金曜日, 3月 29, 2024
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つくば ワイン -検索結果

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デビュー作で初回コンクールに入賞 つくばワイナリーの山ぶどうワイン

つくば市北条の醸造所「つくばワイナリー」からエントリーした3種のワインが、第1回の日本山ぶどうワインコンクール(日本山ぶどうワイン協会主催)で入賞を果たした。経営元のカドヤカンパニー(小美玉市、岡崎正光社長)が8日発表した。 コンクールは、「山ぶどう」「山ぶどう系品種」で作られたワインに特化した、日本で初めてのコンペティション。黒ぶどう品種の「日本山ぶどう」は日本独自のワイン専用種として、交配種の「山ぶどう系品種」と共に近年、栽培面積を拡大させているという。今回は、主産地である秋田県鹿角郡小坂町に事務局を置く実行委員会の主管で、7月に開催された。全国41のワイナリーから103本のワインがエントリーされた。 つくばワイナリーからは、スパークリングワイン部門で「SPARKLING ROSE(スパークリングロゼ)」が空賞、「SPARKLING BLANC(スパークリングブラン)」が茜賞を受賞。そして白ワイン部門で「TSUKUBA BLANC STANDARD(つくばブランスタンダード)」が茜賞を受賞した。特にスパークリングワイン部門では紫賞に該当するワインがなかったため、単独で空賞を受賞した「SPARKLING ROSE」が最高位という結果になった。コンクールでは通常の金、銀、銅ではなく、日本古来の色順位に基づき、上位から紫賞、空(青)賞、茜(赤)賞が贈られた。 同社は筑波山ろくの北条地区の丘陵地に約18ヘクタールの土地を取得、2012年にワイン用ブドウの栽培を開始した。19年には醸造所と売店からなる施設、ワイナリーを開設して、つくば産ブドウ100%を使ったワイン製造を開始した。(2019年12月15日付) ブドウ園の6割ほどを占めるという山ぶどう系品種を使ったワインの仕込みは2021年収穫分からで、コンクールには、このワインを丸1年寝かせて出品した。デビュー作で初回コンテストに入賞した形だ。 同ワイナリーの栽培・醸造責任者の大浦颯人さん(25)によれば、「SPARKLING ROSE」は山ぶどうと赤ワイン品種のメルローとの交配種を用いたワイン。「山ぶどうワインは野性味ある男っぽさが持ち味だが、その酸味を残しながらもフルーティーでチャーミングな味に仕上がったのが評価されたのではないか」としている。 ◆つくばワイナリー つくば市北条字古城1162-8(電話029-893-5115)

つくばワイン特区第1号のワイナリー稼働 進む醸造横目に土壌チェック

【相澤冬樹】農地所有適格法人株式会社の看板のあるヴィンヤード(Vineyard、ブドウ農園)で育ったブドウは10月、すべての収穫を終え、果実酒醸造免許の交付を受けて醸造所の看板を掲げたワイナリー(Winery)での初仕込みを済ませた。ほぼ一人で切り盛りするTsukuba Vineyard(つくばヴィンヤード、つくば市栗原)代表の高橋学さん(65)は息つく間もなく、枝葉の剪定(せんてい)と土づくりに取り掛かった。ワイン造りの正念場である。 11月中旬にも初出荷 「ワイン・フルーツ酒特区」に認定されたつくば市で第1号となるワイナリー。酒類の製造免許を申請する際の最低製造数量の基準が6000リットルから2000リットルに緩和され、「つくば産ワイン」と銘打って販売できる。(19年度産から販売を始めたカドヤカンパニーのワイナリーは特区制度に拠らない) 高橋さんが、栗原地区の再生された耕作放棄地約7000平方メートルを借りたのは2014年のこと。産業技術総合研究所(つくば市)で岩石や岩盤の力学試験などに携わっていたが、農地の土壌研究とは無縁、ことさらワイン党でもなかった。「定年後の生き方を探していた時、故郷の北海道を訪れ、ブドウ栽培とワイン醸造をしている農家を見学した」のがきっかけでワインづくりを学んだ。 最初は1000平方メートルの農地に「プティマンサン」という品種の苗150本を植え栽培をスタート、6年目のことしまでに約2.3ヘクタールに拡大した。15種類のブドウを栽培し、つくばの気候と土壌に合った品種を模索してきた。これまで醸造は筑西市の酒造会社に、販売はつくば市の地酒専門店に委託していたが、ようやく2000リットルの生産にめどが立ち、自前のワイナリー「栗原醸造所」を設置した。 ところが今季の収量は4トンの見込みの半分以下、2トンを割りこむ不振となった。「7月末まで続いた長雨、日照不足が響いた。カビが発生するべと病などに悩まされ、ワインの品質に影響しないよう、選果ではじくブドウも多かった」という。 このため、ワイナリーの初稼働に喜ぶ暇もなく、ヴィンヤードの手入れにいそしむ日々が続いている。枝葉の剪定が始まった農場には、新たに土壌センサーを設置した。地元のIT事業者の協力で、土壌のデータ(伝導率・保水率・温度)を継続的に計測するセンサーを5カ所に埋設した。低電力で低価格の無線バンドでデータを送信してくる。「センサーのバッテリーは2年ほど持つ。これで土壌の経験値を可視化できることになる」(電脳郷・河合通之社長)そうだ。 高橋さんは「産総研の退職金は早々に使い果たした。雇用延長も来年3月末まで。本当の正念場になってきた」という。仕込んだワインは赤、白、ロゼとプティマンサンの4種。11月中旬にもロゼのヌーボーから販売を開始する。 Tsukuba Vineyardのホームページはこちら

無ろ過で元年デビュー果たす つくば産ワイン限定500本

【相澤冬樹】筑波山麓で今秋収穫されたブドウを使い、初めて現地醸造されたワインが15日、店頭デビューした。つくば市北条でワイン用ブドウを栽培してきたカドヤカンパニー(本社・小美玉市、岡崎正光社長)が製造・直売するもので、今回は無ろ過のロゼワインを「TSUKUBA PRIMO(ツクバプリモ)」と銘打ち、500本限定で売り出した。 無ろ過ワインは、製造時に混入する不純物を除去することなくそのまま販売するもので、「いわゆる澱(おり)が残っており、それが風味にも雑味にもなり、扱いが難しいワイン」(北村工マネージャー)だそう。当初は年明け以降、正規品での販売を予定していたが、引き合いが増え、無ろ過でも出来のいいワインに仕上がったことから、暮れの需要期に合わせ販売に踏み切った。 同社はこの秋、同所に醸造所と売店からなる施設、ワイナリーを開設して、つくば産ブドウ100%を使ったワイン製造を開始した。今秋収穫したブドウは15トン、720ミリリットル換算で1万5000本を製造・販売する計画だった。 発酵・熟成のためのタンク1基を開封し、500本の瓶詰めを終えた。封入はコルク栓でなく器械(気開)栓を用い、ワイナリー直売品らしさを打ち出している。帯ラベルには「日本ワイン」「材料/ブドウ(つくば産)」の表示が誇らしげに入っている。720ミリリットル入り2500円(税別)。 SNSなどで情報を伝え聞いたワイン党が早速ワイナリーに駆けつけ、2本、3本と買い求める姿があった。筑西市から来たという会社員(27)は「偶然通りがかったら売り出しているのを知った。お歳暮用に買い求め、自分用に買い足した」そうだ。 岡崎洋司専務は「この勢いだと限定500本は1週間とかからず売り切れそう。正規のワインは年明け以降、準備を本格化させ、2月には売り出せると思う。楽しみにしてほしい」という。 ➡つくば産ワインの過去記事はこちら

