日曜日, 4月 5, 2026

人生100年時代のマネープラン 《ハチドリ暮らし》8

【コラム・山口京子】「人生100年時代のマネープラン」というテーマでセミナーを依頼されました。そのとき、2019年に話題になった「老後2000万円問題」のことが頭をよぎりました。金融庁の金融審議会報告書に載っていた、「老後の30年間で2000万円不足する」というデータ元は総務省の2017年家計調査報告でした。 それによると、月当たりの高齢夫婦無職世帯の収入は21万円台、支出は26万円台で、ざっくり5.5万円の赤字となり、それが30年続くと計算して出した数字です。また、この家計調査によると、高齢夫婦無職世帯の貯蓄は2484万円程度となっていました。 統計数字の平均はお金持ちが「かさ上げ」するので、実態を表してはおらず、注意が必要です。また、どこの機関が、いつどんな目的で、どんな方法で、どういった対象に向けて、どのくらいのサンプル数で、調査をしたのかによって、出てくる数字は変わってきます。 ですので、セミナーでは統計数字を参考にはしても、大事なのは我が家の家計であり、我が家の暮らし方、考え方、価値観に基づいて、お金の管理や生活設計をしましょうとお伝えします。 ちなみに、2019年の家計調査では、月当たり収入が23万円台、支出が27万円台で、ざっくり3.3万円の不足。2020年は収支とも25万円台で、ほぼ赤字は解消されています。解消された理由としては、コロナ禍で特別定額給付金などにより収入が増えたこと、外出制限などで支出が減ったことなどが挙げられます。 健康寿命・働く寿命・資産寿命を延ばす 老後の収入の基本となるものは公的年金ですが、それを補完するために働く人が増えています。政府も、高齢者の就労促進のための取り組みや法律改正を続けています。人生100年時代のポイントは、健康寿命・働く寿命・資産寿命3つを延ばすことです。資産寿命についていえば、生活を支える経済的基盤の見通しを立てることです。 そのために、①足元を確認するために資産の一覧表を作成する、②生活費とライフイベントにかかる大きなお金を見積もり予算化する、③年間の収入額と支出額を出して黒字か赤字を確認しその原因を分析する、④将来を予想するキャッシュフロー表をつくり100歳になるまでのお金の流れをイメージする―ことが大事です。そうして1年ごとに家計を確定し点検してほしいとお願いします。 庭のミカンが色づき始めました。毎年、肥料もやらず手入れもしないのに実がなります。ミカンの木にもお日様にも感謝です。(消費生活アドバイザー)

筑波大教授、強制わいせつ容疑で逮捕

筑波大学教授が強制わいせつ容疑で7日、つくば警察署に逮捕されたとして、同大は同日、記者会見を開き「大学としてこのたびの事態を極めて重く受け止めています。被害者の女性に対し心からお詫びします」と謝罪した。 逮捕されたのは生命環境系長の男性教授(61)。今年4月から9月にかけて同大の研究室で、20代の女子学生の胸などを複数回触ったとされる。 同大によると、被害学生本人から9月28日、同大のハラスメント相談センターに「先生の研究室でセクハラ行為を受けた」などの相談があった。 10月11日、加藤和彦副学長に報告があり、加藤副学長は同日、被害学生の話を聞いた上で、男性教授に対し、被害学生とは接触せず電子メールなども送らないよう申し渡した。 その後11月2日から同大懲戒審査委員会が、双方から聞き取り調査などをしていたという。同大は、男性教授がわいせつ行為を認めたかどうかについては調査中だとしている。 一方、その後も男性教授は、他の学生に対し教育・研究の指導業務を行っていた。 男性教授は1998年、筑波大に赴任し、今年4月、生命環境系長に就任した。教員と研究生約300人を束ねる立場だったという。 加藤和彦副学長は「本学の教員が強制わいせつ容疑で逮捕されたことは誠に遺憾で、大きな衝撃を受けている。国立大学法人の教員という立場の者が、構内でかかる行為を行ったことは許されざること」とし、今後、詳細が明らかになった段階で厳正な処分を行うとしている。 同大は「これまでも法令順守や職員倫理について指導を徹底してきたが、このたびの事態を受け、全学を挙げて更なる取り組みの強化を進める」としている。

