水曜日, 4月 24, 2024
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「強くしなやかに成長する4年間に」 筑波学院大で入学式

筑波学院大学(つくば市吾妻)で1日、2023年度の入学式が行われ、スーツに身を包んだ新入生たちが新生活のスタートを切った。教職員や理事、保護者らも参列し門出を祝った。中国やウクライナなど5カ国からの留学生7人を含む新入生51人が入学し、新入生代表の田井真央(たいまひろ)さんが「大学生活をよりよいものにし、不安定な社会で貢献できる人材になりたい」と宣誓した。 望月義人学長は式辞で「漫然と過ごす4年と、竹のように節目を付けながら強くしなやかに成長する4年との差は極めて大きい。教職員は皆さんを心から支え応援する」と述べた。また2学期制のカリキュラムを今年度から春、夏、秋の3学期制に、1コマ90分だった授業を105分にしてアクティブラーニング(能動的学習)の時間を増やし、論理的思考力、応用力を養っていくと話した。 橋本綱夫理事長は「4年間どういったことをやりたいか、探究、模索して見つけていってほしい」と激励し、同大のルーツとなる東京家政学院大学の創設者で家政学の先駆者だった大江スミの建学の精神を同大が現在も受け継いでいることを話した。 今年、同大は東京家政学院大学の創立から数えて100周年を迎える。また4月からは同校の運営法人名が日本国際学園大学に変更された。来年度より大学の名称も日本国際学園大学に変わる。 同大では一昨年度から、英語ですべての授業を行うILA(国際リベラルアーツ)コースが新設され、学生らは様々な専門分野を学ぶ総合コースとILAコースのいずれかのコースで学ぶ。2年次からは人文科学、社会科学、経営学、情報デザインの4つの専門科目から主専攻や副専攻を選択し、学びを深める。 新入生として式に臨んだ男子学生は「勉強していろんなコンピュータープログラムを作れるようになりたい。特にゲームのプログラミングについて学びたいと思っている。ゲーム実況のYouTubeチャンネルを運営しているのでチャンネル登録者数も増やしていきたい」と目標を笑顔で話した。(田中めぐみ)

「強くしなやかに成長する4年間に」 筑波学院大で入学式

筑波学院大学(つくば市吾妻)で1日、2023年度の入学式が行われ、スーツに身を包んだ新入生たちが新生活のスタートを切った。教職員や理事、保護者らも参列し門出を祝った。中国やウクライナなど5カ国からの留学生7人を含む新入生51人が入学し、新入生代表の田井真央(たいまひろ)さんが「大学生活をよりよいものにし、不安定な社会で貢献できる人材になりたい」と宣誓した。 望月義人学長は式辞で「漫然と過ごす4年と、竹のように節目を付けながら強くしなやかに成長する4年との差は極めて大きい。教職員は皆さんを心から支え応援する」と述べた。また2学期制のカリキュラムを今年度から春、夏、秋の3学期制に、1コマ90分だった授業を105分にしてアクティブラーニング(能動的学習)の時間を増やし、論理的思考力、応用力を養っていくと話した。 橋本綱夫理事長は「4年間どういったことをやりたいか、探究、模索して見つけていってほしい」と激励し、同大のルーツとなる東京家政学院大学の創設者で家政学の先駆者だった大江スミの建学の精神を同大が現在も受け継いでいることを話した。 今年、同大は東京家政学院大学の創立から数えて100周年を迎える。また4月からは同校の運営法人名が日本国際学園大学に変更された。来年度より大学の名称も日本国際学園大学に変わる。 同大では一昨年度から、英語ですべての授業を行うILA(国際リベラルアーツ)コースが新設され、学生らは様々な専門分野を学ぶ総合コースとILAコースのいずれかのコースで学ぶ。2年次からは人文科学、社会科学、経営学、情報デザインの4つの専門科目から主専攻や副専攻を選択し、学びを深める。 新入生として式に臨んだ男子学生は「勉強していろんなコンピュータープログラムを作れるようになりたい。特にゲームのプログラミングについて学びたいと思っている。ゲーム実況のYouTubeチャンネルを運営しているのでチャンネル登録者数も増やしていきたい」と目標を笑顔で話した。(田中めぐみ)

障害者スポーツ普及へ モンゴル人選手ら 茨城のホストタウン訪れ調査と交流

土浦の専門職大学教授が企画 日本とモンゴルで障害者スポーツの普及を進めようと、モンゴルの政府関係者や研究者、パラリンピック選手らが22日から土浦に滞在し、2020東京オリンピック・パラリンピックでモンゴルのホストタウンだった行方市や桜川市などを訪れ、ホストタウンだった地域がレガシー(遺産)として国際交流をどのように推進しているかなどを調査した。 モンゴルの障害者スポーツの研究をしているアール医療専門職大学(土浦市湖北)の橋爪和夫教授(67)が企画し、科学研究費助成事業の助成を受けて今回の調査と、交流が実現した。 来日したのはモンゴル政府体育・スポーツ機関の委員チヨンドルジ・バザスレンさん、パラリンピック射撃選手のガンバ―タル・ザンドラ―さんら4人。モンゴル人留学生で筑波技術大学大学院2年生のエルデネサンブ・デルゲルバヤルさんが同行し通訳を務めた。 4人は22日から土浦市に滞在し、行方市の鈴木周也市長、桜川市の大塚秀喜市長などを表敬訪問。アール医療専門職大学、筑波大学、筑波技術大学の研究室も訪れて交流した。30日には土浦市内で2国間の国際会議を開いた。31日に帰国する。 30日の国際会議はモンゴルと日本の障害者スポーツの取り組み事例や、障害者を取り巻く現状、東京オリンピック・パラリンピックのレガシーなどが議題になった。オンライン会議アプリを使ってモンゴルの国立大学の学生や研究者、政府関係者らにもライブ配信を行った。 国際会議で講演したのはモンゴルのパラリンピック選手ら4人と、筑波技術大学の香田泰子教授、日本モンゴル協会理事で茨城県ライフル射撃協会前理事の多田尚克さん、東京五輪組織委員会(昨年解散)元副事務総長の布村幸彦さん、行方市の鈴木市長ら。 鈴木行方市長は、同市が2020年の東京オリンピック・パラリンピックでモンゴルのホストタウンであったことや、同市の地域おこし協力隊と地域プロジェクトマネージャーにモンゴル人を登用していることを話し、「パラリンピックの選手も今後、招へいしたいと思っている。現状では施設や設備が足りないので、障害者だけでなく高齢者や災害避難者も使えるよう公共施設を整備していく」と語った。 今回来日したモンゴル国立医科大 生物医学学部講師のフルガル・ツレンワンダンさんは「日本とモンゴルがこれからの支援のアイデアを考えるために非常に意義深い会だった」と感想を話した。 企画した橋爪教授は、モンゴルは日本よりも障害者への支援が遅れているが、日本も充分ではないと話し、「東京オリンピック・パラリンピックのホストタウンはコロナ禍で十分に交流ができなかった。施設の整備と人との交流がオリンピックのレガシーの両輪だと思う」とし、オリンピックのレガシーとして今後も交流を深め、両国が障害者支援をより充実させることに期待を寄せた。(田中めぐみ)

