水曜日, 5月 22, 2024

桜川の環境見守る「川守」養成 参加者募集 5月から体験学習会

NEWSつくば、漁協、市民グループが協力 【お知らせ】NEWSつくばは、桜川漁業協同組合、市民グループ「桜川ナマズプロジェクト」と協力し、つくば市などを流れる桜川に親しみ、川を見守る人「川守(かわもり)」を養成する体験学習会「川の未来を考えよう!―2024桜川川守養成プログラム」を5月から開催します。 つくばや土浦市を通り霞ケ浦に流入する桜川は1960年代まで、地域の人が泳いで遊べる川でした。漁業者によると当時は、飲むことができるほど清らかな川で、シジミやウナギ、モクズガニなどがいたそうです。 今、桜川は水質悪化、川辺の荒地化や不法投棄、外来魚のアメリカナマズやハクレンの増加、ワカサギの記録的不漁など様々な課題を抱えています。 これらの課題に取り組もうと、桜川漁業協同組合(鈴木清次組合長)は地域住民と共に、川辺の整備や清掃、稚魚の放流、アユの産卵床をつくるための河床耕うんなどに取り組んでいます。NEWSつくばは2023年3月からこれまで計11回にわたって漁協組合員らの活動や桜川の課題などを取材し報道してきました。 一方、組合員は平均年齢80歳と高齢化しており、川の環境を見守る次世代の担い手が必要です。桜川漁協の鈴木清次組合長は「私たちが子どもの頃は、桜川は澄んだ水でした。澄んだ水の桜川を取り戻し、漁業者にとって魅力ある川にしたい」と話しています。 そこで、NEWSつくばと桜川漁協、ナマズプロジェクトの有志が実行委員会(代表・田中めぐみNEWSつくばライター)をつくり、NEWつくばなどが後援し、桜川の環境を見守る「桜川川守養成プログラム」を企画しました。 養成プログラムは年5回実施し、漁協組合員から昔の話を聞いたり、桜川で親から子へと伝わってきた投網を学んだり、1辺6メートルと川では最大級の四手網(よつであみ)を見学したり、特定外来魚のアメリカナマズを釣って駆除したりと様々なプログラムを予定しています。このプログラムで桜川に親しみながら生態系や伝統漁法について知り、桜川の川守になってみんなで環境を見守りませんか。 4回以上プログラムに参加した人を実行委員会が桜川を見守る「川守」に認定します(イベントは来年度も開催予定ですので、来年にかけて参加も可)。川守になった人には認定グッズを進呈し、桜川での地域活動のイベント情報をお知らせする予定です。 【24日追記】「2024桜川川守養成プログラム」の参加申込は定員に達したため締め切りました。 2024桜川川守養成プログラム ▷第1回 プレイベント 投網講習会(桜川の昔と今についてのお話)日時 5月5日(日)午前10時~午後2時 小雨決行場所 つくば市松塚 桜川漁業協同組合拠点参加費 1回500円/1人対象 小学生から大人まで(小中学生は保護者同伴)。動きやすい服装で申込 参加申込受付フォームから申し込む。締め切りは4月30日(火)定員 各プログラム10人。 以降のイベント日時と予定(内容は天候等の事情で変更となる場合があります)▷第2回 ハクレンジャンプ見学と在来魚・外来魚の勉強会6月9日(日)小雨決行 午前10時~午後2時 ▷第3回 特定外来魚釣り大会と外来魚の試食会 7月予定▷第4回 稚魚の放流体験と投網講習会(予定)9月予定▷第5回 1辺6m四手網見学会と伝統漁法勉強会(予定)10月6日(日)小雨決行 NEWSつくば「桜川と共に」の過去記事は下記の通り1、平均年齢80歳 漁協組合員ら不法投棄撤去し見回り➡2023年3月17日付2、消えたワカサギ 水遊びの生態系から➡23年4月3日付3、アメリカナマズに熱視線 「ガチ中華」で食べて活用➡23年4月25日付4、川遊び創出に海洋クラブ助け船➡23年5月29日付5、4年ぶりにゴロが戻ってきた➡23年7月4日付6、特定外来魚駆除へ 釣り大会開き活用法模索➡23年7月16日付7、アメリカナマズを四川料理に ガチ中華で食事会➡23年7月20日付8、川を次世代に託す 児童らフナの放流体験➡23年7月23日9、産卵床を造成 アユを呼び戻したい➡23年10月12日10、ボランティアで荒れ地を整備 河川敷が憩いの広場に➡23年10月28日11、「汚した環境 未来に」放流体験通し標語➡24年3月14日

