月曜日, 4月 29, 2024
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【クレオ再生問題】4カ所の市民説明会終わる

【鈴木宏子】つくば駅前の商業施設クレオ(筑波都市整備所有)再生問題で、市民説明会が14日午後、筑波交流センターで開かれ、計4カ所の説明会が終了した。説明会は9日大穂交流センター、11日茎崎交流センター、14日午前市役所で開かれた。 筑波交流センターでの主なやりとりは以下の通り。 参加者 (立体の)駐車場はどうなるのか。 市長 今ある駐車場は狭い。1区画を広げる工事をしている。駐車料金が高いという問題もあるので買い物すると3時間無料から5時間まで無料にできる。 参加者 再生案はいいと思った。お願いだが、3Dプリンターやいろいろな工作機械が置いてあって1時間いくらで自由に使えるスペースを置いてほしい。つくばならではのものだと思う。小指の先ほどのダイオード(半導体素子)1個もつくばに売ってない。秋葉原に買いに行かないと無い。 市長 クレオの建物ですべてを満たすことは難しい。インキュベーション施設を新しくつくり来年夏にオープンするので、そのような場所に3Dプリンターや工作機械を置きたい。 参加者 (「市が関与すべき」と回答した人が8割だったと広報つくば8月号で発表された)意見募集は圧倒的に学園中心部の回答が多かった。違和感を感じた。 市長 8割あったからそれみろという気は毛頭ない。全域から声を聞けるようにしたい。 参加者 (食品スーパーや雑貨物販店などが入る)1階と2階ゾーンはマーチャンダイジング(商品化計画)まで市が関与していただき質の高いマーチャンダイジングを組んでいただきたい。スマートでコンパクトな社会実験的なものを打ち出してほしい。 市長 どこにでもあるスーパーにしないでくださいという声をたくさんいただいている。単なる商業施設でなくロボットが動き回るような施設を提供していきたい。 参加者 思い切った観光施設をこの中につくっていただきたい。そして、きらきらするバスを1台(筑波地区まで)走らせてほしい。つくば市の将来は研究学園地区が中心になるので、庁舎の近くに2000人入れるホールをつくって、総合運動公園用地には野球場と蹴球場をつくってほしい。 市長 動線をちゃんとつくっていく。子どもたちは上(3~5階)で遊んで、大人は小田に行って、帰りに(子どもたちを)拾って帰るなどの過ごし方もある。筑波大学が最大7000~8000人のアリーナを中心市街地に計画している。アリーナによってとても大きな流れができてくる。陸上競技場をつくってほしいというニーズがあり、9月議会で検討する予算をいただいたので、場所の選定も含めて詳細に検討したい。候補地は廃校跡地になる。 参加者 マンションを建ててはいけない条例をつくば市として作る考えはないか。 市長 どういう形の規制があるのか、あらゆる選択肢を検討している。 参加者 具体的なタイムスケジュールは。 市長 市民や議会に評価をいただいて、出資金の予算をつけたら、11月にまちづくり会社を作って、12月に筑波都市整備に取得のお金を払う。詳細なものを詰めて、改修工事をして、うまくいった場合、2020年の秋ぐらいにできる。 参加者 地元で起業したいとか出店したい人をサポートするシステムが手薄だと感じている。箱モノと同時にそういった人への資金援助などのサポートは考えているか。 市長 スタートアップ戦略のパブリックコメントをやっている。段階に応じて資金を含めいろいろな形の支援を検討している。 参加者 これだけの支出をして市の財政が回るか大変心配。大穂にある空き地(旧総合運動公園用地)を早く整備してほしい。マンションを建ててつくばの人口を増やせば消費が伸びると思う。 市長 この事業をやったから税金が上がるというのは絶対にない。他の予算を削って回すのでもない、貯金を崩してやる。運動公園跡地はいろいろな形で調査している。方向性を迅速に出していきたい。

《吾妻カガミ》42  市のクレオ改修案に強い違和感

【コラム・坂本栄】前回のコラム(吾妻カガミ41回)では、つくば市長五十嵐さんの行政スタイルを取り上げました。要約すると、市民の考えを重視する慎重なスタイルではあるが、クレオ跡への対応については不自然な工作があった、といった内容でした。クレオ跡問題は市のホットな案件になっていますので、今回もこの問題をフォローします。 市当局は、クレオ跡再生プランをまとめ、9月議会最終日の全員協議会に「クレオに関する検討状況について」と題する資料を配りました。なかなかよく整理された討議資料です。 ただ、市が主導して会社を立ち上げ、百貨店とスーパーが入っていた建物を買い取り、商業施設と公共施設が入る複合ビルにリフォームするという構想には、議会から批判的な意見もあったようです。新会社への市出資金だけでも20億円という「絵」ですから、議会の心配も分かります。 市議からどんな意見が出たのか、ニュースつくばの鈴木宏子記者がリポートしています(9月28日掲載)。「全員協議会では『さまざまな課題がある中、なぜクレオを優先するのか』『周辺部にどれだけ波及効果があるのか』『公共性があまりにも少ない』『テナントが埋まらないというリスクはないのか』『拙速に進めるべきでない』などの質問や意見が相次いだ」と。 民業圧迫と特定会社優遇 市のシナリオでは、10月下旬に臨時議会を開いてもらい、出資金20億円を含む補正予算の承認を得て、12月中旬に現所有者の筑波都市整備から土地建物を購入する、となっています。ですから、一連のプロセスでは賛否が噴出することでしょう。 市当局の焦燥(一昔前までの中心地区から賑わいが失われる)はよく理解できますが、市が「旧」中心地区の開発に乗り出す(デベロッパーになる)ことには違和感を覚えます。特に「おやっ」と思ったのは、以下の2点です。 討議資料には、改修後のビルの賃料を、周辺相場(月坪1~2万円程度)の半分(同7,500円程度)にする、と書かれています。周辺には大中小のお店やオフィスが入るビルがたくさんあります。市の息がかかったビルの賃料は、これらの半分ということですから、官による民業圧迫といえます。 また資料には、予想される入居施設も記載されています。それによると、5~6階には地元企業オフィスが入るそうです。市の補足説明では、つくば創業の精密機器会社が1.5フロアー借りるそうですから、特定の民間会社が優遇されることになります。 TXつくば駅周辺の不動産市場秩序を乱し、地元ゆかりの会社を特別扱いにする―先に違和感を覚えると言ったのはこういった点です。つくば市は自由で民主的な市場経済を壊していくのでしょうか(少し大げさな表現?)。(経済ジャーナリスト)

