日曜日, 1月 25, 2026
ホームつくば「愛」と「生命」を込める 筑波大大学院の姉弟2人展 つくば スタジオ’S

「愛」と「生命」を込める 筑波大大学院の姉弟2人展 つくば スタジオ’S

小松原佳織さん(25)と小松原優作さん(23)による二人展「いつものところ」が20日からつくば市二の宮のギャラリー、スタジオ’S(関彰商事つくば本社内)で始まった。2人は静岡県掛川市出身の姉弟で、それぞれ筑波大学芸術専門学群を卒業後、同大大学院に進学し絵画を研究している。佳織さんは「愛」を、優作さんは「生命」を、自然の中に見る光や色と共に作品に描き込む。油絵やアクリル画、手芸品など佳織さんが15点、優作さんが8点の作品を展示する。30日まで。

佳織さんがベージュ色の布製手提げバッグに描くのは、夕日に照らされるように赤やオレンジ、黄色に彩られた雲。部分的に盛り込まれた青や緑が色彩の鮮やかさを引き立てる。バッグの反対面には毛糸で表現した雲を縫い込んだ。「雲は、光の加減で見える色が変わっていく。人が感じる愛、心が動く瞬間を表現したい」と作品への思いを語る。「信仰」という作品では、ある作家の展覧会で見た、大型作品に引き込まれるように集まる観客を、無機質な四角形とそこに漂い集まる雲で表現した。

優作さんが描くのは「生命から感じる喜び、感謝、美しさ」。世界で続く戦争や貧困、差別を意識しながら日々の暮らしで感じる喜怒哀楽に心を寄せる。「生活の中で感じる命の大切さを作品に込めたい」と言う。よく足を運ぶというつくば市内の筑波実験植物園でみた光を描いたのが「植物園」。湿気がこもる温室に夕陽が差し込み、拡散する柔らかい光に包まれる植物に感じた生命の力強さを表現した。その他に、実家の台所で料理する母親の後ろ姿や、故郷に広がる田園風景に目を向ける父親を描いた作品が展示される。両親への感謝を込めたと話す。

小松原佳織さんの作品「信仰」

姉弟で先に絵を始めたのは、姉の佳織さん。漫画などの絵を書き写すことが好きだったという小学生のときに近所の絵画教室に通い始めた。後を追うように、2歳違いの優作さんも小学1年で同じ教室で絵を始めた。その後は姉の後を追うように、同じ高校、大学、大学院へと進学し、互いに刺激し合いながら絵を探究してきた。

佳織さんは絵を描くことの魅力を「悩んだときや自然を見たときに絵を描くことが多い。気持ちを消化できる。描き始めると、周りの音が聞こえなくなるほど集中する」と言い、優作さんは「描いていく中で、自分が好きなものや嫌いなものがわかっていく。自己理解が進むのが絵の魅力」だと話す。

市内の義務教育学校で非常勤講師として美術を教えたこともある佳織さんは「将来は教員になる予定。子どもたちの吸収力のすごさに驚くし、どうすればよりわかりやすく教えられるか考えるのも楽しい。いろいろな教材を生徒に提供できるよう、布染めや金継ぎなどにも挑戦したい」と言い、優作さんは、「今回の作品には、おがくずを絵の具に混ぜて凹凸を表現したものがある。今後はアクリル絵の具を多く使ったり、千代紙を主体的に使うなど表現方法を広げていきたい。将来は作品を販売していきたい」と意気込みを語る。

壁面に「愛」を貼って

会期中29日まで、鑑賞者が自由に手を加えられる作品制作コーナーをギャラリー内の6メートルほどの壁面に設置する。壁に貼り付けられた無地の大型模造紙に、来場者がそれぞれ「愛」を感じる場面や瞬間を書いた付箋を貼り付けていくと、最後に「何か」が浮かび上がる。「人が人へ持つ愛、感じる愛が私の作品作りの大きなテーマ。皆さんが感じる『愛』を一緒に貼り付けながら、一つの作品として展示を一緒に盛り上げていきたい。ぜひ、参加していただけたら」と佳織さんが呼びかける。(柴田大輔)