「地方自治は生活に直結」 コロナ禍の経験踏まえ法改正考える勉強会 龍ケ崎

政府が3月1日に閣議決定し、国会に提出した地方自治法改正案への懸念が広がる中、龍ケ崎市の宇野武さん(44)が、3月から4回に渡り「地方自治法を考える勉強会」を開いている。4月29日には識者を招き講演会を企画する。宇野さんは同市で接客業を営む。問題意識の背景にはコロナ禍で苦労を経験し、地方自治を身近な問題と捉えられるようになったことがある。 講演会は、龍ケ崎、取手を中心に主婦、会社員、市議ら約15人による市民グループ「地方自治法を知って繋がろう会」が中心になって開催する。宇野さんは「地方自治法改正は生活と直結し、子ども達の将来とも地続きの問題。大人が責任を持って自分で考えることが大切」だとし、「すべての自治体職員、地方議員、住民が当事者になりうるので、つくば、土浦の人たちにも呼び掛けて広めていきたい」と語る。 同法改正案は、「対等協力」の関係とされた国と地方公共団体の関係を一変させるといわれる。改正案では、感染症によるパンデミックや大規模災害などの非常時に、個別の法律に規定がなくても国が地方自治体に必要な指示を出せる「指示権」が盛り込まれる。日本弁護士連合会は「指示権」を認める要件の曖昧さを指摘し政府による乱用を懸念する声明を出している。また市町村税の賦課徴収、飲食店営業や病院・薬局の開設許可、都市計画の策定など、本来自治体に任される自治事務への国の不当な介入を誘発するおそれが高いと指摘する。全国知事会も「国と地方の対等な関係が損なわれるおそれ」から指示権の拡充について「行使は最小限に」と要望した。 批判的目線に悩みながら店を開け続けた 宇野さんは家族と陶板浴施設「竹屋陶板浴」(同市栄町)を営む。時間をかけて身体を温める陶板浴には常連も多くいる。宇野さんがこの問題を身近に感じる背景には、店を続けるために苦しんだコロナ禍での思いがあるという。 当時、営業の可否は「自粛」として事業者の判断に任された。一方で、補償も不十分な中で「できればお店を開けないでね、という空気」が強かった。宇野さんは、向けられる批判的な目線に悩みながらも、店を拠り所にするお客さんを思いながら店を開け続けた。 それでも当時は店の開け閉めを事業者自身が判断できた。それが今回の法改正では事業者の意思とは無関係に営業停止を強制される可能性があるという。さらに、暮らしを左右しかねない「指示」が出される基準が不明確であり、本来必要のない場面で指示が出される懸念が残る。「私たちは保健所の許可を得て仕事をしている。今回の地方自治法改正案では保健所の運営にも国は口を出せる」と宇野さんは不安を抱く。 「コロナ禍では都市封鎖した国もある。国が強制力を増す代わりに十分な補償を出すということは、短期的に見ればすごくいいように見える。ただ、中央集権が強化され地方自治が抑制されると、中央の人次第になる。誤れば大惨事になるのは歴史が物語る」と、地方自治を停止させ中央政府に権限を集中させたナチス期のドイツなどを例にあげ危機感を語る。日本は地方自治を憲法8章に明記し、憲法審査会は地方自治の意義を「強大な中央政府の権限を抑制する」ものであるとしている。 宇野さんは「私には商売があるので、コロナ禍で補償金がちゃんと出るとなった時の気持ちの揺れ動きは、正直、自分の中にもあった。しかし、子どものことを考えると目先のことで大切なものを譲るのは違うと思う」とし「地方自治法改正は、ダイレクトに生活に影響してくると考えている」と語る。 知って、考えることから始めたい 宇野さんは以前、会社員として、当時暮らしていたつくば市から都内へ通勤していた。「会社にちゃんと行けば給料が出て休みもある。自分のことだけ気にしていた」と当時を振り返る。店を持つ今は「人任せではいられない。自分で考え主体性を持つ必要がある」と自身の変化を感じている。 勉強会を始めたきっかけは、2月に参加した教育に関する講演会だった。登壇したある地方議員から地方自治法改正への問題提起があった。帰宅し自分なりに調べると問題の重要性に気がついた。社会問題に関心の強い妻から「こういうことは、ちゃんとやったほうがいい」と背中を押され、周囲の人たちに呼び掛けた。 「地方自治は、何かあった時に地方が国と対等な立場でバランスを取り安全装置になれるという壮大な仕組みだと気がついた。とんでもなく面白いし、これが改正されるというのは注目する必要がある」。一方で「生活と直結するはずなのにリアリティを持ちにくい」と感じている。「まずはみんなで知って、考えることから始めたい。知ってもらう人が一人でも増えたら」と宇野さんが語りかける。 4月29日には、地方自治法改正の問題を提起する神奈川県小田原市の城戸さわこ市議を招いて、子育てや日々の暮らしから見た課題を話し合う。(柴田大輔) ◆講演会「みんなの街と生活と地方自治のはなし」は、4月29日(月)午後2時から、龍ケ崎市栄町4356の竹屋陶板浴で。参加費1000円。 10代は無料。定員20人。詳細は同イベントページへ。