マスクを脱いで巣立ちも 筑波大で4260人の卒業式

筑波大学(つくば市天王台、永田恭介学長)の卒業式・学位授与式が24日、大学会館で行われ、スーツや袴に身を包んだ生徒らが新たな門出の日を迎えた。22年度の卒業・修了者は4260人。マスクの着用については自由で、一部の生徒らはマスクを外して式に臨んだ。 式典は学群が2回と大学院が1回の3回に分けて実施され、永田学長から各学群の代表者に学位記や卒業証書が手渡された。卒業生と修了生のみが参加し、家族や在校生らは会場の様子をライブ配信で視聴する形となった。式典後の祝賀会は開催せず、謝恩会については大学側が自粛を求めた。 永田学長は式辞で、筑波大が東京高等師範学校の創設から数えて150年を迎えたことや、昨年から文部科学省より指定国立大学法人に指定されていることを述べ、「みなさんがそれぞれに新しい挑戦をすることこそが、本学の価値を世界に発信することであり、みなさんに続く後輩たちの活動の幅を広げていく」と激励した。 人文・文化学群日本語日本文化学類の鎌田真凜さん(22)は「コロナ禍での生活は、これまでの当たり前を覆すことばかりだった。オンラインが中心となり、友人や先生方と顔を合わせることすら難しくなった時期もあるが、同じ思いや悩みを抱えた仲間がいることが何よりも救いになり、変わり続ける状況の中でも学びを止めることなく進み続けてこられた」と述べ、教職員や地域の人々に支えてくれたことへの感謝の意を伝えた。 式典の前後には、卒業生が在校生や家族らと大学会館脇に咲く桜を背景にして写真を撮影し、喜びを分かち合った。人文・文化学群で西洋史を専攻し、卒業後は就職するという河野太一さんは「時の流れが速く感じ、うまく言葉にできない。対面授業からオンライン授業、オンライン授業から対面授業への切り替えに慣れるのが大変だったので感慨深い。卒業後は仕事と趣味を充実させたい」と話した。人間学群心理学類に所属する女性は「大学院に進学するので実感があまりない。臨床心理士の資格を取り、将来は心理の関係で働くことができれば」と将来の希望を話した。(田中めぐみ)

若手社会学者 清水亮さんが紐解く 阿見・土浦「軍都」とその時代 

『「軍都」を生きる 霞ケ浦の生活史1919-1968』(岩波書店)は、社会学者の清水亮さん(31)が地道な資料調査やインタビューを積み重ね、戦前から戦後を描き出した新刊。予科練(海軍飛行予科練習生)につながる海軍航空隊があった阿見、航空隊からの来客で栄えた土浦の人々が、基地や軍人たちとどう関わりながら生活したか、さらに戦後なぜ自衛隊駐屯地を誘致したのかを紐解く。 等身大の人々の目線で歴史研究 土浦市の開業医で作家の佐賀純一さん、阿見町の郷土史家である赤堀好夫さんらが取材し聞き書きした記録や地元紙、常陽新聞の記事などの資料も多数引用され、当時の人々の声を拾い集めた生活史となっている。豊富な写真を交え、日常の中で起きたさまざまな出来事を取り上げながら、「軍都」が抱えていた問題や葛藤についても分析している。 清水さんは「俯瞰(ふかん)する歴史学とは一風違って等身大の人々の目線で、下から見上げる歴史を書きたかった。自分の解釈は出さず、事実を重ねて書いた。戦争は重たくて悲惨なテーマと思っている人、歴史に関心がない人にこそ読んでもらいたい。日常生活の中の等身大の歴史に触れてほしい」と話す。 清水さんは東京生まれ。東京大学大学院博士課程を修了し、現在は早稲田大学で日本学術振興会特別研究員(学振PD=ポスドク)を務めながら武蔵大学の非常勤講師として教鞭をとっている。2020年から22年には学振PDとして筑波大学にも所属していた。東京大学の学部生だった13年から阿見町や土浦の地域史に興味を持ち、社会学的な観点から研究を始めた。 基地は「どぎついものではなく、ソフトに入り込んできた。現代でも似たようなことが起きている」と言う清水さん。1910年代から20年代は軍縮の世論が高まった大正デモクラシーの時代だったが、当時飛行機は最先端技術で、22年に開設された霞ヶ浦海軍航空隊は科学文明への期待感を持って住民に受け止められていた。同書には航空隊が観光名所となっていたことや、29年にツェッペリン伯号が飛行場へ寄港し、見物客で大賑わいする様子も描かれる。 「基地を誘致した所がだめという話ではない。基地があって豊かな文化が生まれたことも否定できず、現実は複雑で白黒つけられるものではない。それぞれの主張を持った人が同じテーブルについて議論できる場があるということが大切」と話す。 基地は国際的な「空の港」だったが、やがて戦時期に入り、軍国の「空都」と呼ばれるようになる。「平和な時代に基地が作られ、牧歌的、平和的に受け入れられていた時代から、戦争に突入し、悲惨な状況に暗転していく様子が印象的だった」と資料を読み取る。同書から見えてくる歴史をどのように解釈するかは読者にゆだねたいという。(田中めぐみ) ◆「軍都」を生きる 霞ケ浦の生活史1919-1968 四六判254ページ、2860円(税込)、岩波書店

平均年齢80歳 漁協組合員ら不法投棄撤去し見回り【桜川と共に】1

県西の桜川市を水源とし、つくば市や土浦市などの平野部を通って霞ケ浦に流入する桜川。流入する56河川の中で最大規模の一級河川だ。上流の磯部稲村神社(桜川市)付近は古くから桜の名所として名をはせ、桜川は歌枕や文学作品の舞台ともなってきた。 桜川に漁業協同組合がある。土浦市との境界にあるつくば市松塚に拠点を置き、組合員は107人、平均年齢は約80歳。漁協は桜川の生産力の増進を図ることが役割で、事業内容はフナの稚魚やワカサギの卵の放流、河川の清掃、河床耕耘(こううん)といった漁場の整備、特定外来魚の駆除など多岐にわたる。 幼い頃から桜川で遊び、桜川を見つめてきた漁協組合長、鈴木清次さん(80)は、この60年ほどで桜川の環境が大きく変わってしまったと話す。桜川漁協の活動を追いながら、桜川の置かれている現状を取材する。 1時間で2トントラック1台分に 3月上旬、漁協の組合員6人とつくば市水質浄化対策推進協議会(会長・鈴木清次組合長)の会員12人の計18人と市職員2人が桜川沿いの清掃活動を実施した。朝8時50分、参加者が同市栗原の桜川沿いに集合すると鈴木さんがあいさつ、掃除の工程についても説明し、市職員が用意した軍手やごみ袋を参加者に配布した。参加者たちはそれぞれ軽トラックやワゴン車など数台に分かれて乗り込み、約1時間、桜川沿いを走りながら、ごみが不法投棄された地点を巡って拾い、トラックに積み込んだ。 桜川沿いの数カ所には、空き缶やびん、ペットボトル、ビニール袋、衣類、おむつなどの生活ごみ、テレビなどの粗大ごみや金属ごみが投棄されていた。バッテリーや機械部品のようなものもある。比較的最近捨てられたと思われるもの、何層にも積み重なって埋もれているものも掘り起こして回収する。「こんなものも捨ててあるよ」、「まだ埋まっている」。時間内に全部は回収しきれず、諦めたごみもあったが、それでも集められたごみは2トントラック1台分ほどになった。 清掃活動に毎年参加している女性は「前はごみがもっと多くひどかったが、清掃活動を続けて、これでもだんだんきれいになってきた」と話す。清掃活動は、霞ケ浦問題協議会(会長・安藤真理子土浦市長)が実施する「霞ケ浦・北浦地域清掃大作戦」の実施日に合わせて毎年、年1回行われている。 「多くの人に来てもらいたい」 清掃活動以外に桜川では、漁協に所属する3人の河川巡視員が月2回見回り、不法投棄がされていないか、川が適切に利用されているかなどを監視している。ほかにも組合員が自発的に見回りを行っている。夫が巡視員をしている女性は「ごみだけでなく、川辺に子猫が5匹捨てられていることもあり驚いた」と話す。 桜川の管轄である県土浦土木事務所によると、巡視員から連絡があった不法投棄は、昨年度15件、今年度は7件。例年15件ほどだが、毎年不法投棄がされる箇所には今年度から看板を設置する対策を行い、効果が表れているという。 組合長の鈴木さんは、大作戦以外の日も20年以上、清掃活動を地道に続けてきた。「川に捨ててもいいと思っている人がいて、トラックで持って来て捨てている。現場を見たら警察に通報する。意識を変えてもらわなければならない。もっときれいにして、多くの人に桜川に来てもらいたいと思っている」と鈴木さんはいう。(田中めぐみ) 随時掲載

