玉置晋

《食う寝る宇宙》64  ソロリソロリと3時半起床

【コラム・玉置晋】まずは御報告。2020年4月12日、宇宙ビジネスサロンの一般社団法人「ABLab」において、宇宙天気プロジェクトを発足させました。プロジェクトメンバーがキックオフミーティングの様子をまとめましたので、こちらをご覧ください。 プロジェクトのコンセプトは「宇宙天気キャスタ・宇宙天気インタプリタが活躍する近未来社会を創造する」です。「宇宙天気キャスタ」は読んで字の如くですが、「宇宙天気インタプリタ」って何?という人は、コラム49とコラム50をご覧ください。昨年末に鹿島神宮でうけた神様のお告げ(コラム51)を、しっかり実践しておりますよ。 このプロジェクトは、ABLabと僕がお世話になっている茨城大学理学部・野澤研究室(宇宙天気防災)の協力により、「教育・研究」「社会ニーズの醸成」「利用・防災」の3つの柱をつなげていきます。 愛犬のご飯は僕の担当 さて、上記の宇宙天気プロジェクトを推進するために、僕は「会社勤めの宇宙エンジニア」と「宇宙天気防災を研究する社会人大学院生」の二足のわらじを履いています。時間のやりくりが大変なのですが、どのような1日を送っているのか紹介します。 朝3時半にムクっと起き出し、ソロリソロリと椅子に座ってパソコンを開く。「ガタ」という椅子のきしむ音、カチャカチャというキーボードの音。これらの音で家族を起こすわけにはいかない。一挙一動を慎重に行う必要があります。

《食う寝る宇宙》63 かっこいい宇宙船の打上げ!

【コラム・玉置晋】2020年5月31日の早朝、僕は宇宙オタクの皆さんによるTweet合戦をニヤつきながら眺めていました。この日は宇宙開発にとって記念すべき日となりました。アメリカの民間宇宙企業「Space X」により、NASAの支援の元で開発された新型宇宙船「Crew Dragon(クルードラゴン)」が2人の宇宙飛行士を乗せて、国際宇宙ステーションに向けて打上げられました。 この新型宇宙船はデザインが近未来的で、とにかくカッコいい。スペースシャトルのコックピットには多数の機械式スイッチ類がありましたが、Crew Dragonには、ほとんど見当たりません。3つの大きなタッチスクリーンに、リアルタイムの飛行状況や船内環境などが映し出されます。宇宙服もSF映画さながらです。 昨年3月、「Crew Dragon Demo-1」という無人テスト飛行(宇宙服を着たダミー人形を搭載)が行われて、国際宇宙ステーションにドッキング・分離後、無事に地球に帰還しました。 今回は、「Crew Dragon Demo-2」として、有人による最終テストを行っています。基本的に、Crew Dragonは国際宇宙ステーションとのドッキングまで自動運行で、地上のミッションコントロールセンターが飛行状況をモニターしますが、今回は、緊急時のテストとして宇宙飛行士による手動操作も行われました。

《食う寝る宇宙》62 人工衛星運用は大事な仕事

【コラム・玉置晋】僕は人工衛星運用というちょっと特殊な仕事の近くで働いています。宇宙開発というと、ロケット打ち上げや衛星開発がニュースになりやすいですが、最も継続して絡むのは衛星運用です。 人工衛星運用で一番イメージしやすいのは、地上から衛星に命令を送る人でしょう。他にもいろいろな仕事があって、地上から衛星に向けてアンテナを動かす人、衛星がどこを飛んでいるか難しい計算をする人、衛星が正常に動作しているか専門的な知見をフル動員して確認している人(僕はこれね)、衛星から送られてきたデータを有益な形に加工する人―など、たくさんの人に支えられています。 僕が人工衛星運用という仕事を強烈に意識したのは、2003年10月、太陽で大爆発(太陽フレア)が連発したときでした。ハロウィンの時期に起きたので、宇宙天気界隈では「ハロウィン・イベント」と呼ばれています。このときの日本の衛星の通信途絶のニュースは、僕に衝撃を与えまして、「こりゃあ、宇宙天気的に人工衛星をまもらんといかんなあ」という思いを持って、今に至っております。 現代社会は衛星に大きく依存 人工衛星運用者は、社会の機能を維持する「エッセンシャル・ワーカー(Essential Worker)」です。現代社会は、地球観測や通信・測位をはじめとして、衛星に大きく依存しています。ゆえに衛星の運用体制は、縮小する可能性はあれど、継続させる必要があります。

