火曜日, 2月 17, 2026
ホームつくば「反対は一部」と民間一括売却 パブコメ受け最終方針 つくば市旧総合運動公園用地

「反対は一部」と民間一括売却 パブコメ受け最終方針 つくば市旧総合運動公園用地

つくば市が昨年示した旧総合運動公園用地(同市大穂、46ヘクタール)を民間に一括売却する案について、五十嵐立青市長は11日、パブリックコメント(パブコメ)などの結果を受けて最終決定した方針を、市議会高エネ研南側未利用地調査特別委員会(浜中勝美委員長)に説明した。「一部で反対もあったが、民間による敷地全体の一体的整備の考えは維持する」とし、民間一括売却に向け、今年春か夏にも開発事業者を公募し、2022年度内に売却するとした。

市の説明によると、昨年12月に3回開催した市民説明会には延べ76人が参加し、11、12月に実施したパブコメには77人から意見や提案があった。その内訳は、市の一括民間売却案に①明確に賛成が2人②反対ではなく具体的施設提案が57人③明確に反対が6人④反対し具体的施設提案が7人⑤方向性(賛否)が明確でないが5人だったとした。

その上で、②具体的施設提案の57人は、方針案に反対ではないとし、③明確に反対と④反対し具体的施設を提案を合わせると17%なのに対し、①明確に賛成と②具体的施設提案を合わせると77%になったとした。

その上で、市民から一部反対はあったが、過剰な公共投資をすべきでない、防災拠点など一部公共利用を図る、国や県から利用を求める声がない、取得費の負担や(現状のままでは)税収が見込めないなど財政的憂慮がある、市場性が高まり好機が到来していることなどから、民間に一括売却すると結論付けた。

さらに事業者公募の条件として、売却価格は利子を含む取得原価(68億5000万円)を基準とする、事業者が計画を守るよう10年間の買戻し特約を付けるなど、新たに条件を付けていくことを明らかにした。

一方、11日の特別委では、市民説明会での賛否の人数を明らかにしてないこと、パブコメで具体的施設を提案した57人を「方針案に反対ではない」とくくって、反対意見出ない人が77%だったと結論付けたことに対し、異論が出た。五十嵐市長は閉会後、記者団の質問に対し「(パブコメの結果を)意図的に曲げたり、誘導する意図はない」とした。(鈴木宏子)

11日開かれた市議会調査特別委員会

賛否の分析めぐり異議

【11日の特別委員会の主なやり取りは以下の通り】

飯岡宏之市議(自民党政清クラブ) 私が数えたところ市民説明会では76人のうち(民間一括売却案に)賛成は3人だったと思う。パブコメは明確な賛成は77人中2人しかいない。(市の方針と市民の意見が)乖離(かいり)しているのではないか。

五十嵐市長 市民説明会ではさまざまな意見があった。それを受け止めて方針を作成している。市民説明会で賛成が3人というのは飯岡議員の解釈だ。

橋本佳子市議(共産) パブコメ結果で、具体的施設を提案した57人は「(一括売却の)方針案に反対ではない」となっている。賛成でも反対でもどちらでもないのに、反対ではないと書くべきでない。

市課長 (57人は)一括売却に言及しているのではなく、こういった施設があったらいいなと具体的提案をしている。

山中真弓市議(共産) パブコメのどの意見を「方針案に反対ではなく具体的施設を提案した方」としたのか、具体的に明らかにすべき。

市長 さまざまな意見があった。(売却先の)事業者に取り入れてもらうためにこのように(市民からの提案施設という表に)した。

山中市議 議会は一括売却を提案してない。市民意見を取り入れるのであれば一括売却を白紙にすべき。

橋本市議 (何をつくるかという)基本のキが議論されないまま、売るのが前提なのは民主的やり方ではない。市の財産だという意識で長期的に考えるべき。

小森谷さやか市議(市民ネット) 議会が一括売却を提案したわけではないが、(一括売却を)妨げるというのでもない。一括売却すれば市民から提案が上がった施設ができないかというとそういうものではない。(市が)今持っている土地の中で検討していけばいい。(民間に一括売却した場合の)固定資産税の見込みはどうか。