「自身で困難克服する力を」 筑波学院大で卒業式

筑波学院大学(つくば市吾妻、橋本綱夫理事長)の2022年度卒業式が13日に催され、経営情報学部ビジネスデザイン学科の133人が卒業した。卒業生代表として、総代の石﨑達也さんが望月義人学長から卒業証書を受け取った。会場でのマスク着用は個人の判断に任され、一部の卒業生はマスクを外して式に臨んだ。 元朝日新聞記者だった望月学長は、記者時代に、今年亡くなったトヨタ名誉会長の豊田章一郎氏に何度も取材し聞いた話を挙げ、「トヨタが経営不振に陥った時期、ちくわの生産を考えるほど困窮した時代があった。この話を聞いた当時、既に優良企業だったトヨタとちくわとのギャップに驚きを禁じ得なかった。トヨタはその後経営不振を乗り越え、自身の力で困難を克服し、繁栄の時代を迎えた。この例は、個人のあなたにも十分に役立つはず」と述べて、困難の乗り越え方や、現場に赴き真実を自分の目で把握することの重要性について告示した。 橋本綱夫理事長は「みなさん一人一人が社会において欠かせない存在となり、自分の力を生かして喜んでもらうこと、それが人生において何よりも幸せなことではないかと思う。これからぜひその力を生かしてたくさんの人に喜んでいただき、みなさん自身も充実した幸せな人生を歩んでほしい」と挨拶した。 卒業生代表として答辞を述べたサンジュオントン・パッサコンさんは、大学院に進学することを話し、「MBA(経営学修士)を取得し、IT企業を立ち上げるという目標を達成した将来の自分の姿を想像し、受験への意欲を高めた。受験でも学園祭でも将来をはっきり思い描くことが成功につながると感じた」と述べた。また「友人や、大学生活の様々な助言をしてくれた先生方、そして何より最後まで自分を支えてくれた両親に感謝します」と感謝を伝えた。 卒業生らは大教室での式の後、各教室に分かれ、一人ずつ名前を呼ばれて卒業証書を受け取ると、互いに卒業を喜び合っていた。(田中めぐみ)

「自身で困難克服する力を」 筑波学院大で卒業式

筑波学院大学(つくば市吾妻、橋本綱夫理事長)の2022年度卒業式が13日に催され、経営情報学部ビジネスデザイン学科の133人が卒業した。卒業生代表として、総代の石﨑達也さんが望月義人学長から卒業証書を受け取った。会場でのマスク着用は個人の判断に任され、一部の卒業生はマスクを外して式に臨んだ。 元朝日新聞記者だった望月学長は、記者時代に、今年亡くなったトヨタ名誉会長の豊田章一郎氏に何度も取材し聞いた話を挙げ、「トヨタが経営不振に陥った時期、ちくわの生産を考えるほど困窮した時代があった。この話を聞いた当時、既に優良企業だったトヨタとちくわとのギャップに驚きを禁じ得なかった。トヨタはその後経営不振を乗り越え、自身の力で困難を克服し、繁栄の時代を迎えた。この例は、個人のあなたにも十分に役立つはず」と述べて、困難の乗り越え方や、現場に赴き真実を自分の目で把握することの重要性について告示した。 橋本綱夫理事長は「みなさん一人一人が社会において欠かせない存在となり、自分の力を生かして喜んでもらうこと、それが人生において何よりも幸せなことではないかと思う。これからぜひその力を生かしてたくさんの人に喜んでいただき、みなさん自身も充実した幸せな人生を歩んでほしい」と挨拶した。 卒業生代表として答辞を述べたサンジュオントン・パッサコンさんは、大学院に進学することを話し、「MBA(経営学修士)を取得し、IT企業を立ち上げるという目標を達成した将来の自分の姿を想像し、受験への意欲を高めた。受験でも学園祭でも将来をはっきり思い描くことが成功につながると感じた」と述べた。また「友人や、大学生活の様々な助言をしてくれた先生方、そして何より最後まで自分を支えてくれた両親に感謝します」と感謝を伝えた。 卒業生らは大教室での式の後、各教室に分かれ、一人ずつ名前を呼ばれて卒業証書を受け取ると、互いに卒業を喜び合っていた。(田中めぐみ)

ミモザ彩るセキショウグループ59拠点 「国際女性デー」でフラワーアレンジメント

8 日は「国際女性デー」。ジェンダー平等の社会実現を願って、関彰商事(本社・筑西市、つくば市、関正樹社長)は、県内外59カ所の店舗や拠点で黄色いミモザの花を使ったアレンジメントを飾る。 同社では国際女性デーの趣旨に賛同し、2021年からミモザの装飾を始めた。これ以前から、女性活躍推進の取り組みとして積極採用や職域の拡大、管理職の登用などを行っており、現在女性2人が管理職に就いている。また、福利厚生の一つに「子育てサポート休暇」として子どもの検診や学校行事のための特別有給休暇制度を設けるほか、育児休暇の取得推進にも取り組んでいるという。育児休暇の取得率、休暇取得後の復職率は共に100パーセントだという。 総務部長の石川喜代江さんは「時代に沿った働き方をしている。国際女性デーの日は、社内外の女性たちへ尊敬やエールを送る気持ちを持っている」と話す。 メルセデス・ベンツつくば(つくば市研究学園)で受付や営業担当として働く笠井夏海さん(25)は、同社での女性活躍について「女性ならではのおもてなしをされている先輩方がたくさん活躍していて尊敬している」そう。ミモザの飾り付けについては「素敵だと思う。アレンジを来店される多くの方に見てもらい、お話のきっかけにしたい」という。 国際女性デーは1975年、国連によって制定された女性の社会参画を願う日で、イタリアでは女性に感謝を込めてミモザを贈ることから「ミモザの日」とも呼ばれている。「ミモザの日」は、現在ではイタリアを中心にヨーロッパや南米の一部の国々で広く認知されている。(田中めぐみ)

