水曜日, 6月 26, 2024
ホームつくば筑波大の理系男子2人 焼き芋を移動販売

筑波大の理系男子2人 焼き芋を移動販売

オフシーズンの新商品に「焼き芋ボール」

焼き芋の移動販売を昨年12月から始めた筑波大大学院1年の金龍泰さん(24)と同大4年の田邉渓太さん(23)が、焼き芋を使った新商品を販売している。金さんは工学システム、田邉さんは物理学を専攻する理系学生だ。

25、26日につくばセンタービル1階の貸オフィスco-en(コーエン)=同市吾妻=で開催されている同市上郷地区の物産展「EAT and kamiGO(イートアンドカミゴー)」で販売中。

「焼き芋を焼く温度は高すぎても低すぎてもダメ。ちょうどいい焦げ感を出すのも難しい」と、金さんが焼き芋作りの奥深さを語る。

新作の「焼き芋ボール」

金さんは昨年12月に田邉さんと、同市上郷でブルーベリーの観光農園やカフェを運営する「アオニサイファーム」(青木真矢代表)の事業の一環として「阿吽(あうん)の焼き芋屋」を始めた。市内を中心に県内外のイベントなどで、改良した軽バンを使った焼き芋の移動販売を手掛ける。

今回の物産展では、焼き芋のオフシーズンに向けた新商品として、すりつぶした焼き芋に片栗粉を練り込み、一口サイズに丸めて油で揚げた「焼き芋ボール」を考案した。焼き芋の風味を生かしつつ「外はカリッと、中はもっちり。サクッと食べられる」ように意識した。

「使用するのは上郷の農家さんが作る芋。美味しいものを作ることで、私たちの食を支える農家さんの魅力を伝えていきたい」と2人は思いを語る。

焼き芋販売は「アオニサイファーム」の事業だが、金さんと田邉さんが収支計画を立て、売り上げの中で経費を賄っている。「青木さんには好きにやっていいと言ってもらっている。困った時に相談に乗ってくれる」

「焼き芋ボール」はオーダーが入ってから揚げ始める

「選挙割」「つくばクエスト」を企画

金さんと田邉さんは、若年層の投票率向上を目的に活動する学生団体「ドットジェイピーつくば支部」(現在は同水戸支部に統合)のメンバーとして、投票すると提携する店舗で割引を受けることができる「選挙割」や、街歩きイベント「つくばクエスト」などの企画に携わってきた。

その後も、地元の農家や飲食店に協力して食品開発をするなど、地域と関わる活動に力を注いできた。その中で出会ったのが、情報誌の作成などを通じて農業の魅力を発信している「アオニサイファーム」の青木代表だった。地元の上郷や周辺地域で作られるサツマイモを使った焼き芋販売は、青木さんから誘われスタートさせた。

「阿吽焼き芋屋」の移動販売車(阿吽焼き芋屋提供)

焼き方のパターンを実験

「普通の焼き芋じゃダメ、こだわりたいと思った」と話す金さんは「夜通し焼いて、美味しい焼き方を研究した」と販売に向けた努力を振り返る。田邉さんは「あえて意識はしていないが、いろいろな焼き方のパターンを実験しているのは理系的かもしれない。自分たちにとって焼き芋作りは初めての世界。知らない分野だからこその面白さがある」と話す。

改良した軽バンで各地のイベントに出店すると、「おいしい、あまい。焼き芋の質がいい」という声を掛けられた。田邉さんは「その声は僕らにとってもうれしいし、農家さんに伝えると喜んでくれる。僕らの焼き方がよかったというよりも、農家さんの力だと思っている。農家さんが買い手から意見を聞くことは難しいかもしれない。わたしたちが伝えられるといい」と、生産者と消費者の媒介者としての役目があると話す。「行った先で売れるかわからない難しさがあるし、コンビニやスーパーで売っている安い焼き芋との値段の差をお客さんにどう納得してもらえるか。見せ方を含めて考えていかなければ」と今後の課題も浮かんできた。

