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【土浦花火】あと1カ月 フォト歴代作品展開催 花火弁当受け付け中

【鈴木宏子】10月6日、土浦市学園大橋付近の桜川畔で開催される「第87回土浦全国花火競技大会」まであと1カ月。大会を盛り上げようと今年は、土浦市民ギャラリー(土浦駅前、アルカス土浦1階)で「土浦の花火フォトコンテスト歴代入賞作品展」が9月17日まで開かれている。土浦の特産品を生かした花火弁当の販売申し込みも始まっている。 20都道県の56業者が競う 【大会概要】今年は20都道県から56業者が参加し技を競う。10号玉の部は45発、創作花火の部は22組、スターマイン部は22台でそれぞれ競技が実施される。迫力を堪能できる大会提供ワイドスターマイン「土浦花火づくし」は、今年も横幅約500㍍の広さで9カ所から6分間にわたって約2100発を打ち上げる。恒例の大会提供エンディング花火は第87回大会にちなんで7号玉を87発打ち上げフィナーレを飾る。打ち上げ時間は午後6時から8時30分まで。昨年は75万人が観覧した。 前日5日正午、自由席開放 【観覧席】桜川河川敷に設置される桟敷席は、販売用の約2800升すべてが9月6日までに売り切れた。7月にローソンチケットで約1000升、9月4日朝8時に大岩田の水郷体育館で1800升の抽選会、同6日正午にローソンチケットキャンセル分約100升を追加販売し、いずれもすぐに完売したという。1升(6人席)2万2000円だが、今年も手に入りにくいプラチナチケットとなっている。 大会前日の10月5日正午からは、桟敷席下流の約2000平方㍍に設ける無料自由観覧席が一般開放され、場所取りが解禁になる。約2000人が観覧できる。例年、前日正午までに約1000人が場所取りに並ぶという。 9店が17種類を販売 【花火弁当】地元の特産品などを全国に発信しようと、市観光協会土浦名物弁当事業者部会が毎年販売している花火弁当は、今年は9店が計17種類を販売する。趣向を凝らした豪華な弁当の注文を各店で受け付け中だ(http://www.tsuchiura-kankou.jp/meibutubento/)。 歴代入賞作品を展示 【事前イベント】大会を盛り上げるイベントとして、今年は9月5日から市民ギャラリーで「土浦の花火フォトコンテスト歴代入賞作品展」が開かれている。2008年の第1回から昨年の第9回までの最優秀賞や優秀賞受賞作品など計38点が展示されている。実物大の花火玉や、大会当日に花火審査員が着用するはっぴなども展示され、はっぴは会場で実際に試着することもできる。市商工観光課は「ぱっぴを着て今年のポスターの前で写真を撮りSNSで土浦の花火を発信してほしい」と話している。 ほかに大会をより一層楽しんでほしいと、大会当日の10月6日午後1時30分からと2時30分からの2回、花火鑑賞士による「花火セミナーin土浦」が、土浦駅前の県南生涯学習センター(市役所5階)で開かれる。事前申し込み不要、参加費無料だが各回先着100人まで。 臨時列車も運行 【交通機関】大会当日の公共交通は、JR土浦駅から通常列車のほか、上り下りそれぞれ3本ずつ臨時列車が運行する。土浦駅東口から会場の学園大橋まではシャトルバス(大人240円、子ども120円)が行き来する。 駐車場は臨時・公共駐車場を5000台分用意する。このうち1790台分を無料駐車場として開放する。無料は、市立武道館駐車場(午前9時~、90台)▽上高津貝塚ふるさと歴史の広場(同9時~、100台)▽市民会館(午後1時~、200台)▽県土浦合同庁舎(午後1時~、100台)▽市職員駐車場かね喜裏(午前9時~、150台)▽霞ケ浦総合公園(午後1時~、600台)▽滝田1丁目臨時駐車場(午後1時~、300台)▽土浦第二小(午前9時~、50台)。 ※メモ 【土浦全国花火競技大会】1925(大正14)年、神龍寺(文京町)の住職、秋元梅峯が、霞ケ浦海軍航空隊殉職者の慰霊と、関東大震災後の不況で疲弊した経済を活性化する目的で、私財を投じ霞ケ浦湖畔で開催したのが始まり。内閣総理大臣賞を授与する花火競技は、秋田県大曲と土浦の全国2大会のみで、特に土浦は数百発の花火を速射連発するスターマイン日本一を決めるといわれる。

