木曜日, 8月 18, 2022
ホーム コラム 《介護教育の現場から》5 コロナ禍で臨地実習に苦労

《介護教育の現場から》5 コロナ禍で臨地実習に苦労

【コラム・岩松珠美】文科省と厚労省の「新型コロナウイルス感染症の発生に伴う医療関係職種等の各学校、養成所及び養成施設等の対応」通知(2020年2月28日)を受け、今年度は介護福祉士養成校や介護施設などで行われる臨地実習は軒並み中止・延期になり、大変な年度であった。さらに厚労省は「実習施設が確保できない場合は、学内の演習に代えてもよい」と通知していた。

日本介護福祉士養成施設協会のアンケート(20年4月23日)によると、この団体加盟の養成校のうち回答した240校の約半分が、介護実習先から中止要望や人数変更などの連絡・要望があったという。

本来、看護学生や介護学生が実際に患者や利用者を受け持ち、直接コミュニケーションしながら生活支援の実践を学ぶ場が、医療機関・介護施設・保育所・地域などである。学内で修得した知識や技術をもとに、臨床現場で実践力や判断力を養うもので、看護師や介護福祉士の養成課程において、カリキュラムの一部を担う教育の場である。

それらの機会が減少したことにより、様々なシミュレーション教育や模擬患者さんを迎えたOSCE(客観的臨床能力試験)などを学内で実施した。この1年、様々な臨床現場を再現する教育技術が、試行錯誤ながらも工夫・開発された。

地域の施設・機関に感謝

こういった臨床現場により寄り添ったアプローチや研究の成果は、これから明らかになってくるであろう。利用者さんの自宅と訪問介護ステーションをリモートでつなぎ、学生たちが利用者やその家族と対話する記事を見たが、新しいコミュニケーションの取り方を活用する大切さも感じた。利用者さんはどんな気持ちでおられ、どんな援助がどんな配慮のもとに必要かを知ることは、振替学内演習でも臨地実習でも重要だと考えている。

私の勤務校の今年度240時間の介護実習は、延べ20カ所の施設や機関のご協力を得て臨地で実施することができた。地域の利用者さんと関わっていきたいという本校の意向を受け入れてくださった施設や機関のおかげである。心より感謝している。(つくばアジア福祉専門学校校長)

誹謗中傷するコメントはNEWSつくば編集局が削除します。
0 Comments
フィードバック
すべてのコメントを見る

陽性確認者数(公表日ベース)の推移

つくば市

土浦市

スポンサー

注目の記事

最近のコメント

最新記事

明治初めの悪疫除け節《くずかごの唄》114

【コラム・奥井登美子】古い引き出しの中から、「悪疫除けひとつとや節」「明治12年7月9日虎列刺(コレラ)病予防商議として出縣申付候事 茨城縣」の2枚の紙が一緒に出てきた。 明治12年に茨城県にコレラ病が流行して、その時に皆が口ずさんだ「ひとつとや節」なのかも知れない。読めない字ばかり、ギクシャクしながら、何とか読んでみると、143年前なのに、今のコロナにも当てはまる部分がチラチラ。 そのころの日本人は流行病も唄にしてしまっていたのだ。テレビで、コロナの「ウイルス除けひとつとや節」をやれば、面白いに…。 悪疫除けひとつとや節(作者 清水近前人) 1つとや ひとをそこねるコレラ病 撲滅(ぼくめつ)させるはじん力ぞ 2つとや ふだん注意を怠るな 喰物(くいもの)衣類を清潔に

つくばのパスタ専門店「ルーク」 《ご飯は世界を救う》50

【コラム・川浪せつ子】新しい飲食店巡りがスキです。今回は、ズゥ~と前から気になっていたお店「ルーク パスタリストランテ」(つくば市台町)。ファサード(建物の正面)がとてもカワイイので、訪ねたかったのですが、4車線の右折道路を超えないと入れない場所。我が家からだと、とても行きにくいお店でした。 でも今回、意を決して、遠回りして右折しなくてもよいようなルートで。11時半からというので、開店5分前に行くと、先客さんの車2台。店主さんお1人でやっている、インテリアも良い感じの空間でした。 スパゲティーは日替わりと定番メニュー。絵を描く、そして、舌を満足させる。描くのは難しいけど、大好きな「カルボナーラ」を注文! ネットの黒板には白墨の絵 ルークさんに行く前に、ネットで下調べ。そうしたら、毎日、ブラックボードに白墨(はくぼく)で、絵が描かれているのを見つけました。なかなか良い感じ。こういうセンスって、お料理にも出ますね。 食後、ちょっと店主さんとお話。7年前に開店したことや、コロナで大変だったことなど。頑張ってほしいお店でした。