常陸農協が子ども食堂を開設《邑から日本を見る》158

【コラム・先﨑千尋】今月13日、常陸農協(秋山豊組合長)は、那珂市瓜連にある「ふれあいプラザ瓜連」の一角に「子ども食堂(スワン食堂)」を開設した。同プラザは旧瓜連支店の事務所だったところで、近くの小学生や親子連れの家族でにぎわい、50人以上が来店した。この日のメニューはカレーライスと野菜サラダ、ゼリーなどで、12時半には売り切れとなった。 同農協では5年前から、子どもたちに農協を知ってもらい、身近に感じてもらおうと「子ども食堂」を開く準備を進めていたが、コロナ禍で地区内の小学校の了解を得られず、農協女性部のメンバーを中心に「レインボーサロン」を立ち上げ、準備を進めてきた。月に1回、メニューの開発をし、郷土料理などで腕を磨いてきたが、最近では毎回30人近くが参加し、ソバ打ちや豆腐、コンニャクづくりなど、地元の素材を使い、季節に合わせたメニューは、仲間からもおいしいと評判を呼んでいる。 茨城県内では、農協が各種の子ども食堂に食材を提供してきた事例はあるが、農協自体が運営主体となったケースは初めてだ。全国でも農協直営の子ども食堂は多くはない。「全国共済農協連(全共連)」の地域貢献活動の支援も受けている。3月23日のプレオープンの時にも50人近い参加者があった。スタッフはレインボーサロンの会員たち。 農協がどうして子ども食堂に取り組むのかについて、秋山組合長は「子どもがどんどん少なくなって、地域が寂しくなる。こうした状況を見て農協が何もしないでいるのは耐えがたいと感じていた。次世代に農協の存在を知ってもらう方法として子ども食堂を開くことを考えついた」と話す。 「ふれあいプラザ瓜連」の萩野谷一成店長は「当面、月に1回開くが、回数を増やしたい。子どもたちにも料理づくりに参加してもらったり、近くの畑を借りて有機野菜を栽培し、食材に使ったりすることなども考えていきたい。周辺の高校生や大学生の力を借り、学習支援にも取り組んでいきたい」と、今後の抱負を語っている。 子ども食堂は全国で増えている 子ども食堂は、2012年に東京都大田区の「きまぐれ八百屋だんだん」というところで始めたのが全国初。その後、子どもや保護者、地域住民に無料または安価で「栄養のある食事・温かな団らん」を提供するための社会運動になり、テレビや新聞雑誌など多くのメディアから注目を集め、瞬く間に全国に広がっていった。 NPO全国こども食堂支援センター「むすびえ」の調査によると、子ども食堂は18年以降毎年1000カ所以上増え続け、昨年10月現在で全国に9132カ所あり、利用者は推計で大人と子ども延べ1584万人、うち子どもは1091万人に達した。同年度の公立中学校の生徒数とほぼ同じになる。県内の子ども食堂は今年2月現在で187カ所あり、水戸、つくば、日立、土浦市など、都市部に多い。 子ども食堂は子どもの貧困対策というイメージが先行していたが、最近は食育推進や子育て支援、世代間交流、地域活性化など、地域の特性に合った様々な活動が取り組まれているようだ。農協が地域の子どもたちとどう関わっていくのか。今後の同農協の子ども食堂の展開を注目したい。(元瓜連町長)