写真に魅せられた10年の回想録展 9日まで 県つくば美術館

【鈴木萬里子】土浦市の塚本留蔵さん(68)がジャンルにこだわらず、気が向くままに撮った写真展「塚本留蔵10年間の回想録展」が9日(日)まで、つくば市吾妻の県つくば美術館で開かれている。 塚本さんが写真を撮り始めたは子どもが誕生した35歳の時。最初は子どもの成長を記録するためだったが、次第に写真に魅せられたという。2008年、土浦市が主催した写真教室に参加したのがきっかけとなり、この10年間は写真一筋の生活を送った。入会するのが難しいとされる公益社団法人日本写真協会会員を始め、東京と茨城の4団体に所属し活動の幅を広げている。 撮り続けながら数々のコンテストに応募し、10年で80もの受賞歴がある。国際写真コンテスト「ニコンフォトコンテスト」の一部門で、初心者のために年4回開かれる「ニコンチャレンジフォトコンテスト」に08年に応募、年間賞第1位を受賞した。塚本さんは「この受賞が写真を続けられた原動力になった」と振り返った。 今回の写真展は塚本さんが10年間に撮りためた中から、風景、富士山、スナップ、花、ハッセルブラッドで撮影した作品に分類した計66点が展示されている。特別展示として塚本さんも所属する、ハッセルブラッドフォトクラブ会長、三宅みね子さんの作品3点も展示されている。会場中央にはA4サイズのファイル5冊に入った写真が並べられている。気に入った写真は持ち帰り自由とあって、来場者の輪が出来ていた。 作品の半分はフィルムカメラで撮られていて、精密なデジタルカメラとは違った、味わい深い雰囲気が漂っている。塚本さんの同級生で千葉県から娘さん二人と来場した女性は「写真と分かっているのに絵に見えるのもある。一瞬の表情を切り取ったものもあり、とてもきれい」と話していた。土浦の清藤雅宏さん(70)は「いろいろなアングルの迫力ある写真が多い。外国の情緒を見事に表現している作品も目を引く」と話していた。 塚本さんは「感動を伝える写真づくりを目指してきた。今展は10年間の集大成として自分の力作を出品している。観る人に感動を与えたいし、楽しんで観てもらえるのが幸せ」と話した。速度をゆるめずに撮ってきたが、これからはゆっくりと楽しんで撮っていきたいそうだ。 ▼9日(日)まで。午前9時30分~午後5時(最終日は午後3時まで)、入場無料。 【ハッセルブラッド】スウェーデンのカメラメーカー。世界で初めて携帯に便利な中判一眼レフカメラを発表した。

面白い作品掘り起こす 演劇家 久保庭尚子さん朗読劇 8・9日に土浦

【池田充雄】かすみがうら市出身の演劇家、久保庭尚子さんが9月8日と9日、土浦市中央の城藤茶店で大人のための朗読会を開く。今回の演目は林芙美子の「晩菊」。成瀬巳喜男監督・杉村春子主演で映画化されたこともある作品だ。かつて美貌で鳴らした元芸者の下へ昔の恋人が訪ねてくる。「別れたあの時よりも若やいでいなければならない。けっして自分の老いを感じさせては敗北だ」と、主人公は急いで身支度を整え始める--。 「晩菊」について久保庭さんは「主人公は56歳で、今も男のいない人生なんて考えられないと涙ぐましい努力をしている。えっと思ってしまうところもあるが本当に正直で面白い。私自身は考え方はこの人とは違うけれど、感覚的に『そうそう、わかるわかる』と思う部分がたくさんある。ストーリーはもちろんその裏にある思いや心情も楽しんでもらえたら」と話す。 「今はちょっと忘れられていても、改めて読むと面白い作品はたくさんある。それを掘り起こすことも楽しみの一つ。これをきっかけに原作を読んでみようとか、もう一度読み返してみようといった感想が聞かれるのも嬉しい」 久保庭さんは土浦二高・茨城大卒。水戸芸術館ACMや鈴木忠志氏の劇団SCOTなどを中心に30年近く俳優や演出、舞台制作などを行ってきた。現在は地元かすみがうらに生活の拠点を移し、各地で幅広い演劇活動を展開している。 今回、朗読というスタイルを採った理由は「芝居だと作るにも大掛かりになり、見に来てくれる方々にもハードルが高くなる。軽いフットワークで楽しめるものを地元で作りたかった。表現方法としても役者としての私はあまり前に出さず、作品自体の良さが残るような形がいいと思った」という。 この朗読会はシリーズで、前回は吉屋信子の「鬼火/宴会」を読んだ。次回は11月23・24日に多和田葉子の「ヒナギクのお茶の場合」を予定している。 会場の城藤茶店は1936年に建てられた古民家をリノベーションしたカフェ。物語は戦後間もなくの時代設定で、この店が残す昭和初期の風情ともぴったりだ。8日は午後5時30分開場・6時開演、9日は午後3時半開場・4時開演、飲み物付き1500円。要予約(電話090-2776-1775、Eメールku_san705@yahoo.co.jp)。 ▼城藤茶店:土浦市中央2-15-8午前8時~午後6時、水曜定休(電話029-895-0283)

