月曜日, 5月 6, 2024
ホームつくば知らせぬまま「各地区3人以上」に変更 つくば市農業委員会人数割

知らせぬまま「各地区3人以上」に変更 つくば市農業委員会人数割

選考の公正性、透明性どう確保

改選後のつくば市農業委員会委員の地区別人数割をめぐり、総会で農業委員から異議が出された問題で(5月20日付)、農業委員の候補者を選ぶ市農業委員会委員候補者選考会(会長・飯野哲雄副市長)が第2回会合を開いた昨年12月、地区別の農業委員数を一律で「各地区3人以上」と変更していたことが分かった。

同市の農業委員数は公選制だったときも含めてこれまで、地区ごとの農地面積や農家戸数に応じて選ばれ、農家が最も多い谷田部地区は他地区と比べて委員数が多かった。各地区一律で3人以上とする人数割は、市農業委員会設立以来の大きな変更になるが、当事者である農業委員会や、同意を得なければならない市議会にも説明はされなかった。一方、市はホームページに、地区ごとの農地面積や農家戸数などを考慮した地区別人数割の考え方だけを公表していた。

選考会で各地区一律3人以上となったことについて市農業委員の一人は「初めて聞く。選考会にそこまでの決定ができるのか」と憤慨する。

問題になっている認識なかった

同選考会は、農業委員が公選制から市長による任命制に変わったのを受けて、選考過程の公正性、透明性を確保するため設置され、昨年12月、35人の候補者の中から定数の24人を選ぶ選考が実施された。

地区別人数割について、昨年12月7日の第1回選考会では、農業委員は農地転用や所有権移転など許認可の調査を地区ごとに行っていることから、事務に支障をきたさないよう、地区ごとの農地面積、農家戸数、農地転用や所有権移転など農地法の許可申請件数に応じて、谷田部地区6~7人、桜3~4人、大穂3人、豊里3人、筑波4~6人、茎崎2人とすることを、市長への答申書に申し添えることが事務局から提案された。

その後、同月21日に第2回選考会が開かれ、事務局提案とは異なる、各地区一律3人以上とすることが決まったという。

農業委員会事務局によると「各地区3人以上いれば仕事が十分できると(選考会の)話し合いの中で決まった」としている。

ただし第2回選考会の議事録や要約、答申は非公開で、基準を変更するに至った議論の経緯や意思形成過程は説明がないままだ。同事務局は議事録を非公開としている理由について「(採点結果など)個人情報がからむので、第2回選考会開催にあたって、あらかじめ議事録を公開しないことを決定した」ためだとしている。

第2回選考会では答申がまとめられ、五十嵐立青市長に提出された。市長は、答申にもとづき、選考会の採点結果をもとに24人を選んだとしている。24人の地区は、谷田部4人(改選前は6人)▽桜5人(同5人)▽大穂3人(同2人)▽豊里4人(同3人)▽筑波5人(同5人)▽茎崎2人(同2人)。各地区3人以上と決めたのに茎崎地区が2人なのは、候補者が2人しかいなかったためという。

各地区3人以上に変更されたことについてはこれまで、農業委員会に説明されたことはなかった。同事務局は「(農業委員の間で)地区バランスとの隔たりが問題になっているという認識がなかった」ためだと釈明している。

出席せず説明できなかった

農業委員の任命は市議会の同意が必要なことから、市長は3月議会最終日に24人を農業委員に任命する議案を提案した。議会では、本会議開会前に開かれた議会運営委員会で、塚本洋二議員から「地区バランスはとれているのか」などの質問が出されたが、地区別人数を各地区3人以上に変更したことの説明はなかった。

