第106回全国高校野球茨城大会は13日目の21日、2会場で4回戦4試合が行われた。J:COMスタジアム土浦の第1試合で土浦日大が藤代と対戦、初回に失った2点を追う展開だったが、6回に同点、8回に逆転を果たし逃げ切った。決勝打となったのは大橋篤志のフルカウントからのスリーバントスクイズだった。
土浦日大は初回、先発の小島笙がいきなり打ち込まれた。先頭打者の右中間三塁打と、2番打者の中前打で1点を失い、送りバントの後、4番打者の左前打で2点のビハインドとなった。ここで投手は小島から大井駿一郎へ交代。
「当初は5回からと思っていたので全然早い。だが今日は3点勝負と読んでいて、2点取られたのでこの時点で行かせようと思った。大井はこの夏初登板だが、こういう場面も頭の片隅では想定していたので、ライトに入れて用意させておいた」と小菅勲監督。「最初から用意してつくっていたので、あせりなく投げられた」と大井。この交代で試合を落ち着かせることができた。
反撃は5回裏から。先頭の7番・藪ノ下陽が左翼線へ二塁打、8番・野口智生が送りバントで1死三塁。9番・西澤丈の遊ゴロで1点を返した。
6回表には相手に引き離されたかと思われた場面もあった。1死一・三塁から犠牲フライで3走が生還。しかしこれはタッチアップ時の離塁が捕球よりも早かったと三塁手・石崎瀧碧がアピールし、判定が覆って三走はアウトとなった。
6回裏には先頭の4番・大井が左前打、5番・梶野悠仁が送りバントで1死二塁。6番・大橋の右翼への二塁打で同点とした。その後は互いに三者凡退が続いていたが、8回に均衡が崩れた。先頭の3番・中本佳吾が中前打、続く大井が死球、梶野が送りバントで1死二・三塁。この絶好の場面で大橋が打席に立った。
当初、小菅監督のサインは「打て」。だが3ボール2ストライクになったところで「スクイズ」に変わった。「カウントが進んで相手も外せなくなったところで勝負をかけた。インコース高めの、後ろへ抜けてしまいやすい難しい球をよく当ててくれた」と小菅監督。「流れが来ていたし、転がす練習はしていたので失敗する気はしなかった。マウンドを降りてきた投手の逆を突き、完璧に転がせたと思った瞬間、ランナーがかえっていた」
「序盤は苦しい展開だったがほぼ想定内。ビハインドのときの練習もしてきたのであせりはなく、自分たちの練習の成果が出せた」と中本主将。準々決勝の常磐大戦に向けては「昨年秋大会では4-14で負けた相手。チャレンジャーの気持ちで、自分たちの野球を貫き通しリベンジを果たしたい」と意気込んだ。(池田充雄)
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