50年の味、Aセットが出迎える【クルマのある風景】2

和風レストラン キャニオン 平田貴夫さん つくば 「表筑波スカイラインをドライブして、下大島の古いレストランで食事をした後、うちにやってくるお客さんがいます。そういったミーティングとドライブコースがあるそうですよ」と、前回取材したノスタルヂ屋の松浦正弘店主が教えてくれた。 つくば市下大島の古いレストランといえば、「和風レストランキャニオン」に違いない。創業して50年を過ぎている。昔から国道沿いのにぎわう店舗として地元の常連客やクルマ好きがやってくる。創業者である平田和夫さんが、無類のクルマ好きだったこともあり、当時の言葉で言えばドライブインとして成功した店だ。 平田さんは2018年に亡くなり、助手として厨房に入っていた息子の貴夫さん(51)が2代目となって切り盛りしている。メニューは50年の間に増えているが、ほとんど変わらない和風の洋食が出迎える。 「1970年の秋、翌年の冬に私が生まれる直前、開店させたんです。親父はもともと県職員で土地改良区の仕事をしていたんですが、突然それを辞して、土浦駅前で料理人の修業を始めたそうです。亡くなる直前まで現役のシェフでした」 先代から受け継いだメニューのうち、定番となっているのがAセット。ハンバーグ、エビフライ、カキフライの3種を4通りに組み合わせ、ひとつを選ぶ趣向は、同店の有名な料理だ。多くのクルマ好きがAセットを求めて、ときには広島県や北海道からの来店もある。 「親父はモータリゼーションを目の当たりにして、やりたいことを見出したんだと思います。かっこいいクルマ、家族連れのクルマ、陸送のドライバーに美味しい料理を提供して、自分も車談義をしたい。そういう背中を見てきたせいか、私も車が好きで…」 貴夫さんは会社勤めを経て42歳の時に実家へ戻り、厨房に立った。20代の頃手に入れた、R31、7代目の日産スカイラインが、店の前に看板のように置かれることとなった。スカイラインに乗ったのは、少年時代に見ていたテレビドラマの影響だという。「本当は6代目のR30が欲しかったんですが、今ではこのR31スカイライン一筋です。お客様が聞きつけて、同じ車種同士で訪ねてきてくれるようになり、そうなると親父はもう厨房を飛び出して話をしたくて仕方がなかったようです」 クルマ好きの来るお店という成り立ちをきっかけに、貴夫さんと仲間とで「筑波山ミーティング」を企画することとなった。これがどうやら、ノスタルヂ屋の松浦店主が話していたドライブコースの誕生らしい。 キャニオンを訪ねた日、偶然にもミーティング立ち上げに関わった高槇健太郎さんも居合わせ、車談義が始まる。 「最初は3人で企画を立てて、6台の車が集まりました。朝日峠の駐車場を使わせていただくので、まずごみ拾い活動。そのあと互いのクルマの品評会をやって、筑波スカイラインを風返峠まで走り、八郷(石岡市)に降りて朝日トンネルをくぐって、昼過ぎにここで食事をするんです。今は30台ほどの規模になっています」 高槇さんはミーティングの様子を説明しながら、「いわゆる走り屋、暴走族と勘違いされたくない。だからクラブやチームのような型にははめず、車種も限定せず、ちょっと古い世代のクルマを好きな人たちが、来られたら来るというスタイルで年3回開いています」と付け加える。そのスタンスはとても大事なことだ。 貴夫さんは店を経営する立場上、今はミーティング現場に出かけられない。その代わりに空腹でやってくる仲間たちに温かい料理を作る。昨年はコロナ禍の影響で中止となったが、9年目の今年は、12月に開けるかどうか検討中だ。 「会えて良かった! これが当店のキャッチフレーズです。親父の口癖でした。立ち寄ってくださる人、常連になってくれた人、皆さん共通する何かがあるのだと思います。そのご厚意に支えられての51年目です」貴夫さんは目を細めながら、うれしそうに語る。来客からのオーダーが入る。やはりAセットだった。(鴨志田隆之) ■和風レストラン キャニオン つくば市下大島422-1 午前11時開店 月曜定休

