月曜日, 4月 6, 2026

入念に新型コロナ対策 筑波大学で入試

【山口和紀】筑波大学(つくば市天王台)の2021年度の入学者を選抜する個別学力試験(前期日程)が25日、行われた。受験予定者数の合計は4109人(うち女子は1288人で31%)で、全体の志願倍率は4.2倍になった。最も倍率が高かったのは社会学類の9.0倍で、続いて心理学類の5.8倍だった。合格発表は3月8日。 全国から受験生が集まるため、入念な新型コロナ感染症対策が取られた。受験者には14日間の健康観察記録が義務付けられ、試験会場に入る前に試験官らが健康観察記録表の確認を行った。試験開始前、「本人確認の際のみ、マスクを一時的に外して頂く可能性があります」「換気のため室内の気温が下がることがあります」とアナウンスがあった。 新型コロナウイルス感染のおそれがある生徒は、救済措置として3月22日実施の追試験を受ける。試験方法としては、基本的にオンラインあるいは書類審査をもって行う。ただし、特に専門性が高い医学類、体育専門学群、芸術専門学群、知識情報・図書館学類(後期日程のみ)は筑波大学の試験場で行われる。 今年度入試から、総合選抜が開始された。総合選抜で入学した学生は、1年次の間は新設の総合学域群に所属し、2年次以降は各学群・学類に配属される。総合選抜には「文系」「理系Ⅰ」「理系Ⅱ」「理系Ⅲ」の4区分があるが、どの区分からでも体育専門学群を除く全ての学類に配属の可能性がある。特に専門性が高い、医学類や芸術専門学群にも進路が開かれている。 2020年度は新型コロナの影響で実施されなかった入学式だが、筑波大学によれば21年度について「現時点では入場者の制限を行いつつ実施する予定」だという。

《県南の食生活》22 ひな祭り その歴史と形

【コラム・古家晴美】今の時期、多くのスーパ―では、袋詰めのひなあられが山積みにされている。ひな祭りと言えば、どちらかというと女児のための朗らかな行事のイメージが強い。しかし、奈良・平安時代の天皇や貴族にとっては、上巳(じょうし、3月3日)は水辺で和歌を詠み、桃花酒(とうかしゅ)を飲み、草もちを食べて邪気を祓(はら)う行事を執り行う日であった。 「ひな祭り」が貴族・武家・上層の商家や農家や都市部で成立したのは、その数世紀後の室町時代から江戸時代にかけてのことだ。それ以前は人間の穢(けが)れを移した人形を水辺に流していたが、これ以降、内裏雛(だいりびな)として屋内に飾られ、江戸幕府がこの日を五節供(ごせっく)の一つに定めた。 さらに農村漁村の庶民における普及は、近代に入ってからになる。つまり、かなり新しい。県南地域でも、戦前にひな人形を所有していたのは、経済的に豊かな家庭に限られた。庶民の子どもたちはひな飾りのある家を見て回ると、その家で作られた甘酒や草もち、ひなあられが振る舞われた。 ひな飾りがない家では、親戚や仲人さん、地域の組合から贈られたお内裏様(だいりさま)が描かれた掛け軸(カケジ、ヒョージ)を飾り、自家製の桜まんじゅうや餅、草もち、赤飯で祝った。 また、初節句には、仲人や親せきなどを招いてご馳走した。特に霞ヶ浦湖岸では、特産物であるシラウオや鯉(洗いや煮つけ)などが饗されたと言う。お祝いのお返しとしては、餅や桜餅、桜まんじゅう、赤飯などを配った。 「ひなあられ」は野外での携行食 このように、ひな人形を飾るようなひな祭りは、庶民にとって比較的最近のことだ。掛け軸で代用していた家庭では、菱(ひし)餅の存在感はあまりなかっただろう。しかし、上巳で食べられていた邪気除(よ)けの草もちはアンコ入りの草もちという形で、また桃花酒はほとんどアルコール分がない甘酒という形で受け継がれ、ひな祭りの行事食となった。 ところで、ひなあられは、野外での携行食として、菱餅を砕いて作ったのが始まりだという説がある。県南地域では見られなかったが、ひな祭りに女性や子どもが磯遊びや山遊びなどに出かけ共同飲食する事例が、近年まで全国的に広く分布している。 おひな様を連れて花見や涼みに行く、あるいは河原に持ち出し、そこで煮炊きしたオヒナガユ(粥)を供え、子供たちと共食するなどの報告もある。他方、本格的な農事開始に先駆け、非日常の空間(磯や山)で1日暮らすことにより、田の神を迎える物忌みの準備をしているのではないか、との分析も興味深い(田中宣一『年中行事事典』三省堂)。 今年のひな祭りをどのように過ごそうか。まずは今晩、ひな人形を飾ってみよう。(筑波学院大学名誉教授)

