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2019
つくば市中心地区に屋外アート現わる 国内外16人が滞在し制作
2019年11月4日
【相澤冬樹】国内外の芸術家がつくばに滞在し、作品を制作・展示する「つくば国際アーティスト・イン・レジデンス2019―第7回国際つくば現代美術『周縁の美学展』」が4日、幕を開けた。つくば市とNPO法人つくばアートセンター(篠原光子代表)主催で、17日まで。同市吾妻の中央公園をはじめとするセンター地区の屋外空間を会場に展開される。 7回目を迎えた今年は、米国、フランス、インドなど10カ国から16人のアーティストが参加。現代アートの空間造形の手法である「インスタレーション」による公開制作が10月26日から行われてきた。つくばセンタービル広場には舟のように木の枝が組み合わされた展示が並ぶなどした。最終的に、展示会場はさくら民家園、中央図書館中庭、つくばカピオ別棟、つくば美術館屋外展示場などに広がった。 4日はオープニングイベントが行われ、市民ギャラリーで開催の開会式にはアーティスト全員が集まって、それぞれ展示に臨む意欲を語った。つくばの中心市街地は「古びたところもあって、インスピレーションを刺激する」という作家もいた。 開会式直後、いきなり中央公園からつくば駅方面へ街歩きのパフォーマンスが始まる展開で、遊びに来ていた家族連れは「何事か起こったのか」ときょとんとした表情。日没を待って、市民ギャラリーをキャンバスに投影するプロジェクションマッピングも行われた。 同展は一部ワークショップを除き無料。会期中、9日、10日、16日には小学生と保護者を対象にしたアートガイド(市民ギャラリー集合で約1時間、要予約)が、最終日17日には午後4時30分からさくら民家園集合でナイトアートツアーが、それぞれ行われる。問い合わせは、つくばアートセンター(hearth.art981@gmail.com) ➡つくばアートセンターの過去記事はこちら
膝に人工関節も連日の登山 土浦「小町山」の愛好会長
2019年11月4日
【相澤冬樹】低山といえど、山頂を目指すならトレッキングやハイキングではなく「登山」。筑波山系に連なる標高361メートルの小町山(土浦市小野)では、地元の愛好家がルート整備をしながら山登りを楽しんでいる。小町里山愛好会―。会長の斎藤晃さん(77)は毎日午前中の登山を欠かさないほどの熱の入れようだが、その右膝には人工関節が入っているというから、“健脚”っぷりには驚かされる。 土浦市小野の「小町伝説」に由来する小町山。愛好会が勝手につけた名だが、最近はグーグルマップにも載っている。会の結成は2017年3月、所有する地元砕石メーカーの協力のもと山に立ち入り、同所の「小町の館」から山頂に至る3つのハイキングルートを整備している。 東のハイキングコースに連結する朝日峠展望コース、中央の急勾配を登る尾根コース、西の沢伝いを回り巨石群に抜ける天の川コースの3コース。お隣りの宝篋山(ほうきょうさん、標高461メートル)の登山道整備に一役買ったメンバーが加わって、ルート整備を担っている。 秋の紅葉シーズンともなるとごった返すほどの人出となる宝篋山の混雑を避けて、小町山に移ってきた愛好者が多い。「標高は100メートル低いが難易度からいえば小町山。甘く見てると意外な急勾配に息が上がってしまう」そう。変成岩の一種、ホルンフェルスが大きく露頭している場所などがあり、「小町の舞台」だの「おかめ岩」だの名付けて楽しんでいる。 「山は診療所」健康増進に新兵器も 活動の先頭に立つのが、登山道入口近くに自宅を構える斎藤会長。