中嶌日本画学院生徒の「游美会展」 4~9日 県つくば美術館

【田中めぐみ】日本画家の中嶌虎威さんが主宰する中嶌日本画学院の「游美会日本画展」が、4日から9日まで、つくば市吾妻の県つくば美術館で開かれる。 同展は今年で25回目。中嶌さんに師事する游美会のメンバー31人と中嶌さんが描いた額装の日本画の他、うちわや小色紙、扇面などの小作品、合わせて140点が出展される。出品者は30代から80代、扱った題材は様々で、色鮮やかな日本画の多彩な表現を味わうことができるという。 中嶌さんは「生徒には日本画の手法を大切にしながらも、自由に楽しんで描いてもらっている。良い絵を描くためには技術だけではなくきれいに楽しんで生きていこうという生き方も大切と教えている」と話す。 日本画の根本追求したい 中嶌虎威さん 中嶌さんは1967年に東京藝術大学日本画科を卒業、68年院展(日本美術院)で初入選し、以後14回入選。2000年に日本美術院を退いて無所属となり、以来個人での活動を始めた。つくば市では30年間、絵の指導をしている。近年では15年にアジア環太平洋美術大賞展「月明富士」で最優秀賞、17年に第53回アジア現代美術展「浄」で文部科学大臣賞などを受賞、国内外で高い評価を受ける。10月に県つくば美術館で開かれる「第7回つくば美術展~うずまく」には作品「武蔵野図」の出展を予定している。 「昨今では日本画と洋画の表現に垣根が無くなってしまい、表現の方法に行き詰まりがある」と話す中嶌さん。洋風化する時代の流れの中で、中嶌さんは日本画表現での美を追求するという信念を変わらず持ち続けているという。 「日本画には岩絵具の美しさがある。正しい方法でやれば色に濁りが無くなる。構図の取り方と絵の具の活かし方に特徴がある日本画の根本を追求したい」と話す。 ▼「第25回游美会日本画展」9月4日(火)~9日(日)、午前9時~午後5時(最終日は午後3時まで)、入場無料。 ▼「第7回つくば美術展~うずまく~」10月16日(火)~28日(日)、午前9時半~午後5時、(最終日は午後3時まで)、入場無料。