グローバリゼーションに新ルール 《雑記録》30

【コラム・瀧田薫】ダニ・ロドリック氏が「グローバリゼーション・バラドクス(The Globalization Paradox)」(2011年)を出版してから、今年でちょうど10年になります。この間、「グローバリゼーション」に関する論文・著作が数多く発表・発行される中で、この本の存在感はまだ失われていません。 この書物が発行された当時、著者は世界経済の「政治的トリレンマ」(民主主義、国家主権、グローバリゼーション)を同時にバランスよく追求することは不可能で、旗色の悪くなった国家主権と民主主義を守るために、グローバリゼーションをある程度制限することもやむを得ないと主張しました。 この主張を経済学の観点から見れば、いわゆる新自由主義的論理が市場と政府は対立関係にあると考えるのに対して、金融、労働、社会保障など、国家がコントロールする諸制度が補完しない限り、あるいは政府による再分配やマクロ経済管理が機能しない限り、市場はうまく回らず、秩序あるいは社会的安定も確保できないとする考え方と言えるでしょう。 政治学においても、国家の統治能力の向上なしに持続的な経済発展は望めないとの見方が有力ですし、ロドリック氏の考えは正鵠(せいこく)を射たものと思われます。 主権国家が新たな規制枠を用意 ちなみに、10月13日、主要20カ国・地域(G20)が、先に経済開発協力機構(OECD)がまとめた新しい国際課税ルールについて支持を表明しました。 内容は、法人税の国際的な課税最低税率を15パーセントとするほか、巨大IT多国籍企業を対象にした「デジタル課税」を導入することです。なお、G20は2023年の新ルール導入に向け各国それぞれに努力するよう求めています。 この新ルールは歴史的と評されていますが、その理由は2つあります。1つは、1980年代から続いてきた法人税率引き下げ競争の方向性を逆転させようとしていること、もう1つはGAFAM(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル、マイクロソフト)に代表される巨大多国籍企業への課税強化の機運を高めたことです。 これらの企業は、これまで国際的な租税回避策により利益をためこんできました。今回のルールが導入されれば、主権国家の公的サービスが財源確保に向けて大きく前進します。つまり、主権国家の側がグローバル化に対する新たな規制枠を用意することで、大きくなりすぎた富の格差を是正する分配政策への道を開いたということです。 ただし、2023年に新ルールが導入できるかどうか、懸念材料もあります。たとえば、来年のアメリカ中間選挙で、バイデン与党が大敗するとの予想があります。そうなると、アメリカにおいて新ルールの導入はまず実現しません。トランプ前大統領の「アメリカ第一主義」の復活です。 現在、バイデン政権の支持率は低迷し、与党民主党のコントロールさえままならないとの報道もあります。結局、グローバル化とアメリカの国家主権、それにアメリカの民主主義、この3要素が織りなすトリレンマに、まだしばらく付き合うしかなさそうです。(茨城キリスト教大学名誉教授)