【クレオ再生問題】170人が参加 抵当権の指摘も 市役所で説明会

【鈴木宏子】つくば駅前の商業施設クレオ(筑波都市整備所有)再生問題で、市による市民説明会が14日午前、つくば市役所で開かれ、約170人が参加した。幼い子ども連れの姿も見られた。9日の大穂交流センター、11日の茎崎交流センターに続いて3回目の説明会となる。 五十嵐立青市長は「今、何も関与しないとクレオはマンションになる。一等地がマンションになると周りの公務員宿舎が売れなくなる」と危機感を強調し、新たに、テナントの入居交渉について、ディスプレイデザイン会社大手の乃村工藝社(東京都港区)が行っており「(入居交渉の手応えは)ひじょうにいい反応だったということだった」と話した。 主なやり取りは以下の通り。 参加者 同じ子ども向け施設のつくばエキスポセンターとの関係はどう考えていくのか。うまくいかないときのプランBは考えているか。 市長 エキスポセンターは30年前につくられた。今の最先端の科学技術を紹介したり、子どもたちを引き付けるかというとちょっと方向性が違う。質が違うものになる。(テナント)の入居率を95%で設定している。リスクは広くみてプランを組んでいる。 参加者 市が出資するまちづくり会社への市の関与が強くなりすぎることを懸念している。(青森市が第3セクターで運営した駅前再開発ビル「アウガ」が失敗したのは)早く失敗を認めて何らかの対応をとればよかったが、政争の具になってしまってずるずる引っ張ったからだ。市の関与が強くなり過ぎることがないようにきちんとしていただきたい。 市長 ずるずるいくようなことはしないことをしっかり決めていきたい。 参加者 きょうの説明を聞いて安心した。乃村工藝社だとか(市が出資者を打診している)ミント機構(民間都市開発推進機構)とか実績のあるところと連携していて安心した。 市長 マンションに固定化されると手も足も出ない。時代のニーズに合った経営をしていくためにもまちづくり会社である必要がある。 参加者 マンションで賛成だ。TXのすばらしい駅があり、つくば駅前のマンションは価値が違う。 市長 私はマンション廃止論者ではない。この場所はマンションがだめだということだ。 参加者 個人的には(再生案に)消極的な立場だ。西武、イオンが撤退したのは(立体駐車場なので)平置きの駐車場ではないからだ。アクセスの対策が行われなければ家賃を安く見積もっても大丈夫とはいえない。(まちづくり会社の)出資割合が大きいサイバーダイン社に家賃を安くして貸すのであれば間接的な助成になるのではないか。つくば市は(まちづくり会社の出資金50億円のうちの)20億円で過半数ではない。市がイニシアチブをどうとるのか。民間企業の意向が(まちづくり会社の運営に)反映されてしまう。 市長 立体駐車場は1台当たりの駐車スペースを広げる工事をしている。(購買者が無料駐車できる時間は)3時間から5時間程度無料になっていく。(再生後の施設の)賃料は適正な金額で貸し出していく。つくば市の出資は4割だが筆頭株主になる。4割は単独で否決権をもつ。 参加者 (1階に置く予定の)食品スーパーは周辺にマンションをつくって人口を増やさないと採算が合わない。一定の条件でマンションを作る必要ある。(隣接の)ライトオンつくば本店ビルはタカラレーベンに売却された。ここをマンションにしない方策は考えているのか。(市長は)財務内容がいいとおっしゃるがサイバーダインは(損益が)赤字会社だ。クレオに抵当権が150億円ついている。整理の見通しは立っているのか。 市長 ライトオンに今入っている企業はオフィスとして入っている。ライトオンの社長とも話をして、マンションにはしないという話はいただいているが何が起こるか分からない。サイバーダインは研究開発を先行させているので赤字だが、中堅企業の中では一番お金を持っている。状況によって、いかようにもなっていく見通しをサイバーダインはもっている。(所有者の)筑波都市整備がクレオとモグ、キュートの三つを売りたい話がある。(三つが)共同担保になっている。クレオの担保をはずすことは十分に可能だろうという話になっている。 参加者 TXを使った集客が大事。電車をつかって県外から来てもらう魅力を発信することが重要。 市長 つくばに行ってみようと思われるようなシティプロモーションはこれまでなかなかされてこなかった。今、一から見直している。 参加者 きょうの話でいろいろなことが分かってすっきりした。市長は2階部分がつくば市の1丁目1番地と言ったが、電車で来たとき1階の角のところが1丁目1番地になる。そこに温浴施設があるのはもったいない。インフォメーション施設をつくってはどうか。 市長 駅からの動線を含めて案内機能を考えていきたい。 参加者 (つくば駅周辺の)建築の用途制限をすべき。クレオは減価償却をやると価格はどのくらいあるのか。5年先、10年先に事業計画が困難になるのであれば、イオン棟側だけセットバックしてマンションとして建てるのはやむを得ないのではないか。 市長 どういう規制の可能性があるのか検討している。減価償却と保証金は民間企業の経営に関わることなので開示は難しい。イオン棟を既存のまま使っていくことが必要。マンションが建ってない街区は4街区しかない。 参加者 基本的には賛成だがいくつか心配している。センタービルとの関係はどうなるのか。筑波都市整備はまちづくり会社だが、(新たにつくる)まちづくり会社との違いは何か。 市長 センタービルは中心市街地のビジョンに紐付けて戦略をつくっているところ。クレオと役割分担しながら。エリア全体として再生させることに力を入れている。筑波都市整備は本来まちづくり会社だが、建物の管理が中心になった。今度のまちづくり会社は主体的に動いていく。 参加者 方向性は共感するが、具体論に入っていくと、まちづくり会社の出資会社にサイバーダインが入っていることが疑問。本業とは違うところに出資することになる。市民から出資を募ってはどうか。エキスポセンターがあるのになぜ子供の施設をつくるのか。既存の施設をもっと活用するようなハブの役割をすべき。(1階に予定している)温浴施設も周辺にある施設を活用すべき。 市長 出資はこの形で限定ではなく増資もある。市民が主体的に関わっていく仕掛けを作っていくことも必要。エキスポセンターと食い合うことはない。温浴施設は、つくば駅から筑波山の登山に行く人がある。周りのものを食うのではない。 参加者 概ね賛成。モグ、キュートがマンションになってしまうと再生案が瓦解してしまう。将来の取得を含めて何とかできないか。 市長 規制を具体的に検討しているので、そういう中で、(民間が)買ってもマンションにできない方向性をつくっていきたい。 参加者 市の中心のクレオに、市民活動総合センターをつくるという話があった。それが消えてしまった。 市長 市民活動センターは箱としてはずかしい。移転をさせないといけないと思っている。移転先だが、すべての機能をクレオに盛り込むのは難しい。市民活動センターは重要なので私の意志として必ず移転させたい。 参加者 まちづくり会社の情報を十分な開示していく必要がある。 市長 当然開示しないといけない。 参加者 (市が5階にテナントとして入居させる)子ども科学図書館は市が家賃を払うが、ほかはきちんと家賃をとれるのか。 市長 当然、黒字にしていくことが重要。利益を出すバランスと公共性とのぎりぎりでパズルを組み合わせてつくった。すべてのテナントから家賃をとる想定で考えている。 参加者 家賃を安く設置できるのは、古くなった建物を安く買うからか。あまり安く借りられると周りのモグとかに入っている企業が不満に思う。 市長 先を見据えた形でできることを誘導していく。 参加者 中高大学生にアンケートとったらどうか。 市長 先週の金曜日に小中学校に(再生案について説明した広報紙の臨時号を)配った。若い世代の声をたくさん出してもらえればいい。 参加者 ほとんど賛成だが、気になるのは温浴施設の水。地震とかあったときにクレオの耐久性は大丈夫か。 市長 大規模改修の必要なく動かしていける判断している。対応可能だと思っている