市長リコール請求を断念 署名集まらず つくばの市民団体

つくば市が旧総合運動公園用地(同市大穂、46ヘクタール)を外資系物流不動産会社、グッドマンジャパンに一括売却する問題(6月21日付)で、売却に反対し五十嵐立青市長のリコール(解職)を求める署名運動を実施(7月8日付)していた市民団体「つくば市長リコール住民投票の会」(酒井泉代表)は16日記者会見し、署名が1028筆(15日時点)しか集まらなかったとして、リコール投票の請求を断念すると発表した。 同会は7月11日から8月10日までの1カ月間、署名を集めていた。リコールの賛否投票を請求するには、有権者数の3分の1以上の6万4658人以上の署名が必要だった。 酒井さん(73)は「(売却は)議会も通さず、市民の意志表示の機会がなかった」とリコール運動を実施した理由を改めて話し、署名が集まらかった原因については「自分の住所、氏名、生年月日などの個人情報をさらけ出すことに抵抗もあったと思う。6万筆なんて集まるはずないのに、負け戦に参加することに恐怖もあったと思う」とした。 さらに「これまで新聞にちらしを3回折り込んだが、1割くらいしか読んでおらず、(売却により)学園都市がなぜ存亡の危機か、ほとんどの人が理解してなかった。理解している人でも、リコールまでやる必要はない、全市的な問題ではないという意見もあった。110億円で売れたからいいじゃないという話も随分聞いた」などと述べ、「問題提起をするのが役目だったが、我々の役目が足りなかった」と話した。 酒井さんは「私が中学生の時(筑波研究学園都市の)用地買収がスタートし、その時の地元の苦悩を見ている。反対が多かったが地元が受け入れたのは、世界に遅れないよう研究学園都市をつくるという明確な理念が国にあったから。その後、成田闘争があったが、当時つくばが成田闘争のようなことになっていたら、研究用地を売却することなどできなかったと思う」と振り返り、「(研究学園都市建設から)たった50年で研究用地を売却するとはどういうことか。研究用地の売却は工業団地の売却とは違う」「50年経って、そもそも研究学園都市がどんな理念でつくられたかを知る人は、我々の世代しかいなくなっているのかと思う」とし「市民に気付いてもらう努力はこれからも続けたい」と語った。 今後については、用途地域の変更などつくば市が今後実施するさまざまな法的手続きに意見を言っていくほか、つくば市と係争中の、売却の違法性を訴える住民訴訟に力を注ぎたいとした。リコール運動についても「(状況によって)何度でも繰り返しやる」と強調した。

コーヒーの花が咲いた《続・平熱日記》116

【コラム・斉藤裕之】妻が亡くなった。長い間の闘病の末、最後は自宅で娘たちと一緒に過ごし眠るように旅立った。この数年は妻と毎週のように出かけ、相変わらず口ゲンカをしたりもしたが、彼女は残された時間を知っているかのように身の回りを片付け、子供達の喪服まで買いそろえ、公共料金の支払いの口座からネットフリックスの解約のことまで事細かに「パパへの申し送り」として書きまとめていた。 良き医者にも恵まれ自宅療養を選んだ妻。ちょうど夏休みに入って最後の1カ月は寝起きを共にしてやれた。そしてアトリエにベッドを置いて寝たいというので、猛暑の中アトリエを片付けて希望通りにしてやった。ある朝、アトリエからトイレに行くのに少しだけ敷居があってつまずきそうになるので、ベッドをアトリエから隣にあるリビングダイニングへ移動した。しかしその後、妻はトイレに行くことはなかった。 親兄弟だけのささやかな葬式。娘たちは花の好きだった妻をたくさんの花々で飾り、妻の好きだった曲をブルートゥースで流した。私は何も棺の中に入れてやるものを思いつかないでいたが、その朝探して見つけたつゆ草の青い花を入れてやった。 葬儀の前夜。にぎやかにお酒を飲みながら、思い出話をしているときのことだ。長女が話し始めた。「パパのどこが好きなの? あんなクソジジイなのにって聞いたの」。すると妻は答えたそうだ。「いろんなことがあるけど、パパの絵を見ると許せるの。ママはパパの絵が大好きなの」。 その言葉を聞いた瞬間、涙があふれてきた。芸大の同級生であった妻は、私の絵について今まで一言も口を出したことはない。すぐそばでずっと見ていただけ。これまでの不甲斐(ふがい)ない人生がこの瞬間に報われた気がした。絵を描いていいんだと思った。人生最高の宝物となったこの言葉を胸に。 白犬「ハク」と、妻と行った場所へ