日曜日, 11月 27, 2022

坂本栄

つくば市政を迷走させる 困った市議会 《吾妻カガミ》140

【コラム・坂本栄】つくば市長リコール(解任)署名集めが未達に終わったことで、総合運動公園問題の次の焦点は住民訴訟の判決に移りました。市議会が運動公園用地跡売却の可否を議決にかけていれば、解任運動も住民訴訟もありませんでした。議会の怠慢が問題をこじらせているといえます。 署名運動の結果は、本サイトの「市長リコール請求を断念 … つくばの市民団体」(8月16日掲載)をご覧ください。また、用地処分契約の内容は「グッドマンと売買契約を締結 …旧総合運動公園用地」(8月30日掲載)に出ています。 未達の原因について、▽つくばには研究機関用地が必要だとの訴えに市民の関心が薄かった(市民の多くは東京通勤に便利な上質な街つくばに満足?)、▽訴えが多岐にわたり、問題の核心(市の用地売却手順の違法性)がぼけた、▽市民の関心が売却額(110億円)に集まり、用地売却の手順に向かわなかった―と、私は分析しています。 運動公園用地問題はまだ終わらない 解任運動を引っ張った酒井泉さん(研究者)は、市長解任を決意した理由を「今年1月の議会で、用地売却は議決不要との市執行部の判断が示された。売却案を議会に諮り、それを議会が承認するなら、それはそれで仕方ない。しかし、議会の議決も取らず、執行部の勝手な売却を許すというのなら、市民運動で止めるしかないと思った」と言っています。

上り坂の市と下り坂の県のおはなし 《吾妻カガミ》139

【コラム・坂本栄】つくばの市民有志から「市内に県立高校を新設してほしい」「県営洞峰公園内に宿泊施設はいらない」との声が出ています。しかし、いずれの要望にも茨城県の対応は冷たく、市民有志と県の間のズレが目立っています。その原因は「上り坂」にある市と「下り坂」にある県の違いにあるようです。今回はそのおはなし。 県立高設立要望vs県立高整理整頓 県立高問題については、118「…学園都市は公立高の過疎地」(2021年10月18日掲載)で触れました。要望のポイントは、▽つくば市は人口が増えているのに市内の県立全日制高が減っている、▽このため市外の県立高や私立高に行かざるを得ない、▽平均的な生徒が通える県立高を近くにつくってほしい―ということです。 これに対し県は、県全体の人口減(下り坂の主因)や少子化を踏まえ、県立高を整理整頓しているのに、つくば市を例外扱いにできない―との考えです。新設など問題外で、せいぜい学級増で対応するスタンスと聞きます。TX効果(上り坂の主因)でつくば市は人口が増えていますから、県の教育インフラ抑制方針を適用するのはおかしな話です。 県立公園で稼ぐvs公園は散歩の場 洞峰公園問題については、134「県営の洞峰公園…市が買い取ったら?」(6月6日掲載)で取り上げました。こちらを仕掛けたのは県で、▽学園都市の代表的な公園の管理を民間にまかせ、▽そこに宿泊&BBQ施設をつくって管理会社に稼いでもらい、▽その上がりで公園整備費をまかないたい(できるだけ税金を使いたくない)―といった計画です。

つくば市長に見られる 民主主義の劣化 《吾妻カガミ》138

【コラム・坂本栄】五十嵐つくば市長リコール署名運動(~8月10日)が進行中です。前回の137「つくば市長の宿痾…」(7月18日掲載)では、同運動の主唱者が問題視する「運動公園用地売却手順の違法性」を検証、「(市長は)民主主義の基本を軽んじ、市政運営の『金看板』を自ら降ろした」と指摘しました。今回も、五十嵐市政に多見される「民主主義の劣化」について検証します。 リコール運動のリーダー・酒井泉さんは、本サイトの記事「つくば市長に『NO』を突きつける…」(7月13日掲載)の中で、五十嵐市政の「情報統制」「政治宣伝」「大衆迎合」といった手法が「民主主義を壊す」と批判しています。私も本欄で同じことを言ってきましたが、深刻なのは「情報統制」と「大衆迎合」です。 劣化1:市民の市政批判を裁判沙汰で封圧 まず情報統制(メディア・コントロール)の事例。行政者は自分がまとめた政策を批判されるのを嫌がり、批判を封じたいという誘惑に駆られるものです。五十嵐市長も、市政批判を連載したミニ新聞を名誉毀損で訴えるという、絵に描いたような批判封圧の挙に出ました。 そのあらましは、126「…市民提訴 その顛末を検証する」(2月7日掲載)をご覧ください。提訴(2020年11月)→ 裁判所での審理(2021年)→提訴取り下げ(2022年1月)の経緯をまとめてあります。ポイントは、ミニ紙発行人の元市議を名誉毀損で訴えたものの、裁判に勝てそうにないことが分かり、裁判官を挟んだ協議の末、提訴そのものを取り下げるに至った―ということです。お粗末な幕引きでした。