市課長 (市に入ってくる固定資産税は)山林なら年5600万円程度、造成し雑種地にすれば6100万円、施設が立地すれば宅地になるので6100万円程度になる。建物の固定資産税は3億5000万円程度になり、計4億3000万円程度の固定資産税が毎年入ってくると見込んでいる。法人市民税と住民税を合わせて少なくも5億円程度になると見込んでいる。

小森谷市議 URがずっと持っていて50年間買い手が付かなかった土地。今が(売却の)千載一遇のチャンス。住民投票では8割が反対した。あの時の議論を思い出していただきたい。大きな箱モノをつくることに不安をもった。身近なスポーツ施設の改修や教育施設にお金をかけてほしいというのが住民の意見だった。8割の人が反対した理由をもう一度思い出していただきたい。

橋本市議 私たちも住民投票で反対をしたが、今回は、公のものを民間に売ってしまうということに対し、慎重に考えるべきだと言っている。市民の財産を、千載一遇のチャンスだからと一括売却してしまって本当にそれでいいのか。

川久保皆実市議(つくばチェンジチャレンジ) 防災多目的広場と災害用水源が有事のとき本当に使えるのか確認したい。広場と水源は民間が整備し、維持管理は市ということだが、使用貸借契約を結ぶのか。

市課長 今のところ協定。今後必要であれば契約締結も考えたい。

川久保市議 災害協定には一般に損害賠償がなくきちんと履行されるか疑問だが、損害賠償の規程があるところもある。

市課長 今後研究したい。

川久保市議 転売防止だが、会社法上の関連会社(に限定する)とするなどのルール付けをしているところもある。

市課長 そこまで考えてなかったので検討したい。

山本美和市議(公明) (特別委に出されたパブコメ意見を閉会後に回収するという当初の市の方針に対し)どんな意見が市民からあったのか分からない。市民から提案があった施設を表にしているが、どういう意見を反映させたのか、それはなぜなのか書いた資料を付けるべき。

市長 (市民提案施設の表は)市民の意思を形にして残し、事業者に見ていただいて(カフェやテニスコートなどの従たる施設として)この先、事業者に検討材料にしてもらおうと(表のような)まとめ方をした。載せないと何のために説明会やパブコメをやったのかということになる。

飯岡市議 高エネ研南側未利用地(旧総合運動公園用地)は(筑波研究学園都市の一角として)UR(当時は日本住宅公団)が土地収用法を背景に、一団地の官公庁施設用地として土地を全面買収した。土地収用法9条は事業の承継、10条は手続きの承継について書いてあり、公共の利益に沿うよう管理しなければならないと書かれている。

飯野哲雄副市長 (元の所有者の)URとの取り決めの文書の中に(公共利用の)定めは無い。

市課長 2014年3月31日にURと市土地開発公社が締結した文書に、公的利活用に限定する条文はない。

副市長 (用地は)URから取得している。土地収用法で取得したわけではない。

中村重雄市議(創生クラブ) 用途地域変更にどのくらいかかるのか。

市部長 来年度から、1年ほどかかる。

中村市議 先に用途地域を決めて(事業者を)絞るのか。

市部長 (今回の)方針に沿って用途を決め、地区計画も合わせて決める。

高野文男市議(創生クラブ) 準工業地域にするということだが、どんな企業が入ってくるか読めない。

市部長 準工業地域は住宅や商業施設も建てられるので、地区計画の中で住宅や大規模商業施設を除外する。

橋本市議 買戻し特約はどのようにするのか。建物が立地してしまったら、そのまま市が買い戻すのか。

市課長 債務不履行があった場合に市が買い戻すことができるようにする特約で、10年間は転売できないようにする。建物が立地する前に事業計画変更があったり、転売があったりのリスクを防ぐための担保になる。

