土曜日, 5月 4, 2024

体操 宮地選手を東京五輪へ つくばで後援会発足

【大志万容子】2020年の東京オリンピック出場を目指す筑波大学大学院2年の体操、宮地秀享選手(23)を応援しようと、つくば市で後援会が発足した。宮地選手は昨年、カナダで開かれた世界選手権、男子鉄棒で最高難度の新技を成功させた。新技は国際体操連盟から「ミヤチ」と命名されるなど期待の新星だ。後援会長の廣瀬正さんは「頑張る選手を地元で応援したい」と支援を呼び掛ける。 成功した新技は、I難度の「伸身コバチ2回ひねり」。棒上で後方伸身2回宙返りをする間に2回ひねって鉄棒をつかむ。「1回ひねった技でも、日本でできる人はほとんどいない。さらにもう1回ひねるのは全く違う次元の技術と回転力が必要となる」と宮地選手。 愛知県出身。大学時代は「学生の中では強いレベルでしかなかった」。大学院では指導者を目指してコーチングを学んでいたが、昨年、全日本体操競技種目別選手権でこの大技を決め、9月に初めて日本代表に選ばれたことで、状況が一変した。「東京オリンピックが夢ではなく目標になった。全く無名からのスタートなので余裕はないが、後悔のないよう精一杯やりたい」 代表に選ばれたことで、日本体操協会から国際大会の遠征費は出るようになったが、国内大会は自己負担。また生活費もかかることから、市内の茗渓学園で非常勤講師をしたり、体操クラブで子どもたちを教えたりと、週3~4日はアルバイトに従事する。 そんな宮地選手を応援しようと、市内の不動産会社会長、廣瀬正さんら有志が後援会を立ち上げた。2年前に知人の紹介で知り合った廣瀬さんは、「当時は普通の大学体操部の選手だったが、昨年からメキメキと頭角を現してきた。オリンピックを狙うためにも、今がいちばん大事な時期」と話し、「バイトを辞めて練習に集中できる環境を作ってあげたい。つくばで頑張っている選手を地元が応援し、みんなで東京オリンピックを目指す夢を共有できれば」と支援を呼び掛ける。 宮地選手は「応援してくださる方がいることは励みになる。代表入りして試合で感じるプレッシャーも大きくなったが、それを力に変えて頑張りたい」と意気込んでいる。 ◆後援会では寄付金を募っている。振込先は「ゆうちょ銀行」の〇六八(ゼロロクハチ)支店(店番:068)普通預金4519650 ミヤチヒデタカコウエンカイ。問い合わせは同後援会(電話)029・896・3285、メール:htaka.miyachi@gmail.com。

「街をワクワクさせたい」 つくば市の3女性が古本市 14、15日

【橋立多美】「ワクワクする楽しいことをやろう」と、つくば市の女性3人が活動する「ワンダホー」。市民が家に眠っている本を持ち寄り、店主として販売する古本市「ブック・フェス」を14、15日の2日間、同市大角豆(ささぎ)のカフェ・ギャラリー「メモリーズ」で開催する。 メンバーは、ジュエリーショップ「メモリーズ」を営む傍ら彫金教室を主宰する鳥山玲子さんと、同教室を介して知り合った丹野雅子さんと齋藤多賀子さん。「すてきと思うことを実現させたい3人が集まった」と丹野さんはいう。 活字離れや電子書籍の台頭などの影響で街の本屋が消え、欲しい本はネットで買う時代になった。3人は「読書の楽しみは本に触れ、手に取った出合いにこそあるのでは。家庭で眠っている本を街に循環させて読み手をつなごう」と昨年2月、初めて古本市を企画した。今年は2回目で、「かつて感動した本が、この街の誰かをまた感動させるかもしれません」と出店を呼び掛ける。 古本市は各出店者が屋号を決めて本を並べるフリーマーケット形式。各自が20冊以上を持ち込み、自由に本の値付けをする。昨年は100円または500円に値付けされた古本が多く、延べ約100人が来場したという。今年も小説や料理、旅行、美術など、さまざまなジャンルの古本がそろいそうだ。 今年は新たに、出店者が屋号をアレンジした図案を彫って、はんこを手作りした。「売り上げカード(スリップ)」に押して、販売する本にはさむ予定だ。 1日、同ギャラリーで約10人がはんこ作りに取り組んだ。篆刻(てんこく)用の石を使ったはんこで、鳥山さんの夫で彫刻家の鳥山豊さんが指導した。牛久市の松川啓さんと妻の香苗さんは「オリジナルのはんこ作りにひかれて古本市に参加する。思ったより石が柔らかくて驚いた。古本市には子どもたちが愛読していた絵本を出品するつもり」と話した。 ◆開催時間は14日(土)、15日(日)両日とも午前11時30分~午後5時まで。メモリーズは同市大角豆2012-788。障害者の自立支援に取り組んでいる「ごきげんファーム」運営のレストラン「ごきげんキッチン」内にある。本を片手にゆったりとした時間が過ごせる。問い合わせは電話029-852-8286

