インフラ分野のDX(デジタル・トランスフォーメーション)を推進している国土交通省の研究機関、国土技術政策総合研究所(国総研、つくば市旭)で14日、建設DX実験フィールドの開所式が行われた。
実験フィールドは、土木・建設分野で無人化施工、自動施工などの技術開発を促進するため整備された。点検データを収集する橋梁の実物大模型などが設置されている。国交省発注工事・業務の3次元データを一元管理・分析するためのDXデータセンターと合わせて開設された。
これらは100Gbpsの高速通信環境やローカル5G利用環境など超高速通信により、本省のインフラDXルーム、地方整備局(関東・中部・近畿・九州)のDX推進センターと結ばれる計画で、6月以降運用が開始される。
土木、建設業のDXは、ICT(情報通信技術)やデータの活用により、施工管理の効率化や各種手続きの電子化による省人化・省力化を促すのが狙いだ。災害による深刻な被害からの早期復興や、少子高齢化・人口減少により顕在化している担い手不足の解決などから求められてきた。
国交省は4月1日に大臣官房にインフラDX総合推進室を設置し、地方整備局などと一体となった取り組みを打ち出した。その研究開発を担うのが国総研。つくば市内に立地する土木研究所、建築研究所と今回新たな協力協定を結んで推進する。
14日の開所式には国交省の山田邦博技監らが出席。「先駆的取り組みとずっと言い続けてきたものがようやく現実の取り組みになる」と訓示した。新型コロナウイルスの感染対策で、非対面・非接触の働き方が求められる観点から一気に進展が図られたという。
テープカットの後、実機を使ったデモンストレーションも行われた。山田技監らが操作した建機のバックホウはリモートで動く無人機械。約1万8000平方メートルの実験フィールドは2基のローカル5G基地局でカバーされ、高精細画像を介し建機の微妙な遠隔操作もできるという。
無人操縦のバックホウはすでに市販されているが、国総研がこれをベースマシンとして購入、土木研究所の研究陣が今後、自律走行などの技術開発を進める体制でいる。(相澤冬樹)