鈴木富士雄市議(自民党政清クラブ) 一括売却という方針だが、市民からは公共施設の提案がある。市民意見を売却条件にどう入れるのか。

市課長 市民からの提案施設は事業者に(従たる施設をつくる)参考資料にしてもらう。

鈴木市議 市民意見が入らなければ市民の意見を聞かないことになるが、すり合わせはどうするのか。

市長 市民意見は様々。(市民から出た)施設を全部入れると、300億円の総合運動公園をつくるのと同じ、財政破綻と同じになる。必要なものは必要な土地を見つけてつくっていく。(市民提案施設は事業者への)参考として載せている。

鈴木市議 市民説明会では、市は何をしたいのか説明がない、という意見があった。これについてはどうか。

市長 (今回の)方針で説明していること(=民間一括売却)が私が実現したいこと。

橋本市議 市民説明会(の分析)も追加して掲載してほしい。

市長 市民説明会については「敷地一括売却方針案の是非、公共利用の可能性、周辺環境への配慮、防災拠点の考え方、公募の条件など様々な論点で活発に意見交換を行うことができた」と書いている。現時点で修正の必要はない。

橋本市議 パブコメの意見結果総括表で、具体的施設を提案した57人を「方針案に反対ではなく」と書いてある箇所だが、「方針案に反対ではなく」の部分を省いて方針を修正すべきだ。