これについて農業委員会事務局は「人事案件を出すのは総務部で、農業委員会事務局は議会運営委員会に出席してなかったので、説明できなかった」としている。

本会議では24人のうち22人が全会一致で、2人が賛成多数で同意となった。

意見聞かれたこと一度もない

農業委員会は、農地法に基づいて農地の売買や貸借の許可、農地転用案件に意見を言うなど、農地に関する事務を執行する行政機関で、「農地の番人」とも呼ばれる。

農業委員の選出方法は、2015年の農業委員会法改正により、選挙で選ぶ公選制が廃止され、議会の同意を得て市長が任命する方式に変更になった。

市長任命制に変更後の選出方法について、農業委員会法規則は「関係者からの意見聴取その他の委嘱(任命)過程の公正性、透明性を確保するために必要な措置を講ずるよう努めなければならない」と定めている。農水省は、必要な措置について①推薦を受けた者及び募集に応募した者や推薦者の意見を聞くこと②前任の農業委員または推薦委員の意見を聞くこと③パブリックコメントを行うこと④選定委員会を設けること等が考えられるとしている。

選出方法について別の農業委員は「つくば市から意見を聞かれたことは一度もない」と話している。(鈴木宏子)

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

10 コメント

コメントをメールに通知
次のコメントを通知:
guest
最近NEWSつくばのコメント欄が荒れていると指摘を受けます。NEWSつくばはプライバシーポリシーで基準を明示した上で、誹謗中傷によって個人の名誉を侵害したり、営業を妨害したり、差別を助長する投稿を削除して参りました。
今回、削除機能をより強化するため、誹謗中傷等を繰り返した投稿者に対しては、NEWSつくばにコメントを投稿できないようにします。さらにコメント欄が荒れるのを防ぐため、1つの記事に投稿できる回数を1人3回までに制限します。ご協力をお願いします。

NEWSつくばは誹謗中傷等を防ぐためコメント投稿を1記事当たり3回までに制限して参りましたが、2月1日から新たに「認定コメンテーター」制度を創設し、登録者を募集します。認定コメンテーターには氏名と顔写真を表示してコメントしていただき、投稿の回数制限は設けません。希望者は氏名、住所を記載し、顔写真を添付の上、info@newstsukuba.jp宛て登録をお願いします。

10 Comments
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img
spot_img

最近のコメント

最新記事

ロボッツ来季もB1で 今季最終戦を終える

男子プロバスケットボールBリーグ1部(B1)の茨城ロボッツは4日と5日、水戸市緑町のアダストリアみとアリーナで宇都宮ブレックスと対戦、4日は59-100、5日は64-88で連敗を喫した。茨城の最終成績は12勝48敗で東地区8位。B2降格をまぬがれ、来季もB1で戦うことが決まった。 2023-24 B1リーグ戦(5月5日、アダストリアみとアリーナ)茨城ロボッツ 64-88 宇都宮ブレックス茨 城|21|11|13|19|=64宇都宮|17|26|21|24|=88 「今季最後のホームゲームであり、選手のためにもブースターの皆さんのためにも、どうしても勝ちたい試合だった。だが宇都宮は本当に素晴らしいチームで、思うような結果を出すことはできなかった」と、茨城のリチャード・グレスマンヘッドコーチ(HC)。 昨日の大敗を受け、この日はアウトサイドで勝負をかけた。「相手は中へ収縮する守備をしてくる。そこで今日は積極的に3点シュートを打っていこうと考えた。守備のときも、相手にとにかく3点シュートを打たせることがわれわれのポイントだった」とグレスマンHC。試合の立ち上がりはこれがうまくいった。相手が3本のシュートを外す間に、茨城はルーク・メイが2本、中村功平が1本の3点シュートを決め、9-0の大差を付けてゲームをスタートさせることができた。 だが驚くべきは宇都宮の修正力だった。その後は3点シュートを精度よく決められ、第2クオーター半ばに逆転。逆に茨城は、思うように得点が伸びなくなる。「宇都宮はヘルプの寄りが速いので、寄ったところでキックアウトして、外のノーマークの選手がシュートを打つという作戦だった。だが相手の速くて洗練された守備に、ノーマークにさせてもらえなかった」と中村功平はいう。 前半は両チームともハーフコートで、じっくりとパスを回す攻撃が多く、後半は状況を打開するべく、茨城が乱戦を仕掛けた。だがこれは宇都宮の思うつぼだった。ビッグラインナップではインサイドをしっかりと固め、スモールラインナップでは鋭いドライブで得点を重ねる相手に、ますます茨城は身動きがとれなくなっていった。 こうして連敗で今季を終えた茨城だが、他地区のチームがさらに成績下位だったため(信州ブレイブウォリアーズ=10勝50敗、富山グラウジーズ=4勝56敗)、B2降格は免れることができた。 「昨年12月に私がHCとして復帰したときチームは2勝28敗で、いつあきらめてしまっても仕方のないような状況だった。それでも選手たちが本当に頑張って、B1継続という目標を成し遂げることができた。二度とこのようなシーズンを送らないためにも、ここから多くのことを学び、ロボッツのスタンダードを上げる必要があると思う」とグレスマンHC。 Bプレミアの要件達成見込み この日の入場者数は5055人で、立見席まで人が鈴なりとなった。この結果、今季のホームゲーム平均入場者数は4619人を達成。2026年から始まる新リーグ「B.LEAGUE PREMIER(Bプレミア)」参入要件の一つ、平均入場者数4000人以上を、大きく上回ることができた。 残る2つの要件は、売上高12億円以上と、ホームアリーナ基準の充足。このうち売上高については、詳細は6月の今季決算を待つことになるが、ほぼ達成されそうな見込みという。施設基準についても、アリーナ改修予算が水戸市議会で議決されたため一定の目処がついた。このため早ければ今年12月のBリーグ理事会で、Bプレミア参入が決定する可能性がある。 西村大介代表は「皆さんにはご心配をおかけしたが、最後は無事B1継続を達成することができ、胸を撫で下ろすシーズンとなった。来季はロボッツ10周年という節目の年でもあり、あと2年で始まるBプレミアを見据え、更なる進化をするシーズンにしなくてはならない」と話している。(池田充雄)