商品はカタログや自動車雑誌【クルマのある風景】1

サーキットのモータースポーツでもオフロードのクロスカントリーでもなく、日常にある自動車と向き合う人々は数多く存在する。ニッチ(すきま市場)とも、趣味の世界ともいえる、つくば、土浦のクルマのある風景をたずねた。 ノスタルヂ屋 松浦正弘さん つくば つくば市花畑に所在する「ノスタルヂ屋」は、一見すると昔ながらのレコード店のように見える店内だが、ここで取り扱われているのは音盤ではない。ジャンル別、メーカー別、車種別に分類された、1950年代くらいから現代に至る、内外各自動車メーカーが販売した自動車、オートバイのカタログや自動車雑誌が商品、まさしく趣味の世界だ。 そんな品物に商品価値があるのかと言えば、興味のない人には古本以下だが、かつて乗ったことのあるクルマ、昔からほしかったクルマを手に入れた、そのような人々には至高の宝物がカタログなのだ。 店主の松浦正弘さん(69)は、20代の頃に東京・中野区で「ブックガレージ」という名の店を起こし、40年を超えてこの商売を続けている。自動車雑誌がオールドカーの特集を組み、特定車種のヒストリー記事をまとめる際、自動車会社にさえ現存しないカタログなら編集者は松浦さんのもとを訪ねる。 「つくば市に移転してきたのは1996年のことです。僕は静岡県の浜育ちだったので、年をとったら山が近くにあって、そこへドライブできるところに住みたいなと思って」 つくば市にはかつて日本自動車研究所の谷田部テストコースがあった。近隣には筑波サーキットがあり、筑波山にはツーリングのメッカとも言うべき筑波スカイラインがある。筑波研究学園都市の成熟も見据えると、松浦さんにとって東京に次いで居を構える理想の地だった。 松浦さんはインターネットもSNSも利用しない。カタログの問い合わせは電話対応のみだ。さもなければ直接来店するしかないという、売り手市場にも見える商売を続けている。「掘り出し物という言葉があるでしょう。それは、自ら見つけ出してこその価値なんですよ。お暇なときに何度か来店していただいて、目当てのカタログを見つけ出せたら、きっとうれしいはずです」 お客を突き放しているわけではない。かかってくる電話には時間をかけて丁寧に要望を聞き、在庫の有無を伝え、取り置きする。開店休業のように見えてもそこそこの来客がある。そうなると店舗を離れるわけにも行かず、ずっと執務デスクで店番をするしかない。 「最近、寂しいと感じるのは、大量のカタログを売りに来るお客さんの傾向が変わったこと。聞けば断捨離なんです。あれほど焦がれてコレクションしていたものと離別する思いを聞くと、僕もつらいですね」 それでも人から人へ、1冊のカタログが品質を保持された状態で渡り歩いていく。それが松浦さんの密かな楽しみでもある。 ノスタルヂ屋には、もうひとつの貴重な商品がある。70年代以前のカタログから起こされたクルマやオートバイのポストカードだ。著作権や版権に縛られた現在では、このような企画を立てることは困難だ。商品と言いながら、一定額以上の買い物をしてくれたお客にはサービスで提供してしまう。「各メーカーともおおらかな時代があったんです。私のような個人経営者でも信頼を得られて、二つ返事で使用許諾がとれましたから」 いま、店内には何冊くらいのカタログ在庫があるのかを聞いてみた。松浦さんはにこにこしながら「さて、全車種合わせて1000冊ほどはあるんじゃないでしょうか。私にも分かりません」と話す。掘り出し物を見つけるコツは、毎月企画している、特定車種や年代に限定したフェアだそうだ。普段は倉庫入りしているとっておきのカタログが、そのときだけ並んでいる。(鴨志田隆之 4回シリーズ) ■ノスタルヂ屋 つくば市花畑1-12-17 営業時間:正午~午後8時  定休日:毎週木曜

