水曜日, 4月 16, 2025
ホームスポーツ本来の細かい野球できてない 霞ケ浦・高橋監督【高校野球’22展望】

本来の細かい野球できてない 霞ケ浦・高橋監督【高校野球’22展望】

第104回全国高校野球選手権茨城大会が開幕した。出場を間近に控えた有力校インタビュー第2回は、霞ケ浦高の高橋祐二監督に、チームの特徴や意気込みを聞いた。

2カ月半治療に専念し復帰

―春の大会は監督代行で臨みました。体調はいかがですか。
高橋 3月中旬から入院し、チームから離れて2カ月半は治療に専念していました。その間は大高先生と直井先生に監督代行として指揮を執ってもらいました。おかげさまでもう回復し、リハビリ期間を経て現場復帰ができました。春の大会期間中の大事な時期にチームを離れていたので、何度もミーティングを行って、このままの体制で夏まで行くか、私が監督に復帰するかを話し合いましたが、監督として復帰することになりました。

霞ケ浦・高橋祐二監督

―今年のチームの特徴を教えてください。
高橋 秋も春も勝ち上がることができませんでした。去年も本来の霞ケ浦の細かい野球ができていないと言いましたが、今年も同じような状況です。打撃の破壊力は持ち合わせていますが、いつもそれが出るわけではないですし、投打のバランスを保ってチームづくりをするのは難しいと感じています。

投手陣は山田が軸に

―投手陣はどうでしょう。
高橋 雰囲気のあるピッチャーがそろっているのですが、例年のような失点が計算できる中心となるピッチャーがいません。3人が140キロ以上を投げますが、現時点では誰もエースと呼べません。ピッチャーのマネジメントが例年通りにでませんでしたし、メンタルのケアに関しても私が2カ月半留守にした影響は否めません。その点は申しわけないところですが、先輩たちもそうであったように、自分たちで殻を破ってもう少し伸びて欲しかったという気持ちもあります。ただ、この1年間で完投勝利したピッチャーはいなかったのですが、先日の練習試合で赤羽蓮(3年)が初めて完投勝利を収めたことは成長を感じる部分です。

―各投手の状態を具体的に教えてください。
高橋 左腕の山田大河(3年)は去年の秋に負けた土浦日大戦での失点はホームランの1点のみ。春も鹿島学園戦では圧巻のピッチングをしました。後はエースになるためのエッセンスをこの2カ月半で付け加えてググッと仕上げてあげたかったのですが、修正しきれていません。ただし、崩していたバランスも改善されてきてボールの質が改善しつつあるので、夏は山田が軸になってくると思います。
木村優人(2年)に関してはライトで出場しなければ、ピッチャーとして出場します。まさに大谷翔平選手(大リーグ・エンゼルス)のような二刀流です。最近はようやく打撃にも力を入れて取り組むようになりました。赤羽と渡邉夏一(3年)は体格に恵まれた素材型ですが、夏の大会でチームを背負ってマウンドに上がるだけのメンタルが十分に備わっていません。ここに来て、黒須悠斗(3年)というコツコツ頑張ってきた左腕が頭角を現してきました。昨日の練習試合でも良い感じで持ち味を発揮していました。

打線にしつこさ、しぶとさ

―野手陣はどうでしょうか。
高橋 ショートの新保玖和(2年)を中心に、キャッチャーの羽成朔太郎(1年)と太田遥人(2年)の二人、セカンドの大塚碧人(3年)を含めてセンターラインはある程度まとまりが出てきました。特に新保は気持ちの強い選手で、下級生ながらチームを引っ張ってくれています。

―打撃陣はどうですか。
高橋 上位が得点源です。1番・大徳岳登(3年)、2番・新保、3番・木村の3人は状況に応じたバッティングができて、かなり機能するようになっています。打撃陣は決してパワフルではないですが、霞ヶ浦が目指すしつこさ、しぶとさが見られるようになっています。

インタビューに丁寧に答える高橋監督=霞ケ浦高(阿見町)

―他校にも共通の質問項目として伺っているのですが、自宅から通っている部員もいるのでしょうか。
高橋 自宅通いの地元の選手はたくさんいます。レギュラーメンバーでも2名は自宅から通っています。レギュラーになったら寮に入るという決まりはありません。