地域の魅力発信したい

金さんは「これまでに(選挙割など)イベントを企画はしてきたが、作るのは生産者の方に頼ってきた。焼き芋は初めて自分が作る側に立つ機会。ものづくりの奥深さにも気付かされた。農家のことを伝えるという意味での焼き芋。そのためにも一番美味しいものを作っていきたい」と今後について思いを語る。

田邉さんは「僕は宮崎出身。つくばに来て地域に関わる中で、自分たちなりに面白いと感じる地域の魅力がある。魅力的な方たちとの出会いもあった。大学にいると、つくばは学生の街、研究の街というイメージが先行していたが、一歩外に出ると田園があり、素朴な風景が広がっている。そのコントラストに魅力を感じる。活動を通じて多くの方と出会い、それぞれの価値観や、地域のことを知る機会になった。地域の魅力の発信と、実際にお客さんが来るためにはどうするかを考えていきたい」と話す。

2人に声を掛けた青木さんは「2人は地域を盛り上げようと意欲的。自分たちで考える姿を見守りながら、焼き芋をきっかけにさらに活動を展開していけたら。つくばの中心地域と農村部を繋いでいきたい。いろいろな人が関わることで、地域がさらに盛り上がっていくと思う」と話す。(柴田大輔)

◆「阿吽の焼き芋屋」の出店予定は公式インスタグラム「阿吽の焼き芋屋」へ。

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

コメントをメールに通知
次のコメントを通知:
guest
最近NEWSつくばのコメント欄が荒れていると指摘を受けます。NEWSつくばはプライバシーポリシーで基準を明示した上で、誹謗中傷によって個人の名誉を侵害したり、営業を妨害したり、差別を助長する投稿を削除して参りました。
今回、削除機能をより強化するため、誹謗中傷等を繰り返した投稿者に対しては、NEWSつくばにコメントを投稿できないようにします。さらにコメント欄が荒れるのを防ぐため、1つの記事に投稿できる回数を1人3回までに制限します。ご協力をお願いします。

NEWSつくばは誹謗中傷等を防ぐためコメント投稿を1記事当たり3回までに制限して参りましたが、2月1日から新たに「認定コメンテーター」制度を創設し、登録者を募集します。認定コメンテーターには氏名と顔写真を表示してコメントしていただき、投稿の回数制限は設けません。希望者は氏名、住所を記載し、顔写真を添付の上、info@newstsukuba.jp宛て登録をお願いします。

0 Comments
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img
spot_img

最近のコメント

最新記事

生産者紹介サイト立ち上げ つくばに移住し農業をプロデュース

野菜の卸を通じて農業をプロデュースする「よろぎ野.菜よろぎの」(つくば市万博公園西、吉田巧代表)は26日までに、農家自らが情報発信できるオンラインプラットフォーム「いばれる農産人のうさんじん生産者紹介サイト」を開設した。農業におけるモノ・ヒト・チイキをブランド化するプロジェクトの第1弾に位置付け、まずは掲載希望農家の募集を開始した。 つくば市に2011年3月に起業した同社は現在、茨城をはじめ全国各地の農家約100軒と契約し、生産野菜を飲食店や食品スーパーなど約30企業に納入する卸販売を行っている。取引先開拓を続ける中で、これ以上の販売促進には特に生産者のブランド化が不可欠と考えた。 生産者は気候変動の中で作物の安定的な収量確保に毎年のように苦戦しており、流通側はフードロスの抑止や運転手確保の2024年問題に苦慮している。この両者をダイレクトにつなぐのが同社の立ち位置。今回立ち上げたサイトは消費者向けではないが、スーパーや飲食店が、掲載されている生産者に直接コンタクトを取ることができるのが特徴。流通面についても必要に応じて、同社による橋渡しが可能としている。 同社では近年、ドローンによる栽培管理の効率化やIoT化に業容を拡大している。生産者はこれらに積極的に取り組んでいるものの、企業向けの販売促進には手が回らない。約100件の農家のうち自前のホームページを持っているのは5指に満たない。X(旧ツイッター)などのSNS素材では、販促材料として企業へのプレゼンに使えなかった。 オンラインプラットフォームでは、  同社が運営管理者となって写真撮影や記事作成のバックアップ、サイトの告知などを行う。吉田代表によれば生産者の「顔が見える」形で農産物が迅速に流通する仕組みという。 サイトでは生産者、生産地、生産物の3つのカテゴリー別に欲しい情報にアクセスできる。始まったばかりで掲載生産者は県内の2軒、農産物はトマト、トウモロコシ、コメの3種にとどまるが「茨城にとどまることなくネットワークを広げていきたい」と吉田代表。神奈川県出身、OA機器の営業職から脱サラして、茨城に2008年に移住。「産地も販売先もあるが加工部門がないのが茨城の不満」という46歳だ。(相澤冬樹) ■よろぎ野ホームページはこちら