市民グループがつくば市長を追撃 《吾妻カガミ》121

【コラム・坂本栄】今年5月に市民グループから「センタービル再生事業」の進め方がおかしいと指摘された五十嵐つくば市長。今度は「1期目退職金22円」はおかしいとその政治スタンスが追及されています。センタービル問題(監査請求→住民訴訟)に続く退職金問題(監査請求)。五十嵐さんの周辺がまた騒々しくなってきました。 22円市長は624万円を賠償せよ! 市に対する新たな監査請求は、五十嵐さんが2016年の市長選挙で掲げた公約「市長特権の退職金廃止」をめぐるものです。実際は、退職金ゼロは制度上無理と分かり、議会で特例条例を通してもらい(2020年9月18日)、最少額の22円を受け取りました。市民グループ(代表=酒井泉さん)は「自分を犠牲にして市民のために尽くす市長」像を市民の間に広げることを狙った選挙戦術と批判。公職選挙法上も問題があると主張しています。 退職金問題の監査を求めて、市に出された文書(11月16日付)のポイントはいくつかあります。その内容を紹介する前に、議論になっている数字を押さえておきます。退職金受け取りに備えて市が自治体職員退職金プール組合に払い込んだ金額=624万円、規定による1期分の市長退職金=2040万円―です。 ポイント1は、市長は22円しか受け取らず、市が払い込んだ624万円はムダになったのだから、市は市長に624万円の損害賠償を求めよ―。その2は、退職金制度では2040万円もらえることになっていたのに、受け取らなかったのだから、市は退職金プール組合に払い込んだ624万円を返してもらえ―。その3は、そもそも22円条例が問題なのだから、市は同条例が違法であることを認めよ―。いずれも面白い視点です。 順番が逆になりましたが、ポイント3の違法性は、公職の候補者は寄付行為をしてはいけないとしている公選法199条3に照らして、22円退職金は市に対する寄付(金額は624万円マイナス22円)に当たるから違法だ、という主張です。監査結果はどうなるでしょう? センタービル問題の方は、コラム113「五十嵐つくば市長 今度は被告席に」(8月16日掲載)をご覧ください。 つくば市民は市長に軽く見られた? この問題についてはコラム91「つくば市長の退職金辞退に違和感」(2020年10月5日掲載)でも取り上げ、「五十嵐さんは選挙での『受け』を意識して、2016年の市長選で市長退職金廃止を公約、20年の市長選を前に公約を実行に移したのでしょう。廃止公約が市長選ではプラスに働き、公約を守らないとマイナスに作用すると判断したようです」と指摘しました。言い方は違いますが、市民グループの先の受け止め方と同じです。 退職金辞退は一種のポピュリズム(大衆迎合的な政治スタンス)であり、つくば市民は五十嵐さんから軽く見られたのではないでしょうか? ある市長からこんな話を聞きました。五十嵐さんが22円退職金について記者発表(2020年6月5日)する直前、SNSの県南市長情報交換欄にその旨通告があったが、他の市長からは「賛」はもちろん「否」のコメントも出ず、白けムードが漂ったというのです。皆さん、対抗馬にこんな公約を出されたら、施策を競うべき選挙が歪(ゆが)んでしまうと思ったようです。(経済ジャーナリスト)