70歳を超えて人工関節を右膝に入れ、とぼとぼ歩いていたところを山に誘われた。一念発起して登ってみると、脚の痛みも忘れ、一気に病みつきになった。以来毎朝、多少の雨ぐらいは意に介さず登るようになった。今では1時間ほどかければ登れるという。 「年取ると何かにつけ出歩くのがおっくうになるが、山歩きほど健康増進にいいものはない」と斎藤さん。多くの人に山の良さを知ってもらいたい、と最近、足腰が心許ない高齢者を同伴するための新兵器も開発した。2メートルほどの長さに切った竹材2本を布のない担架のようにして用いる。介助者が前後に立ち、中央に高齢者などハンデキャップ者をはさんで山道を登るものだ。 「山は診療所」といい、自宅の納屋は「山小屋」と呼んで活動の拠点にしている。2日開催のスタンプラリーには家族連れなど約180人が参加した。こうしたイベントは年1回しかできないが、山道の整備作業は月1回程度行っており、ボランティア参加を歓迎している。 申し込み・問い合わせは斎藤さん(電話:090-2526-2131) ➡土浦市小野地区の過去記事はこちら
筑波大、流経大に敗れる 関東大学サッカー茨城ダービー
2019年11月3日
【崎山勝功】第93回関東大学サッカーリーグ1部後期第19節の筑波大―流通経済大戦(通称「茨城ダービー」)が3日、龍ケ崎市中里、市陸上競技場たつのこフィールドで行われ、筑波大が0-1で流経大に敗れた。筑波大は3日時点でリーグ4位で、残り3試合を前に全日本大学サッカー選手権(インカレ)出場圏内の上位5チーム入り(リーグ優勝の明治大を除く)を維持できるか、微妙な情勢となった。 筑波大は、前半13分に流経大FW山口大輝(4年)にシュートを決められ失点を許した。同点に追いつこうとMF高嶺朋樹(4年)らがシュートを計3本放ち流経大ゴールを攻めるも得点にはつながらず、前半を折り返した。 後半も流経大優勢の流れは変わらず、筑波大ゴール前をGK大川圭為(4年)ら守備陣の健闘で辛うじて点差が広がるのを阻止していた。筑波大は後半12分にFW森海渡(1年)、同30分にFW和田育(1年)、同44分にMF加藤匠人(2年)を相次いで投入したが、試合の流れを変えるには至らず、同点に追いつけないまま試合は終了した。 5月に行われた前期第9節の茨城ダービーでは、筑波大が流経大に1-0で勝利していた。しかし流経大は茨城国体の県チームに選手14人が出場して、茨城県の優勝に貢献。国体が終了しメンバーが復帰してからは、流経大はこれまでの関東大学リーグ最下位(12位)の不調を取り戻すかのように快進撃を続ける。3日時点で11位ながらも10位の早稲田大とは勝ち点差を1まで縮めて、2部降格圏脱出を図っている。 筑波大は2日のインディペンデンスリーグ(Iリーグ)=大学トップチーム以外の選手対象=でも流経大と対戦し、筑波大U-22Aチームが1-2で流経大U-22Aチームに敗れた。 「完敗と言っていい」筑波大の小井土正亮監督 流経大が隙無く戦って、我々のミスを確実にものにした。我々は一度も相手の隙を見つけることができなかった。完敗と言っていい。(流経大は)国体も戦って、リーグ戦も戦って、というハードな日程をこなしていることにリスペクトしている。茨城国体で優勝したことが少なからず(流経大)選手の自信になっていると思う。まだ(インカレ)出場権は確定した訳ではないし、出られるために勝ち点を1ポイントずつ稼いでいくしかない。残り3試合をいい準備をして勝ち点を取る戦いをしていきたい。 「国体の経験生きた」流経大の中野雄二監督 ウチ(流経大)は今の順位が良くないので勝つしかない、という気持ちがゲームのいろんな場面に出ていた。筑波大とは昨日(2日)もIリーグでもいい試合をやらせてもらって、今日(3日)もまた2日連続でこういう試合になったけど、筑波大という素晴らしいチームがそばにあるので、切磋琢磨して頑張ろうという気持ちになれる。国体は47年に一度。僕らの今年の一番の目標は「国体優勝」だった。リーグ戦に影響があったのは事実だが、ここに来て国体の経験が生きて4連勝している。 ➡筑波大サッカーの過去記事はこちら