【クレオ再生問題】市財政の影響懸念の声も 茎崎で説明会

【橋立多美】つくば市茎崎地区を対象にしたクレオに関する市民説明会が11日、同市小茎の茎崎交流センターで開催され、約40人が参加した。自治会役員や民生委員などの姿が見られた。 市は財政調整基金から20億円、地元のサイバーダイン社など民間企業から30億円の計50億円の出資金と、金融機関からの借入金21億円で「まちづくり会社」を設立。施設を購入し、食品スーパーや子ども向けの体験施設や図書館などを入れ、つくばならではの施設にする構想を打ち出している。 五十嵐立青市長が再生案の説明を行い、「クレオは市の心臓部。中心部から周辺地区への人の流れをつくり、雇用につなげたい」と熱弁をふるった。会場からは再生案に「基本的には賛成」の声も聞かれた一方、「保育所の入居を考えては」「(2年目から黒字を想定している)まちづくり会社の事業収支は市民を誘導している」という意見が挙がった。市財政への影響を懸念する声も相次いだ。 茎崎交流センターでの主なやり取りは以下の通り。 参加者 (市と共に出資する民間会社が)仮に倒産したら市が払うのか。過信しないほうがいい。君子危うきに近寄らずだ。 市長 サイバーダイン社は再生案に共感してくれた。お金も持っていて大丈夫。 参加者 (まちづくり会社の)主導権を得るために51%出資してはどうか。 市長 市の規模とバランスを考えて20億円にした。市長が社長になることはない。メンバーは経験値の高い人を考えている。 参加者 子ども向けの科学体験施設は地元の研究機関と連携するのか。 市長 研究機関と連携してつくばらしい内容にしていきたい。 参加者 子ども向けのフロアが出来ると自転車で行く人が増えると思う。駐輪場はどうなるか。 市長 今ある駐輪場の整備を考えている。 参加者 まちづくり会社の事業収支案は、これしかないと市民を誘導しているように思えなくもない。情報公開で開示してほしいのと、総合運動公園の反省をしていただきたい。 市長 情報公開は行政の記録を全て出すことを基本にしている。 参加者 フロア構成案が示されているが、駅との連動性から保育所や防災や介護などのサービス機能があっていい。余裕をもって決めてはどうか。 市長 市民の声を聞きながら進めていく。2階の自転車拠点は土浦駅前にできた拠点と連携しながら運営することもできる。 参加者 つくばは地域で温度差がある。茎崎地区の商圏は牛久で中心地に関心がないし、行かない。それは駐車料金が高いからだ。 市長 (中心地区は)料金の問題と、立体駐車場で止めにくいという意見が多く、幅を広げる工事をしており利用しやすくなる。無料時間を延長する交渉をしていく。 参加者 予算オーバーのツケは市民にまわる。それだけはやってほしくない。 市長 予算の追加投入はしない立場に立ち、お金のたれ流しはしない。 説明会は今後▽14日午前10時~、市役所▽14日午後3時30分~、筑波交流センターで開かれる。

《映画探偵団》12 市のクレオ計画 サスペンス映画の手法

【コラム・冠木新市】千葉県にある東京デイズニーランドが開園して35年。同じく、つくばセンタービルができて35年。デイズニーランドの祝賀ムードに比べると、センタービルを祝うのはオークラホテルのみと、かなり寂しい状況だ。同じエリアでも、つくば市にとってはクレオ再生が最重要課題のようだ。 市は「広報つくば臨時号」を発行して、急激にクレオへの関与を市民にアピールしてきている。早く関わらないと、今年中に筑波都市整備がクレオを売却し、センター地区内外に建設されるかも知れないマンションも売れなくなると警告を発する。 情報を小出しに、タイムリミットを設け、説明会は短期集中でたたみかける。これはサスペンス映画の手法そのものである。 ふと気付けば、市のキャッチコピーも「つくばホンモノ」から「世界のあしたが見えるまち。TSUKUBA」に。イメージキャラクターの「ツクツク」は姿を見せなくなり、「フックン船長」単独出演となり、「つくばセンター地区」の名称も「つくば中心市街地」に変化した。「つくばセンター地区活性化協議会」も「つくば中心市街地活性化協議会」に変わるのだろうか。 デイズニーの未来型都市 それにしても、「つくば中心市街地まちづくりヴィジョン」の軽さと比較し、「広報つくば臨時号」のクレオ再生にかける市の思いは熱く、落差を感じる。ヴィジョン発表時には市が関与する意思は固まっていたのだろう。あの時、素直に発表すればよかったのにと思う。 NHK『BS世界のドキュメンタリー・ウオルト・デイズニー』(2015)という番組があった。ウオルトは「デイズニーランド」を構想するが、身内やスタッフが猛反対する。で、秘密裡に準備を進める。そして建設資金をTV局から引き出すため、美術係に綿密なイメージ画を急きょ描かせる。 しかし、TV局は遊園地の計画に関心を示さなかった。その後、ウオルトは「デイズニーランド」を実現し、次はフロリダに「エプコット」という実験的未来型都市をつくろうとする。今度もウオルトは大企業の研究所を誘致するため、巨大なイメージ画を描き、プレゼン用の映画を製作するが急死してしまい、計画は幻に終わる。 10数年前、ある大学の先生から「筑波研究学園都市は、デイズニーの未来型都市をモデルにつくられた」という話を聞いた。二の宮の洞峰公園休憩所には、巨大な銅板の研究学園都市の地図が飾ってあるが、なるほどよく似ていると思った。 ただ、「エプコット」の中心は塔のような高層ビルだが、「つくばセンター地区」の中心は空洞と石の塊だ。つくばは東京の北東の方角にあるから、設計の磯崎新が鬼門封じのために空洞と石の塊を設置したのではないか。そんな「つくばセンタービル」に私は愛着を感じる。 さて今後の予測だが、ママさん世代を味方に計画を進める市側と、周辺地区の高齢者の支援を受け反発する市議会議員側と、子育てを終えどっちつかずの市民側との論争が巻き起こるに違いない。何はともあれ、「つくばセンター地区」が活発化してきた。サイコドン ハ トコヤンサノセ。(脚本家)

【緊急特集クレオ再生問題】市の案に問題点指摘相次ぐ 9日市民説明会スタート

【鈴木宏子】百貨店などが撤退し今年2月から閉鎖されているつくば駅前商業施設クレオ(筑波都市整備所有)の再生問題で、つくば市による市民説明会が9日から同市筑穂、大穂交流センターを皮切りに始まった。約50人が参加し、「出資もテナントもサイバーダイン1社に頼っていいのか」「なぜクレオが優先なのか分からない」など問題点を指摘する意見が相次いだ。 再生案について五十嵐立青市長は、つくば市が20億円出資するまちづくり会社などをつくって、クレオの土地と建物を取得し、71億円かけて子どもたちが遊びながら科学を学べる体験型商業施設に再生する案を示している=9月28日付け。 説明会は回数を増やし計4カ所で開催される。今後は▽11日午後6時~、茎崎交流センター▽14日午前10時~、市役所▽14日午後3時30分~、筑波交流センターで開かれる。 大穂交流センターでの主なやり取りは以下の通り。 参加者 (市の再生案の)ターゲット層が見えない。(例えば書店が入るとあるが)書店の特徴が見えない。 市長 子どもを基点に各世代が楽しめる施設にする。(市が示した)こういう組み合わせが最も効果的で可能性がある。(配置するテナントは)これまでのアンケートに基づいている。 参加者 (クレオ再生案について書かれた広報つくば臨時号が新聞折り込みで配布されたため)臨時号が手に入らない人がいる。まちづくり会社と建物を保有する特定目的会社の2つをつくるというあるが、事業スキームが分かりにくい。 市長 (臨時号を読めないという)おしかりをたくさんいただいているので子どもたち経由で渡せないか検討している。2つの法人をつくるのは税制上の優遇を受けられるため。 参加者 出資もテナントもサイバーダインに相当頼っている。1社に頼っていいのか。 市長 サイバーダイン(などがつくる投資会社)はキャッシュを300億円もっている。 参加者 つくばセンタービルがかなり空いている。磯崎新がつくった建物だ。なぜ優先度としてクレオなのかが欠けている。 市長 筑波都市整備は急に3棟(クレオとキュートとモグ)を売りたいと言っている。全棟マンションにしてはいけない。クレオとつくばセンタービルは双子のような施設。クレオが固まらないとちぐはぐになる。 参加者 子どもをターゲットに置くのは甘い考えだ。子どもたちが動いて親が動くのを期待するのは古いモデル。子どもが少なくなり競合にさらされる。年配者が再チャレンジする場とするコンテンツを増やしてはどうか。 市長 (再生案は)教育を柱にしている。教育には皆お金を使う。研究者OBが活躍する場を3、4階につくっていきたい。 参加者 子ども向け施設だと平日の日中利用する人は少ない。中心部は十分恵まれている。周辺部は公共サービスが足りていない。税金でやる事業の場合、一等地でやるのは理解が得られない。 市長 平日の日中は考えていきたい。中心市街地は公共サービスが根本的に欠落している場所だ。 参加者 食品スーパーとあるが同じようなスーパーでなく高級スーパーに入っていただきたい。 市長 中身はこれからいろいろ工夫していきたい。 参加者 市役所のサテライトオフィスをつくって情報発信するスペースや、市長と市民が同じ目線で議論できる機能がほしい。 市長 6階のミニシアターで市が取り組んでいることを紹介したり、トークショーなどができると期待している。 参加者 クレオが商業施設として不良物件になったのは立体駐車場であるという内的要因がある。車で行きやすいかどうかが命運を決する。つくばセンタービル付近は駐車場がどんどん減っている。(市の再生案は)ゲームチェンジャーにはならない。 市長 (立体駐車場の)1区画を広くする工事をしている。相当止めやすくなる。無料時間を延長する交渉をしていく。 参加者 企画書はひじょうによくできていて、説明は丁寧でよかった。 市長 つくば市の市街地のまちづくりは国とURがやってきた。市が主体的に動くタイミングは今しかない。今やらなければ行政として責任放棄だ。 参加者 筑波都市整備が民間事業者に売却した場合、民間事業者は旧西武側に商業施設と公共施設を計画していると解釈してよろしいか。 市長 ご指摘の通りだが、市の意向をまったく無視している。マンションが建つ建物に多額の投資をしていくことはできない。 参加者 20億の出資というのは市民1人当たり1万円負担になる。テナントに出ていかれるリスクを市が背負わない方がいい。クレオ1棟で中心市街地の問題は解決できない。無理に急がない方がいい。 市長 空き室率を5%に設定している(固く見積もっている)。