つくばの市街地にイノシシ出没

つくば市の市街地にイノシシが出没している。11月初旬から12月初めに天久保4丁目、学園の森、天王台付近で相次いで目撃された。農村部ではイノシシによる農作物被害が大きな問題になっているが、街中でイノシシが目撃されるのは同市で初めてだ。市や警察は連日パトロールを実施している。現時点で被害の報告はない。 市鳥獣対策・森林保全室によると、11月4日、松塚と古来で目撃された。その後、7日に筑波大学近くの天久保4丁目の住宅地で目撃され、20日と21日には学園の森の商業施設周辺で目撃された。11月25日から12月4日には天王台で目撃された。 大きさなどは不明だ。これまで市内各所で目撃されたイノシシが同じ個体なのか、別の個体なのかなども分かっていない。 目撃場所付近では、市と警察などが巡回を続けているほか、学園の森付近では目撃場所近くにわなを設置している。3日までにまだ捕獲されていない。 「初期段階の対策重要」 農研機構畜産研究部門 動物行動管理研究領域の平田滋樹上級研究員。右の画像はイノシシの頭とあごの骨 つくばの街中にどうしてイノシシがいるのか。農研機構畜産研究部門 動物行動管理研究領域の平田滋樹上級研究員は「いつ、どこから来たのかは分からないが、イノシシは平地の休耕地や平地林、やぶなどが好適地。つくばは市街地でも豊かな自然が広がっているので、市街地でイノシシが目撃されても不思議ではない」と話す。平地林ややぶなどで、ススキやクズの根っこ、ドングリなどを食べているという。 目撃した場合の対応については「イノシシは警戒心が強い。石を投げたり、犬をけしかけたりなどは絶対せず、その場からそっと立ち去ってほしい」と話す。 一方「初期段階でどれだけ早く対策をとれるかで、その後の増え方が変わってくる」とし、住民ができることとして「目撃したら、日付けと時間、どっちに行ったかをメモし、行政に通報してほしい」とする。情報がたくさん集まれば集まるほど、居場所を絞り込むことができる。 さらに、えさを置いたり、飲食容器のごみを捨てると知らず知らずのうちに餌付けになってしまったり、人を恐れなくなってしまうので、餌付けやポイ捨てをしないことが重要だと強調する。 イノシシはどこに食べ物があったか覚えていて、目撃場所周辺に再びやって来ることがあるという。草が茂っていると茂みに隠れて、急にとび出してくる恐れがあるので、目撃場所付近では草を刈って茂みを減らすことなども対策の一つになるという。 市内では2018年1月、同市沼田のつくば霞ケ浦りんりんロードで住民2人が相次いでイノシシに襲われ、けがをする事故が発生している。 つくば市内の市街地でイノシシを目撃した場合の連絡先は以下の通り。市役所鳥獣対策・森林保全室 電話 029-883-1111つくば警察署  電話 029-851-0110

やっかいな「完璧主義」《続・気軽にSOS》98

【コラム・浅井和幸】心理相談をしていて、頻繁に出てくる自己評価に「完璧主義」というものがあります。「自分が苦しいのは完璧主義だからです。それが悪いのは分かっているのですが、やめられないんです」という感じですね。 きっと元気なころは、完璧に仕上がるようにやり抜こうという強い意志で、様々な物事に対処してきたのでしょう。そして、それがうまく機能していた。しかし、そうそう完璧に物事をやり遂げられることが続くとは限りません。 そのうち、完璧じゃなくても物事を先に進めなければいけない場面に出くわすでしょう。それは、締め切りなのか、体力なのか、技術なのか、認識なのか―何かしら有限の壁にぶつかります。 何とかできる範囲で仕上げようと、適当なところで切り上げられればよいのですが、できないと心身ともに疲労が蓄積されていきます。その疲労のため、完璧にやり遂げようではなく、完璧にできないのであればやらないという考えや行動につながります。心身のストッパーが効いて、考えや行動ができなくなる状態です。 「なんとかなるさ」「適当に行こう」 それを、さらに無理して動いたり考えたり、完璧を目指すと、疲労は限界を超えます。過ぎた完璧主義は、オーバーワークになりやすいといえるでしょう。そうすると、心身にダメージを負い、適応障害やうつ病などの病を発症するかもしれません。 オーバーワークを一要因としてパニック障害となり、パニック発作を起こすかもしれません。パニック発作には、動悸(どうき)、手足の震え、発汗、息苦しさ、吐き気などが生じ、時には死んでしまうかもしれないという恐怖に襲われることもあります。 これらはある特定の場面で起こることがあり、人によって、飛行機に乗ること、車の運転をすること、テスト、舞台やプレゼンなどで緊張する場面で起こります。 それが繰り返されると、その場面を思い起こすことで発作が出ることもあります。明日仕事で飛行機に乗らなければいけないと考えるだけで、動悸が激しくなり、過呼吸を起こし、死んでしまうのではないかという恐怖に包まれるという状態です。 これらは自分1人で直そうと思えば思うほど、症状が悪化しやすいものです。適切な薬物療法と精神療法を受けるようにしてください。1000人に6~9人の人がパニック障害になるともいわれていますので、珍しい病気ではありません。 恥ずかしがらず、そして怖がり過ぎずに、病院や保健所、精神保健福祉センターなどに相談してみてください。茨城県には無料相談所があります。パニック障害は厚労省のページが分かりやすいと思います。 そして、次の呪文を唱えてみてください。「大丈夫、なんとかなるさ」「大したことない、適当に行こう」。(精神保健福祉士)