電子図書館サービス 利用者数が増加 土浦市とつくば市で導入

図書館の蔵書をパソコンやスマートフォンなどで無料で読める電子図書館サービルが、土浦市立図書館とつくば市立中央図書館で始まり、利用者数が増加している。土浦市は新図書館が駅前に開館した2017年11月27日から、つくば市は昨年10月4日からスタートした。 土浦市電子図書館で利用できる蔵書数は2月現在、約2500冊、つくば市は約1400冊。土浦市電子図書館の一般登録者は2月現在約550人。ほかに児童生徒に1人1台の端末を配備するGIGA(ギガ)スクール構想を受けて小中学校と連携し、市内の小中学生約9600人も登録している。 つくば市電子図書館の一般登録者数は不明だとするが、2月24日まで約5カ月間で累計約1万7600人の閲覧(ログイン)数があった。 小学校が授業で活用 土浦市では22年7月から、主に小学生向けの電子書籍を絞り込んだ「こどもでんしとしょかん」をスタート。同市担当者によると「授業や授業開始前の読書時間での活用により、電子図書館の利用がかなり増加している」という。 つくば市では電子図書館のトップページに小学生に向け「おすすめの本」の項目を作り、読書活動の推進を図る。同市担当者は「電子図書館で利用できる地域資料の提供や、中高生に向けた蔵書の分かりやすい提示について検討中」だという。つくば市では高齢者からの問い合わせも多く、関心の高さがうかがえるとしている。 予算措置が課題 土浦市もつくば市も今後蔵書数を増やしていく予定だが、土浦市担当者は「出版される本の全てが電子化されている訳ではなく、限られた母数の中からコンテンツを選定している。今後、電子化される本の種類が拡大するかどうかが課題の一つ」だとし、「期間限定のコンテンツが存在するため、所蔵数を確保するための予算措置が必要になる」と課題を述べた。 土浦市は市内在住で利用カードを持つ人、つくば市は同市に在住、在学、在勤で利用カードを持つ人が利用可能で、いずれもパスワードの設定が必要。パソコンやタブレット、スマートフォンを利用し、来館せずに電子書籍の検索、貸出、返却、閲覧が可能で、返却期限が過ぎた電子書籍は自動で返却される。コンピュータ上のデータのダウンロード、インストールは不要で、ブラウザ環境で閲覧ができる。視覚障害者向けに音声読み上げに対応した電子書籍もある。土浦市もつくば市も貸し出し点数は1回2点まで。貸し出し期限は土浦市が15日間、つくば市が14日間となっている。 土浦市立図書館ではさらに、収録楽曲数240万曲を超える「ナクソス・ミュージック・ライブラリークラシック」というインターネット音楽配信サービスも導入している。利用カードがありログインIDとパスワードを設定した人はデータを受信しながら同時に聞くことができるストリーミング方式という方法で利用することができる。 コロナ禍 4.8倍に急増 電子出版制作・流通協議会の集計によると、20年1月に電子図書館サービスを導入した自治体数は全国で91自治体だったが、22年10月には436自治体に急増した。電子書籍の普及とコロナ禍で公共図書館の電子化が急速に進んだといえる。さらに学校でもGIGAスクール構想を受けて電子書籍の活用が始まっている。 土浦市もつくば市も電子図書館サービスとして「クラウド型電子図書館サービス&コンテンツLibrariE(ライブラリエ)&TRC-DL」を導入。LibrariEとの主たる契約は「ワンコピー・ワンユーザー型」、「2年間または52回の貸出し」の条件で、貸し出しの多い作品は再契約が提示されている。 同サービスは、職員による予約や貸出、督促業務などの必要がなく、返却期限が過ぎた電子書籍は自動で返却されるため省力化につながるという。電子書籍は利用によって本が痛んだり紛失したりすることがない。また、パソコンのマニュアル本など、数年で情報が陳腐化してしまう本は有期限契約で入れ替えることができ、電子図書館に向いているという。(田中めぐみ)

企業も参加 飲食店やキッチンカーで【広がる子ども食堂】5

飲食店が子ども食堂を開くなど、企業参加型の取り組みも現れ始めている。 つくば市天久保の中国料理店、百香亭筑波大学店は、月2回土曜日の昼間、1日30食限定で無料の弁当を配布する「百香亭みんなの食堂」を実施している。 利用は子どもから現役世代、高齢者まで年齢制限はない。筑波大学が近いことから大学生の利用も多い。2月初め、店頭に「みんなの食堂」の看板が出された同店では、成人の男性が無料弁当を注文していた。店内で数分待ち、スタッフからあたたかい弁当を受け取る。同店がテイクアウトで販売している600円の弁当と同じ大きさの器に中華のおかず3品とごはんが入っている。この日のおかずはにんにくの芽と豚肉の炒め物にたけのこの和え物、シュウマイ。 茨城ロータリーEクラブ会員でもある同店の徐佳鋭さん(41)は「奉仕活動として地元の子どもたちに何かできることをしたいと思い活動を始めた。年齢を問わず、来ていただける方には配布している。温かいものを食べてほしいのでお弁当は注文を受けてから作っている。毎回来る人もいるので、飽きないようにおかずの内容は変えている」と話す。できるだけ長く続け、多くの人に支援を広げるのが目標という。 百香亭みんなの食堂は昨年7月から始めた。つくば市が年間最大10万円を補助する市内8カ所の子ども食堂「みんなの食堂」の一つだ。配布時間中はみんなの食堂の看板を出しているが、最初は3~4個ほどの注文しかなかった。昨年9月に市の情報広報誌「かわら版」にみんなの食堂の情報が掲載されると徐々に来店者が増え、毎回30食が無くなるようになった。活動資金は市の補助金のほか、茨城ロータリーEクラブとロータリー財団が支援している。 「こちらから行けばいい」 つくば市高見原の2丁目会館で2月初め開催された地域の催しに、キッチンカー(移動販売車)を活用した移動式子ども食堂が出店し、ボリューム満点のハンバーグ丼やローストビーフ丼がふるまわれた。 この催しは、高見原を含む市内8つの周辺市街地の地域振興を目的にした市主導の実践型プログラムで、同市香取台在住の岡冨陽子さん(44)のアイデアが採用され、移動式子ども食堂と消防車をメーンに地域住民の交流促進や防災力を高めようという催しが実施された。 出店したキッチンカーは普段、都内のイベントなどで肉料理を販売している。この日は子ども50食、大人約100食分が提供された。子ども向けのハンバーグ丼は無料だ。 イベントを企画した岡冨陽子さんは青森県出身。筑波大を卒業し、10年前から子どもを対象にしたオンラインの料理教室「食育料理教室 ふくふく」を主宰している。 子ども食堂にも興味を抱いていたが「本当に支援を必要とする子どもが来ないのが悩み」という運営者の話にむなしさを感じ、運営する側も利用する子どもも、双方が満足できる仕組みはないのかと思案していた。そして出会ったのが、埼玉県熊谷市のNPO法人あいだの奥野大地副理事長が発案し、同市で2019年にスタートさせた全国初のキッチンカーによる移動式子ども食堂だった。「固定の店舗だと遠すぎたり、貧困家庭と思われるから行きづらいといった子どもが出てしまう。困っている人が時間をかけて来る必要はなく、こちらから行けばいい」。 シンプルな理由で始めた移動式子ども食堂の仕組みは、キッチンカーを所有する飲食店に食事の提供を委託し、プロの味を提供できる。中学生以下の子どもと妊婦は無料で、その食事代は寄付金を充てる。大人は通常の価格で購入することでキッチンカーの収益になるという仕組みだ。徐々に認知度が高まり、千葉や静岡、沖縄など、全国に移動式子ども食堂開催の輪が広がり始めている。 「こちらから行けばいいという考えに共感し、この仕組みならみんなが笑顔になれる」と思った岡冨さん。同法人の茨城支部として活動し、県域に移動式子ども食堂を広げたいと話す。まずは市内での移動式子ども食堂の開催に向けて準備しており、子どもたちには友達と連れ立って気軽に来てほしいと呼びかける。 ふるさと納税を充当 境町はコロナ禍の2020年から、町内の飲食店が参加し、毎週土曜日と日曜日に各店10食分ずつ、町内に住む18歳以下の子どもに弁当を無料配布する「境町こども食堂」を実施している。現在、和食店、洋食店、すし店など14店が参加する。 ふるさと納税や企業からの寄付を原資に、町が1食当たり300円を飲食店に助成し、年間2万食ほどが子どもたちに無料提供されている。配布時間は午前11時から午後4時の間だが、ほとんどの店が午前中に配り終わってしまうという。 同町まちづくり推進課によると、地域全体で子どもたちを見守ろうという橋本正裕町長の発案でスタートした。このやり方だとハードルは高くない、全国の自治体に仕組みを広げたいと同課はいう。(田中めぐみ、橋立多美) 続く

