新規女性会員獲得へ注力 つくば市シルバー人材センター
つくば市シルバー人材センター(同市筑穂)が、新規女性会員の獲得に力を入れている。女性に向けた入会セミナーを年2回開催したり、女性会員の交流イベントを企画したりしている。女性会員は10年前より増加しているものの、男性会員の約半数にとどまる。15日には同センター女性活躍委員会が主催し、同市谷田部、市民ホールやたべで、女性限定の入会説明会を実施する予定だ。満60歳以上の女性で、予約は不要。女性会員の仕事としては、清掃や剪定(せんてい)、除草、スーパーマーケットのレジ打ち、品出しなどの業務があるという。
同センターの会員数はコロナ禍で減少に転じていたが、現在は回復の兆しが見える。コロナ前の2019年度に679人いた会員は、22年度に584人と600人を割り込んだ。今年10月現在の会員数は645人で、増加の見込みだという。しかし、女性会員が少ないという課題がある。
働くから元気に
22年12月に入会した青木さん(74)と23年6月に入会した工藤さん(65)は、それぞれ吉沼と栗原の地域交流センターの清掃業務を行う同センターの女性会員で、週に2回、1日3時間勤務している。青木さんは、同センター会員だった夫が亡くなり、外で働きたいと考え、友人の紹介で入会した。「家にいてもテレビを見ているだけだから。あそこ(交流センター)で働いているよと言うと、いろんな人が見に来たり声を掛けたりしてくれる。帰りにご飯を食べて行きなよ、なんてこともある。みんな気にしてくれ、優しくしてもらい感謝している」と笑顔で話す。働き出してから親戚や近所の友達などとの交流が増え、毎日充実しているという。
工藤さんは3年間両親の介護をしていたが、両親が施設に入所したのを機に同センターに入会した。弁当屋で働いていた経歴があり、調理補助の仕事を希望していたが、今は紹介を受けた清掃の仕事にやりがいを感じている。「入会してすぐに仕事の紹介があった。最初は1人での仕事と聞き、心細く思っていたが、80代の先輩が丁寧にやり方を教えてくれた。掃除のやり方も勉強になり、家ももっときれいにしようと思うようになった。とりあえず85歳が目標。できるだけ長く働きたい」と言う。
交流センターでその日に入っているイベントをチェックし、効率よく全体を掃除する方法を考える。「交流センターに来た人にきれいだと思ってもらえたらうれしい」と話す工藤さん。2人とも掃除をする場所は決められているが、それ以外にも窓のサッシやガラスなど、女性の目線で気が付いた箇所を掃除している。
同センターの小杉晴彦理事長は「女性は仕事が丁寧でよく気が付き助かっている。元気に過ごすにはキョウイク(今日行く)とキョウヨウ(今日用)が大事。今日も行くところがある、今日も用事があるというふうにして、働いた方が緊張感もあり元気でいられる。元気だから働くのではなく、働くから元気でいられるのでは」と話す。
同センターの土田禎太郎理事は「女性向きの仕事があるということがうまく宣伝できていない。昨年度からはコロナ禍で2年間活動休止していた就業開拓員会が復活した。市役所を通してつくば市内の工業団地とつながりを作り、会員に適した新しい就業先を開拓しようと動き始めている。その中で女性の仕事もさらに開拓できれば」と話し、新たな就業先の発掘に意欲を見せる。
今年度の会員数は増加の見込みだが、平均年齢は上がっている。2021年度からの高年齢者雇用安定法の改正で、事業主は65歳までの雇用の確保の義務と、就労希望者の70歳までの雇用の努力義務を負うことになった。そのためシルバー人材センターへの入会申し込み者の年齢が引き上がり、平均年齢が72歳から74歳に上昇した。剪定、草刈り業務は、作業能率が下がったことや、受注の時期が集中することから、地域によっては対応できないエリアも出てきたという。(田中めぐみ)
◆女性限定の入会説明会は、15日(水)午後1時半から午後4時(受付は午後1時から)、つくば市谷田部4711、市民ホールやたべ2階会議室で。対象は満60歳以上の女性。問い合わせは電話029-879-5199(同センター)。