「TSUKUBA新型コロナ社会学」を開講 新年度の筑波大学

【山口和紀】筑波大学(つくば市天王台)が4月からの新年度、「TSUKUBA新型コロナ社会学」を開講する。複数の授業担当者が回ごとに講義をするオムニバス形式の授業として行われる。「世界的にも独自性の高い試み」だという。自由科目として開講され、大学院生や科目等履修生を含む、すべての学生が受講できる。 講義全体のオーガナイザーを務める秋山肇助教(人文社会系)は「特に新型コロナの影響を受けて変化する社会や科学、学問のあり方について考える学生の参加を見込んでいる」と話す。 筑波大は「新型コロナ危機に立ち向かい、その成果をいち早く社会に伝えることを目指す」として、27件の新型コロナ関連の研究プロジェクトを「大学『知』活用プログラム」として昨年始動させた。このプログラムには、医療健康分野だけでなく文化、教育、心理など幅広い分野の専門家が参加した。 たとえば、山田実教授(人間系)は「パンデミック下でも介護予防を! 高齢者がパンデミックを乗り越える秘けつを探索する」というプロジェクトを立ち上げ、感染拡大が高齢者の活動に及ぼす影響の経時的調査などを実施している。 太刀川弘和教授(医学医療系)は「健全な引きこもりはあるのか? 引きこもりから『学ぶ』新しい生活様式の在り方を逆転の発想で提案するプロジェクト」を立ち上げた。新型コロナがもたらした「国民的引きこもり状態」は、引きこもり患者にとっては好環境かもしれない。既往の患者から「健全な引きこもり方を『学ぶ』ことはできないか」と提起し、新しい生活様式を提案する研究を行っている。 総合大学であるという特色を生かした「多様な知を学生に還元するため、新型コロナが社会や科学・学問に与えた影響を扱う」のが開講される「TSUKUBA新型コロナ社会学」だという。 授業を担当するのは「大学『知』活用プログラム」に参加している10人の教員。一講義ごとに教員が入れ替わるスタイルの授業で、第1回は秋山肇助教の「COVID-19と日本国憲法」で始まり、最終回は池田真利子助教(芸術系)の「COVID-19下の創造性と芸術表現」で終わる。幅広い学問分野の教員がオムニバスで授業をするという「真の総合大学」を目指す筑波大学ならではの取り組みだ。 オーガナイザーの秋山助教は、受講する学生に期待することについて「まずは、研究者がそれぞれの専門をもとに新型コロナという大きな社会的課題の解決に向けて、様々な研究に取り組んでいることを知ってほしい。その上で、新型コロナが突き付けた社会的課題を解決するためには、多様な学問分野の知見が必要になることを学んでほしい」と話した。