オッペンハイマーとサム・アルトマン 【吾妻カガミ】182

【コラム・坂本栄】何かと話題になっている映画「オッペンハイマー」を見てきました。主筋は、米国の原爆開発を主導した理論物理学者オッペンハイマーが水爆開発には反対、ソ連のスパイの疑いまでかけられ、戦後には冷たい扱いを受けるという史実ですが、当時の米政府の情報管理や学者間の確執もふんだんに盛り込まれており、面白い映画でした。 ナチスとの原爆開発競争 実験成功後に彼を講堂に迎え、関係者と家族たちが足を鳴らして成功を祝う場面では、これで日本を降伏に追い込めるという米国民の高揚感が伝わってきます。真逆の場面=トルーマンが大統領執務室でオッペンハイマーと会ったとき、彼が水爆開発には消極的と知り、退室後に「あの泣き虫には二度と会いたくない」とこき下ろす場面=もあり、このコントラストは秀逸でした。 米国の原爆開発は、ナチス・ドイツの原爆開発に負けてはならないと始まったものでした。ところが、ドイツが早めに降伏したため、対日戦を終わらせる決定兵器になります。また、米国は戦後の仮想敵国としてソ連を想定するようになり、開発情報の対ソ漏えいを極度に警戒します。こういった米国の政略・戦略の変化も描かれています。 原爆開発を引き受けた動機が「ヒットラー憎し」であったオッペンハイマーは、国際政治に翻弄(ほんろう)されるだけでなく、ソ連のスパイ組織と見られていた米共産党との関係にも翻弄されます。これらに原爆開発を主導したという倫理上の自責の念が加わり、見応えある長尺3時間の映画に仕上がりました。 私は、165「酷暑日に核廃絶と核抑止について考えた」(2023年8月21日掲載)の中で、対日原爆投下を決断した米政府・軍部の心中を、①その破壊力を日本に実感させて降伏に持ち込みたい、②巨額の開発費を使った原爆の力を確認してみたい、③大戦後に敵国になるソ連の諸活動を抑制したい―と整理しました。 戦後、原爆は戦争を抑止する装置として使われるようになり、オッペンハイマーは国際政治の枠組みに大きな影響を与えました。 人工知能は世界を滅ぼす? 「オッペンハイマー」を見ながら、頭の中ではサム・アルトマンの顔がチラついていました。対話型人工知能(AI)「チャットGPT」の開発を主導した「米オープンAI」の最高経営責任者(CEO)です。AIは原水爆に匹敵するような影響を人類に及ぼすのではないか…と。 チャットGPTについては、156「大乗仏教の空と相対性理論の空の関係」(23年5月1日掲載)の中で、「ネット上に格納された情報を超速で探し出し、それらを取捨選択、整理整頓し、文法的に正しい回答を作文してくれる」ツールと私なりに定義しました。扱い方を間違えると人間に思考の放棄を促し、破壊の恐怖=原水爆を上回る力を持つでしょう。人類支配力(破壊力?)としてはAIの方が大きくなるかもしれません。 「米オープンAI」の倫理派役員たちは、商業開発に突っ走るアルトマンを一度追放したものの、同法人に巨額の資金を提供している米マイクロソフトがこの人事に介入し、アルトマンをCEOに復帰させました。この経緯を報じた米ウォ―ル・ストリート・ジャーナル紙(23年11月24日付)は、倫理派役員の考え方(思想運動)を「Effective Altruism(効果的利他主義)」と呼び、以下のように伝えています。 「この運動では、AIが人間としての正しい価値観を植え付けられて注意深く作り上げられれば黄金時代を生み出すが、そうしたものにならなければ世界の終わりのような結果を招く恐れがあると信じられている」 (経済ジャーナリスト、戦史研究者)

