木曜日, 11月 21, 2024
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最新の車いす、装具などが一堂に 18日つくばで福祉機器展

障害者の衣服デザインし紹介も  全国の福祉メーカーが最新の福祉機器を展示する「TSUKUBA福祉機器展2023」が18日、つくば市竹園、つくばカピオで開かれる。車いすや義足、装具、補聴器、介護用品など、各メーカーが開発したさまざまな福祉機器を見て、実際に触れて、体験することもできるイベント。コロナ禍によりつくばカピオでの開催は2019年以来4年ぶりとなる。 35の企業や団体が出展し、機器を展示するほか、障害者とクリエイターが協働でデザインし制作した当事者のための衣服を紹介などする。障害者スポーツ体験、各種ワークショップのほか、キッチンカーによる飲食ブースの出店もある。楽しみながら最新の福祉機器を知ることができるという。 同展は義肢や装具などの製造販売、福祉用具の貸与などを行う幸和義肢研究所(つくば市大白硲、横張 巧社長)が主催する。福祉機器の技術やサービスの発展はめざましく、毎年新しい福祉機器が誕生しているが、どのような機器やサービスがあるのか一般にはあまり知られていない。福祉機器をもっと身近に感じてもらいたいという思いから、2007年より開催を始め、今年で15回目の開催となる。15年、18年は水戸で開催、20年と21年はコロナ禍によりオンラインで開催した。対面で開催した19年は約1000人が来場、21年のオンライン開催は数千人が視聴した。 今回、幸和義肢研究所は、義足、車いす、装具などの製品を展示するほか、機器の製作・修理履歴データをスマートフォンなどで一元管理できる新サービス「ぽーさぽーと」などを紹介する。 同研究所の志賀智史さん(43)は「全国の福祉機器メーカーが最新の福祉機器を展示する。会場内のイベントとして、障害をもつ人が自分一人で着用できる服をデザインし制作過程を動画に収めたので、見ていただける。福祉を身近に感じる機会はなかなかないと思う。どなたでも参加いただけるので、福祉の現状や最新の技術を目の前で見て体験していただけたら」と話し、来場を呼び掛ける。(田中めぐみ) ◆「TSUKUBA福祉機器展2023」は18日(土)午前10時から午後3時まで。会場はつくば市竹園1-10-1、つくばカピオのアリーナとホール。入場無料。詳しくは同社(電話029-875-7627)へ。

4年ぶり 筑波銀行OB会が美術展

筑波銀行OB会土浦支部美術展が9日から、つくば市竹園の筑波銀行つくば本部ビル2階ギャラリーで始まった。4年ぶりの開催となる。油彩画、水墨画、写真、書、彫刻、陶芸など約70点を展示している。 同OB会に所属する25人が退職後に制作した作品を展示する。年齢層は60代後半から70代後半が中心。同銀行は2010年に関東つくば銀行と茨城銀行が合併し誕生した。水戸支部、下妻支部、土浦支部の3つのOB会支部がある。これまで合同展覧会を開きながら親睦を深めてきたが、コロナ禍で中断していた。今回の美術展は土浦支部が主催した。 土浦支部美術部会長の染谷則嘉さんは旅先で出会った風景や花の写真「森の妖精」など4点を制作。心に残る瞬間をレンズにとらえた。「コロナ禍の間、悶々(もんもん)としていた。ここに出すために撮っているというのはある。作品を出すと批判を受けたりし、張り合いがある」と話す。 石川仁巳さんが撮影した「Season#1春うらら」など4点の作品は、筑西市の寺や大洗町の鳥居といった茨城の風物をモチーフに、四季折々の風景を切り取る。モチーフに合わせてカラーとモノクロで表現した。 堀越喜代子さんは「阿修羅」など、写実的な鉛筆画2点を描いた。他の会員たちは足を止めて見入り、その緻密な筆致に驚きの声をもらしていた。 OB会会長の徳宿彰さんは、水墨画の作品「夜寒の月」など3点を制作。墨の濃淡を巧みに使って描いたのは想像上の幻想的な風景だ。水墨画は銀行退職後に始めたという。「今回は趣味で取り組みを始めた人や、他の展覧会の入選者まで幅広く参加した。この展覧会を通して交流を深められれば」と話す。作品を通して、職場では知らなかった人となりに触れることもあるという。会での交流を通し「前よりうまくなった」、「作風が変わった」など互いに気付きがあり、作品に刺激を受け合っているという。(田中めぐみ) ◆会期は15日まで。会場はつくば市竹園1-7。開館時間は午前9時30分~午後4時30分(最終日は午後3時まで)。期間中無休。入場無料。

新規女性会員獲得へ注力 つくば市シルバー人材センター

つくば市シルバー人材センター(同市筑穂)が、新規女性会員の獲得に力を入れている。女性に向けた入会セミナーを年2回開催したり、女性会員の交流イベントを企画したりしている。女性会員は10年前より増加しているものの、男性会員の約半数にとどまる。15日には同センター女性活躍委員会が主催し、同市谷田部、市民ホールやたべで、女性限定の入会説明会を実施する予定だ。満60歳以上の女性で、予約は不要。女性会員の仕事としては、清掃や剪定(せんてい)、除草、スーパーマーケットのレジ打ち、品出しなどの業務があるという。 同センターの会員数はコロナ禍で減少に転じていたが、現在は回復の兆しが見える。コロナ前の2019年度に679人いた会員は、22年度に584人と600人を割り込んだ。今年10月現在の会員数は645人で、増加の見込みだという。しかし、女性会員が少ないという課題がある。 働くから元気に 22年12月に入会した青木さん(74)と23年6月に入会した工藤さん(65)は、それぞれ吉沼と栗原の地域交流センターの清掃業務を行う同センターの女性会員で、週に2回、1日3時間勤務している。青木さんは、同センター会員だった夫が亡くなり、外で働きたいと考え、友人の紹介で入会した。「家にいてもテレビを見ているだけだから。あそこ(交流センター)で働いているよと言うと、いろんな人が見に来たり声を掛けたりしてくれる。帰りにご飯を食べて行きなよ、なんてこともある。みんな気にしてくれ、優しくしてもらい感謝している」と笑顔で話す。働き出してから親戚や近所の友達などとの交流が増え、毎日充実しているという。 工藤さんは3年間両親の介護をしていたが、両親が施設に入所したのを機に同センターに入会した。弁当屋で働いていた経歴があり、調理補助の仕事を希望していたが、今は紹介を受けた清掃の仕事にやりがいを感じている。「入会してすぐに仕事の紹介があった。最初は1人での仕事と聞き、心細く思っていたが、80代の先輩が丁寧にやり方を教えてくれた。掃除のやり方も勉強になり、家ももっときれいにしようと思うようになった。とりあえず85歳が目標。できるだけ長く働きたい」と言う。 交流センターでその日に入っているイベントをチェックし、効率よく全体を掃除する方法を考える。「交流センターに来た人にきれいだと思ってもらえたらうれしい」と話す工藤さん。2人とも掃除をする場所は決められているが、それ以外にも窓のサッシやガラスなど、女性の目線で気が付いた箇所を掃除している。 同センターの小杉晴彦理事長は「女性は仕事が丁寧でよく気が付き助かっている。元気に過ごすにはキョウイク(今日行く)とキョウヨウ(今日用)が大事。今日も行くところがある、今日も用事があるというふうにして、働いた方が緊張感もあり元気でいられる。元気だから働くのではなく、働くから元気でいられるのでは」と話す。 同センターの土田禎太郎理事は「女性向きの仕事があるということがうまく宣伝できていない。昨年度からはコロナ禍で2年間活動休止していた就業開拓員会が復活した。市役所を通してつくば市内の工業団地とつながりを作り、会員に適した新しい就業先を開拓しようと動き始めている。その中で女性の仕事もさらに開拓できれば」と話し、新たな就業先の発掘に意欲を見せる。 今年度の会員数は増加の見込みだが、平均年齢は上がっている。2021年度からの高年齢者雇用安定法の改正で、事業主は65歳までの雇用の確保の義務と、就労希望者の70歳までの雇用の努力義務を負うことになった。そのためシルバー人材センターへの入会申し込み者の年齢が引き上がり、平均年齢が72歳から74歳に上昇した。剪定、草刈り業務は、作業能率が下がったことや、受注の時期が集中することから、地域によっては対応できないエリアも出てきたという。(田中めぐみ) ◆女性限定の入会説明会は、15日(水)午後1時半から午後4時(受付は午後1時から)、つくば市谷田部4711、市民ホールやたべ2階会議室で。対象は満60歳以上の女性。問い合わせは電話029-879-5199(同センター)。