G20貿易・デジタル閣僚会合 来年、つくば市開催決定

【鈴木宏子】G20貿易・デジタル経済大臣会合が来年、つくば市で開催されることが決まった。開催日や市内の開催場所は未定だが、1泊2日の日程で開かれるという。20カ国の経済産業大臣らが集まる。 2019年6月28、29日に大阪で開かれるG20サミットに併せて、全国8カ所で開かれる関係閣僚会合の一つ。大臣級の会合がつくば市で開かれるのは、16年5月につくば国際会議場で開催されたG7科学技術大臣会合以来。 県が昨年秋ごろから誘致していた。県営業戦略部グローバル戦略チームは「前回のG7科学技術大臣会合を経験していること、つくばは自動運転技術など先端技術が集積していること、東京から近いことなどをアピールしてきたので、それらが評価されたのだと思う」と話している。 16年の科学技術大臣会合には7カ国とEUの大臣と政府関係者56人が参加した。県は、研究機関や経済団体などで受け入れ態勢をつくり、最先端の研究を紹介したり、県産の食材をふんだんに使った料理を提供したり、伝統工芸品のお土産を用意するなどのおもてなしをしてきた。一般市民も参加できる記念シンポジウムや、ロボットなど国内最先端技術製品などを一堂に展示するミニ博覧会、各国大臣の研究機関の視察なども実施した。 来年の会合について県は「今後、テーマや内容が決まるので、内容を踏まえ、おもてなしなどを検討していきたい」としている。 G7会合では大臣らが市内に宿泊したことから、県が補助金を出して、市内のホテルにスイートルームの整備も進められた。来年のG20貿易・デジタル経済大臣会合は20カ国・地域の大臣と政府関係者が出席するため、宿泊環境の整備もさらに必要になるとみられる。 一方で厳重な警備体制が敷かれ、周辺道路が通行止めになるなど、市民生活に影響が及ぶ側面もあった。 つくば市の五十嵐立青市長は4日開かれた定例会見で「レガシー(遺産)をどうつくっていくかというゴールを明確にもった上で、県や筑波大などと相談しながら目標をもって取り組んでいきたい。G7のときは市民とのつながりに課題があったので、市民が置いてきぼりにならないようにしたい」などと話した。

筑波山神社で御座替祭 色とりどりの装束で華やかに

【富永みくに】筑波山山頂と中腹の神が住まいを替えるとされる筑波山神社(つくば市筑波)恒例の祭り、御座替祭(おざがわりさい)が1日行われ、地元住民や見物客でにぎわった。翌2日には、山中にある約20の末社で神職が祝詞をあげる末社祭も行われている。 最大の見どころ、神幸祭(じんこうさい)では、祭りの開始を知らせる号砲とともに、色とりどりの衣服をまとった神職や担ぎ手ら約150人が、山裾から拝殿に向けて出発。太鼓や雅楽器の音に合わせてゆっくりと歩みを進めた。日本の道百選にも選ばれている「つくば道」を経由、勾配の急な坂や石段では、担ぎ手が互いに声を掛け合いながら慎重に難所を乗り越えた。 毎年担ぎ手として参加しているつくば市の男性によると、昨年は積雪が見られ足を滑らせた参加者もあったという。「去年は雪、今年は桜吹雪」と笑みをこぼしながら「御座替祭に桜が満開になるのは珍しい」と話した。 拝殿の大鳥居周辺では、近くの子供会などによる子供みこしや稚児行列も加わって、県指定文化財の御神橋(ごしんきょう)をにぎやかに渡った。 市内在住の中野潤子さんは「つくば市に長く住んでいるが見たのは初めて。筑波山の長い伝統が感じられる」と話した。祭り見物は2回目というインド出身の留学生は「とても興味深い」と目を輝かせていた。