出資会社作りクレオ全部取得を提案 子供向け科学体験型商業施設に再生 つくば市負担34億

【鈴木宏子】百貨店などが撤退し今年2月から閉鎖されているつくば駅前の商業施設クレオ(筑波都市整備所有)について、同市の五十嵐立青市長は28日、市が出資するまちづくり会社をつくってクレオの土地と建物全部を約38億円で購入する案を発表した。子どもたちが遊びながら科学を学べる体験型商業施設に再生し、出資会社が運営する。市が負担する費用は20年間の賃料なども含め総額約34億3000万円になるという。同日開かれた市議会全員協議会に示した。 新たな商業施設は、1、2階に食品スーパー、百貨店、地元の飲食店や物販店のほか、温浴・健康施設、自転車・アウトドアスポーツ拠点施設などを配置する。目玉となる3~5階は、子ども向け科学体験教育施設、世界のおもちゃ体験施設、書店などを入居させる。市は5階に子供や科学に関する本を集めた子ども科学図書館と市役所窓口を出店する。 体験施設の具体的な中身やどのようなテナントが入居するかについては現在、打診中でまだ決まっていないという。ただし東京・お台場と豊洲に新しいデジタルアートミュージアムを開設して話題のデジタルコンテンツ制作会社「チームラボ」、ロボットスーツを開発・販売する筑波大発ベンチャー企業の「サイバーダイン」、廃校になった小学校で世界のおもちゃに触れて遊べる体験型ミュージアムを運営する「東京おもちゃ美術館」など、注目を集める会社などと協議していると強調している。 商業施設を運営するまちづくり会社は、市が20億円、民間事業者が30億円を出資し資本金50億円とする。民間の出資会社はまだ確定してないがサイバーダインなどと協議中という。さらに金融機関から21億円を借りて計約71億円の資金を元に、約38億円でクレオを購入、約29億円で改修し、約4億円を初期の運転資金に充てるという。入居するテナントの賃料は、クレオの周辺相場が1坪(3.3平方㍍)当たり1~2万円程度なのに対し、3~7割安い7500円程度とし、開業2年目から約1億円の黒字になると試算している。 マンション建てるべきでない クレオはつくば科学博が開催された1985年に建築。地下2階、地上8階建てで、面積は約1万5000平方㍍、延床面積約5万6000平方㍍。 クレオの再生をめぐって五十嵐市長は6月、約22億円で5、6階に図書館など公共施設を入居させることを検討していることを明らかにした。その後、所有者の筑波都市整備が、年内にも売却を行いたい意向を示したことを受け、今回、新たな案が提示された。 年内に売却の場合、商業施設と併設して14階建てマンションが建設予定であることから、マンション建設をすべきでないとして、全部購入する案としたという。さらに6月時点では標準耐用年数を超えている施設をすべて更新した場合、51億6200万円かかると試算されていたが、あと20、30年は使えるとして長期改修を15億円程度にとどめる。 市の新たな案について筑波都市整備は「市の案が出たということなので、中身を見て確認したい」としている。 10月16日まで市民の意見を募集 市は今回の案を市ホームページで公表、さらに10月7日ごろに市広報臨時号を新聞折り込みなどで配布して、29日から10月16日まで市民の意見を募集する。市民説明会は10月14日午前10時から市役所2階で開く。 アンケートなどで市民の合意が得られれば、10月下旬に市議会臨時議会を開き、20億円の出資の是非について諮る。議会で可決されれば11月中にまちづくり会社を設立、12月中旬にクレオを購入するという。 一方、市議会全員協議会では「さまざまな課題がある中、なぜクレオを優先するのか」「周辺部にどれだけ波及効果があるのか」「公共性があまりにも少ない」「テナントが埋まらないというリスクはないのか」「拙速に進めるべきでない」などの質問や意見が相次いだ。

《映画探偵団》11 クレオ再生調査 市は方向性を誘導

【コラム・冠木新市】「広報つくば」9月号のトップ記事は「クレオの再生を検討しています」。7月29日から8月15日まで実施した「クレオに関する意見募集の結果(速報)」が出ている。回答者数は1,242件。そして「クレオのあり方」「市の関与の是非」の結果グラフの下に、小さな文字でコメントがある。 「約8割の方が商業施設を、約5割強の方が公共施設を選択」「約8割の方が『負担額にもよるが、一定の財政負担をしても市が関与すべき』と回答」とある。すでに方向性は決定したとの印象を与えかねない、見事な誘導テクニックだ。 「クレオのあり方」では、「その他」が19.2%。「市の関与の是非」では、「市場動向に任せ、市は関与すべきではない」が18.3%と、共に2割弱を占める。 「回答者の属性」の「つくば駅周辺の来訪頻度」では、年に数回が34.7%、ほとんど行かないは12.6%、行ったことがないは2%で、計49.3%がつくば駅周辺にあまり足を運んでいない。つまり、回答者の半分がセンター地区にそれほど行かない人たちなのだ。 さらに、回答者のうち、30歳代と40歳代が63.4%を占めるが、50歳代~70歳代は19.4%と少ない。国も企業も警察もデータを偽造する昨今、私は市のデータを信じてはいるが、調査期間の短さと回答者世代の偏りが気になる。 私は、クレオ再生は所有者の筑波都市整備に任せるべきだと考える。つくばセンター地区(中心市街地の名称にはまだなれない)には、調査費用をかけないで再生活性化を考える場所がいくつもあるからだ。 F・ダラボンの『マジェスティック』 他人所有のクレオよりも、つくば市管轄で35周年を迎えたセンタービル中心部の活用再生を優先すべきと思っている。再生とは何か。フランク・ダラボン監督の『マジェスティック』(2001)にそのヒントがある。 ハリウッドB級映画で脚本家デビューしたピーター(ジム・キャリー)は、赤狩り対象リストに上がり、泥酔し、車の運転ミスで川に落ち、記憶をなくす。たどり着いた町でピーターを見た人は、「戦争に行ったルークが10年ぶりに戻った」と皆驚喜する。 その町では68人の若者が戦死した。失意の親たちは、ルークの帰還に息子の姿を重ねる。ルークの父親は閉鎖した映画館マジェスティックの館主で、ルークと映画館の再生を計画。これを町中の人が応援し、活気を取り戻す。 再生した映画館でルークは、自分が書いた脚本の作品を見て、記憶を取り戻す。これが前半部分である。後半は赤狩りをめぐる話となる。 映画館マジェスティック再生は、町民の共通の思いを掘り起こす、心の再生に他ならない。 センター地区の再生に名乗りを上げるのは誰なのか。再生する場所はどこなのか。私は、50歳代から70歳代の人々であり、アイアイモールに囲まれたセンタービルの何もない空間と考えるのだが、いかがなものであろうか。サイコドン ハ トコヤンサノセ。(脚本家)

