月曜日, 1月 6, 2025
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「人はアルカリ性体質の動物」《邑から日本を見る》162

【コラム・先﨑千尋】牛久市にお住まいの長谷山俊郎さんから表題の本をいただいた。彼は私と同い年。農水省の研究機関で農村組織や地域活力などの研究を行ってきた。そのころからの知り合いだ。

長谷山さんは2003年に「日本地域活力研究所」を設立し、地域の活性化支援を行い、食と健康の解明に力を注ぎ、執筆や講演活動を続けている。本書は、健康や食に関する著書の6冊目で、「アルカリ性体質にすれば病気を生まない」など5部から成っている。なるほどそうだと思いながら通読した。

人間は誰でも達者で長生きしたいと願っている。私たちの平均寿命は戦後に随分延びたが、どこの病院も混んでいる。高齢者が集まると病気やけがの話になることが多い。薬漬けだと言う人もいる。医療費も年々増加し、健康保険料と合わせて私たちの家計を圧迫している。

長谷山さんは、この本で「食べ物でアルカリ性体質にすると、ほとんど病気にならない。がんもコロナもインフルエンザにもかからない。虫歯にもならない」ことを具体的に書いている。以下、この本から、大事だ、基本だと私が思ったことを抜き書きしてみよう。

がんやコロナは酸性環境を好む

現生人類は百数十万年前からほとんど生の植物を食べていた。植物はアルカリ性食材なので、それによって体を維持する機能が形成された。アルカリ性体質がいいというのは現在も変わらない。酸性の肉などを消化、分解、吸収する機能が備わっていない。

がんやコロナウイルスは、酸性環境を好み、アルカリ性の環境下では生きていけない。現代人は、肉や卵、魚、加工食品、チーズ、コーヒー、甘い菓子などを好んで食べるので、体質が酸性に傾き、がんなどにかかりやすくなる。

国立がん研究センターの調査によると、食事の酸性度が高いほど死亡リスクが上がる傾向にある。死亡リスクを高めないためには、肉、牛乳、加工食品などを減らし、野菜、果物、豆類、海藻類、キノコ、発酵食品を多めにとる。

虫歯、歯周病の予防と治療も、同じように、私たちの身体をアルカリ性体質にすることだ。長谷山さんは、坐骨神経痛、神経炎、リウマチ、痛風の原因は「肉食」だと言う。

腸内細菌を健全に保つことが大事

長谷山さんの腸内細菌の話も面白い。最近、テレビや新聞記事で腸内細菌のことが報道され、ああこのことかと思って見ている。腸内細菌とは、ヒトや動物の腸の内部に生息している細菌のことだ。種類は諸説あるが500~3万、概数は100~1000兆個。

食べ物は口で細かく刻まれ、食道、胃、十二指腸を経て小腸に運ばれる。その過程でアミノ酸やブドウ糖、脂肪酸などの栄養素に分解され、体内に吸収される。吸収されなかった食物繊維などは大腸に運ばれ、腸内細菌がこれを食べ、ミネラルと水分が身体に吸収され、残りが便として排出される。食物繊維が多ければ腸内細菌が元気になり、私たちの健康維持に寄与してくれるというのだ。

腸内細菌は、肥満や便秘の改善、発がん物質の抑制、脳機能の維持などの働きをしてくれている。腸内細菌を健全にしておくには、殺菌消毒は少なめに、抗生物質は多用せず、加工食品は控えめに。そのような私たちの日頃の注意によって、医者に行かないで健康でいられる暮らしができる。

そのヒントを、本書(B5判240ページ、素人=そじん=社発行、1400円+税)はたくさん用意している。(元瓜連町長)