《遊民通信》11 神秘体験記(2) 宍戸諏訪山

【コラム・田口哲郎】前略 以心伝心はあるのかもしれません。今回はそんなお話です。国土地理院の地形図を見るのが好きです。今どきのマップと違い文字情報は多くないですが、主要施設は地図記号でしっかり記載されています。ある日、旧宍戸町(茨城県笠間市)の地形図を眺めていました。母の実家がありなじみがあるからです。それでも地形図には未知の情報がたくさん載っています。加賀田山(かがだやま)が目に留まりました。母方の父系は武田氏です。一帯の庄屋をしていました。名字帯刀を許された家柄です。 「加賀田山がつぶれても、武田の家はつぶれない」と言われたものだと母から聞かされていましたから、山の名に覚えがあったのです。農地改革で土地を失い武田家は見事に没落。諸行無常です。諸法無我でなければ浮世を生きるのはつらいわけです。 それはともかく、加賀田山の隣に諏訪山というのがあります。山頂に神社マークがあります。そのときは何とも思いませんでした。それからしばらくした夏の日、母が朝方夢を見たと言いました。道の右脇の森に朱の鳥居があり、その奥に道が続いていた。行ったことがない場所だが呼ばれているようだったと。諏訪山の神社かな、と直感しました。朱の鳥居の有無は知りませんが、地形図を立体化すると母の夢の光景になるかも…。 興味が湧き、行ってみました。果たして諏訪山の神社の入口には朱の鳥居と長い参道がありました。母も夢で見た通りだと言います。 宍戸の諏訪大明神 草深い杉林の参道を行くと、急な石段。途中の踊り場には御手洗の石桶があり諏訪大明神と刻まれています。さらに上ると広場に拝殿があり、その奥の細く急な階段の上に板で囲まれた古ぼけた社がありました。 母は幼いころ祖母に連れられて一度きり来たそうですが、裏の山道を来たので赤い鳥居の参道は知らなかったそうです。素人目にもこの打ち捨てられたような神社がなかなかの格式であることが分かりました。後で調べたらそこは宍戸神社と言い、明治時代の一郷一社制度により近隣の平神社と合祀されたものだとわかりました。明治以前は諏訪大明神だったのです。 祖父は母の実家に婿に入りましたが、武田の家柄を誇り、信玄公を輩出した甲斐武田家の直系だと言っていたそうです。家紋は武田菱(たけだびし)です。私は旧勝田市(ひたちなか市)発祥である武田氏が宍戸に土着した末裔(まつえい)だと思っていましたが、ご先祖様が諏訪大明神を勧進(かんじん)したのなら、祖父の言に一理あります。 甲斐武田氏は信濃の諏訪大社を信仰していました。武田氏は滅亡しましたが、落ち延び伝承は各地にあります。宍戸には養福寺(ようふくじ)という天台宗の寺院があり、寺紋は武田菱です。祖父は40年前に他界しましたが、隔世の伝言のようにいろいろ分かったのは不思議です。 母の兄は調べもせず根拠なしと祖父の誇りを嘲笑したそうです。伯父と違って勘の利く私に祖父は伝えたかったのでしょう。成仏しても苦労が絶えない一切皆苦(いっさいかいく)です。羯諦(ぎゃてい)、羯諦。ごきげんよう。 草々(散歩好きの文明批評家)