コロナ禍 シングルマザー5人が立ち上げ【広がる子ども食堂】4

コロナ禍の2020年、シングルマザー5人が立ち上げた子ども食堂がある。阿見町を中心に食料を無料で配布するフードパントリーや子ども食堂、無料塾などの活動をしているami seed(アミ・シード)だ。代表の清水直美さん(44)ら30~50代の女性10人が中心となって運営する。 2月初め、阿見町のコミュニティセンター、本郷ふれあいセンター(同町本郷)で開かれた無料塾と子ども食堂「おにぎり食堂」に小学生から高校生まで約15人が集まった。毎週木曜日に開催している。子どもたちは机の上にそれぞれの教科書やノートを広げ、集中して鉛筆を走らせている。ボランティアの山田美和さんら2人が講師として子どもたちに勉強を教える中、調理室では清水さんら6人が調理に追われていた。 この日の献立は翌日が節分の日であることに合わせて、恵方巻とさつまいもの肉巻き、さつまいもとりんごのサラダ、あさりとしじみ2種類の味噌汁、牛乳。訪れた子どもたちの分と子どもたちが持ち帰る家族の分、合わせて50食を作り、容器に盛り付けていく。献立は調理師の資格を持つ林久美子さんが考えた。食材はいずれも寄付されたものだ。 しばらくすると勉強が終わった小学生たちが食事の準備を待ちきれず調理室にやってきた。「お腹減った?自分の分を自分で巻いてみる?」。林さんが恵方巻の作り方を教えると、子どもたちは真剣な様子で巻きすに手を添え巻いていく。完成すると笑顔がこぼれた。続いてやってきた中学生たちも自分で作った太巻き1本を、恵方を向いてほおばると「とてもうまいです」と顔をほころばせ、親指を立てて見せた。 近所の人が助けてくれた ami seedは20年4月、清水さんらが立ち上げた。阿見町には茨城大学農学部と県立医療大学の二つの大学がある。コロナ禍、一人暮らしの大学生や一人親世帯に食料を無料配布する活動から始まった。 清水さんは22歳になる双子の娘を持つ。娘が中学生の時に離婚し、仕事を掛け持ちした。忙しい生活の中、母が余命1年と宣告を受け、清水さんは自宅で最期をみとる選択をした。仕事と介護、子育てに追われる生活を見かね、近所の人たちが料理を作って持ってきて助けてくれた。 この体験を経て「それぞれいろいろな事情があったとしても、とにかくごはんを食べていればなんとかなる」と、食の支援を思い立った。 「おにぎり食堂」は、企業や個人からの寄付や、JAなどから支援を受けて集まった食材で運営している。最近は物価の高騰からか、集まる食材が減ってきたという。乳児用のミルクやおむつ、ベビーチェアやチャイルドシートなどが足りていないことも課題だ。 活動を知った土浦市や取手市などからも相談や問い合わせがあるという。子育ての仕方が分からないと育児ノイローゼになりながらも一人で子育てしている女性、離婚調停中で経済的に困窮している女性、仕事がなく昼夜逆転の生活をしている人。清水さんが寄り添ってきた人たちだ。「骨と皮になっているママもいる。職場でも友だちがつくれず、上司からパワハラを受けていたりもする人もいる」と清水さん。 一人暮らしの大学生は、経済面だけでなく心の問題を抱えていることが多いという。学業の相談を受けたり、自殺の連絡が来て止めたりしたこともあった。痩せていく様子を見て診察を勧め、医療につなげたこともある。 大学生との間でこんなエピソードもあった。ある時、90代の夫婦が寄付金数万円を携えて訪れた。県外出身の一人暮らしの男子大学生はその寄付金による支援で食料をもらうことができ、無事卒業した。社会人になった男性が夫婦に感謝の手紙を書いて送ったところ、子どものいない夫婦は「本当の孫からもらったようでこの手紙が宝物」と清水さんに語った。夫婦と男性を会わせたいと考えた清水さんは、夫婦宅の草取りの手伝いに男性を呼び、3人は対面することができた。 孤立しやすい一人親家庭や大学生、一人暮らし高齢者を、清水さんはいずれの場合も見守りながら、必要であれば本人の同意を得て行政の支援につなげる。しかし、傷ついた経験から行政の介入を拒む人もいるとし、「とにかく(気持ちを)吐き出させて帰らせることが大切」と話す。 今後の目標については「シングルマザーの暮らす家をつくりたい。第三の居場所、公共施設を使わずに活動できる場所をつくりたい」と話した。(田中めぐみ) 続く

