【コラム・山口京子】母の介護サービスを通所から入所に切り替えて半年が過ぎました。家族が同居していれば家で暮らすこともできたのでしょうが、1人暮らしは不安が多く、私たち子どもの方から入所を勧め、納得してもらいました。
母は、施設や職員の様子、食事のこと、介護されている人との会話などを、よく話してくれます。施設に入所している人の年齢は90代が9割近くで、通所している人は80代後半の人が多いそうです。重い病気やケガで、70代で介護サービスを利用している人がいるものの、多くは90代だと。
その話を聞きながら、疑問に感じたことがあります。それは健康寿命についてでした。平均寿命(男性81歳、女性87歳)に比べ、健康寿命は、男性が9年、女性は12年の差があります。男性なら72歳を過ぎ、女性なら75歳を過ぎたあたりから、介護のお世話になるのかしらと漠然としたイメージを持っていました。
しかし、本当に介護が必要になるのは、個人差があるので一概には言えないものの、80歳後半からではないかと…。
平均自立期間
健康寿命がどうやって割り出されているかを調べてみると、厚生労働省が行っている「国民生活基礎調査」の「あなたは現在、健康上の問題で日常生活に何か影響がありますか」の問いに対して「ある」と回答すれば不健康、「ない」と回答すれば健康として扱い計算するということでした。
健康上の問題で日常生活に影響がある程度をどのように意識するかは自己申告のため、主観の要素が高いのではないかと感じました。また、健康上の問題があると意識しても、どうにか普通に生活できる期間は一定の年数あるのではないかと。
健康寿命を割り出す方法も複数あるようです。たとえば、国民健康保険中央会では、「日常生活動作が自立している期間の平均」を指標とした健康寿命を算出し、「平均自立期間」と呼んでいます。介護受給者台帳の「要介護 2以上」を「不健康」と定義して、毎年度算出していて、直近では、男性は79.7歳、女性は84歳でした。要介護2以上と認定されている人は、約350万人と言われています。
高齢期は、普通の暮らしから、虚弱の状態へ、そして介護が必要になる道行なのかもしれません。厚生労働省のデータでは、要介護認定を受けた人が約700万人で、実際にサービスを受けている人が約590万人となっています。
今年は夏の暑さで外出を控えることが多かったのですが、体調を意識しつつ、できることをしながら、同時に老いを受け入れていければと思います。(消費生活アドバイザー)