元広島の鈴木投手が指導

―広島東洋カープを退団した鈴木寛人投手が後輩の指導に当たっていると伺いました。
高橋 現在はアマチュア指導資格を回復して霞ケ浦の寮で後輩と過ごし、一緒に汗を流しながら貴重なNPBの経験を選手に伝えてくれています。

―二季連続で茨城を制している明秀学園日立をどう見ていますか。
高橋 とてつもなく強いです。経験豊富な猪俣投手を中心に非常にまとまりがありますし、打撃陣も破壊力がある。これだけのチームとお互い万全の状態で、序盤戦で当たってみたかった気持ちも少なからずありました。

―最後に組み合わせに関する所感と、夏に向けての意気込みをお願いします。
高橋 どんな組み合わせでも甲子園に行くときは行くし、負けるときは負けますので、組み合わせは関係ありません。(聞き手・伊達康)

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

2 コメント

コメントをメールに通知
次のコメントを通知:
guest
最近NEWSつくばのコメント欄が荒れていると指摘を受けます。NEWSつくばはプライバシーポリシーで基準を明示した上で、誹謗中傷によって個人の名誉を侵害したり、営業を妨害したり、差別を助長する投稿を削除して参りました。
今回、削除機能をより強化するため、誹謗中傷等を繰り返した投稿者に対しては、NEWSつくばにコメントを投稿できないようにします。さらにコメント欄が荒れるのを防ぐため、1つの記事に投稿できる回数を1人3回までに制限します。ご協力をお願いします。

NEWSつくばは誹謗中傷等を防ぐためコメント投稿を1記事当たり3回までに制限して参りましたが、2月1日から新たに「認定コメンテーター」制度を創設し、登録者を募集します。認定コメンテーターには氏名と顔写真を表示してコメントしていただき、投稿の回数制限は設けません。希望者は氏名、住所を記載し、顔写真を添付の上、info@newstsukuba.jp宛て登録をお願いします。

2 Comments
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

豊里ゆかりの森のスペースキャビン《ご近所スケッチ》16

【コラム・川浪せつ子】つくば市の「豊里ゆかりの森」(同市遠東)の中にある「スペースキャビン」。つくば科学万国博覧会のとき、宿泊施設として造られました。1985年オープンなので、建ったのは40年前です。今でも宿泊に使われています。年数が経ったため、現在11棟あるものを修理し、数棟に減らす予定だそうです。自然の中のこの場所の風景にマッチしています。 園内には、キャンプ場、バーベキュー場、アスレティック施設、テニスコート、宿泊施設「あかまつ」、昆虫館、工芸館などがあります。スケッチに行ったとき、平日にもかかわらず、年配の方から子供まで、たくさんの方が来訪されていました。 昨年からは美術館も開館。日本のトップクラスの画家さんの展覧会が、今までに3回も開催されました。それも無料で! 4回目の展覧会も期待しています。 ゆかりの森の入り口手前に、私の30数年来の友人が「野市場」という農産物販売所と自然体験活動のクラブハウスを造りました。農作物などの販売のほか、ネイチャークラブ20数年のキャリアが詰め込まれた店主さんの野外活動の拠点にもなっています。 お店の本格的な始動は4月25日から。「野市場」の建物も描かせて頂きました。つくばに新しい風を吹き込んで、地域と自然を大切にして、楽しく暮らせる場所になっていくことでしょう。(イラストレーター) ◆「野市場」はこちら。「つくばネイチャークラブ」はこちら。