全盲学生とNPOが企画 15日つくばで落語会 高齢者と障害者に笑いを

【橋立多美】つくば市のNPO法人友の会たすけあい理事長・佐藤文信さん(68)と、全盲で筑波技術大(同市天久保)1年の加藤健太郎さん(18)が企画した「落語会inつくば」が15日、同市ふれあいプラザで開かれる。若きアマチュア落語家たちが出演し、外出機会の少ない高齢者や障害者が家族と一緒に笑って楽しめるイベントを目指している。 加藤さんは新潟県燕市出身。生まれつき目が見えない。6歳の時にテレビの古典落語「お菊の皿」を聞いた。言葉だけで情景が浮かんだ落語に興味が湧き、独学で学んだ後、11歳から地元で活躍する師匠の下で技術を磨いた。 「たら福亭美豚」の芸名で高齢者施設や公民館などで落語を披露し、高校生以下が出場するこども落語全国大会で優秀賞や審査員特別賞を受賞した。情報を音声で読み上げる専用ソフトを使って演目を習得する。持ちネタは181に上る。 「笑ってもらう楽しさを体が覚えたからやめられない」と加藤さん。新潟では同世代の仲間と「見える見えないは関係ない」付き合いを築いて落語研究会を発足させ、明るく過ごしたという。 今春から加藤さんは、筑波技術大に入学してはり・きゅうを学ぶ。一人暮らしを始めて、外出時は付き添ってくれるガイドヘルプを市社協に依頼。ガイドヘルパーとして派遣されたのが、外出するのに困っている高齢者や障害者をボランティアのマイカーで送迎する「友の会たすけあい」理事長の佐藤さんだった。 明るく前向きな加藤さんと、ハンディを持つ人への理解の深い佐藤さんが親しくなるのに時間はかからなかった。そして敬老の日にちなんで元気に笑うイベントを模索していた佐藤さんと、つくばでも落語の仲間づくりを望んでいた加藤さんは意気投合。企画を練り上げ、実現に向けて準備を進めてきた。 出演は筑波大学と茨城大学の落語研究会、加藤さんが属していた新潟の落語研究会のメンバーらで6席を予定。新天地での初出演となる加藤さんこと「たら福亭美豚」はトリを務める。 高齢者や障害者とその家族を優先に受け付けるが、一般市民も入場できる。加藤さんは「単純にお笑い感覚で落語を楽しんでほしい」と若い世代に入場を呼びかける。 ▼15日(土)午後1時30分開演(午後1時開場)。つくば市下岩崎の市ふれあいプラザ。入場無料。定員300人で事前申込制。予約は「友の会たすけあい」事務局(電話029-840-1125、または080-3451-5470)。NPO法人友の会たすけあいhttps://npo-tomonokai.jimdo.com/

亀城公園で灯籠流し

【谷島英里子】送り盆の16日夜、土浦市中央1丁目、亀城公園のお堀で灯籠流しがあり、水面はオレンジ色の明かりで幻想的に照らされた。 日が沈み始めた午後6時ごろ、市内の住職らがお経を上げて初盆を迎えた故人の霊を供養し、灯籠をそっと水面に浮かべて流した。訪れた人たちは、手を合わせて故人をしのび、灯籠の明かりを静かに見守っていた。 亀城公園の灯籠流しは、60年以上前から毎年、市内8の寺が宗派を越えて開催している。今年は300個の灯籠が用意された。住職らは「伝統なので今後も続けていきたい」と話していた。灯籠は翌日、回収されるという。

大傘から花火降り注ぐ 鷲神社で伝統のからかさ万灯

【谷島英里子】土浦市大畑の鷲(わし)神社で15日夜、国選択・県指定無形民俗文化財の「からかさ万灯」が行われ、大勢の見物人でにぎわった。 からかさ万灯は、江戸時代中期ごろから続く雨乞いの神事。五穀豊穣や天下泰平、家内安全を祈願し、直径5㍍、高さ6㍍の大傘に花火を仕掛けて点火する。 午後9時ごろ、ステージや山車の上で雨乞い囃子(ばやし)が鳴り響くなか、導火線となる綱火に着火すると、傘の上部から四方八方に火が噴き出し、滝のように降り注いだ。会場からは「迫力がある」「きれい」と歓声や拍手が沸き起こっていた。火が消えると、見物人らは、縁起物とされる傘の下のツバキの花を取り合っていた。 からかさ万灯保存会会長の井坂次男さん(80)は「大昔の人が雨が降ってほしいと神に願った強い思いを感じていただけたらうれしい。からかさ万灯は集落の宝なので、また来年も見ていただきたい」と話していた。