茗渓の学園運営に磨き TX駅南移転は29年《吾妻カガミ》170
【コラム・坂本栄】日本自動車研究所(JARI)の未利用地(TX研究学園駅南側)売却は、売り手=JARI、買い手=大和ハウス工業、主な活用者=茗渓学園学校の3者にとって好ましい、WIN-WIN-WINの形になりました。今やつくば市の中心区になった研究学園駅周辺は、北側の商業ゾーンに加え、南側の開発も進むことで、一層にぎわいそうです。
人材育成と中高一貫が一致
記事「…自動車研用地に茗渓学園が移転へ …研究学園駅南側、大和ハウスが開発」(10月20日掲載)にもあるように、広い土地の売却は「公募型プロポーザル」で行われました。取得希望企業の提示価格(配点500)と事業計画(配点500)を採点し、合計点が一番高い企業に売却する方式です。JARIは、「高く売りたい」だけでなく、「どう使われるか」も重視したわけです。
公募要領には「環境配慮、産業発展、人材育成…を意識した取り組み…」と記載し、応募企業に学園都市にマッチする事業計画を提出するよう求めました。結果は、計画に「中高一貫校」を盛り込んだ大和ハウスが897点と、805点の2位企業、783点の3位企業を大きく引き離しました。JARIと同社の考え方が合致したと言え、WIN-WINです。
話があったのは今年の3月
大和ハウスの計画では、取得用地の30%弱が「中高一貫校」に割り当てられ、「人材育成」が事業計画の目玉になっています。同社は、その学校として私立の茗渓学園(つくば市稲荷前、学生数1526人、1979年創立)に狙いを定め、水面下で話を進めてきました。
茗渓学園の宮崎淳校長・理事によると、この件が大和ハウスから提案されたのは今年3月でした。「それまでは、創立70周年に向け、現在地に新しい施設を造り、体育館に冷暖房を入れるといった、長期計画を立てていた」。思わぬ話に上層部は驚いたそうですが、今では「茗渓にとって駅南移転は大きなプラス」とのコンセンサスができています。
大和ハウスのスケジュールでは、売買契約=2023年11月、受け渡し=23年12月、商業施設完成=26年夏、マンション完成=28年初、中高一貫校完成=28年初となっていますから、28年4月のTX駅南開校(学園移転)が可能です。しかし、今の中学1年生の通学先が途中で変わらないよう、駅南開校=29年(創立50周年)春を考えているそうです。
強力な筑波大&経済界人脈
茗渓学園は、筑波大学とその前身の東京教育大学のOB会「茗渓会」によって設立されました。14人の理事の中には筑波大の現・元教授が3人います。経済界との関係も強く、現理事長は中川喜久治氏(中川ヒューム管工業社長、土浦商工会議所会頭)です。理事には関正樹氏(つくば市に本社機能がある関彰商事の社長)も名を連ねています。前理事長は常陽銀行頭取を務めた西野虎之介氏(東教大OB、故人)でした。
こういった強力な筑波大&経済界人脈を背景に、茗渓学園は駅南移転を機に大化けし、3者中1番のWINNERになるかもしれません。
現在の生徒概要は、▼県外から32%/県内から68%(つくば市内39%)▼帰国子女約300人▼留学生約40人▼寄宿舎利用者約230人▼海外大合格者約120人(累計)―ですが、TX駅南への移転によって首都圏からの生徒が増え、「入口も出口も海外」(宮崎校長)という学園の特性に磨きがかかると予想されるからです。(経済ジャーナリスト)
<駅南開発模型の説明>
▽左の模型:斜めに通る道路の左上はマンション区。道路の右上が中高一貫校区。道路の下は商業施設区と研究施設区。一番下は物流倉庫区。
▽右の模型:中高一貫校区を拡大。ブルーは学校棟や寄宿舎など建物。グリーンはラグビー場など校庭。
廃棄するウナギの頭をペットフードに つくばの飲食店主
つくば市竹園のうなぎ店「とよ長」(豊嶋英之代表)が、廃棄するウナギの頭を犬猫用のペットフードに生まれ変わらせ、食品ロスを減らす取り組みをしている。半年ほど前から店頭やホームページで販売を始めた犬用おやつは、これまでに全国から1000個以上の注文があった。10月からは新たに猫用おやつを商品化した。