《食う寝る宇宙》61 デコポン型のベテルギウス復活

【コラム・玉置晋】2019年の秋、「オリオン座のベテルギウスが減光している、超新星爆発(ちょうしんせいばくはつ)の兆候ではないか?」と話題になっていました(このコラム53参照)。年末になっても減光し続け、元の40%以下の明るさになってしまいました。これは肉眼でもはっきりわかるものでした。 もしも、642光年離れたベテルギウスで超新星爆発が起きたら、「私たちの生存も危ういのではないか?」という議論も起こりました(これに関しては、距離・時間的に、われわれは安全圏にいるという結論に達しています)。 さて、その後どうなったかというと、無事に元の光の強さに戻りました。めでたし、めでたし。ただ、ベテルギウスが星の寿命の末期にあることに変わりはなく、不安定な状態にあります。形状も球体ではなく、果物のデコポンのような異様なものになっております。 とはいえ、星の時間スケールと僕ら人間の時間スケールは全く違っていて、今後、数年から数10年内に爆発が起きるかどうかは、天文学者もわからないようです。 宇宙天気✕エンタメ プライベートで所属する宇宙コミュニティーの中に、宇宙ロケットを女の子に模したゲームを開発している方(本業は弁護士さんなんですけどね)がいて、僕もオタク心をくすぐられて応援しています。

《食う寝る宇宙》60 太陽から噴き出るガスの塊が地球へ

【コラム・玉置晋】運用中の人工衛星に関わる仕事柄、僕は毎日、太陽を監視しています。とはいえ、望遠鏡をのぞいているわけではありません。人工衛星や地上の観測機器から得られた画像やグラフを見ながら、「今日の宇宙環境は静穏だから安心だね」とか、「太陽での爆発の影響が地球周辺にも及びそうだね」とか判断し、必要であれば人工衛星の運用者に注意喚起する取り組みを行っています。 こういった取り組みが仕事として確立しているのかといえば、まだ途上です。別な仕事の付帯的な位置付けで活動しつつ、徐々に確立していこうとしています。「求ム、宇宙天気アナリスト!」という求人情報が出る世界を目指しているところです。 地球のコアにはドロドロに溶けた金属が対流しており、電磁石の原理で地磁気を発生していますが、太陽から飛んできたガスの塊が太陽の磁場を運んできて、この地磁気を打ち消す現象が磁気嵐です。その結果、人工衛星が不具合を起こしたり、地上で停電が起きたりといった、影響が出ることもあります。 4月20日、太陽から噴き出すガスの塊が地球をかすめていたことを、皆さんは気付いていますか? この影響で、弱い「磁気嵐」が発生しました。 地球をかすめ、弱い磁気嵐が発生 弱いレベルの磁気嵐でしたので、幸いわれわれの生活への影響は皆無でしたが、もし、これが強力な磁気嵐だったらと思うと、恐ろしいものです。さて、この磁気嵐の元となった現象は、4月15日、太陽から淡いガスの塊が飛び出していたことにあります。地球を直撃するコースではなかったので、塊の端っこが地球にかすったようです。

《食う寝る宇宙》59 国際宇宙ステーション見えたよ!

【コラム・玉置晋】仲良しの宇宙ファミリー(2019年8月22日コラム参照)からこんな報告が届きました。4月6日と7日の夕方、茨城から国際宇宙ステーションが見えました。しかも、満月お月様との絶好のコラボレーションです。おじいちゃん、おばあちゃん、お母さん、3人の子供たちで観測したそうです。お父さんは残念ながらお仕事で不在だったとのこと。 おばあちゃん「中はどんな感じかな?」 子供「ししむん(僕の愛称)がいるんじゃないかな?」 お母さん(関西人)「あの人はコレステロールが高いから、宇宙に行けないんやで」 国際宇宙ステーションは、地上から約400キロの上空を、時速2万7700キロ!で飛行しています。とんでもない速さですね。地球1周たったの90分。 こんなに速いのですが、観測に適した軌道だと、地平線を登り始めてから、天頂を経て、再び地平線に沈むまで、10分~15分間の飛行軌跡を追うことができます。地上は夜でも、国際宇宙ステーションには太陽の光が当たって、反射する時が観測のチャンスとなります。

