金曜日, 1月 22, 2021
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《介護教育の現場から》3 シンガポールの外国人介護者

【コラム・岩松珠美】筆者は15年ほど前、学生のシンガポール海外研修に引率で参加したことがある。同国は多民族国家であり、マレーシア、インドネシアなど広くアジア圏から出稼ぎ労働者を受け入れている。その中で、家事労働(高齢者介護を含む)の出稼ぎ労働者は、住み込みで家族に準ずる形で仕事をしている。

家族主義の思想が強いシンガポールでは、高齢者介護は家庭で行うのが一般的であり、その手助けのために、外国人家事労働者が雇われている。また、子育て世帯の保育も住み込みで担っている。 

これら外国人出稼ぎ労働者の活用を効果的に進めてきたことが、隣国マレーシアでの女性の社会進出の原動力ともなってきた。社会的地位を高めてきた女性たちは、子どもたちの多額の教育費を負担する。将来の老後の生活をきちんと支えてもらえるように、子供に教育という投資を惜しまない。

出稼ぎの家事労働者は、Sパスという雇用保険に準ずる社会保険制度も保障されている場合、賃金や身分保障は安定することになる。もちろん、本国で看護師などの資格を取り、シンガポールに出稼ぎに来るとSパス取得者とされ、退職年齢時までの雇用や家族妻帯もできる体制になっている。

高齢者向けケア施設は高額

シンガポールにも高齢者向けケア施設などがあるが、費用は高額だ。社会保障費用は、義務的な個人の積立基金から支出するのが原則で、経済成長以前に現役世代だった現在の高齢者には、十分な積立金がないという問題もある。高齢者介護には、月額数万円で雇える外国人家政婦を使う家庭が多く、政府も雇用税の優遇などで奨励している。

シンガポール政府は1970年代の終わりに、労働力不足の解消のため、女性の積極的な労働市場投入とともに、家事や育児、介護の仕事を外国人家政婦に任せる方針を打ち出した。その結果、今では5世帯中1世帯以上が家政婦を雇っているとされる。

家庭の中に高齢者介護を担う外国人家政婦の雇用することで、シンガポールは少子高齢化に対応している。これが、中国系、マレー系、インドネシア系、インド系と多種多様な思想や文化を持った国民への効果的な対応法となってきた。

また、多種多様な民族のために、イスラム圏の施設、キリスト教系の施設、華僑の施設など、バラエティーに富んだ介護施設や社会福祉施設を見学したことを思い出す。(つくばアジア福祉専門学校校長)

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