【コラム・坂本栄】つくば市の2大問題(洞峰公園市営化と運動公園用地売却)をウォッチしていて、何かおかしいなと思いました。いずれも市民の関心が強い問題ですが、市は両方にダブルスタンダード(対象によって適用する基準を変える二重基準)で対応しているからです。市はその場その場で理屈を使い分けており、姿勢(市政)がフラフラしています。

自然環境政策での二重基準

つくば市は、洞峰公園市営化問題のアンケート用紙に添えた「よくいただくご質問」の中で、「(公園の)既存樹林・樹木を可能な限り保全し…」「…地域の自然環境に調和するよう配慮する」と、樹林を守る必要性を強調しています。駐車場の樹木を少し切ろうとした県の公園管理に対抗する理論武装とはいえ、この文言はなかなか力が入っています。

ところが、運動公園計画用地(高エネ研南用地)の自然林が無くなることに、市はまったく関心がないようです。それぞれの場所は違いますが、「自然環境政策におけるダブルスタンダード」と言えます。

記事「樹木の伐採始まる…運動公園用地」(12月8日掲載)によると、倉庫会社に売却された元市土地開発公社用地(実質市有地)の森林伐採が始まりました。これに対し、議会の議決なしの処分は違法だと住民訴訟を起こしている酒井さんは、寄稿「…森林伐採、つくば市は差し止めよ!」(12月12日掲載)の中で、「自然環境に回復不可能なダメージを与える」と、市と事業者に説明を求めています。

失政の後始末場当たり策

思い起こすと、運動公園用地売却も洞峰公園市有化も、五十嵐市長の失政の後始末です。

▼運動公園問題:前市長が取得した用地を元の保有者(UR都市機構)に買い戻させると市長選挙で公約。しかし、返還に失敗し、民間に売却。

▼洞峰公園問題:県営洞峰公園の管理方法で県と対立。タダでやるから市の好きなように維持管理すればと県から押し付けられ、市営化を選択。

要するに、URや県との協議を上手にやっていれば、こんな問題は生じませんでした。

失政の結果、運動公園用地は民間企業に売却(森林伐採を容認)、洞峰公園は市の好みで管理(樹林の保全管理)という、市民には「?」の事態になりました。市に自然環境保全についての確固たる政策があるわけでなく、市長の失政を糊塗(こと)する場当たり的な対応といえます。

失政が悪政を呼び込んだ?

もう一つのダブルスタンダードは、体育館などの施設管理法です。171「…洞峰公園 『劣化容認』計画」(11月20日掲載)で取り上げたように、市は①谷田部地区などにある市営体育館の設備などは築60年で更新する②しかし県から譲受する予定の洞峰公園内体育館の設備などは修理~修理で80年持たせる―と、二重基準を打ち出しました。

洞峰公園市営化に反対する市民や市議を念頭に、②は園内施設の維持費を安く上げようとする計画のようですが、既存施設と新規施設の維持の仕方に差を付けるのは何か変です。公園を押し付けられた失政を、手抜きでカバーしようとする悪政ではないでしょうか。(経済ジャーナリスト)