投網や釣り体験で交流 川守養成プログラム始まる 桜川

桜川に親しみ、川の環境を見守る人を養成する「桜川川守(かわもり)養成プログラム」(4月22日付)の第1回が5日、つくば市松塚、桜川漁業協同組合(鈴木清次組合長)の拠点広場で開催され、市内外から7組22人が参加した。中国やインド出身の参加者も訪れて投網や釣りを体験し、国籍や世代を超えて交流を深めた。 同プログラムは川の水質や生態系を見守る担い手を育てようと、川守養成プログラム実行委員会が企画した。桜川漁協や市民グループ「桜川ナマズプロジェクト」が協力し、NEWSつくばが後援している。 鈴木清次組合長(81)は参加者に、シジミやウナギなど多様な生き物が生息し、澄んだ流れだったという桜川の記憶や、近年アユやワカサギ、オイカワなど在来魚が急激に減少していることについて話した。桜川で伝統的に使われている漁具についても実物を見せながら紹介した。その後、参加者に投網の投げ方を教え、参加者は川沿いの広場で投網を何度も投げて練習した。桜川では遊漁者が投網を行うことは禁じられているが、漁協の組合員になれば投網を使用することができる。組合員によると、投網を正しく丸く広げられるようになるには10年の経験が必要だという。 投網体験のほか釣りの体験も行われ、体長60センチほどのアメリカナマズが次々と釣り上げられて歓声が上がった。15匹が釣れ、市外から参加した女子高校生が慣れた手つきでナマズをしめてさばいた。昼食時には市内の四川料理店「麻辣十食」(同市天久保)が、霞ケ浦のアメリカナマズを使ったメニュー2種類を提供し参加者が試食した。四川料理「ラーズーナマズ」は今年2月から同店でレギュラーメニュー化した一品(2月28日付)。市外から参加した中学生は「今日はアメリカナマズを釣り上げた。試食したナマズはすごくおいしい。人気になると思う」と話した。釣り体験で釣れたナマズは、その場でしめ、食用や骨格標本制作用として参加者がそれぞれ持ち帰った。昼食時には、鈴木組合長による投網の実演が行われ、外来魚のダントウボウやアメリカナマズ、オイカワなどが網にかかり、参加者から拍手が起こっていた。 在来魚が減少し、特定外来魚であるアメリカナマズが急激に増加するなど、近年桜川の生態系は大きく変化している。桜川はつくば市の水源である霞ケ浦に流れ込んでおり、川の水環境は市民の生活に密接に関係している。70年前、澄んだ水だった桜川で泳いで遊んだという鈴木清次組合長や組合員の鈴木孝之さん(81)は、当時の記憶を話し、かつての清らかな水質を取り戻したいと市民に向け発信を続けている。 市内在住の30代の男性は「NEWSつくばを見て、投網をやってみたいと思い参加した。子どもの時から桜川で釣りをして遊んできたので、桜川が好き。長く見ているので、桜川で釣れるものが変わってきたのを感じている」と変化についての実感を話した。同じく市内在住で北海道出身の30代男性は「桜川には観光としての魅力がある」と観光資源としての可能性を話した。 鈴木組合長は「いつでも遊びに来てください。楽しみながら川のことを知ってほしい。清らかな桜川を取り戻すのが私の願い」と参加者に話した。川の生態系の現状を知ってもらい、川を見守る担い手を増やしたい思いだ。 同プログラムは年5回実施の予定。4回以上プログラムに参加した人は、養成プログラム実行委員会が桜川の「川守」(桜川を見守るサポーター)に認定し、川の清掃活動などの情報を配信する。プログラムは1回のみの参加も可能で、来年度も実施を予定している。(田中めぐみ) ◆次回、第2回プログラムは6月9日(日)開催の予定。NEWSつくばページで5月11日より参加を募集する。