フル 男女とも連覇達成 かすみがうらマラソン

1万1538人が出走 第34回かすみがうらマラソン兼国際ブラインドマラソン2024(土浦市など主催)は21日、土浦市川口の川口運動公園J:COMフィールド土浦を発着点に開催された。フルマラソン、10マイル(約16キロ)、5キロの各部門で計1万1538人が出走した。フルマラソンの部では男女とも昨年の優勝者が連覇を達成した。 フルマラソン女子は松村幸栄(36)=埼玉県・コモディイイダ=が2時間42分20秒で優勝。「シーズン最初のフルマラソンで勝ててよかった。昨年の記録を更新できなかったのは残念」との感想。スタートから抜け出し、コース前半は2位の選手と並走。「前半はアップダウンがあるが、ここで頑張りすぎると後半が苦しくなる」との意識で、28キロあたりからギアを上げ、独走状態に入った。沿道からの「女子で一番だよ、頑張って」などの声援にも力をもらったという。 フルマラソン男子はケニア出身のガンドゥ・ベンジャミン・デゴワ(32)=栃木県陸上競技協会=が2時間16分19秒で優勝。こちらも去年の自身の記録には及ばなかった。「今年も一番を狙っていた。優勝はうれしいが、記録はちょっと悪かった。目標としては2時間7分台を切れるようになりたい」と感想。17キロからトップに立ち、一人旅となったためペースがつかみにくく、暑さの影響もあったという。去年の壬生町から職場が変わり、今年は米沢市でスポーツ指導員を務めている。 10マイル女子はシドニーからの招待選手アビゲイル・ノードバーグ(33)。「最後、すごく競って勝てたのでうれしい。とても興奮している」との感想。先月の名古屋ウイメンズマラソンはけがで出走できず、「日本でぜひ走りたかったので、この大会にエントリーした」とのこと。レース後は寿司やラーメンを思う存分食べるのが楽しみだそうだ。ハーフマラソンで1時間11分05の個人記録を持ち、1500メートルでは五輪代表候補に選ばれたこともある。 10マイル男子は実業団招待選手の下條乃將(24)=山形県・NDソフト。「調子が上がっておらず勝てるかどうか自信がなかったが、思ったよりも走れた。前半からレースを引っ張り、勝ちきることができて自信になった」との感想。明治大学で3年時に箱根駅伝5区、4年時に同9区を走った。かすみがうらは初めてだが、1年前に合宿でこの辺りに来たので、それを思い出しながら走れたそうだ。 5キロ男子は斉藤直希(27)=日立市・ひたち医療センター。「去年は1秒差で2位だったので、今年はリベンジしたいと臨み、勝ち切れてよかった」と話す。スパート合戦で敗れた経験を生かし、練習ではスパートのキレを意識して磨いてきた。その成果が出て、最後まで粘って全力を出しきることができたという。職業は看護師で、一昨年までは土浦協同病院に勤務していた。「病院は夜勤もあり時間が不規則だが、走ることでオンオフが切り替えられリフレッシュできる」 5キロ女子は寺嶋悠葉(20)=宮城県・石巻専修大学=が優勝。「表彰台は目指してなかったが、勝ててうれしい。かすみがうらは初めてだが、事前に聞いていた通り平坦で走りやすかった」と話す。2、3位は県勢で、2位の園部亜唯彩(15)=水戸市・水戸一高=は「小さい頃から走るのが好き。今日はつらかったが頑張れた」、3位の朝倉万里子(44)=笠間市・東京海上日動水戸支社=は「すごくうれしい。気持ちよく走れた」との感想だった。(池田充雄)

秋田で「新作花火コレクション2024」《見上げてごらん!》26

【コラム・小泉裕司】4月27日(土)、秋田県大仙市で「大曲の花火-春の章」が開催される。大会プログラムのメーンは、次代を担う45歳以下の若手花火師による花火競技大会「新作花火コレクション2024」。「10号芯入割物の部」と、4号10発、5号5発による「新作花火の部」の2部門で競われ、各部門の優秀作品4作品と総合優勝者1人を決定する。 また、会場で鑑賞した花火鑑賞士のオンライン審査により選ばれた花火師に、「日本花火鑑賞士会特別賞」として、ドラえもん黄金ブロンズトロフィーを授与する。 山﨑煙火製造所の匠の技 茨城県からは、山﨑煙火製造所(つくば市)の石井稔さん(40)が初出場。18歳で入社、経験年数で言えば20年を超える中堅花火師。社交的な場面は得意ではないとのことだが、技術力のある若手登用を掲げる山﨑智弘社長の後押しで、今回の出品が実現したように思う。 4月4日(木)、秋田県大仙市のコミュニティFM局 FMはなびの「花火の星」に出演し、師匠・杉山花火師の弟子として、社名を汚さない花火をご覧に入れることができればと、大会出場への意気込みを語った。 10号玉の部は、最高難度と言われる「昇曲付五重芯銀点滅」を出品。これまでも数々の競技大会で優勝の実績を残す山﨑煙火の十八番だ。特に、親星(下記解説)全体が銀色にキラキラと点滅しながら一斉に消滅する消え口の見事さは、ほかの花火師もあこがれる匠の技。点滅の消え口は、素人目にも鮮やかで夜空に残る余韻が心地よい。 石井さんは、工場内では多重芯の星込めが専門と言うから、色のキレを含め、他作品の追随を許さぬ「ぶっちぎり」状態は間違いない。 新作花火の部の作品名は「雪舞いの笠地蔵」。おとぎ話の世界の描き方に興味津々。昨夏の大曲で観客が驚愕(きょうがく)し、10号自由玉の部で優勝した「海月(くらげ)、漂う」の創造性が生かされるのだろうか。キラキラの銀点滅による「雪舞い」なのだろうか、勝手に想像を巡らせている。 こうしたネーミングはとても重要で、来場者は、打ち上げ前のイマジネーションを膨らませると同時に、打ち上げた花火との整合性を楽しむ。大会審査においても、主要な評価項目に違いない。 花火鑑賞士特別賞の行方は? 大会審査員は、出品作品に順位を付ける公正厳格さが求められる一方、花火鑑賞士会賞は、作品の出来映えを踏まえながらも、好みの煙火業者に票を投じる鑑賞士も少なくないように思う。それはそれでいいと思っている。 私たち花火鑑賞士は、競技大会をはじめ各地の花火大会を鑑賞しながら、花火の魅力に陶酔し、好みの花火や煙火業者への思いを募らせる。こうした過程を経て投じる1票だ。点数化できない「思い」「心」を花火師に届けたいのだ。 今大会の出場者18人中、11人が初出場と昨年までと様変わりしており、普段は訪れることのない地で活躍する花火師の作品を、仲間と堪能できることもうれしい。 半年前からホテルを予約… いずれにしても、この1票のために半年前からホテルを予約し、GW初日の1カ月前の10時ちょうど、「えきねっと」の予約画面に立ち向かったのだから、あとは気象神社の木箱入りお守りにすべてを託すのみ。本日はこの辺で「打ち留めー」。「ドドーン キラキラキラ!」。(花火鑑賞士、元土浦市副市長) 親星:丸く開く割物花火は、幾重もの「芯星」と一番外側の「親星」で構成されている。