中川氏と安藤氏が一騎打ちへ 土浦市長選告示
2019年11月3日
任期満了に伴う土浦市長選が3日告示され、現職で5期目を目指す中川清氏(74)=無所属=と、新人で県議2期を務めた安藤真理子氏(58)=同=が立候補を届け出た。市政の継続か刷新かを巡って、一騎打ちの選挙戦に突入した。 中川氏は4期16年の実績を強調。「日本一住みやすいまち土浦」を掲げ、地域力と市役所力が一体となった協働のまちづくりや、行財政改革を続け市民サービスの向上などを訴える。市内の商工業者、農業者団体の支持のほか、市議の3分の2の15人の応援を受けて万全の組織で再選に挑む。 安藤氏は「チェンジ土浦」を旗印に、暮らし満足度ナンバーワンの温かさあふれる市政の実現を訴える。市立保育所を守ってほしい、コミュニティバス「キララちゃん」を市内全域に走らせてほしい―など、市民の声に応える市政への転換を街頭などで訴え、市民に浸透を図る。 有権者数は11万8348人(2日現在)。選挙権が18歳以上に引き下げられたことから前回より約3000人増えた。前回の投票率は28.42%だった。 投票は10日午前7時~午後6時まで市内50カ所で行われ、午後7時から、同市大岩田、水郷体育館(霞ケ浦文化体育館)で即日開票される。大勢判明は午後8時ごろの見込み。 中川清(なかがわ・きよし)氏 74 市長 無所属 現④ 【公約】①民間活力の誘致による魅力ある霞ケ浦湖畔の創出②サッカー等多目的広場の整備③若い世代の結婚・出産・子育て支援の充実 【略歴】県立土浦一高、慶應義塾大経済学部卒。土浦商工会議所会頭、県公安委員長を歴任。2003年11月から現職。 【中川陣営の出陣式】午後4時から同市城北町のホテルで出陣式。地元の青山大人衆院議員、伊沢勝徳、八島功男両県議、市議15人のほか、商工・農業団体代表者、県内各地の市町村長らがずらりと顔をそろえ「難しい時代だからこそ安定、継続、安心」(伊沢氏)が求められるなどとアピールした。中川氏は「人(市職員数減)やお金(財源)がなくなっていく中で時代に合わないものは止めていった。そういうことをして(市立図書館や消防庁舎など)老朽化し狭あい化していた公共施設を建て替えることができた」と行財政改革の成果を強調。今後は新しく整備した公共施設を活用しソフト面を充実したまちづくりを進めたい、国に先駆けて実施した子育て支援コンシェルジュやふれあいネットワーク事業をさらに充実させたいなどと訴えた。 安藤真理子(あんどう・まりこ)氏 58 社会福祉法人理事 無所属 新 【公約】①企業誘致、土浦ブランドの強力なセールスによる財源確保②自然災害に対応する必要不可欠なインフラ整備③市立保育所の維持 【略歴】県立土浦二高、成城大短大卒。市議2期、県議2期を歴任。現在、社会福祉法人俊真会理事、土浦商工会議所女性会会長。 【安藤陣営の出陣式】午前11時から同市下高津の選挙事務所で出陣式。駆けつけた市議は2人だったが、同僚だった県議14人が顔を並べた。片山さつき参院議員(元内閣府特命相)が応援の先陣を切り「ケンミンショーで嫌な思いをさせられてきた茨城のイメージを一新するには、これまで一人もいなかった女性市長の誕生しかない」とハッパをかけた。安藤氏は「県内一古く全国でも3番目に古い市立土浦幼稚園の存続を支援したい。元気な高齢者が社会を支えていける制度を作っていきたい。財政の危機が言われるが、土浦には企業や消費を呼び込める立派な宝がたくさんある。支出を抑える施策はもう限界で、収入を増やす方策を考えるべき。売り込みに自ら足を運ぶトップセールスで臨みたい」とアピールした。 ➡土浦市長選の過去記事はこちら