考案者で同店代表の豊嶋さん(46)は「以前から、捨ててしまうウナギの頭をどうにか活用できないかと思っていた」と開発の経緯を話す。豊嶋さんは、霞ケ浦の湖岸沿いでウナギなど川魚を加工し、つくだ煮などの名産品を作っていた老舗「豊嶋商店」(かすみがうら市、現在は閉店)の3代目に当たる。同商店は1952年創業。創業以来のタレと先代の技術を受け継いで、2010年7月、「とよ長」をオープンさせた。
昨年、実家で片目の見えない猫を保護したことをきっかけに犬猫の保護活動を始め、現在、保護犬2匹と保護猫5匹を飼っている。食品ロスを無くし、保護した犬と猫に健康に良い物を食べさせたいという思いから、ウナギを使ったペットフードを考案、商品化した。
犬用のおやつ「UNA DOG(ウナ・ドッグ)」はウナギの頭を高温で蒸し上げて骨を柔らかくし、さらに80度で乾燥させて作る。10月17日に発売したばかりの猫用おやつ「鰻猫Una Neko」は食事から水分を取る猫の特性に合わせてウエットに仕上げ、風味を付けるためにカツオ節であえた。どちらも100パーセント国産ウナギを使用し、店で手作りしている。売れ行きが良く店で出るウナギの頭が足りない時は、静岡県沼津市から頭を仕入れて作ることもあるという。
「食いつきがよく、食べさせると毛つやが良くなる」と話す豊嶋さん。犬の管理栄養士の資格も取った。ウナギの頭はビタミンやミネラルのバランスが良く、魚特有の良質な脂質、タンパク質を含んでおり、人間も食べられるペットフードだと太鼓判を押す。将来はペットフードと売り上げの一部を、犬猫の保護活動団体に寄付することを考えていると言い、「保護されるような不幸な犬猫を助けたい」と思いを語る。(田中めぐみ)
◆犬用おやつ「UNA DOG」(ドライタイプのドッグフード)は70グラム入り1400円(消費税込)、猫用おやつ「鰻猫Una Neko」(ウエットタイプのキャットフード)は30グラム入り5パックで2530円(同)。店頭かホームページから購入できる。
地域の寺社仏閣「ゲニウス・ロキ」《看取り医者は見た!》6
【コラム・平野国美】著名な神社・寺院の近くには駅が建てられた時代がありました。駅名に限らず、地名や門前の商店街にもその名称が使われています。これらの宗教施設は、地域の信仰や歴史的な背景を示すものとして、地元の人々にとって重要な存在なのです。前回コラムで書いた「地霊 ゲニウス・ロキ」の一つでもあると思います。
それは地域のアイデンティティであり、観光客にとっても、その地域の歴史や文化に触れる機会となります。宗教が少しタブー視される現代ですが、我々の伝統的な宗教は、そこがコミュニティでした。昔は寺子屋として読み書きを習い、人生相談の場所であり、誕生から成人を、そして死までの通過儀礼に関わってきた場所でした。
しかし、少しずつ、その存在が意義を失いつつあると思えるのです。関係者から話を聞いていると、存続維持には経済的な問題も出てくるのです。人口減少もあり、今後に危機を感じている寺社仏閣は多いようです。「月間住職」という雑誌も、かなり以前から、この種の問題を取り上げています。寺社仏閣だけでなく、個人商店、私どもの存続も同様の問題です。
テレビCMが流されている有名な厄よけ大師は、跡取りが帰った時には存続の危機だったそうです。そのとき、住職の年齢が厄年に当たり、同窓会名簿を使いダイレクトメールを出した結果、今の隆盛となったそうです。五芒星(ごぼうせい)のマークで有名な京都の神社も、50年前は次の台風で倒壊の危険もあったそうです。
近隣の住人のボランティアで、何とか維持されていたそうですが、安倍晴明が小説・映画に登場した瞬間に女子高生にブレイクし、京都で一番経済効率の良い神社になったそうです。しかし、五芒星を印字した商品をコントロールしようとして、門前の住民との対立を招いたようです。
寺社仏閣は町おこしの起爆剤となるのか?
