木曜日, 6月 25, 2026
ホームつくば整備士不足に対応、アシストスーツを全店導入 ホンダ茨城南

整備士不足に対応、アシストスーツを全店導入 ホンダ茨城南

全国的な整備士不足に直面する自動車業界で、自動車販売店を県内に15店舗展開するホンダ茨城南(本社つくば市花室、黒田敏之社長)が今年6月から、整備士の身体的な負担を軽減するアシストスーツを全店に計56台導入している。

同つくばみどりの店で整備士として勤務する深谷笑加さん(22)が身につけるのは、アシストスーツ「マッスルスーツソフトパワー」。定期点検などの日常業務で行うタイヤの上げ下げや中腰での作業は腰に負担がかかる。深谷さんは「日常的な負担が減った。疲れが残りにくくなった」と話す。

製品は東京理科大発のベンチャー企業イノフィス社(東京都八王子市、乙川直隆社長)による人工筋肉を応用したもの。イノフィスの担当者によると、ホンダ茨城南で導入されたアシストスーツはサポータータイプのもので、430グラムと軽く動きやすいのが特徴。東京理科大の小林宏教授が介護関係者と考案したのをきっかけに、2013年に製品化し、14年に発売を開始した。腰への負担が大きい入浴時の介助者への負担軽減を目的に、水場でも利用しやすい、電力を使わず空気圧を利用したゴムチューブによる人工筋肉のアシストスーツを開発した。背中に人工筋肉を使ったゴムが入っていて、肩と足にバンドで装着する。かがんだ時に伸びた背中のゴムが、起き上がる際に体を引っ張り上げる仕組みだ。肩と足に力を分散させることで腰への負担が軽減される。現在は介護職以外にも、重量物の持ち運びが伴う建築現場や、中腰や前傾姿勢での作業が多い農・林業でも導入が進み、累計3万台を販売しているという。

ホンダ茨城南の鈴木宗高さん(左)と整備士の深谷笑加さん

若者の車離れ、整備士資格の受験者半減

国交省物流・自動車局自動車整備課が今年3月に発行した「自動車整備分野における人材確保に係る取組」によると、自動車整備専門学校の入学者数は過去18年で約47%減少している。少子化の中で同期間の高校卒業者数が約21%の減少であることを踏まえると、減少率の高さが際立っている。自動車整備士資格の受験者数は過去20年間で、約7万人だった2004年をピークに減少傾向にあり、22年は3万5000人と半減している。一方で平均年齢は上昇傾向にあり、将来的な自動車整備士の確保が課題となっている。

アシストスーツ導入を担当したホンダ茨城南の鈴木宗高執行役員(52)は「以前は車やバイクが好きな人が集まる業界だったが、若者の車離れが進む中で専門学校が定員割れするなど、成り手不足が進んでいる。同業各社の間で人材確保が大きな課題になる中で、せっかくなりたくて整備士として入社した社員が、体への負担から辞めたくないのに辞めざるを得ないケースがある。長く仕事を続けてもらいたいという思いで、アシストスーツを全店に導入することを決めた」と話す。

さらに「けが防止の観点だけでなく、体力勝負の現場で整備工場に冷暖房を完備するなど、会社として社員のためにできることはやるというメッセージを発信し、同時に働きやすい環境づくりに努めているという自動車業界としてのアピールにつなげたい」と思いを話す。(柴田大輔)

