業の一環で地域の人と連携を深められるのは他の大学では見られないと思いました。 松川 最初はコンピュータ関係の仕事に就きたいと思って入学しましたが、2年生の時に経営経済学をやりたいと思うようになりました。進路変更の選択肢が多いこの学校にして良かったです。 ―OCPでつくばエキスポセンターを選んだ理由は。 中山 化学と物理が好きですが、卒業後は営業職に就きたいと思っています。お客さんに説明する訓練になると思いました。 鈴木 守谷の実家から電車通学なのでエキスポセンターは通いやすく接客の練習にもなると思いました。 松川 1年生の時のは、OCPでスーパーでの食育活動にかかわりましたが、コミュニケーションがうまく取れずに終わりました。今回コミュニケーション能力を深めたいと思い決めました。 ―実際にやってみていかがでしたか。 鈴木 ぶっつけ本番でした。子どもにどうやって興味を持ってもらえるように説明すればよいのか不安でした。 松川 まず子どもと目線を同じにすることから始めました。 中山 動きのあるおもちゃに食いついてくる子どもに、もっと興味をもってもらえるよう手助け出来るのが良かったです。おとなも興味深く見てくれて子どもに接するのと違う面白さがありました。 ―工夫したことがあれば教えて下さい。 中山 分からないことはエキスポセンターの職員に聞いて自分なりに勉強しました。話し方、身振り手振りなど見せ方を工夫しました。 鈴木 話し方一つ変えるだけで子どもの興味の現れ方が違います。おとなには原理を詳しく説明しましたが、子どもにはロマンある話し方を心がけました。子どもは見たものに興味を示すので、まず実験を見せてから説明するようにしました。相手の気持ちになることが大切だと学びました。 松川 職員に説明を聞いて、自分が理解した上で来場者に接しました。難しい言葉を使わず子どもに伝わりやすい言葉で説明することを心がけました。途中で興味がなくなってしまった子どもには実験をやらせてあげるなど工夫しました。 ―印象的だったことは何ですか。 松川 自作のロボットを動かして子どもに見せていたスタッフに驚きました。こんなすごい教え方をする人と出会えたのもこの活動の良いところだと思いました。 中山 エキスポセンターの職員やボランティアとの関わり合いが楽しかったです。特に元営業職だった人の子どもとの接し方や人を引き込む力に感銘を受けました。 ―この活動を通して良かったことは何ですか、またそれが将来にどう役立つと思いますか。 鈴木 子どもたちが実験に驚いて自分の説明をまじめに聞いてくれてうれしかったです。自分もアドリブが言えて言葉が次から次に出てきました。相手が大人でも子どもでも、その人の目線に立って考えることが大切だと思いました、将来に役立てたいです。 中山 もともと対人スキルがある方だと思いますが、この活動を通じてより磨かれたと思います。将来もっとの伸ばしていきたいと思います。 松川 子どもが説明を理解してくれ「ありがとう」と言ってもらえたことがうれしかった。この活動を通して表現力を伸ばしていきたいと思いました。将来は金融機関で働きたいので説明するスキルやコミュニケーション能力を伸ばしていきたいです。 (インタビュアー:鈴木萬里子)    

消える小学校 「小田祇園祭は残す」

【鈴木萬里子】3月末で閉校となるつくば市立小田小学校(土田雅一校長、児童数104人)で24日、閉校記念のお別れの会が催された。学校は閉校になるが地元の祭りは残していきたいと、地区住民らが校庭で地区祭り「祇園祭」を再現し、子どもたちが祭りを体験した。 小田小は明治7(1874)年に創立、143年の歴史を刻む。つくば市北部の2中学校と7小学校が統廃合し、つくば市北条に今年4月、小中一貫の秀峰筑波義務教育学校が開校するのに伴って閉校となる。 24日午後、校庭には地元、東部囃子保存会の「神輿(みこし)」、中部大獅子保存会の「大獅子」、西部青年同志會の「山車」が勢揃いし、小田八坂神社の「小田祇園祭」が再現された。 子どもたちは3グループに分かれ順番に祇園祭を体験した。大獅子を支える竹ざおを高く持ち上げ、大人顔負けの大きな歓声を上げながら、伝統行事の「顔合わせ」を楽しんだ。 PTA会長で東部お囃子保存会の山田吉広さん(47)は「学校は閉校になるが小田祇園祭は残していきたい。今日は子どもたちと一緒に祇園祭を再現して、地域の人たちに恩返しがしたい」と話した。 見学していた男性(36)は「小田小には祖父から私の子どもまで4世代が通った。閉校になるのは寂しいが、新しい学校で子どもたちの世界が広がるのも良いと思う」と感慨深げだった。自宅が近所で孫が通っているという80代の女性は「子どもたちの声が消えると寂しくなる。4月からスクールバスで通うことになり朝が早いので心配」と話していた。 お別れの会は学校とPTAが合同で主催した。午前中は子どもたちが学年別に4ブロックに分かれ合唱や合奏を披露した。菊地勇二教頭は「地域やお世話になった方々の協力があって素晴らしい学校となった。新しい学校、新たな未来に期待や希望を持って歩んでほしい」と子どもたちにエールを送った。