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《吾妻カガミ》90 つくば市長選 際立つ2候補の違い

【コラム・坂本栄】今秋のつくば市長選挙に、2期目を目指す五十嵐立青さんに挑戦すると、富島純一さんが立候補を表明しました。コロナ禍で選挙戦にならないのではないかと心配していましたが、42歳の五十嵐さんと37歳の富島さんの激突になりそうです。以前のコラム「つくば市長選 2つの風景」(7月6日掲載)でも触れましたように、政治家も政策も選挙で鍛えられます。若い2人のバトルが楽しみです。 挑戦者・富島さんの出馬会見については、「会社経営の宮島純一氏が出馬表明」(8月31日掲載)をのぞいてください。現職・五十嵐さんの続投表明については、「2期目へ、五十嵐市長が立候補表明」(2月27日掲載)をご覧ください。この間6カ月。選挙の構図がやっと整いました。 挑戦者と現職者 それぞれの強み 挑戦者にとって有利なのは現職の「失政」を突けることです。経営者歴16年の富島さんは記者会見で、五十嵐さんの失政(総合運動公園問題が未解決、TXつくば駅周辺整備が停滞など)を念頭に置いて、「1期4年で結果を出せないのでは動きが遅い。経営では毎年結果を出さなければ倒産してしまう」と、現職の力量に疑問を呈しました。 思い起こすと、4年前の選挙では挑戦者だった五十嵐さんも、前市長の失政(総合運動公園計画を発表→市民の多くが計画に反対→住民投票の結果を受け計画推進を断念)に乗じて、前市長の後継候補を破りました。攻めの富島さんが、今度は守りの五十嵐さんをどう攻めるのか、注目しています。              出馬表明が遅れた富島さんにとって不利なのは、現職の五十嵐さんに比べ、知名度が低いことです。しかも、新型コロナ禍で大集会や小会合が思うように開けませんから、圧倒的に不利です。富島さんはこうしたハンディキャップを、印刷物の大量配布、ネットの活用などでカバーするそうですが、十分な展開ができるのか、こちらも注目しています。

国勢調査の世帯一覧表を紛失 つくば市の調査員

つくば市は20日、同市沼田地区を担当する国勢調査の調査員が、25世帯の個人情報が記載された調査世帯一覧表1枚を紛失したと発表した。 市によると一覧表には、世帯主の氏名と住所、家族の男女別の人数などが記載されていた。 市企画経営課によると、調査員は19日午後10時ごろ、自宅で、国勢調査の書類の確認をしたところ、調査世帯一覧表1枚が無くなっていることに気付いた。自宅などを探したが見つからなかった。 翌20日朝、前日に調査票を配布するため訪問した世帯や移動経路を探したが発見できなかったことから、同日午前9時30分ごろ、警察に遺失届を出した。 市は21日以降、一覧表に個人情報が記載されていた世帯に状況を説明し謝罪するとしている。 さらに再発防止策として全調査員と指導員に対し、調査書類や個人情報に細心の注意を払い、書類の管理徹底やマニュアル遵守について改めて注意喚起するとしている。

土浦一高~筑波大卒の若手落語家 リニューアルオープンの幕開け飾る

【相澤冬樹】土浦市制施行80周年記念・クラフトシビックホール土浦(※メモ)リニューアルオープン記念と銘打って、最初のステージとなる「立川流若手落語家二人会」が19日、同市東真鍋町の同ホールで開かれた。幕開けを飾ったのは、地元、県立土浦一高と筑波大学を卒業した立川志のぽん=本名・広瀬敦さん(43)。コロナ禍で「辛抱の時」を過ごしての帰郷公演は、チケット完売の拍手喝采で迎えられた。 3密対策し高座に 楽屋で取材に応じる立川志のぽん=同 「二人会」は市産業文化事業団と同市民会館自主文化事業運営委員会が主催するホール落語。会場の小ホールは座席数288だが、新型コロナウイルス感染防止のため、前方2列を空席とし、3列目以降も間を1席ずつ開けて120席定員でチケットを販売、早々に完売した。 出演は立川志らく門下の立川志ら玉(真打)、立川志の輔門下の志のぽん(二つ目)の2人。それぞれ「目黒のさんま」「谷風情相撲」(志ら玉)、「金明竹」「粗忽の釘」(志のぽん)の2席ずつを演じた。

【霞月楼コレクション】8 一色五郎 地域を愛し地域に愛された彫刻家

塑造のように柔らかな写実表現 霞月楼にある「白鷺(しらさぎ)」は、一色五郎が土浦に帰郷した頃の作品だ。冠羽や尾羽の優美な曲線など、実物かと見まがうほど写実的に表現されている。これは油粘土や石こうで造った原型を、星取り法という技術で木彫に起こしたため。 「白鷺」1947年頃、木彫彩色、高さ26cm、霞月楼所蔵 星取り法は明治期に導入された西洋の石彫技術で、東京美術学校で木彫に応用され広く普及したが、戦後は顧みられなくなった。「身近に残るものではこの白鷺くらいか。素晴らしい出来で僕も大好きな作品。大事にされているのはありがたい」と、五郎の子で牛久市在住の彫刻家・一色邦彦さんは話す。 ちなみに五郎の妻・千代子の実家は当時土浦で名をはせた料亭・日新楼で、霞月楼からは本家筋に当たる。