廃棄するウナギの頭をペットフードに つくばの飲食店主

つくば市竹園のうなぎ店「とよ長」(豊嶋英之代表)が、廃棄するウナギの頭を犬猫用のペットフードに生まれ変わらせ、食品ロスを減らす取り組みをしている。半年ほど前から店頭やホームページで販売を始めた犬用おやつは、これまでに全国から1000個以上の注文があった。10月からは新たに猫用おやつを商品化した。 考案者で同店代表の豊嶋さん(46)は「以前から、捨ててしまうウナギの頭をどうにか活用できないかと思っていた」と開発の経緯を話す。豊嶋さんは、霞ケ浦の湖岸沿いでウナギなど川魚を加工し、つくだ煮などの名産品を作っていた老舗「豊嶋商店」(かすみがうら市、現在は閉店)の3代目に当たる。同商店は1952年創業。創業以来のタレと先代の技術を受け継いで、2010年7月、「とよ長」をオープンさせた。 昨年、実家で片目の見えない猫を保護したことをきっかけに犬猫の保護活動を始め、現在、保護犬2匹と保護猫5匹を飼っている。食品ロスを無くし、保護した犬と猫に健康に良い物を食べさせたいという思いから、ウナギを使ったペットフードを考案、商品化した。 犬用のおやつ「UNA DOG(ウナ・ドッグ)」はウナギの頭を高温で蒸し上げて骨を柔らかくし、さらに80度で乾燥させて作る。10月17日に発売したばかりの猫用おやつ「鰻猫Una Neko」は食事から水分を取る猫の特性に合わせてウエットに仕上げ、風味を付けるためにカツオ節であえた。どちらも100パーセント国産ウナギを使用し、店で手作りしている。売れ行きが良く店で出るウナギの頭が足りない時は、静岡県沼津市から頭を仕入れて作ることもあるという。 「食いつきがよく、食べさせると毛つやが良くなる」と話す豊嶋さん。犬の管理栄養士の資格も取った。ウナギの頭はビタミンやミネラルのバランスが良く、魚特有の良質な脂質、タンパク質を含んでおり、人間も食べられるペットフードだと太鼓判を押す。将来はペットフードと売り上げの一部を、犬猫の保護活動団体に寄付することを考えていると言い、「保護されるような不幸な犬猫を助けたい」と思いを語る。(田中めぐみ) ◆犬用おやつ「UNA DOG」(ドライタイプのドッグフード)は70グラム入り1400円(消費税込)、猫用おやつ「鰻猫Una Neko」(ウエットタイプのキャットフード)は30グラム入り5パックで2530円(同)。店頭かホームページから購入できる。

れんこん焼酎「土浦恋婚」 1日デビュー

土浦市特産のレンコンを使ったれんこん焼酎「土浦恋婚(れんこん)」が1日、新しく発売され、同市役所でお披露目となった。土浦、つくば、牛久、かすみがうら市、阿見町の量販店や酒販売店などで購入できる。今年で3年目の製造となる土浦のソバを原料にしたそば焼酎「土浦小町」も同時発売となった。 安藤真理子市長は「この日をずっと楽しみにしていた。(『土浦恋婚』は)ほわっと香ってすっきりと甘くおいしい。土浦の新たな名産品として『土浦小町』とセットにし、いろんなところにお土産として持って行きたい」と広報活動に意欲を見せた。 「土浦恋婚」と「土浦小町」を製造している水戸市の醸造会社、明利(めいり)酒類の加藤高蔵社長は「れんこん焼酎は全国で3つか4つの蔵元が作っているが、土浦は日本一のレンコンの産地なのでおいしいものができた」と出来上がりに太鼓判。同社の川口幹夫次長によると、れんこん焼酎「土浦恋婚」はそばや芋、麦の焼酎とは異なる甘い香りが特徴で、上品で繊細な飲み口だという。 れんこん焼酎は今年5月から仕込みを始めた。原材料はJA水郷つくばから仕入れた同市産のレンコン800キロを使用、720ミリリットル入りを約1900本製造した。レンコンは蒸してから刻み、常圧蒸留方式で蒸留、2週間発酵させて作り上げた。レンコンと米麹の割合やレンコンの蒸し時間など試行錯誤を重ね、すっきりとしたのどごしに仕上げたという。 レンコン生産量日本一の県内で、土浦市は最大の生産量を誇る。さらなる知名度向上と消費拡大を目指し、市が焼酎への加工を企画。恋愛の「恋」と結婚の「婚」を合わせ、レンコンに掛けた商品名には、縁起物として祝いのシーンなどで活用してほしいという願いを込めた。同市農林水産課は「出会いの場や、結婚式などで女性の方にぜひ飲んでほしい」とPRする。 2021年に発売したそば焼酎「土浦小町」は、土浦産のブランド品種「常陸秋そば」を使用したもので、毎年完売するほど人気が高いという。(田中めぐみ) ◆れんこん焼酎「土浦恋婚」は720ミリリットルで1980円(税込)。そば焼酎「土浦小町」は720ミリリットルで1500円(税込)。いずれもアルコール分は25パーセント。

つくばの伝説の謎を解き明かす 舞台「金色姫伝説旅行記」上演

11月3日から3日間 つくば市に伝わる「金色姫(こんじきひめ)伝説」などをテーマに、ドラマ映像や朗読、ダンス、歌などを上演する舞台「金色姫伝説旅行記つくばシルクロード2023」が11月3日から5日まで3日間、つくば市神郡、大谷石造りの「石蔵Shiten」で上演される。構成、演出は市内在住の脚本家、冠木新市さん(71)が手掛ける。主催は市民団体「スマイルアップ推進委員会」(冠木代表)。 舞台は、つくば市神郡の蚕影山(こかげさん)神社に養蚕信仰の一つとして伝わる「金色姫伝説」と、「常陸国のうつろ舟」伝承がテーマ。金色姫伝説は5世紀後半、舟で流れ着いた日本に養蚕技術を伝えたとされる天竺(インド)の金色姫の伝説。うつろ舟奇談は、江戸時代、茨城県の海岸にUFO(未確認飛行物体)のような鉄でできた丸い形の舟が漂着し、中に異国の女性が乗っていたという伝承で、滝沢馬琴の「兎園小説」など、複数の古文書に記されている。 冠木さんは、二つの伝説から着想を得てストーリーを作った。金色姫とうつろ舟に乗っていた女性は共に異国の女性であることなどから、舞台の中で二つの伝説がどのように結びつくのか、また滝沢馬琴が「南総里見八犬伝」に金色姫をどのように描いているかを独自に解釈し、その謎を解き明かしていく。 出演するのは舞踊家でスリランカ出身のナディーシャ・ニルミニさん(45)、つくば市出身のダンサー楓さん(16)、シンガーソングライターの宮田まゆみさんら。楓さんはつくば市出身の高校2年生。5歳からバイオリンを習い始め2020年からストリートダンスを始めた。舞台第3章の「瓦版・うつろ舟事件」で踊るダンスの振り付けを自ら行った。「物語と曲をマッチさせた振りを作るのに苦労した。最初曲に合わせて振り付けを作ったが、冠木さんからもっと自由に踊っていいと言われ、曲調を超えるようなダンスにした」と話す。 ほかに牛久市出身のソプラノ歌手、大川晴加さんが5日に出演し「筑波恋古道」などを歌う。筑波恋古道は冠木さんが作詞し、つくばの地名を散りばめた曲で、大川さんが歌うことで壮大な印象になるという。 衣装を担当する渡辺和子さんは「金色姫の優雅な姫らしい雰囲気を出そうとこだわった。ニルミニさんの美しい自前の衣装を見て、全体的に豪華で派手な衣装になった」と話す。渡辺さんは茨城弁で語り部を務める。 冠木さんは舞台上で、ほぼ一直線につながる洞峰公園からつくばセンタービル、北条のつくば古道入口、蚕影神社、臼井の坂道、筑波山を、養蚕信仰の伝説にちなんで「つくばシルクロード」と名付ける。「舞踊と音楽で、眠っているつくばの歴史と文化を呼び起こしたい」とし「新しい『金色姫伝説』を世界にアピールしたい。若い人にぜひ見に来てほしい」と呼び掛ける。(田中めぐみ) ◆公演「つくつくつくばの七不思議シアター『金色姫伝説旅行記 つくばシルクロード2023』」は11月3日(金)、4日(土)、5日(日)の3日間開催。いずれも開場は正午、開演は午後0時30分。入場料は2000円(消費税込)。定員は各回30人(要予約)。問い合わせは電話090-5579-5726(冠木さん)。