クレオ 年内にも売却意向 つくば市関与の是非 判断迫られる

【鈴木宏子】西武筑波店とイオンつくば駅前店が撤退後、空き店舗となり閉鎖されているつくば駅前商業施設クレオについて、つくば市は4日開かれた市議会全員協議会で、所有者の筑波都市整備(同市竹園)が年内にも売却を行いたい意向であることを明らかにした。市が一定の財政負担をしてクレオ再生に関与すべきか否か、関与するとしたらどの程度か、市は早急な判断を迫られている。 市によると同都市整備には現在、民間事業者からクレオを取得したいという提案がいくつかあるという。ただし、撤退前までのように全体を商業施設として活用したいという提案は無い。一つの提案として、一部に公共施設を導入し、旧イオンつくば駅前店側にマンションを新たに建築、ほかは商業利用する提案があるという。 クレオの再生について市は今年6月、5、6階に図書館などの公共施設を約22億1400万円かけて入居させる案を調査したことを市議会に明らかにした。市はさらに調査費を計上し、現在、市がクレオの一部を賃貸または購入して公共施設を入居させる場合と、市または市出資法人がクレオを購入し一部に公共施設を導入するケースについて、費用などを詳細に検討する調査を実施している。 当初市は、今年12月までに調査結果をまとめるとしていたが、早急に判断を迫られていることから、五十嵐立青市長は4日、9月末に市の関与手法や負担額などの方向性を出していきたいと表明した。 8割が市関与求め、8割が商業施設望む 市は4日の全協で併せて、7月29日から8月15日まで市ホームページで実施したクレオの今後の在り方に関するアンケート調査結果を報告した。市の関与について「負担額にもよるが一定の財政負担をしても市が関与すべき」と回答した人は81.7%、クレオの在り方として商業施設を望む声が80.8%(複数回答)を占めた。 回答者は1247人。6月1日現在の市の有権者数18万525人と単純比較すると0.69%しかなかった。 回答者の住まいは87.7%をつくば市民が占め、全体の54.3%がクレオ近隣の学園地区住民だった。年齢は40代が32.9%、30代が30.5%と30、40代が6割を占めた。性別は男女ほぼ半々。回答者のつくば駅周辺の利用頻度は、年に数回来訪する人が最も多く34.7%、次いで月に数回が28.5%、週に数回は22.2%だった。 クレオの在り方については、商業施設に次いで公共施設、業務施設の順になった。

クレオ再生—関与すべきか、市場に任せるか つくば市がHPで2択アンケート

【鈴木宏子】一定の財政負担をしてもつくば市が関与すべきか、市場動向に任せ市は関与すべきでないか—西武筑波店とイオンつくば駅前店が撤退後、入居店がなく閉鎖されているつくば駅前の商業施設クレオの再生について、つくば市は7月29日から市ホームページ(HP)で、市が関与すべきか否かについて2択のアンケート調査を実施している。 「クレオの再生に向けた今後のあり方等に関するアンケート」で、質問項目は①クレオ跡地にどのような施設を望むか②市が関与すべきか否かなど。自由意見も書き込める。期間は8月15日まで。アンケートは市HPのみで受け付け、市民でなくてもだれでも回答できる。 これまで市は、つくば駅周辺の中心市街地に関し様々なアンケート調査を実施してきたが、クレオ再生に限定した意見募集はなかったことから、改めて市が関与すべきか否かを聞くという。 クレオについては現在、所有者の筑波都市整備(同市竹園)が、民間に売却することも含めて検討している。 一方つくば市は、5、6階に図書館、窓口センター、市民活動総合センター、子育て支援施設など公共施設を入居させることを検討し調査を実施。6月に、5、6階の設計・整備費用は約22億1400万円になることを明らかにした。現在さらに、クレオ5、6階を賃貸する場合と購入する場合のそれぞれについて、費用や運営方法などの調査を実施している最中。 市学園地区市街地振興室は「現在、あらゆる可能性を検討している。市が建物を全部購入する、一部購入する、全部借りる、一部借りる、市は関与しない—という選択肢があるが、どこかに重きを置いているわけではない。アンケート結果は判断材料の一つになる」などとしている。 アンケートは市HP(http://www.city.tsukuba.lg.jp/jigyosha/oshirase/1005078.html)またはhttps://s-kantan.jp/city-tsukuba-ibaraki-u/offer/offerDetail_initDisplay.action?tempSeq=8013&accessFrom=へ。問い合わせは電話029・883・1111(市学園地区市街地振興室)。

クレオに図書館移転を検討 つくば市 整備費用22億円

【鈴木宏子】西武筑波店とイオンつくば駅前店が撤退後、入居店がなく閉鎖されているつくば駅前の商業施設クレオ(筑波都市整備所有)の再生について、五十嵐立青つくば市長は12日、5、6階に図書館など公共施設を入居させることを検討していることを明らかにした。入居費用は約22億1400万円になるという。 図書館のほか、窓口センター、市民活動総合センター、子育て支援施設を5、6階に入居させることを検討している。図書館は、つくば文化会館アルス(同市吾妻)にある中央図書館を移転させることになるという。アルスの跡地活用は改めて検討する。 市によると今年1~3月、5、6階に市公共施設を入居させることを想定し、クレオの建物や設備の老朽化の状況などを約760万円掛け調査した。建物に問題はないが、老朽化が進んでいる設備が一部にあり、全棟を大規模改修する場合は約51億6200万円の費用がかかると試算した。さらに図書館を入居させる場合、クレオは商業施設として設計されており積載荷重が重くなるため、床などの構造補強を行うことが必要になる。5、6階2フロアの設計・整備費用は約22億1400万円になるという。 市は今後さらに、所有者からクレオ5、6階を賃貸する場合と購入する場合のそれぞれのケースについて、費用や運営方法などを調査するという。五十嵐市長は12日、同調査費用として約760万円を6月議会に提案した。結果は12月ごろまでにまとめるという。 クレオは地上7階・地下1階建て。延床面積は約5万6000㎡。5階と6階の面積はそれぞれ約5500㎡。アルスにある現在の中央図書館の面積は約2400㎡で、クレオに移転する場合、約1.8倍の4360㎡にすることを想定しているという。 クレオは筑波都市整備(同市竹園)が土地と建物を所有し、現在、売却も含め、新たな活用方法を検討している。つくば市の検討内容に対し同社は「つくば市の内容がよく分かってないのでコメントできません」としている。

理工系の書籍充実 リブロ クレオから移転、11日キュートに再オープン

【崎山勝功】つくばエクスプレス(TX)つくば駅近くの大型商業施設クレオ2階(つくば市吾妻)で営業していた書店「リブロ」(本部東京都豊島区)が、クレオの閉鎖に伴い、隣接のキュート2階に移転して11日から営業を再開した。新店名はリブロつくばキュート店。 「文化の発信拠点」を担う書店が全国的に減少傾向にある中、稲葉順店長は「(つくばは)30年来付き合いのある土地なので、つくばの本屋を守る」と意気込みを示した。その上で「ネット通販もあるけど、実際に見て、触れ、判断する手助けをしたい。書籍の中身を見て自分の感覚に合うかはネット通販では分からない」と、本と触れ合うことの重要性を説く。 同店は広さ約191㎡、取り扱い冊数は約4万冊。市内のショッピングモール内にある大型書店と差異化を図るため、理工系新書「講談社ブルーバックス」専用の本棚を2つ設置するなど理工系図書を充実する。主な客層として筑波大の学生や市内在住の研究者らを想定しており「車を使わなくても行ける書店」「コンパクトで幅広く」をコンセプトに据える。 同店を訪れた東京理科大薬学部5年の女子学生(23)=同市在住=は「理系を専攻しているので、勉強に役立ちそう。電車で通学しているので、駅の近くに書店があるとありがたい」と話した。 同店は1985年のクレオ開業以来、西武筑波店5階で約30年にわたり営業していたが、2017年2月末の西武撤退に伴いクレオ2階に移転。今年1月末のイオンつくば駅前店の撤退で、キュートに再移転した。