◆「小松原佳織・小松原優作 二人展『いつものところ』」は、9月20日(金)から30日(月)、つくば市二の宮1-23-6 関彰商事つくば本社内、スタジオ’Sで開催。開館は午前11時から午後5時まで。29(日)は午前10時から、作家によるギャラリートークが予定されている。入場無料。詳しくはスタジオ’Sのイベントホームページへ。

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

1コメント

1 Comment
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

万葉人は蛍に関心が無かった?《文京町便り》48

【コラム・原田博夫】このところ「常陽藝文」センター(つくば教室)で、高校・大学の同級生、糸賀茂男氏(常磐大学名誉教授、土浦市立博物館長、専門は常陸中世史)氏の講座を継続的に受講しています。昨年10月から始まった講座(全10回)は、石岡国府の話題です。 茨城・石岡国府の場所は? 石岡には、相当な期間、国府が置かれていましたが、その場所は必ずしも固定されていたわけではなく、おおむね3期(始源国府<7世紀末~10世紀>、茨城=ばらき=国府<11世紀~12世紀末>、石岡国府<13世紀初め~14世紀中葉あるいは末>)に分けられるなど、これまでの漠然とした認識を改めさせられることの多い、有意義な講座です。 同時に、在庁官人の一部はどうやら、国衙(こくが)から西方で筑波山東麓の、恋瀬川(旧志築川)を挟んだ志築地区(徒歩では約30分)およびその周辺に居住していたのではないかとの推測をうかがうと、(祖父<母方>が志築村<現かすみがうら市>村長だった)当方としては、勝手に妄想が膨らみました。 万葉歌人、高橋虫麻呂の歌 筑波を詠んだ8世紀半ばの万葉歌人・高橋虫麻呂は、次のような歌を残しています。以下は、佐竹昭宏他校注『万葉集(三)』(岩波文庫、2014年)の読み・解釈に従います。 「草枕 旅の憂へを 慰もる 事もありやと 筑波嶺に 登りて見れば 尾花(おばな)散る 師付(しつく、志築)の田居(たゐ)に 雁がねも 寒く来鳴きぬ 新治(にいばり)の 鳥羽の淡海(あふみ)も 秋風に 白波立ちぬ 筑波嶺の 良(よ)けくを見れば 長き日(なげきけ)に 思い積み来(おもいづみこ)し 憂へは止みぬ」(巻第九「雑歌」1757)。 ここでは、都からの長旅の疲れが晩秋の筑波山からの風景で慰められています。 前後して、夏、筑波山に検税使(けんせいし)大伴卿を案内して登山した際の、「衣手(ころもで) 常陸の国の…(中略)…夏草の 繁くはあれど 今日の楽しさ」(巻第九「雑歌」1753)には、都から来訪した上司の希望した筑波登山と宴会を晴天で行えたことの喜びがあふれています。その時期は、奈良時代・天平期のようです。 高橋虫麻呂が、筑波山から詠んだ風景にあえて地名・師付(しつく)を入れたのも、当時の石岡国衙の在庁官人たちにこの地が(居宅地の一つとして)馴染(なじ)みがあったからではないか、と妄想するわけです。 日本人の美意識に変化? 他方、蛍への言及が無いのは、不思議です。というのも、私自身、学齢前の数年間は、石岡市内に居住・転居(守横町や守木町)していて、初夏の夕暮れ、両親とともに、石岡と志築の間を流れ、北西方向に筑波山を望む恋瀬川に、蛍狩りに出かけたことを思い出すからです。その時に見た蛍の演舞する様は、優雅かつ幻想的だったことを、子供心に覚えています。 というよりも、万葉人はどうやら、蛍への関心は無かったのかもしれません。岩波文庫『万葉集』(全5冊、2013~15年)の「索引」にも見当たりません。これは、11世紀初頭には成立したとされる『源氏物語』全五四帖の第二五帖が「蛍」巻とされていて、光源氏と玉鬘の関係をめぐる白眉であるのに比して、大いになる疑問です。 この間に、日本人の美意識に変化があったのでしょうか。地名・志築からの勝手な連想を、たくましくしてみました。(専修大学名誉教授)