観覧席チケットが高額転売 土浦全国花火競技大会

定価の3倍以上も 11月4日に開催される第92回土浦全国花火競技大会の有料観覧席チケットが、インターネット上で高額転売されている。転売されているのはネット上のオークションサイトや不用品販売サイト、その他チケット専用の売買サービスサイトなどで、オークションサイトでは定価2万4000円の桟敷席に39件の入札があり、2.5倍の6万1000円で落札されたケースもあった。 28日時点でも、C席のイス2席で定価6000円のチケットが3.8倍の2万3000円、B席のイス2席で定価8000円が1.8倍の1万4500円など、定価より高額での販売が確認されている。SNS上でやりとりし、売り買いするケースもあり、主催者の大会実行委員会事務局が重ねて注意喚起している。 一般の有料観覧席は事前申し込みによる抽選販売で、申し込み期間は9月1日から30日までだった。当選結果は10月4日に発表され、チケットの配送は10月中旬から順次郵送で行われている。 県外に住む友人と抽選の申し込みをした牛久市の女性は「5人で見ようと、それぞれイス席2席と3席を2人で申し込んだが、自分だけ当選して友人ははずれてしまった。3人分が足らず、再販売はないかとインターネットで検索したら、定価をはるかに超える高額なチケットが出てきて驚いた」と困惑する。 大会実行委員会事務局の土浦市商工観光課は「抽選に漏れた皆さんが(高額転売を)残念に思われることは、もちろん主催者としても大変残念に感じている」とし、「本大会は、国内最高峰の競技花火の大会であるという自負があり、本当に花火を見たい方にチケットを購入していただきたいという思いから、利益を得ることを目的に購入される方には強い憤りを感じている」と吐露する。 人気の入場券や観覧券などのチケット類を転売目的で購入し、法外な値段で売るいわゆる「ダフ屋」行為は法律で禁止されている。2019年6月から「チケット不正転売禁止法」が施行された。 さくらパートナーズ法律事務所(土浦市文京町)の中島隆一弁護士は、転売されているチケットが同法で定義されている「特定興行入場券」に該当し、他の要件も満たせば、規制の対象になり得ると指摘する。中島弁護士は「20年8月には人気アイドルグループのコンサートチケットを不正に転売した者に対し、裁判所が、懲役1年6カ月(執行猶予3年)、罰金30万円等の有罪判決を下した事例もある。法も内容を変えながら進化していくものであり、以前大丈夫だったから今回も大丈夫、という安易な考えを持つべきではない。チケット本来の目的に沿って、本当に必要な人にチケットを利用してもらうことが主催者の願いであり、その願いに思いを巡らす必要がある」と警告する。 大会実行委員会では、高額転売が確認された場合、販売サイトに連絡し掲載の削除依頼を行っている。また、チケット購入時の注意事項やチケットへの注意書きに転売禁止を記載し、チケット購入者に対して注意事項文を送付、ホームページでも転売禁止文を掲載するなど、重ねての注意喚起を行っているが、高額転売がなくならないのが実情だ。 市商工観光課は、チケットの高額転売は、全国の花火大会で長年の懸案事項であり、解決策を模索しているという。転売できないようにするため、顔認証システムや電子チケットなども検討しているが、いずれも様々な課題があり導入には至っていない。今後、チケット会社や他の花火大会と連携し、有効な手立てを研究していくとしている。 同大会の一般桟敷席は1人1マスまで、イス席は1人4席までの申し込みとなっており、桟敷席とイス席を両方申し込むことはできない。また、チケット当選後のキャンセルはできない。チケットの金額は、4人桟敷席が2万4000円、2人桟敷席が1万2000円、イス席はA席が1席5000円、B席が1席4000円、C席が1席3000円となっている。(田中めぐみ)

ボランティアで荒れ地を整備 河川敷が憩いの広場に【桜川と共に】10

つくば市栗原、桜川に架かる桜橋上流の河川敷に芝生の広場がある。県有地で広さは約3ヘクタール。筑波山や宝篋山を見渡せ、桜川の自然を満喫できる憩いの場だ。週末には市内外からピクニックやキャンプに訪れた人々が思い思いにのどかな環境を楽しんでいる。 月1回 18年間草刈りやごみ拾い 憩いの広場は、住民団体「桜川ふるさと自然再生の会」(宮本健次会長、会員11人)が、毎月1回、ボランティアで草刈りやごみ拾いなどの整備を行っている。会員は地元住民や桜川漁協組合員など。元は農地だったが、竹林や雑木林となり、不法投棄のごみで荒れていた場所だった。 元会長の宮本正夫さん(故人)がその様子を見て心を痛め、子どもの頃のように桜川に親しめる場をよみがえらせたいと、2005年7月に同会を立ち上げた。 当初は30人の会員で整備をスタートした。ごみの搬出や竹林の伐採を行い、07年には市の助成金を受け、重機を借りて整地を進めた。つくばブランドの芝生を張って、荒地は美しく生まれ変わり、以来18年間、月1回の整備を続けて広場の景観を維持している。21年からは県土木事務所から河川愛護団体の認定を受け、草刈り機の燃料や飲料水といった整備作業に必要な物品の現物支給を受けて活動するようになった。 原風景よみがえらせたい 会員の大里茂則さんは「子どもの頃は水辺の草を刈って家畜のえさにしたり、川から砂利を取ったりと川に行くことが多かった。県外に働きに出て、戻ってきたら全く様子が変わって川に入れなくなっていた」と話す。かつては川に行く用事があったので、川への道が自然と手入れされていた。しかし川に行く人が少なくなって、やぶになる所が多くなっていった。会員は皆、親しめる桜川の原風景をよみがえらせ、多くの人に親しんでほしいという思いから活動を続けているという。 「自分たちが草刈りをやらなければ、若い人はやらないんじゃないか」と話すのは前会長の楢戸和夫さんだ。現在、最高齢の会員は83歳。現会長の宮本健次さん(70)は「会員が減少し、高齢化している。30人いた会員が今は11人となった。ボランティアを募集している」と言う。 週末、広場を訪れていたスリランカ出身で市内在住のテンナコーン・スメダさんは、ほぼ毎週末、同郷の仲間たちでこの場に集まって交流をしている。「とても良い所で気に入っている。今日はお昼から子どもたちも入れて20人くらいで集まろうと思っている。広いので子どもが遊ぶのにいい」。市内から来たソロキャンパーの男性は「お気に入りの場所で、時々来ている。あまり人に教えたくない所かも」。週末の広場には市内外のナンバーの車が停まり、テントを張ってコーヒーを入れたり、風景を眺めたりして静かに過ごす人々が見られた。 芝生の広場は30日から来年3月15日まで、桜川の川幅を広げる工事のため一般の利用ができなくなる。工事は、国の「防災・減災、国土強じん化のための5カ年加速化対策」事業を活用して実施される河川掘削工事で、工期は今年8月から来年3月まで。土浦市田土部とつくば市栗原の桜川で工事が行われている。川の流れをよくするため1万平方メートルにわたって掘削するもので、事業費は約6000万円。(田中めぐみ) ◆桜川ふるさと自然再生の会の次回草刈り作業日は11月18日(土)。参加申し込み、問い合わせは出電話029-857-6147(宮本健次会長)へ。 ➡「桜川と共に」の過去記事はこちら