将来はプロ棋士に 小中学生が熱戦 筑波大将棋部主催

筑波大学将棋部が主催する「つくば小中学生将棋大会」が11日、つくば市吾妻のつくばイノベーションセンター大会議室で開かれた。小学4年生から中学3年生まで32人が、盤上で熱戦を繰り広げた。 午後1時から始まった大会では、初心者リーグと上級者リーグに分かれ、スイス式トーナメントで4局対局が行われた。参加者は真剣な眼差しで、一手一手駒を進めた。上級者リーグで優勝した明石晃英さん(松戸市立馬橋小6年)は「危ない局面もあったので、勝ててよかった」と喜びを語り、「将来はプロ棋士になって活躍できるようになりたい」と目を輝かせた。 大会終了後はエキシビジョンマッチもあり、上級リーグ1~5位の参加者が将棋部員と対戦を楽しんだ。 大会は「つくばで子どもたちが将棋に触れ合える場を作りたい」と将棋部の学生らが企画し、今年で4回目。この日運営にあたった将棋部員はOB合わせて15人。部員の小野元さん(21)は「年々参加人数が増えて、やりがいを実感できるようになった」。部長の小山寛人さん(21)は「活動を地域に還元できていることに意義を感じる。大会の知名度が広がり、県外からの参加者も増え、価値ある大会になってきたと実感している」と話した。 ◆上級者リーグ入賞者(敬称略) 優勝:明石晃英(松戸市立馬橋小6年) 準優勝:雪野倖太郎(文星芸術大学附属中2年) 3位:前田優斗(墨田区立柳島小4年) 4位:石上雄一朗(石岡市立杉並小5年) 5位:青柳賢治(守谷市立守谷中1年)

【戦後73年の記憶】2 誰にも言えない軍事機密情報におびえた 秋元君子さん(92)

【田中めぐみ】土浦市の秋元君子さんは1926(大正15)年生まれの92歳。13歳の時、千葉県から土浦市に引っ越し、県立土浦高等女学校(現土浦二高)に転入した。戦争拡大に伴う労働力不足を補うために学徒動員が閣議決定され、卒業を前に休学。17歳で霞ヶ浦海軍病院(現霞ヶ浦医療センター)に動員された。庶務で、海軍の人事異動を記録したり、傷病者、戦死者の名簿作成をしたりして軍部に報告していたという。 その中でミッドウェー海戦の極秘情報を知った。「航空母艦『赤城』抹消、『加賀』抹消―」リストから削除していく。詳しい戦況は分からなかったが、航空母艦を失ったことを知った。大本営発表では公にされなかった。「こんなに船が無くなって大丈夫なのだろうか」と不安が募るが、誰にも言うことはできない。 職場には憲兵が頻繁に訪れ、目を光らせていた。母にさえ情報の内容は秘密だったが、察してか「誰にも話すんじゃないよ」と君子さんを心配したという。「今思うと怖いことをやっていたと思う」と振り返る。 父は軍人で、機上整備員をしていた。昭和18年末、「10月6日に戦死」という弔慰電報が届いた。軍部からの公報(死亡告知書)は出ず、問い合わせても情報は錯綜していた。翌年1月に公報が出て3月末の合同葬に間に合った。父の遺骨は帰って来ず、ハンカチや靴下といった遺品だけがきれいに畳まれて戻ってきた。遺骨を入れるはずの箱には石ころが入っていた。「南方だと思うがどこで死んだかも分からない。生死が分からないままの人もたくさん居た。公報を出してもらえただけ良かった」と気丈に話す。一人娘だった君子さんは母一人、子一人になった。 阿見大空襲で病床はいっぱいに 終戦の年、海軍病院の歩哨(ほしょう=見張り)が、霞ケ浦に米軍機がきりもみして落ちていくのを見たという。米兵は脱出、捕虜になったと聞いた。同年6月、土浦海軍航空隊が空襲を受けた。阿見大空襲である。「米兵を捕虜にした仕返しではないかと思った」と話す。病院には死傷者が次々と運ばれて病床はいっぱいになり、担架に乗せられ通路の両脇に並んだ。君子さんはその惨状を茫然と眺める他なかったという。 8月15日、玉音放送があり、午後の仕事はなくなった。それまでは軍艦マーチがかかっていたが、その日は誰が流したか、「波濤を越えて」というワルツが流れた。そこで初めて「ああ、これで平和がきたんだ」という思いがこみ上げた。帰る時、病院から街を眺めると、早い時間なのに街灯が付き、家々の電球も黒布が取れ、街に灯が戻っていた。先行きは全く分からなかったが、しみじみと平和の喜びをかみしめたという。 メモ 【ミッドウェー海戦】昭和17年6月、ミッドウェー島付近での日米海戦。米軍は作戦を早期に察知し、日本側に大きな損害を与えた。この敗北を機に日本は劣勢となったが、国民には知らされなかった。 【大本営発表】戦時中、日本軍の最高統帥機関が発信していた戦況の公式発表。    