今、寺社仏閣は町おこしの起爆剤となるのか? 寺社仏閣は地域の文化や歴史と深く結び付いており、古い建築物や芸術作品、宗教行事には独自の魅力があります。それゆえ、観光資源としての役割も果たします。地域に観光客を呼び込み、地域経済の活性化につながる可能性があります。
そして、日常においては交流・イベントの拠点となるのです。宗教行事に限らず、様々なイベントが行われ、地域の活性化やコミュニティの形成に寄与することがあります。 ただし、宗教施設単独では、その効果も薄いでしょう。町おこしの成功には他の要素も関与します。例えば、交通、宿泊施設、他の観光資源との連携などが必要です。強いては、地域住民との協力なども必要です。
寺社仏閣が町おこしの起爆剤となるかどうかは、地域の特性を住民と、どう考えるか? 決して、立派な施設だけでなく、「けったいなもの」が面白い仕掛けになることもあります。上の写真は、そんな魅力を感じるものです。(訪問診療医師)
本に趣を添える「蔵書票の世界展」 つくばの古書店で11月末まで
つくば市吾妻の古書店、ブックセンター・キャンパス(岡田富朗店主)で、読書週間(27日~11月9日)にちなんだ第17回店内展示「蔵書票の世界展」が開催されている。
蔵書票は、本の持ち主を示すため表紙の裏などの見返しに貼る小紙片。版画の技法で制作された小さな芸術品で、「紙の宝石」として収集の対象になっている。
同店は、会津の木版画家、斎藤清(1907ー1999)や、版画や彫刻など多彩に活躍した池田満寿夫(1934ー1997)など、著名な作家45人による約400点の蔵書票を所蔵している。今展では19人の作家のはがき大の木版と銅版を見ることができる。版画家棟方志功(1903ー1975)による切手大の精巧な蔵書票を収録した豆本なども展示されている。
蔵書票は、製紙技術と活版印刷の発達で本が大量生産されるようになった15世紀中頃のヨーロッパで誕生した。当時、書物は高価であったため、個人の紋章などを印刷したものを貼り付け、所有者を明確にしていた。木版画が主流で黒一色で表現されたものが多かった。日本に広がったのは1900年。当時の文芸雑誌「明星」が蔵書票を紹介したのがきっかけで、それまで一般的だった朱肉の蔵書印に取って代わった。
日本の蔵書票は和紙を用い、多色刷り木版の技法で色がカラフルなことが特徴だ。著名な画家や版画家が手がけた独特の絵柄で人気が高く、現在では書物に貼るという本来の目的よりも、コレクターの間で交換されたりネット販売が行われている。
同店は広さ約160平方メートルの店舗に江戸時代や明治、大正、昭和期の郷土史や軍事本などの古書数万冊を所蔵している。今でも入手した古書の見返りに蔵書票が貼ってあることがあるという。
店主の岡田さん(87)は「愛蔵家の書籍に使われるだけあって、手の平に収まるほどの紙片に発揮される豊かな表現力は見事」とした上で「気にいった蔵書票を額に入れてアートとして楽しむのもお薦め」と話す。(橋立多美)
◆「蔵書票の世界展」は11月30日(木)まで。同店はつくば市吾妻3-10-12(北大通り沿い)、開店時間は午前10時~午後4時。火曜定休、臨時休業があるため事前に問い合わせを。駐車場は店舗裏。電話は029-851-8100(同店)。
わたしたちのことばのおはなし《ことばのおはなし》63
【コラム・山口絹記】ドイツ式の乾杯は、相手の目から目を離しちゃいけないんだ。日本でビールジョッキを持ち上げ、英語で話す台湾人の彼女の目を見つめながら、わたしはいろいろなことを思い出していた。
今からちょうど20年前の台湾。わたしは14歳で、彼女は12歳だったと思う。まだ共通の言語を持っていなかったわたしたちは、常に手近にある紙と筆記具で漢字と絵を書き殴り、身振り手振りで意思疎通をしていたんだ。もっともっと話したいことがあるのに、表現できない。伝えられない。これはわたしの、ことばというものに対する核となる想いだ。