つくば産ワインの初仕込み 北条に醸造所がお目見え

【相澤冬樹】筑波山麓、つくば市北条でワイン用ブドウを栽培してきたカドヤカンパニー(本社・小美玉市、岡崎正光社長)が自社生産の体制を整え、今秋収穫のブドウでの仕込み作業を本格化させた。17日、現地のつくばワイナリーで岡崎洋司専務と北村工マネージャーが取材に応じた。 新設のワイナリーは、ワイン醸造所と売店からなる施設。加工場には摘み取ったブドウから軸や枝を取り払う除梗(じょこう)破砕機、実を絞るプレス機が並び、発酵・熟成のためのタンクが14基設置された。年間15トンのブドウを処理できる設備という。同社のブドウ園では9月に入り収穫が始まり、これまでに約10トンの処理を終えた。10月初頭まで収穫が続く。 栽培技術から醸造全般を担当する北村マネージャーによれば、15号台風の被害は最小限にとどまり、ブドウは収穫量も糖度も上々の出来だということだ。早ければ2月にも白ワインから出荷できる見通しで、750ミリリットル換算で1万5000本程度の製造を見込んでいる。 同社は一帯に約18ヘクタールの土地を取得、2012年にシャルドネやメルローなど、白と赤のワインになるブドウの栽培を開始した。これまでに約2ヘクタールに約8000本を植え、収穫は14年から始まったが、醸造は山梨県内のワイナリーに委託してきた。このため、「つくば産ワイン」の打ち出しが難しく、ブランドを「ツインピークス」(双峰)と銘打って、つくば市内で同社が経営する和菓子店で販売するなどしてきた。 「ツインピークス」は今秋からワイナリー併設の売店でも取り扱いを始めており、早速購買に訪れた同市在住、富田順子さんは「茨城はお肉もお魚もおいしいところだけど、それにぴったり合うワインが見つかった感じ」と高評価。岡崎専務によれば、現在仕込み中のワインもブランド名は引き継ぐことになりそう。周囲の広い土地を活用して、「体験型のワインのテーマパーク」化を目論んでおり、ハーブ園の整備やブドウ園付き住宅の分譲などの将来構想もあるという。 同市ではここ数年、筑波山麓周辺でワインづくりを意図したブドウ栽培が複数の事業者により始まっている。しかし、果実酒は年間6000リットル以上を継続して生産できないと税法上、醸造免許が下りなかった。このため市は、ハードルを同2000リットルに下げる「ワイン・フルーツ酒特区」の認定を取得するなど、新たな地場産業の創出にてこ入れを図ってきた。カドヤカンパニーのワイナリーは、年間6000リットルを大幅に超えるため、特区制度を利用することなく、「つくば産ワイン」として来春デビューすることになる。 ➡つくばワインの過去記事はこちら

【人が想い 街を育てる】1 つくばワイン育てる土壌つくりたい 地酒専門店スドウ酒店 須藤利明社長

【戸田さつき】つくば市内で栽培されたブドウを使った2018年産の「つくばワイン」が今月18日、市内の地酒専門店スドウ酒店など3店で発売された。同市栗原にあるブドウ畑「つくばヴィンヤード」(高橋学代表)の「プティ・マンサン」「Kurihara(クリハラ、赤)」「Kurihara(白)」の3種だ。 高橋代表は14年からワイン作りを目指してブドウ栽培を開始している。現在は県内の醸造所に依頼してワイン造りをしているが、17年、同市がつくばワイン・フルーツ酒特区に認定されたことを受け、ワイナリー(醸造所)開設を目指している。 こうしたつくばでつくられたワインを「つくばワイン」として普及させたいと、市内の地酒専門店スドウ酒店の須藤利明社長が、販売流通システムの構築と認知度向上に取り組んでいる。須藤社長に話を聞いた。 -つくばワインにおける社長の役割は何ですか? 現在、高橋代表のヴィンヤード(ワイン用のブドウ畑)は免許の都合上、自分たちで販売することができません。そこで当店で酒類の卸免許を取得し、代理で卸を行えるようにしました。他に広告やパンフレットを作成し、認知度向上の取り組みをしています。 -つくばワインにはどんな特徴がありますか? ワインは土地の気候や土壌を表現できます。高橋代表は産業技術総合研究所出身の研究者でつくばの土壌を研究してきました。その結果、国内でも栽培例の少ない品種「プティマンサン」の栽培を成功させました。いかにも「つくばらしい」と思います。今回発売されたワインは、さわやかな酸味と甘みのバランスがよく仕上がっています。高橋代表は一般的なテーブルワインをテーマにしていることもあり、手に取りやすい価格帯なのも喜ばれています。 また商業的に見ると、ワインはイベントに取り入れやすいのが特徴です。今、私の店では市内の日本酒の蔵を巡る酒蔵巡りツアーを開催していますが大変好評です。ヴィンヤードが今後ワイナリーになって、ワイン畑の見学ツアーやバーベキュー等の企画をすれば観光資源になるのではないかと考えています。特につくばは都心からのアクセスも良いので、魅力あるPRチャンスにもなるはず。 -他にどのような観光ができますか? お酒は宿泊施設との企画もしやすく滞在時間が伸びることで経済効果への波及も期待できます。 -酒販売店の目から見てつくばワインの評判は? とても好調。というのも、つくば市は商圏が広くこだわりがある商品を求める層が厚い。つくばヴィンヤードは昨年からワインの販売が始まり、今年で2年目。問い合わせも多いです。 -今後の展開は? 当店だけでなく、今後はつくば市内で手に取りやすいようにしたいと思います。昨年秋は、つくば市商工会観光部会の皆さんをヴィンヤードへ案内しました。すでに取引したいと言ってくれているお店もあるんですよ。 -一方で隣の牛久市では牛久シャトーの醸造所とレストランが閉鎖してしまいました。 日本最古のワイナリーが閉鎖と聞いて残念です。ワインを市民が手にし、飲みやすい仕組みを作る必要性を強く感じました。 -つくばワインは須藤社長にとって何ですか? ズバリ夢ですね。つくばでワインを作って、ビジネスとして成り立つよう酒屋として売りやすい体制を整えてあげたい。そういうことがワイナリーを目指す人が増えていく基盤になっていくはず。そして、ワイナリーが増え、ワインを求めにつくばを訪れる人が増え、市民が誇れるような名物になるまで育てていきたいと思っています。 ◆つくばヴィンヤードの18年産の販売量は「プティ・マンサン」422本、「Kurihara(赤)」975本、「Kurihara(白)」163本。3種いずれも720mlで1900円(税別)。市内には筑波山麓の同市沼田に「ビーズニーズヴィンヤーズ」(今村ことよ代表)もあり、18年産が近日中に入荷する予定。 ◆現在の取り扱い店 地酒専門店 スドウ酒店 つくば市谷田部2985-2 電話029-836-0079 地酒本舗美酒堂 研究学園店 つくば市研究学園4-2-9 電話029-875-8479 地酒本舗美酒堂 イーアスつくば店 つくば市研究学園5-19 イーアスつくば 1階 電話029-893-2479

つくば市がワイン特区に認定

つくば市が「つくばワイン・フルーツ酒特区」に認定された。小規模な施設でも醸造・販売ができるようになり、新たなワイナリーの建設が期待される。同特区の認定は県内で初めて。 筑波山周辺の花こう岩が風化した土壌はワイン栽培に適していること、民間による遊休農地を活用したワイン用ブドウ栽培が市内で2012年から始まっていることなどを生かして、新たな特産品をつくり、農業や観光業を活性化するのが狙い。 9月29日、国に申請し、12月26日付けで認定された。認定により酒類の製造免許を申請する際の最低製造数量の基準が、ワインの場合6000ℓから2000ℓに緩和される。 市内には現在ワイン用ブドウを栽培している農家が3件ある。そのうち規模が小さい「ビーズニーズヴィンヤーズ」(同市神郡、今村ことよさん栽培)と、「つくばヴィンヤード」(同市栗原、高橋学さん栽培)の2カ所が今回の規制緩和の対象になるという。 将来は県内一の栽培面積があるブルーベリーを活用したブルーベリー酒などの特産品開発も期待されるという。(鈴木宏子)