きみは影《短いおはなし》28

【ノベル・伊東葎花】 学校の帰り道、友達が僕の足元を指さした。 「タケシくん、影がないよ」 見ると、こんなに陽が照っているのに、僕の影だけがなかった。 「こわい! タケシくん、妖怪なの?」 「タケシくん、妖怪だ、逃げろ、逃げろ」 僕は泣きながら家に帰った。洗濯物を取り込んでいたお母さんが「どうしたの?」と言った。 「お母さん、僕の影がないんだ。僕、人間じゃないんだ」 お母さんは笑いながら、僕のあたまを優しくなでた。 「バカねえ。タケシは人間だよ」 「だって影が…」 「あのね、タケシ。影はね、ときどきいなくなるんだよ。ときどきどこかに遊びに行くんだ」 「そうなの?」 「そうよ。ほら、もう戻ってきたよ。足元を見てごらん」 下を見ると、僕の影はちゃんとあった。お母さんの影と並んで、長く伸びていた。 それから僕は、歩く人の影を見るようになった。お母さんが言う通りだ。ときどき、影のない人がいる。影も遊びに行くんだ。影もたまには遊びたいんだ。僕たちと同じだ。 夏休みになった。僕は部屋で、ダラダラと宿題をやっていた。 『出かけないのかい?』 足もとから、声がした。 「だれ?」 『きみの影だよ。今日はちょっと遊びに行こうと思っているんだけど、きみが外へ出てくれないとボクも遊びに行けないんだ』 影の声だ。影が僕に話しかけている。ワクワクした。 「どこに遊びに行くの?」 『いろんな所さ』 「何をして遊ぶの?」 『木に登ったり、ジャングルジムの天辺に登ったりするんだ。何しろいつも地べたを這っているからね。高いところで遊ぶんだ』 「ふうん。楽しそうだね」 『代わるかい? ボクが宿題をやってあげるから、きみが遊びに行ってきなよ』 「いいの? でも、そんなことできるの?」 『うん、できるよ。簡単だよ。きみはちょっと遊んで、すぐに戻ってくればいいのさ』 「わかった」 外に出ると、影は僕の姿になった。そして僕は、まっ黒な影になった。さあ遊びに行こうと思ったけれど、僕は動けなかった。僕は、僕になった影の足元で、地べたを這っていた。ニセモノの僕の動きに合わせて、ずるずると引きずられる影になった。「話がちがうよ」と叫んでも、ニセモノの僕は知らんぷりで歩いている。戻りたいと願っても、どうすることもできない。 「タケシ」 お母さんが、外に出て来た。 「一緒に買い物に行こうか」 「うん。行く行く」 僕になった影が、お母さんと並んで歩き出した。 僕は必死で訴えた。 『お母さん、そいつは影だよ。僕はこっちだよ』 お母さんではなく、お母さんの影が答えた。 『タケシ、あんたもだまされたんだね』 お母さんは地べたを這いながら、諦めたように言った。 『大丈夫。そのうち慣れるから』 影になったまま、夏休みが終わった。学校の帰り道、僕になった影が、友達の足元を指さした。 「ゆかりちゃん、影がないよ」 ああ、ゆかりちゃん、きみももうすぐ影になるんだね。大丈夫。そのうち慣れるよ。(作家)