彼女はあれからイギリスに留学した後、ドイツで結婚して今はホーチミンにいる。日本に来たのは久しぶりだ。駅の改札で待ち合わせをしたわたしたちは、さっと歩き出しながら英語で会話をする。紙と筆記具が無くても会話ができるというのは本当に便利で、幸せなことだ。
わたしたちは生まれる場所を選べないのと同時に、生まれた場所に依存するとは限らない母語を選ぶこともできない。しかし、幸いにも、わたしと彼女は共通する第二の言語を選択することができた。自分の話す第二の言語を自由に選択できるというのもまた、幸せなことだ。
英語8割に日本語と独語と台湾語
「さて、どうしようかな」とわたしが東京のビル群を見上げながら言うと、「ドウシヨウカナ」と彼女がマネをする。「You understand?」「No.」「I wonder what to do.」「ナルホド」わたしたちの共通言語はもはや英語だけではない。何語だろうと使えるものはすぐに学んでなんでも使わなければならない。
本屋には行きたい。でもあとはどこでもいいかな、と彼女は言った。あなたに会うことが最優先事項だったんだから、場所はどこでもいいよ。
違いない。まぁ、案内する身としては困らないでもないのだが。一日中話しながら、あてもなく東京を歩き回って、最後はわたしもよく知らない居酒屋に入った。日本に来たんだから日本酒にしようかと思ったが、ビールにした。大ジョッキだ。
中ジョッキと大ジョッキはどれくらいの量なのかと聞かれる。日本のそれはハッキリとは決まってないんだ。ドイツと違って。 Eichstrichもない。 英語8割に日本語とドイツ語と台湾語が混じって、ときおり自分がどこにいるのかわからなくなる。この感覚が、わたしは本当に好きなんだ。
ことばとは何なのだろう。学問の問いとして曖昧過ぎることはわかっているが、それでも考えてしまう。まぁいい。今はもう一杯だけ飲もう。わたしたちはもう一度、ドイツ式の乾杯をする。(言語研究者)
「土浦の花火」歴史と見どころ《見上げてごらん!》20
【コラム・小泉裕司】再来年の2025年、「土浦の花火」は100年を迎える。1925年9月、神龍寺(土浦市文京町)住職の秋元梅峯和尚が、霞ケ浦湖畔で開催した「土浦町全国花火競技大会」がルーツ。当時も今と同様、全国から花火師が集ったという。
山本五十六元帥も関係?
この花火大会は、霞ケ浦海軍航空隊殉職者の慰霊、秋の収穫への感謝や商工業の活性化が開催の趣旨とされている。長岡花火(新潟県)を見て育った山本五十六元帥が航空隊に副長として着任し、神龍寺山門近くに下宿していた時期と重なることから、資料としては確認されていないものの、彼が大会誕生に関わりがあったとしても不思議はない。
戦争や水害、天皇の崩御、最近では連続した花火事故、コロナ禍などによる中止や中断を乗り越えながら、11月4日(土)に第92回大会を迎える。これまで、大会の発展に尽くした先人の優れた知恵や計り知れない苦労があったに違いない。
戦後の大会の再開と発展に貢献したのが、北島義一氏(元土浦火工㈱社長、1908~79)。数々の競技大会で優秀な成績を収めるなど、花火技術の発展に寄与すると同時に、後進の育成にも力を注いだ。義一氏の教えは、山﨑芳男氏(山﨑煙火製造所会長)や今野正義氏(㈱北日本花火興業会長)など、その後の日本花火をけん引する花火師達に引き継がれている。
20回目の内閣総理大臣賞
毎年、大会に前後して、義一氏とゆかりのある煙火業者の面々が神龍寺の北島家の墓所を訪れ、墓前に白菊が手向けられる。その姿を、大会の始祖・梅峯和尚の銅像がかたわらから見守る。もちろん、筆者も大会前後に神龍寺を訪れ、大会の安全を祈願して両所で手を合わせる。
2000年から授与され今回で20回目の「内閣総理大臣賞」には、こうしたご縁に導かれた経緯がある。そもそもは1961年にさかのぼる。この年から、義一氏の努力により「通商産業大臣賞」が授与されることになったが、俯瞰(ふかん)的視野の義一氏の後押しがあって、1964年から大曲花火(秋田県)にも同賞が授与されることになった。