大正建築の米蔵に価値を見出す【つくば 古民家利活用】下

つくば市栗原の古民家、郷悠司さん(30)の下邑家住宅でワイン試飲会が終わる頃、母屋と正対する米蔵にトラックが乗りつけられた。建築業者が手際よく杉材の床板168枚の搬入を始める。 老朽化した米蔵の床板を張り替えるワークショップだ。NPOつくば建築研究会(坊垣和明代表)が、古民家の長屋門に宿泊機能を付加しようという「もん泊プロジェクト」(20年9月9日付)の派生イベントとして企画した。 江戸時代から農家を営んできた下邑家は、栗原の別住所から現在地に移り住み、地主となり、小作人も増えていった。質屋も始めるようになり、米蔵は、収穫されたコメの保管場所として大正時代に建てられた。 郷悠司さんの両親、則夫さんと晴美さんによると、米蔵は1921(大正10)年の建築で、2階建て、148平方メートル。「昔は白壁だったそうだが、戦時中、爆撃の目標とならないよう炭で黒く上塗りされたのが今の姿」。郷家では正確なところはわからないとしながらも、戦後の一時期、GHQが食糧倉庫として接収したという逸話があり、実際に英文を刻んだ木製のプレートが残されている。 ひさしを支える梁(はり)が一本の木で継ぎ目のないところが建築として自慢になるそうだが「床板は古くなり重量物を置くことが危険になった。内壁も、特に東日本大震災の地震で痛みが進んだ」。 「古い屋敷を維持するのは、なにかと手間がかかる。私の代では意識しなかったことだが、これを次代に継承させることを考えると、躊躇(ちゅうちょ)する」 則夫さん、晴美さんは、このような悩みをつくば建築研究会に話してきた。このことから同研究会は、長屋門の宿泊機能づくりと同様に、古民家や古建築の維持保存についても「もん泊プロジェクト」に取り入れた。 利活用のためにまず健全保存 米蔵の床はこれまで、土台の補強や修理を施し、新しい床板を打つところまで進んでいる。ワークショップは、米蔵を広く紹介しながら、実際に床板の張付けを体験してもらうという内容だ。 現場では、サポートで参加している建築業者のスタッフが床材を寸法に合わせて裁断し、参加者を指導しながら打ち付けていく。日常では体験する機会のない作業だ。建築業者は上郷地区で伝統的建築物を主体とした仕事を請け負う建明(望月聡志社長)。古民家のリノベーション、改修、古材を活用した新築に関してはエキスパートで、研究会の活動に関心を寄せている。 この日を含めて3度の体験会を計画。年内に板張りを済ませ、来年2月18日に開催する市民シンポジウムでお披露目する考えだ。 研究会の永井正毅副理事長は「本年から市内の古い街並みを訪ね歩く『みちあるき』を行事化しているが、会員外の一般の方々の参加が増えてきた。今回の米蔵修繕にも会員外から2人の参加者があった。古民家や古建築に興味を持っていただけるという感触を感じられるようになっている。これは言い換えれば、地域と人々をつなげるという、研究会がやりたかったことや、やっていかねばならない課題だと思っている」と語る。 道草が縁を生む ひとつ問題がある。郷さん宅が所在する栗原地区は都市計画上、市街化調整区域にあたり、米蔵修繕後の利活用には制約がかかる。例えばこの空間でカフェなどの運営は難しいため具体的な運営内容は決まっていない。郷家が矢面に立ち、研究会は様々な形でこれを支えることになる。 「市街化調整区域の都市計画変更は市に働き掛けるほかないが、市に納得いただけるように、まずは形をつくることに精進したい」と悠司さん。母屋でのイベント同様、悠司さんは実績を積み上げることを重視している。さらに栗原地区の将来をけん引できるような利活用方法を考えている。 ところで、ワイン試飲会の参加者は郷悠司さんを「7代目」と呼んだが、彼はまだ下邑家の世襲はしていない。現在の6代目は彼の伯父にあたる人物が家督を継いでいる。「SNS上でつながった全国の皆さんの応援も活動の原動力になっている。皆さんからいただいた力をきちんと形にできるように頑張りたい。いろいろなことが整った暁には、つくば市や国内の古建築保存に向けて活動していきたい」と悠司さん。 つくば建築研究会の坊垣和明理事長は「もん泊そのものにはまだ多くのハードルがあり、短期間で実現するのは難しい。しかし時間の経過とともに建築は痛んでいく。江戸期や明治、大正の建物が現存するつくば市は、貴重な古建築の集積地。これまでの調査研究では、市内に所在する長屋門だけでも200を超える。全国的にも珍しい都市と農村の融合地。もん泊プロジェクトは目下、"道草"をしているが、道草こそ、こうした出会いや保存のきっかけを発見できると考えている」と述べる。(鴨志田隆之) 終わり

地元ホテル、ワイナリーとコラボ【つくば 古民家利活用】上

つくば市栗原の古民家、郷悠司さん(30)宅(5月31日付)で、古民家の価値と利活用をアピールし、維持保存につなげようとする試みが始まっている。「下邑(しもむら)家住宅」と呼ばれ、江戸時代後期に建てられたとされる古民家が舞台だ。 ホテルがツーリズム企画 夏前、つくば駅前のホテル日航つくばから郷さん宅に打診が入った。同ホテルが進めるローカルツーリズム「つくたび」(2月2日付)が、市内のワイン醸造場やブドウ生産農園を訪ね歩く企画で、古民家にも注目した。9月に第1弾が開かれ、下邑家住宅は第2弾としてオファーを受けた。「つくばワインでテロワール(ブドウ畑の自然環境)を愉しむ特別体験」をテーマに今月21日、催しが開かれた。 「私の憧れだったワイナリーとのコラボが実現し、本当にうれしい。ホテル日航つくばも全く別世界の存在という印象でしたから、こんな機会をいただくことができ、家族全員喜んでいる」と郷さん。 郷さんによれば、今回のイベントは、同じ栗原地区でブドウ栽培とワイン醸造場を営むつくばヴィンヤード(Tsukuba vineyard、高橋学代表)=2020年10月16日付=と下邑家住宅を地域の観光資源として結び付けた。ブドウ畑では剪定(せんてい)作業体験、古民家ではワインの試飲会を実現させた。 ホテル日航つくばマーケティング部の林智一次長は企画の狙いについて「昨年スタートさせた『つくたび』では、ホテル内での食事やアミューズメントだけでなく、街に出て新しい発見をしてもらおうと考えた。当ホテルから比較的近い栗原の地を訪ねると歴史的文化や新しい農業などたくさんの魅力があったので、ブドウ栽培の体験と、古民家で食事を兼ねたワイン試飲会を提案した」と経緯を説明する。 今回は市内や近県から12人が応募し参加した。つくばヴィンヤードは市内で2番目のワイン醸造場だが、これまで一般人を招いた体験学習は行われていない。高橋代表も「何ごともまずやってみるもの」と今回のコラボを評価。「つくばのワインをアピールできる良い機会になる。今夏のような猛暑続きのシーズンは収穫を迅速に行わなければならないため、人手が不足するという経験をした。来シーズンも開いてもらえるなら収穫時期にお招きしたい。古民家でワインというのも面白い」と話す。 7代目が雄弁に物語る 古民家でワインという非日常的な体験を、参加者はどう感じたのか。千葉県から参加した高田浩さんは「ブドウの剪定も初めてのことだったが、かしこまらず、アウトドアにちょっと出掛けて何かを見つける、そういった楽しさを得られた。古民家を案内してくれた郷さんが若くして7代目ということで、居間に飾ってある代々の肖像画とも顔つきがよく似ていて、歴史があるという実感があった」と目を細める。 同じ千葉県から参加した赤間靖子さんは「初めは見ず知らずの人たちだったが、田舎の古い屋敷に親戚が集まったようで、すぐに打ち解けてくつろげた」と感想を述べた。 「つくたび」ののぼり旗を見掛け、そぞろ歩きをしていた人が庭に入ってきて屋敷を見学するという場面もあった。郷さんは「にぎわいを地域に広げてこその古民家利活用。まだそこまで実現していないが、マルシェやレンタルスペースのほか、今回のようなコラボ企画を続けて栗原の魅力を発信していきたい」と結んだ。ホテル日航つくばのつくたびは、来シーズンも栗原を訪れる予定だ。 2017年から「邑マルシェ」 郷さん宅は、江戸時代後期の農家・商家の母屋226平方メートルを中心に、長屋門や土蔵、米蔵が保存されている。母屋はかやぶき屋根だったものが瓦からスレートに置き換えられたが、たたずまいは風格をたたえる。 しかし家族内で、家屋の存続問題は重くのしかかっていたという。「父の考えで官民学一体の栗原活性化プロジェクトというアイデアも出たが、古民家の価値を役所や企業に理解していただくためには利活用の実績が必要。2017年に母が邑マルシェをスタートさせ、昨年10月から私と妹の瑞季が加わって邑マルシェのSNS発信を進めている」と郷さん。 レンタルスペースとして古民家(母屋)の有償提供も行っている。市北部では古民家を活用して「iriai tempo」(同市北条)や「旧小林邸ひととき」(同市筑波)がコワーキングスペースや宿泊機能を提供している事例を参考にした。するとウエディング撮影やコスプレ撮影の予約が次々と舞い込んだ。テレビ局の取材も入り、全国放送のテレビ番組で放映されたことも注目度の高まるきっかけとなった。 つくば市の農村部には、江戸時代後期からある家屋や土蔵が多く存在する。地域の貴重な財産といえる一方、古民家の所有者にとっては建物の維持継承は難題となっている。建物を保存するためにも、利活用を通して維持費や修繕費をいかにねん出するかが課題となっている。(鴨志田隆之) 続く