わんわんランド貸し切りで学園祭 28日、つくば国際ペット専門学校

つくば国際ペット専門学校(つくば市沼田)が、隣接する犬のテーマパーク「つくばわんわんランド」を1日貸し切りにして28日、学園祭「第14回犬友祭(けんゆうさい)」を開催する。犬の訓練士や美容師、動物看護師などを目指す学生たちがさまざまな企画を用意し、勉強の成果を披露する。愛犬と一緒に障害物競走「アジリティー」に参加したり、わんわんランドの犬と触れ合ったりすることもできる。 ペットケア総合コースは、毎年来園者から好評を博しているドッグレースを企画。同校の学生らが勉強のために毎日共に過ごしている「パートナードッグ」の中から選ばれた約15匹が出場し、3レースを行う。スイートポテトやさつまいもチップスなど愛犬のおやつを手作り体験する企画も開催する。 ドッグトリマーコースは、愛犬用のチョーカー(首飾り)やキーホルダーなどのオリジナルアクセサリーを手作りできる「ワンドメイド」や、さまざまなテーマのフォトスポットを企画。手作りしたアクセサリーを付けて、愛犬と写真を撮ることができる。 愛玩動物看護師コースと動物衛生看護コースは、愛犬の心拍数や呼吸数、体脂肪率を計測し、健康チェックを行う。 ドッグトレーナーコースはパートナードッグと共にドッグダンス、団体訓練、アジリティーの3部構成で息の合ったパフォーマンスを行う。 また1年生や3年生の12チームが模擬店を出店し、グルメコンテスト「OKAWRI」を開催。フォトスタジオのアンシャンテナチュレ(つくば市花室)が協賛し、記念フォト用のブースも出展する。犬友祭初となるバンドのライブコンサートも催される。 学園祭実行委員長でペットケア総合コース2年の沼田美里さんは「人も犬も楽しんでいただけるイベントをつくれるよう全校生徒で頑張ります。皆様のご来園をお待ちしております」と呼び掛ける。 同校は今年4月、ジャパンケネルクラブ主催のトリミング競技大会で優秀養成機関賞を受賞。昨年の犬友祭は、好天の下2000人以上が来場し、愛犬と一緒にイベントを楽しむ親子連れが多く見られた。(田中めぐみ) ◆犬友祭は28日(土)午前10時から午後3時半(入園は午後2時30分まで)、筑波山麓のつくば市沼田579、つくばわんわんランドで。犬友祭時の入園料は大人200円、子ども100円。

お薦めの地元食品味わって 筑波銀行が「駅前マルシェ」初開催 22日

筑波銀行(本店土浦市、生田雅彦頭取)お薦めの県内各地の加工食品や地元食材を一堂に紹介し販売する「つくば駅前マルシェ」が22日、つくば駅前の同市吾妻、つくばセンター広場で開催される。つくばや土浦市などの食品加工会社や飲食店など計20店が出店する。同行がマルシェを主催するのは初めて。 マルシェは、同行が11月8日につくばカピオ(同市竹園)で開催する商談会「2023ビジネス交流商談会+SDGs」のプレイベントとなる。商談会でブース出展する企業や、11月9日以降のオンライン商談会に参加する企業が、一般向けに様々な食品を販売する。 商談会の食部門に出展する企業などから「その場で調理した出来たての食品を提供したい」「地元の方々に自慢の商品を味わってほしい」という要望に応えて企画した。商談会を開催する銀行が一般向けのプレイベントを開催するのは珍しく、同行独自の取り組みだという。 つくば市からは5店が出店し、ハム、コーヒー、カレー、牛タンなどを販売する。土浦市からは2店が出店し、ラスクやレンコンなどを販売する。 筑波銀行の担当者は「地域の皆さま向けの一般物販会。お薦めする地元食材や食品が県内各地から集合する。ぜひご来場いただき、ご賞味ください」と呼び掛ける。 11月8日の交流商談会は、栃木銀行(黒木淳之介頭取)、東和銀行(江原洋頭取)との北関東広域連携での開催で、異業種交流によるビジネス機会の創出を目的としている。(田中めぐみ) ◆つくば駅前マルシェは22日(日)午前11時から午後5時まで、つくば市吾妻1-10-1、つくばセンター広場、ペデストリアンデッキで開催。 ◆マルシェに出店するのは▽らすく工房 美・Sekiyama(土浦/販売食品はラスク)▽マーケット・フィールド・インターナショナル(常総/弁当、芋チップ、プリン)▽湊屋味噌醸造所(桜川/こうじ味噌、ひしお)▽筑波ハム(つくば/ハム、ベーコン、ソーセージ、乳製品)▽就労支援施設ASHITAE-LAB(つくば/コーヒー、雑貨、野菜、花)▽Ryu’s Kitchen MINT TREE(龍ケ崎/龍ケ崎コロッケ、タコライス)▽アオイ(つくば/炭火焼だんご)▽インドレストランガンズ(つくば/インドカレー)▽サザン珈琲(常陸大宮/コーヒー)▽モッツバー高の家つくば本店(つくば/牛タン焼、せせり焼ほか)▽ヨネビシ醤油(常陸太田/二度仕込み木桶蔵醤油)▽つかもと(龍ケ崎/甘納豆)▽木内酒造(那珂/日本酒、クラフトビール、ウイスキー)▽さしま茶の里 のぐち園本店(坂東/さしま茶、和紅茶、ほうじ茶)▽斎藤商店(北茨城/柳タコ)▽NIJC(栃木県鹿沼市/フリーズドライフルーツ、オイル)▽牛久醸造場(牛久/クラフトビール、ワイン)▽HAS-LAB(土浦/レンコン、レンコンパウダー)▽高橋肉店(龍ケ崎/龍ケ崎コロッケ、プリン)▽NPO歩実(筑西/アイスクリーム、食用花)