暗い世情、明るい未来を 「茨城現展」始まる 県つくば美術館

個性を尊重し自由な表現活動を行う美術家団体「現代美術家協会茨城支部」(佐野幸子支部長)の第41回茨城現展が15日から、つくば市吾妻、県つくば美術館で開かれている。佐野支部長は「戦争など、世界中で不幸なニュースが多い中、明るい未来がくることを願う作品が目立つ」と話す。 茨城支部の会員など約50人の美術家による油絵、デザイン、立体作品、工芸、写真などさまざまなジャンルの計201点が一堂に展示されている。 佐野支部長は、ロシアによるウクライナ侵攻後、2年前ほどから、反戦をテーマにした作品を描き続けている。今年は、今も続く戦禍で大変な思いをしている人々にエールを送りたいと、旗をイメージした縦1.9メートル、横1.6メートルの抽象画を展示している。作品には渦巻きがいくつも描かれ、戦禍の人々の思いが渦を巻く。 つくば市在住の佐々木量代さんは、草原の背景に不吉な雲がもくもくと立ち上る「乱気流」と題する作品を出展している。「世の中のごたごたや殺伐とした世界を、よく目にする日常風景の中に表現した」と話す。牛久市の福田三恵子さんは、能登半島に伝わる「織姫伝説」をテーマに、満開の桜の花に包まれた織姫の姿を描いた。「地震に見舞われた能登半島の復興が進まない中、早く復興してほしいという願いを込めた」と語る。 会場では企画展示として、中国出身で阿見町在住のステンドグラス作家、劉毅(りゅう・き)さんによるペン画と、渡辺雅之さんによるアニメの世界のようなデジタルアートが展示されている。 劉さんのペン画作品「日々を描く」は、劉さんがほぼ毎日付けている日記帳に描かれたデッサンを、動物、人物などジャンルに分け、縦約1メートル、横約1.5メートルのキャンパスに約120ページ分貼り付けている。11人の顔をデッサンした「夢を見て日本へ」は、劉さんが支援するベトナム、インドネシア、中国など各国から来日した実習生の姿や表情などが描かれている。 ほかに、つくば市の筑波山麓で有機農業をしながら絵を描いたり演劇活動をする障害者施設「自然生クラブ」の知的障害者が描いた作品も併せて展示されている。会員以外の作品が展示されるのは今回が初めてという。 ◆同展は15日(火)~20日(日)まで、つくば市吾妻2-8、県つくば美術館で開催。開館時間は午前9時30分~午後5時(最終日は午後3時まで)。入場無料。

地域と協業する大学部活動の新しい形 「つくばスクラム」が支援

茨城県南部は、茗溪学園中学・高校や筑波大学、流通経済大学など強豪校が集中する全国屈指のラグビータウンだ。一般社団法人「つくばスクラム」(本社つくば市、廣瀬重之代表)はこの地域のラグビー・スポーツ振興のため、2023年に筑波大学内に設立された。同大ラグビー部(嶋﨑達也監督)の強化支援も目的の一つで、勝つことで人々を勇気付け、地域に元気をもたらす存在になりたいという。 代表の廣瀬さんは筑波大ラグビー部OBで、嶋﨑監督とは同期。卒業から15年、今年度から同部ゼネラルマネージャーも務める。 子どもたちのスポーツ環境を支えたい つくばスクラムの主要な活動の一つが、筑波大ラグビー部およびジャパンラグビーリーグワンの浦安D-Rocksとの協業による「UTRラグビーアカデミー」の運営だ。専門性が高い指導の下、年齢が近く親近感がある現役ラグビー部員が一緒に体を動かすことで、地域の子どもたちが楽しく夢中でプレーしながら心身ともに成長できる場を提供する。 「つくば近郊エリアには幼児・小学生向けのラグビースクールが存在するが、土日以外のプレー機会の増加や、専門的スキルの向上を求める声も上がっていた。また、スクールでラグビーに触れても中学校にはラグビー部がなく、やむなく他の競技に転向するという問題もあった。部活動の地域移行化など変革期にある子どもたちのスポーツ環境を支える場となりたい」と廣瀬代表は構想する。 地域ラグビーのさらなる活性化へ つくばスクラムと筑波大ラグビー部は、地域のラグビーを活性化する数々の取り組みも行っている。子どもたちに安全で楽しいラグビー体験を提供する「つくばタグラグビーフェスティバル」を一昨年から開催。今年は初心者カテゴリーに21チーム、経験者カテゴリーに17チームが参加し、会場のCHUBE UT Field(筑波大学ラグビー場)では約300人の観客がスタンドから見守る中、子どもたちが天然芝のフィールドを走り回って交流した。 昨年には「つくばラグビーフェスティバル」を15年ぶりに復活。小学5・6年生対象のクリニックのほか、つくば秀英高-常総学院高、筑波大-流通経済大の試合などを開催し、ラグビー三昧の一日となった。 毎年10月の「つくばスポーツフェスティバル&つくパラ」にも出展しており、昨年はラグビーに初めて触れる子どもたちに向けて「鬼ごっこゲーム体験」を実施した。 このほか普及活動として、近隣の保育園・幼稚園やラグビースクールなどへの学生コーチの派遣も行っている。 谷田部小学校での普及活動(つくばスクラム提供) 日本一になって地域に恩返しを これらの活動は、筑波大ラグビー部が既存の大学部活動の枠を超え、自ら学外へ出て地域と協業するのを支援するという側面もある。 「背景には資金が潤沢な私学に対し、運営費が乏しい国公立という大学部活動の二極化がある。弊部では寮を持たず部員は一人暮らしをしており、体づくりのための栄養管理が難しい。都内へ試合に行くにもバス代などの負担が大きい。活動の収益を部の強化費や遠征費などに役立てたい」 逆境の中でも常に可能性を示し続けるのが同部の社会的使命。全国大学ラグビーフットボール選手権大会では2012年と2014年に準優勝を果たした。次の目標はつくばから初の日本一になり、地域に感動を与えることだという。 「地域に出ていくことで、応援したいという声が直接耳に届くようになった。その声に応え、強くなり地域に喜んでもらうことが恩返し。1月2日に国立競技場で開催される決勝で、スタンドがチームカラーの水色で一面に染まる未来を夢見て活動している」(池田充雄) ◆UTRラグビーアカデミーは小学3年~中学3年生が対象。開催日時は原則毎週金曜日(一部木曜日あり)午後6時30分~8時00分、場所はCHUBE UT Field(筑波大学ラグビー場)、問い合わせはメール(info@utr-rugbyacademy.jp)へ。