つくば市長の宿痾 総合運動公園問題 《吾妻カガミ》137

【コラム・坂本栄】元研究者たちによる五十嵐つくば市長リコール署名運動(7月11日~8月10日)が進行中です。解任の理由は多岐にわたりますが、一番は「議会の議決を取らず公有地を売り払うような市長は辞めさせよ」ということです。このコラムでも何度か、総合運動公園用地売却の手順のおかしさを取り上げてきました。この際、改めて整理しておきます。 リコール運動は「変節」市長への怒り 135「運動公園用地売却…の不思議」(6月20日付)では、▽前市長がUR都市整備から用地を買ったとき、名義上の取得者は市土地開発公社だった ▽しかし、借金した用地代金の返済について、議会から「市が債務を保証する」旨の議決を得ている ▽借金の元利返済も、その予算について議会の承認を得ている ▽それなのに、売るときには議会の議決は要らないという理屈は何か変だ―と指摘しました。 129「公有地売却…『逃げ』の…市長」(3月21日付)では、「市が行ったパブリックコメント(意見募集)では、(コメントを寄せた)77人のうち売却に賛成は2人、残りは反対か対案提示か分類不可でした。2択方式(賛成か反対)で分けると、賛成はたった3パーセントです」と書きました。 125「公有地売却…市の牽強付会」(1月31日付)では、「少ないサンプルで市民の声を計るのは正しくありません。そこで提案です。市民の声を聴くため、市長発意による住民投票(総合運動公園の是非で実施)か、サンプル数が多い無作為抽出調査(土浦市との合併の是非で実施)をやったらどうでしょうか?」と提案しました。

TX延伸論議に見る つくば市の狭い視野 《吾妻カガミ》136

【コラム・坂本栄】茨城県がTX県内延伸の4方向案(茨城空港、水戸市、土浦市、筑波山)を示したことで、その線上・目標に位置する自治体が自分たちの所へと誘致に乗り出し、地元の政治家も加わって騒々しくなっています。しかし筑波山を抱えるつくば市は、TXの終始点であることに満足しているのか、特に動いておりません。 ポイントはどこで常磐線にクロスさせるか 茨城空港、水戸、土浦の各方向誘致については、「TX石岡延伸推進協議会」、「TX水戸・茨城空港延伸促進協議会」、「TX土浦延伸を実現する会」が立ち上がりました。土浦の様子は記事「TX土浦延伸へ決起集会 市民参加で競合2団体に対抗」(6月12日掲載)をご覧ください。 茨城空港、水戸、土浦への延伸ラインはもちろん別々です。しかし、石岡、水戸、土浦の主張は「空港まで延ばせ」と言っている点では共通しています。水戸の場合、まず空港まで延ばし、さらに空港→水戸を要求していますが、石岡と土浦は「うちの市内で常磐線と交差させ、空港まで延ばせ」と言っているからです。 水戸が、空港→水戸は後回しにし、常磐線で交差する駅→水戸駅(TXの一部JR乗り入れ、残りは茨城空港直通)を受け入れれば、ポイントは「どこでJR常磐線にクロスさせるか(つくば駅と空港を直線で結ぶと高浜駅のちょっと北=石岡市内=で交差)」になります。 TX県内延伸=研究学園と茨城空港の連結