産卵床を造成 アユを呼び戻したい【桜川と共に】9

1990年代にアユがよく捕れていたという桜川。近年少なくなってしまったアユを呼び戻そうと、9月末、つくば市栗原の桜川で、重機を使って川底を耕す作業が行われた。川底にある直径1センチから2センチの小石や砂利に付いた古い藻類や泥をはがし、餌となる新しい藻類を定着させて、アユの産卵床を作るのが目的だ。9月下旬から11月ごろがアユの産卵期となるため、桜川漁協(鈴木清次組合長)が年に1度、この時期に産卵床の造成作業を行っている。 朝9時、漁協理事の酒井康男さん(86)が油圧ショベルを運転して広場から桜川に乗り入れ、1時間半ほどかけて川底を掘り起こした。この日の水深は30センチから50センチ程度。小倉さんと共に、鈴木組合長や理事の松田七郎さん、組合事務担当の小神野一巳さんが川底の耕うんの様子を見守った。 河床を耕したこの日、桜川の清掃や水質浄化などに取り組む「桜川多面的機能活動組織」が、生態系の維持、保全などを目的に魚類モニタリング調査を実施、1時間ほど投網を打ち、オイカワ、モロコ、ニゴイなどが捕れた。約40匹のうち、8割ほどがオイカワだったが、体長13センチの小さいアユ2匹も入った。耕うん後の今月7日に行われたモニタリング調査では、1時間の投網でアユ18匹、オイカワ114匹そしてボラ15匹が捕れ、アユの数が明らかに増えた。 漁協理事の小倉之一さんは「昔は三本爪の鋤(すき)を使って手作業で川底を耕していた。耕すとアユが増えるのは経験から確か」と話す。「昔はアユがたくさんいたが、今は減ってしまった。川にアユを呼び戻したい」と組合員ら。しかし、桜川にアユがいることが分かるとアユ目当ての遊漁者が増え、さらに減ってしまうのではないかとの危惧もあるという。 霞ケ浦から上ってくる陸封型 アユは年魚で、寿命は1年。普通は海で生活し、その後川に上ってくる回遊型の魚だが、桜川のアユは海には出ず、霞ケ浦から上ってくる陸封型だ。秋に川底の砂礫に卵を産むと10日から14日前後でふ化し、ふ化仔魚は1日も経たず霞ヶ浦に下る。冬は霞ヶ浦で過ごし、春から夏にかけて遡上してくる。 県霞ケ浦北浦水産事務所によると、桜川のアユ漁獲量について統計データはないが、1990年代から2000年代までは、遊漁者による釣りや漁業者による投網で漁獲されていた。しかし、近年は姿を見ない年が続いてきた。 昔と比べると少ないものの、今年になり再び投網に入るようになった。 霞ケ浦・北浦では、1992年以降に定置網(張網)などに入るアユが急増。多く捕れる状況は2000年代まで続いたが、現在は極めて少なくなったという。国の統計(漁業・養殖業生産統計年報)によれば、1999年に19トン(霞ケ浦18トン、北浦1トン)、2000年に12トン(霞ケ浦9トン、北浦3トン)、01年に3トン(霞ケ浦3トン、北浦0トン)で、02年以降は、統計に表れていない。最も漁獲量が多かったころの霞ケ浦・北浦では、築地市場や地元ホテルなどに鮮魚出荷したり、甘露煮などに加工したりしていた。桜川では自家消費のみだ。 桜川のアユの食性については、詳しい調査が行われていない。しかし、同じ霞ケ浦流入河川の恋瀬川で1996年に行われた調査では、アユが藻類をはむ行動や「はみあと」が観察されており、夏から秋にかけての餌は藻類主体であることが分かっているという。桜川のアユの「なわばり」行動については不明だが、当時、餌釣りが行われていたことから「なわばり」性は低いと考えられている。(田中めぐみ) ➡桜川と共にの過去記事はこちら

子どもたちがお金とものの大切さ学ぶ つくばリサイクルマーケット

地域で開催されるフリーマーケットなど蚤(のみ)の市を活用して、子どもたちに経済活動を知る体験をさせたいと考える親が増えている。子どもたちは、10円から数百円といった価格帯の商品を売ったり買ったりし、楽しみながらお金のやり取りをすることで、物の価値や、コミュニケーションの仕方、お金の使い方を学んでいる。 24日、つくばリサイクルマーケットがつくば市吾妻の中央公園水の広場で開催され、牛久市から親子で出店した中学3年の荘司愛衣さん(15)がゲームキャラクターのトレーディングカードを販売した。朝10時、開店と同時に小学生や幼児が次々と荘司さんの店に来店した。 つくば市内に住む小学5年の男子児童2人は、今年5月の開催時に初めて同リサイクルマーケットを訪れ、今回は2回目の来訪。自分のお小遣いで好きなものを買いたいと、会場を回り、カードに目を付けた。「見せてもらってもいいですか」と声を掛け、好みのカードを数枚選んでいく。カードの値段は1枚10円から50円。荘司さんが考えて決めた。「こういうカードもあります。おまけも付けられますよ」と接客し、「値下げもいいですよ」と価格交渉にも応じる。 買い物が終わると互いに「ありがとうございました」とあいさつ。小学生もよい買い物ができたと満足げだ。自分の財布を持ち親に付き添われて訪れる幼児もおり、荘司さんの店には最後まで子どもたちの客足が途絶えることがなかった。カードは50枚以上が売れ、約1600円の売り上げとなった。荘司さんは「カードを集めて遊んでいたが、遊ぶ時間が無くなり、やらなくなったので売ろうと思った。いろんなお客さんと話せてよかった。次回も出店したい」と話した。 土浦市から参加した20代の女性は、ゲームセンターのクレーンゲームで獲得した景品のぬいぐるみなど約10点を販売した。1つ数百円ほどに値段を付けた30センチほどのぬいぐるみは幼児に人気で、開店1時間で売り切れた。「初めての出店。不用品がたまったので売りに来た。同じ子が3回も買いに来てきてくれてかわいい。また不用品がたまったら参加したい」と話す。 小学生の子どもを連れてきた親は「何も言わなくても買う時に自然とあいさつや交渉ができていて普段と違ってびっくり。よい勉強になったと思う。こういう場を利用して礼儀やコミュニケーションを学ばせたい」と話す。 「つくばリサイクルマーケット」は使わなくなったものをリサイクルすることを目的としたマーケットで、市民団体「リサイクルを推進する会」(高野正子代表)が主催している。3月、5月、9月、11月の年4回開催。1994年から始まり、29年間市民に親しまれている。24日は127回目で、市内や近隣の市から約160人が82区画に出店し、不要になった衣料品や靴、おもちゃ、本、食器、雑貨などを販売、多くの買い物客でにぎわった。「つくばのごみを宝の山に!」を合言葉にした長年の活動が評価され、今年2月にはつくば市が開催したつくばSDGsフォーラムで「つくばSDGsアワード大賞」を受賞し表彰された。(田中めぐみ) ◆次回11月26日(日)のリサイクルマーケットは午前10時から午後1時まで。雨天中止。出店希望者は「つくばリサイクルマーケット」ホームページから申し込みが必要。参加費は1区画(1.8メートル×1.8メートル)500円。

ツェッペリン伯号の模型など展示 地域再発見を イオン土浦で16日から

子どもたちに地域の話題を紹介し、空への夢を持ってほしいと、「飛行船と空飛ぶ人たち」と題した催しが16日からイオンモール土浦(同市上高津)で開かれる。20世紀初頭、土浦に飛来した世界最大級の飛行船、ツェッペリン伯号の模型2機が展示されるほか、筑波大の学生サークルが製作した人力飛行機が展示される予定だ。協力は「土浦ツェッペリン倶楽部」、「つくば鳥人間の会」。18日まで。 会場はモール1階の「花火ひろば」。長さ約3メートルのツェッペリン伯号の模型2機が展示される。実物の約80分の1の大きさで、1機は今年2月に完成した新しい模型だという。時間帯によっては土浦ツェッペリン倶楽部の会員が来場し、展示解説を行う。また、紙芝居「ツェッペリンが舞い降りた日」の実演が1日2回、午後1時からと午後3時から行われる。 人力飛行機は、筑波大学のサークル「つくば鳥人間の会」が作ったもので、人力飛行機の練習用コックピットやプロペラ、2005年から歴代の人力飛行機の機体図面も展示する。子ども向けの体験イベントとして、各日先着100人限定で、ストローを使って不思議な形の紙飛行機を作る工作体験が行われる。 30万人押し寄せ、流行語に 巨大なドイツの飛行船、ツェッペリン伯号が土浦に飛来したのは1929年(昭和4年)8月のこと。世界一周の途中に霞ケ浦海軍航空隊(阿見町)の霞ケ浦飛行場に寄港し、5日間停泊した。乗員、乗客は料亭「霞月楼」(土浦市中央)で歓迎を受けた。当時最先端の乗り物だった236.6メートルの飛行船を一目見ようと30万人の観衆が押し寄せたと伝えられ、「君はツェッペリンを見たか!」が当時の流行語となったと言われている。 イオンモール土浦では「土浦と茨城」の話題を紹介し、地元を再発見してほしいと「知るをたのしく。まなびの」と題したイベントを毎月実施している。「土浦ツェッペリン倶楽部」の堀越雄二さんは「一般の方に土浦にツェッペリン伯号が飛来したという大きな歴史があることを知って誇りに思ってもらいたい。子どもたちも模型と一緒に写真を撮って楽しんでもらい、町おこしの起爆剤になれば」と来場を呼び掛ける。(田中めぐみ) ◆イベント「飛行船と空飛ぶ人たち」はイオンモール土浦1階、花火のひろばで、16日(土)から18日(月・祝)の3日間開催。開催時間は午前11時から午後5時まで(受付は午後4時半まで)。