筑波山神社を花と着物で彩る 27日から「百人きもの」

【山崎実】コロナ禍の心に華やぎをもたらしたいと、筑波山発!「百人きものーコロナ終息を願いー祈り」が、27日、28日、3月1日の3日間、筑波山神社(つくば市筑波)を中心に催される。 観光庁の「誘客多角化のための魅力的な滞在コンテンツ造成」実証事業として、筑波山華やぎプロジェクト実行委員会(吉岡鞠子代表)が、デンマーク人の世界的なフラワーアーティスト、ニコライ・バーグマンさんとタッグを組む。 バーグマンさんにフラワーアート制作を依頼し、神社境内各所に展示するほか、筑波山大御堂では、着物姿の参加者延べ約250人が次々と献花し、3日間かけてオブジェを制作するなど、花と着物で筑波山を彩る。 実行委員会は40代から70代の女性5人。旅館「筑波山江戸屋」女将(おかみ)の吉岡鞠子さん、体験型エクステリア展示場を運営する浅野弘美さん、料理研究家の小川原智子さん、筑波山ガイドの浅野祥子さん、市議の山本美和さんが2018年にスタートした。 2020年秋に3回目の開催を予定していたが、新型コロナの影響で延期されていた。 番傘でソーシャルディスタンス 今年度は新しい試みとして、開催会場をすべて屋外とし、着物に番傘というソーシャルディスタンスで独自のコロナ対策をする。さらに世界的なフラワーアーティストの出演により、国籍、性別、年齢を超えてダイバーシティー(多様性)を推進し、コロナ終息を願う祈りのイベントとする。 筑波大学の学生の力も借りて、10代から80代まで、幅広い年齢層の協力を得て、イベントを盛り上げる。大御堂の階段には筑波大生がデザインしたランタン約150基を置き、ライトアップする。旅館や土産店が並ぶ門前通りにも番傘を飾って彩る。 実行委員会のメンバーは「コロナ禍で沈んだ心を癒し、華やぎをもたらし、筑波山の伝統文化を世界に向けて発信していきたい」と話し、筑波山の華やぎから、コロナで打撃を受けている飲食店や宿泊事業者の応援につながり、筑波山温泉郷のホテルに一人でも多くの人に足を運んでもらい、地域経済の活性化につながればと期待している。 ◆参加費無料。ドレスコードは着物。申し込みは26日まで。詳しくは筑波山華やぎプロジェクト「百人きもの~祈り」のホームページへ。問い合わせは同実行委員会の浅野弘美さん(電話090-8722-5697)。

《続・平熱日記》80 センスの問題

【コラム・斉藤裕之】「何が悪いんだ?」という顔でその人はそこに立っている。記者風情の質問には腹が立つのだろう。なにせ首相までやったのだから。ここまでオリンピックを引っ張ってきたのだから。私の親の世代、女性に対する物言いや女性の地位は今思えばひどいものであった。 いやほんの少し前まで自分を含めた周りもそうだった。女に負けるな、女みたいな髪型、女の腐ったような…。とにかく、男は女より優れていて、「男子たるものは」という教育を受けてきた。だから、この大柄な老人のことをとやかく言えるかと言えば、はなはだ怪しい自分がいる。理屈として分かっていても、本心から女性をリスペクトすることは容易ではない。 要するに、地雷を踏まない術(すべ)を身に着けることはできても、聖人君子のようにはなれない。いや、君子でさえも「女子と小人(しょうじん)は…」なんて言っているのだから。 ところで、2人の娘は小学校の時から柔道をやっていた。2人ともそれなりに強くて、長女は県南で優勝したこともある。次女などは県の大会で決勝までいってしまって。ここで勝つと、全国大会で秋田まで行かなければならないというのでちょっと焦ったが、いい感じの接戦で惜しくも負けてくれた。 かわいらしい女の子だと思ってつかみかかりにいくと、一本背負いでぶん投げられる。当時の映像は残っていないが、絵に描いたように男の子を投げ飛ばす姿は、我が子ながら見事だった。 しかし、2人ともそれほど好きではなかったらしく、中学で畳から降りた。実はその間にいただいた金銀のメダルが段ボールひと箱ほどもある。子供たちが巣立ってから、少しずつ不要になったものを捨ててきたのだが、その日、カミさんが引っ張り出してきたのはこの大量のメダル。 時化の日には漁を諦める 寒そうに美術室に入ってきた女子。「この真冬にスカートをはいているだけで尊敬するよ」「ですよね~!」って笑って答えてくれるが。こういう会話が許されるのは、私が人格者だからか、はたまた人畜無害な初老に見えるからか。いや多分センスの問題だ。 ある時から、女性の方が優れているのではないかと気づき始めた。医学部の入試の一件もそうだが、美術大学はずいぶん前から女子と男子の比率が逆転している。ちょうど、オリンピックでマラソンや柔道に女性が活躍し始めた時期と重なるような気がする。特に最近では、ジェンダーやマイノリティーについて世論は敏感だ。 これはとても繊細な問題なのだ。だからセンスを養う必要がある。最近メディアを騒がすのはこのセンスない人たち。そういえば、この方は文部大臣もやられたのでは…。今回の件は、「けがの功名」としてオリンピックのレガシーに。そういうセンス。 段ボールいっぱいのメダルに未練はない。さっさと燃えないゴミに出した。燃えないゴミから作ったオリンピックのメダルが陽の目を浴びる日は来るのだろうか。時化(しけ)の日には漁を諦めるというのもひとつのセンス、勇気だと思うが。(画家)