香り立つ「木の酒」づくり つくば 森林総研に新研究棟

木からお酒をつくるー人類の歴史でもおそらく初めてという試みに挑んでいる森林総合研究所(つくば市松の里、浅野透所長)が9日、研究所内に完成させた「木の酒研究棟」を報道関係者らに公開した。 お披露目されたのは「木質バイオマス変換新技術研究棟」。木造平屋建て約140平方メートルの施設で、内部には①木を1センチの木片に粗くチップ化し、②1ミリサイズの木粉状に粉砕、③さらに水と混ぜながら1マイクロメートル(100万分の1メートル)まで微粉砕し、④クリーム状となった木材を糖化・発酵タンクに投入してアルコール度数1-2度の「醸造酒」を作り、⑤さらに2回蒸留することによりアルコール度数30-40度の「蒸留酒」を得るー5工程からなる装置を配置した。 ①は木材のチップ化によく使われるチョッパーと呼ばれる装置で、②は大豆など粒原料の粉砕に使われる粉砕機、④はバイオエタノールの製造などに以前から使われてきた装置の転用。これら既存技術を組み合わせる中で、③の「湿式ミリング処理」がキモとなった。 木材の細胞壁の厚さは一般に、2〜4マイクロメートルと非常に薄く、この薄い細胞壁構造が密集して硬い木材を作り出している。この木材の細胞壁の厚さを砕く新しい前処理技術が「湿式ミリング処理」。ビーズミルと呼ばれる装置を応用して、木材を水中で高硬度のジルコニア製ビーズとの衝突により微粉砕する。木粉と水を所定の割合で混合し、ビーズミルの粉砕槽に流し込むことで1マイクロメートル以下になるまで微粉砕できる。これによって木材の細胞壁の厚さが砕かれ、中に埋め込まれたセルロースがほぐれて露出する。露出したセルロースは市販の酵素(セルラーゼ)によりブドウ糖に分解でき、できたブドウ糖は微生物によって発酵することができる。 熱処理や薬剤処理なしに木材と水だけで処理できることから、同研究所の森林資源化学研究領域、大塚祐一郎主任研究員(46)らは、木材を直接発酵して造る飲用のアルコールの製造が可能と考えた。木の酒の製造技術については2018年に特許出願し2021年に権利化している。これまでに複数の民間企業、団体から特許の使用申請を受けているという。 こうしたことから、これまで所内外に分散する施設・装置に人と材料を移動させながら、行ってきた試験製造の集約化を図ったのが「木の酒研究棟」。実証的な製造技術開発を加速化するとともに、民間への技術移転を推進するための研修に活用することも目的に開設した。 樹種ごとに異なる香り楽しめる 人類は有史以前から、様々な酒類を生み出し消費してきたが、そのほとんどは穀物か果実の糖分を原料とした酒であり、木を直接発酵して酒を造った歴史はない。このため、「木の酒」を飲料とするためには、特に安全確認が必要となった。 原理的には樹種を問わずお酒にできるが、研究所ではスギ、シラカバ、サクラ(ソメイヨシノ、ヤマザクラ)、ミズナラ、クロモジの6樹種を原料に試験製造を行ってきた。食品安全性の面で、箸や楊枝などに使われた経験からアレルギー発症などのおそれのない樹種を選んだということだ。 研究棟の装置では一度に最大2キロの木材を生産プロセスにかけられるが、2キロのスギからはアルコール度数35度の蒸留酒がウイスキーボトル1本分(750ミリリットル)できる。樹齢50年ほどのスギであれば、スギ1本からウイスキーボトルで100本以上の蒸留酒が製造できる計算という。 9日の公開では試飲は行われず、蒸留酒を嗅ぎ比べる香り体験会が催された。スギは樽酒を思わせる香り、シラカバは白ワインのようなフルーティーな香り、ヤマザクラは華やかな香り、ミズナラはウイスキーを感じさせる芳醇な香り、クロモジは柑橘系の爽やかな香り、と樹種ごとに異なる風味が醸し出されるとの評価があるという。 大塚主任研究員によれば、社会実装までには装置の大型化や酒造メーカーの参入などの課題を抱える。これまで市場関係者とは、味覚や風味を判定してもらうための官能試験に協力を得るなどしており、試飲したレストランのシェフなどからは「シラカバやミズナラは食前酒に使えそうだ」との感触を得ているそうだ。(相澤冬樹)

バス旅と食で地域の魅力発信 ホテル日航つくばが新プロジェクト

ホテルの中だけでなく、地域の魅力を知ってもらおうと、つくば駅前のホテル日航つくば(つくば市吾妻)が新規プロジェクト「つくたび」バスツアーを展開している。 ホテルの資源や周辺の地域資源を見直し、県南部の中心地にあるという立地を生かした新しい事業で、主旨に賛同した地域限定旅行業者「ラール・アワー」(同市大角豆)との協業で、昨年スタートした。 現在、第2弾として、筑波山梅まつりとつくばの地酒を楽しめるランチ付きの日帰りバスツアーを企画し、予約を受け付け中だ。開催日は3月8日。 バスツアーでは筑波山梅林を散策後、市内の酒蔵「浦里酒造店」(同市吉沼)で出来たての新酒や酒かすで作った甘酒などを味わう。いばらき地酒ソムリエS級の資格を持つ同ホテルのスタッフ林智一さんが同行し、魅力を解説しサポートする。ホテルに戻った後はホテル内のレストラン「日本料理つくば山水亭別亭」で同酒造の酒かすを使ったツアー限定のメニューを味わう。新しい日本酒の楽しみ方として、県産のドライフルーツ3種を使った「日本酒サングリア」を楽しむこともできる。参加費は1人1万9500円(税込み)。 林さんは主要銘柄「霧筑波」を造る浦里酒造について「つくばで開催されたG7科学技術大臣会合で提供されたり、新酒鑑評会で金賞を受賞したりと評価の高いお酒をかもす酒蔵」と解説する。「お酒が好きな人、地元の魅力を存分に味わいたい方たちにお薦め。出来立ての新酒の試飲やしぼりたての酒粕を使った手作りの甘酒など、普段は味わうことの出来ない特別な体験ができる」とツアーをアピールする。 昨年11月には、市内のさつまいも専門店「蔵出し焼き芋かいつか」(同市松野木)提供の焼き芋「紅天使」を使ったデザートとオードブルのランチ作りを親子で体験するプランや、ひとり時間を満喫する「ソロ活」企画として、「つくばワイナリー」(同市北条)のぶどう畑で剪定(せんてい)した蔓(つる)を使用したリース作り体験と県産食材を使ったフランス料理のフルコースなどつくばワインを生みだすブドウ畑の土壌や気候、職人の技術が楽しめるプランを企画。どちらも満員となり好評だったという。 林さんは「ホテルは、地域外のお客様との接点であり、地域がにぎわって初めてホテルにもたくさんのゲストが訪れてくれる。そんな地域活性化の一助になりたいと始めたプロジェクト。始まったばかりで試行錯誤中だが、つくばを訪れ、体験や旅を通して、つくばを第二の故郷のように感じてくれる人が増えていけば」と思いを語る。(田中めぐみ)