飲み屋街の看板群の秘密《看取り医者は見た!》17

【コラム・平野国美】私は家系的に下戸で、飲み屋に出かけることは滅多にありません。しかし、ある時から飲み屋街の看板を眺めて歩くのが好きになりました。特に、陽が落ちてネオンに電源が入り浮かび上がった様は格別なのです。 その日もスマホを片手に飲み屋街の写真を撮っていました。そうしたら、後ろから怪しい男がついてくるのです。踏み込んではいけない場所に足を入れてしまったのか? 写してはいけないものを撮ったのか? 足早に立ち去ろうとすると、「おい、待て」と声をかけられたのです。 怪しいお前も看板屋か? 見た目70代の男は服装こそラフですが、危険な感じはありませんでした。「お前は同業者か?」と顔をのぞき込んできました。この方は何を生業(なりわい)としている方なのだろうか? 「さっきから見ていると、飲み屋の看板をずっと撮影しているから、看板屋か? 映画のセット屋か?」と、尋ねてきました。自己紹介は省略して、「おいちゃんは何をする方?」と尋ねると、「昔はな、こういう飲み屋の看板とか作ってたんだ。あんたも同業者かと思ってな」と答えました。 「お話を聞かせてください」と、喫茶と書かれた看板の店に一緒に入りました。場所は奥浅草の千束通り辺り。時間は夜の8時。古い「昭和」の喫茶店に2人で入り、生ぬるいコーヒーを飲みながら話を聞いたのです。 看板・のれん・マッチ箱 「仕事はデザイナーということでしょうか?」「デザイナー? そんなんじゃないな。俺、そういう奴ら嫌いなの。蝋石(ろうせき)って知ってるか? 子供のころから、あれで道に絵や文字を書いて遊んでいたのよ。字がうまいっていうんじゃなくて、なんていうかなあ」 何が言いたいのかを推測して、「味のある字が書けるみたいな?ですか」「そう、それだ。少し、近所じゃ評判になった。書道でも習うかって言われたけど、ああいう堅苦しいのは、俺ダメ。学校も大嫌い」と懐かしそうに語るのです。 「ある日、いつも通り、蝋石で遊んでいたら、ちょっと強面(こわおもて)のおっさんが、ずっと上から眺めているんだよ。おい坊主、卒業したら、うちに来いって言われ、いつの間にか、そこに就職したんだ」 コーヒーを一口すすって、「事務所と言っても、親方の家にソファーと机を置いてよ。合羽橋の道具街の近くだから、居酒屋やスナック開こうとする客がワンサカ来てよ。俺が話を聞いて、文字とちょっとした絵を入れて、看板、のれん、マッチ箱を作って開店させるんだ。それで50年ぐらい生きてきた」 他の看板とのバランスが大事 「この辺りの店には、まだそれが残ってる。灯りがつかなくなったネオンも随分あるけど。でも、ある時から広告会社とかデザイナーが出てきて、俺たちはお払い箱になった。その店だけが目立っちゃダメなんだ。ほかの看板とのバランスが大切なんだよ」(訪問診療医師)