筑波大とつくば市の図書館が連携協定 記念にブックカフェで交流
2019年11月2日
【鈴木宏子】筑波大学付属図書館(つくば市天王台、阿部豊館長)と同市中央図書館(同市吾妻、柴原徹館長)が連携協定を締結し、2日、第1弾の事業として付属図書館脇で記念イベント「ライブラリーピクニック」を催した。本を積んだ車が屋外でブックカフェをオープンしたり、市の自動車図書館が本を貸し出すなどの催しが展開された。 将来は教育・研究機関とも 互いの図書資料やウェブ上のデータの相互活用、人的交流などを推進しようと今年9月、連携協定が締結された。大学と市町村図書館の協定締結は県内初という。 今後、どのような事業を展開していくかは、協定締結に合わせて設置した「つくば市域図書館連携協議会」で検討していく。同大学術情報部アカデミックサポート課の村上康子課長は「まずは垣根を取り払って、互いが持っているリソースや人材の交流ができれば」と話す。同市の柴原館長は「将来、市民がワンストップの窓口で互いの資料を利用できるようになれば」と期待を寄せる。 市内には、各研究機関に図書館や図書室などがあり、それぞれ専門資料を所蔵していることから、将来は、市内の研究機関や他大学の図書館にも参加を呼び掛ける。 2日のライブラリーピクニックは、日常と異なる環境で図書館を楽しみ、利用者同士が交流しようと開かれた。神奈川県横浜市都筑区で活動する「つづきブックカフェ」が会場でカフェを開き、参加者は車に積んである本を手に取って、屋外に設置されたイスに座ってコーヒーを飲みながら本を読んだり、読み聞かせを楽しんだりしていた。
大八車で商店街に乗り込む つくば出身の若者グループ
2019年11月2日
【相澤冬樹】再生整備に取り組む古くからの町によく似合う――と、大八車の再活用を提案する4人の若者が2日、「秋の北条市」開催中のつくば市北条商店街に3台の大八車を持ち込み、移動式屋台への転用を目論むプランなどを披露した。 4人は県立並木高校出身の横山大貴さん(25)らでつくる「スタジオウイークエンド」。竹中工務店大阪本店の設計部門に勤務する同僚グループで、つくば市の「つくばR8地域活性化コンペティション」に、活性化プラン「旅する大八車と小さなパレード」を応募して採択された=7月27日付け。かつて荷物運搬道として栄えた「つくば道」などで用いられた大八車を再活用し、つくば市周辺の旧市街地を移動しながら、地域で開催される祭などに参加、新たな繋がりをつくるプロジェクトという。 大八車は江戸時代から昭和初期まで、家財や商材などを荷台に載せて人力で運んだ木製の貨物運搬車。採択以降、周辺市街地で眠っている大八車がないか探したところ、北条、小田、谷田部の3地区で1台ずつ見つかり、譲り受けた。呉服店やタバコの運搬に使われたもので、大正年間の記録も出てきた。 それぞれ分解し、車輪や荷台を採寸して図面に書き起こす一方、どのような屋台を載せたらいいか、花車などのミニチュアを製作して、修復に向けた作業を進めた。来年2月に予定される成果報告会までに完成させる予定。活性化に向けたリノベーションなどに取り組む周辺市街地で、イベントやお祭りに貸し出すなど、地域振興のツールとして活用を図りたい考えでいる。 今回の「大八展」は、さらにどんな展開ができるか、完成後の適当な保管場所がないか、など情報収集も兼ねての展示となった。折から「まちなか運動会」を開催中の北条商店街では、「うちの蔵にもあったから」と大八車の車輪を持ち込んで展示に加える商店主もいて、関心を引いた。 同グループは3日、谷田部地区で開催の「オータムフェア」にも出展する。