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

1コメント

1 Comment
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

武蔵美卒業生28人 個性あふれる作品117点展示 つくば美術館

武蔵野美術大学(東京都小平市)を卒業した県内在住者及び県出身者で構成する同大校友会第23回茨城支部展が23日から、つくば市吾妻、県つくば美術館で開かれ、油彩、日本画、水彩、工芸、和製本など28人による117点の個性あふれる作品が展示されている。28日まで。 県在住者及び出身者は約1000人が該当するが、同県支部は約30人が会員となっている。支部展は毎年開催され今年で23回目。 支部長の冨澤和男さんは(67)は10点を展示。会期中、日本の伝統的な製本様式である和装本のワークショップが開かれることから、今回初めて和装本を出展した。ほかに、明治時代から続く土浦の老舗「保立(ほたて)食堂」を、色鉛筆デザインと油絵とで書き分けた作品を展示した。「現在の保立食堂は看板が壊れており、15年前に撮った写真のものと現在のものを再構成した。今回は色鉛筆と油絵という二つの手法で描いてみた。見る人によって好みが分かれており興味深い」と語る。 数年ぶりに出展した清野光男さんは、福島の原発事故などメッセージ色の強い作品を描いてきた。今回はウクライナ戦争をテーマにした「分断と破壊」と題した作品を基本に、さらに複数の素材や技法を組み合わせて制作するミクストメディアの手法を使って描き、「境界と分断」「地景と分断」「地景 地と空」など計4点を展示した。 NEWSつくばコラムニストでイラストレーターの川浪せつ子さんも出展。NEWSつくばで連載してきた「ご飯は世界を救う(おいしい時間)」で描いた水彩画のほか、「つくば良いトコ」「古民家の夜景」(いずれも水彩画)などを展示している。川浪さんは「スケッチはその場でほぼ完成するものもあれば、後からきちんと描くものもある。つくばのまだ知られていない楽しいところや癒されるところをさらに絵にして紹介していきたい」と語る。 ほかに中村茂子さんの皮革工芸作品「時空花」などの展示もある。 冨澤支部長は「昨年よりも作品数は多くなったが。会員は増えていない。若い人が入ってくればもっとバリエーションに富んだ面白いものになる。まだまだ卒業生はたくさんいるので、仲間になってもらいたい」と話す。(榎田智司) ◆武蔵野美術大学校友会第23回茨城支部展は、6月23日(火)~28日(日)、つくば市吾妻2-8、県つくば美術館で開催。開館時間は午前9時30分~午後5時(最終日は午後3時まで)。入場無料。会期中▽ワークショップ「折本を作ろう!」を27日(土)午後1時30分~3時30分に開催。定員15人、参加費500円▽作家が自身の作品を解説する「ギャラリートーク」を28日(日)午後1時~2時30分に開催。定員無し・参加費無料。問い合わせは電話090-2669-9206(坂本さん)へ。

風鈴の音《短いおはなし》52

【ノベル・伊東葎花】 田舎のおじいちゃんが突然訪ねてきた。東京見物のついでに寄ったそうだ。「健太にお土産だよ」と渡された包みを開けて、お菓子じゃなかったことにガッカリした。 「これ、何?」 「南部鉄の風鈴だよ」 南部鉄は、おじいちゃんが暮らす盛岡の名産らしい。 「懐かしいな」と父が言った。「まあ、結構な物を」と母が言った。 おじいちゃんは、スカイツリーに行くからと早々に家を後にした。母は社交辞令的に引きとめたけど、帰った後はほっとしたように見えた。僕たちが住む部屋は、高層マンションの最上階。洋風な部屋に南部鉄の風鈴はまるで似合わず、それは箱に入ったまま棚の中に納まった。 おじいちゃんは、その1カ月後に亡くなった。心臓が悪かったそうだ。 「まさかあの日が最後になるなんて」 父が、悲しそうにつぶやいた。 家族3人で盛岡へ行った。山しかない田舎で、年の近い従兄弟(いとこ)もいない。父と母は忙しそうだし、僕はつまらなくて帰ることばかり考えていた。 葬式の後、縁側でゲームをしていたら伯母さんがスイカを持って来てくれた。 「健ちゃん、何にもなくて退屈でしょう」 スイカを目の前に出されて、「あのう、スプーンは?」と言ったら笑われた。 「スプーンなんか使わないよ。種はこうやって庭に飛ばすの」 伯母さんは豪快に種を飛ばした。放物線を描いた種は、面白いほど遠くに飛んだ。僕もまねをした。「そうそう」と伯母さんが手を叩いて笑った。 「健ちゃんのお父さんは、おじいちゃんの自慢だったよ。大きな会社に勤めて、すごいマンションに住んでるって、みんなに自慢してた」 「ふうん」 「うちには女の子しかいないから、健ちゃんは特にかわいい孫だったのよ」 「そうなんだ」 「小学生になってから、ちっとも来なくなっちゃったでしょう。だから最期に、何だかんだ理由をつけて会いに行ったのよ。お気に入りの風鈴を持ってね」 「え…?」 心地よい風が吹いて、軒下の風鈴が鳴った。ちりんとか、そんな音じゃなかった。心に響くような澄んだ音色は、耳の奥にいつまでも余韻を残した。 「南部鉄よ」 「ああ」 僕はうなだれた。澄んだ音で風鈴が鳴るたびに切なくなった。どうしておじいちゃんの死を、ちゃんと悲しめなかったのか。 東京に帰ってすぐに、おじいちゃんがくれた風鈴を出した。ずしりと重く、冷たい感触が手のひらに心地よい。窓辺に下げて、少しだけ風を入れると、盛岡の家と同じ音で風鈴が鳴った。 「きれいな音ね」。母が目を細めた。「そりゃそうだろう。南部鉄だもん」。父が自慢げに言った。 「あの日、泊めて差し上げたらよかった」 「そうだな」 父と母が、あの日よりずっと優しい顔をしている。僕たちは、優しく澄んだ音色をいつまでも聞いていた。 (作家)

