日曜日, 6月 15, 2025
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地域の寺社仏閣「ゲニウス・ロキ」《看取り医者は見た!》6

【コラム・平野国美】著名な神社・寺院の近くには駅が建てられた時代がありました。駅名に限らず、地名や門前の商店街にもその名称が使われています。これらの宗教施設は、地域の信仰や歴史的な背景を示すものとして、地元の人々にとって重要な存在なのです。前回コラムで書いた「地霊 ゲニウス・ロキ」の一つでもあると思います。

それは地域のアイデンティティであり、観光客にとっても、その地域の歴史や文化に触れる機会となります。宗教が少しタブー視される現代ですが、我々の伝統的な宗教は、そこがコミュニティでした。昔は寺子屋として読み書きを習い、人生相談の場所であり、誕生から成人を、そして死までの通過儀礼に関わってきた場所でした。

しかし、少しずつ、その存在が意義を失いつつあると思えるのです。関係者から話を聞いていると、存続維持には経済的な問題も出てくるのです。人口減少もあり、今後に危機を感じている寺社仏閣は多いようです。「月間住職」という雑誌も、かなり以前から、この種の問題を取り上げています。寺社仏閣だけでなく、個人商店、私どもの存続も同様の問題です。

テレビCMが流されている有名な厄よけ大師は、跡取りが帰った時には存続の危機だったそうです。そのとき、住職の年齢が厄年に当たり、同窓会名簿を使いダイレクトメールを出した結果、今の隆盛となったそうです。五芒星(ごぼうせい)のマークで有名な京都の神社も、50年前は次の台風で倒壊の危険もあったそうです。

近隣の住人のボランティアで、何とか維持されていたそうですが、安倍晴明が小説・映画に登場した瞬間に女子高生にブレイクし、京都で一番経済効率の良い神社になったそうです。しかし、五芒星を印字した商品をコントロールしようとして、門前の住民との対立を招いたようです。

寺社仏閣は町おこしの起爆剤となるのか?

今、寺社仏閣は町おこしの起爆剤となるのか? 寺社仏閣は地域の文化や歴史と深く結び付いており、古い建築物や芸術作品、宗教行事には独自の魅力があります。それゆえ、観光資源としての役割も果たします。地域に観光客を呼び込み、地域経済の活性化につながる可能性があります。

そして、日常においては交流・イベントの拠点となるのです。宗教行事に限らず、様々なイベントが行われ、地域の活性化やコミュニティの形成に寄与することがあります。 ただし、宗教施設単独では、その効果も薄いでしょう。町おこしの成功には他の要素も関与します。例えば、交通、宿泊施設、他の観光資源との連携などが必要です。強いては、地域住民との協力なども必要です。

寺社仏閣が町おこしの起爆剤となるかどうかは、地域の特性を住民と、どう考えるか? 決して、立派な施設だけでなく、「けったいなもの」が面白い仕掛けになることもあります。上の写真は、そんな魅力を感じるものです。(訪問診療医師)

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難民支援へ連帯 つくば市役所を青色にライトアップ

6月20日は世界難民の日 国連が定めた「世界難民の日(6月20日)」を前に12日夜、つくば市役所本庁舎東側壁面が4灯の青いライトで照らされた。ライトアップの期間は12日から29日まで、毎日夜7時から10時まで点灯される。 世界難民の日は、難民の保護と支援に世界的な関心を高めることを目的に2000年12月4日に国連総会で決議された。各地の建物を国連のシンボルカラーである青色でライトアップすることは、難民支援への連帯を示す。世界約130カ国で難民支援などに取り組む国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の駐日事務所が、この日に合わせて呼び掛けた。 県内ではつくば市役所のほか水戸芸術館(水戸市)が参加している。ほかに札幌市時計台(札幌市)、鶴ケ城天守閣(福島県会津若松市)、都庁第一本庁舎(東京都新宿区)、東寺(京都市)、熊本城天守閣(熊本市)など全国67カ所が青色にライトアップされる。また期間中は、国連大学(東京都渋谷区)やの佐賀県庁旧館(佐賀市)など全国6カ所で「世界難民の日こいのぼり」が掲揚される。 つくば市は今年5月、UNHCRが進める国際キャンペーン「難民を支える自治体ネットワーク」に加入し、5月18日に市内で行われた科学と国際交流イベント「つくばフェスティバル2025」内で同ネットワークへの加入署名式が行われ、UNHCR駐日主席副代表代行の桒原妙子さんと五十嵐立青市長が同ネットワークへの賛同表明文に署名した(5月19日付)。昨年、同市は世界難民の日に合わせて、2021年に開催された「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会」に参加した難民アスリートの活躍やヒューマンストーリーを収めた「難民アスリート写真展」や、市国際交流協会主催の国際理解講座「世界お茶のみ話」で「難民ワークショップ」を開催するなど、難民支援への理解啓発に取り組んできた。 企画を担当する同市国際都市推進課は「今回の企画を通じて多くの市民が難民問題に関心を持つ機会につなげたい」とし、「つくば市には多様な国や地域出身の方が暮らしている。誰にとっても暮らしやすい街にしていきたい」とする。一方で「他の国々には、さまざまな環境の中で現地に留まらざるを得ない方々もいる。そういった方々へ、UNHCRを通じて今後も支援をしていきたい」と思いを語った。今回のライトアップにかかる事業費はライトの設置費など約50万円という。(柴田大輔)