通年議会始まる つくば市議会

つくば市議会で今年度から通年議会が始まり、19日定例会が開会した。会期を約1年とし、市長が招集しなくても、議会の判断で必要に応じて会議を開くことができる制度。ただし今定例会の会期は市議の任期と同じ11月29日まで。同議会事務局によると、通年議会の導入は常総、坂東、守谷市に次いで県内4市目になる。 これまでは市長が議会を招集し、3月、6月、9月、12月に年4回、定例会を開いてきたほか臨時会を開いてきた。通年議会の場合、同市では4月に開会し、これまでの定例会と同様の日程で年4回定例会議を開く。議案の提案や審議、一般質問や会派代表質問など実質的な日程はこれまでとほぼ変わらない見通しだ。本会議が開かれない期間は休会となる。 同市議会は、大規模災害の発生など緊急時に議会の判断で速やかに会議を開くことができるとしている。併せて常任委員会などで継続して調査や審査を行っているなど、市政への監視機能が強化され、議会がより一層市民の負託に応えていくための体制を整えるものだとしている。 五頭泰誠議長は「議会改革を継続的に議論してきた中で、東日本大震災や北条の竜巻災害などの経験から(大規模災害時などに議会の機能を継続するための)市議会業務継続計画(議会BCP)に対応しない議会はいかがなものかというのが発端になった。その中で、一番リアルに対応するには通年議会だという議論が深まった」とし「機動力ある議会にし、災害時に議会を継続して行政のチェック機能を果たすために導入したというのが経緯。1年間の会期の間は常に議会は開会している状態なので、専決処分や日程的に動かせない場合などに議員がより議論できる状態になる」と話す。 通年の会期は、既存の定例会制度の中で運用が始まり、2012年9月の地方自治法改正により創設された。全国の地方議会では、市長ではなく議長権限で本会議を招集できる、十分な審議時間が確保される、緊急案件に迅速に対応できるーなどのメリットが指摘される一方、議会が求める本会議を市長が拒否した例はない、執行部のスケジュールを縛る、実益は少ないーなどのデメリットが言われるなど、さまざまな議論がある。(鈴木宏子)