運動公園用地売却に見る つくば市の不思議 《吾妻カガミ》135

【コラム・坂本栄】つくば市の運動公園用地売却手続きが進んでいます(6月22日ごろ売却先公表→8月22日までに売買契約締結)。これまでの流れを見ていると、手順の「正しさ」をタテにして売却に走る市の振る舞いと、研究学園都市の将来を見据えて阻止しようとする市民の動きが際立ち、市民サイドの問題意識の高さに感心します。 処分する土地は市のものではない? つくば市が運動公園用地売却に固執する背景(現市長の公約非実現の後始末)、売却手順の異常さ(市民の反対の声を無視、議会の承認手続きも省略)については、このコラムで何度か取り上げました。最近のものでは、129「…『逃げ』の…市長」(3月21日掲載)、130「…蚊帳の外…議会」(4月4日掲載)をご覧ください。 不思議なのは、66億円で購入した運動公園用地が市の大事な財産であるのにもかかわらず、帳簿上は市のものではなく、市のペーパーカンパニー「つくば市土地開発公社」の所有だから、その売却については議会に諮らなくてよい―という手続き論をタテに、議会の議決を回避したことです。 確かに、前市長がUR都市機構から用地を買ったとき、名義上の取得者は土地開発公社でした。しかし、銀行から借りた代金の返済については、議会から「市が債務を保証する」旨の議決をもらっています。返済する元利についても、その額を計上した予算の承認を議会からもらっています。議会の承認を何度も得て、公社の財産目録に載せたわけです。 それを、処分するときは議会の承認は要らないというのは、理解に苦しむ理屈です。仮に行政手続き上は議会をパスできたとしても(私はそうは思いませんが)、議会の承認を取った方が、売却手順の「正しさ」を市民に納得してもらえるのではないでしょうか?

県営の洞峰公園、つくば市が買い取ったら?《吾妻カガミ》134

【コラム・坂本栄】茨城県が改修しようとしている県営・洞峰公園(つくば市二の宮)。つくば市は了解したのだと思い、改修を進めようとしたら、市民から計画の目玉と進め方に疑問の声が。当然、市は市民の側に立ち、県と市はバトル状態に。いっそ、市が公園を県から買い取り、市民に現状のまま利用してもらったら? 県と市のバトルに市民運動が参入 県の改修計画のあらましは「…4社グループに決定…洞峰公園の整備事業…」(2021年11月30日掲載)に出ています。学園都市にふさわしい、レクリエーションも楽しめる、にぎわいを創り出すエリアにする―という考え方で、野球場をつぶし民営のグランピング(宿泊用具が備わった豪華テント)や、バーベキュー施設を設けるのが目玉です。 県の内外からたくさんの人に来てもらい、おカネを落としてもらうだけでなく、公園運営に民間会社も加わってもらい、その上がりを公園管理費の足しにしようという、大井川知事らしいアイデアです。県の魅力度アップ作戦の一環でしょう。 この計画に対し、そんなものは要らないとの声が市民の間から上がりました。自然公園の形が壊され、宿泊者の騒音・酒・たばこ、バーベキューの煙・臭いは迷惑だ、と。市側の懸念は「26項目で(市と県が)やりとり」(5月4日掲載)に詳しく出ています。市民運動も起き、2000人を超える署名を集め、県の計画策定作業に参加したいと言っています。そのいきさつは「県に協議の場設置を要望…」(5月13日掲載)をご覧ください。 県営公園は合併前の谷田部に開園

つくば市長の懸案 これが完全解決? 《吾妻カガミ》133

【コラム・坂本栄】つくば市では、総合運動公園用地跡を民間に売却する計画と陸上競技場を廃校跡に造る計画が進んでいます。いずれも五十嵐市長が「完全解決」を公約した案件の具体化です。しかし、運動公園用地跡売却は市民に不評ですし、陸上競技場案もコンセプトに物足りないところがあり、すんなり進むかどうかわかりません。 運動公園用地跡売却は、元の所有者に返すという目玉公約の実現に失敗し、扱いに困った土地をどう使うか or どう処分するか―いろいろ検討した結果です。用地返還とセットの主公約だった陸上競技場の建設案も、どこに and どんなものを造るか―あれこれ検討した結果です。 両方をまとめて解決するには、誰が考えても、未利用の運動公園用地跡に使い勝手のよい陸上競技場を造るのがベストです。しかし、五十嵐さんは(7年前に住民投票で撤回に追い込んだ)前市長時代の計画の一部を採用するのは避け、未利用地は民間に売り払い、陸上競技場は県立高の廃校跡に造ることになりました。 前市長(政敵)の計画をコピーしたくないという政治判断が、合理的な解決策を退けたようです。政治とは窮屈なもので、政治が行政を歪めたと言えるでしょう。 運動公園用地の民間売却に反対する市民