原爆の悲惨さ、平和の尊さ伝え つくばで朗読劇 「サラダの会」

【崎山勝功】広島原爆投下の6日を前に、つくば市周辺地域の主婦たちの朗読グループ「サラダの会」主催による、広島・長崎原爆被爆者の体験手記の朗読劇「ヒロシマ・ナガサキ2018」が5日、同市吾妻のアルスホールで開かれた。市民ら75人が朗読劇を鑑賞した。 朗読劇では、5歳のときに長崎で被爆した田栗静行さん(78)=東京都八王子市=の体験手記「あの時、一緒に死んでしまえばよかった… 5歳のナガサキ被爆体験~」や「原爆詩集 峠三吉」などの体験手記や詩集から作品を選んで、「母と子」の視点で構成して同会会員が朗読。朗読に合わせてフルートやギターの演奏が流れ、場内のスクリーンには被爆した子どもたちのスライド写真などが映し出された。 会場には田栗さんの姿があった。田栗さんは上演終了後、「原爆や戦火の中で多くの人が犠牲になった。平和が続くよう、サラダの会の皆さんのように一人ひとりができる範囲で活動してもらいたいのが願い」と訴えた。その上で「今日もたくさんの人が集まってくれた。これは平和に対する努力だと思う。来てくれて(朗読を)聞いてくれたということだけでも大きな平和活動だと思う」と話してくれた。 同会メンバーで阿見町在住の中島八重子さん(74)は、「私たちは聞きに来てくださる方も仲間だと思っています」と話した。 同会は、朗読劇で戦争を擬似体験し、戦争の悲惨さや平和の尊さを感じ取ってもらえればと活動している。1995年から毎年広島と長崎に原爆が投下された8月6日または9日につくば市内で自主上演会を開き、今年で23年目という。また、茨城県内外の小学校や高校にも赴いて朗読劇を披露している。

光と音で土浦の花火を投影 キララまつり

【谷島英里子】「土浦キララまつり2018」が開かれたJR土浦駅前のアルカス土浦で4日夜、花火をモチーフにしたプロジェクションマッピングが初めて行われた。同市のイメージキャラクター「つちまる」が自転車に乗って市内を散策する様子や、花火が次々と打ち上がる映像が投影され、訪れた人たちは次々と変化する映像を楽しんだ。 キララまつりの熱気が残る中、プロジェクションマッピングを見ようと、アルカス土浦前の広場やペデストリアンデッキには、家族連れや浴衣姿の中高生などが集まった。 映像は、アルカス土浦の外階段(ステップガーデン)と図書館3階空中ラウンジのガラス部分に6分間投影された。 自転車に乗ったつちまるが土浦駅前を出発し、中心市街地の観光施設、まちかど蔵「大徳」や桜が満開の桜川の土手、亀城公園、帆引き船などを紹介していった。さらに日本三大花火といわれる秋田県大曲、新潟県長岡と、土浦の花火が次々に打ち上がった。 つちまるの映像が現われると、見ていた子ども達から「あ、つちまるだ」という声が上がった。 市内に住む20代男性は「花火の映像が色鮮やかできれいだった」と感想を話していた。 土浦キララまつり2日目の5日は同会場で午後7時30分、8時、8時30分、9時の計4回投影を行う。