時は流れ、2000年。大曲に「内閣総理大臣賞」が授与される際には、通産大臣賞の恩返しとばかり、大曲から国への働きかけによって、土浦にも授与されることになったという。まさに同志としての「友情物語」が、両大会の発展の礎になっていることは間違いない。
10号玉、創造花火、スターマイン
土浦全国花火競技大会は、打ち上げてから消えるまでのわずか10秒前後の間に幾重もの同心円を描く「10号玉」、花火師のクリエイティブなセンスと新技術が楽しめる「創造花火」、夜空を千紫万紅に彩る「スターマイン」の3部門に分かれて、優勝を目指して競技が展開する。
各部門の優勝者の中から、最も優れた作品を打ち上げた業者に、花火師最高位の名誉である内閣総理大臣賞が授与される。技術力、芸術性、創造性、品質性などで日本最高峰の花火作品が、晩秋の澄んだ夜空に集結する。花火師にとっては、今年1年の集大成とも言うべき頂上決戦が始まる。
今年から審査標準玉を変更
さて、大会進行で変更となる点、注目すべき作品や煙火業者を紹介しよう。まず、競技開始の直前に打ち上げる「審査標準玉」が今年は変更となる。昨年まで、芯が2つ、全体で3つの円を描く10号玉割物「八重芯変化菊」を採用していたが、今年からは芯が3つ、全体で4つの円の「三重芯変化菊」を採用する。
八重芯が初めて登場したのは1928年と歴史も古く、今年の八重芯出品は1玉となっており、妥当な変更といえる。むしろ遅すぎた感も否めない。審査員長が採点した標準玉の点数を参考として、以後89作品の審査が行われるのだが、例年は70点中盤がアナウンスされる。そのわけは、ここで高得点を付けると、実績豊富な業者が登場する後半の採点の際、大いに困ることになるから。
10号玉の注目は、6業者が挑戦する「五重芯」だろう。まさに匠(たくみ)の技。完璧な6つの真円を描いた作品が優勝に最も近いといえるが、目視できなければ意味がない。すべて手作りで作られる粋な花火に、ビデオ判定などもってのほか。
ハートや動物の「型物」に注目
今年の創造花火は、「型物」に注目したい。「型物」は、たとえば、ハートや動物の形などを模した2Dの世界なので、審査員に意図した形が見えるどうかがポイント。今年は「型物の神」と言われる㈱北日本花火興業(秋田県)、㈱芳賀火工(宮城県)、北陸火工㈱(石川県)の女性花火師の作品が要チェックだ。
スターマインの最近の傾向は、レギュレーション(規定)の400発をめいっぱい打ち上げる「スターマインの土浦」ともいわれる「迫力系」と、1玉1玉をじっくり見せる「しっとり系」に分かれる。いずれにしても、すべての作品が音楽付きなので、曲と花火のマッチングが優劣を決めることになる。
打上げ時は人の前を歩かない!
最後に、有料観覧席で見る皆さんにお願いがある。花火が打ち上がっているときは、人の前を歩かないこと。作品は、上空、中空、低空を効果的に、まさに生け花のごとく描き出す。これからという佳境に、「あなたの顔は見たくない」。
花火の公式パンフレットで、作者のコメントを読みながらイマジネーションを膨らますのもよし、何も考えず、ただひたすら音と光の世界に没頭するもよし-。花火の楽しみ方は、それこそ自由。
私は、東京高円寺にある「気象神社」から木箱入りのお守りを取り寄せた。どうか御利益がありますようにと安全祈願。恒例の「打ち留め-」は、大会終了まで、「おあずけー」「ドン ドーン!」。(花火鑑賞士、元土浦市副市長)
【3日午前10時】花火の写真を差し替えました。
34億円超の県試算認めるも平行線 洞峰公園の補修・更新費
つくば市が県から無償譲渡を受ける方針を示している県営の都市公園、洞峰公園(同市二の宮、約20ヘクタール)について、市が6月の市議会全員協議会や7月の市民説明会で、体育館やプールなどの施設の更新費を示さなかった問題(9月23日付)で、同市議会全員協議会(全協)が2日開かれた。市は、県が行った健全度調査で来年度以降、体育館プール棟・アリーナ棟、新都市記念館、フィールドハウス、管理棟の主な4施設の補修費や更新費などが計約34億円超かかることが試算されていることを認めた一方、更新費をめぐる市執行部と市議らとのやりとりは平行線に終始した。