市長 そもそもパブコメは賛成、反対ではなく、全般について意見を求めるもの。1人1人の賛成、反対ではない。

橋本市議 賛成、反対を聞いてないというなら、「方針案に反対ではなく」と書くのではなく、事実をそのまま載せるべき。

塩田尚市議(山中八策の会) 用地を購入する時、市が債務保証をし、議会が議決をした。売却の時は議会の議決は必要か。

市課長 市開発公社から民間への売却になるので議会の議決は必要ない。

【訂正12日午後5時】本文3段落目「③明確に反対と④反対し具体的施設を提案を合わせると11%」は17%の誤りです。訂正します。

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

31 コメント

31 Comments
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

筑波大ラグビー部の歴代ジャージを再生 福祉と結び「つくベア」誕生

筑波大学ラグビー部などを強化支援する社会貢献団体「つくばスクラム」(廣瀬重之代表)=25年4月15日付=が、部内に保管されてきた歴代の試合用ジャージを再利用し、応援グッズとしてクマのぬいぐるみを制作するプロジェクト「つくベア〜Future Blue〜(つくベア フューチャーブルー)」を開始した。 制作にあたるのは、同市竹園の就労継続支援A型事業所「CWらぼ つくば」。同事業所の林佑一郎さんは「スポーツと福祉のこういった形の連携は今までにない経験。ラグビーというスポーツの枠を拡張したところに、障害のある利用者の方々もプレーヤーの一人として参加していければ」と、「ラグビーの町つくば」で始まった新しい企画へ思いを込める。 1枚のジャージから、約22cmのぬいぐるみが2体作成でき、試合会場などで取り扱う。一体あたり税込4500円。 闘いの証を縫い込む 「こことここを見てください」。そう言って、手にしたクマのぬいぐるみを示すのは「CWらぼ つくば」で利用者に縫製を指導する職員の柏木ひとみさんだ。擦れた傷と薄い緑色のシミが残る生地を指さしながらこう語る。「普通はこういった生地は製品には使いませんよね。でもここでは『ダメ』じゃない。ここに物語がある」 同事業所では、障害や病気のある人たちによる伝統工芸「こぎん刺し」を施した雑貨を製作し、製品は、市内の雑貨店や都内の百貨店などで販売されている。 今回のぬいぐるみの素材となるのは、同市筑波大ラグビー部が保管してきた公式戦用に使われてきた歴代ユニフォーム。節目ごとに新調したりモデルチェンジを重ねながら使われてきたもので、部員にとっては誇りの象徴でもある。簡単に処分できず、少なくとも数十年前から倉庫で大切に保管されてきた。 「つくばスクラム」は2023年に発足。ラグビー部員主体で活動し、ラグビーを通じて地域とのつながりを広げたいという思いから、眠っていたユニフォームの再活用を模索していた。市に相談したところ、紹介されたのが市内で民芸品制作や販売を通じて障害のある人たちの社会復帰を支援する「CWらぼ つくば」だった。 世界に一つだけ 服飾学校で学んだという柏木さんは「生地のシミや傷を見ていると、トライしてついた芝生や土の跡なのかな、と背景を想像できる。汚れは決してダメなものではないんです」と話す。 ラグビージャージは特殊な素材だ。部位によって伸縮性が大きく異なる。「ここはすごく伸びるけど、ここは全く伸びない。引っ張られても切れないようにできている。通常ぬいぐるみには使わない素材だが、逆にそこを活かしたい」と言う。 特性の異なる生地を縫い合わせるために、複数の糸を使い分ける。縫製時には紙を挟んで伸びを抑えるなど工夫を重ねる。立体感を出すためにダーツを入れるなど、洋裁の専門知識も活かされている。背番号や色の切り替え部分をどこに使うか考える。1体ずつ表情が異なる「世界に一つだけのぬいぐるみ」だ。 制作に携わる利用者からは「難しさもあるが、やりがいを感じている」「選手が残した闘いの証。完成させると本当にうれしい」と声が上がる。 同事業所でサービス管理責任者を務める林さんは「学生に私たちの活動を知ってもらうチャンスはなかなかない。すごくいい機会だと思った」と、つくばスクラムからユニフォーム再活用の相談を受けた当時を振り返る。 個性尊重し合うラグビー精神 つくばスクラムでスポンサーなど企業とのやり取りを担っているのが、ラグビー部2年の田島汰一さんだ。スクラムハーフとして、試合では攻撃の起点を担う。「ジャージには、誇りを持って戦った先輩たちの証が残っている。その特性を失わずに活かしてもらえたのは、本当に意味があると思った」と話す。公式戦に出られるのは23人。部員約60人のうち、半数近くは憧れの公式戦用ユニフォームである「ファーストジャージ」を着られずに卒業する。だからこそ、そのジャージには特別な思いが込められると話す。 田島さんは、ラグビーの魅力を「能力の違いを超えて、それぞれの個性を尊重し合うところ」だと話す。地域貢献活動については、「日本一になるためにもグランド内外でしっかりと活動しないといけないと思っている。つくばにはラグビーの大きなコミュニティがある。筑波大はその柱として活動していく使命がある。地域の方々に私たちの活動を見てもらい、共感してくれる仲間が増えたり、応援してくれる方々が増えることで、より高みへと目指したい」とし、「この活動が、ラグビーを知ってもらうきっかけになれば」と想いを込める。 ぬいぐるみのお披露目は、12月に秩父宮競技場で行われた全国大学ラグビーフットボール選手権大会準々決勝。試合会場で取り扱った10体は、設置直後に完売した。今後も試合会場などで取り扱っていくという。会場に立ち会った同大1年でマネージャーの西村柊さんは、「『また作ってほしい』という声がたくさんあった」と振り返る。西村さんは、「仲間として助け合うのがラグビー。見てる側の感情に訴えかけられるし、人間っていいなぁって思える」とし、「ぬいぐるみを通じて色々な人がつながり、手にした人たちが『私もつくばファミリーの一員』だと感じてもらえたらうれしいです」と笑顔を浮かべる。(柴田大輔) ➡就労継続支援A型は、利用者と雇用契約を結び、従業員として働いてもらう福祉サービス。「CWらぼ つくば」の利用者は身体障害、軽度の知的障害のほか、うつ病などの中途障害者も多い。