土浦の花火を駅前に投影 4、5日「キララまつり」でプロジェクションマッピング

【谷島英里子】JR土浦駅周辺で4~5日の2日間、「土浦キララまつり2018~魅せます土浦の夏」が開催され、土浦の花火をモチーフとしたプロジェクションマッピングが初披露される。同駅前のアルカス土浦に投影する。 プロジェクションマッピングは、コンピューター映像を建物に投影する演出。毎年10月に開催される土浦全国花火競技大会の知名度をもっと高めようと、市商工観光課が地方創生推進交付金945万円を活用して企画した。 イベント演出やディスプレイの制作を行う五光(本社栃木県)が、「土浦の花火」をモチーフに市内の観光資源も取り入れオリジナル動画を作成。アルカス土浦の外階段から3階ガラス部分に投影し、光や音で約7分間演出し、キララまつりを盛り上げる。4、5日の両日午後7時30分、8時、8時30分、9時の計4回行う。商工観光課は「土浦ブランドの花火を知っていただけたら」と話す。冬にも第2弾のプロジェクションマッピングを5日間実施する予定だ。 土浦キララまつりは、JR土浦駅前通り、土浦港、モール505、タイムズ土浦中央第3駐車場といった駅周辺などを会場に、4日は市内小学生による音楽隊パレードや七夕おどりコンテスト、5日は市民山車巡行、土浦新郷土民謡おどりといった地域の伝統芸能が披露される。霞ケ浦では観光帆引き船合同操業と遊覧船無料乗船会が実施される。 ほかに新企画として、手野や田村のハス田をレトロバスで巡る「土浦ハス花めぐり」レトロバスの運行、子どもが乗れるミニトレイン「ドクターイエロー」「はやぶさ」の運行などがある。飲食や音楽ステージ、行灯(あんどん)装飾、消防車・救急車の展示など盛りだくさんの内容だ。両日とも午後1時~9時30分まで、土浦駅西口から亀城公園前までと、中城通り、本町通りは歩行者天国となる。 詳しくは市観光協会ホームページhttp://www.tsuchiura-kankou.jp/tanoshimu/kiraramatsuri/。問い合わせは実行委員会事務局電話(029・824・2810)まで。

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市民の意見を反映 県内議員向け改正バリアフリー法学習会

【川端舞】2018年の改正に続き、今年5月に再改正されたバリアフリー法のオンライン学習会がこのほど、県議会と県内市町村議会の議員を対象に開催された。バリアフリーに関する促進方針(マスタープラン)や基本構想を市町村が策定することが2018年に努力義務になったが、参加した議員からはマスタープランなどを作成するよう自治体に働きかけたいなどの意見があがった。 発言できる当事者リーダーの育成 主催したのは、茨城に障害のある人の権利条例をつくる会(事務局・水戸市)。学習会には県議会と市町村議会の議員10人が参加した。 改正バリアフリー法の要点やマスタープラン、基本構想について、障害者の全国組織であるDPI日本会議の佐藤聡さんと尾上浩二さんが説明した。2人はバリアフリー法改正にも関わった。 マスタープランは、その市町村の中で優先的にバリアフリー化の促進が必要な地区を設定するなど、市町村全域のバリアフリー化の基本方針を定めるものである。一方、マスタープランで設定した特定の地区において、バリアフリー化するための具体的な事業について書かれたものが基本構想だ。 マスタープランや基本構想を策定するときは、障害者や高齢者をはじめとした市民の意見を反映することが求められる。学習会では、市民の意見を反映して作られた兵庫県明石市のマスタープランが紹介された。マスタープランをもとに、実際にバリアフリーなまちづくりを進める際も市民の意見を反映する仕組みがある。

《つくば法律日記》10 歴史の教科書から学ぶこと

【コラム・堀越智也】山川出版の詳説世界史を読んでいる。人は30代になると走りたくなり、40代になると歴史から学びたくなるというのが、僕の持論である。本屋では、歴史から勉強する系の本が平積みになり、ネットでは歴史を学ぶ動画が人気を博している。 ところが、歴史の教科書や本は、過去を知るという意味では学べるけど、未来を予測するということでは、なかなか学ぶことが難しい。考えてみれば、僕らの子どものころの教科書が未来を予測していていたかと言えば、その記載とは全然違う未来になっている。 教科書には書いてはいないが、大人は第3次世界大戦の可能性を語ったり、恐怖の大魔王が降ってくると脅かしたりと、僕は未来への恐怖心を煽られた。しかし、これらは現実化していない。戦争を繰り返してはいけないので、第3次大戦の可能性を語ることは大事だっただろうけど、世界を揺るがすのは戦争だけではなさそうだと、withコロナで知ることになる。 過去の感染症や伝染病の記述はないわけではないが、教科書にはさらっと記載されているだけで、未来への不安としては書かれていない。14世紀のイギリスとフランスの100年戦争のころにペストが流行したと書かれていると、昔のこととさえ感じる。 教科書についてネガティブなことばかり書いてしまったが、教科書は予言書ではないので、未来がこうなると書かれているはずがない。僕らのほうこそ、教科書に書かれた事実から未来を予測しなければならないし、よい未来にする努力をしなければならない。 未来を予測して何をすべきかを考える