23日から解除 県独自の緊急事態宣言

大井川和彦知事は22日、茨城県独自の緊急事態宣言を23日午前零時から解除すると発表した。県内全域に出されていた外出自粛と、飲食店の夜8時までの時短営業要請は22日までで解除となる。 飲食店以外に一律20万円を検討 今回の緊急事態宣言で、飲食店以外にも大きな影響を受けた関連事業者が数多くあったことから、大井川知事は、大きく売り上げを減らした事業者に、県独自に一律20万円を支給する準備を進めているとした。支給要件は現在検討中で、詳細が決まったら改めて発表し3月中旬以降に受け付けるとした。 一方、飲食店の時短営業協力金(1日1店舗当たり4万円)は22日までとなり、1店舗当たり最大60万円を支給する。 医療機関に常駐しクラスター対策指導 県全体では先週時点で、解除の条件である、1日当たりの新規感染者数60人以下(21日時点で30.1人)、コロナ専用病床稼働数185床以下(同176床)を達成していた。しかしつくば市内の医療機関でクラスターが発生したことなどから、いったん解除を見合わせた。その後、経過を分析し、飲食関係や他県からの移動に伴う新規感染者がひじょうに少なくなっていることなどから解除を決めた。 一方、病院や福祉施設、職場などでは新規クラスターが発生しているとして、クラスター発生の医療機関に、対策を指導する専門家を常駐させる体制を至急構築し、一刻も早くクラスターを収束させるとしている。 15日から21日まで1週間の新規感染者数は、つくば市が人口1万人当たり1.39人、土浦市が同0.22人。 国の緊急事態宣言指定基準まで至らずに解除できたことについて大井川知事は「スピーディーに対応し、悪い状況の中でも収束を早めることができたと感じている」などと話した。 筑波山梅まつりは26日から開催 県独自の緊急事態宣言は1月18日発令された。当初は2月7日まで3週間だったが、今月末までさらに3週間延長された。今回、約1週間前倒しとなり、5週間かかってようやく解除となる。 外出自粛要請の解除を待って、第48回筑波山梅まつりは26日からの開催が決まった。2月13日から開催が延期されていた。会期は3月21日まで。 販売開始を延期していた県独自の宿泊促進事業第2弾「めざせ日本一」割については、国のGoToトラベルの状況を見て判断するという。