カスミの新業態「BLANDE」つくば並木店オープン ウエルシアと売場融合

食品スーパーのカスミ(つくば市、山本慎一郎社長)が28日、つくば市並木4丁目に新業態のスーパーマーケット「BLANDE(ブランデ)つくば並木店」を開店した。ドラッグストア大手のウエルシア薬局と売り場、レジを一体化したのが特徴で、医薬品を除く化粧品や日用品などを食料品とまとめて決済することができる。「フード、ヘルス、ビューティー&ウエルネス」をコンセプトにし、より利便性の高い新しいスーパーマーケットの形を目指す。1号店は売場面積2353平方メートル、年商目標は16億円。 食料品ではカスミのプライベートブランド「MiiL KASUMI(ミールカスミ)」でオリジナル商品を作り、地元ならではの品やこだわりの品をそろえる。総菜売り場ではアジアン、エスニックなどさまざまな国のメニューのデリカを用意。お酒売り場ではアプリを活用して好みのワインを探せたり、有料でワインテイスティングしたりできるコーナーも展開する。つくば市手代木のイタリアンレストラン「TRATTORIA E PIZZERIA AMICI(トラットリア・エ・ピッツェリア・アミーチ)」が監修した焼きたてピザも提供する。 レジを通らずに買い物できるスマートフォンアプリ「Scan&Go Ignica」を利用した会員制プログラム「BLANDE Prime」の導入も新しい試み。ブロンズ、シルバー、ゴールドと3つの会員グレードを用意し、有料会員はオンラインデリバリーの配送料無料やカスミの管理栄養士による健康相談、コーヒー1杯無料などのサービスが受けられる。 カスミによると、「ブランデ」は「混ざり合う」の意味で、人や食、文化が、商品・サービスを通じて交じり合うことを目指している。山本社長は「カスミは開業61年目となった。次の時代に合わせてスーパーマーケットをメタモルフォーゼさせていく必要がある」と話す。ウエルシアにはカスミ側から呼び掛け、協業が実現したという。「BLANDE」ではつくば市にこれまで出店している「カスミフードスクエア」とは違った新しい店舗づくりをしていくという。 同ショッピングセンター敷地内の「BRANDE」東側には4月に無印良品がオープン予定。「BLANDE」2号店は2月に同市研究学園にオープンを予定している。2号店はウエルシアとの協業ではなく、「食」に特化した滞在型の店舗を想定しているという。(田中めぐみ)

《つくば法律日記》13 お酒の法律で変わるマーケット

【コラム・堀越智也】昔から、お酒に関する法律がマーケットに大きな影響を与えてきました。特に、酒税はそれなりの税収になることもあり、酒税法が度々改正されるのですが、酒税法の改正で、僕らもよく知っているようなマーケットの変化が起きています。 つくば市や茨城県では、クラフトビールのイベントがよく開催されます。新型コロナ禍のため、今年はないのが残念ですが、つくばセンター広場でも、毎年クラフトビールのイベントがあります。 クラフトビールがはやり出したのは、酒税法が改正されて、地ビールが造りやすくなったからです。かつて、酒税法の改正で地ビールが盛んに造られ始め、さらにクラフトビールという名前に変えて、世間に広まりました。 発泡酒も第3のビールも、テレビのCMで聞くようになったのは最近です。1990年代に、サントリーが「ホップス」という発泡酒を販売してから、世間に広まり始めました。 酒税法上、ビール、発泡酒、第3のビールは、ざっくり言うと、麦芽の割合と副原料を使用しているか否かで区別されるのですが、発泡酒は、当時、酒税法上、税金が安かったため、安く販売されたのです。 ところが、後に酒税法が改正され、発泡酒とビールの金額の差が縮まります。すると、第3のビールが日本を席巻。そして先々月10月の改正で、ビールは値下げ、発泡酒は一部値下げ、第3のビールは値上げになります。こうして、マーケットは酒税法に動かされることになり、メーカーも大変です。 つくばのワインが面白い つくば市に影響しそうな酒の法律というと、通称ワイン法ではないかと思います。正式名は「果実酒等の製法品質表示基準」ですが、日本のワインを定義し、国産ワインの信用を高めることを目的に制定され、2018年10月から施行されています。 つくばで育てたブドウでなければ「つくばワイン」と名乗ることができません。逆に言うと、つくばでワイン用のブドウができれば、「つくばワイン」と名乗ることができ、地元の名産品に加わる可能性があるのです。 幸い、つくばにはいくつかワイナリーができました。地質的にワイン用ブドウに適した場所で栽培されているようで、それもつくばらしいです。追い風は、2017年につくば市がワイン特区に認定されたことです。 酒税法上、ワインを造るには、年間6,000リットルの製造量が条件になりますが、特区に認定されたことで2,000リットルに緩和されました。その結果、小さな施設もワインが造れます。 このワイン特区、いかに市民が利用するかにかかっていますが、つくばの経済にとって、ひとつの強い味方になると思います。(弁護士)

《つくば法律日記》13 お酒の法律で変わるマーケット

【コラム・堀越智也】昔から、お酒に関する法律がマーケットに大きな影響を与えてきました。特に、酒税はそれなりの税収になることもあり、酒税法が度々改正されるのですが、酒税法の改正で、僕らもよく知っているようなマーケットの変化が起きています。 つくば市や茨城県では、クラフトビールのイベントがよく開催されます。新型コロナ禍のため、今年はないのが残念ですが、つくばセンター広場でも、毎年クラフトビールのイベントがあります。 クラフトビールがはやり出したのは、酒税法が改正されて、地ビールが造りやすくなったからです。かつて、酒税法の改正で地ビールが盛んに造られ始め、さらにクラフトビールという名前に変えて、世間に広まりました。 発泡酒も第3のビールも、テレビのCMで聞くようになったのは最近です。1990年代に、サントリーが「ホップス」という発泡酒を販売してから、世間に広まり始めました。 酒税法上、ビール、発泡酒、第3のビールは、ざっくり言うと、麦芽の割合と副原料を使用しているか否かで区別されるのですが、発泡酒は、当時、酒税法上、税金が安かったため、安く販売されたのです。 ところが、後に酒税法が改正され、発泡酒とビールの金額の差が縮まります。すると、第3のビールが日本を席巻。そして先々月10月の改正で、ビールは値下げ、発泡酒は一部値下げ、第3のビールは値上げになります。こうして、マーケットは酒税法に動かされることになり、メーカーも大変です。 つくばのワインが面白い つくば市に影響しそうな酒の法律というと、通称ワイン法ではないかと思います。正式名は「果実酒等の製法品質表示基準」ですが、日本のワインを定義し、国産ワインの信用を高めることを目的に制定され、2018年10月から施行されています。 つくばで育てたブドウでなければ「つくばワイン」と名乗ることができません。逆に言うと、つくばでワイン用のブドウができれば、「つくばワイン」と名乗ることができ、地元の名産品に加わる可能性があるのです。 幸い、つくばにはいくつかワイナリーができました。地質的にワイン用ブドウに適した場所で栽培されているようで、それもつくばらしいです。追い風は、2017年につくば市がワイン特区に認定されたことです。 酒税法上、ワインを造るには、年間6,000リットルの製造量が条件になりますが、特区に認定されたことで2,000リットルに緩和されました。その結果、小さな施設もワインが造れます。 このワイン特区、いかに市民が利用するかにかかっていますが、つくばの経済にとって、ひとつの強い味方になると思います。(弁護士)