手を伸ばし 子育てを“孤育て”にしない【広がる子ども食堂】2

米5キロと食品、洗剤などの詰め合わせを各世帯1箱ずつ無料配布するフードパントリーが1月末、牛久市の三日月橋生涯学習センターの一室で開催され、予約した30世帯に手渡された。毎月1回配布している。食品ロス削減のため規格外品などを引き取るフードバンクや、支援団体NPO全国こども食堂支援センター・むすびえ(東京都新宿区)などからの物品、企業や個人が寄付したものが配布される。この日受け取った女性は「特にお米が助かる。自分では買わない物も入っていて面白い」と話した。会場は牛久市が無料で開放し、活動を支援している。 主催しているのはNPOきらきらスペース(牛久市牛久町、諏訪浩子代表)だ。2016年8月から活動を始め、7年目になる。元々は50人ほどが利用するビュッフェ形式の子ども食堂を開催していたが、コロナ禍で食品を持ち帰ってもらうフードパントリーの形式に変えた。 子育て世帯だけでなく、だれでも利用することができる。「お米や野菜など寄付が集まって活動できている。来る人は大体決まっているので、月1回顔を見て、元気かどうかの安否確認という意味もある」と諏訪さん(53)。 この日参加したボランティアの女性4人は、「子どもに何が欲しいのと聞くと飲み物を欲しがる。お菓子もあるといい。生活のうるおいが大事。子どもは楽しいことがないといけない」、「男親だけ、女親だけの子がここに来て父親、母親代わりのスタッフと疑似体験をしている。自分もおばあさんとして役に立っているのかな」と口々に話し、他愛ない雑談の中で、感想や情報を共有していく。 ウオーキング仲間とスタート 代表の諏訪さんは大学生2人の子を持つ母親だ。PTA副会長を務めた経験もある。同じく子育てをするウオーキング仲間の母親たちと互いの悩みを話し合う中、7年前、「何か子どものためになる活動をしたいね」と子ども食堂をスタートさせた。食を通じて「子育てを孤育てにしない」をモットーに活動しており、子育て相談も随時受け付けている。 スタッフは18歳から85歳まで約50人で70代が多い。全てボランティアだ。市ボランティアセンターからの紹介で参加するスタッフもおり、「グループの周りに応援団がたくさんいる感じ」という。民生委員、児童委員を務めているスタッフもいる。 諏訪さん自らが運転し、フードパントリーに来られなかった人や車のない人に食品の配達もしている。1月末は、荷物を積み込んで2件を回った。「もらいに来る人もいい人が多い。配布するものの中に不良品がたまにあるが、遠慮して言わないことも。互いに許しあえている関係」だ。 フードパントリーの他にも同生涯学習センター前にある古民家「とみさんち」(牛久市城中町)で月1回、「子民家はなみずき」(牛久市牛久町)で毎週土曜日、子ども食堂の少人数カレー昼食会を開いている。かっぱの里生涯学習センター(牛久市城中町)では週1回、無料塾の自習室「一歩」を開催する。 食堂では肉、魚などのタンパク質の寄付が少ないことが悩みだ。タンパク質は成長期の子どもに必要だが、冷凍する必要があるなど輸送が大変でなかなか手に入らないという。「肉、魚はもらえないのできらきらスペースで買うしかない」と話す。 行政につなぎ、行政から依頼も 活動を通して得た情報を牛久市につなぎ、実際に行政の支援につながったケースも多数ある。逆に行政から、食料の支援や古着の制服の提供、不登校の子の居場所の提供、お風呂に入っていない子の入浴支援などを依頼されるケースもある。ママ友同士のつながりで、困っている家庭の紹介を受け、支援につなげたケースもあった。 どこまで支援の手を広げるか、コロナ禍での活動のあり方が課題だという。「きらきらスペースのフードパントリーや子ども食堂は誰でも利用できるが、あまり広げてしまうと本当に困窮している人に支援が行き渡らない恐れが出てくる。困窮者だけに支援と限定すると、来なくなる人もいる。今度コロナが感染症法の5類になると聞く。そうするとまた活動の仕方を変えていかないといけないのか、それとも今までどおりなのか」と諏訪さん。活動の在り方を模索している。 子ども食堂サポートセンターいばらき(水戸市)の大野覚さんによると、外に手を伸ばし、さまざまな組織と連携して、子ども食堂やフードパントリーなどに来られない人にも支援を広げるきらきらスペースの活動は、福祉の分野で「アウトリーチ」と呼ばれる活動だ。県内の子ども食堂を対象に実態調査などを実施してきた大野さんによると、アウトリーチに取り組む子ども食堂はまだ少ない。実態調査では「個人情報保護の壁が高く、支援を一番必要としているところに手が届かないことに歯がゆさを感じている」などの声が寄せられた。大野さんは「アウトリーチは、さまざまな組織とつながりがつくれているかどうか」がかぎになっていると話す。(田中めぐみ) 続く

県内最大規模の物流拠点に つくば市内3つ目の「ZOZOBASE」完成

ファッション通販サイト「ZOZOTOWN」を運営するZOZO(本社・千葉市、澤田宏太郎代表取締役社長兼CEO)は25日までに、つくば市御幸が丘に建設していた新たな物流拠点「ZOZOBASEつくば3」の完成を発表した。8月に稼働を始め、11月に本格稼働する予定。最新機器を導入して自動化を進め、既存拠点と比べて30%省人化する。 同拠点は商品の入出荷や保管をする施設で、同社5カ所目、つくば市内にある拠点としては3つ目となる。延床面積や商品保管数が同社最大規模で、敷地面積約6万8500平方メートル、地上5階建て延床面積13万7000平方メートル。ワンフロアが約3万1000平方メートルあり、県内でも最大規模の物流拠点という。2021年9月に着工していた。投資総額は約100億円という。 取り出した商品を注文ごとに自動で仕分けするシステムなど、国内初となる最新機器の導入により自動化し、既存の倉庫と比較して約30%の省人化を見込む。ZOZO本社や既存のZOZOBASEと同様、使用電力には主にバイオマスや太陽光由来の実質再生可能エネルギー電力を100パーセント導入するとしている。 稼働開始に向けてアルバイトスタッフ約500人の採用を予定しており、地域の雇用創出への貢献を目指す。施設内にはカフェテリアや「デニム」や「プレイド(格子柄)」といったファッションをテーマにした2つの休憩室の整備を予定。労働者の通勤事情を考慮し、571台分の駐車場を確保する。 新拠点は、米カリフォルニア州に世界本社を置く物流不動産開発のグローバル企業、プロロジス(日本本社・東京都千代田区、山田御酒代表取締役会長兼CEO)が開発を手掛けた。同市内ではこれまでに、ZOZOの専用(BTS型)物流施設として「プロロジスパークつくば1」(東光台)、「プロロジスパークつくば2」(さくらの森)の2拠点に3棟の施設を開発している。 同社は昨年10月、つくば市とスタートアップ推進に関する相互の連携協定を締結。御幸が丘の敷地内には4月、インキュベーション施設「inno-base TSUKUBA(イノベース・ツクバ)」をオープンさせる。施設はオフィス、シェア倉庫、実証実験エリアを備え、運営、企画はツクリエ(本社・東京都千代田区、鈴木英樹代表)が行う。オープン記念として、3月2日午後6時30分から、オンラインでトークイベントを開催する。同市政策イノベーション部の屋代知行スタートアップ推進室長のほか、スタートアップ企業の小川嶺代(タイミー)、岡澤一弘(KURANDO)、伊藤茜(Doog)各氏が登壇する予定だ。(田中めぐみ)