クレオ再開いつに? 来年2月以降完全閉店 「売却可能性ゼロでない」 議会が財政負担を決議

つくば駅前の大型商業施設クレオ(つくば市吾妻)から来年2月までにイオンつくば駅前店が撤退する。今年2月末の西武筑波店に続く相次ぐ撤退となり、科学万博が開かれた1985年にオープンしたクレオは後継店が決まるまで完全閉店となる。クレオを運営する筑波都市整備(同市竹園)によると西武撤退から10カ月が経ち現在も後継店の誘致を続けているが、再開の見通しはまだ立っていない。クレオ再開はいつになるのか。 クレオ2階では現在、専門店8店も営業している。同都市整備によると8店は来年1月末にそろって撤退する。そのうち呉服店「さが美」は隣接の商業施設キュートに移転、残り7店はキュートへの移転も含め交渉中という。 ■引き合い7割も断念 西武が撤退を発表したのは2016年8月。同都市整備は直後から後継店の誘致活動を続けてきた。まず全国規模で展開する百貨店を対象に誘致をしたが難航。続いて家電量販店や家具店などフロア単位で入居する大型店の誘致を行った。入居を希望する大小それぞれのテナントから引き合いがあり、何社かと交渉も進めた。 しかし「(面積の)7割程度の引き合いがあったが、維持管理費などコストを考えると赤字になる」などの判断から再開を断念したと、同都市整備の糸賀徹総務部次長は説明する。「賃料など条件が合わないところもあった」という。 建築から32年経ち設備の老朽化も指摘されている。イオン駅前店店長は閉店に関する顧客からの問い合わせに「開店後32年を経過し、建物や各施設自体に老朽化が進んでいる」(12月18日付け回答)とも言及した。 これに対し同都市整備は「設備の故障や修理はその都度、対応している」とし、設備の更新については「後継店が決まったら投資するが、今のところ見えないのでどうするとは言えない」と話す。 ■市が公共施設を 15日閉会したつくば市議会12月議会最終日、クレオなどの再生に市が施策を講じることを求める決議が採択された。多くの市民からクレオ再生を望む声が寄せられ、中心市街地に図書館の拡充や子育て関連施設など公共施設の整備を求める声が高いなどとして①市がクレオ内に公共施設を整備するなど一定の財政負担をする②同都市整備などに拙速にものごとを運ばないよう申し入れることを求める内容だ。背景にクレオ売却への懸念があったとされる。 同都市整備の糸賀次長は売却懸念に対し「建物が大きいので固定資産税などかなりの経費が掛かっている。いつまでも後継テナントが決まらないと支えきれないし、持ちきれない」とし「今後引き続き後継テナントを当たって目途がつかない場合、(売却の)可能性もゼロではない」と語る。 一方で決議に関しては「(市と)できるだけ協議したい」とし前向きに応じる意向だ。ただし7割の引き合いがあっても採算見通しが立たなかったことを考えると、市との協議がすんなり進むと見通せる話ではないのが実情だ。(鈴木宏子)

3月1日トナリエに移転 つくば献血ルーム

現ルームは25日まで 県赤十字血液センターのつくば献血ルーム(同市吾妻)が3月1日、つくば駅前のつくばセンタービル2階から、近くの商業施設トナリエつくばスクエア クレオ4階に移転する。同ルームは24年前の2000年4月に開設し、10年8月にリニューアルされた。移転は開設以来。現ルーム25日まで。移転に伴い26日から閉所となる。 同ルームの献血協力者が2010年度から22年度にかけて約1万人増加し約2万6000人となり、ゆとりある新たな空間が必要になったこと、設備の老朽化などが移転の理由だ。 移転後の床面積は、35平方メートル広い436平方メートル。土日祝日は予約で混雑することから健診室を増設し、健診医師が2人体制で常駐する。待合室には肘掛け付きの椅子が35席用意され、周囲の視線が気にならないよう座席の配置を工夫する。採血ベッドの台数は2台増え計15台となり県内最大数だ。 無料のWi-Fi環境を整え、座席近くに充電可能なコンセントを備える。多様なジャンルの漫画や雑誌、書籍などを閲覧でき、待ち時間や採血後の休憩のため快適で落ち着いた雰囲気を提供する。待合室の壁は筑波山をイメージした山々が連なる図柄となる。 同ルームの22年度献血協力者は2万6127人で目標者数の約2万4000人を約1700人上回っている。年齢別では50代が最も多く29.7%、次いで40代が26.4%だった。年に2回目以上献血するリピート率が高い傾向にある。 一方20代は13.9%、10代は3.1%と、若年層の献血離れが課題だ。同ルームは、Xアカウント(旧ツイッター)での発信や、周辺大学、高校への呼び掛けのほか、県による「10代・はたちの献血キャンペーン」を通して記念品をプレゼントするなど、若年層をターゲットとした周知活動を行い献血協力者確保に力を入れる。 コロナ禍では、学校や職場に献血バスが出張する献血バス会場がキャンセルになり、輸血用血液の在庫がひっ迫するなどの課題があった。現在ではほぼ解消している。 同ルームの平澤伸之所長は「24年ぶりにリニューアルオープンをするということで、快適な空間をぜひ体感してほしい。皆さんに驚いていただけるような献血ルームにできれば」と話し、森髙晋平管理係長は「新ルームはつくば駅直結で、商業施設内にあるので、買い物後に献血することも可能。駅や駐車場からも、よりアクセスしやすくなった献血ルームに足を運んでいただければ」と述べる。 つくばセンタービルを区分所有する新都市ライフホールディングス茨城事業本部(旧筑波都市整備)によると、移転後の跡地は現時点で未定という。(上田侑子) ◆新つくば献血ルームは3月1日午前10時にトナリエつくばスクエアクレオ4階に移転オープンする。受付時間は平日、土日祝日とも午前10時から午後5時30分まで(成分献血は午後5時まで)。「日本赤十字社ラブラッド」アプリで会員登録すれば献血の予約可能。血液検査の結果も確認できる。電話予約も可。問い合わせは電話0120-298-102または電話029-852-7888(つくば献血ルーム)へ。Xアカウントはこちら。