現役教師にエール 元高校教員が授業づくりの「勘ドコロ」出版

つくば市在住の元高校教師で、NEWSつくばコラムニストの片岡英明さん(72)が、現役教師のために授業や学級活動のヒントをまとめた電子書籍「若手教師の勘ドコロー基礎力を磨く授業づくり・HR(ホームルーム)づくり、教えます」(22世紀アート、税込1000円)をこのほど出版した。 片岡さんが1982年から2021年までに書きためた教育に関する論文やアイデアを収録している。学校現場で使える指導の実践例を多数挙げ、解説している。片岡さんは「悩みは宝。悩んだことや失敗に全ての問題を解決するためのヒントがある」と若手教師に向けてエールを送る。 絶版となった前著「若い教師のための授業・HRづくり」(2016年、三友社出版)に、17年から21年発表の論文6本を加え、新たに電子書籍化した。長年の高校教師の経験から得た、生徒との関係をつくる対話法や授業のコツなど、明文化されにくい教師の仕事の要所、いわゆる「勘ドコロ」をまとめている。 片岡さんは茨城大学大学院農学研究科を修了後、私立霞ケ浦高校(阿見町)で英語教師として39年勤め、2016年に退職した。生徒との対話を中心にした指導を重視する。生徒とのかかわり方は「渚(なぎさ)を歩くイメージ」。押しつけや説得ではなく、遠くから生徒を冷静に見る、中に入り波を起こす、というスタイルだ。 「上から見下ろす評論家教師ではなく、子どもが遊んでいる水に入ってかき回してしまう教師でもない。時に大きな波をかぶることもある」と笑う片岡さん。「それでも生徒との対話が教師の根本的なエネルギーになる。意見を押し付けるのではなく、『まいったなあ』『すごいな』といったゆるい言葉の研究が大切」と話す。同書にはゆるい言葉を使った生徒との対話例も掲載した。 英語の教科指導においては、短くやさしい言葉で文法を解説する「ひとくち英文法」を考案し、その試みについても同書に再録した。「自分が英語を勉強し始めた時、なぜ“do”が“does”になるのだろうと悩んで分からなかったことから、生徒に文法を分かりやすく伝えるためにはどうすればよいかを突き詰めて考えた」という。 教員を取り巻く現状を憂える。なり手が減少していることについては、学校側が指導に自信と責任を持つことが必要と語る。「人間が人間を教えているのだから指導には失敗があって当たり前。失敗があっても長い目で見て、良い方に指導しようとしていることは分かってくれと、学校側が自信を持てば、教育にチャレンジしてみようという若者が増えるのでは」。これから教員を志す学生や、現役の教員への応援メッセージとして同書を届けたい思いがある。(田中めぐみ) ◆「若手教師の勘ドコロ─基礎力を磨く授業づくり・HRづくり、教えます」(22世紀アート)は476ページ、税込み1000円。電子書籍販売サービスAmazon Kindle(アマゾンキンドル)で8月30日から発売。

筑波技術大の多田伊吹さん 2025デフリンピックのエンブレムを制作

ろう者のためのオリンピック、デフリンピックが2025年に東京で初めて開催される。大会のエンブレムに、筑波技術大学の学生、多田伊吹さん考案のデザインが採用されることが決まった。大会エンブレムは、大会の気運醸成に活用するほか、大会時の盛り上げにも使用する予定だという。 採用が決定したエンブレムは手と花がモチーフ。聴覚障害者のコミュニケーションが手話で行われることから、多田さんはデザインを考え始めてすぐに手の形を思いついた。手を桜の花弁に見立てて、人々の繋がりの「輪」を表現し、コミュニティが「輪」のように繋がった先で新たな花が咲いてほしいという、未来への希望の思いを込めた。エンブレムにはデフリンピックの公式ロゴマークと同じ赤色、青色、黄色、緑色を用いており、この色はアジア太平洋、ヨーロッパ、全アメリカ、アフリカと4つの地域の連合を表現しているという。 エンブレムは、同大の学生が考案した案の中から投票で選ばれた。今月3日に東京都パラスポーツトレーニングセンター(調布市)で開催されたイベント「2025 年デフリンピック 大会エンブレムをえらぼう!」で3案が示され、中高生らが投票し、決定した。投票したのは都内に在住、在学の中高生65人。同大の学生からそれぞれのデザインの説明を聞き、参加者同士の意見交換を経て投票を行った。全日本ろうあ連盟理事長の石野富志三郎さんは「選手もこのエンブレムを見て、競技を頑張ろうという気持ちが湧き出てくるのではないかと非常に期待している」と述べた。同イベントには、21年のデフリンピックブラジル大会に出場した中野洸介選手(陸上競技・マラソン)と岩渕亜依選手(デフサッカー)も参加し、デフスポーツの魅力や2025 年のデフリンピックへの思いなどを語った。 投票イベントの参加者らからは「一筆書きができるところが素晴らしい」「手の指下のところが繋がりを表しているのが良い」「親指のところが花になっておりユニーク」「一目で手であることがわかり、幼稚園生など小さい子でも描きやすそうなデザイン」などと評価され、採用が決定した。 エンブレム制作は、全日本ろうあ連盟がきこえない人を制作の主役にしようと、筑波技術大学の学生に協力をあおぎ、同大学の総合デザイン学部に所属する1年生から4年生15人が今年5月から制作を開始した。完成した中から校内選考で5案を選んで、同連盟に提出。同連盟が制作要件に基づいた審査や商標など知的財産の事前調査を行い、さらに3案に絞り込んだという。 多田さんは、手の輪や花びらの形、色の配置など、細かい点の調整や修正等も含めて、完成まで約2週間かかったと話す。「(手の形を)どう表現するか、悩みに悩んで、やっとひらめいて作ったので、それを皆さんに選んでいただけたことがうれしい」と喜びを語る。 卒業後は都内の旅行会社に就職する予定。「旅行会社が大切にしていることは、人と人のつながり。私もエンブレムデザインに込めた思いと同様に、学んできたデザインの知恵を活かし、旅行を通して、お客様に喜びや感動などを贈りたい。2年後にデフリンピックが開催されるので、共に働く方やお客様に少しずつデフリンピックの話題を広めていくよう、自ら繋がりを深めていきたい」と夢を語る。 デフリンピックは、ろう者による国際スポーツ大会で、1924年にフランスのパリで第1回大会が始まって以来、4年に一度、夏季と冬季大会が開催されている。2025年は100周年の記念となる25回目の大会で、初の東京開催。会期は11月15日(土)から26日(水)まで。世界70~80カ国・地域から、約3000人の選手が出場する予定。(田中めぐみ)