肉厚と繊細-表現のおもしろさ感じて つくばで書の2人展

筑波大学の同期2人が書の作品を展示する「積羽展(せきうてん)」が21日、つくば市二の宮のスタジオ‘S(関彰商事つくば本社1階)で始まった。会期は3月5日まで。さまざまな種類の表現に触れておもしろさを感じてほしいと、漢字や仮名の作品17点を軸装や額装、折帖(おりちょう)で展示している。 筑波大同期が連絡取り合い合作も 作品を出展した佐藤汰一さんと小林佑太郎さんは筑波大の書コースで共に学んだ同期で、佐藤さんは現在、大学院博士前期2年生。卒業後は地元広島に戻り芸術の教員になるという。小林さんは大学卒業後、出身地の栃木で就職し、働きながら作品を書いている。佐藤さんと小林さんは書コースに男子学生が少なかったことから意気投合。一緒に展覧会を開きたいと企画し、実現した。 佐藤さんは「子規の句」や「戦国策」の一節など8点を肉厚な線で表現。小林さんは「万葉集」の東歌(あずまうた)や音楽ユニットYOASOBIの曲「群青」の歌詞など8点を繊細なタッチでつづった。展覧会のタイトルとなった「積羽」の2文字を書いた作品1点は2人で雰囲気を合わせ、合作した。同展は2月11日から19日にも栃木県足利市のカフェ「プラザハマダ」で開催され、個性の異なる作品を鑑賞した来場者からは「2人の人柄が見える」と反響があったという。 佐藤さんは主に大学で、小林さんは自宅で作品を書き、写真を送って意見を聞き合いながら仕上げた。字の形や構成のまとめ方などを話し合い、印を押す位置を決めるのに3時間かかったこともあったという。表装にもこだわった。佐藤さんは「どういう書が好きか、お互いはっきりと好みが分かれている。それぞれの作品の良い所悪い所を話し合いながらも、互いの表現したいところは尊重しつつ改善して作り上げた。小林のような表現は自分にはできず、刺激を受けている」と話す。 展覧会のタイトルの「積羽」は、「戦国策」出典の故事成語。軽い羽根であっても積もれば舟を沈める、転じて小さなことでも集まれば大きな力につながるという「積羽沈舟(せきうちんしゅう)」に由来する。作品作りを積み重ねていくことで書の力をつけ、書を楽しんでいきたいという2人の思いをこめた。 佐藤さんは「パソコンで出てくる明朝体やゴシック体のフォントをきれいな字として捉える風潮があるが、手書きに表れる書き手の持ち味に魅力がある。厳正な字だけではなくいろんな書き方があることを感じてほしい」と話した。(田中めぐみ) ◆スタジオ’S のホームページはこちら

土浦のひなまつり開幕 3年ぶり華やかに

立春の4日、第18回土浦の雛まつり(市観光協会主催)が、土浦駅前通りの観光拠点の一つ、土浦まちかど蔵(同市中央)などで始まった。新型コロナの影響で3年ぶりの開催となる。3月3日まで。 江戸時代や明治初期の蔵などが並ぶ旧水戸街道の中城通りを中心に、周辺の商店などが代々商家に伝わる江⼾から平成のひな人形やつるしびなを店頭に飾っている。市内108カ所の店や公共施設が参加している。 会場の一つ、土浦まちかど蔵大徳では、江戸末期から明治の名工、3代目仲秀英(なか・しゅうえい)が作ったひな人形を展示している。店蔵2階では浦島太郎や干支のうさぎをモチーフにしたひな人形などが飾り付けられた。中城通りの街並みと調和した和の雰囲気と、人形たちの個性豊かな表情を楽しむことができる。手作りのつるしびなは花や⿃や⼈形などちりめんの縁起物をひもにくくりつけて作る立体的な飾り付けで、空間を華やかに彩っている。 福祉の店ポプラ中央店(同市中央)は1階に、市内の収集家が集めたという大正時代の「八女(やめ)の箱雛」や明治末期から昭和初期の「見栄っ張り雛」など貴重なひな人形を飾った。2階には市内外の社会福祉施設などで障害者が手作りしたひな人形を展示した。 前野呉服店(同市中央)ではショーウィンドウに23年前に購入したという三段飾りのひな人形と色鮮やかな着物を飾った。店の前を通る人は歩みを止め、あでやかな飾りつけに見入っていた。 同市観光協会主任の浅川善信さんは「去年もひなまつりをやらないんですかという問い合わせがあった。親子3代で来てくれる方もいる。小さいお子さんからご年配の方までご家族でぜひ見に来て、ひな人形で元気を出してほしい」と呼び掛けた。 「和」マークの付いている店に和服で来店するとサービスやプレゼントなどの特典を受けることができる。指定されている店を回り、スタンプを4つ集めて「土浦まちかど蔵大徳」の応募箱に入れると抽選で賞品をもらえるスタンプラリーも開催する。(田中めぐみ) ◆見学は無料。期間中の土日には臨時駐車場4カ所を無料開放する。問い合わせは土浦市観光協会(電話029-824-2810)

バス旅と食で地域の魅力発信 ホテル日航つくばが新プロジェクト

ホテルの中だけでなく、地域の魅力を知ってもらおうと、つくば駅前のホテル日航つくば(つくば市吾妻)が新規プロジェクト「つくたび」バスツアーを展開している。 ホテルの資源や周辺の地域資源を見直し、県南部の中心地にあるという立地を生かした新しい事業で、主旨に賛同した地域限定旅行業者「ラール・アワー」(同市大角豆)との協業で、昨年スタートした。 現在、第2弾として、筑波山梅まつりとつくばの地酒を楽しめるランチ付きの日帰りバスツアーを企画し、予約を受け付け中だ。開催日は3月8日。 バスツアーでは筑波山梅林を散策後、市内の酒蔵「浦里酒造店」(同市吉沼)で出来たての新酒や酒かすで作った甘酒などを味わう。いばらき地酒ソムリエS級の資格を持つ同ホテルのスタッフ林智一さんが同行し、魅力を解説しサポートする。ホテルに戻った後はホテル内のレストラン「日本料理つくば山水亭別亭」で同酒造の酒かすを使ったツアー限定のメニューを味わう。新しい日本酒の楽しみ方として、県産のドライフルーツ3種を使った「日本酒サングリア」を楽しむこともできる。参加費は1人1万9500円(税込み)。 林さんは主要銘柄「霧筑波」を造る浦里酒造について「つくばで開催されたG7科学技術大臣会合で提供されたり、新酒鑑評会で金賞を受賞したりと評価の高いお酒をかもす酒蔵」と解説する。「お酒が好きな人、地元の魅力を存分に味わいたい方たちにお薦め。出来立ての新酒の試飲やしぼりたての酒粕を使った手作りの甘酒など、普段は味わうことの出来ない特別な体験ができる」とツアーをアピールする。 昨年11月には、市内のさつまいも専門店「蔵出し焼き芋かいつか」(同市松野木)提供の焼き芋「紅天使」を使ったデザートとオードブルのランチ作りを親子で体験するプランや、ひとり時間を満喫する「ソロ活」企画として、「つくばワイナリー」(同市北条)のぶどう畑で剪定(せんてい)した蔓(つる)を使用したリース作り体験と県産食材を使ったフランス料理のフルコースなどつくばワインを生みだすブドウ畑の土壌や気候、職人の技術が楽しめるプランを企画。どちらも満員となり好評だったという。 林さんは「ホテルは、地域外のお客様との接点であり、地域がにぎわって初めてホテルにもたくさんのゲストが訪れてくれる。そんな地域活性化の一助になりたいと始めたプロジェクト。始まったばかりで試行錯誤中だが、つくばを訪れ、体験や旅を通して、つくばを第二の故郷のように感じてくれる人が増えていけば」と思いを語る。(田中めぐみ)