80年代の中森明菜とつくば《映画探偵団》72

【コラム・冠木新市】今年も、2月4日ホテルグランド東雲でやる『新春つくこい祭ツアー』(主催/国際美学院、つくば舞踊研究会)のプロデュースで幕を開ける。 演劇的な全3景の構成で、第1景はつくばセンター地区から筑波山に向かう「つくこい」バス車中での踊りの映画上映(実際に踊る)、第2景はゲスト歌手のショ一で、第3景は狸屋旅館の大宴会場で参加者が踊る。 第1景の日本舞踊とフラメンコの踊りには、毎回テ一マがある。2022年は筑波の歌を集めた「筑波組曲」。23年は生誕70周年を迎えた「アジアの歌姫テレサ・テン」の曲。そして、今年は「80年代の中森明菜」の曲にした。 昨年夏にはテ一マを決めていた。中森明菜の82年のデビュー曲『スローモーション』から91年の『二人静』まで、1年1曲で10曲踊る。 私には『二人静』が懐かしい。脚本家デビュー作、角川映画内田康夫・原作、榎木孝明・主演『天河伝説殺人事件』(監督市川崑)のイメージソングだったからだ。作曲家の関口誠人が歌うものと中森明菜が歌うものと、どちらも気に入りカセットテープに録音して繰り返し聞いた。 残念ながら映画の中では流れなかったが、市川監督がなぜ採用しなかったかは聞きそびれてしまった。 私が東京から来たのは1993年 10年間の中森明菜の歌声を10曲聞くうちに発見したことがある。中森明菜が歌姫になる過程と、つくばの街の成長がピッタリと重なるのだ。 デビュー翌年1983年、つくばセンタービルが完成したときは『禁区』。1985年、つくばエキスポセンターが完成し、ショッピングセンター「クレオ」がオ一プンし、国際科学技術博覧会が開幕したときは『ミ・アモーレ』。1987年、つくば市発足(大穂町、豊里町、桜村、谷田部町の4町村が対等合併)のときは『難破船』。 1988年、つくば市と筑波町が合併、つくば都市交通センターが設立されたときは『TATTOO』。1990年、つくば三井ビルがオ一プン、つくば市立中央図書館が開館したときは『水に挿した花』。1991年、つくば都市振興財団が設立され、常磐新線整備に関する基本計画を国が承認したときは『二人静』。 私が新新住民として東京から引っ越して来たのは1993年。つくば市が一段と落ち着いたときだった。30年が過ぎ今では、私もシン・旧住民となったが、できれば中森明菜のデビューした1982年に移転したかったと思う。 西部の荒野に忽然(こつぜん)と街が生まれ、形成されていく様子。また、そのときには中心地区だった谷田部や筑波町が、周辺地区と呼ばれるようになるプロセス。これらを見たかった気もするからだ。 今、中森明菜ブ一ムが起きている。そして、つくば市は「人口増加率全国1位」だ。シン・住民もドンドン越して来ている。そうそう、第2景では、キングレコード専属歌手の比気由美子さんに民謡版『少女A』を゙歌ってもらう。 もしかして、中森明菜デビュー当時と現在のつくばの状況は似ているのかもしれない。サイコドン ハ トコヤンサノセ。(脚本家) ➡NEWSつくばのサポータになって活動を支援してください。詳しくはこちら

80年代の中森明菜とつくば《映画探偵団》72

【コラム・冠木新市】今年も、2月4日ホテルグランド東雲でやる『新春つくこい祭ツアー』(主催/国際美学院、つくば舞踊研究会)のプロデュースで幕を開ける。 演劇的な全3景の構成で、第1景はつくばセンター地区から筑波山に向かう「つくこい」バス車中での踊りの映画上映(実際に踊る)、第2景はゲスト歌手のショ一で、第3景は狸屋旅館の大宴会場で参加者が踊る。 第1景の日本舞踊とフラメンコの踊りには、毎回テ一マがある。2022年は筑波の歌を集めた「筑波組曲」。23年は生誕70周年を迎えた「アジアの歌姫テレサ・テン」の曲。そして、今年は「80年代の中森明菜」の曲にした。 昨年夏にはテ一マを決めていた。中森明菜の82年のデビュー曲『スローモーション』から91年の『二人静』まで、1年1曲で10曲踊る。 私には『二人静』が懐かしい。脚本家デビュー作、角川映画内田康夫・原作、榎木孝明・主演『天河伝説殺人事件』(監督市川崑)のイメージソングだったからだ。作曲家の関口誠人が歌うものと中森明菜が歌うものと、どちらも気に入りカセットテープに録音して繰り返し聞いた。 残念ながら映画の中では流れなかったが、市川監督がなぜ採用しなかったかは聞きそびれてしまった。 私が東京から来たのは1993年 10年間の中森明菜の歌声を10曲聞くうちに発見したことがある。中森明菜が歌姫になる過程と、つくばの街の成長がピッタリと重なるのだ。 デビュー翌年1983年、つくばセンタービルが完成したときは『禁区』。1985年、つくばエキスポセンターが完成し、ショッピングセンター「クレオ」がオ一プンし、国際科学技術博覧会が開幕したときは『ミ・アモーレ』。1987年、つくば市発足(大穂町、豊里町、桜村、谷田部町の4町村が対等合併)のときは『難破船』。 1988年、つくば市と筑波町が合併、つくば都市交通センターが設立されたときは『TATTOO』。1990年、つくば三井ビルがオ一プン、つくば市立中央図書館が開館したときは『水に挿した花』。1991年、つくば都市振興財団が設立され、常磐新線整備に関する基本計画を国が承認したときは『二人静』。 私が新新住民として東京から引っ越して来たのは1993年。つくば市が一段と落ち着いたときだった。30年が過ぎ今では、私もシン・旧住民となったが、できれば中森明菜のデビューした1982年に移転したかったと思う。 西部の荒野に忽然(こつぜん)と街が生まれ、形成されていく様子。また、そのときには中心地区だった谷田部や筑波町が、周辺地区と呼ばれるようになるプロセス。これらを見たかった気もするからだ。 今、中森明菜ブ一ムが起きている。そして、つくば市は「人口増加率全国1位」だ。シン・住民もドンドン越して来ている。そうそう、第2景では、キングレコード専属歌手の比気由美子さんに民謡版『少女A』を゙歌ってもらう。 もしかして、中森明菜デビュー当時と現在のつくばの状況は似ているのかもしれない。サイコドン ハ トコヤンサノセ。(脚本家)

つくば駅前複合施設、6月1日着工 大和ハウス工業

TXつくば地下駅(つくば市吾妻20街区)上の社有地に商業ビルなどを建てる準備をしてきた大和ハウス工業(本社・大阪市)は、建設準備が整ったことから、6月1日から工事に着手する。30日午前には、五十嵐立青つくば市長、高吉忠広大和ハウス執行役員、八友明彦同社茨城支社長らが出席し、同街区の建設現場で地鎮祭が行われた。 商業ビル:16店とオフィスが入居 5階建ての商業ビル(名称は「ディールつくば」、延床面積1万188平方メートル)、4階建ての新茨城支社ビル(同3337平方メートル)、5階建ての駐車場(同7403平方メートル、353台収容可)から成る駅前複合施設が建設されるのは、中央通りと市立吾妻小に挟まれた場所。これまで駐車場だった用地は7639平方メートル(2315坪)あり、つくば駅周辺では超一等地。 八友支社長によると、商業ビル(南棟)の1~2階には、飲食店、クリニック、フィトネスクラブなど16店が入り、3~5階はオフィス用スペースになる。このビルには、つくば駅の地下コンコースから雨に濡れずに中に入れるよう、地下階~地上2階をつなぐエレベーターが設置される。 支社ビル:グループ従業員が勤務 現在の茨城支社(つくば市東新井)は西大通りと南大通りがぶつかる角にあるが、新支社ビルが完成した後、つくば駅前に引っ越す。茨城支社が入る北棟には、大和ハウスのほか、大和リビング、大和ハウスリフォームなどグループの5社も入居する予定で、約240人の従業員が勤務する場所になるという。 商業ビルと新支社ビルは2024年9月末までに完成させ、同年10月にオープンする予定。駐車場棟はすでに着工しており、今年11月末に完成する。商業ビル、新支社ビルが完成するまでは工事用車両の駐車場所に使うという。一般車両が使えるようになるのは、2つのビルがオープンする24年10月からになる。 大和ハウスグループは、戸建てやマンションなどの住宅、ショッピングセンターやビジネスホテルなどの商業施設、工場や物流施設などの事業施設を手掛けている。つくば市内では、研究学園駅前のショッピングモール「イーアスつくば」を運営するなど存在感が大きい。つくば駅周辺では、トナリエクレオ前の商業ビル「BiVi」や中央通り沿いの「ダイワロイネットホテルつくば」を運営している。