議会から懸念相次ぐ 8月につくば市全域で実証実験 オンデマンド移動期日前投票

最終判断は9月1日 市選管で ワゴン車に投票箱を積んで自宅前まで出向くオンデマンド型移動期日前投票について、つくば市は10月の市長選・市議選での導入を目指し、8月に市全域で実証実験となる模擬投票を実施する方針を25日開かれた市議会総務文教委員会(木村修寿委員長)で明らかにした。オンデマンド移動期日前投票に対してはこれまで市選挙管理委員会が2度も「時期尚早」だとする見解を出している(5月30日付、6月3日付)。25日の委員会では「(市は)どうやっても突き進むのか」など懸念の声が相次いだ。10月の選挙で実施するか否かの最終判断は、9月1日開催の市選挙管理委員会で出される。 五十嵐立青市長は2021年5月、内閣府の国家戦略特区ワーキンググループに「3年後(2024年)の市長、市議会議員選挙で、必ずネット投票を導入したい」とアピールし、市は22年4月、インターネット投票を看板事業に、国からスーパーシティ型国家戦略特区の認定を受けた(22年8月3日付)。一方、投票の秘密を守る環境の確保や、買収や強要の懸念などネット投票に対する課題が解決されず、今年10月の選挙では導入することができない。これに対し五十嵐市長は、ネット投票導入につながるステップだと位置づけ、オンデマンド移動期日前投票を10月の選挙で実施したい意向だ。今年1月には市北部の筑波と臼井地区で実証実験を実施した(1月26日付)。 7月1日から2000人超に案内を発送 市政策イノベーション部によると、8月の実証実験に向けて7月1日から、自力で歩くことが難しい市全域の要介護度3や4などの対象者2000人から2500人にダイレクトメールで、管理番号を記載した案内を送る。7月4日から18日に電話または市ホームページの電子申請により事前申請を受け付け、併せて市職員が申請者宅に行き、ワゴン車が自宅敷地内に入れるか、自宅からワゴン車までの介助の有無や動線、ニーズなどを確認する。 さらに7月22日~8月2日まで模擬投票の予約を受け付け、8月6~9日までの4日間、ワゴン車2台が北部と南部に分かれてそれぞれ申請者宅を巡回し模擬投票を実施する予定だ。ワゴン車はリフト付きで、申請者は車椅子のまま乗り込み、車内で投票する。 ワゴン車が自宅に駐車できない場合などは、近くの駐車スペースにワゴン車を駐車し、介護タクシーが自宅から送迎などする。申請者は100人程度を想定している。市全域での検証結果や対策を8月中にまとめ。市選管の判断を仰ぐ。 これに対し25日の委員会では委員から「選挙は、失敗は許されない。かなりタイトな日程で、9月1日の1回の選管で協議して判断できるか疑問というか大変」という意見や、「実証実験は周知期間がほとんど無いが、本番は全国に報道されると思うので申込者はもっと増えると思う。実証できても実装できるとは限らない。コストをどこまでかけるか考えた時、このやり方は無理がある。タクシー券を配るので、自力でタクシーに乗れない人は介護福祉タクシーに手伝ってもらって期日前投票所に行くのはどうか。通常の選挙でもミス無くやるのは難しいことは実証されている。選管本来の業務にほころびが出ないか」など、ほぼ全員の委員から懸念が出された。 1月の実証実験は9000万円 さらに実証実験の予算について、今年1月26日に市北部の筑波地区と臼井地区で実施されたオンデマンド型移動期日前投票の実証実験では、予約システムと運行ルートの最適化システムの構築や、影響評価などに計約9000万円の国の事業費をかけていたことが明らかとなった。 8月の実証実験の予算について市は、10月の選挙と一体のものとして、当初予算で計上されている市長選・市議選の予算の中で実施するとし、8月の実証実験に関する予算を別途計上し市議会に諮るべきだとする委員との間で議論になる場面もあった。8月の実証実験にいくらかかるかは委員会で明らかにされなかった。市は当初予算として市長・市議選オンデマンド型移動期日前投票事業に約1300万円を計上している。(鈴木宏子)