高校生4人、課題解決型インターンシップに挑戦 企業のSDGsを研究

  高校生を対象とした「課題解決型インターンシップ」が今夏、関彰商事(本社筑西市・つくば市)で実施され、23日、つくば市二の宮のつくば本社で成果報告会が催された。インターン生として参加したのは土浦日大高校1年のマレク・ラワハ・マナミさん、下館一高1年の富田にこさん、同2年の内山ひかりさん、茗溪学園高校1年の設楽桃さんの4人。報告会では集計したSDGsに関するアンケート結果の報告が行われたほか、同社の SDGsの取り組みを紹介するパンフレットの構成案が披露された。 課題解決型インターンシップは一般的なインターンシップの就労体験とは異なり、インターン生自身がテーマを設定し、受け入れ先でプロジェクトに加わり研究活動を行う。インターン生4人はSDGsを研究テーマに選び、同社は学生への情報発信に課題を感じていたことからインターン生に向けて「中学生に向けたSDGsのパンフレットを作成する」という課題を提示した。 7月から8月にかけて社員らとミーティングを重ねながら、在籍する高校や卒業した中学校の生徒を対象に県内の様々な企業の認知度やSDGsへの意識に関するアンケートを実施。また同社のオフィスや店舗を見学し、どのようなSDGsの取り組みを行っているかを調査した。 成果報告会ではアンケート結果を分析してまとめたスライドを示し、中高生の意識について分かったことを関正樹社長や社員らの前で発表し、質問に答えた。読み手となる中学生の意識を踏まえて考えたパンフレット案も披露。同社のカーボンニュートラルやダイバーシティ、スポーツを通じた地域活性化の取り組みなどを分かりやすく記載し、親しみやすいよう設楽さんが描いたイラストを添えた。今後、案をもとに同社で完成版を作って印刷し、中学生に配布する予定だという。 今回のインターンシップは、4月に開催された教育イベント「成蹊教育フォーラムinつくば」に参加したマレクさんが、登壇した関社長に「海外大学への進学を考えており、自己の成長につながる課題解決型のインターンシップを受けるにはどうしたらよいか」と相談したことがきっかけで実現した。近隣の高校に声掛けを行い、3校から4人の生徒がインターン生として参加した。 大学で経済学を学びたいというマレクさんは「参加したみんな違っていろんなスキルがあって、協力し合うことができた。このような経験ができ、この経験を生かしていけたら」と参加の感想を述べた。内山さんは「これまで1人で活動することが多かったが、年齢関係なく他の人の意見を聞くことはいいなと思った。SDGsへの理解が深まった」と話し、他者との協働から得た学びについて強調した。 同社では今後も高校生を対象にしたインターンシップを続けていきたいとしている。関社長は「(今回の報告会のように)大人だけでなく誰でも自由に意見を言い合える場所が必要。会社のあるべき姿であり、こういう場が将来日常になっていくだろう」と話し、一人一人にインターンシップの修了証書を手渡した。(田中めぐみ)

川を次世代に託す 児童らフナの放流体験【桜川と共に】8

つくば市栗原の桜川沿いの広場に10日、市立栗原小学校(同市栗原)4年生児童59人が集まり、フナの稚魚40キロを放流した。桜川漁協(鈴木清次組合長)が種苗放流事業の一環として毎年行っている放流体験学習で、今年は同市内の栗原、栄、大曽根の3小学校と秀峰筑波義務教育学校を対象に各校40キロ、計160キロのフナの稚魚を放流する。 児童らはそれぞれのバケツに稚魚を入れて桜川に入ると、「冷たい」「気持ちいい」などと言いながら並び、鈴木組合長のかけ声に合わせて一斉に放流した。稚魚は群れになって泳いでいき、「かわいい」「元気だな」と声を上げながら見送るとしばらくフナを観察していた。 鈴木組合長は「フナは1匹だと小さく見える。川に入るとカワウやアメリカナマズ、ブラックバスなどたくさんの天敵がいるので群れになって泳いで大きく見せる。上から見ると黒い保護色になっており、下から見るとおなかは白いので空の色と同じに見える」とフナの生態や特徴について説明した。 また、「昔は川がプール代わり。今はプールがあるから幸せだよね。川にも遊びに来てほしいが、危険もあるので必ず大人と一緒に来てください。桜川にはたくさんごみがある。ごみを掃除し、下水も処理して水をきれいにしたい。逆水門(常陸川水門)を作ってからシジミが全くいなくなった。昔の桜川に戻したい」などと話した。児童らは真剣に聞き入っていた。 投網の技に児童ら歓声 放流体験の後は魚の漢字クイズが行われ、「鮒」や「鮎」「鯰」などの漢字のパネルが出されると、児童らは手を挙げて楽しそうに答えていた。クイズが終わると、新潟県出身で投網歴50年以上の組合員、佐藤孝男さん(73)が広場でしゃがむ児童らの頭上に投網を打ち、投網の技を見せた。網に捕まえられた児童らは歓声を上げていた。 児童からは「フナは何を食べますか」「桜川にはフナのほかにどんな魚がいますか」などの質問が上がり、組合員らが一つひとつ丁寧に答えていた。 瀧原奏(かなで)さん(10)は「楽しかった。組合長さんのお話を聞いて川にゴミがたくさんあると知った。自分たちが桜川を守らなければと思う」と話した。近野碧音(あおと)さん(9)は「川や魚が好き。いろんな生き物を増やせるようこれから桜川をきれいにしたい」と語った。 アユとオイカワの姿も この日、稚魚を放流したのと同じ時間、同じ場所で投網を打つ組合員がおり、アユとオイカワがかかった。オイカワは天ぷらにするとよいという。かかったアユを見て、組合員らは「昔はもっとたくさんのアユやシジミが捕れた」と思い出を語った。漁協組合員らは放流学習を通じて未来を次世代に託し、かつての桜川を取り戻すことを願っている。(田中めぐみ) ■これまでの【桜川と共に】記事はこちら

被爆者と広島の高校生が共同制作 8月4日から土浦で「原爆と人間展」

広島市の高校生が描いた原爆の絵や写真パネルを展示し、戦争の悲惨さと核兵器根絶を訴える「原爆と人間展」が、8月4日から土浦駅前、ウララビル5階の県県南生涯学習センターで催される。 同展は市民団体「土浦平和の会」が主催する。展示する絵は、広島市の高校生が被爆体験者らの証言をもとに描きあげたもの。この取り組みは1997年から行われ、昨年までに182点の絵が完成し、広島平和記念資料館が保存している。同展ではそれらの中から広島市立基町高校美術部の生徒が制作した絵の複製画40点と写真パネル40点を展示する。 土浦での展示は2005年から始まった。2021年はコロナ禍の影響で中止し、今年で18回目の開催となる。 「土浦平和の会」事務局長の近藤輝男さん(82)は「描かれた絵は、いずれも写真にも増して原爆の非人道性をリアルに描写している。被爆体験者が高齢化する中、原爆の実相を後世にどう伝えていくかが課題となっているが、被爆体験者と高校生の共同制作は次世代と描く原爆の絵として高く評価されている」と話す。 広島に原爆が投下されて78年目となる会期中の6日には、県南生涯学習センター5階の講座室で、ドキュメンタリー映画「封印された原爆報告書」と「声をあげる高校生たち」を上映する。また、土浦市が毎年広島市に派遣している平和使節団の中学生が、体験を通じて感じたことを報告する。 「封印された原爆報告書」は米国立公文書館に所蔵されている原爆被害の実態を調べた報告書がどのようなものであったか、戦後日本が被爆にどう向き合って来たのかに迫った2010年制作の作品。「声を上げる高校生たち」は、核兵器禁止条約への参加を求めて核兵器廃絶の署名活動に取り組む高校生を記録した映画で、今年完成したばかり。 近藤さんは、5月に広島で開かれたG7サミットで出された「核軍縮に関するG7広島ビジョン」に触れ、「(同ビジョンは)ロシアの核威嚇や核使用は許されないとしているが、核兵器は防衛目的の役割を果たしているとして核抑止論を正当化している。日本は唯一の被爆国で、世界に向け核廃絶の先頭に立つべき立場にありながら『核の傘』に固執し核兵器禁止条約には背を向け批准も署名もしていない」と話す。 「展示をご覧になって、核兵器の非人道性や、人類の平和と安全のためには核廃絶こそ唯一の道であることを認識し、平和な世界への思いを共有していただければ幸いです」と呼び掛ける。(田中めぐみ) ◆「2023原爆と人間展」は8月4日(金)から8日(火)まで。7日(月)は休館日。開場は午前10時から午後5時まで。入場無料。