ユニバーサルデザイン《デザインを考える》19

【コラム・三橋俊雄】デザインの定義に「社会の全ての人々の基本的尊厳を認める状況を促進、育成せねばならない(フランス・ヘンドリックス、1983)」とあります。つまり、デザインとは、より多くの人々が人間らしい生活を送るために役に立つ専門領域でなければならないということです。 そこで今回は「ユニバーサルデザイン」についてお話します。ユニバーサルデザインとは「すべての人々のためのデザイン」を意味します。例えば、年齢や障害の有無にかかわらず、初めから、できるだけ多くの人々が利用できるように、モノや環境をデザインすることです。 公園の水飲み場や公衆電話の高さが、大人用と子どもや車椅子用の2通りになっていることがありますが、それはユニバーサルデザインです。また、駅のホームにエスカレーターが設置されたり、公園や博物館などの出入口が階段とスロープでできている場合、それもユニバーサルデザインの配慮と言っていいでしょう。 コラム2(2023年11月21日掲載)で紹介した、脳性小児まひ児T君のための足動式意思伝達装置のデザインもその一環です。また、京都では、さまざまな障害を持つ方のためのユニバーサルデザインを検討してきました。 動物園のユニバーサルデザイン 2015年度までに京都市動物園が大規模な改装を計画し、「動物園のユニバーサルデザインコンペ」が行われました。そこには「すべての人に優しい動物園」がうたわれていました。そこで、視覚障害者にとって満足できる動物園とは何かについて、全盲の学生のT氏とゼミ学生のY氏と私で考えることにしました。  まず、T氏が1人暮らしをしている実態を把握し、その後、実際に動物園に行って、T氏がほしい情報は何かを検討しました。その結果、彼が知りたい動物園での情報は「説明文的情報」ではなく、目の前にいる動物たちの〈動き〉〈息づかい・鳴き声・臭い〉〈大きさ・重さ〉〈その動物たちが暮らしている環境〉などでした。 すなわち、T氏が動物園を楽しむためには、視覚に代わる触覚・聴覚・臭覚などを通して、動物たちと対峙(たいじ)している「臨場感」をどのように味わうかということでした。 例えば、キリンの「息づかい・臭い・発声音・皮膚の触感・大きさ」など、猿の「素早い動き・ポーズ・群れの動向」など、ライオンやゴリラの「くせ・迫力感」など、私たちが動物園で無意識に感じている「感動」を、T氏にどのように伝えていけばいいのか、それこそ「ユニバーサルデザイン」がなすべき課題であると感じました。上のイラストは提案の一部です。 私たちがこのプロジェクトを通して、もう一つ気づいたことがあります。私たち晴眼者(せいがんしゃ)のほとんどが、動物園に行って動物たちを「見た(理解した)」つもりになっていて、実は、動物たちが私たちに発している「大切なメッセージ」を見落としているのではないか、私たちこそ「BLIND MAN(視覚障害者)」なのではないかということでした。(ソーシャルデザイナー)