市議16人から10月11日、全協開催を求める要望書が出された(10月11日付)ことを受けて開催となった。
市議らからの質問に答えた市建設部の富田剛部長は、施設の目標使用年数を80年とするものの、施設のや設備の交換や取り換えなどの更新は実施せず、補修を実施するのみで、今後市が負担する施設修繕費(補修費)は年平均約3500万円にとどまるなどと繰り返した。一方、県から譲渡を受けた後、市として健全度調査を実施するとし、負担額が変更になる可能性についても言及した。
これに対し飯岡宏之市議からは「2021年に市が策定したスポーツ施設個別施設計画では、長寿命化の基本的考え方を定め、築60年で長寿命化改修(内外装・設備の更新など)をやると言っている。洞峰公園のプールやアリーナと同じ年に出来た谷田部総合体育館は長寿命化計画をやるのに、など洞峰公園の体育館はやらないのか」、山中真弓市議からは「国の基準や県の基準を無視して、施設や設備の更新をやらないということが理解できない。例えば電気設備はメーカーにより更新時期が決まっている。まったく更新しないで80年もつのか」などの質問が出たが、富田部長の答弁とかみ合わなかった。
実施が延期されていた市民アンケートについても案が示された。市は2日の全協開催を受け、11月中旬にも市民アンケートを実施する予定だという。
洞峰公園の体育館プール棟とアリーナ棟、新都市記念館などは1980年に建設され、現在築43年が経過している。(鈴木宏子)
住民がつくり手 人と人をつなぐ「たけぞのフェスタ」 4日、つくばで
秋の一日を竹園の広場で遊ぼうという「たけぞのフェスタ」が4日、つくば市竹園の竹園ショッピングセンター広場と隣接の竹園交流センターで開催される。主催する市民グループは「地域コミュニティーを再生して安心して暮らせるまちづくりを目指して活動しており、祭り(フェスタ)が、みんながつながり交流のきっかけになれば」としている。
当日は同広場で、衣料や絵本などのフリーマーケット、落ち葉を用いた落ち葉アート、県立竹園高校吹奏楽部による演奏などを開催。交流センターでは、障害のある子どもたちのバリアフリーダンス、ピアノ演奏、コーラスグループやゴスペルユニットによる合唱、ゲームキャラクターカード対戦大会など、近くの竹園サンパーク公園では、自然を楽しむネイチャーゲームが予定されている。広場では、唐揚げやフランクフルト、駄菓子などの販売もある。
主催は、住民たちがつながる住み良いまちづくりを目的に、竹園交流センターで勉強会などを開催している市民グループ「竹園ぷらっと」。9年前に退職し現在竹園地区に住む代表の三橋俊雄さん(74)が、住民同士のつながりが希薄になったことを痛感して昨年立ち上げた。名称は、誰でも「ぷらっと」立ち寄れるふれあいの場という意味を込めたという。
ぷらっとは、三橋さんのまちづくりの理念に共感した竹園在住の毛利正英さん(73)と古久保みどりさん(69)さんとの3人で運営され、フェスタ実行委員会のリーダー役を兼ねる。毛利さんは、5年前から子ども食堂を運営している「竹園土曜ひろば」の代表、古久保さんは2018年、市民団体「つくば市民による財政白書づくりの会」の会員として市の財政事情を調査・分析した「つくば市財政白書」をまとめた。
フェスタは企画から運営まで住民主体のスタイルを取り入れた。住民が知恵と力を出し合い、誰もが参加できてつくり手になる。竹園地区に隣接する倉掛、千現1丁目など竹園東中学校区の住民を対象に、回覧板などで開催を告知し、同時に出店を呼び掛けた。併せて「おまつり好き集まれ!」と実行委員を募った。
16人から出店の申し込みがあり、実行委員には15人が名乗り出て実行委員会が結成された。10月22日開かれた第4回実行委員会には、子育て世代から80代男性まで多彩な顔ぶれが集まり、開催当日のテントの搬入や設営、警備や見回りなどの役割分担を熱心に話し合った。