アメリカナマズを四川料理に ガチ中華で食事会【桜川と共に】7

桜川漁業協同組合が主催し7月上旬につくば市や土浦市の桜川で開かれた「特定外来魚釣り大会」(7月16日付)。一般参加者が釣り上げたアメリカナマズ3匹をつくば市在住の医療通訳士、松永悠さんがもらい受け、市内の中華料理店に持ち込んだ。調理を頼んだのはつくば市天久保にある中華料理店「麻辣(マーラー)十食」。オープンして1年ばかり。つくばではまだ珍しい、日本人向けにアレンジしない、いわゆる「ガチ中華」の店だ。 四川料理が専門。筑波大学大学院出身の元留学生が経営する。当初都内での出店を考えていたが、コロナ禍だったこともあり、ゆかりのあるつくば市に店を構えた。メニューには霞ケ浦で捕れたコイを数十種類の香辛料で調理した料理もある。四川省は海に面していない内陸部であることから、主に川魚を食べる食文化を持ち、ナマズやハクレン、フナやコイなどを香辛料で調理する料理が数多くある。 桜川のアメリカナマズを料理 松永さんの呼び掛けで、ナマズ料理を含む本格四川のコースを楽しもうと東京や千葉から参加者10人が集まった。牛肉を使った前菜「夫婦肺片(フーチーフェイピェン)」や「麻婆豆腐」、「回鍋肉(ホイコーロー)」などの四川料理と共に、桜川のアメリカナマズを使った3品「辣子鯰魚(ラーズーニエンユー)」、「酸辣鯰魚(サンラーニエンユー)」、「豆鼓鯰魚(ドウグーニエンユー)」が並んだ。 「辣子鯰魚」はナマズをカリっと揚げて唐辛子と花椒(ホアジャオ)で作った麻辣で味付けした料理。見た目から辛そうだがそれほど辛くはなく、花椒のさわやかな香りとナッツの香ばしさがナマズのから揚げにマッチしている。「酸辣鯰魚」はナマズを蒸して酸味と甘みのあるソースをかけた料理。淡白なナマズの身がふっくらとしていて、ソースがナマズをひきたてる。「豆鼓鯰魚」は発酵した黒豆の調味料を使った蒸し料理で、酸辣とは違った深い旨味とコクがあるソース。これもナマズによく合っていた。 食事会に参加した都内在住の西岳晴さんは、仕事で広東省深圳(シンセン)市に4年間住んでいたことがある。かつて食べていたような本格中華を求めて参加した。桜川のアメリカナマズ料理について「中国で食べた雷魚などの川魚よりこちらの方がおいしく感じる」と驚きを語る。 コースを食べ終わると総料理長の羅彬(ラヒン)さん(44)が姿を見せ、参加者から拍手を受けた。桜川のアメリカナマズは「使えます。おいしいです」と言う羅彬さん。メニュー制作の顧問をする孫麗(ソンレイ)さん(37)は「四川料理の香辛料と技法を使えば、ナマズもいろいろな美味しい料理に変身できる。ハクレンも適した調理法を使えば本当においしい魚。地元の野菜、魚、お肉を取り入れて、地産地消に尽力したい」と話す。 桜川漁協(つくば市松塚)の鈴木清次組合長は「野生のナマズなので、毎日何匹捕れると確約できるものではないが、1匹いくらでも売れるのであれば売りたい」と期待する。仕事の傍ら都内のガチ中華の店を食べ歩き、インターネットで紹介している松永さんは「麻辣十食は都内の店に全くひけを取らないと感じ、ナマズ料理をお願いした。地元のガチ中華店から地域課題の解決につながれば」と話す。アメリカナマズやハクレンの四川料理への活用に期待が膨らむ。(田中めぐみ) ➡連載企画【桜川と共に】の過去記事はこちら

特定外来魚駆除へ 釣り大会開き活用法模索【桜川と共に】6

7月上旬、つくば市と土浦市の桜川で「特定外来魚釣り大会」が開かれた。県内外から親子連れなど約70人が参加し、午前中だけでアメリカナマズ126匹、ブラックバス2匹、ブルーギル9匹の計約131キロを釣り上げた。 同大会は、釣り好きの一般参加者の協力を得て特定外来魚を駆除しようと、桜川漁業協同組合(つくば市松塚、鈴木清次組合長)が毎年主催している。釣果の9割を占めたアメリカナマズは1980年代に霞ケ浦に定着し、2000年ごろに爆発的に増え始めたとされる。雑食性で、組合員が捕まえたアメリカナマズの腹を割くと、ワカサギなどの在来魚のほかモグラまで出てきたことがあった。漁協では刺し網やはえなわ漁を組合員に推進しているが、捕っても収益になる見込みがないことが課題となっている。 釣れたアメリカナマズはこれまで穴を掘って埋めていたが、「ただ殺すのは忍びない」(組合員ら)と今回新たに、つくば市内の中華料理店や、近隣農家で働いている外国人技能実習生らが引き取り、食べてもらうこととなった。漁協は多方面に声を掛け、新たな活用法を模索している。 県内外から参加 釣り大会は、釣り上げた総重量で順位を付け、兵庫県から参加した斎藤直之さん(39)が16.7キロで優勝した。斎藤さんは筑波大の卒業生。「在学中から桜川でバケモノ(アメリカナマズ)が釣れると知り、釣りに来ていた」と話す。大会には都内や栃木県在住の釣り仲間と一緒に参加した。 つくば市内在住の小学5年青山秀延(しゅうすけ)さんは「魚が好きで初めて参加した。釣りはおもしろい」と、釣り上げたアメリカナマズを優しく手で持ち上げてみせた。市内在住の小学6年菊池風汰さんと小学4年泰佑さんの兄弟は、釣り好きでよく川に出掛けるという。続けざまにヒットし、手慣れた様子でリールを巻きあげ、笑顔を見せていた。 アメリカナマズは背びれと胸びれに太く鋭いとげを持っており、漁業者や釣り人がけがをすることもある。漁協組合員の鈴木孝之さんは、釣れたナマズを手に持って「ナマズは小さい頃の方がとげが固い。それは小さいうちは敵に襲われやすいから。大きくなるととげが柔らかくなる」と子どもたちに説明。鈴木さんが小さいナマズのとげでどれだけ大きなナマズを持ち上げることができるかやって見せると、親子から歓声が上がっていた。 ハクレン大量遡上、カワウ減少傾向 アメリカナマズ、ブラックバス、ブルーギルといった特定外来魚以外にも、桜川ではハクレンの大量遡上など、魚種の変化が組合員の間で問題になっている。ハクレンは特定外来魚ではないが、外来種で、一昨年から4月、5月に大群となって桜川を遡上するようになった。体長60センチから90センチと大型の魚で、今年4月30日には、漁協の活動拠点であるつくば市松塚で「ハクレンジャンプ」と言われる集団跳躍行動が見られ、漁業者らを驚かせた。大型外来魚の増加に伴ってコイやアユなどはいなくなり、これらを餌とするカワウも減少傾向にあるという。(田中めぐみ) 連載【桜川と共に】の過去記事はこちら ハクレンの過去記事はこちら https://youtube.com/shorts/_XM4Bgdt7dk

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