筑波山麓特産の福来みかんの皮を使った七味を販売する筑波山神社参道の土産店「神橋亭」(つくば市筑波、店主・渡辺由美さん)が昨年末から、これまで廃棄していた福来みかんの果実を活用しドリンクを販売している。福来みかん特有のさわやかな香りと甘酸っぱさが特徴だ。七味はみかんの皮だけを利用するため、果肉はこれまで廃棄したり、人にあげたりしていた。
同店の七味は、先代店主の渡辺美代子さん(86)手作りの「みよこの七味」で知られる。渡辺さん一家は筑波山中腹の約990平方メートルで福来みかんを100本ほど栽培している。みかんが黄色に色付く11月になると毎年、店主の由美さん(43)と義母の美代子さんが、収穫したみかんの皮をむいて、干して乾かし、焙煎して「陳皮(ちんぴ)」を作り、粉にして唐辛子やごま、青のりなどと混ぜて福来みかんの七味を手作りし販売している。

一方、みかんの果肉は毎年2トンほど出る。一部を冷凍し知人にあげたりしているが、毎年1トンほど廃棄している。
由美さんは「捨てるのはもったいない。みかんの果肉をどうすればいいか」とずっと考えていたという。昨年、美代子さんから果肉をもらった知人が、果肉のシロップ漬けを作って持ってきてくれた。甘みも苦みもあっておいしく、シロップ漬けの作り方を教わったのが始まりという。
その後、由美さんは、果肉を焼酎に漬けたり、他のアルコール類に入れたりなど試行錯誤を繰り返し、砂糖の量や煮込み時間なども調整を繰り返した。果肉を生のまま使うより冷凍した果肉を使った方が甘味が増すということも分かった。
さらに砂糖を入れて煮込む際、当初みかんの種を取り除いていたが、種を取り除かずそのまま煮込んだ方が甘味が増すほか、加工の手間が省けるなどの利点も発見。こうして果肉を丸ごと使用した福来みかんのシロップ漬けが完成した。

シロップ漬けは果実酒の瓶に詰めて店頭に並べ、寒い日は体を温める「福来みかんホット」として、暑い日は炭酸割の「福来みかんスカッシュ」として1杯(300ミリリットル)500円(税込み)で提供する。ドリンクには果肉がほぼ1個分入っており、スプーンですくって食べられるようになっている。
店主の由美さんは「炭酸で割ったりお湯で割ったりするほか、紅茶で割ったり、ソフトクリームのトッピングができないかなど考えている。福来みかんのジェラードの試作品もできたので提供していきたい」と話す。

神橋亭は明治半ばの1894年に創業した。筑波山神社の神橋の脇にあり、登山客や観光客、神社の参拝者が立ち寄る。福来みかんの陳皮が入った七味は40年前ぐらいから販売している。
店舗は2024年9月に事業継承引継ぎ補助金を活用してリニューアルした。七味の加工工房は元々みかん畑の近くに作っていたが、福来みかんの粉の香りを来店客にかいでもらいたくて土産店に移設した。茨城県よろず支援拠点からの支援を受けている。同支援員の吉村千鶴子さんは「支援する側も、福来みかんの果肉の部分をどうするかが課題だった、今回、果肉のまま種もとらずに煮込むという画期的な方法が見つかり、とてもうれしい」とコメントする。(榎田智司)






最近のコメント