蜜蝋画の魅力に触れて 幼稚園美術館で個展 龍ケ崎

【鈴木萬里子】牛久市の画家、上野素美子さんの個展「蜜蝋(みつろう)の声を聞く」が龍ケ崎市羽原町の竜ケ崎幼稚園内「幼稚園美術館」で開かれている。 上野さんはつくば市内の高校で美術教諭を長く務める傍ら、美術展や銀座の画廊に出品するなど活躍している。牛久市ひたち野東の自宅1階に「アートスペースある・る」を開廊し、画廊オーナーでもある。 会場には150号の油彩の大作「風景」の2連作が壁面いっぱいに飾られている。田植えの前に水がひたひたに入った風景を表現している。全部で20点展示され、上野さんは「これだけ蜜蝋画を一堂に集めたのは初めて。自分の雰囲気、スペースになったのではないかと思う。今の季節の、はっきりしない感じを出した」と話した。 蜜蝋はミツバチの巣から作られる自然素材で、いろいろな画材と合わせやすく加工もしやすい。 上野さんは「蜜蝋を溶かすことで画面に予期しない様々な表現が現れることに驚き」、2013年より本格的に蜜蝋画を発表している。 友人の紹介もあり「子どもたちや保護者に蜜蝋画との出合いがあれば」と幼稚園での個展を引き受けた。竜ケ崎幼稚園は「育ちの時期に、子どもたちの五感を刺激し、子どもたちが五感をフル回転することを願って幼稚園美術館活動に取り組んでいるという。入り口の事務所に声を掛ければ、だれでも見学が出来る。 ◆会期は3月2日(金)まで、開館は午後1時~6時。問い合わせは0297・62・0573(竜ヶ崎幼稚園)、またはhttp://www.arles.jp(アートスペースある・る)

壁一面に春呼ぶ手作り作品 アートカフェでひな祭り つくば

【鈴木萬里子】つくば市天久保のアート&カフェ「サンゴミズキ」でひな祭りが開かれている。館内は春を呼ぶ手作り作品が所狭しと飾られている。中でも12点の大きなつるしびなが壁一面に飾られ、ひな祭りを盛り上げている。 つるしびなには古布を縫い合わせて作った小物が飾られている。草履(ぞうり)は早く歩いてほしい親心、トウガラシは虫がつかないように、ネズミはくるくる働けるようにという由来があり、女の子の成長を願う親心を託しているという。 同カフェで開かれている講座の一つ「和物」(糸賀幸子講師)の生徒が1年間かけて作り上げた。糸賀さんが京都まで出向いて仕入れ、時には色染めもした古布を縫い合わせた。今年はつるしびなのほか、運をかき込む縁起物の熊手を制作した生徒らもおり一角に展示されている。サンゴミズキのオーナー五十嵐とし子さん(75)が毎年作りためたつるしびなもある。 土浦から初めて訪れたという70代の女性2人は「知人に勧められて初めてこちらに来た。すてきな空間につるしびながあでやかで、見るだけで楽しくなる」と感心していた。五十嵐さんは「生徒さん達が丹精込めて作った作品をたくさんの人に見てほしい。見てもらうことは作る楽しみになる。作品を見るだけで春が来る感じがしますよ」と笑顔になった。 同カフェにはレンタルスペースが併設され、専門の講師が和裁のほか、カリグラフィ、陶芸、油絵など14の講座を教えている。 ◆雛祭りは28日(水)まで。午後1~4時、入場無料。「和物」教室は第1,3木曜午後1時から。問い合わせは090・4548・9740(五十嵐さん)http://sangomizuki.tsukuba.ch/

