関彰商事と連携
筑波大学(つくば市天王台、永田恭介学長)と関彰商事(本社筑西市・つくば市、関正樹社長)が連携して同大敷地内に建設した野球・ソフトボール室内練習施設「Invictus athlete Performance Center(インヴィクタス・アスリート・パフォーマンス・センター)」(通称IPC)が完成した。22日、竣工式が催され、施設内が関係者に披露された。
敷地面積約3200平方メートル、施設は鉄骨造平屋建て、延べ床面積約1700平方メートルで、内部はトレーニングエリア、打撃エリア、ブルペン、ウェイトトレーニングエリアなどがあり、打撃レーン3カ所、ブルペン2カ所、フリーのトレーニングエリアなどに分かれる。

施設には、室内に設置した複数のカメラで撮影した映像をもとに人物の動きを解析する「マーカーレスモーションキャプチャ」や、投球や打球を測定・分析する「トラックマン」「ラプソード」などの最新機器を導入し、選手個々の特性に応じた目標達成に向けた、包括的なサポートを行っていく。平日昼間は大学の授業や硬式野球部、ソフトボール部が利用し、平日夜間と休日は、一般向けにスクール開催、コーチング、運動分析プログラムの提供などを行う。
「選手に寄り添い、共に考える」
施設運営で中心的な役割を担う、野球の動作分析の第一人者で、科学的な知見をもとにした指導法を研究する筑波大の川村卓体育系教授は「(専用機器を用いて)動作を計測できる場所は全国にたくさんあるが、IPCの特色は、計測した知見をどう活かすか、選手本人とともに考えた上で、パッケージとして提供できること。これまでに多くのプロ野球選手の計測を行ってきた経験から、プロ選手との比較もできる」とし、「苦しむ選手をただ分析しても良くならない。選手に寄り添い、共に考えることで内発的な意識を引き出す必要がある。この施設はそのための施設であるとともに、現在の日本におけるスポーツ研究で不足している、1人の選手と長い期間関わる『追跡』の研究拠点にもしていきたい」と、最先端のスポーツ教育と研究を同時に進める舞台として活用していくと思いを語った。

初のBTO方式
同施設は、民間事業者が公的施設の建設を担い、完成後は所有権を公的機関に譲渡し、施設の管理・運営は民間事業者が担う「BTO方式」で建てられた。建設費は関彰商事が負担し、完成後は施設を筑波大が所有する。施設の管理運営は、2041年3月までの15年間、関彰商事グループ企業のnvictus Sports(インヴィクタス・スポーツ)」(関正樹社長)が担い、一般向けのスクールや個別指導、イベント開催などを通じて得た事業収入をもとに、整備費用などを回収するとしている。
式典であいさつに立った永田恭介学長は「BTO方式という、大学と企業による新しい方式でつくった施設。研究、芸術、スポーツ、ビジネスなどあらゆる分野が世界と争うのが当たり前になる中で、インヴィクタス・アスリート・パフォーマンス・センターは、選手が上のレベルを目指す際に障壁にぶつかってもへこたれない、不屈のモニュメントになれるよう期待している。地元の方々と手を取り合いながら、新しいつくばの街の形を示していきたい」と話した。関正樹社長は「世界を目指すアスリートの役に立ちたいという思いで、施設をつくった。地元企業として地域に貢献していきたい」と語った。(柴田大輔)