つくばの5社に県が計1500万円補助 宇宙ビジネス

【山崎実】宇宙ビジネスの成長産業化を促進するため各種支援事業(補助金)を実施している茨城県は、今年度の第3回として5社5件への補助金交付を決めた。5社はいずれもつくば市内で、補助金の合計額は約1556万円。今後のビジネス展開を後押しする。 採択された5社5件は、▽有人宇宙システム(交付決定額342万円)=衛星データと地上データを活用したスマート農業向けアプリケーションの開発▽スペースキュービクス(393万円)=JAXA発ベンチャー、放射線の強い宇宙環境で発生する機器の誤作動などに対応する不具合検知・復旧機能を持つソフトウェアの開発▽ビーヤ(新規参入、20万円)=少量生産システム方式で生産される宇宙機用集積回路の販路開拓▽スペースシフト(400万円)=検知が難しかった衛星データの変化をAI(人工知能)を用いて高精度で自動検知するソフトウェアの開発▽クロスステージ(起業予定の個人、400万円)=衛星データや地表・天候などのビッグデータを用いて、人、物の流れを予測し、マーケティング効果の最大化を行うソフトウェアの開発。 20日秋葉原でサミット いばらき宇宙ビジネスは、起業、関連企業の誘致、進出から独自の成長産業化を目指し、テイクオフ(離陸)の段階に入ろうとしているという。県は事業採択を契機に、茨城発宇宙ビジネスを国内外に展開する方針で、20日、東京・秋葉原UDXで「いばらき宇宙ビジネスサミット2019 in TOKYO」を開催する。昨年12月、今年8月に続く3回目のサミットで、宇宙ビジネスへの参入促進の気運醸成を図る。 20日は、日本発民間初の宇宙ビジネスカンファレンス、佐藤将史さんと、新事業開発のスペシャリスト、尾崎典明さんによるトークセッション「新時代の宇宙ビジネスに期待すること」のほか、県が立ち上げた「いばらき宇宙ビジネス創造拠点プロジェクト」を活用した新たな事業展開のプレゼンテーションも行われる。 具体的には、アストロオーシャンの森琢磨さんが「小型ロケット洋上打ち上げ実証プロジェクト」、サグリの社長、坪井俊輔さんが「衛星を活用した耕作放棄地検出とワイン用ブドウの適地選定実証」、ワープスペースのCEO、常間地悟さんが「超小型衛星による世界初の衛星間通信ネットワークの実現」、Yスペース共同代表の田中克明さんが「つくば宇宙観光プロジェクト構想」―などについて、それぞれ開発事業内容や構想を披歴する。 問い合わせは県科学技術振興課特区・宇宙プロジェクト推進室(電話029-301-2515)。

県内の日本酒5種類を堪能 知事迎えつくば酒朋会

おいしい日本酒を飲みながら交流する「第35回つくば酒朋会(しゅほうかい)」(塚本一也会長)が18日、つくば市小野崎、ホテルグランド東雲で催された。県南地域の日本酒愛好者約80人が参加し、全国新酒鑑評会で金賞を受賞した県内の地酒5種類を、日本酒に合う料理に舌鼓を打ちながら堪能した。大井川和彦知事も初めて参加した。 大井川知事は「前任者(橋本昌元知事)がワイン(通)だったので私は日本酒でいく」と会場を笑わせ、7月2日から5日間、フランスのエソンヌ県とパリを訪問し茨城の日本酒など県産品をPRした成果を報告した。その上で「日本酒はフランス料理でもブームになっており、ソムリエがフランス料理に合った日本酒を勧めたりする。茨城の日本酒をプロモーションするのが私の役割」などとあいさつした。 この日は、地元つくば市の稲葉酒造と浦里酒造のほか、古河市の青木酒造、常陸大宮市の根本酒造、石岡市の府中誉から大吟醸など5種類が出された。 同会は筑波研究学園専門学校(土浦市上高津)元理事長で郷土史研究家の故・西谷隆義氏の呼び掛けで22年前に始まり、東雲を会場に年3回開かれてきた。スタート時から毎回参加し皆勤賞という学校法人専務理事の志賀宏さんは「この会は会社や役職などに関係なく、ただ日本酒が好きな人たちの緩やかなつながりの会。料理も一度として同じメニューが出たことがなく、雰囲気がすばらしい。日本酒を楽しみたいという、ただそれだけで出ている」と話す。 今回、日本酒を提供した稲葉酒造蔵元の稲葉伸子さんは「つくばの地酒、茨城の地酒を喜んでもらえるだけでうれしく、お酒を造ってよかったと思える」と話す。 塚本会長は「西谷さんの遺言として、この会を長く継続してほしいということと、この会の代表にふさわしい人間になれということを言われた。県南の紳士、淑女の社交の場、交流の場として長く継続できるようにしたい」と話している。

【つくば市長会見】12月6日 スタートアップ戦略を策定 24施策で起業を応援

つくば市、五十嵐立青市長の定例会見が6日、同市役所で開かれた。五十嵐市長は、新たなビジネスモデルを開拓し急成長を目指す会社を、設立から事業化まで一貫して支援する「市スタートアップ戦略」を策定したと発表した。 同戦略は①交流拠点として市産業振興センター(同市吾妻)をリニューアルし、ワーキングスペース、ミーティングルーム、セミナールームなどを整備する②市内研究機関の機材をスムーズに利用できる仕組みをつくる③開発された製品やサービスの実証実験を市が積極的に実施する④市独自の中小企業技術革新研究プログラム(つくば版SBIR)をつくり補助金を助成する—など24の施策を展開するという。 特につくば版SBIRが目玉事業となるが「市単独では予算に限界があり国等の予算が使えないか調整している」(毛塚幹人副市長)として「(現段階では補助金の規模などは)まだ固まってない」としている。 20日午後1時から、市主催のイベント「つくばスタートアップデイ」をつくば国際会議場(同市竹園)で開催し、同戦略の概要などを報告する。 ほかに「市スポーツ推進計画中間年度見直し版」案、「保育の質ガイドライン」案、「市文化財保存活用計画」案の3件について、いずれも7日から来年1月7日までパブリックコメント(意見募集)を実施することなどが報告された。 来年、ボルドーの専門家から助言 記者会見では11月6~14日に実施したヨーロッパ海外視察と、19~24日のモロッコ出張について記者から感想を求められた。 五十嵐市長は、ヨーロッパ視察について、個性を伸ばす教育として注目される「イエナプラン教育」を実践している学校をオランダで視察したことを報告し「市教育大綱策定の大きな方向性のヒントになった」などと話した。 続いて訪れたフランスのボルドーでは、ワイン特区になったつくば市がワイン産業をどう進めていくか専門家と協議したという。世界中のワイン産業を支援しているボルドーの専門家に来年1週間、つくばに来てもらって、気候や土壌について助言をもらうという。 モロッコでは全アフリカ市町村長会議に出席した。「世界がアフリカに注目しているゆえんを、交流を通して肌感覚で学ぶことができた」などと話した。 ヨーロッパ視察は9日間で、オランダ、フランスのボルドーのほか、つくば市の姉妹都市、フランスのグルノーブル市を訪れ、科学技術都市の研究機関、大学、企業などの要人が一堂に会する国際会議「ハイレベルフォーラム」に参加した。毛塚副市長や門脇厚司教育長も一部の行程に同行した。旅費・宿泊費は随行職員分も含め計約640万円。 全アフリカ市町村長会議は招待のため、旅費や宿泊費はかからなかったという。(ラヂオつくば特約記者)