華やかに早春の書展 「華の会」つくば教室10周年

【鈴木萬里子】書道「華の会」(和泉竹華さん主宰)つくば教室10周年記念となる書展が、19日からつくば市竹園、筑波銀行つくば本部ビル2階ギャラリーで開かれている。 主宰する和泉さんは取手市在住の書道家。和泉さんの作品と、和泉さんが指導するつくば教室で学ぶ生徒5人のほか取手市の教室の生徒も加え、22歳から90歳までの計15人による20点の力作が展示されている。 和泉さんの「春逐鳥聲開(はるは ちょうせいを おって ひらく)」は中国秦の時代に用いられた隷書(れいしょ)体で書かれた作品。早春の書展開催に合わせた華やかさが感じられる。 会場入口には甲骨文字の「戌」のポスターが展示されている。和泉さんが1年かけて広告ちらしを集め、色彩を選んで作った年賀状用の作品だ。干支の作品は毎年好評だという。 生徒の作品は行書体で書かれたものが多く見られた。つくば市吾妻から来場した60代の女性は「漢字の行書を万葉仮名風に書いてあって、苦心のあとが見えます。白と黒だけの世界なのに、とても華やかさを感じさせます」と感心した面持ちで、1点1点丁寧に見て回っていた。 和泉さんは、書道を通して長年、ハンガリーとの交流を続けている。滞在していたハンガリーの書店でオリガミクスの本を見つけ、作者がつくば市在住だったことから、折り紙に手紙を記した「オリガミックスと手紙展」をつくばで開催した。これが縁で10年前につくば教室を開いた。和泉さんは「人と人との出会いが不思議な縁を生みますが、出会いを受け止める力、エネルギーが必要。書を書いているとエネルギーが自分にぶつかってくるのが感じられる」と語った。 ◆書展は26日(月)まで、入場無料。つくば教室は第1・3土曜日午後2時30分~4時30分。問い合わせは090・8643・2037(和泉さん)

手作りコンサート人気 「サロン桜」 つくば市桜ニュータウン

【鈴木萬里子】つくば市下広岡の住宅団地、桜ニュータウン(約580世帯)にある広岡交流センターで毎週土曜日、住民相互の交流を図る「サロン桜」が開かれている。特に団地内に住む演奏家を招いて2カ月に1回開催している手作りコンサートが人気だ。 2012年10月、住民の一人、八代勉さん(77)が妻の美代子さん(74)と立ち上げた。最初は男性たちで青写真を作り、アイディアを出し合った。だが始まってみれば女性ばかりが参加し、常時7~8人が参加して楽しいおしゃべりで盛り上がるという。 おしゃべりの話題はもっぱら本や料理などの情報交換が中心で、家族の話題はのぼらない。60代の会員は「程よい距離感が良い、ここで世間話をしても家に帰ると忘れる」と話し、70代の会員は「仕事をしていたので近所に知り合いが少なかった。土曜日にここに来ると知らなかった人と友達になれてうれしい」と明るい。 行事も開催している。発足当時はウォーキングを楽しんだ。宝篋山(つくば市小田)に登ったこともあったが、現在は会員の高齢化などにより中止している。勉さんの案内で、都内の桜名所を巡るなどのお楽しみは続いているという。 地元演奏家招きワンコインで 人気の手作りコンサートは、おしゃべりの際に高齢の会員から「音楽を聴くのにノバホールまで行くのは大変。お茶を飲みながら楽しめるコンサートがあると良いのに」との声が上がったことが発端となった。 団地内にはプロの演奏家が何人か住んでいる。第1回は住民の一人でピアニストの戸川哲郎さんを招いた。気軽に参加してもらえるように参加費をワンコインの500円にした。会場作りから運営まですべて会員らによる手作りだ。 2012年12月の第1回から2カ月に1回、休むことなく現在まで続いている。今年2月は団地住民の高野綾さんによるマリンバコンサートが行われた。参加者の多くが「お茶を飲み、おいしいお菓子を食べながらリラックスして聴く音楽に癒される」と話していた。 ◆サロンは毎週土曜日午後2時頃から4時まで、会費は無料。次回コンサートは4月21日。バイオリン奏者の高岩紀子さんとピアノの石橋博子さんが出演する。コンサートは住民だけでなくだれで参加できる。