つくば市の「善政」に強い違和感 《吾妻カガミ》132

【コラム・坂本栄】市委託事業の事業者公募で新参者が選ばれ、これまで従事していた古参者が外された。ところがこの事業の利用者たちが、慣れ親しんだ事業者でないと困ると、市に抗議。困った市は予算を倍増し、古参者に事業を継続させながら、新参者にも類似の事業を開始させた。市は「三方良し」で問題を処理。利用者も古参者も新参者も皆ハッピー! 2~3カ月前、つくば市でこんなことが起きました。一見「善政」に思えるかもしれませんが、このおかしな決着に強い違和感を覚えています。詳しい経緯は「運営事業者の継続を求め陳情 不登校の学習支援拠点…保護者会」(1月20日掲載)、「新年度も運営事業者継続へ…つくば市が追加提案」(3月3日掲載)をご覧ください。 揺らぐ「調達の仕組み」への信頼 違和感その1は、提案型公募の選定結果を市が自ら覆したことです。事業委託者に新参者を選んだのは、古参者よりもサービスが優れていると判定したはずなのに、新参者を不安に思う利用者に対し、そのサービス内容を説明したのでしょうか? 新参者のサービスが提案内容よりも劣る場合は、新参者との契約を解除して委託先を古参者に戻すから、心配しないで大丈夫ですよ、と説得したのでしょうか? 事業提案型にしても価格入札型にしても、モノやサービスの調達(プロキュアメント)は公的機関にとって大事な仕事です。選定作業が正しく行われたとしての話ですが、それに落ちた事業者が簡単に復活するようでは、調達の仕組みに対する信頼が揺らぎます。

つくば市長の迷訴訟をミニ紙が総括 《吾妻カガミ》131

【コラム・坂本栄】「つくば市民の声新聞」第6号が発行され、五十嵐市長が同紙を名誉毀損で訴えた裁判について「市長が取り下げ 本紙の完全勝利」との大見出しで特集。この迷訴訟を総括しました。未読の方は「4・1ページ」と「2・3ページ」をクリックしてください。発行人の亀山氏からPDFを提供してもらい、リンクを張りました。 「バタバタ」と「オウンゴール」 五十嵐氏の「完敗」に終わった訴訟について、ミニ紙最新号は「発端」「経緯」「終結」「本紙見解」「読者の声」に分けて総括しています。内容は多岐にわたりますが、市長が1市民を訴えた裁判は「…市長のバタバタに終わった…」(リード)と「…亀山提訴は『オウンゴール』…」(終結)という表現に集約できるでしょう。 というのは、名誉毀損提訴(原告・五十嵐氏)→ 条件付き取り下げを提案(原告)→ 同提案を拒否(被告・亀山氏)→ 別の訴え(虚偽事項公表罪)を追加(原告)→ 無条件取り下げを提案(原告)→ 同提案を容認(被告)と、五十嵐氏の腰が定まりませんでした。裁判に持ち込んだあと、勝てないと気付いたのか、「口外無用」の条件付きで取り下げを図ったり、訴訟の組み立てを強化したり―と、「バタバタ」が続いたからです。

重要案件で蚊帳の外 つくば市の陣笠議会 《吾妻カガミ》130

【コラム・坂本栄】総合運動公園計画が2015年の住民投票で覆されてから7年。つくば市は3月、ずっと放置されていた用地を民間に売り払うことを告知。これに反対する声が市民から湧き上がり、本サイトのコメント欄にも賛否の意見が書き込まれています。ところが、議会はこの重要案件で「蚊帳(かや)の外」に置かれ、その役割を果たしておりません。 130を超える意見については、コラム129「公有地売却に見る『逃げ』の…市長」(3月21日掲載)のコメント欄をご覧ください。また、記事「一括売却へ…公募開始 総合運動公園用地」(3月8日掲載)、記事「…(市長)リコール運動へ…受任者集め…」(3月10日)では、ことの経緯がリポートされています。 購入手順とは大違いの売却手順 この公用地売却について、①(賛成は少ないのに)なぜ市民の声を無視するのか、②なぜ議会にその是非を諮らないのか、③なぜ民間売却に固執するのか―と、前回コラムで疑問を呈しました。②の市が議会承認は不要と判断した理由は、用地は市土地開発公社が保有し、市の直接財産ではないから、議会の同意は必要ない―ということだそうです。 用地は広い意味で市の財産ですから、この説明は何か変です。「売却」が「購入」の逆のプロセスだとすれば(購入がゼンマイを巻く作業なら売却は巻いたゼンマイを解く作業)、購入のプロセスを見れば、売却の正しい作法が見えてくるはずです。そこで、購入の経緯を調べました。