農業テーマパーク、芸術活動拠点など提案 筑波地区の廃校利活用 つくば市

【鈴木宏子】廃校になったつくば市筑波地区の小中学校跡地10校の利活用について、地域住民と市担当課の意見交換会が14日から18日まで同地区9カ所で開かれている。具体的な利活用案について市側から、旧筑波東中学校(北条)跡地にファーマーズビレッジの誘致とジオパーク拠点施設設置、旧田水山小(水守)跡地に文化芸術活動拠点施設整備、旧小田小(小田)跡地を文化財収蔵施設として利用する案などの提案があった。 10校のうち9校は今年4月、7小学校と2中学校が統廃合され、市立秀峰筑波義務教育学校(同市北条)が開校したのに伴って廃校となった。すでに2013年3月に廃校となった1校を含め計10校の利活用について今年度から市の検討が始まっている。今回は市役所内の各課と市民、民間事業者から要望や意見を集め、実現可能性などを検討した結果について、地域住民に示された。 旧東中のファーマーズビレッジは、民間事業者を誘致して、イノシシなど野生動物の食肉や地場産物を食材にしたレストラン、スイーツやワインを提供するカフェ、農産物加工施設、体験型施設などつくり、農業のテーマパークにしようという構想。併せて教室棟の一部を利用し、筑波山地域ジオパークに関する情報を提供して各ジオサイト巡りの拠点となるジオパーク拠点施設を設置する案が示された。 旧田水山小の文化芸術活動拠点施設は、教室や体育館、グラウンドなど廃校全体を活用して、アトリエ、スタジオなどをつくり、作家と市民が芸術活動に親しむ拠点にしようという構想。芸術家が滞在しながら創作活動をしたり、プロを目指す芸術家の卵を応援したり、市の収蔵作品を展示したり、芸術文化に関する講座を開くなどを計画しているという。 旧小田小の文化財収蔵施設は、現在、市内各所に分散して収蔵されている、市内で出土した土器片などの埋蔵文化財や、寄贈された民具などの民俗文化財を集約して収蔵しようという構想。 14、15日に5カ所で実施された意見交換会では、住民から「地域には公民館が無い。公民館や交流センター的な利用と避難所とするのが一番いい」「自然や歴史、農業体験ができる場にしてほしい」「高齢者が健康づくりを施設にしてほしい」などさまざまな意見が出た。市の提案と地域のニーズとに隔たりがある地区もあった。 市の方針として、廃校を地域の集会所にすることについては「区会等に補助金を出して整備することになっているため新たな集会施設は必要ない」「学校の財産区分を今後、教育財産から普通財産に変更すると、使用料が有料になる場合がある」などの説明があり、住民からは不満の声が出た。廃校になってから現在も、各校とも警備や保安、草刈りなどに年間各300万円程度の維持管理費が掛かっているという。 一方、校舎や体育館などが耐震基準を満たしていないため使用を続けられない廃校があったり、市から目立った利活用提案がない廃校もあった。 民間事業者からは、広域通信制高校、消防車など特殊車両組立工場、ペット終末期ケアセンター、日本語学校兼寄宿舎、イチゴ工場、インターナショナルスクール、ベンチャー企業立地支援施設などを整備する提案があったことなども紹介された。 市は引き続き地域住民と協議を重ね、半年とか、地区によっては数年掛けて方向性を決めたいとしている。利用者の優先順位としては、まず市の方針を優先し、さらに地域の要望を取り入れ、市も地域も利用提案がない場合は民間の利活用を検討するという。 ◆筑波地区学校跡地の利活用提案に関する意見交換会の日程は以下の通り。 14日(水)▽午前10時~筑波小学校(会場は同小校舎)▽同午後2時~菅間小(同校舎)▽同6時30分~小田小(同校舎) 15日(木)▽午前10時~田水山小(同校舎)▽午後2時~山口小(同校舎) 16日(金)▽午前10時~田井小(同校舎)▽午後2時~作岡小(同校舎)▽午後6時30分~北条小(同校舎) 18日(日)▽午前10時~全校対象(筑波交流センター2階多目的室) 筑波地区廃校跡地10校の主な利活用提案 市の提案 地域の提案 筑波東中 民間事業者によるファーマーズビレッジの誘致/教室棟の一部にジオパーク拠点施設/体育館・武道場は市民に貸し出し/グラウンドは秀峰筑波義務教育学校のイベント時駐車場として利用など 北条小 プール用地に北条保育所の職員駐車場整備/敷地の一部に消防団分団の詰所と消防車車庫新設など 北条まちづくり振興会が生活芸術体感施設として活用(文化・芸術に関するギャラリー、ネット販売を主とした店舗、創作活動のアトリエ、カルチャースクール、イベントの利用)など 小田小 教室棟の一部を文化財収蔵施設として利用 まちづくり勉強会を通して今後、利活用策を検討 山口小 高齢者の体操教室開催など区会が地域交流の場として利用中/一般財団法人が2教室を会議室として利用要望 田井小 敷地の一部に消防団分団の詰所と消防車車庫新設など 地域住民が運営する放課後児童の居場所「里山わんぱく館」の整備(体育館、グラウンドと隣接する民有地の里山の一角を借りて冒険遊び場「プレイパーク」を整備するほか、子連れの親子や高齢者の居場所を併設し相互交流する地域拠点として整備 筑波小 筑波西中 体育館・柔剣道場を一般市民に貸し出しなど 田水山小 文化芸術活動拠点施設など 菅間小 敷地の一部に消防団分団の詰所と消防車車庫新設など 作岡小 敷地の一部に消防団分団の詰所と消防車車庫新設など ※ほかに場所は未定だが、市が1校に教室を利用した認知症カフェを月1回程度設置など

ワインの真実探る 講義と試飲で堪能 筑波学院大

【鈴木萬里子】ワイン特区に認定されたつくば市で6月30日、「ワインの真実を探る—天才ワイン醸造家から学ぶワインの味」と題したワイン講座が開かれた。筑波学院大学(同市吾妻)の社会人講座の一つで、同大図書館を会場に、受講者は講義と試飲でワインの奥深さを堪能した。 講師は都内で輸入商社やレストランを経営する能勢壬紀子(みきこ)さん。能勢さんは20年前からドイツに通い、ワイン生産者と深い信頼関係を築いてきた。ドイツワインの真の価値を日本に伝えるワインセミナーの開催や講演活動に活発に取り組んでいる。同大のワイン講座は2014年に初めて開かれ今年度が3回目。全2回の講座で、30日は13人が受講した。 講義はドイツで唯一、醸造学を教えているガイゼンハイム大学のテキストを使って進められた。品質の良いワインの作り方、ドイツワインの代表的品種、ドイツの冷涼な気候からくる酸味と糖度の特徴、土壌と気候による味の違いなどを、能勢さんが図などを使って詳しく説明した。 講義の後、ワインの試飲が行われ、ドイツでトップクラスの醸造家2人のワインが提供された。受講者は、国際的コンクールで2018最優秀生産者となったホルスト・ザウワー醸造所の白ワインと、五ツ星トップ評価を獲得したダウテル醸造所の赤ワインを、一般的なワインと比較しながら試飲し、トップクラスの繊細な味との違いを感じていた。 夫婦で受講した同大卒業生で市内に住む橋本絵理子さん(42)は「この講座がきっかけでワインが好きになった。ワインは価格ではないということも分かった。母校のおかげ」と笑顔に。市内の60代女性は「図書館はワインと雰囲気が合って良い。試飲と聞いていたが量が多いのにびっくり、でもうれしい」と話していた。 能勢さんは「ドイツワインの輸入に携わり、現地のワイナリーを訪れ日本人に合うワインをセレクトしている。この講座では20年取材して知ったことを伝えられる。ワイン業者がいると本当の話は出来ないが、ここでは突っ込んだ話が出来てうれしい」と話した。 ◆同講座は全2回。次回は7月21日(土)午後3時~4時30分。数人であれば次回のみの参加も可(受講料は半額の1500円)。詳しくは同大ホームページ(https://www.tsukuba-g.ac.jp/action/coc/)問い合わせは(電話029-858-6341)。