みんなで学び合うカフェ 高校生がつくばにオープン 不登校乗り越え

つくば市内の通信制高校で学ぶ高校2年の島本美帆さん(17)が5月2日、同市上広岡にカフェ「フェルミ・カフェ」をオープンする。お菓子を食べたりお茶を飲みながら科学を中心にみんなで学び合うカフェだ。 同じ建物に入るボードゲームショップ・フライヤーのプロジェクトの一環として6月末までの試験的なスタートとなり、利用状況次第でその後も延長する予定だ。島本さんは「勉強は楽しいと知ってほしい。楽しく好奇心を持って、みんなで知識をつけていれば」と年齢を問わない幅広い来店を呼び掛ける。 一緒に勉強 中学時代、不登校を経験した島本さんは「学校に馴染めない子どもにも来てほしい」とカフェへの想いを語る。 「学校に行けていない子は自宅で理科の実験はできない。科学や理科、他の分野も含めて勉強する意欲はあるけど学校に行けず、学び方もよくわからなくなっている人もいるはず。足踏みをしてしまい前に進めない人のために、カフェでは簡単な実験道具や本をそろえる。高校レベルまでなら私も教えられるので、他の教科も含めて一緒に勉強しましょう。学校の代わりにここで一緒に知識をつけられたら」と語る。 娘の活動をサポートし、カフェにも一緒に立つ予定の母親の真帆子さんは「通信制なので時間に融通を効かせることができる。学校に行きづらくて、これからどうしようかと悩んでいる子どもや親がこの活動を知ってくれたら参考になるのではと思っている」と話す。 折り紙で作った正12面体 広々とした64平方メートルの室内に並ぶ真新しい本棚は、島本さんが自分で組み立てた。オープンまであと1カ月。自分で収支計画を立てサービス内容なども考える。多くの人が参加しやすいよう、時間制で料金を決め、その間は島本さんが用意する教材を自由に使うことができ、紅茶とお菓子を自由に飲食することができる。経費を捻出するために月35人以上の利用者を確保したいという。準備に忙しくしながら「どんなお客さんが来てくれるのか楽しみ」だと笑顔を浮かべる。 「これは私の自信作です」と本棚から島本さんが手にするのは、一枚の折り紙で作った正12面体。中学時代に作ったものだ。オリガミクスの提唱者として知られる元筑波大教授の故・芳賀和夫さんの本をもとにした。芳賀さんが主催した「サイエンスキッズ」に小学1年のとき参加したことも科学にハマるきっかけになった。 現代の「適塾」目指す カフェの営業は木曜から日曜までの週4日。休業日の月・火・水の3日間で学校から出される1週間分の課題を済ます。自分のペースで学べる通信制だからこそ可能になる活動だ。島本さんにとってカフェは「大きな実験場」だ。「自分で何かを考えるのは楽しい」。得意な科学を通じて「自分で考えることの大切さ、面白さを伝えたい」と意気込む。 目指すのは、幕末の医師で蘭学者の緒方洪庵が開いた「適塾」だ。「来る人がやりたいものを持ち寄って、自由に学べる場」を作りたい。 適塾は、1838年に洪庵が大阪で始めた私塾で、全国から集まった1000人以上の若者が、医学を中心に世界情勢や語学と幅広い分野を学び合った。福沢諭吉や橋本左内、大鳥圭介など、幕末から明治の世で活躍した多くの人物を排出したことで知られている。 昨年6月に島本さんは、カフェの前身となる出張科学教室「叶えの科学教室」をつくば市でスタートさせた。初回の講座は市内の不登校支援イベントで開いた出張教室だ。野菜の色素を分離すると「おもしろい」と参加者から声が上がった。丸いケーキを7等分する方法を参加者同士で考え合うイベントも盛り上がった。地域の小学生向けに医療や科学の出張授業を開く元薬剤師の母親とも「コラボ」し、つくば市内の公民館、小・中学校で開いた講座は1年間で10数回を数える。自分が考えた企画を多くの人が面白がってくれたり、熱心に質問してくれたときに楽しさを感じ、豊かな気持ちになったと話す。 「学ぶことは楽しいことだし、人生を楽しく生きるためには知恵が必要。知っているのと知らないのでは人生の選択肢の幅が違ってくる。一人でも多くの人に、その面白さを知ってほしいし、学習の仕方を身につけて自分でゴールに行く力を身につけて欲しい」 夢は全国展開 夢はフェルミカフェの全国展開。「お店には、そこに通う人の間でコミュニティができる。各地にできれば互いに交流し合って出会いを広げることができる。私も色々な人との出会いがあって、今の自分があると思っている」。 「未就学の子どもから100歳まで、色々な人に来てほしい。私が得意なのは科学と心理学。でも、やりたいものを持ち寄って自由に学び合える場にしたい。勉強が楽しくないと思っている人を減らせたら」 カフェの名前の由来は、1938年にノーベル物理学賞を受賞したイタリアの物理学者エンリコ・フェルミだ。統計力学、量子力学、原子核物理学と多様な分野で顕著な業績を残した彼から、「沢山実行に移せる人が増えるといい」という思いを込めた。 いきいきと、やりたいことを語る島本さんが新たな一歩を踏み出す。(柴田大輔) ◆フェルミカフェはつくば市上広岡407-1、ボードゲームショプ・フライヤー1階。営業は、木・金が午前10時から午後3時、土・日・祝が午前10時から午後5時まで。月・火・水は休業。料金は1時間、大人500円、学生300円、1日利用は大人3000円、学生1800円。月間パスもあり。利用者は時間内に紅茶とお菓子を自由に飲食できる。料金に工作・実験などの利用料も含まれる。5月3日(金)は正午から軽食付きのオープニングパーティーが開催される。詳細は同店ホームページへ。

レインボーの中で、虐殺に抵抗する 《電動車いすから見た景色》53

【コラム・川端舞】毎年4月後半に開催される国内最大級のLGBTQ(性的少数者)関連イベント「東京レインボープライド」。今年も19日から3日間、予定されている。 例年、イベントにはイスラエル大使館がブースを出展していた。イスラエル政府はLGBTQフレンドリーであると世界にアピールすることで、パレスチナへの占領という負のイメージを覆い隠そうとしていると批判されてきた。「東京レインボープライド」もイスラエルのイメージ戦略に利用されているのではないかと、当事者団体などが指摘している。 今年のイベントも、パレスチナで虐殺を続けているイスラエルに製品・サービスを提供しているとして、世界中で不買運動が呼びかけられている企業が協賛しているため、イベントに参加するべきかどうか、当事者団体のなかでも激しく議論されている。 一方、毎年イベントに参加することを生きる目標にしている人もいるだろう。今の社会は、出生時に割り当てられた性別と、自認する性が一致し、異性愛である人を前提につくられ、そこから外れた人はいないことにされている。自分の性別に違和感を持ったり、同性に恋愛感情をもつことが周囲に知られた瞬間、偏見にさらされる危険性もある。 そのような社会でかろうじて生き延びるために、本当の自分を隠しながら毎日を過ごしているLGBTQ当事者がたくさんいるはずだ。過酷な状況を生きる当事者が「年に一度、本当の自分を認めてくれる仲間に会える」「東京なら、地元の知人に出くわす心配もなく、堂々といられる」などの思いで、「東京レインボープライド」に参加することを誰が責められるだろうか。 イスラエルがパレスチナでの虐殺を覆い隠すために、LGBTQを利用するのは決して許せないが、イベントでLGBTQの人権を祝うのが悪いわけではない。 LGBTQはパレスチナにもいる ……と偉そうなことを言っておきながら、私も今回のイベントに参加する予定だ。普段からLGBTQの社会問題に関心を持っているが、それを気軽に話せる場はあまりない。そんな私を気にかけてくれた高校時代の友人が、「一緒に行こう」と誘ってくれた。 しかし、イスラエルの虐殺に加担したくない。友人に相談し、イベント最終日のパレードにパレスチナの旗を持ちながら参加することにした。そもそも、LGBTQはイスラエルの専売特許ではないし、LGBTQ当事者は日本にもイスラエルにも、当然、パレスチナにもいる。LGBTQの人権と、パレスチナへの連帯を天秤にかけるべきではない。 きれいごとかもしれないが、LGBTQとパレスチナ、双方に連帯するために私は友人と一緒に歩く。(障害当事者)