衆院選に見たポピュリズムの蔓延《吾妻カガミ》216

【コラム・坂本栄】先の衆院選で各党が掲げた消費税の公約には強い違和感を覚えました。その範囲と程度に濃淡はあったものの、一様に消費税の縮小や廃止を訴えていたからです。減税や廃税を歓迎することはあっても反対する国民は少ないでしょう。選挙での消費税改廃合戦は、国民大衆に迎合して票の取り込みを図るポピュリズムの極みです。 消費税減税と廃税を競う 各政党が目玉公約に設定した消費税政策は以下のようなものでした。飲食品に限り2年間ゼロ(自民、維新)、同ずっとゼロ(中道改革)、全商品5%にカット(国民民主)、同5%にカット+いずれゼロ(共産)、消費税全廃(れいわ、参政、減税日本、日本保守、社民)、消費税でなく社会保険料をカット(チームみらい)。 飲食品限定か全商品が対象か、期間限定か恒久的か、一部廃止か全部廃止か、消費税でなく社会保険料を下げるか―各政党の政権への距離によって差はありますが、生活に身近な消費税をいじくり回し、票をかき集めたいという思惑が見え見えでした。 来年度予算122兆円の4分の1を国債発行(借金)で賄うというのが日本財政の現状です。この構造を直視せず、各党は減税あるいは廃税を競い、有権者に選択を迫りました。政府の借金がすでに巨額に上っていることを考えると、国民も随分バカに(愚民視)されたものです。 いま必要なのは「増税党」 消費税公約を読んでいて、元財務省次官だった矢野康治・神奈川大学教授の講演(2025年秋、ホテル日航つくば)を思い出しました。21年10月発行の月刊「文藝春秋」に「財務次官、モノ申す 『このままでは国家財政は破綻する』」とのタイトルで寄稿、大きな話題になった方です。講演では財政赤字拡大を憂慮、借金財政が経済を活性化、それが税収増につながるといった考え方には強い疑問を呈していました。 講演のあと、「講演行脚だけでなく、『増税党』を立ち上げ、財政再建を国民に直接訴えたらどうか」と、新党立ち上げを促してみました。笑ってかわされましたが、今思うと、「増税党」議員数は財政ポピュリズムへの「懸念指数」になるのではないでしょうか。 外国人奪い合いが現出する? 排外主義を目玉にする参政党にあおられたのか、外国人政策でもポピュリズムが蔓延(まんえん)、永住者と日本国籍取得の審査を適正化(自民)、外国人比率の上限設定を検討(維新)、観光公害対策として外国人の入国に徴税(国民民主)、低賃金労働力導入が目的の移民政策に反対(れいわ)、外国人の受け入れ総量と運用を厳格化(参政)―といった公約が並びました。 外国人規制が「受ける」のは、言葉や習慣が違う人たちは嫌いだ、自分たちの仕事が奪われる―といった気分や心配があるからでしょう。しかし、人口が減っていく日本の経済や社会は、外国人に手伝ってもらわないと成り立ちません。外国人問題は、ヒューマニズム(人道)やダイバーシティ(多様性)の問題だけでなく、プラグマティック(実利的)な問題でもあるのです。 懇意にしている高齢者施設の経営者が「施設を造っても、それに必要な介護職員を集められず、部屋が埋まらない。近い将来、人口が減っていく先進諸国の間で外国人労働力の奪い合いが起きるだろう」と話していました。 長期視野と構造対策が欠如 外国人問題は気分や心配に振り回されることなく、将来の人口減を展望して取り組む必要があります。また、物価高に消費税で対処するのは場当たり策であり、為替円高や市場機能を活用する抜本策が必要でしょう。先の衆院選では、こういった長期視野と構造対策の欠如が目立ちました。政治の劣化です。(経済ジャーナリスト)