閉店してしまった「珈琲俱楽部なかやま」 《ご飯は世界を救う》55

【コラム・川浪せつ子】今回は3月に閉店してしまった「珈琲俱楽部なかやま」さんです。なくなったお店の絵を掲載するのは初めてです。絵を見て行きたくなられた方、すみません。いつ開店したのか正確にはわかりませんが、たぶん40数年前。まず土浦に新店舗を構え、その後そのお店を閉め、35年前、先日閉店した本店(つくば市古来)を開いたようです。 私が初めて「なかやま」さんに行ったのは、本店ではなく、友朋堂書店の斜め前にあったお店(つくば市吾妻)でした。このときの感動は忘れません。あまりにもオシャレだったからです。そのときは保育所に子供を預けた後の時間。若い私にとってコーヒー500円はとても高く、その後は一回も行けませんでした。 その後、西武百貨店(クレオ)の斜め前に、新しいお店が出来ました。そのときも、まだ子育てに手間とお金がかかるころ。お茶するのなら、隣のハンバーガーショップでよいと思っていました。ある日、年上の絵のお友だちが「ここに入りましょ」と誘ってくださったとき、私のちょっと渋った様子を見て、「私がごちそうするから!」 そして、優雅で素晴らしい空間を初めて体験して、いつかきっと私も自分のお金でここにランチに来ようと思いました。 私とお店のストーリーが同時進行 時が過ぎ、私は「なかやま」さんでランチし、スィーツを食べ、たくさんの絵を描かせていただきました。店内のギャラリーコーナーで、展示会も数回開催させていただきました。ですが、西武がなくなった後、ここも閉店されました。古来の本店だけになってからは、我が家から少し距離があるため、あまりお伺いできなくなり、閉店を知ったときはショックでした。 初めコーヒーの値段に躊躇(ちゅうちょ)したことが、今思えばおばかさんだったなぁ、と。コーヒーの値段は、フラワーコーディネート、いろいろな調度品、そんな空間を大切に慈しみ、心が満たされる空間を演出するお値段だったのだ、と。 書きたいことはたくさんあり、全部はお話しできません。私自身のストーリーはお店と同時進行していました。あの時間が私の生きてきた道とリンクしていたと、「なかやま」さんの閉店で思い出されます。感謝です。お店を守ってきた方、まだ行き先が決まっていないとか。どうかステキな道を見つけられますように。 「なかやま」さんで修業された方が、今は自分のお店を持たれています。志は永遠に。古民家カフェ「ポステン」(つくば市北条)と炭火焙煎珈琲「ぬまもと」(牛久市さくら台)です。(イラストレーター)

閉店してしまった「珈琲俱楽部なかやま」 《ご飯は世界を救う》55

【コラム・川浪せつ子】今回は3月に閉店してしまった「珈琲俱楽部なかやま」さんです。なくなったお店の絵を掲載するのは初めてです。絵を見て行きたくなられた方、すみません。いつ開店したのか正確にはわかりませんが、たぶん40数年前。まず土浦に新店舗を構え、その後そのお店を閉め、35年前、先日閉店した本店(つくば市古来)を開いたようです。 私が初めて「なかやま」さんに行ったのは、本店ではなく、友朋堂書店の斜め前にあったお店(つくば市吾妻)でした。このときの感動は忘れません。あまりにもオシャレだったからです。そのときは保育所に子供を預けた後の時間。若い私にとってコーヒー500円はとても高く、その後は一回も行けませんでした。 その後、西武百貨店(クレオ)の斜め前に、新しいお店が出来ました。そのときも、まだ子育てに手間とお金がかかるころ。お茶するのなら、隣のハンバーガーショップでよいと思っていました。ある日、年上の絵のお友だちが「ここに入りましょ」と誘ってくださったとき、私のちょっと渋った様子を見て、「私がごちそうするから!」 そして、優雅で素晴らしい空間を初めて体験して、いつかきっと私も自分のお金でここにランチに来ようと思いました。 私とお店のストーリーが同時進行 時が過ぎ、私は「なかやま」さんでランチし、スィーツを食べ、たくさんの絵を描かせていただきました。店内のギャラリーコーナーで、展示会も数回開催させていただきました。ですが、西武がなくなった後、ここも閉店されました。古来の本店だけになってからは、我が家から少し距離があるため、あまりお伺いできなくなり、閉店を知ったときはショックでした。 初めコーヒーの値段に躊躇(ちゅうちょ)したことが、今思えばおばかさんだったなぁ、と。コーヒーの値段は、フラワーコーディネート、いろいろな調度品、そんな空間を大切に慈しみ、心が満たされる空間を演出するお値段だったのだ、と。 書きたいことはたくさんあり、全部はお話しできません。私自身のストーリーはお店と同時進行していました。あの時間が私の生きてきた道とリンクしていたと、「なかやま」さんの閉店で思い出されます。感謝です。お店を守ってきた方、まだ行き先が決まっていないとか。どうかステキな道を見つけられますように。 「なかやま」さんで修業された方が、今は自分のお店を持たれています。志は永遠に。古民家カフェ「ポステン」(つくば市北条)と炭火焙煎珈琲「ぬまもと」(牛久市さくら台)です。(イラストレーター)

音楽家たちに発表の場を つくばのカフェで演奏会

カフェやレストランなどを使って音楽家が発表する場をつくりたいと、つくば市内で飲食店を経営する飯泉智弥さん(49)が音頭をとり、同市竹園の商業施設、ヨークベニマルタウン内のエヌズ カフェ(N's Café)で20日、家族連れや関係者を招いたミニコンサートが開かれた。 飯泉さんは2017年に、小学1年生から大学生までの「筑波ジュニアオーケストラ」の立ち上げに尽力した(2017年10月27日)。21年にはつくば駅前の商業施設トナリエつくばスクエア・クレオに地元の音楽愛好家たちのためストリートピアノ「つくぴあ」を設置した。 その後、ストリートピアノの利用者たちの間から、定期的な音楽会をやってみようという声が上がったという。 飯泉さんは、どんな形で開催できるか、まずは試しにやってみようと、自らがオーナーとなっているカフェをプレ・イベントの開催会場とした。 店内のどの場所で演奏するか探りながら、当日はカフェの中央にステージを作った。来店客は、テーブルに座って食事をしながら音楽を聞く形になった。 演奏したのは昨年結成されたばかりの地元音楽家による「トリオ・キュイキュイ(Trio CUICUI)」で、オーボエ奏者の川澄萌野さん、クラリネットの中根瞳さん、ファゴットの田部井梓穂さんの3人。川澄さんが進行役を務め、クラシックとしては短い曲のモーツァルト「5つのディヴェルティメント第4番より第5楽章」など5曲を演奏し、初心者にも分かる形で楽器などを紹介した。演奏後、投げ銭箱が各テーブルを回った。 飯泉さんは「つくばにはたくさんの音楽家がいる。彼らはつながりがなく発表の場がないと聞く。街づくりと音楽家を支援するという意味からも、今回のプロジェクトを推進していきたい。まだ始めたばかりで、いろんな音楽ジャンルにも挑戦していきたい」と話す。 演奏者に会場を提供していくという立場で進めていくとし「こちらから出演料を払う予定はないが、店舗を貸し切りにして、店舗の会計とは別にチケットを販売する等、自由にしたい。カンパという形式もあるが今は検討中。その他、方法は模索中だが、定期的に、例えば金曜日の夜という形で実施していき、音楽によってさらに交流が深まることを期待している」と語った。 今回演奏したトリオ・キュイキュイの3人は「メンバーを集めて結成したのは昨年だったが、さまざまな事情で集まれず、今月11日に初めて練習を開始し、20日が初めての本番となった。クラシックから演歌まで、幅広くなんでもやってみたい。コロナ禍で生演奏を聴く機会、演奏する機会が共に減っていて寂しかったが、これからいろいろやっていきたい。生の響きは違うので生演奏をもっと聴いてほしい。つくばの方々に気軽に聴きに出掛けられるような、身近な存在でありたい」と話した。(榎田智司)

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