元広告デザイナーとJリーガー 農業への思いつなげ地域の輪広げる つくば

20日 研究学園駅前公園で「ワニナルフェス」 広告デザイナーから転身しつくば市で新規就農した青木真矢さん(44)と、元Jリーガーの近藤直也さん(40)が、「農業×〇〇」で地域を盛り上げようと、地元農家の直売店を中心にキッチンカーなどが出店する体験型マルシェ「ワニナルフェス」を開催し地域の輪を広げている。20日、つくば市学園南、研究学園駅前公園で8回目の同フェスを開催し。およそ40店が出店する。 若者の活躍の場を提供したい 主催するのは農業を中心に地域活性化を目指す合同会社「ワニナルプロジェクト」(代表青木さん、近藤さん)。地域のコミュニティーをつくろうと2021年に立ち上げた。 青木さんが広告デザイナーだった経験を生かし、農家に取材して発信していたところ、SNSで農業に関心のある地元大学生などとつながり、取材班を結成。昨年1月、市のアイラブつくばまちづくり補助事業で活動補助を受け、クラウドファンディングでも支援金を集めて、つくばの農業の魅力を発信する季刊誌「ワニナルペーパー」を創刊した。市内を中心に1万部を約200カ所で無料配布している。セカンドキャリア、セカンドライフで異業種から新規就農した人のインタビューを掲載し、農業に参入したいと考える人の情報誌としての役割も果たしている。 取材する中で、こだわりを持って栽培する農家の思いを知り、消費者が直接、生産者の顔を見て農作物や加工品を購入できるイベントを企画。農業を核としてスポーツや音楽など地域の若い人たちがクリエイティブに活躍する場にもなればと、昨年5月「ワニナルフェス」を始めた。月1回のペースで開催し、前回はおよそ500人が来場した。 異業種の2人がタッグ 代表の青木さんは京都府出身。現在つくば市上郷でブルーベリーの観光農園「アオニサイファーム」と併設のカフェを運営する。同じく代表の近藤さんは、元Jリーガーで「DOサッカークラブ」(土浦市荒川沖)などを運営する。アスリートのセカンドキャリアとして農業分野の活動を模索している。 異業種から農業に関わろうとする2人がタッグを組んだプロジェクトは「農業×クリエイティブ」、「農業×アスリート」の掛け合わせで新しい価値を産み出し、地域の輪を着実に広げ始めている。 青木さんは「こだわりあふれる地元農家の季節の新鮮野菜を中心に、キッチンカーや飲食店、雑貨、ワークショップ、スポーツ体験など、週末を満喫できるわくわくを集めた。つくばの多彩な魅力を感じることができる、まさに『輪になる(ワニナル)フェス』。ご来場をお待ちしてます」と話す。 20日は、筑波大の理系学生2人が作る「阿吽(あうん)の焼き芋」や、ワイン用ふどうを栽培する「つくばヴィンヤード」、米と日本酒を作る「四喜佳通販」など、農家の店10店が参加する。「乗馬クラブクレイン茨城」によるポニーのお世話体験や、ボクシングジム「アイディアル スペース(ideal space)」によるキックボクシングとミット打ち体験、絵本の読み聞かせなど、体験やワークショップのブースが充実し家族連れで楽しめる。(田中めぐみ) ◆「ワニナルフェスvol.7」は、4月20日(土)午前10時~午後4時、TX研究学園駅近くのつくば市学園南2-1、研究学園駅前公園で開催。入場無料。雨天決行、荒天中止。駐車場は周辺の有料駐車場利用を。問い合わせは電話029-811-6275(ワニナルプロジェクト、受付時間/平日午前10時~午後6時)へ。

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