水曜日, 5月 18, 2022
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岩松珠美

《介護教育の現場から》4 重度訪問介護サービスのこと

【コラム・岩松珠美】新型コロナの感染拡大に抑制がかからない。基礎疾患を抱える方や高齢などのリスクを抱えている人々には、感染予防の強化が求められているが、今回は介護保険法による訪問介護とは制度が異なる「重度訪問介護」を取り上げたい。障害者総合支援法による事業で、訪問介護員が利用者の住まいを訪問し、生活全般の援助を行う介護サービスである。 常に介護が必要とされる方(原則65歳未満)がこのサービスを受けることで、住みなれた環境で生活が続けられることを目指している。 対象は、「重度の肢体不自由、または精神障害・知的障害により行動上著しい困難があり、常時介護を要する状態」にある方。具体的には、交通事故などで四肢を欠損したり、脊椎損傷によって全身まひになった人や、筋萎縮性側索硬化症(ALS)やパーキンソン病などの難病にかかり、寝返りを打つことも難しいような重度の疾患を抱えている方が多い。日常生活を支えるために、3人の介護者が8時間・3交代が必要である。 現場に求められる人材の質 重度訪問介護の利用者数は年々増加しており、2016年は全国で1万463人に達した。この介護を担う事業所は、2016年時点で約7300カ所ある。訪問介護員は、居宅介護に従事可能な介護福祉士や介護職員初任者研修などの資格所有者、または重度訪問介護従事者養成研修修了者などである。 利用者によっては、家族がいる夜間は介護サービスを利用しないこともあるが、原則的には、利用者に必要な身の回りの援助のすべてに携わる。また、利用者ができることは見守り、援助の必要性が生じたときのために、利用者の近くで待機することも大切である。人工呼吸器装着の利用者の痰の吸引や胃ろうなど医療的ケアが必要で、コミュニケーションの難しい重度障害者のケアをできる訪問介護員は少ない。

《介護教育の現場から》3 シンガポールの外国人介護者

【コラム・岩松珠美】筆者は15年ほど前、学生のシンガポール海外研修に引率で参加したことがある。同国は多民族国家であり、マレーシア、インドネシアなど広くアジア圏から出稼ぎ労働者を受け入れている。その中で、家事労働(高齢者介護を含む)の出稼ぎ労働者は、住み込みで家族に準ずる形で仕事をしている。 家族主義の思想が強いシンガポールでは、高齢者介護は家庭で行うのが一般的であり、その手助けのために、外国人家事労働者が雇われている。また、子育て世帯の保育も住み込みで担っている。  これら外国人出稼ぎ労働者の活用を効果的に進めてきたことが、隣国マレーシアでの女性の社会進出の原動力ともなってきた。社会的地位を高めてきた女性たちは、子どもたちの多額の教育費を負担する。将来の老後の生活をきちんと支えてもらえるように、子供に教育という投資を惜しまない。 出稼ぎの家事労働者は、Sパスという雇用保険に準ずる社会保険制度も保障されている場合、賃金や身分保障は安定することになる。もちろん、本国で看護師などの資格を取り、シンガポールに出稼ぎに来るとSパス取得者とされ、退職年齢時までの雇用や家族妻帯もできる体制になっている。 高齢者向けケア施設は高額 シンガポールにも高齢者向けケア施設などがあるが、費用は高額だ。社会保障費用は、義務的な個人の積立基金から支出するのが原則で、経済成長以前に現役世代だった現在の高齢者には、十分な積立金がないという問題もある。高齢者介護には、月額数万円で雇える外国人家政婦を使う家庭が多く、政府も雇用税の優遇などで奨励している。

