つくば市が民間一括売却する方針を示している旧総合運動公園用地(同市大穂、46ヘクタール)について、市が10日に公募を開始することが分かった。市公有地利活用推進課によると、公募期間は6月10日までの3カ月間。選定方法はプロポーザル方式とし、候補者選定委員会で選定する。
3日、市議会に公募日程を示した。さらに同日、2021年度に市が実施したサウンディング型市場調査の申込事業者12者に対し、10日から公募を開始することなどを電子メールで知らせたとしている。
公募条件は10日に市ホームページで公表するが、今年1月に市が作成した土地利用方針に沿ったものになるとした。具体的には、売却価格は土地の購入価格と金利を合わせた68億5000万円を基準として同額を上回るよう競争性を確保する、現在の林の状態のまま売却する、土地購入事業者は国道408号に左折車線を新設し、高エネルギー加速器研究機構と隣接する県道を拡幅する。
建設できる施設は、市議会特別委員会が2021年6月議会で示した提言を踏まえ①つくばならではの資源や特性を十分生かせる②地域活性化に貢献する③災害に強いまちづくりに寄与する④市民のコミュニティ形成に寄与する⑤観光や産業の振興に寄与するーの5項目いずれかに則したものとし、敷地内全体で5項目すべてを満たすことが望ましい、など。
ほかに、防災備蓄倉庫(面積2400~2600平方メートル)、防災多目的利活用広場(4ヘクタール以上)を事業者が一体的に整備し、倉庫は市が賃料を払って、広場は無償で市や市民が利用できるようにする、などとしている。
市はさらに昨年12月実施した住民説明会や1月の議会全員協議会で、10年間は転売できないようにする買戻し特約を付けるなどと説明している。
一方、昨年11、12月に市が実施したパブリックコメント(市民意見募集)では、意見や提案を寄せた77人のうち、民間一括売却に明確に賛成としたのは2人だけ、昨年12月に計3回開いた住民説明会は延べ76人が参加し、大半が民間一括売却に反対する意見だったなど、市民の合意形成が図られたとはいえない中での売却強行となる。(鈴木宏子)