電子顕微鏡でミクロの世界体験 土浦一高で科学実験講座

県立土浦一高(中澤斉校長 生徒数911人)の産学連携科学実験講座が3日、土浦市真鍋の同高科学実験室で行われた。電子顕微鏡の日本電子(本社・東京都昭島市)の理科支援チームが走査型電子顕微鏡(SEM)を持ち込んで指導。生徒たちは3時間にわたる講義と実習で「ミクロの世界」に没頭した。 日本電子CEOの栗原権右衛門会長が同高OBという縁で、実現した電子顕微鏡体験の機会。昨年予定されていたがコロナ禍で中止となり、2年越しの開催となった。定期テストの最終日午後に組まれた日程で希望者を募り、付属中学校の生徒13人と高校1年生19人、2年生1人が参加した。 栗原会長自ら来校し、「岸田内閣は科学技術立国をいうが、それを支えるのは、人材と電子顕微鏡などの観測装置だ。こうした機会を増やし、若い人たちの間で進んでいるという理科離れに待ったをかけたい」と後輩たちの授業を見守った。 電子顕微鏡の構造や見え方についての講義を受けた後、生徒たちは顕微鏡写真を見比べるグループ、教室に持ち込まれた卓上型のSEMを操作して実地に観察するグループなどに分かれて、ミクロの世界を体験した。短い波長の電磁波で物体を観察する電子顕微鏡は単色の画像となるが、拡大・縮小したり、焦点深度を変えるだけで多彩な驚異の世界が展開する。 同高では生徒たちがチームを組んで行う探究学習活動があり、「マイクロプラスチック」を研究テーマにした1年生のチームは事前に霞ケ浦で採集した試料を濾紙(ろし)でこしとり、乾燥させて同社に送っていた。試料は検体となって実験室に持ち込まれた。 検体は1000倍に拡大すると様々な物体がクローズアップされるが、プラスチックかどうかは容易に特定できない。SEMは対象を限定すると、瞬時に元素分析まで行ってしまう装置で、生徒たちは表示を見ながら「炭素が多い」「どうも鉄みたいだ」と走査を繰り返し、画像をプリントアウトした。 高校1年の澤出愛美さんは「これがあやしいってところまでしかいけなかったが、とても貴重な体験ができた。今回のデータをもとに専門家の意見を聞いたりして成果をまとめていきたい」と語った。探究学習活動は来年3月に成果発表が予定されている。(相澤冬樹)