漆塗りでよみがえる「神橋」渡り初め 筑波山神社御座替祭
2019年11月1日
【鈴木宏子】江戸時代初期に建造された筑波山神社(つくば市筑波)の神橋(しんきょう)が30年ぶりの修復を終えた。1日、山頂と中腹の神が夏と冬に住まいを替えるとされる秋の御座替祭(おざがわりさい)が催され、色とりどりの装束をまとった祭りの行列が神橋の渡り初めをした。 神橋は、第3代将軍、徳川家光が1633年に筑波山神社を整備した際、建造された。明治政府の廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)政策によって多くの建物が破壊されたが、神橋は破壊を免れ、現在は県指定文化財になっている。 屋根を備えた幅3メートル、長さ7.3メートルの朱色の太鼓橋で、日光東照宮と同様に彫刻と彩色で華麗に装飾され、江戸時代初期の建造物の特徴を備えている。 修復工事は2018年5月から今年10月まで実施された。前回は1988年に実施し30年ぶりの修理となった。 土台や柱の腐食部分を交換した。柱は、くぎや金具を使わない「金輪継(かなわつぎ)」という伝統的技法で組まれた。屋根は厚さ3ミリのサワラの薄い板を3センチずつずらしながら7枚重ねる「杮葺(こけらぶき)」という技法で全部ふき替えた。塗装は、30年前の修復時は合成塗料が使われたが、すべて除去し漆塗りとした。 文化財の修復を全国各地で手掛ける金剛組が施工し、小西美術工藝社が塗装などをした。修復費用は約1億2000万円で、県と市、同神社が実施した。 神橋は普段は立ち入ることができず、御座替祭が催される4月1日と11月1日の年2日だけ渡ることができる。修復が完成した今年の御座替祭は昨年より多くの見物客が訪れ、御座替祭の一行に続いて渡り初めをしたり、写真に収めたりしていた。 昨年に続いて祭りを見物した、かすみがうら市の主婦、袖山幸子さん(68)は「去年は工事中で神橋は工事の足場に覆われていた。今年はきれいになっていて、渡れて良かった」と話していた。 修復工事完了の特別企画として現地説明会を開いた市文化財課の石橋充さんは「神橋は日光東照宮より早くできた。筑波山神社の建物を見直してもらえたら」と話していた。
たすきリレー土浦駅前から出発 児童虐待防止啓発の「オレンジリボン」
2019年11月1日
【崎山勝功】児童虐待防止の啓発活動、オレンジリボン運動=※メモ参照=を広める「子どもを守ろう!オレンジリボンたすきリレー2019」の出発式が1日、土浦市大和町のアルカス土浦屋外広場で開かれ、県内の児童施設職員ら22人がゴールの茨城県庁(水戸市笠原町)に向かって出発した。 出発式で児童養護施設「窓愛園」(土浦市殿里)の上方仁理事長は「大切な子どもたちを守っていかなきゃいけない」と述べ、児童虐待防止を訴えた。上方理事長と中川清土浦市長からオレンジ色のたすきを手渡された走者たちは、午前8時30分ごろに中川市長の競技用ピストルの合図に合わせ、晴天の下、県庁まで約50キロの道のりを駆け出した。 たすきリレーは、児童虐待防止を広く市民に知ってもらうために、県児童福祉施設協議会、県要保護児童対策地域協議会が主催して開かれ、2013年から今年で7回目の開催。 取材に上方理事長は「虐待だけでなく、いじめも増えていて子どもが大切にされなくなっている。もう一度子どもの大切さを再認識してもらいたい」と訴えた。 ◆増える一方の児童虐待通報 県こども家庭課の統計によると、県内の虐待相談対応件数は、直近の2018年度で2687件(全相談件数5995件中44・82%)で、虐待相談対応件数が急増し始めた16年度の2038件よりも約600件も増加している。県では、土浦など県内3カ所の児童相談所(児相)で対応した全ての児童虐待案件の概要を県警に情報提供する取り組みを18年1月から実施しているが、児童虐待は増加の一途だ。 同課によると、18年度での児童虐待2687件の内訳は▽心理的虐待56・6%▽身体的虐待26・6%▽ネグレクト(育児放棄)15・3%▽性的虐待1・5%。児童虐待の加害者別では、▽実母46・6%▽実父44・8%▽実父以外の父6・3%と、実母と実父で約8割以上を占めている。 被害児童の年齢別では▽小学生34・6%▽3歳~就学前24・7%▽0~2歳児18・0%▽中学生14・8%▽高校生ほか7・9%と、自力で抵抗できない小学生と未就学児だけで被害児童の約7割強を占めている。 児童相談所や市町村間での適切な引き継ぎの実施や警察との連携強化、児童福祉司などの専門職員の増加を盛り込んだ議員提案条例「茨城県子どもを虐待から守る条例」が、昨年12月県議会で成立し、4月1日から施行された。 だが、相次ぐ児童虐待に対して上方理事長は、児相に一時保護要請が毎日のように来ている現状に触れて、児童養護施設は「どこも定員いっぱい。虐待児童を受け入れたくても受け入れられない。本当は(親元に)お返ししないで、少しお預かりしたほうがいいけど」と苦しい事情を明かした。 ※メモ・オレンジリボン運動 2004年、栃木県小山市で当時3歳と4歳の兄弟が、同居していた父親の友人から暴行を受けた末に川に投げ込まれて死亡した事件を受けて、05年に同市の市民グループ「カンガルーOYAMA」が事件の再発防止と児童虐待防止を目指して始まった。
【アングル土浦市長選】6 サイクリスト1.5倍に 駅ビルが起爆剤
2019年11月1日
【鈴木宏子】霞ケ浦や筑波山をめぐる全長約180キロの自転車道「つくば霞ケ浦りんりんロード」の2018年度の利用者数が8万1000人と前年度の1.5倍に急増した。20年に10万人という目標を今年度中に上回りそうな勢いだ。 昨年、1.5倍に急増した理由について県地域振興課は、自転車道の整備などハード面の環境整備と、サイクリスト向けサービスの充実や情報発信などソフト面の取り組みのほかに、土浦駅ビル「プレイアトレ土浦」がサイクリング拠点として開業したことが非常に大きいと分析する。 「土浦駅ビルは世界レベルのサイクリング拠点」だという評価も専門家から出ているという。駅直結の拠点施設で、シャワーやロッカーも整っていること、さらに駅ビル内にあるレストラン、物販店、コンビニまでもがすべて、自転車で利用できる「自転車ファースト」が貫かれていること、来年3月にはサイクリングを楽しむためのホテルが完成し、自転車の拠点施設としてのスケールの大きさが世界に例を見ないという評価だ。 選定されれば「次は世界」 つくば霞ケ浦りんりんロードは、日本を代表し、世界に誇る、国のナショナルサイクルルートの第1次指定候補にも選ばれた。瀬戸内海を渡る「しまなみ海道サイクリングロード」(広島県・愛媛県約70キロ)、琵琶湖を一周する「ビワイチ」(滋賀県、約190キロ)と並ぶ候補だ。 正式に選ばれれば、次は「世界に打って出る」と県担当者。英語や中国語などの看板表記を増やすなど環境を整え、さらにこれまでは台湾など自転車が盛んなアジアを中心にモニターツアーなどを開催してきたが、今後は個人旅行が主の欧米などからの旅行客にもPRしたいとする。 