《介護教育の現場から》2 介護における外国人労働力

【コラム・岩松珠美】現在日本で働く外国人介護職は4つに分類される。第1分類は経済連携協定(EPA)事業の一環で、インドネシアやフィリピンなどから受け入れているEPA介護福祉士候補者。第2分類は日本の介護福祉士養成校を卒業した在留資格「介護」をもつ外国人。筆者が勤務する専門学校の学生がこの区分に該当する。 さらに、第3分類は技能実習制度を活用した技能実習生、第4分類は在留資格「特定技能1号」を持つ外国人である。いずれも、5年の日本滞在中に国家資格「介護福祉士」を取得できれば、永続的に日本で介護職としての就労が可能となる。 実際、来日の時点での日本語能力や介護知識・技術については、大きなバラツキがある。第2分類の学生たちは日本語学校で、半年から1年学び、それから介護福祉士の養成校に進学し、2年間、日本の生活文化や介護について専門的に学ぶ。 これらの学生たちに比べると、EPA候補者、技能実習生、特定技1号職は、日本語や日本文化、介護の専門的知識・技術を学ぶ時間が短く浅い。日本の日常生活に不自由しない力と介護に必要な基礎的技能に求めるラインをどこに引くのか―教育と技能訓練に対する考え方の違いに現れているように思う。 外国人介護労働力は欠かせない 茨城県労働局の調べ(2019年)によると、県内で働いている外国人労働者は約3万7千人で、茨城は全国11位である。うち医療福祉分野で働く人は670人いる。

《介護教育の現場から》1 介護福祉士養成学校のいま

岩松珠美さん 【コラム・岩松珠美】今年の春先は未知なるコロナ感染症の流行に見舞われた。皆が今の日常生活の当たり前さについて見直しを迫られている。 文部科学省の学校基本調査(2016年)によると、高校を終えた約116万人の進路は、大学が54.7%、専修学校が16.4%という。その中では、医療系の国家資格が取れる学科や専攻が人気のある分野と聞く。しかし、介護福祉や社会福祉について専門的に学び、介護福祉士や社会福祉士などの資格取得を目指したいと思う生徒は決して多くはない。 介護福祉士養成施設協会の報告(2019年)によると、加入している大学、短期大学、専門学校を卒業して、福祉現場に就職した学生は5697人。そのうち、17%が職業訓練生、6.7%が外国人留学生だった。 そのような状況の中で、私は今春、新3K(きつい、汚い、給料安い)といわれる介護現場のイメージをどう払拭できるかよりも、介護の仕事は「多くの人々の生き様に触れる『感謝と感動の仕事』である」ことを伝えたいと思い、介護福祉士を養成する新設の専門学校に赴任した。迎えた学生は全員が留学生の10人。 実践の場での学びが大事

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不登校支援のあり方検討スタート つくば市 事業者選定の迷走受け

つくば市が昨年12月に実施した不登校児童生徒の学習支援施設運営事業者の選定をめぐって迷走した問題を受けて、今後の市の不登校支援のあり方について検討する「市不登校に関する児童生徒支援検討会議」の第1回会合が17日、市役所で開かれ、検討がスタートした。 市が、2020年10月から22年3月末までNPO法人リヴォルヴ学校教育研究所(同市二の宮、本山裕子理事長)と協働で実施した「むすびつくば」の事業について検証するほか、今後の市の全体的な支援方針を策定する。 検討会議のメンバーは、森田充・市教育長と市教育委員4人の計5人。不登校の保護者など当事者は入っていない。来年1月までに計14回程度の会合を開く。今年9月ごろ、新たな予算を必要とする施策を決め、来年1月ごろまでに全体的な支援方針をまとめる。 むすびつくばの検証については、利用者の小中学生と保護者にアンケートをとったり、運営者のリヴォルヴに自己評価を作成してもらうなどする。リヴォルヴによる運営は、来年3月までの1年間延長されただけであることから、23年度以降どうするかについても検討会議で協議する。 今後の市の支援方針については、先進自治体を調査したり、市内の民間フリースクールの利用状況を調査したり、市内の不登校児童生徒と保護者にアンケート調査などを実施した上で、フリースクールのあり方や支援策などについて検討する。 検討を始めるにあたって、現在の課題については▽専門職であるスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの人数が十分か注視する必要がある▽発達障害の早期発見や診断が遅れると個人の特性に応じた支援や対応が遅れる▽民間フリースクールは有料であるため公設の支援施設の利用者と負担に差が生じている▽不登校の児童生徒数が増えているのに対して公設支援施設の定員は2割程度しかない▽児童生徒数が増加している市南部に公設支援施設がない▽学校での別室登校による支援は専属の教員がいないーなどを挙げている。