投票所入場券 間に合わず つくば市 衆院選’26

解散に伴う衆院選が27日公示、2月8日投開票で行われる。解散から投開票まで16日間と戦後最短となり時間的余裕がない中、つくば・土浦両市の選挙管理委員会も準備に大わらわだ。有権者数が20万2093人(昨年12月1日現在)と県内で2番目に多いつくば市では、投票所入場券の交付が遅れ、有権者の手元に届くのは30日以降になる見通しだ。入場券の交付遅れは全国各地で起こっている。 30日以降 有権者の手元に つくば つくば市では、投票所入場券の交付が、期日前投票が始まる公示日翌日の28日に間に合わない見通しだ。ただし投票所入場券が無くても選挙人名簿に登録があれば投票できる。市選管は、本人確認ができる運転免許証やマイナンバーカードなどがあればスムーズに投票できると話す。 投票所入場券は公職選挙法施行令で「選挙期日の公示日以降できるだけ速やかに交付するよう努めなればならない」と規定され、各自治体の選管は、期日前投票が始まる公示日翌日までには有権者の手元に確実に届くよう努めてきた。 市選管によると今回つくば市では、入場券を印刷する印刷所の確保、印刷工程の都合、校正などで遅くなり、投票所入場券の発送が公示日翌日の28日になる見込みだ。 選挙ポスター掲示板の設置は順調に進んでいるという。例年の選挙同様、市内448カ所に設置され、27日の公示日前までには設置が完了する見通しだ。ただ進捗状況は、複数の業者に地区ごとに割り振って設置を依頼しており「進捗状況は(地区ごとに)バラバラ」という。 投票所については、期日前投票所は、例年同様、つくば市民センター・コリドリオなど市内9カ所に設置する予定だ。期日前投票の期間は公示日翌日の28日から投票日前日の2月7日までだが、このうち商業施設イオンモールつくば(同市稲岡)では期間中の全日程ではなく「あくまでも会場が押さえられる日数に絞って開設予定」という。具体的な日程は現在調整中としている。一方、別の商業施設イーアスつくば(同市研究学園)での期日前投票は「今回は会場の確保が難しく、設置しない」という。 投票日の2月8日の投票所については例年同様、市内76カ所に開設する。ただし各投票所の立会人などの確保については「調整中」(23日時点)と言い、人員確保にまだ苦心している。 開票は8日夜に例年同様、同市金田の桜総合体育館で実施されるが、もともと別の予約が入っていた。市選管によると「予約を調整して使えるようになった」という。 ほかに、今回の選挙では投票啓発グッズを制作依頼する時間的余裕が無いため、投票啓発はSNSを中心に実施していく。 投票啓発の横断幕制作は業者に依頼しており、市内に掲示する予定だ。 開票所「譲ってもらった」 土浦市 一方土浦市は、投票所入場券の交付について、郵便局の協力を得て、公示翌日の28日におおむね有権者の手元に届く見通しだ。同市選管は「遅くとも29日頃には届く予定」だという。投票所入場券が無くても選挙人名簿に登録があれば投票ができる。 選挙ポスター掲示板については例年同様、市内340カ所に設置され、27日の公示日前までには設置がすべて完了する見通しだ。同市では一つの業者に設置を依頼しており、業者が複数の班に分かれて市内各所で設置に当たっている。 期日前投票所は例年同様、イオンモール土浦(同市上高津)と土浦ピアタウン(同市真鍋新町)の商業施設2カ所を含めた市内6カ所に設置する。 2月8日の投票日当日の投票所は例年同様、市内50カ所に開設する。各投票所の立会人については「滞りなく確保が進んでいる」という。 開票作業は例年同様、同市大岩田の水郷体育館で実施する。開票日の2月8日には別の団体が予約を入れていた。今回、「『選挙だから』ということで(団体から)譲ってもらった」と市選管は明かす。 (崎山勝功)

