土曜日, 8月 9, 2025
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レストラン街から飲食店すべて撤退 つくばセンタービル

【鈴木宏子】つくば駅近くのつくばセンタービル(同市吾妻)1階のレストラン街、アイアイモールから22日、飲食店がすべて撤退した。同日、最後に残ったそば店「一成(いちなる)」が閉店。閉店を惜しむ馴染み客らが最後のそばをすする姿が見られた。

同ビルでは今年5月20日、1983年の同ビル開業と同時に開店したピザチェーン店「シェーキーズ」が閉店、続いて同月末、スペイン料理店「ボンド」が閉店し、「一成」が最後に残っていた。

同ビルを運営する筑波都市整備(同市竹園)によると、現時点で新たに入居を予定している店舗や事務所などはないという。同市では、中心市街地の求心力の低下が問題になっていることから、今年度、市が同センタービルの在り方を検討する調査を実施する。同都市整備は「その中で、どうあるべきか考えたい」と話す。

かつて「どの店も行列」

閉店について、一成を運営する一成フードサービスの成山正樹社長(53)は「さびしい限り」と語る。同店は24年前の1994年にオープンした。当時センタービルに空き店舗はなく、どの店も行列ができていた。当時、成山社長は20代で、厨房に入ってそばを打ち、現在の味を完成させた原点が同店だったという。人通りが少なくなった原因については「隣接した場所にたくさんあった駐車場がマンションや商業施設、業務ビルになり、アクセスが悪くなってしまったのも一因ではないか」と話す。

近くに勤務し昼食を食べに来たという牛久市の男性会社員(57)は「月1回必ずセンタービルに来てシェーキーズに立ち寄っていた。一成も今日で閉店になると知ってびっくりした」と述べ、職場の同僚3人で来た男性は「無くなると困ります」と話していた。

新たな在り方 市が調査

同センタービルは日本を代表する建築家、磯崎新氏の設計により建築された。同都市整備の小林睦営業部長は「建てられた当初はつくばの中心の中の中心だったが2009年に常陽銀行、10年に筑波銀行が撤退したころから役割が変わってきた。つくばエクスプレスが開通し、新しい商業施設ができ、人の流れが変わってきた」とし「つくば市から、センタービルの役割を見直してはどうかと言われている。私たちもそうだろうと思うので、その中でこれから何が必要か考えていきたい」とする。

市は中心市街地の活性化を検討する一つとして、同ビルの在り方を検討する調査を7月から来年3月まで約470万円かけて実施する。センタービルの施設や設備の現状、周辺の公共施設との関連、市場性などの基礎調査を実施。同市学園地区市街地振興室は、調査結果をもとに今後の在り方を改めて検討したいとしている。

人通りが少なくなったつくばセンタービル

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バイオものづくり研究棟開所 産総研つくばセンター

研究から実装まで一体 産業技術総合研究所(産総研)は5日、つくば市東の産総研つくばセンター内に整備した「バイオものづくり研究棟」の開所式を行った。産総研の総合力を生かし、研究開発から社会実装までを一体的に進める産学官連携の拠点として活用するという。 バイオものづくりは、微生物からつくる物質の生産を増やしたり、新しい物質の生産に遺伝子技術を利用するテクノロジーで、国が推進するバイオエコノミー戦略の中核に位置付けられる。開所式には経産省や産業界、自治体などの関係者を集めた。 北海道との2拠点で 研究棟は同センター中央事業所6群にあった既存の地上2階建て2棟を改装し、3月までに完成させた。企業が占有して使用できる居室と実験室を4セット整備した。すでにコニカミノルタ(本社・東京)が研究ラボを設けたほか、企業や大学など多様な研究者が集い、活発な議論ができるようオープンなコミュニケーションスペースが複数設置された。分析機器室には微生物培養リアクタ―装置や質量分析装置などが設置されている。 産総研では4月に、これまでの微生物や植物を利用したバイオものづくり研究を集約化し、北海道札幌市の拠点と結び、バイオものづくり研究センター(油谷幸代センター長)を発足させている。10の研究チームに約70人の研究員が所属している。 北海道センターには、バイオリソース解析プラットフォームが設けられている。国内最高速レベルのゲノム解析用クラスタマシンや各種分析装置などを保有しており、つくばのバイオ拠点と連携することで、圧倒的な速さと精度でゲノムやDNA、遺伝子発現情報の解析を実現できるという。これらの迅速で正確な情報解析によって、最終的にバイオ製品のコスト削減への寄与などが期待される。 産総研の総合力を生かした研究開発の社会実装までの取り組みについて、生命工学領域の千葉靖典領域長が示したのは、微細藻類のミドリムシからつくる高性能の接着剤開発の例。この接着剤には、石油由来の代表的な自動車構造材用接着剤であるエポキシ系接着剤に匹敵する接着強度があり、他のバイオベース接着剤の接着強度も上回ることが突き止められた。 従来の構造材用接着剤は、接着力が高い反面、解体が容易でない短所もあった。ところがミドリムシ接着剤で接着したアルミニウム板は加熱により容易に解体できる特質をもつ。この易解体性により使用済み自動車の解体や部品の再利用が簡略化できる。さらにミドリムシは二酸化炭素や糖を栄養源にしていることから、カーボンリサイクルの面でも貢献ができるとされ研究開発が進められている。 産総研の量子・AI 融合技術ビジネス開発グローバル研究センター(GQuAT)、AI 橋渡しクラウド(ABCI)、マテリアル・プロセスイノベーション(MPI)プラットフォーム、計量標準総合センター、知財・標準化推進部などとの協働によって産総研の総合力を生かした革新的な次世代バイオものづくり技術の開発と実証、バイオものづくり製品の評価方法に関する標準化・認証スキームの整備などを目指すとしている。(相澤冬樹)