【シルバー団地の挑戦】1 自治会スリム化へ模索 つくば市森の里 高齢化で地域力衰え

【橋立多美】高齢化が進み、役員のなり手不足や加入率の低下など自治会を取り巻くさまざまな課題が指摘される中、自治会の役割を根本から見直そうという動きが、つくば市内でも始まっている。 深刻な高齢化と人口減少に直面している同市茎崎地区にある森の里自治会は、3月25日に開かれた総会で、これからの自治会のあり方を検討する委員会を自治会内に設置することを決めた。これまでの活動を継続していくほどの体力が地域にはないということが背景にあるという。 総会で、新年度会長の倉本茂樹さん(75)は「高齢化が進む中で、自治会運営を検討する委員会を設置する」とあいさつした。演壇に立った倉本さんは「これからも高齢者支援は続けていくが、役員だけで運営していくには無理がある。検討委員会を含めて住民の力を貸してほしい」と呼び掛けた。 また「夏祭りを続けるか、アンケート調査をした上で決めたい」とも述べ、住民の意見を尊重しつつ、運営をスリム化する考えを示唆した。 空き家に転入も入会断られ 市南端の茎崎地区(旧茎崎町)は、筑波研究学園都市の建設に伴って九つの住宅団地が造成され、純農村地域は首都圏のベッドタウンとなった。 住宅団地の中で市内最大規模の森の里(約1300世帯)は1980年代に約5000人が住んでいたが、今では子どもたちが独立し人口は当時の6割の約3000人に減少した。さらに入居時、働き盛りだった世代が一斉に老いたことで、65歳以上の高齢者人口は4割を超える1388人(2017年4月時点)に上っている。このうち184人が一人暮らしという。 約1300世帯中、自治会に加入している世帯は1071世帯。昨年1年間で退会した世帯は27件、死亡による退会は18件あった。高齢化と人口減少が、自治会加入者の減少と空き家の増加を招いているという。 自治会退会の理由の多くが、会費の徴収や回覧板の配布に歩き回るのが辛いというもの。加入している世帯数に応じて市から補助金(事務委託料)が出るため、退会されると会費収入と委託料を同時に失うことになる。 16年10月から、市が市内全域を対象に実施した「空家等実態調査」では森の里の空き家は55件だった。が、連日団地内の空き家や空き地の見守りをしている自警団は99件あると報告している。最近はリフォームされた家を借りて住む人が出てきた。自治会役員が訪ねて入会を勧めても断られる上にごみ出しのルールを守らない人もいて、役員たちの頭痛の種になっている。 新たな負担次々 自治会活動を担う役員自らも高齢者で、行事運営が負担になってきていることも挙げられる。街路灯のチェックや維持管理、清掃美化、ごみ集積所の管理といった暮らしに関わる活動のほか、7年前から高齢者の見守りや粗大ごみ出し支援、閉じこもりを防ぐための行事や交流サロンなど、高齢者対策を実践している。会員間の親睦を図る夏まつりは恒例の一大イベントだが、後期高齢者が多い実行委メンバーたちは血圧や健康状態を確認して本番に臨むという。 運営をスリム化し、時代に合った役割に切り替えるか。森の里自治会の模索は始まったばかりだ。 ◇NEWSつくばは、高齢社会の抱える課題が顕在する森の里自治会の動きに密着し、人口減少と超高齢社会へのアプローチを「シルバー団地の挑戦」とワッペンを付けて報道する。

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