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1年遅れで「協議会」設置へ 洞峰公園 つくば市

昨年2月、つくば市が県から無償譲渡を受けた洞峰公園(つくば市二の宮、約20ヘクタール)の管理運営方法などを協議する「協議会」=メモ=が3月にも設置される見通しになった。五十嵐立青市長は当初、昨年3月に協議会を設置する方針を示していた。1年遅れてようやく設置される。 市公園・施設課によると、協議会の組織イメージや構成について、昨年12月20日開かれた第3回洞峰公園・運営協議会設立準備会で方向性がまとまった。同準備会はメンバーも会議自体も非公開で進められ、昨年3月、4月、12月に計3回開催された。昨年6月には準備会の提案で、洞峰公園の自然環境や施設などの情報を市民と共有するためのイベントを市が開催した(24年6月5日付)。 1年遅れた理由について同課は、準備会で、洞峰公園について市民の理解が足りてないなどの意見が出て、6月にイベントを開催し、さらにイベントで市民から意見をもらって、意見を反映させるため時間がかかったなどと説明している。 委員会と分科会の2層 協議会で協議する内容は、公園や公園内施設の維持管理や運営、施設の長寿命化、自然環境の保全のほか、教育面での活用などについて協議し、公園管理者である市に提案する。当初の具体的な議題として、体育館やプール、テニスコートなど施設の利用料金、樹木など植栽の管理方法、駐車場の拡張の検討などのほか、子供たちが自由に遊ぶプレイパークなど子育てや教育での活用方法の検討などが想定されるという。 組織は委員会と分科会の2層構造で、委員会のメンバーは公募せず、学識経験者4人程度、市民・住民団体代表が最大8人程度と、施設管理事業者、造園関係団体、無償譲渡前に洞峰公園の管理担当だった県都市整備課長、つくば市議、市の各分野の担当課など計20人程度で構成する。 分科会は①環境➁教育③施設管理・運営の3つに分かれ、委員会メンバーである学識経験者と市民・住民団体代表などがそれぞれリーダー、サブリーダーとなるほか、メンバ―を一般から公募する。公募対象はつくば市内のほか、公園を利用する市外からも広く公募。3分科会それぞれ10数人程度集まると想定しているが、現時点で人数は制限しない方針だ。分科会の協議方法は、それぞれ公募で参加した市民らが各テーブルに分かれて意見を出し合う形になるという。 分科会と委員会、公園管理者である市との関係は、分科会はそれぞれ、参加メンバーの意見を集め、委員会は各分科会から出た意見を調整して市に提案する。市は委員会の提案を受けて管理・運営方針を作成などする。 協議会設置に向けた今後の日程は、1月上旬ごろに市が選定した委員会のメンバー候補者に参加を依頼、続いて1月中旬ごろから3つの分科会のメンバ―を市内外から公募する。2月下旬には委員会、分科会のメンバーをそれぞれ確定し、3月下旬には協議会を設置したいとしている。 協議会の開催日程については各分科会を3カ月に1回程度、3つの分科会のいずれかを毎月1回程度開催するペースになるのではないかとしている。会議は委員会、分科会いずれも公開で実施する予定という。 市が洞峰公園の無償譲渡を受けるに当たってはこれまで、公園の維持管理費のほか、体育館・プール、新都市記念館の長寿命化費用などの負担軽減が市議会や市民説明会などで指摘されてきた。五十嵐市長は今後の公園管理などの在り方について協議会を設置して決めると議会や説明会などで説明し、2024年度当初予算に、協議会を年間10回程度開催する予定で委員20人分の謝礼として200万円を計上していた。協議会で方針が出されるまでの公園の維持管理や運営については現状を維持するとして、2024年度については、これまで県の指定管理者として同公園を維持管理していた事業者に随意契約により年間約3億7900万円で維持管理と運営を委託している。(鈴木宏子) ※メモ【協議会】2017年6月の都市公園法改正で、パークPFI(公募設置管理制度)などと共に新たに設けられた制度。都市公園の利用者の利便の向上に必要な協議を行うために設置することができる組織で、メンバーは、公園管理者、関係行政機関、関係自治体、学識経験者、観光関係団体、商工関係団体と、その他の公園利用者の利便性の向上に資する活動を行う者(住民団体、愛護会、自治会、指定管理者、公園施設の設置・運営者など)などで構成するとされる。各構成員は協議が整った事項について尊重義務がある。