本庁経験生かし多方面で改革 筑波山神社 岩佐弘史宮司

【鈴木萬里子】2015年に筑波山神社(つくば市筑波)宮司となった岩佐弘史さん(54)が多方面の改革に取り組んでいる。神社本庁出向先の「神社新報」記者時代に、全国各地の神社を取材し、そこで得た経験から数々のアイディアを実践している。 同神社は元旦祭に始まり、春と秋の例大祭(御座替祭)など行事が多い。毎年2月10、11日は2日間にわたって節分にあたる年越祭(としこしさい)が催される。 まず取り組んだのが正月の境内の混雑緩和だ。拝殿正面の柱間に白布をかけた大賽銭(さいせん)箱を設けた。次に参拝者が歩く参道の石畳を拡げ、動線を確保した。通常の賽銭箱の約5倍となり、並ばずに参拝できる。祈祷は、名前での呼び出しから色別のプレートを渡しての放送案内で、従来に比べてよりスピーディになった。 車の渋滞対策も課題の一つだ。神社境内には1時間無料の駐車場が100台分ある。筑波山山頂は関東で一番、日の出が早い。そのため山頂で初日の出を拝む登山者が多く、元旦は未明から境内駐車場がいっぱいになる。ゴールデンウイークから紅葉までのシーズン中の週末も同様だ。登山者は長時間駐車するため車の入れ替えが出来ないことが渋滞の一因となってしまうという。 岩佐さんは「渋滞は車社会の弊害。境内を整備して駐車スペースを更に確保したい。利便性を考えスマホで渋滞状況が見えるようにもしたい」と次なる改革を目指している。 地元沼田の区長を長く務め同神社責任総代の渡邊一雄さんは「神社の行事がある日は朝8時に渋滞が始まり筑波山麓まで車列が出来る。山道なので拡幅するのは難しい。現在、歩行者の安全を図るため側溝にふたをする工事をしていて7~8割完成している。新しい道を他に作るしかないのではないか」と話し、岩佐宮司と共に新たな改革を模索している。

打ちたてのそば485食 高齢者宅に届ける つくばの森林ボランティア

【鈴木萬里子】打ちたての常陸秋そばを地域の一人暮らしの高齢者宅に届ける「茎崎『おぐろくの森』高齢者新そば無料試食会」が27日と28日、つくば市茎崎地区で催された。地元の耕作放棄地で栽培したそばをボランティア20人が手打ちしてパック詰めし、民生委員の協力で計485食を届けた。 同市小茎と六斗地区に広がる「おぐろくの森」の再生に取り組むボランティア団体「つくばフォレストクラブ」(福木哲朗会長)が主催した。同会員らが育てた常陸秋ソバを使い、昨年に続き2回目の開催となった。市の公募型まちづくり補助事業「2017年度アイラブつくばまちづくり補助金」を活用した。 茎崎地区に住む一人暮らしの75歳以上の高齢者485人から申し込みがあった。昨年は300食だったが大幅に増えた。今年から茎崎地区の民生委員20人が協力し、老人宅を訪問するなど要望を把握してくれたのが大きかったという。 そば打ちは27日が宝陽台、六斗、下岩崎、28日は森の里、大茎の計5カ所の会場を使い、2日間かけてそばを打った。そば打ちボランティアも昨年の12人から今年は20人に増えた。全員が70代。その一人で「宝陽台そば打ち食す会」事務局長の深井勇悦さん(74)は「ボランティアで協力するのは良い活動だと思う。上手な人のそば打ちを見ることができて、スキル向上に役立つ」と話した。 出来上がったそばは、ボランティアらが一人前150gに計り、だし汁とわさびを添えてパック詰めした。配布は民生委員が協力して行い、打ち立てをすぐに食べることが出来ると好評だった。 同クラブ会員で新そば試食会の活動を中心となって支える佐藤文信さん(67)は申込者の増加について「昨年評判が良かったので食べたい人が増えたようだ。申込締切後も電話があり対応した。『おいしかった』『来年も楽しみにしている』の電話にほっとしている」と笑顔。今後について「今は数カ所でそばを打っているが、それぞれの地域単位でそば打ちから調理、会食まで出来るようになれば」と話した。

