【コラム・坂本栄】茨城県が改修しようとしている県営・洞峰公園(つくば市二の宮)。つくば市は了解したのだと思い、改修を進めようとしたら、市民から計画の目玉と進め方に疑問の声が。当然、市は市民の側に立ち、県と市はバトル状態に。いっそ、市が公園を県から買い取り、市民に現状のまま利用してもらったら?

県と市のバトルに市民運動が参入

県の改修計画のあらましは「…4社グループに決定…洞峰公園の整備事業…」(2021年11月30日掲載)に出ています。学園都市にふさわしい、レクリエーションも楽しめる、にぎわいを創り出すエリアにする―という考え方で、野球場をつぶし民営のグランピング(宿泊用具が備わった豪華テント)や、バーベキュー施設を設けるのが目玉です。

県の内外からたくさんの人に来てもらい、おカネを落としてもらうだけでなく、公園運営に民間会社も加わってもらい、その上がりを公園管理費の足しにしようという、大井川知事らしいアイデアです。県の魅力度アップ作戦の一環でしょう。

この計画に対し、そんなものは要らないとの声が市民の間から上がりました。自然公園の形が壊され、宿泊者の騒音・酒・たばこ、バーベキューの煙・臭いは迷惑だ、と。市側の懸念は「26項目で(市と県が)やりとり」(5月4日掲載)に詳しく出ています。市民運動も起き、2000人を超える署名を集め、県の計画策定作業に参加したいと言っています。そのいきさつは「県に協議の場設置を要望…」(5月13日掲載)をご覧ください。

県営公園は合併前の谷田部に開園

県にとって、洞峰公園改修は、水戸偕楽園改修(現在策定中)、大洗水族館改修(知事はジンベエザメに執心)、石岡フラワーパーク改修(昨春完了)と同じ、観光振興策です(小粒ではありますが)。市の懸念に配慮し、「騒音、酒、タバコ、煙、臭い」に極力対処することはあっても、改修そのものにはこだわるでしょう。

そこで提案。公園管理費を減らしたい県の立場を考え(魅力度アップの方は勘弁してもらい)、同時に市民の疑問や反対に応えるためにも、洞峰公園を買い取って市営にするのも一案です。

洞峰公園が1980年に開園したとき、つくば市はありませんでした。谷田部町、豊里町、大穂町、桜村が合併して生まれたのは1987年ですから、場所は谷田部町でした。事情通によると、学園都市にふさわしい公園が必要と考えた県が、町の財政力では無理と考え、代わりに造ったそうです。それから42年。市が管理するのは自然ではないでしょうか。

洞峰公園は20ヘクタール、総合運動公園用地が45ヘクタール。運動公園は66億円ですから、土地単価が仮に同じとすると、洞峰公園は29億円になります。これをどれだけ下げてもらうかは、市の交渉力にかかってきます。市と県のバトルが続くことは好ましくありません。それは市と県の関係の泥沼化を意味するからです。(経済ジャーナリスト)