腹話術全国大会で準優勝 つくば市在住の小学校教員 渡邊隼人さん【ひと】

つくば市在住の小学校教員で、現在つくばみらい市立陽光台小2年生を担任する渡邊隼人さん(40)が、大阪府吹田市で4月に開かれたアマチュア腹話術師の全国大会「F-1腹話術グランプリ」で準優勝を果たした。併せて、過去4回の大会でいずれも決勝まで勝ち残った出場者に贈られるレジェンド賞を受賞した。ステージネームは「香之鳥(こうのとり)」という。 アマチュア腹話術師として全国ナンバー2の実力だ。4月の大会では「腹話術の王道を突っ走っている」「さわやかで引きつけられる」「歌を歌いながらの人形との掛け合いがすばらしい」などと評価された。 つくば市立作岡小(現在は秀峰筑波義務教育学校)教員だった2015年、一つ上の先輩教員に「一緒に習い事をしよう」と誘われ、市内の商業施設「イーアスつくば」のカルチャーセンターで腹話術を習い始めたのがきっかけ。月1回通い、かすみがうら市の腹話術師、田谷京子さんから技を学んだ。めきめき上達し、4年後の2019年、田谷さんの教え子として最高位の1級を取得した。「(ステージで)お客さんとコミュニケーションをとる際、自分だけでなく、人形もお客さんと目線を合わせることができるようになるまでがなかなか難しかった」と振り返る。F-1腹話術グランプリには、大会がスタートした2022年から連続出場する。 東京都出身。大学では生物学を専攻した。卒業後、都内で幼稚園教諭や学童保育指導員などを務めた経歴がある。当時の幼稚園教諭、保育士、教員仲間と2017年に、お話会ボランティア「おはなしらぼ」を設立し、現在も仲間とつくば市や埼玉県内各地で月1回程度、未就学児や小学校低学年を対象に、腹話術とパネルシアターや絵本の読み聞かせ、歌などを組み合わせたステージを披露している。 前任のつくばみらい市立板橋小(現在の伊奈東小)では特別支援学級の担任だった。授業に腹話術を取り入れ、子供たちが腹話術の人形と対話しながら自分と向き合う取り組みに挑戦した。授業で、「自分のせっかちな性格が好きじゃない」と話し出す子供に、渡辺さんが操る腹話術の人形が「それは、先回りして計画的にできるということでしょう」と切り返す。短所だと思っていた自分の性格を、別の視点から見せることで長所に変え、前向きな感情を引き出し、子供たちが自分自身と向き合う試みの一環だ。この試みを2023年の腹話術グランプリで発表し、「映像部門・仕事に使える腹話術部門」で優勝した。腹話術は現在も学級運営や特別な授業の際などに取り入れている。 相棒の人形は現在、オレンジ色のモンスター人形「たっくん」、おばあさんの「菊さん」、サルの「モンちゃん」、豚の「トン吉くん」、男の子の「ケンちゃん」など。6月14日、つくば市竹園の書店「えほんやなずな」で開いた「おはなしらぼ」のステージでは、モンスター人形「たっくん」と登場し、ほかのメンバ―との掛け合いで笑いをとり、子供たちを大喜びさせた。18日には陽光台小2年生全員約150人を対象に交通安全教室を開催。男の子の人形「ケンちゃん」と、横断歩道の渡り方などを笑いを交えながら教え、子供たちの目を輝かせた。 練習は、朝夕の通勤時、車を運転しながら、一人車内で大きな声を出したり歌ったりするのが日課という。「お客さんとやり取りし、拍手をいただくことは幸せな時間」「今は人形が手になじんできて、勝手にしゃべり出す。人形に助けてもらっている」と語る。 学校では、今後も学級運営などに腹話術を生かしていくほか、「おはなしらぼ」の活動を続けたいと話す。新たに都内の小劇場の舞台に立ち、お笑いの世界に挑戦するなど芸の幅を広げることも視野に入れる。(鈴木宏子)