つくば駅前にチャレンジショップ2店オープン

つくば駅前の商業施設キュート1階とBiViつくば2階に3日、古着店と弁当店がそれぞれオープンした。市内での新規出店や創業を目指す若者を後押しする市のチャレンジショップ事業で、来年2月末まで期間限定で出店する。 自分に合うおしゃれをコーディネート 古着店 古着店は、筑波大学理工学群社会工学類2年の岡本萌実さん(20)が代表を務める「リリー・オブ・ザ・バレイ(Lily of the valley)」で、約90平方メートルの店舗に、ジーンズやジャケット、シャツ、スカート、ワンピースなど1着3000円から6000円の普段着約300点が並ぶ。中高生や大学生など若い世代がターゲットで、アクセサリーやバッグなどもある。 岡本さんは秋田県出身。服が好きで、高校1年の時から、自分が着ている服を写真に撮り、コーディネートのポイントと共にインスタグラムでほぼ毎日紹介してきた。大学に入ってからはアパレル会社から依頼を受け、はやりの服を紹介したり、コーディネートの相談に乗ったり、服を貸し借りする市内の大学生同士のLINEグループを立ち上げるなどしてきた。友人から服のコーディネートを頼まれることも多いという。 ファッションへの愛が高じ、着られてない服を次の持ち主に届けて服を循環させ、さらにファッションの相談に乗りながら、昨日よりちょっぴりおしゃれになれる場所をつくりたいと、市の事業に応募し出店した。 古着店を運営するスタッフは筑波大生17人。古着などを購入する資金は、岡本さんが知人らを集めて事業提案し約100万円を集めた。スタッフが千葉県内などの古着卸業者に買い付けに行く。 店名のLily of the valleyは、すずらんを意味する。花言葉は幸福の再来で、着られなくなった服を次の持ち主に届け再び幸福にするという願いを込めた。 岡本さんは「その人に合う色やコーディネートを提案したい」とし「古着好きだけでなく、自分に合う色や自分に似合うおしゃれが分からない人も気軽に来て、相談してほしい」と話す。来年夏には筑波大近くに古着店を出店する計画もある。 野菜の味を発酵調味料で引き出す 弁当店 弁当店は、今年3月、埼玉県からつくば市に移住してきた発酵料理家の宮崎絵美さん(38)が経営する。店名は「森と海のおべんとう」で、市周辺の農家が栽培した無農薬野菜を、宮崎さんが、みそや麹(こうじ)、酒かすなど発酵調味料で料理した手作りの弁当と惣菜を販売する。 店舗はBiViつくば2階の約25平方メートル。3日の弁当のおかずは、白菜とカリフラワーの鶏ブロス煮込み、切干大根と豚の甘酒アラビアータ、ブロッコリーソースのフワとろ卵焼き、熟成ビーツと有機ニンジンのサラダなど。ごはんは合鴨農法で栽培した白米に黒米を混ぜた。 つくば市と守谷市内3カ所の農家から仕入れた野菜を、栄養素などが逃げないよう、水を使わず野菜に含まれている水分だけで無水調理し、野菜本来の味を引き出しながら発酵調味料で味付けする。 弁当は8種類のおかずが入った1200円(税込み)のものと6種類が入った850円(同)の2種類で、おかずと惣菜は、季節ごとに変わる。水、木、金曜の週3回、弁当は1日限定40食を販売する。 宮崎さんは千葉県出身。大学を卒業後、外資系の広告代理店に勤めた。深夜まで働きづめの日々を10年ほど続けたが、30歳手前で体と心のバランスを崩し、自分は何のために生きているのか、自分の時間の使い方を変えたらもっと人を幸せにできるのではないかと考えるようになった。母親ががんを患った時期とも重なり、大事なのは自分の健康と家族だと、32歳のとき会社を辞めた。 その後、千葉県いすみ市で、自給自足の生活を送りながら暮らすグループに参加し、1年間ほど住み込みで農業をしたり、発酵調味料作りを学んだり、カフェを手伝うなどした。食を一生の仕事にしようと決意し、続いて南アフリカに赴きオーガニックマーケットを学ぶなどした。 帰国後は、子育て中の母親の家などに出向きケータリングや出張料理をした。しかしコロナ禍で仕事のスタイルの変更を迫られ、今年3月、もともと野菜を仕入れるため通っていたつくば市に移住した。9月からは、閉店したレストランの厨房を借りて、市内で弁当の販売をスタート。今日収穫した野菜を、明日のお弁当で出せる農家との距離感が、つくばを選んだ理由という。 これまでの活動を通して「発酵調味料を使った料理方法を教えてほしいとか、みそ作りのワークショップを開いてほしいとか、子どもと一緒に畑に行って皆で料理がしたいとか、いろいろな声をいただいた。ママコミュニティーを盛り上げ、一緒に地域をつくり上げる活動をしていきたい」と話す。 13人が応募 チャレンジショップ事業は、市がセキショウキャリアプラスに委託して実施している事業で、今年度で3年目。出店者の家賃を補助するほか、経営の専門家がアドバイスしたり、顧客や販路開拓を支援する。今年は7、8月に出店者を公募し、13人の応募者の中から、長期出店者として岡本さんの古着店と宮崎さんの弁当店、短期出店者としてほかに3人が選ばれた。今年度の事業費は約1140万円。

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