土浦の花火100年の紡ぎ(2)《見上げてごらん!》49

【コラム・小泉裕司】神龍寺の秋元梅峯師(1882~1934)が組織した大日本仏教護国団の主催により始まった「全國煙火共進會」(現在の土浦全国花火競技大会)は、回を追うごとにその規模を拡大させていった。しかし、その華々しい盛況ぶりとは裏腹に、財政面では累積した借財が大きな負担となり、大会の継続そのものが危ぶまれる窮地に立たされる。この状況を救ったのが土浦町の人々であった。 「土浦煙火協会」を結成 1932年の第6回大会以降、土浦町の商工関係者らが「土浦煙火協会」を結成。名称も「全國煙火競技大会」へと改められ、町の振興を担う重要行事へと発展した。1941年に戦争で中止となるまでの15年間は、3回の中止を挟みながらも、大会の草創期といえる時代であった。 協会は、国務大臣も務めた原脩二郎氏(1871~1934)を名誉総裁、梅峯師を会長に据えて組織され、地区長や町会議員、1929年に創立された土浦商工会のメンバーも賛助員として加わり、まさに全町協力の下、第6回大会が開催された。 秋元梅峯師と豊島庄十郎氏 翌年、梅峯師が病により会長を辞任。実業家の豊島庄十郎氏(1874~1944)が後任に就き、第7回大会が開催された。なお、梅峯師は名誉会長へと退いた。 1934年3月に原脩二郎氏、同年7月に梅峯師が相次いで没したことから、同年の第8回大会初日の午後、競技に先立ち両氏の追悼法要が執り行われた。その折には、霞ケ浦海軍航空隊から3機の水上機が飛来し、空から哀悼の意を表したという。 豊島氏は中城町の豊島家に婿養子として入り、土浦繭糸(けんし)市場や百貨店の経営などを通じて一代で財を築いた、希代の事業家である。 町会議員に推挙されるほどの堅実な人間性と郷土愛を兼ね備え、文化的な都市計画にも建設的な知見を述べるなど、行政側からの信望も極めて厚かった。町当局の強力な支援を背景に、運営難に陥っていた収支は速やかに改善。1936年の第10回大会を空前の大成功へと導いた。 花火大会の経済波及効果は? 3年後の亀城会会報第18号には、当時の状況について次のような記述がある。「花火師の交通費や宿泊費、火薬代などに6千円を要するが、一方で町に約20万円が落ちると推定される花火大会は、土浦の福の神である。ぜひ定着させたい」。 これを「レファレンス協同データベース」の資料を参考に現代の貨幣価値に換算すると、支出は約1千万円、経済効果は約3億5千万円に相当すると考えられる。 経済効果の専門サイト「経済効果.NET」は、2023年11月4日に開催された第92回土浦全国花火競技大会の経済波及効果を算出している。 発表された総観客数は60万人。2023年茨城県観光客動態調査によると、1日当たりの入り込み客数は県内最大を記録している。 試算の結果、宿泊や飲食、土産物購入などの直接消費額は1日で51億2200万円にのぼり、新たに発生した2次・3次波及効果を含めた経済波及効果は全国で107億5100万円。うち茨城県内への波及効果は12億300万円、税収効果は5300万円に達し、地域経済の活性化に大きく貢献した。 イオン土浦も大会運営に協力 一方、大型商業施設「イオンモール土浦」が大会運営に協力して当日営業を休止するなど、開催に伴い通常の経済活動が一時的に停止する側面があることも併記しておきたい。本日はこれにて、打ち留めー。(花火鑑賞士、元土浦市副市長) <参考文献>「亀城会会報第18号」(亀城会事務局、1939年刊)「茶の間の土浦五十年史」(市村荘雄一著、いはらき新聞社、1965年刊)「土浦町内ものがたり」(本堂清著、常陽新聞社、1989年刊)「花火と土浦」(土浦市、2018年刊)

