日曜日, 5月 31, 2026
ホームコラム花火は「安全」の二文字が最優先《見上げてごらん!》43

花火は「安全」の二文字が最優先《見上げてごらん!》43

【コラム・小泉裕司】花火師が最も大切にしていること、それは一に安全、二に安全。花火師は、火薬という危険物を扱うため、製造段階から打ち上げ、そして片付けに至るまで、あらゆる工程で事故が起きないよう細心の注意を払う。もちろん、火薬取締法をはじめ法令や都道府県条例によって、火薬の取り扱いや花火打ち上げには厳しい規制が課されており、従事者には国家資格の取得が定められている。

それでも、今年の春先から夏の佳境に入っても事故が続いている。残念でならないが、花火は打ち上げてみなければ分からないという宿命も背負っている。

打ち上げ時の事故

経済産業省所管の火薬取締法では、花火打ち上げ事故を「火薬類の消費中に発生した危険な事象」と定義。具体的には、筒ばね、過早発、低空開発、地上開発、黒玉、部品落下など、およびこれらに起因する火災などを「危険な事象」としている。ここで「火薬類の消費中」とは、花火打ち上げにかかる一連の作業を言う。

▽筒ばね:花火玉が上空に上がらず、筒の中で爆発すること。花火玉の不具合や筒の変形により、打ち上げ火薬の火が引火して発生することがある。

▽過早発:煙火玉が筒から発射直後に開発する。花火玉の導火線の異常により発生する(上の写真参照)

▽低空開発:煙火玉が性能上危険な低い高度で開発する。風の影響や花火玉の不具合など複合的な要因により発生する。

▽地上開発:煙火玉が上空で開発せず地上に落下し開発する。花火玉の不良、風の影響、打ち上げ場所の不適スなど、複合的な要因による。

▽黒玉:いわゆる不発玉。上空で爆発せず、そのまま地上に落下してしまうこと。導火線の着火不良や、花火を破裂させる割薬への着火がうまくいかなかったことが要因。

▽部品落下:煙火の構成部品(燃え殻・破片・星など)が危険な状態で落下する。

打ち上げ事故の推移

危険な事象によって生じた死傷者の人数や物的損害額など被害の程度によって、A級からC2級まで5段階に分かれる。

2009年に遠隔点火(上の写真参照)が義務付けされたことで、打ち上げ事故のリスクは軽減されたというが、国の統計で過去30年の事故の推移を見ると、死傷者数の減少が顕著に読み取れる。一方、23年、24年は、コロナ禍前の3年間と比較すると、事故に至らない危険な事象(C2級)が激増している。

要因は、コロナ禍をきっかけに多くの職人が現場を離れたためと言われる。しかし、後継者の育成には時間がかかるため、海外の安価な花火玉の使用も一因ではないかとの見方もある。土浦の花火の出品規程は、全競技玉を自社製造玉に限定している。

事故に対するペナルティ

こうした花火事故を起こした煙火業者に与えられるペナルティは、事故の種類や内容によって業務停止命令や許可の取り消しなどの行政処分、法律違反や過失の場合には刑事罰が科せられる。民事上の責任として、損害賠償を請求される可能性もある。

さらに、花火競技大会への出品も、主催者や日本煙火協会などの判断によって制限が行われる場合や自主的な参加自粛が行われる場合もある。

花火師は見る人を楽しませるための「美しさ」や「迫力」も大切にするが、それらは安全が確保されてこそ初めて実現できるもの。土浦の花火競技大会で、作品の打ち上げを終えたすべての花火師が、作品の出来栄えよりも異口同音に発する言葉は「無事で何より」。

本日は、これにて打ち留めー。(花火鑑賞士、元土浦市副市長)