画家と彫刻家「二人展」開幕 牛久のギャラリー

【鈴木萬里子】水戸市在住の画家、横須賀幸男さん(63)と城里町在住の彫刻家、槙野匠(48)さんによる「二人展―Asyl(アジール)」が16日、牛久市ひたち野東のギャラリー「ART SPACE ある・る」で始まった。 アジールはドイツ語。ギリシャ語を語源とし、聖域、自由領域など特殊なエリアのことを意味する。横須賀さんは二人展のコンセプトについて「美術は、囲まれた幸せな領域ではなくなった。さまざまな制約を取り払って自分たちの自由な生活を作り出したい」と語った。 横須賀さんはアクリル画11点を展示。うち大作3点は昨年10月に描いた連作。「雲、風、霧が感じられる作品に仕上げ、上から見たエリア(聖域)を感じさせる画にしたかった」と話した。30年前からアクリルで製作しているのは、水を流したキャンバスに何層も絵の具を入れ、日本的な墨絵に近い表現にするためだという。 槙野さんの作品は8点のうち大作の「小さな川を渡る」が会場中央に置かれている。この橋を渡り横須賀さんの3連作の1番目「門をたたく」に至るよう工夫された展示となっている。 ◆開館時間は午前11時~午後6時、入場無料。20日(土)午後3時から同会場で「ギャラリートーク&ドリンクパーティ」が開かれる。会期は28日(日)まで。22日(月)休廊。問い合わせは電話029・871・7007(同ギャラリー)

小田地区でどんど焼き つくば 「伝統残したい」

【鈴木萬里子】第30回小田地区どんど焼き(小田二十日会主催)が14日、つくば市小田、小田城跡歴史ひろばで催された。午後4時、日枝神社(土浦市澤辺)神主のお祓いの後、やぐらに火が放たれると、グォ~というものすごい音と同時に天まで届くかのような火柱が立ち、観客から大きな歓声が上がった。火の勢いが少し収まると参加者らが餅を刺した竹の棒を一斉に火にかざす姿が見られた。 どんど焼きは小正月(1月15日前後)に正月の松飾り、しめ縄、書き初めなどを長い竹やわら、茅(かや)で作られたやぐらに積み上げて燃やし、無病息災や五穀豊穣を祈る行事。この火にあたると若返る、焼いた餅を食べると病気をしない、燃やした書き初めの紙が高く舞い上がると習字が上手になり勉強もできるなどいわれている。 小田地区では30年前に地元の商人や事業主が中心となり同二十日会を結成、その会員らが立ち上げた。当初は12人ほどいた会員も現在は結束幸男さん(71)、小林宏さん(71)、河合満雄さん(67)ら3人になった。14日は友人、知人ら20数人がボランティアで参加し、クレーンを使い、高さ10mのやぐら作りや、豚汁作りなどに取り組んだ。 昨年から「小田城冬の陣」(つくば市教育委員会など主催)が同時開催され、和楽器演奏などのイベントも行われた。好評の豚汁は1日3回500食以上を無料配布した。火の回りではつくば市消防本部の職員が多数待機し、飛び火の消火に当たっていた。 ■「分別徹底し土浦も再開して」 伝統行事のどんど焼きだが、最近は担い手不足や、プラスチックなどを燃やすことなどから減少傾向にあるという。土浦市もプラスチックの分別が難しいことから今年から廃止となった(NEWSつくば1月12日配信参照)。 つくば市中心部から来場した30代の夫妻は「是非残してもらいたい。分別は個人の意識の問題、行政の徹底した周知が必要だと思う」と話した。近所の60代の男性は「周りが何もないところなので気にしない」ときっぱり。やぐら作りをした男性は「伝統を残していきたい。(プラスチックの分別の問題は)これから考えていかなければならないが」と話した。土浦から孫2人と来た60代の女性は「毎年土浦のどんど焼きを楽しみにしていたのに廃止になって残念。市民も分別を徹底して再開してほしい」と語尾を強めた。

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