新治コミバス運行実験スタート つちうらMaaS

【池田充雄】観光客の周遊促進や市民の移動手段確保を目指すつちうらMaaS(マース)実証試験のうち、土浦市新治地区でのコミュニティーバス運行実験が22日から始まった。ワンボックス型の8人乗り車両2台を使い、3月11日までの間、前後期で運行形態や乗客認証方式を変えて実施する。運行時間は午前10時~午後4時、運賃は無料。 前期は時刻表に基づき運行 2月22日から3月2日までは、所定のルートを時刻表に基づき運行する。高岡・田土部方面と沢辺・田宮方面の2ルートがあり、バス停の数は合計29カ所。各ルートを1台の車両が受け持ち、おおむね40~45分間隔で回る。 運行ルートの設定やバス停位置の選定には、スマートフォンの位置情報から抽出した「流動人口データ」を利用。住民の移動需要を予測し、人の移動が多いと思われる区域を割り出した。データからは、土浦方面への住民の移動欲求が高いことも確認できた。旧国道125号の上坂田-藤沢十字路間には、土浦駅を発着する路線バスが1日30往復ほど運行しているため、それらとのスムーズな接続を図ることで、土浦へのアクセスを高めるとともに、路線バスが通らない区域をコミュニティーバスが高頻度で回れるようにした。 後期は自由で効率的な運用 3月3日から11日までは、オンデマンド乗り合い方式の運行になる。利用者がインターネットか電話で、乗降場所(バス停名)と乗車人数を伝えると、AI(人工知能)が即時に最寄りの車両を選び、最短時間で配車する。1時間前とか前日といった事前の予約ではなく、直前の申し込みで大丈夫。配車予定時間も教えてくれる。オンデマンド方式の場合、バスは必ずしも既存ルートにはこだわらず、指定したバス停間を最も効率的な経路で走る。相乗りに際しても、柔軟なコース変更で対応するという。 このほか今回の運行実験では、乗客を対象とした認証実験も同時に行われる。前期はマイナンバーカードを使った認証で、後期は顔認証を用いる。将来はこれらの認証システムが、運賃の自動支払いや、登録者限定の運賃割引など、さまざまなサービスの提供につながるはずだ。 「新治バス」の教訓生かす 土浦市では2011年にもコミュニティーバス「新治バス」の試験運用を行ったが、このときは利用低調により2年半で廃止となった。新治地区全域をカバーする長い距離を走るため便数が少なく、待ち時間も長いという弱点があった。 だが今回はビッグデータの活用により、移動需要が多い区域を選び、なるべく小回りに走ることで、より細かい需要も拾えるようになった。またコミュニティーバスだけで完結するのではなく、路線バスのほか電動キックボードや自動運転ロボットといった小型モビリティーなど、複数の交通システムを組み合わせることで、効率化を図りつつきめ細かなサービスが提供できると期待されている。 つちうらMaaS推進協議会の関東鉄道、廣瀬貢司取締役は「高齢化や少子化が進む中、地方の移動手段確保はますます難しくなっている。多様な組み合わせから最適なものを考えていきたい。ぜひ多くの方に利用していただき、ご意見をうかがいたい」と語る。 22日の運行初日、第1便には高岡・田土部ルートで1人、沢辺・田宮ルートで3人の利用客があった。ショッピングセンター「さん・あぴお」のバス停から乗車したという20代の男性は「いろんな集落の中をぐるぐる回るので、新たな需要が見付かるのでは。免許返納した高齢者などに便利だと思う」と感想を述べた。

園児らの「アマビエ」ラッピング 土浦キララちゃんバスの撮影会

【伊藤悦子】まちづくり活性化バス「キララちゃん」をラッピングするアマビエの絵を描いた2人の園児を招き、記念の撮影会が21日、土浦市有明町の土浦駅前バスロータリーで行われた。安藤真理子市長、バスを運行するまちづくり活性化土浦の大山直樹理事長らが参加した。 新型コロナ退散を願う「アマビエ」は昨年9月、同市が行ったデザインコンテストで、応募577点の中から選ばれた(1月16日付)。市長賞を受賞した小林新ちゃん(5)とイオンモール土浦賞の前野ゆうりちゃん(6)の2人のデザインが採用された。ラッピングバス側面に描かれ、9日から同市内を走り出した。 事務局長の小林まゆみさんによると、受賞した園児の家族らから「ラッピングバスの前で写真を撮って、バスにも乗りたい」と聞いたのがきっかけ。「せっかくなら」と関係者で話し合い、記念撮影会を開催することにしたという。 安藤市長は、「新型コロナウイルスの厳しさや、マスクや手洗いの必要性をわかってもらうために、市内の園児たちにアマビエの絵を描いてもらった。これがきっかけですばらしいラッピングバスになってうれしい。2人のアマビエの絵で土浦が元気になる。コロナに負けるなという気持ちがみんなに強く響くのでは」と挨拶した。 市長賞を受賞した小林新ちゃんは「アマビエの絵を描くのが楽しかった。キララちゃんバスに乗りたくなった」と声を弾ませる。母親の明日香さん(34)は「受賞の知らせには驚いた。(新ちゃんは)絵を描くのがとにかく好きでいつも絵を描いている」と話す。 イオンモール土浦賞の前野ゆうりちゃんは「絵を描くことが好き。うれしい」と笑顔で話し、父親の三千丈さん(56)は「絵が好きな子だからよかった。初めてのことでうれしい」と語った。 大山理事長によると、アマビエデザインコンテストの報道に接し、「キララちゃんバスにラッピングしたい」と市長に申し出たところ、快諾されたという。「土浦は今、コロナで元気がないところがある。アマビエバスが市内を走って、元気になることを祈っている」と話した。 アマビエラッピングバスは、予定では6月下旬まで走行する。