参考:経済産業省ホームページ

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

13 コメント

13 Comments
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

マンション価格の20年 つくばと水戸を比較《水戸っぽの眼》13

【コラム・沼田誠】「首都圏新築マンション、2025年度の平均価格は9383万円。前年比+15.3%で、5年連続の最高値を更新」。日本経済新聞(2026年4月20日付)で、こんなニュースを目にした。東京23区にいたっては平均1億3,784万円(平米単価214万円)。「マンション高騰」は確かに首都圏の現実になっている。この調査の対象は東京・神奈川・埼玉・千葉の1都3県であり、茨城県は含まれていない。では、つくば市と水戸市の実態はどうか? 国土交通省「不動産情報ライブラリ」の中古マンション取引データから、両市の過去約20年の推移をたどってみた。単年中央値はばらつきが大きいため、傾向が見えやすい5年移動平均で描いた。 水戸は+7%、つくばは+46% 水戸市の単価は2010年24.3万円/平米→2025年26.0万円/平米で、長期で見ればほぼ横線(+7%)。2011年に17.3万円/平米まで急落したのは、東日本大震災の影響だろう。それ以外は、一貫して20万円台半ばを推移している。 一方つくば市は、2010年30.5万円/平米→2014年30.3万円/平米へ微減したあと、ゆっくり上昇に転じ、2025年は44.4万円/平米と+46%。2007〜2009年につくばの単年データが40万円台を示すのは、TX開業(2005年)直後で取引のほとんどが築浅物件だったためであり、純粋な「相場」ではない。 この期間の変化率は、水戸が+7%、つくばが+46%。小さくない差といえる。何が違うのだろうか?「国道16号線」(新潮文庫)の著者、柳瀬博一氏は、首都圏の人口移動データについて「東京一極集中と言われるが、年代別に見ると実態は違う」と指摘する。0〜14歳の人口は、この10年、ずっと都心から国道16号エリアと湘南に移動しており、その背景は都心の家賃の高さや子育てに適さない交通環境―などにあるという。 つくば:都心子育てを諦めた世帯 つくば市は16号エリアより外側だが、TXで都心と直結する。もし、つくばのマンション単価U字上昇が、柳瀬氏の言う「都心からの子育て世帯の流出」の延長線上にあるとすれば、首都圏の住宅事情は、価格そのものとしてではなく、「都心で子育てを諦めた世帯の受け皿」として、茨城県南にまで届いているのかもしれない。実際、公的データもこれを裏付けている。総務省「住民基本台帳人口移動報告」(2025年)によれば、つくば市の転入者1万4542人のうち、東京都から2103人、千葉県から1454人、埼玉県から944人、神奈川県から880人。 1都3県からの転入は合計5381人で、全転入者の37.0%を占める。同じ茨城県内からの流入(4854人、33.4%)を上回り、1都3県がつくば市最大の流入源になっている。 水戸:県内からの移住が過半数 一方、水戸市の1都3県からのシェアは26.8%にとどまり、県内が49.3%と約半数を占める。この傾向は2024年も同じで、同じ県内の都市でも、首都圏との結びつき方は明確に違う。 2015年、つくば市は「北関東からの転入超過が大きい一方、東京圏に対しては転出超過」と自市の人口動向を分析していた。だが、2025年の数字を見る限り、首都圏の住宅事情の延長線にこの市があるという見立ては、もはや仮説ではなく、データが示す事実に近づいている。(元水戸市みとの魅力発信課長) <参考データ・出典>▼日経新聞「首都圏新築マンション、25年度平均9383万円 最高更新」(2026/4/20)▼不動産経済研究所「首都圏新築分譲マンション市場動向2025年度」(2026/4/20)▼国土交通省「不動産情報ライブラリ」▼柳瀬氏のSNS投稿(2025年、首都圏人口移動データの分析および国道16号エリアへの子育て世帯移動について)▼総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告」2024年・2025年 第10表▼つくば市「人口分析状況」(2015)

つくば市にも動物愛護協議会を設立《晴狗雨dog》10

【コラム・鶴田真子美】4月1日、つくば市にも、ようやく動物愛護協議会が産声を上げました。昨年夏、つくば市民ネットの小森谷市議、川村市議同席のもと、ペット防災や避難所運営について市の危機管理課と面談したのを機に、つくばにも動物愛護協議会が必要と痛感しました。両市議の尽力を得て、市内の動物保護団体や愛護推進員とミーティングを重ね、協議会の規約やあり方を審議してきました。 茨城県も「すべての市町村で協議会設置を目指す」と推進計画で明記しています。現在、県、水戸市、牛久市、阿見町、守谷市、取手市、常総市、神栖市、つくばみらい市、石岡市、小美玉市には動物愛護推進協議会が設置され、メンバーの方々が各地域の多様な課題に取り組んでいます。 つくば市動物愛護協議会の初イベントは、4月26日開催された「ピンクリボンフェスティバル2026」の里親会でした。私が代表を務める「動物愛護を考える茨城県民ネットワーク(CAPIN)」からも、犬たちが参加。みな、県動物指導センターから引き出した保護犬たちです。啓発パネルがつくば駅広場に並びました。6月4日を皮切りに、市役所で保護猫里親会も予定されています。 動物たちのSOSに奔走 協議会が発足してすぐ、市内で放浪していたシニア犬を市役所から預かり、シェルターに保護し、見つかった飼い主さんにお届けしたこともありました。市内で乳飲み子猫のSOSがあり、協議会のメンバーにレスキューに向かっていただきました。団体の垣根を超えて助けられました。愛護協議会ができてから早速、私たちは動物たちのSOSに奔走しています。 連携をとって意見交換し、現場で汗を流しながら協議会がスタートしました。人と動物の共生をめざし、地域住民を巻き込みながら活動してまいります。犬猫の預かりボランティアさん、里親希望者さん、イベント参加者さんを大募集しています。よちよち歩きの協議会ですので、みんなで育てていきましょう。(犬猫保護活動家)