公有地売却に見る「逃げ」のつくば市長《吾妻カガミ》129

【コラム・坂本栄】つくば市が総合運動公園用地跡の売却要項を発表しました。この土地をどうするかは五十嵐市長の政治案件ですが、売却の手順にはおかしな点がいくつかあります。売却に反対する市民団体は市の動きに怒り、市長解職(リコール)運動を開始しました。これから数カ月間、つくば市は騒々しくなりそうです。 事業提案(プロポーザル)方式で行われる売却の詳細やスケジュールについては、「一括売却へ10日公募開始 つくば市旧総合運動公園用地」(3月8日掲載)、「一括売却へつくば市公募開始 リコール運動へ市民団体は受任者集め…」(3月10日掲載)をご覧ください。 市民の声も議会の役割も無視 おかしな点その1は、売却が市民の支持を得ていない(市民の声から逃げている)ことです。コラム125「公有地売却に見る つくば市の牽強付会」(1月31日掲載)でも書いたように、市が行ったパブリックコメント(意見募集)では、77人のうち売却に賛成は2人、残りは反対か対案提示か分類不可でした。2択方式(賛成か非賛成)で分けると、賛成はたった3パーセントです。 パブコメではサンプルが少ないから、住民投票とか無作為アンケート調査で改めて市民の声を聴いてみよう―というのが五十嵐流だと思いますが、わずかな賛成にもかかわらず、市長は民間売却に打って出ました。きちんと調査するのが恐かったのでしょうか?

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ふるさと納税の顛末記 ① 《文京町便り》10

【コラム・原田博夫】年末になると、ふるさと納税でソワソワするお宅もあるかも知れない。魅力的な返礼品をめぐる話題である。しかし、これは、制度導入の経緯からすると、妙な話である。今回は、その顛末(てんまつ)を取り上げたい。 そもそも、高校まで地方圏で教育を受けた若者の相当数が、大学入学や会社就職で都会に出て、その後の社会人生活や結婚後もそこで過ごすのは、20世紀後半の日本社会では(都市部と農村地域の間で教育や就業のチャンスに濃淡がある以上)当然だった。 この若者には財政の観点からは、高校卒業までは地元自治体の教育支出が投入されていた。勤務先の企業は、法人税(国税)および法人住民税を(企業の所在地へ)納めている。会社員としては、給与・報酬から所得税(国税)と個人住民税を(居住地の県・市町村へ)納めている。この会社員も企業も、当該年度に関しては立派な納税者である。 しかし、この会社員を高校時代まで成育させた出身地では、この財政収支の流れはやや釈然としない。少なくとも、地方出身者の高校卒業までに投じた財政資金のある部分は、出身の市町村・県に戻してもらいたい。とりわけ、都市部に出た地方出身者が地元に残った同世代よりも高所得者になっている場合には、そうした矛盾を感じる。 故郷へ還元できる制度はないか? 地方交付税制度は、こうした気分を一部解消する制度でもある。主要な国税5税(所得税・法人税・酒税・消費税・地方法人税)の一部(3割強)を地方の固有財源とみなして、全国の地方自治体を対象に、一定の意基準に従って(地方自治体ごとに基準財政需要額と基準財政収入額を算定し、前者が後者を上回っている場合はその差額を財源不足とみて)財源保障のために一般財源として配分する、という制度である(うち、94%は普通交付税、6%は特別交付税)。