《邑から日本を見る》82 ずさんな東海第2の避難計画

【コラム・先﨑千尋】2月13日夜中の地震にはたまげた。飛び起きてテレビをつけた。東海村は我が家から至近距離。そこにある日本原電東海第2発電所がどうなのかが心配だったから。何事もないことを確認し、また寝た。 翌朝のテレビはもっぱらこの地震の模様を伝えていた。福島にある2カ所の原発には異常がなかったようだが、高速道路で土砂が崩れたり、東北新幹線が不通になったりし、けが人もかなり出た。大学受験にも影響が出ているようだ。 報道では、今回の地震は10年前の東日本大震災の余震だとか。今回は津波が起きなかったので一安心だったが、福島の人たちはさぞ肝を冷やしたのではないかと思っている。10年もたっているのに、余震だとは驚きだ。 その東海村。毎日新聞は全国版の1月31日と2月1日付で、「東海第2避難所1.8万人不足」「責任曖昧 ずさん算定」という記事を載せている。それによると、同発電所をめぐる広域避難計画で、県内の避難所が2018年時点で約1万8000人分不足していた。施設のトイレや倉庫、ステージ、玄関ロビーまで、避難者の居住スペースとして計算していたからだという。 県の基準は「避難者1人当たり2平方メートル」だそうだ。トイレや倉庫まで含めて算出しているので、実際にはもっと少なくなる。あまりにもひどすぎる計画だ。畳1枚よりほんの少し広いくらいのスペースに、台風などの水害とは違い、いつまで続くかわからない長期間の避難生活ができるのか。計画を立てた人や首長、議員の皆さんに実験してもらいたいものだ。 「事故は起きない」楽観が暗黙の前提? 原発事故に備えた広域避難計画は、原発から30キロ圏内の自治体が策定することになっている。茨城県では東海村など14の市町村が該当し、これまでに5市町が策定済みだそうだ。その計画の中身を承知していないが、コロナ騒ぎの前のものなので、現時点では役に立たないだろうと考えている。 県が昨年5月に示した自然災害の際の避難所レイアウトでは、1人5平方メートルを想定している。原発災害にこの基準を当てはめると、広域避難計画そのものが成り立たなくなる。 4年前の県知事選のとき、現職の橋本昌氏が「避難計画などできはしない」と言っていたことを思い出す。県のトップがそう発言しているのだから、私も計画は作れないと思っている。策定済みのところも、作り直さなければならないのではないか。計画策定は原発再稼働の前提となっているので、東海第2原発の再稼働はできないことになる。 毎日新聞の記事には、災害リスク学が専門の広瀬弘忠さんの「あまりにもずさん。本気度が感じられない。『事故は起きない』という楽観が暗黙の前提になっているのではないか」というコメントが載っている。 今度のような最大震度6強の地震がまた発生し、津波も押し寄せたら、10年前と同じような惨事になる。いいかげんな避難計画を策定し、犠牲者が出たら誰が責任を取るのだろうか。「東日本大震災、今も影響。余震警戒さらに10年」と専門家は呼び掛けている。今度の地震はいろいろなことを考えるきっかけを作ってくれた。(元瓜連町長)

Most Read