TX乗車人員4.7%増の42万人に 過去最高を更新

つくばエクスプレス(TX)を運行する首都圏新都市鉄道(東京都千代田区、渡辺良社長)は28日、2025年度(25年4月-26年3月)決算概要を発表した。1日平均乗車人員は前年度比4.7%増の42万3000人、年間乗車人員は1億5291万人となり過去最高を更新した。営業利益、経常利益、当期純利益いずれも過去最高益となった。 TXの乗車人員は2005年の開業以来、毎年増加を続け、19年度は1日平均39万5000人を超えた。一方、コロナ禍で20年度は大きく落ち込み、その後徐々に回復を続け、24年度は過去最高の40万3000人と、コロナ禍前の水準に戻った(25年6月2日付)。25年度は前年をさらに上回った。 乗車人員の内訳は、62%を占める定期が4.5%増、定期外も5.2%増加した。増加の理由について同社は、リモートワークなど働き方や生活スタイルの変化が定着した一方で、沿線の人口増加が緩やかに継続していることなどから輸送需要が増えたと分析している。 単体の決算概要は、運賃収入など本業で稼いだ営業収益は前年度比5.0%増の503億7600万円、一方、販売費及び一般管理費などの営業費は、開業から20年が経過し経年劣化した鉄道設備の保守管理や予防保全の修繕費の増加などにより同比3.7%増の396億7900万円になった、 この結果、本業で稼いだ営業利益は同比10.2%増の106億9700 万円、通常業務で得た経常利益は同比16.1%増の83億5800 万円になった。さらに今後の業績見通しを踏まえ繰延税金資産を積み増しし法人税調整額を10億4000万円計上した結果、当期純利益は同比36.5%増の81億8200万円になり、開業以来の過去最高益になったとしている。 26年度は、新造車両TX-4000系の導入に向けた検討に着手するほか、混雑緩和の対応として8両編成化に向け八潮駅と流山セントラルパーク駅でホーム延伸工事に着手する。ホーム延伸は25年度までに秋葉原駅から六町駅まで7駅で完了、柏たなか駅では工事に着手している。ほかに8両編成化などに伴って総合基地(つくばみらい市)の留置線拡張工事に着手などする。駅構内事業ではつくば駅の売店「TXアベニュー」の外装工事を実施し6月1日、リフレッシュオープンする。 各20駅の2025年度と24年度の1日平均乗車人数は以下の通り(人)。  駅名       25年度 24年度つ  く  ば    18,825  17,980研 究 学 園      8,076  7,877万博記念公園       3,780  3,575み ど り の      5,887  5,537み ら い 平      6,218  5,944守     谷    25,290  24,331柏 た な か      8,720  ...

つくば市の人口、水戸市を抜いて県内一に 25年国勢調査速報

総務省統計局が29日発表した2025年国勢調査人口速報集計結果によると、つくば市の昨年10月1日時点の人口は26万8991人となり、水戸市の26万5773人を3218人上回って、県内一になった。 つくば市の人口は前回調査した2020年と比べ5年間で11.31%(2万7335人)増えた。15年から20年の5年間が6.47%増だったのと比べ、増加率が1.7倍になった。 一方、水戸市の人口は5年前より1.8%(4912人)減少した。茨城県全体の人口は5年間で2.6%減り279万1207人となった。 五十嵐立青つくば市長はSNSで「一人ひとりの選択と営みが積み重なってこの数字がある。人口増加の背景には、つくばエクスプレス沿線地域の住環境の良さに加え、子育て環境づくり、教育改革、スーパーシティの取り組みを評価して移住してきたという声を伺う。これらは市民や議会の皆さんと一緒に積み上げてきた」などとするコメントを発信した。