水戸とつくばの人口逆転、その先を問う《水戸っぽの眼》14

【コラム・沼田誠】総務省が5月に公表した2025年国勢調査速報値(2025年10月1日時点)で、つくば市の人口が26万8991人となり、水戸市の26万5773人を抜いて県内最多になった。水戸が県内首位を譲るのは1975年以来50年ぶりだという。水戸に縁のある私としては個人的な感慨もあるが、それよりも語りたいのはその先のことだ。 この逆転は突然起きたわけではない。前回コラムで見たとおり、つくばの中古マンション単価は2010年から約15年で46%も上昇した(水戸は+7%)。つくばへの転入者の37%は東京都・千葉県・埼玉県・神奈川県から。首都圏の住宅事情の悪化が、TXで都心とつながるつくばを「子育て世帯の受け皿」に変えつつある。その動きが、人口増の形で表面化している。現場の感触もこれと重なる。何年か前のこと、あるデベロッパーが十数年ぶりに茨城県でマンションを供給した際、つくばと水戸にほぼ同時に同じブランドを建てた。両市の担当者から別々に話を聞く機会があったが、ターゲットは水戸では地元、つくばでは首都圏から広い部屋を求めて来る世帯とのことだった。つくばでは、別の不動産会社の方から「このマンション販売を機に他物件にも東京圏からの注目が集まった」と聞いた。 旧住民はプリン、新住民はカラメル ところで、市の人口が増えれば「うまくいっている」ことになるのだろうか? 五十嵐つくば市長はSNS上で、「『増えた』という事実は、『すべてがうまくいっている』を意味しません」と書いている。何がうまくいっていないか、いろいろ解釈があるだろう。私が気にかかることは、新住民の声が市政に届く「経路」がどうなっているのか、ということだ。 何年か前、ある行政関係者がこのような話をしていた。「つくば市はプリンに例えられる。新住民はカラメルで、目立つけど上に少し乗っているだけ。本体のプリンは旧住民。彼らが市政を動かしている」。人口が増えてもその本体は旧住民が担うということだろう。では、「カラメル」の声はどのように市政に届くのか?地域の要望は、自治会や町内会を通じて行政に上がることが多い。だが転入したばかりの世帯は、その枠の外にいることが少なくない。とりわけマンションの住民は、管理組合という「縦」のつながりは持っても、地域という「横」にはつながりにくい。また、組織された地縁の票に比べ、ばらけて見えにくい新住民の声を、あえて拾い上げようとする市議はいるのだろうか?もちろん、新住民にも地域に入り汗をかく人もいる。だが、個々人の努力に委ねるだけでは限界がある。問われるのは、行政がいかに能動的に声を拾い、前例に捉われず変化に対応していくか、だ。もっと言えば、旧住民と新住民が「同じ市民」として交わる場をどう設計するか、だ。その必要性は、まだ十分に想像されていない。 新旧を越えた「つくば市民」像を 第1回コラムでは、人口を増やしても、地域に主体的に参画する住民が増えなければ、住みやすい地域にはならないと書いた。人口が県内トップになったことで、つくば市政はこの問いを一段と重く感じるだろう。新住民を「カラメル」のまま終わらせず、新旧の垣根を越えた「つくば市民」像を、行政と住民が共に育てられるか―水戸市とつくば市の人口逆転は、その問いともいえる。(元水戸市みとの魅力発信課長)