筑波学院大学(つくば市吾妻)のベトナム人留学生で、経営情報学部3年のグェン・ドゥク・ヴィェトさん(26)は、観光ガイドを目指している。今ベトナム人に一番人気のある国は日本だという。将来の夢は、日本で旅行会社をつくり、来日したベトナム人観光客を案内すること。大学で学んだ日本の「おもてなしの心」を仕事に生かしたいと話す。

経営情報学部 ビジネスデザイン学科3年
グェン・ドゥク・ヴィェトさん(26)

―留学先に日本を選んだのはどうしてですか。

私の実家は首都ハノイの郊外にあり、農業を営んでいます。約1000羽のニワトリを飼っていて養鶏のほか米作りもしています。家族は父母と3人きょうだいの5人で、私は一番上、妹と弟がいます。子供のころは田植えを手伝ったり、ニワトリのえさやりを手伝いました。

ベトナムでは、叔父さんの影響もあって、専門学校で電気技術を学びました。ベトナムの電気製品はすぐに壊れてしまうのですが、叔父さんは壊れたらすぐに直してくれる人だったので、電気技術者に憧れていました。

日本に留学した理由ですが、10年くらい前から、ベトナムには日系企業がたくさん進出してくるようになり、そのころから日本に行きたいなと思うようになりました。

専門学校を卒業後、2014年に来日しました。21歳のときです。最初は仙台の日本語学校で3年間勉強しました。その後、17年に筑波学院大学に入学しました。現在、大学では経営学の勉強をしています。

―つくばでの暮らしはいかがですか。

今は週3回、午前7時~正午まで、市内のスーパーで商品の陳列などのアルバイトをしています。

日本は、ベトナムより物価が5倍くらい高いですね。ベトナム人の平均給料は月3~5万円くらいですから。電車やバスなどの公共交通は日本はとても便利です。

最近、遊びに出掛けることはあまりありません。ベトナム人の中には、留学生同士、アパートに週4、5日集まってわいわい楽しんでいる人もいますが、私は行きません。

―大学の授業で印象に残ったことはありますか。

日本の歴史を学んだことです。日本の江戸時代や、広島の原爆投下などの歴史を学びました。ベトナムでは自分の国の歴史は勉強しますが、他国の歴史はあまり学ばなかったので勉強になりました。

それから、おもてなしという言葉の意味を教えてもらったことが印象に残りました。おもてなしとは、単に物理的な接待だけでなく、心が大事だということを学びました。将来の仕事に生かしたいと思います。

―昨年、地域に出て、NPOや企業などと社会貢献活動をする、大学のオフ・キャンパス・プログラム(OCP)に参加したと聞きます。どんな活動をしましたか。

市民団体「つくば遊ぼう広場の会」の活動に、私ともう一人のベトナム人留学生の2人で参加しました。ゴンタの丘という流星台の雑木林にある遊びの広場で、子供たちの見守りをしたり、子供たちと一緒に遊んだりしました。

子供たちは1歳から4、5歳の子30~40人が親子で参加します。去年8月から10月まで土日を中心に月2、3回参加しました。午前10時から午後2時まで、広場の中に人工の池をつくって魚のおもちゃを浮かべて子供たちと釣りをしたり、ハンモックに横になったりしました。

OCP活動で子どもたちと一緒におもちゃの魚を釣り上げた(グェンさん撮影)

―子供たちの反応はどうでしたか。

小さな子供たちと一緒に遊んだことがないのでとても楽しかったです。私は外国人なので、どこの国から来ましたかとか、子供たちからいろいろ話し掛けられました。

―将来の夢は何ですか。

観光ガイドの仕事をしたいと思っています。ベトナム人に今一番人気がある国は日本なので、将来は日本で旅行会社をつくりたいと思っています。

(聞き手・鈴木宏子)

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