【片岡英明】7月は受験生が高校入試を考える時期だ。夏休みの高校説明会では、3校は見学するよう中学校の指導がある。今回、私たちはその説明会に間に合うよう県立竹園高校(つくば市)の学級増を求めた。構造的な県立高不足のつくば市内で、「勉強をもっと頑張れ」ではなく、県立高の受験枠を広げよと活動している大人がいる―これが受験生への励ましである。
その意味で、つくば市議会による竹園高学級増の意見書採択(6月)は受験生への激励になった。今回は、竹園高学級増を求めた教育委員会との懇談(7月4日)でのやり取りを報告したい(7月5日付記事参照)。
私たち「つくば市の小中学生の高校進学を考える会」は、市議会の「竹園高校2学級増」の意見書提出に際して、つくば市選出の県議4名とつくば市副市長などと一緒に、同趣旨の要望書を県教育委員会に提出した。庄司学校教育部長が受け取り「要望をしっかり検討します」と言って、退席した後は、県の行政的で乾いた言葉が続いた。
県関係者との懇談では、県議からは「改善に向けて工夫して欲しい」「具体的で絞った要望に前向きな回答を…」「機械的な応答でなく要望を受けとめた話を…」といった発言があった。
県担当者の「竹園高校の学級増の必要性が分からない。皆さんの説明をお聞きしたい」との問いに、県議からは市議会の意見書に対応するよう求める発言があり、市議会議長は地域住民から県立高不足の多くの声が届いていると指摘した。さらに、つくば市副市長が市も県に竹園高の学級増を求めていると述べた後、私たちは「高校進学を考える集い」(5月)での熱気を説明した。
皆さんの熱い思いはよく分かった
私たちは、県が2019年改革プランで2026年までにつくばエリアで2学級増やすと発表したのに、まだ未達成であり、生徒は増えているのにもかかわらず高校入学枠は増えていないと指摘。県の計画を達成するためにも、今年の高校説明会の前に竹園高2学級増を発表するよう要望した。さらに、つくば市の県立高通学支援策などを紹介すると、「県も報告を受けている」などと、うれしい応答もあった。
また、つくば市のPTA役員が、土浦一高の4学級化で発生した「受験生の津波」によって、高校受験を最後まで悩んだ息子のことを語るなど、参加者はつくば市内の県立高不足を解消するよう本音で訴えた。
最後に発言を求められた県の担当者は「皆さんの熱い思いはよく分かりました」と、教育の現場を知る「教師の笑顔」で語った。この温かい言葉に、参加者は「竹園高学級増の声が県の方々の心に届き、今回の意見書と要望書の提出で、改善に向けての対話が成立した」と感じた。(元高校教師、つくば市の小中学生の高校進学を考える会代表)