4年間の里山活動を振り返る《宍塚の里山》132

【コラム・谷本旭陽】私が宍塚の里山を初めて訪れたのは2022年7月のことです。幼いころから磯遊びや虫取りなど自然の中で遊ぶことが大好きだった私にとって、この活動は自分の好きなことを追求できるものでした。しかし大学のサークルという今までと全く違う環境、そして同期生が少なく内向的な性格だったことから、最初はとても緊張していました。 初めての活動は外来種であるセイタカアワダチソウの駆除でした。その作業中、先輩たちは歌いながら楽しそうに駆除を進めており、その和やかな雰囲気に驚きました。1年生で初参加の私にも気さくに話しかけてくれ、自然の中で誰一人として孤独にならず、みんなで夢中になって作業を楽しむ光景が印象的でした。 印象に残った3つの活動 この経験がきっかけとなり、私は毎回のように活動へ参加するようになりました。 特に印象に残っている活動が3つあります。 1つは、宍塚大池の保全活動(2022年8月)です。池の中に入り、熊手でヒシを駆除し、日光が届くようにする作業は、自然を守る手応えを感じられるものでした。 2つ目は、地元の子どもたちとの交流(2023年11月)です。ひたすら鬼ごっこをして、学生たちの方がバテバテになったのも良い思い出です。里山はただ活動する場所だと思っていましたが、地元の方々との交流やウォークラリーなど、いろいろな楽しみ方があることも知りました。 3つ目は、階段プロジェクト(2025年12月)です。森林内の坂道となっている箇所に階段を造ることで、安全に通れるようになりました。1日中の土木作業で筋肉痛や腰痛でしんどかったですが、大学卒業前に大きなプロジェクトを終えることができ、うれしかったです。 私の人生の貴重な財産に 里山活動の魅力は自然を満喫できるだけではありません。先輩、NPOの方々、地元の方々と、長期的な交流ができます。人見知りだった私にとって、こういった方々と関われたことは、社交性を培う良い機会でした。 また実践的な学びがあるところも魅力です。セイタカアワダチソウ、カシナガキクイムシ、ヒシなどの問題について、座学ではなく現場でその実態を知ることができました。 最後に、直接的な貢献が実感できます。月に一度の活動が里山保全につながっているという実感が励みになりました。 何となく参加してみた活動が、結果として私の興味や関心を深め、知識を広げ、人間的な成長をもたらしてくれました。この4年間で得た学びと経験は、私の人生においてかけがえのない財産だと思っています。(法政大学キャンパス・エコロジー・フォーラム4年)

ごみピット内で出火 一時白煙が充満 土浦市清掃センター

21日午後3時ごろ、土浦市中村西根、市清掃センターで、集められた可燃ごみを一時的に貯蔵する可燃ごみピット内から出火し白煙が発生、ピット内は一時白煙が充満した。 施設の運転管理委託業者が初期消火活動をしたが白煙の発生が止まらず、午後3時2分に119番通報。駆け付けた消防隊員が水をかけるなどして消火活動を実施し、午後4時55分に鎮火が確認された。けが人はいない。 同清掃センターによると、ピット内でごみの一部がくすぶった状態になり、白煙によりピット内を目視するのが難しいほど充満したという。 どのくらい焼けたかや、出火原因は現在のところ特定できていない。鎮火後、ピット内の可燃ごみを調べたところ、ごみ自体に大きな焼け跡などはなかった。ごみ処理施設の設備や建物の躯体にも損傷はなく、同センターは、22日以降のごみの受け入れや処理に支障はないとしている。