公共施設併設のスーパー誘致 つくば市茎崎庁舎跡地

【鈴木宏子】2016年に庁舎が解体されたつくば市小茎、旧茎崎庁舎跡地(約1.15ヘクタール)の利活用に関する地元説明会が7日、茎崎交流センターで開かれた。市公有地利活用推進課は、敷地の一部に立地している市茎崎保健センターを解体・撤去し、跡地に公共施設併設のスーパーやドラッグストアなど商業施設を誘致する案などを説明した。 参加した市民からは、現在の茎崎保健センターが担っている公共機能を維持するよう求める意見が相次いだ。スーパーの誘致については、懐疑的な意見と、一刻も早く誘致を進めるよう求める意見の両方が出され白熱した。 3案を提示 説明会で市が提示したのは、①約1500平方メートルの平屋建て商業施設に、約540平方メートルの平屋建て公共施設を併設し、約200台の駐車場を整備する②約1900平方メートルの平屋建て商業施設に、約530平方メートルの2階建て公共施設を併設し、約200台の駐車場を整備する③約2300平方メートルの平屋建て商業施設と約640平方メートルの公共施設を別々に整備し、約170台の駐車場を整備するーの3案。 整備手法は、築40年ほど経つ保健センターを市が解体し、庁舎跡地を民間事業者に賃貸する。民間事業者は公共施設併設の商業施設と駐車場を整備し、民間が整備した公共施設を、市が民間から賃借する。商業施設と公共施設を別棟で整備する場合、公共施設は市が建設する。 整備する公共施設には、市役所窓口と相談センター、運動スペース、調理室をつくり、現在、茎崎保健センターにある機能を概ね維持できるようにする。ただし公共施設を別棟で建てる場合は、埋蔵文化財の調査が必要になるという。

京都発、世界を巡って茨城着 古民家ゲストハウスの若女将

【相澤冬樹】かつては夏の遊泳場としてにぎわったかすみがうら市の歩崎、今では自転車道「つくば霞ケ浦りんりんロード」をやってくるサイクリストが脚を休める。そんな行楽スポットに先月お目見えした古民家改装のゲストハウスが、いきなり8月末まで満杯の宿泊予約という盛況ぶりだ。訪ねると、宿を切り盛りする若女将(おかみ)、森田千亜紀さんが京都弁で迎えてくれた。 森田さんは京都・伏見の出身、2カ月前に東京から土浦市内に居を移し、かすみがうら市の第3セクター、かすみがうら未来づくりカンパニー(今野浩紹代表)に入社した。同市どころか茨城にも縁がなかったが、東京で「ゲストハウスをやれるところがないか」と人づてに探しあてたのが、同社が指定管理者となり開設するゲストハウス「江口屋」だった。 同市坂の歩崎公園近くにある江口屋は、明治後期に建てられた築110年の古民家を改築した宿泊施設。元の造り酒屋の屋号を受け継ぐ形で、7月下旬オープンした。敷地面積約3000平方メートル、建物は約190平方メートル、外観は合板葺(ふ)きだが、内部には茅葺きがまだ残っており、平屋建てらしからぬ屋根の風格がある。東に開けた和障子越しに、霞ケ浦から昇る朝日が望めるロケーションだ。 元は造り酒屋だった「江口屋」、内外装とも装いを新たにした=かすみがうら市坂 和室と洋室の全3室のほか食堂や広間を備える。部屋は通常1室2人で、新型コロナ対策から週末のみ2家族限定の宿泊を受け入れる形で予約をとったところ、早々に8月中の予約が埋まった。いばらき応援割(茨城県宿泊促進事業)を利用した県内からのお客たちだった。 1泊朝食付きの宿泊料金は大人(中学生以上)1人7000円(税別)、毎朝かまど(羽釜)で炊き上げるご飯をはじめ、地場産の野菜などで朝食が提供される。平日は日中、バーベキューや石窯ピザづくりなどが楽しめる体験プログラムを用意している。