望まれず産まれる猫の命をつなぐ 《晴狗雨dog》5

【コラム・鶴田真子美】子猫の季節がやってきました。動物保護団体には野良猫の産んだ子猫の相談が相次ぎます。先週も田植えをしていた近所の農家さんから、ダンボールに入った子猫があぜ道に捨てられていたと相談がありました。 まだ目も開いておらず、産まれてすぐに捨てられたであろう、幼い兄弟5匹。預かりボランティアさんが手分けして連れ帰り、必死の授乳中です。(その映像は以下に) https://www.youtube.com/watch?v=6rDM115ilJg&authuser=0 離乳前の幼い犬猫を自宅に預かり、ミルクを与えて育てるボランティアさんは「ミルクボランティア」と呼ばれます。この方々の存在なくしては、乳飲み子は救えません。 離乳するのは生後2カ月弱。授乳と授乳の間の時間は、成長するにつれて徐々に延びていきます。4時間から6時間おきに。犬や猫がだんだん体重を増やし、よちよち歩くようになり、兄妹で戯れて遊ぶようになるのを見るのは喜びです。

バス停見落とし、3人乗車できず つくバス

つくば市は16日、市のコミュニティーバス「つくバス」南部シャトル上り41便(茎崎窓口センター発つくばセンター行き)が、同日午後5時28分ごろ、同市高野台の国道408号を走行中、高野台停留所に停車せず通過し、バス停に待っていた乗客3人が乗れなかったと発表した。 つくバスは市が関東鉄道(本社・土浦市)に委託して運行している。市総合交通政策課によると、高野台停留所には同社の路線バスとつくバスの停留所が併設されている。つくバスが高野台停留所に近づいたところ、すでに路線バスが停車していたことから、つくバス運転手は、41便の停留所ではないと思い込み、通過したという。 高野台停留所には、乗客3人がつくバスを待っていた。41便が通過したことから、先に停車していた路線バスの運転手が、関東鉄道の営業所に連絡した。 連絡を受けた関東鉄道は、高野台停留所に送迎車を手配し、待っていた乗客1人を目的地まで送迎した。一方、2人はすでに移動していて送迎車到着時にはバス停にいなかったという。 市は関東鉄道に対し、安全運行の徹底と再発防止を指示したとしている。

廃校の旧筑波小に魔界の商店街出現 28日「魔女のフェスタ」

つくば市国松の旧筑波小学校で28日、「魔女のフェスタ」が開かれる。2018年閉校した学校の3階建て校舎と校庭を会場に、マルシェ形式で飲食や雑貨の店、整体や占星術などを行う100店以上が集結する。昨年の春・秋に続き3回めの開催で、コロナ禍にあって、回を重ねるごとに規模を拡大してきた。 主催はフェスタ実行委員会(いしざき緑子代表)、学校近くの国松地区の古民家に移住して、アロマテラピーの教室「魔女の学校」を開設したいしざきさん(2021年2月17日付)を中心に、同市内外の賛同者が集って、廃校リノベーション企画を進めてきた。 小魔女商店街など100店超 今回は4歳から70代の参加者による100店超の店舗が軒を並べるという。校庭に飲食店のキッチンカーやテントが並び、3階建ての校舎全体にアクセサリーやフラワーアレンジなど手づくり品、占いや癒し療法の店、ワークショップが展開する。3階の旧音楽室では再調律したグランドピアノを中心に据え、14グループによるライブイベントも行われる。 最年少の4歳児は「小魔女商店街」と銘打ったブースに参加する。昨年出店した参加者の子供たちが、見よう見真似で「お店屋さんごっこ」に興じ、「楽しかった」との感想が聞かれたのがきっかけ。実行委員会が「魔女見習い」向けのブースを設け、出店料無料で呼び掛けたところ、高校生以下約20人が集まったという。商店街では魔女と魔法使いの見習いたちの描いた絵や折り紙、自作のゲームなどを1点10円で販売し、フェスタでの買い物に使ってもらおうという趣向だ。 いしざきさんは「出店者は年齢的な広がりばかりか、国籍も違ったりハンディキャップもあったり様ざま。お店の構成も含め、多様性こそが健全な社会のありようだと思っていて、さらに多くの人に機会と場所を設けたい」と開催の意図を語る。