ディープな土浦楽しんで 三高生4人、スタンプラリーを企画 22日

県立土浦三高(土浦市大岩田)の2年生4人が、地元、土浦を深く知りながら観光を楽しんでもらいたいと、土浦駅前通り周辺の観光拠点の一つ、まちかど蔵「野村」(同市中央)からスタートし土浦城跡の亀城公園(同市中央)周辺を巡るスタンプラリーを企画し、22日に開催する。 指定した店舗など3カ所以上を回ってスタンプを集めた人に景品を用意する。同市職員でホームページ「日本一の湖のほとりにある街の話」を制作する若田部哲さんが協力し、スタンプラリーの台紙のデザインを手掛ける。 まちかど蔵「野村」は江戸時代後期から明治時代初期に建てられた商家の蔵で、中城通りと呼ばれる旧水戸街道沿いにある。スタンプラリーは「野村」をスタート、ゴール地点とし、地元でよく知られる周辺の喫茶店「喫茶蔵」、「城藤茶店」、「カフェ ド ランクル」のほか、亀城公園の東櫓(やぐら)、和菓子店「伊勢屋」、呉服店「前野呉服店」でスタンプを押してもらう。 亀城公園周辺の地図をモチーフにした、レトロで味のあるデザインの台紙を100部用意する。親子連れや若者などを中心に多くの層に訪れてもらうことを想定しているという。 高校生4人は総合的な学習(探究)の時間の授業で地域の魅力をアピールしたいと集まった。メンバーの一人、松延咲希さんは「茨城が魅力度ランキングで最下位なのを知り、なぜ茨城の魅力が伝わっていないのかと思った。まずは土浦から魅力を知ってもらいたいと考え、活動を始めた」と話す。 集まった4人で魅力をPRする方法を話し合う中で、霞ケ浦流域の地域文化を紹介するホームページを運営する若田部さんを知り、直接メールして協力を仰いだ。応じた若田部さんは「土浦に興味を持ってもらいうれしい。方向性を決めてしまうようなアドバイスは控え、あくまで私個人のこれまでの取り組みの説明をした」と言う。 昨年12月にスタンプラリーの企画が決定し、打ち合わせを重ねてきた。11日に行われた最終打ち合わせでは関口衣織さんと松延咲希さんがそれぞれのノートパソコンでスライドを示して説明し、橘内敏江教諭や若田部さんと共に当日の流れなどの確認を行った。 関口さんは亀城公園周辺の店舗に協力を仰いだ際、優しく話を聞いてもらえてうれしかったというエピソードを話した。店舗で押してもらうスタンプは、土浦市イメージキャラクターの「つちまる」や、ヨット、れんこん、高安関など土浦にちなんだデザインで西村美穂さんが手作りした。SNS等を利用した広報を長谷川紗雪さんが担当する。 橘内教諭は「生徒の自主性を大切に、できるだけ手を出さないようにしていた。自分も土浦に住んでおり、若田部さんのホームページも見ていて、土浦の魅力を知ってほしいと思っていた。専門の人に来てもらって生徒たちが話をすると化学反応が起こり、生徒が輝きだす。企画を通していろんな年齢層の方に出会ってもらいたい」と話す。(田中めぐみ) ◆スタンプラリーは22日(日)午前10時から午後4時まで。雨天決行。

紛争に直面した難民の故郷たどる つくばで柴田大輔写真展

土浦市出身のフォトジャーナリストでNEWSつくば記者の柴田大輔さん(42)の写真展「あの山の記憶」が17日、つくば市天久保の「ギャラリーY」で始まった。柴田さんは南米コロンビアの山岳地帯に滞在を繰り返しながら現地の人々を取材。紛争に直面し難民となった人々の暮らしや、人々が捨てざるを得なかった故郷の風景を撮影した写真20点を展示している。会期は25日まで。 柴田さんがコロンビアで出会った難民は、故郷の山を懐かしがり、「あそこは豊かでなんでもあった」と話したという。紛争が落ち着いても高齢で足が悪くなり帰れなかった人、最期まで故郷を思いながら亡くなった人もいた。 難民たちの言う故郷の山とはどのような場所だったのか。柴田さんは2013年に初めて「あの山」を訪ね、以後毎年通い続けた。今年5月から6月にも渡航し取材を重ねた。生命力にあふれた山とその山に包まれて生活する人々はまるで一つの生き物のようだったと語る。 今回展示した写真は、コロンビアの様子を撮影した2500枚以上の中から選んだ20枚。死や暴力、薬物などセンセーショナルな写真というよりも、日常の写真だ。「ニュース的な見せ方をする写真ではなく、そこに暮らす人々の普通の日常を展示したかった」と柴田さん。 「ワールドカップの前回大会で日本と熱戦を繰り広げたコロンビアですが、様々な問題を抱えながらも、本当にたくさんの人々が国を良くしようと課題解決に立ち上がっている。距離的に日本から遠いところにあるが、より多くの方が関心を持つきっかけになれば」と来場を呼び掛ける。今後も現地の人々と親交を続けていくという。 柴田さんは2004年にラテンアメリカ13カ国を旅したことがきっかけで現地の風土や人々の生活にひかれ、2006年からコロンビアの山岳地帯を中心とした取材を始めた。コロンビアでは1959年のキューバ革命をきっかけに、社会格差の是正を求めて複数のゲリラ組織が生まれた。政府とゲリラが敵対し、50年以上にわたって内戦が勃発。暴力や麻薬が横行し、約740万人が難民となったとされる。2016年には政府とゲリラとの間で和平合意が成立。今年8月には史上初の左派政権が誕生した。(田中めぐみ) ◆「あの山の記憶」展は25日(日)まで。開館時間は午前11時~午後7時(最終日は午後5時まで)。入場料300円。

無声映画に命吹き込む女性弁士 「つくば山水亭」創業35周年記念上映会

つくば市小野崎の料亭「つくば山水亭」で17日、創業35周年を記念して無声映画の上映会が行われた。活動写真弁士の第一人者で、今年デビュー50周年を迎える澤登翠(さわと・みどり)さんが、阪東妻三郎主演の時代劇「雄呂血(おろち)」の映像に、七色の声でセリフを当てて命を吹きこんだ。 上映は2部に分けて行われ、第1部と第2部合わせておよそ300人の予約があったという。「つくば山水亭」を運営するサンスイグループの東郷治久社長は、活動写真弁士の文化を保存したいと無声映画の上映を企画。上映前に「文化庁の支援がありこの公演を開催できた。我々の企画を選んでいただいてありがたい」とあいさつした。 ホテルやレストラン、教育事業など運営するサンスイグループは1946年に映画館の経営を始め、水海道(常総市)の「宝来館」のほか県内16カ所で映画館を開いていた歴史がある。3代目社長である東郷さんは小学生のころ、父が運営する映画館の楽屋で生活していたと話す。「スクリーンの裏に住んでいて夏は暑くて大変だったが、冬は少し暖かかった」と振り返る。映画館に特別な思いがあるという。 活動写真弁士の澤登さんはスクリーン横でななめに構え、スクリーンと観客席を交互に見ながら巧みに声色を変えてナレーションと複数の役柄を演じ分けた。バックミュージックは湯浅ジョウイチさんがギターと三味線で、鈴木真紀子さんがフルートで演奏し、それぞれの場面を盛り上げた。 第1部ではチャールズ・チャップリン主演の「チャップリンのスケート」(1916年公開)と「雄呂血」(1925年公開)、第2部では喜劇「ロイドの要心無用」(1923年公開)と小津安二郎監督、高田稔主演の「大学は出たけれど」(1929年公開)が上映された。「雄呂血」と「ロイドの要心無用」は澤登さんが、「チャップリンのスケート」と「大学は出たけれど」は山城秀之さんが声を当てた。 土浦市から来場し、第1部を鑑賞した男性は「新鮮だった。雄呂血は悪い者が残り、勧善懲悪の話ではない。矛盾を訴える力がある作品と感じた」と話した。同じく第1部を鑑賞したつくば市在住の女性は「今では録音して流すものを生で演じる弁士さんと演奏家の方の力が大きい。表現者の感性で解釈したものを鑑賞者が受け取っている。こういう表現の仕方はこの先もつなげないといけない」と話した。(田中めぐみ)

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