スマートICとTX延伸見据え産業用地の候補地抽出 土浦市’26当初予算案

過去最大規模に 土浦市の安藤真理子市長は13日、2026年度当初予算案を発表した。一般会計は前年度当初比12.1%増の656億2000万円、特別会計を含めた総額は同比7.5%増の1089億6000万円で、いずれも過去最大規模となる。3月議会で審議される。 主な事業は、常磐道桜土浦インターチェンジ(IC)-土浦北IC間の土浦市とつくば市の境に建設予定のスマートIC整備とつくばエクスプレス(TX)土浦駅延伸を見据え、新たな産業用地の候補地を抽出し、地権者の意向確認やインフラ整備状況の調査、基本構想の策定や測量などを実施し、具体化に向けた基礎資料を作る(6300万円)。同スマートICは早期完成に向け、用地測量や補償物件調査を実施する(1億円)。 桜土浦IC周辺に産業用地を開発する土地区画整理事業(25年4月25日付 )は1億2800万円を計上し、基本設計実施に併せた道路や街区の測量、土地区画整理組合設立に向けた準備委員会への助成などをする。 上大津統合小、荒川沖消防署建設に着手 さらに、28年4月の開校を目指し上大津東小の拡張敷地に上大津地区統合小学校の校舎などを建設する工事に着手する(11億5200万円)。同じ28年度の開署に向けて荒川沖消防署と南分署の中間の右籾地区に、新荒川沖消防署を建設する工事に着手する(4億6400万円)。 老朽化が著しいため3年かけて設備の更新を実施してきた市清掃センターは、3年目の26年度にごみクレーンなどの設備を更新する(18億8400万円)。更新工事期間中は焼却炉を停止し、可燃ごみの処理を近隣自治体や民間処理施設に委託する。 築35年が経過した市保健センターは、高断熱、省エネのZEB化による改修に向け基本・実施設計を実施する(3800万円)。開館から30年が経過した上高津貝塚ふるさと歴史の広場の博物館施設は26、27年度の2カ年で、施設の長寿命化改良工事を行うと共に最新の研究を反映した展示内容への改装などを実施する(2億2900万円)。工事期間の今年9月から休館し、28年4月のリニューアルオープンを予定している。 モール505の歩行空間を再構築 土浦駅周辺の市中心市街地に立地しながら空き店舗が目立つ川口ショッピングモール(モール505)の歩行空間は、安全で魅力ある歩行空間とするための再構築工事を実施する(8600万円)。 民間の力を導入し霞ケ浦の土浦港周辺に観光・レクリエーション拠点を整備する構想(1月3日付)は、公募があった民間事業者と契約を締結する(110万円)。 県内初、紙おむつのサブスク助成 子育て支援は、保育施設が実施している紙おむつのサブスクリプション(定額使い放題サービス)に対し1340万円を計上し、県内で初めて市が利用料金の2分の1(月額上限1200円)を助成する。紙おむつの残数管理は保護者と職員双方にとって負担となっており、保護者にとっては紙おむつに名前を記入して持参する負担が軽減されるほか、職員も負担が軽減され保育の質の向上が期待できるとする。先行して実施した給食費無償化は、4月から全国で実施される小学校のほか、中学校の給食費無償化も引き続き実施する。 同市への移住や定住を促進するため、大学卒業後、同市に居住し就業している若者の奨学金返還支援(上限10万円)を継続するほか、移住する際の移転費を新たに一部助成し(上限10万円)、転入者が中古住宅を取得しリフォームする際の費用を新たに助成する(工事費の2分の1、上限30万円)。 犯罪被害者支援条例制定 ほかに新規事業として、2027年12月末で水銀ランプ、蛍光灯の製造、輸出入が完全に禁止されることから、省エネに関する包括的サービスを実施し実現した省エネ効果の一部を報酬として受け取る「ESCO事業」を導入し、地区公民館や保育所など15施設の照明をLED化する(1億3000万円)。さらに、町内会や自治会が設置する防犯カメラの設置費用の2分の1、上限20万円を補助する(120万円)。今年4月1日付で犯罪被害者支援条例を制定する予定であることから、犯罪被害によって重傷を負った人に10万円、死亡した遺族に30万円の見舞金を給付する。 ふるさと納税過去最高に 一方、歳入のうち、法人市民税は物価高や人件費高騰による収益低下から前年度当初比8.8%減を見込む一方、個人市民税は賃金や所得の上昇などから6.1%増、固定資産税は新築・増築家屋の増加により1.4%増を見込み、市税全体では2%増を見込む。ふるさと納税は、25年度分が今年1月末時点で20億円を超えるなど過去最高となったことから、26年度は25億円の寄付を見込む。これに対し市の借金である市債は、学校建設やごみ焼却施設の更新などにより前年度当初の2倍の70億円を発行する。 市債については、特別会計と併せ、総額で90億円を発行するのに対し、100億円を返済する予定であるなど、市債残高自体は年々減少しているとする。さらに財政調整基金からの繰り入れについては、25年度に収支不足を補うため同基金から4億円を繰り入れることになったため、26年度は強い危機感を持ち歳入歳出の見直しを行った結果、収支不足の大幅な縮減を達成することができたとしている。26年度末の同基金残高は49億円の見込み。(鈴木宏子)