実行委員の一人、真下麻里子さん(60)は「近くに住んでいても会うことがない知人や、30年住んでいても知らない人もいる。フェスタで懐かしい人に会ったり、新しい出会いがありそう」と祭りを前にしたワクワク感を話す。7年前に東京から竹園に引っ越してきた東海林康夫さん(76)、隆子さん(74)夫妻は「シニア世代が楽しめる内容が欲しい」としつつも「お役に立てるのは喜び。フェスタが大きく育っていけばいい」と話した。これからもみんなで楽しみながら毎年フェスタを開催し、参加者の意見を次年度に生かして発展させていく予定だ。
三橋さんは「住民が企画した地元の初めての祭りに16人から出店の申し入れがあって手応えを感じた。竹園交流センターを利用しているサークルやショッピングセンターの店舗も加わり、にぎわいに一役買ってくれる。秋を満喫するフェスタを楽しんで」と呼び掛ける。(橋立多美)
◆「たけぞのフェスタ」は11月4日(土)午前10時~午後4時、つくば市竹園3-18-2 竹園ショッピングセンターと隣接の竹園交流センターなどで開催。雨天の場合、フリーマーケットは中止。問い合わせはEメール(竹園ぷらっと)へ。
仕事に慣れても胸が痛む《医療通訳のつぶやき》2
【コラム・松永悠】1年って早いものですね。気が付けば秋です。読書の秋とか、食欲の秋とか、スポーツの秋とか、まあ色々あります。私の秋はなんだろうと思った時、なかなかまとまらなくて困りました。
平日は仕事をこなして、パーソナルトレーニングジムでガチ筋トレも楽しんで、そして週末だってやることがいっぱいです。9月には日本酒フェスのボランティアスタッフを2回、10月には自分で大人数の食事会を主催したり、着物仲間と着物で川越まつりに行ったり…。やりすぎじゃない?と周りから言われることも、1回や2回じゃないです。
医療通訳の仕事をする時、医師や患者と濃厚な話を長時間交わし、プライベートのイベントでは、初めて出会う来場者や久しぶりに会う友人と楽しい会話をいっぱいするように心がけています。笑顔で浅く広く、とにかく、たくさんの人と話すことに集中します。
これはエネルギーをたくさん必要とすることです。でも私はこのエネルギーを消費して、次につながるエネルギーを生み出しているのです。どうしてここまでやるのか、週末くらいのんびりしたらいいのではと疑問に思う人もいると思います。
リスクを抑え人生を楽しむ
理由は医療通訳という仕事にあります。数年前からがん患者や難病患者ばかり担当していて、小児がんの幼稚園児から高齢患者まで、様々なケースを見てきました。どんなにこの仕事に慣れているといっても、やはり胸が痛む状況と遭遇します。
脳腫瘍を患っているのに無邪気に笑っている小さい子供。再発におびえながら最先端治療である陽子線に希望を託すエリートサラリーマン。初めての来日はまさかのがん治療という高齢者。一人ひとりストーリーが違っていても、共通しているのはもっと生きたいという気持ちです。
ある10歳の男の子がすっかり私に懐いてくれて、会うたびに世間話をいっぱいしてきて、私もニコニコしながら対応します。しかし、実はこの子が思わしくない状況でした。成功率を高めるために、陽子線治療と同時に化学療法もすることになって、そうなると発熱、嘔吐、抜け毛といった副作用がこの明るい子を苦しめることになります。それを私はただ見ているだけで、できることは一つもありません。
いつからか、私は変わりました。この患者たちがしたくてもできないことを、私がいっぱいしようと思うようになりました。日頃からしっかり健康管理をして、胃カメラ、大腸カメラ、がん検診などを欠かさず受け、リスクを最小限に抑えて、あとは最大限に人生を楽しむことにしました。
上の写真のマスクは陽子線治療をする際、顔を固定するためのもので、子供患者を励まそうとヒーローが描かれています。治療室の中には頑張れという意味の中国語「加油」も貼ってあります。病気と戦う人はみんなヒーローです。そして彼らに伴走する私にできるのは、一生懸命仕事することと、一生懸命人生を楽しむことです。(医療通訳)