産んでも男の子は兵士になって死ぬんでしょ《ひょうたんの眼》68

【コラム・高橋惠一】私は、毎年5月3日には日本国憲法を読むことにしている。国際社会は2度の世界大戦の人類絶滅危機を恐れ、日本は310万人もの犠牲者を出しながら、加害責任を追及される結果を踏まえ、国と国民が共有する決まりとして制定した憲法である。 「戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない」として、無知と偏見が、人種、性、言語または宗教上の差別を可能にし、愚かな戦争に至らしめていると警告する「ユネスコ憲章」と、国民主権を人類普遍の原理とうたい、人権尊重と戦争放棄を決意することによって国際社会に名誉ある地位を占めたいと宣言する「日本国憲法前文」を、座右の銘と思っている。 統一教会との癒着や、不正な裏金によって確保した議席の多数によって、民主主義をねじ曲げ、挙げ句は、平和憲法の「改悪」をはばからない現政権に嫌悪感を持たざるを得ない。その与党に何を期待するのか、すり寄る一部「野党」や一部「マスメディア」にも落胆している。裏金問題の改革は、企業団体献金の禁止しかないのに、何を躊躇(ちゅうちょ)しているのだろう。 防衛費負担は従来の2倍に 日本のGDP(国内総生産)がドイツに抜かれ世界4位に転落した。さらに3年後にはインドに抜かれる見通しだ。1人当たりのGDPは21位で、世界第2位を誇った30年前の見る影もない。経済政策の失態なのだが、特に近年の「アベノミクス」という理念の無い経済政策の結果であり、だらだらと現在も続いている。 アベノミクスでは、企業業績の拡大を最優先に据え、円安に進んだ。また、経済活動の効率化を図るとしながら、その手段をコスト抑制に求め、具体には人件費=賃金の抑制と、原材料調達費=下請け企業の収益削減に負担を押し付けた。 少子高齢化の進行や災害復興の財政需要の拡大は、元々予定されるところだが、財源不足を国債に求め、デフレ状況下でも好調な輸出部門やIT関連企業からの税負担は採用せず、むしろ内部留保への特別措置など、大企業優遇が続いている。 そこに安全保障環境の悪化によるとする、防衛費についてGDPの2%負担を首相が国際会議の場で約束してしまった。1%増やすだけではなくて、従来の2倍にするということだ。世界第4位の軍事費大国になるということだ。 安倍政権に次いで、現政権も国会で議論せず、与党だけで調整し閣議決定で通してしまう。まさに国会という主権者の判断を仰ぐ機会を無視しているのだ。 子育て支援などと言うが… 滅茶苦茶な国政の運営も、要約すると、大企業が今後の稼ぎ頭にしたい防衛産業を拡大するために、社会保障や格差解消のための財源を削って、大企業優先の財政運営をする。子育て支援などと言うが、今日のコラムの見出しは、2人の子育て中の若い女性の言葉である。日本という国に、何の期待もできないのだ。(地歴好きな土浦人)