お薦めの地元食品味わって 筑波銀行が「駅前マルシェ」初開催 22日

筑波銀行(本店土浦市、生田雅彦頭取)お薦めの県内各地の加工食品や地元食材を一堂に紹介し販売する「つくば駅前マルシェ」が22日、つくば駅前の同市吾妻、つくばセンター広場で開催される。つくばや土浦市などの食品加工会社や飲食店など計20店が出店する。同行がマルシェを主催するのは初めて。 マルシェは、同行が11月8日につくばカピオ(同市竹園)で開催する商談会「2023ビジネス交流商談会+SDGs」のプレイベントとなる。商談会でブース出展する企業や、11月9日以降のオンライン商談会に参加する企業が、一般向けに様々な食品を販売する。 商談会の食部門に出展する企業などから「その場で調理した出来たての食品を提供したい」「地元の方々に自慢の商品を味わってほしい」という要望に応えて企画した。商談会を開催する銀行が一般向けのプレイベントを開催するのは珍しく、同行独自の取り組みだという。 つくば市からは5店が出店し、ハム、コーヒー、カレー、牛タンなどを販売する。土浦市からは2店が出店し、ラスクやレンコンなどを販売する。 筑波銀行の担当者は「地域の皆さま向けの一般物販会。お薦めする地元食材や食品が県内各地から集合する。ぜひご来場いただき、ご賞味ください」と呼び掛ける。 11月8日の交流商談会は、栃木銀行(黒木淳之介頭取)、東和銀行(江原洋頭取)との北関東広域連携での開催で、異業種交流によるビジネス機会の創出を目的としている。(田中めぐみ) ◆つくば駅前マルシェは22日(日)午前11時から午後5時まで、つくば市吾妻1-10-1、つくばセンター広場、ペデストリアンデッキで開催。 ◆マルシェに出店するのは▽らすく工房 美・Sekiyama(土浦/販売食品はラスク)▽マーケット・フィールド・インターナショナル(常総/弁当、芋チップ、プリン)▽湊屋味噌醸造所(桜川/こうじ味噌、ひしお)▽筑波ハム(つくば/ハム、ベーコン、ソーセージ、乳製品)▽就労支援施設ASHITAE-LAB(つくば/コーヒー、雑貨、野菜、花)▽Ryu’s Kitchen MINT TREE(龍ケ崎/龍ケ崎コロッケ、タコライス)▽アオイ(つくば/炭火焼だんご)▽インドレストランガンズ(つくば/インドカレー)▽サザン珈琲(常陸大宮/コーヒー)▽モッツバー高の家つくば本店(つくば/牛タン焼、せせり焼ほか)▽ヨネビシ醤油(常陸太田/二度仕込み木桶蔵醤油)▽つかもと(龍ケ崎/甘納豆)▽木内酒造(那珂/日本酒、クラフトビール、ウイスキー)▽さしま茶の里 のぐち園本店(坂東/さしま茶、和紅茶、ほうじ茶)▽斎藤商店(北茨城/柳タコ)▽NIJC(栃木県鹿沼市/フリーズドライフルーツ、オイル)▽牛久醸造場(牛久/クラフトビール、ワイン)▽HAS-LAB(土浦/レンコン、レンコンパウダー)▽高橋肉店(龍ケ崎/龍ケ崎コロッケ、プリン)▽NPO歩実(筑西/アイスクリーム、食用花)

金色姫伝説 謎解きツアー《映画探偵団》69

【コラム・冠木新市】「同級生3人でつくばへ遊びに行きたいので案内してくれますか?」と、今は40歳となった女子大生の教え子から突然電話が来た。つくばがテレビで話題になっているらしい。ちょうど『世界のつくばで子守唄』の準備で忙しい時だったけれど、母親になった彼女たちが、つくばでどんな反応を見せるか興味があり、引き受けた。 3人は「サザコ一ヒ一をつくばで飲みたい」「フ一フ一スパゲッティを食べたい」「おいしいパンを買いたい」と、特に食べ物への関心が強かった。つくばを1日で回るのは無理なため、①つくばセンター地区とその周辺、②研究学園と筑波山、③つくば古道と金色姫伝説めぐり―の3コ一スを作成し、選ばせた。すると、うれしいことに③を選んできた。 6月11日(日) 9時、つくばセンターのサザに集合し、モ一ニングコ一ヒ一を飲んだあと、ホテル日航つくばの「つくたび」開発者2人を加えて計7名、車2台で「金色姫伝説モニターツアー」に出発した。 つくば古道に向かう車中、緑の木々を見て3人が「癒やされるう〜」と同時に声を上げた。シン・旧住民の私には見慣れた景色だが、外から来た彼女たちにとっては新鮮な光景に映ったようだ。緑の木々も観光資源になるのだと改めて感じさせられた。 まんじゅう販売したら売れる 始めに訪れたのは、「つくば古道」入口の北条にある国登録有形文化財・宮清大蔵だ。店主の宮本清さんが、元醤油醸造所の仕組みを説明、蔵で記録映画を上映してくれた。終了後、子宝に恵まれる妊婦の形をした「はら宿りの木」を皆でなでる。3人の子持ちの1人は触らなかったが…。 次に平沢官衙遺跡に移動し、散策した後、すぐ近くにあるつくばワイナリーで担当者からブドウ畑の説明を受け、ワインの試飲。早速、3人はワインを購入した。 それから神郡・蚕影山(こかげさん)神社に向かい、ここで、私が金色姫伝説の由来を語った。200段はある階段を登リ下ったあと、1人が「ここでまんじゅう販売したら売れますよね」と言った。階段をのぼったあとには甘い物が欲しくなる、確かにそうだなと思った。 続いて知り合いの屋敷を訪ね、離れにある茶室で額に入った山岡鉄舟の書を見せていただき、神郡の話をうかがった。かなり高齢化が進み、あちこち跡継ぎ問題があるとのこと。皆な神妙な面持ちで聞いていた。 そして中心拠点、神秘的な雰囲気が漂う場所、石蔵Shitenを見学した。ここで、11月3日(金)、4日(土)、5日(日)に、『金色姫伝説旅行記』のイベントをやると説明したら、元アイドルグループの1人は「私も出演したい! 」と言ってきた。そのとき、私はある作品を思い出した。 ソフィア・ロ一レン主演『アラベスク』 アラビア風の唐草模様を意味するタイトル、スタンリー・ド一ネン監督、グレゴリー・ペック、ソフィア・ロ一レン主演の『アラベスク』(1966)。この作品は、人間関係と話が複雑でわかりにくいのだが、それでいて面白く見られる仕上がりなのだ。 大学教授ポロックが、謎の男から、古代アラビアの象形文字の解読を強引に依頼される。手のひらに収まる紙片に描かれた象形文字。この紙片をめぐり争奪戦が繰り広げられる。だから観客は、象形文字の謎解きが重要なのだと思い込む。ところが、実はそうではないドンデン返しがラスト近くで判明するのである。 今度のイベントも、「金色姫伝説」と「うつろ舟事件」の謎解きが目的と思わせておいて、ドンデン返しを仕掛けたいと思った。 夕方、彼女たちは目的を達し大満足で帰っていった。どうやら、つくばと「金色姫伝説」はダシで、実はただ小旅行と買い物と食事を楽しみたかっただけなのかもしれない。サイコドン ハ トコヤン サノセ。(脚本家)

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