苦手克服へ子どもたちがチャレンジ 放課後体育館でNPOが運動教室

放課後の体育館を使った運動教室で、子どもたちがとび箱やマット運動などの練習を行っている。教室を運営しているのはNPO法人ネクストワン(Next one. つくば市松代、井上真理子代表)だ。発足して12年、子どもたちが苦手を克服し自分で目標を設定しチャレンジする心を育てたいと、つくば市の学校体育施設開放事業を活用して小学校の体育館で活動を続けている。 6月下旬、谷田部南小学校に5歳から小学6年生までの子ども約20人が集まり、それぞれが目標とするとび箱や鉄棒など、学校の授業で習う種目を40分間練習した。教室は1回70分で全8回のプログラム。この日はプログラムの最終日で、練習した後にこれまでの成果を披露する発表会が行われる。諦めず、同じ技を何度も繰り返す子どもたちの様子を家族も見守った。「出来てるよ」「その調子」と声掛けをしながら、子どもたちを見守りサポートするのは、代表の井上さんと筑波大学の学生たちだ。 応援し合って成果を披露 練習の後はいよいよ発表会。一人一人が目標にしている技を全員の前で披露した。「仲間を応援しましょう」という井上さんの声掛けで、子どもたちから「頑張れー!頑張れー!」と声が上がる。小学4年の小田部翠葉さんは連続逆上がりを見事に成功させて笑顔。仲間たちから拍手喝さいが起こった。「プログラムに参加して楽しかった。今日は緊張感ゼロでやれた」。小学2年の芝山優衣さんも逆上がりに成功し、これで器械運動の技12種に合格したという。修了証書を手に「サッカーが好き。ワールドカップに出るのが目標」と夢を話した。 筑波大の学生が見守る 子どもたちをサポートしたスタッフの森洸輔さんは体育専門学群の4年生。「子どもたちは本当に素直。声の掛け方次第で子どもたちの力を引き出せるのが楽しく、勉強になる」と話す。教育分野で仕事をすることも夢の一つという。国際総合学類2年の加藤梓栞(しおり)さんは、小児看護を勉強する先輩がスタッフとして活動しており、その紹介で参加した。「子どもが好きで、運動やコミュニケーションも好き。発展途上国の教育制度の問題にも興味を持っている」と話す。 外遊びやアウトドアキャンプも 代表の井上さんも筑波大大学院で体育科学を修了した指導者だ。運動が苦手な子どもも楽しみながら練習できることを目指し、教室を運営している。市の学校体育施設開放事業を利用した「うんどう・たいいく教室」のほか、様々なスポーツ種目のプロ選手などに直接指導を受けられる「スポーツ探検隊」、外遊びで体を動かす「あそびクラブ」、アウトドアキャンプを体験する「ちゃれんじキャンプ」など、子どもたちの心身を養う教室を企画し、ホームページ制作からチラシ作りまで、全て自分で行う。今年度は4月から延べ270人が市内外から教室に参加している。 やった人にしか分からない学びがある 井上さんは大学で小中高の教員免許を取得し、大学院で体育科学の修士課程を修了した。卒業後、生涯スポーツを振興するNPO法人アクティブつくば(同市春日)で活動した。アクティブつくばの事業の一部を引き継いで、2012年にネクストワンを立ち上げ活動を続けている。 学生時代、学校と部活が大好きだったという井上さん。「勝てないソフトボールの部活動が楽しかった」と笑う。高校では理系に進み、一時は大好きな学校を建てる建築士になることを目指した。受験勉強をしながらスポーツと関わらない1年を送る中、自分にとって体を動かすことがとても大切だと気付き、スポーツを学びたいと進路を変更した。「あいさつや人との関わり方、目上の人への対応などスポーツや部活を通して大事なことを学んだ。その種目をやった人にしか分からない学びがある。学校やどこかで誰かにほめられるとうれしい。ネクストワンの活動で何かを得た人が、次に何かを発信できる人になってほしい」と話す。(田中めぐみ) ◆「スポーツ探検隊」では7月に県障害者パラカヌー協会代表の朝日省一さんを講師としたパラカヌー、サッカーやサーフィンの体験を企画している。詳細は同会ホームページへ。