【コラム・山口京子】2026年の新年にあたって、心に刻み付けたい言葉に出会いました。「原発事故と農の復興」(小出裕章著、コモンズ、2013年)に出てくる言葉です。いま私たちに求められているのは、「エネルギーが足りないからエネルギーを供給する」ことではなく、「エネルギーを大量に必要としない社会を創る」ことだと。
エネルギー浪費型の工業社会から脱却し環境に見合った新しい形態の社会を創り出すこと、必要なのは農業の構造改革ではなく農業を疲弊させてきた工業優先の浪費社会を転換すること、自らの地で農産物を供給するような社会構造を生み出すこと―だと。
今日の世界には気の遠くなるような課題が山積みされており、私たち一人ひとりは、どんなに頑張ったところで、課題のごく一部分に自らを関わらせることができるに過ぎない。私たちに求められているのは、自らが真に求めている目標が何であり、自らが関わりきれない無数の運動とどのように連帯できるかを、常に問い直しながら運動を進めることである、と。
今後、放射能汚染から身を守るためには、汚染源そのものを廃絶させる以外に道はない。真に、放射能汚染から身を守る運動ができるならば、それは、農薬漬けの農業から脱却する道、食料を輸入に頼る社会から脱却する道だ、と。
食卓から地球を変える
小出さんがやりたいことは二つ。まず、原子力を選んだことに責任がなく、放射線感受性の高い子どもたちの被曝を減らすこと。そして、これまで破壊し続けてきた一次産業の崩壊を食い止めること。
この本には、有機農業を実践されている方々の声が多く掲載されています。食べることは生きることの基本、有限な地球で無限の欲望が成就されることはない、どのような未来を築きたいのかを構想することが必要―といった声です。
別の本「食卓から地球を変える あなたと未来をつなぐフードシステム」(ジェシカ・ファンゾ著、日本評論社、2022年)では、食卓がどう世界とつながっているか、世界のフードシステムがどうなっているのか―を「見える化」しています。暮らしの中に潜む深く重たい課題に気づかされます。(消費生活アドバイザー)






最近のコメント