ウクライナ避難民支援募金を大使館に寄付 日本つくば国際語学院

学校法人つくば文化学院(東郷治久理事長)が運営する日本語学校「日本つくば国際語学院」(同市松代)が、4月からつくば市内で呼び掛けていたウクライナ避難民支援募金(4月13日付)が9月末までに計24万5000円集まり、10月26日、東京都港区の駐日ウクライナ大使館に寄付した。 募金箱はグループ企業のサンスイグループ(東郷理事長)が運営する市内計8カ所に設置した。当初6月末までの予定だったが延長し、9月末まで寄付を募った。 8カ所は同校のほか、つくばグランドホテル(同市筑波)▽つくばわんわんランド(同市沼田)▽つくば国際ペット専門学校(同市沼田)▽つくば山水亭(同市松代)▽つくば山水亭別亭(同市吾妻、ホテル日航つくば2階)▽KEY’S CAFE(キーズカフェ)ララガーデンつくば店(同市小野崎、10月16日閉店)▽ミスタードーナッツ イーアスつくばショップ(同市研究学園)。特にKEY’S CAFEとつくば国際ペット専門学校に設置した募金箱には多くの寄付が集まったという。 今回の募金活動は「ウクライナ避難民の支援はまず日本語学校から手を挙げてやるべきではないか」という東郷理事長の言葉がきっかけとなった。寄付金を受け取ったウクライナ大使館の担当者からは感謝の言葉が述べられたという。 同校の森山英熙本部長は「みなさんに関心を持って寄付をしていただき、本当に感謝しています。寄付金が避難民の方々のお役に少しでも立てれば」と話し、「これからもウクライナ避難民で日本語を学びたいという人がいたら積極的に受け入れていきたい」と語る。

百年亭再生プロジェクトが進行中 《宍塚の里山》95

【コラム・佐々木哲美】宍塚の自然と歴史の会では、2019年7月に里山に隣接した築100年以上の住宅を購入し、「百年亭」と名付け、修復作業に取り組んでいます。その資金集めに、クラウドファンディング(CF)を使いました。期間は9月5日~10月21日、目標額は300万円としました。 建物の完成には800万円程度が必要ですが、CFに並行して、助成金申込みや様々な手法で、宍塚の里山の重要性を伝えながら資金を集めます。 CFの結果、223名の方から317万5000円の寄付をいただき、目標を達成することができました。どんな方から寄付があったかまとめたところ、会員から27%、非会員から73%と、非会員の寄付が多くを占めました。居住地別では、つくば市32%、土浦市15%など、県内で62%を占めました。 県外では東京都が14%と多く、関東全体では28%を占め、関東以外は9%でした。宍塚から離れると人数は減少しますが、県外からの寄付者が全体の37%にもなり、宍塚の里山保全への支持が全国に広がったことを示しています。 寄付額は1万円が119名(59%)と最も多く、次いで5000円が65名(29%)と続きます。10万円という高額寄付者が4名もいました。今回の成功のカギは、もちろん、寄付していただいた方、知人・友人に働きかけていただいた方、プロジェクトメンバーの努力ですが、ホームページ(HP)の役割も少なくありません。仲介業者READYFORの方々の親身なサポートもありました。 百年亭の創建年と大工名が判明

空気汚染の健康被害を知ってほしい 市民科学者、故 津谷裕子さんの著書を公開

有害化学物質による空気汚染の被害者で、2021年2月に92歳で死去した土浦市の市民科学者、津谷裕子さんが、化学物質による健康被害について知ってほしいと09年に執筆した著書「絵でとく健康への環境対策ープラスチックからの新しいVOC空気汚染」(A5判、98ページ、社会評論社)が、「忘れるな 杉並病・寝屋川病~プラスチックリサイクルで生活を奪われないために」と題したウェブサイト内でこのほど全面公開された。 公開したのは東京都千代田区の市民団体「化学物質による環境汚染を考える会」代表の森上展安さんだ。森上さんは1990年代後半、当時住んでいた東京都杉並区で津谷さんと共に、プラスチックなどの不燃ごみ圧縮・詰め替え施設で健康被害を受けた周辺住民の実態調査や原因究明に取り組んだ。「杉並病」と呼ばれた健康被害だ。 公開された著書は、アレルギーやアトピーなどの患者が増える中、身の回りのさまざまなところから、これまで無かった、ごく微量の揮発性有機化合物(VOC)が発生し、新たな空気汚染が広がっている実態を知ってほしいと執筆された。 東京都杉並区の施設周辺住民の健康被害の調査結果や、プラスチックごみの圧縮や詰め替えで揮発性化学物質がなぜ発生するかをまとめている。その上で「プラスチックは不完全な加熱や機械的処理では、多種類で多様のVOCが発生し、毒性がごく強いものに変質することもある」などと指摘し、今日推進されているプラスチックのリサイクルについても疑問を投げ掛けている。 予防、救済、解明へ