結節点から玄関口に 駅ビル「プレイアトレ土浦」のオープンは土浦市の位置づけを、サイクリングコースの結節点から、玄関口へと変えた。 こうした中、市は今年3月、霞ケ浦を臨む土浦港周辺の旧京成ホテル跡地にサイクリング施設「りんりんポート土浦」を整備した。今年度は次の段階として、マリーナを含む南側3.9ヘクタールに民間事業者の創意工夫を生かした集客・誘客施設の整備を促せないかと、民間事業者のヒヤリングなどを実施している。気運を捉えて、官民連携による観光拠点を整備し、にぎわいを創出したい考えだ。 =終わり ➡【アングル土浦市長選】の既報はこちら
出走! サラブレッド堆肥エコシステムプロジェクト 茨城大学など産学連携
2019年10月31日
【相澤冬樹】競走馬の育成牧場から毎日大量に排出される馬ふんを有効活用し、環境循環型の地域農業への展開を図る「サラブレッド堆肥エコシステムプロジェクト」が県南地域の大学、民間企業、農業従事者の連携で動き出した。良質な堆肥の生産体制が整い、農水省の研究開発プラットフォーム活動の1つに取り上げられたことから、メンバーがコンソーシアム(議長・黒田久雄茨城大学農学部教授)を立ち上げ31日、記者会見を開いてスタートを宣言した。 馬ふんベースの発酵堆肥「サラブレッドみほ」を製造、販売するのはリーフ社(つくば市若栗、鈴木総一社長)。つくば牡丹園(つくば市若栗)の関浩一園長(59)が約20年にわたって培った土壌改良の技術を元に、馬ふんを短期間で完熟堆肥とすることに成功した。関園長は土壌研究のため、東京農工大学の連携大学院のある茨城大学農学部に籍を置き、現在博士課程3年に在学中。 美浦トレセンのある茨城県南には35の育成牧場で作る馬牧場協議会があり、約1500頭が飼われている。ここから出るふん尿まみれの敷きわらは毎日約30トンにもなり、霞ケ浦をはじめとする環境への負荷が懸念された。同協議会が黒田教授に相談したことから、関園長に堆肥化研究の白羽の矢が立った。 競走馬はドーピングの厳しさから飼料に抗生物質や薬物を使わないよう管理されるため、原料としては良質だが、堆肥にする場合、炭素/窒素の比率が高いのがこれまで技術上の課題だった。微生物が大量発生して窒素を消費するため、作物の生育に障害となった。 関園長は米ぬかやカニ殻、酵素などを混ぜることによって、微生物の発生をコントロール。糸状菌や放線菌などの働きにより、ふん尿廃棄物を早ければ20日間で完熟堆肥にすることができた。敷きわらの植物成分は高温ですっかり分解し、ほとんど匂いのしない状態に仕上がる。完熟堆肥を使った土壌は保水力や柔軟性に優れ、肥料や農薬の使用が抑えられるという。現在3棟の堆肥ハウスで製造を行っている。 「作物が丈夫になった」 「サラブレッドみほ」はボタン栽培で実績を積み、今春までに製品化、一部ホームセンターで取り扱いを開始した。さらに阿見町の農事組合法人大地のめぐみの組合員農家で、農作物での実践的な試用が始まっている。同法人の荻島光明事務局長によれば「ハクサイなど今季は台風15号、19号の被害を免れなかったが、作物が丈夫になったと思う。回復力がめざましい。農地の健康が作物の健康、ヒトの健康、地域の健康につながっていくはずだ」という。 今回は茨城大学、大地のめぐみ、リーフ社の3法人でコンソーシアムを組んだ。黒田教授は、阿見町、美浦村を中心につくば市、牛久市、稲敷市の農地に利用を拡大し、定量的な堆肥効果の把握に務める一方、農家レストランへの食材提供などによりブランド価値を高める「プロジェクト」にしていきたい考えでいる。
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